翌朝は朝風呂を浴びた後、ホテル内のレストランでバイキング形式の朝食を摂る。
和・洋・中華の多くの品目が並び、少しずつ皿にとっても結構なボリューム。
味の面では一長一短はあるものの、バラエティに富んだ内容でかなり満腹となる。
9時過ぎにチェックアウトし、駅前から湯布院行きのバスに乗り込む。
1時間ほどで湯布院の駅前に到着。
この日は東京でも暑かったようだが、こちらも30℃近いと思われる夏を思わせる陽気。
前日に乗ったタクシードライバーからも、湯布院はのんびりと歩いて巡るのが相応しい所と聞いていた。
どこからでも望める「由布岳」が町のシンボルで、その麓のなだらかな丘陵地帯に温泉リゾートが展開されている。
駅から「金鱗湖」に向かう「湯の坪街道」という道筋には、若者に受けそうな店屋が数多く並んでいる。
一見すると「原宿」と大差ないように思えるが、一軒ごとに個性があり大人でも楽しめるアートを感じさせる雰囲気は独特。
ブラブラと散策しながら、色々な店を冷かして歩くのはなかなか楽しい。
今では湯布院の名前は全国に知れ渡っているが、リゾート地として開発されたのは比較的最近で、若い世代の宿主たちはドイツに渡って理想の町づくりを学んだのだそうだ。
何処となくその昔訪れたことがある、南ドイツのベルヒテスガルデン辺りに似ているような気がする。
寄った店の個々の内容は省略する。
美術館もいくつか在るが、最後に同行の友人の勧めで訪れ、強い印象が残った「COMICO ART MUSEUM」についてのみ少し書き残しておきたい。
こちらはインターネットサービス大手の「NHN JAPAN」が、自然と文化芸術の融和を目的として設けた美術館で、建物の設計は今を時めく「隈研吾」氏。
周囲に焼き杉板を巡らせた、黒を基調とした落ち着いた雰囲気がこの地の自然い溶け込んでいる。
入館時刻は20分刻みで定まっており、事前予約が必要なのは、それぞれの組に専属の学芸員が付いて、建物や作品についての細かな説明がなされるため。
館内はそれほど広くなく、展示物もポップアートの第一人者の「村上隆」氏の6点と、写真家の「杉本博司」氏の5点のみ。
照明の使い方が見事で、それぞれの展示室は独立しているが、ガラスや水で隔てられているため、互いの世界観が共鳴して芸術性を高めている。
上階には京都の「竜安寺」の石庭を思わせる、石組みが施された屋上庭園が在り、「由布岳」と一体化した光景も良く計算されている。
学芸員の説明も分かりやすく、最後にお茶のサービスなどもあり、実に優雅なひと時を過ごせた。