kaoru7さんのマイ★ベストレストラン 2013

kaoru7のレストランガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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今年もまた、この時期の到来であります。
一年の総決算みたいな風物詩になりつつある現状になんともいえない気持ちになります。
書くことの責任と難しさと、書ききれない思いの歯がゆさに切ないおもいとなりました。
何はともあれ、今年も乗り切れたことに感謝するのみであります。
今年は、新規開拓中心になりすぎ、再訪しきれていないお店も多々あり、また、再訪しても、掲載できていないお店もあり、その意味では、ベストな選択と言い切れない部分もあります。
なにはともあれ、すこしでも、皆様方の参考になれば、何よりだと考えております。

マイ★ベストレストラン

1位

Point (新福島、中之島、福島 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.9
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥6,000~¥7,999

2015/01訪問 2015/03/27

新たなる夢の希望たる夢幻の世界へ 美しき夢はまだ終わらない

2015年1月再訪。久しぶりの訪問となりました。
この業界に利害関係のない立場にとって、好評価つけた店の再訪ほど心苦しいものは、ある意味ありません。
再訪の結果、客観的に好評価と認識可能ならば、うきうきなのでありますが、ただ、どう書けば、その想いが読み手に伝わるか悩むものなのであります。
その意味では、初訪問の方が記述しやすい部分もあります。
ある意味、関西におけるフランス料理界の至宝のひとつというべき同店舗の再訪は、前日眠れないほど緊張したのは、事実であります。
この感覚は、三ッ星時代のバリのタイュヴァンやジョエル ロビション氏のジャマンの再訪の感覚と同感覚といっても、過言ではありません。
それほど、緊張しました。
ひとつの結論めいたことを言えば不動心(自己破壊による新たなる創生ではなく、自ら構築したスタイルをひとつの伝統として大切にすること)という感覚であります。
これは、私の感じた感覚なのでありますが、おいしい料理を作るのが料理人の使命。
予約至難の状況に甘えることなく、時代の進化の流れに沿うように、客の嗜好にそうように、それらに合わせて、進化していこうとするスタイルを強く感じました。
おいしさにあわせて、一つ一つ積み重ねるように伝統としてのスタイルを大事にしながら、丁寧に進化していこう。
ただ、短絡的に時代に迎合すればいいという意味ではありません。
そんな啓蒙主義すぎない親近感が、ある意味 人気の秘密のひとつなのかもしれません。
コスパ的に満足。
料理の内容 進化において、満足。
こういう書き方はある意味不適切かもしれませんが、料金出せば、いい素材でおいしい料理はある程度食べやすいものなのであります。
安くておいしい(CPにおいて優れている)意味において、技量の凄さを個人的には感じます。
こういう書きかたは適切ではないかも知れませんが、仮にマニアないしプロに受ける技量に優れていても、独善的に陥らず、一般的においしくなければ、料理の感動は薄れてしまいます。
真に優れた料理人は、卓越した料理技術とともに一般的にそのおいしさ伝える技量を持ち合わせています。
ただ、ここでは、踏み込みませんが、カジュアルフレンチとは、異なります。
その意味でいいバランス感覚として自然体としてのいい熟成感がでてきたとおもいます。
個人的には、現代風フレンチの満足度は、お店の個性としての独創性とともに、科学的技量に基ずく科学的感動以上に芸術的感動にあるようにおもいます。
その意味で、現代風フレンチを前提にする時、料理の評価はミシュラン二つ星でありますが、総合的な感動ないし満足度は、三ッ星以上と感じました。
参考までに、今回頂いた料理で、特に印象に残った料理を簡単に記載しましょう。
熊本産のジピエ 猪ののバラ肉のコンフィ フォアグラのロッシ-ニ ポアン風であります。
野菜のヴィヨンで一日以上かけて、超低温で丁寧に繊細に、猪のバラ肉を極力細胞膜を壊さないようにゆっくりじっくりと火入れしてゆくそうです。
最後に表面を高温でカリカリに焼きます。
コンフィの上には、表面をカリカリに焼いたフォアグラ。
ソ-スは二種類。
フォアグラを丁寧に崩したものに、猪の煮汁を加えて、味を調整したものとフトネギのソ-ス。
つけ合わせはオニオンヌ-ボ-のキャラメゼしたものと、小玉葱のロ-スト クレソンなど。
すっとナイフで、軽やかに切れるほどに柔らかいフォアグラとコンフィ。
咀嚼すると、カリカリと香ばしさと口の中で蕩けて消えてしまうほどほんのり甘く柔らかいフォアグラ。
その旨みに、表面はカリカリで内側に秘めたる繊細で緻密な野生の旨みに満ちた猪。
バサバサではなく、しっとりした弾力感ある触感で、かみ締めるほど旨みに満ちフォアグラの旨みに共鳴する猪の旨みの二重奏。
熟成したワインのコルクを抜栓したときのように、満月に時が満ちるように 内から外へと自然に溢れて旨みに満ちてくる生き生きした天然の野性味。
その旨みを引き立てるニ種のソ-ス。
フォアグラの軽やかな甘みとフトネギの軽妙な酸味と苦味がいいアクセント。
この一皿だけで、素敵な交響曲を聴いたような感銘をうけました。
今年で言えば、エサ ベッカ サロネンのシベリウス交響曲5番のような野性味と、美しい洗練性が、融合して聴かせた自然の神韻たる夢想に満ちたときめき。
時はときめく。
美しい夢は、まだ終わらない。


