先日蕎麦関係の雑誌の中で文明と文化の違いを、麺類に当てはめる記事が載っていた。
そこでは、うどんや地方における蕎麦は文明であるが、江戸前の流儀に則った蕎麦は文化であると述べられていたが、大いに頷けた。
「文明」とは客観的合理性を持つ普遍的なものだが、「文化」は不合理なもので、ある一定の地域や民族だけに通用する特別なものである。
そこには歴史の流れや、その土地に生きる人間の情緒とか美意識が絡んで来る。
他所の人間から見れば不可解と受け取られることも当然であり、それは食文化の中にも間々見られることである。
人類が知恵を絞って小麦や蕎麦を麺に仕立てたのは文明であるが、東京における蕎麦はまさに文化として根づいていると記されていたが、まさにその通りだと思う。
「蕎麦前」という地方には見られない特殊な食文化が醸成されたことは、江戸時代からの歴史の流れと、江戸っ子の思い入れの所産であることは紛れの無い事実である。