2013年初訪
アキュイ―ルが閉店したとき、それはあるひとつの時代の終焉を意味しながらも新たなる鼓動の始まりでもあった。
それは、あくまでもひとつの抽象的規範性としての通過点にすぎず、新しい展開にその良き伝統とともに新しい生命を吹き込む作業のひとつに過ぎなかった。
その夢の続きが新しき店となって咲きかける花のように、今新しく花開こうとする。
美しき夢はまだまだ終わらない。
新しき生を受けて、今花開こうとしている。
そう、アキュイ―ルの夢はこのお店に受け継げられ新しくもっと芳醇ないし豊満の光彩の中にトキメコウとする。
それはひとつの現実であるまいか。
美しき夢*新しきときめき。
その夢の旅路は始まったばかりであるが、その感動はまだまだいささかも衰えることはない。

これは、私の見解であるが、その理念は シンプルでありながら複雑。複雑でありながらシンプルという思考に括ることができるかもしれない。
その新しき夢の旅路に新たなる期待と希望と感動を感じた次第である。

場所は新福島駅の近く。

白い壁が隠れ家的雰囲気と清潔感を感じさせる。
店内はオ―プンキッチンで料理スタッフの動きが手に取るように分かるライブ感一杯である。
まさに、静から動へ。
魅せる魅力を感じさせる。

店内は、以前より広くなりながらも、席数は少なめにすることで、よりゆとり感を感じさせる。

北欧製のテ-ブルとイス使用でシンプル感感じさせる。

接客は女性スタッフの柔らかいム―ドを引き出している。

しかも全体的にある意味、南仏のような気軽な雰囲気が漂う。

料理も現代*近代フレンチの融合の立場を維持しながらも、クラシックに対する配慮や日本の食材に対するフランス的感性で調理する感覚と食べ手の配慮に対するバランス感覚は相変わらずのセンスである。

しかも17品ついて10500円(税込みサ別)はかなりのコスパと見たが。

***前菜の盛り合わせ(4.2)***
アンチョビのスコ―ンと淡路産生雲丹のム―ス*ジャガイモのシュ―とキャビア*バスク産生ハムパン*フォアグラのレ―ズンサンド*パルメザンチ―ズのチュイールとゴールドラッシュの盛り合わせの構成であります。ピエ―ル*ガニエ―ル氏の如く食べる順番はなく、自由自在に食べて欲しいとのことであります。相対的に言えることは過去との対話であり現代との対話であります。簡単に印象を書いてゆきましょう。アンチョビ練りこんだスコ―ンはざっくりしたバタ―とア-モンド風味のスコ―ンの味わいに軽やかなアンチョビの苦味がここちいい余韻となって繋がってゆきます。かみ締めるごとに旨み感じます。淡路産生雲丹のム―スは、滑らかな生クリームと雲丹のうまみ*風味が軽やかに溶け込み、軽妙でありながら印象深い磯の風味たる雲丹の旨みが舌に残ります。ネギの苦味に長い雲丹の余韻。ジャガイモのピュ―レとシュー生地を練りこんだものを素揚げしロシア産ベル―ガを振りかけたものは実に美味たる味わい。かみ締めるごとにキャビアの粒粒感が実にいい鮮度でしかもシュ―生地の油のキレも素晴らしく、シュ―の柔らかいクッションが゛キャビアのうまみを美味く受け止め融合しなんともいえない美味たるあじわい。個人的には前菜の中では一番印象に残った。バスク産生ハムのパンも適度な塩気でその存在感感じさせる。フォアグラのレ―ズンサンドは甘さ控えめのややねっとりしたフォアグラの甘味にレ―ズンの甘味にクッキ―の味わいが重奏的に重なり合い、かみ締めるごとにその旨みが満開に口内で花開く。バルメザンチ―ズのチュイ―ルの酸味にゴ―ルドラッシュの甘味も実に印象的な一品。

***オマ-ル海老のロワイヤル(4.4)***
ミントのバ-ミックスの下にぷりぷりのカナダ産オマ-ル海老に空豆*インゲン*さやえんどうに海老のエキスのつまった茶碗蒸し。青野菜の季節感と旨みに海老の旨みに爽やかなミントの香りと軽やかなバ-ミックスが融合し実に季節感としての美味たる味わい。クラシックに忠実でありながら、現代的に応用利かせしかも日本の春を感じさせる味わい。

***アスパラガスとコキア―ジュ(4.7)***
長野産アスパラガスに香川産骨太のホワイトアスパラガスにあわびにハマグリ*白ミル貝*ホッキ貝。ソ―スはあさりベースのソ―ス。繊維質までわかるホワイトアスパラはかみ締めるほどにジュ―シ―な旨みに溢れコリッとした長野産アスパラガスと見事な二重奏に貝類も実にいい鮮度火入れでそれぞれに磯辺の旨みと大地の旨みが統合し複雑かつ緻密でありながらシンプルな味わいが見事なバランス感覚で昇華していく至福たる味わい。椿姫のなかで歌われるジェロモンのプロバンスの海と陸が聴こえてくるようだ。

***赤ピ―マンのコンソメ(4,8)***
軽くポッシェした蛍烏賊に刻みパプリカ*トマトに赤ピ―マンのコンソメに馴染ませる。あっさりしながらもすっきりした味わい。長いピ―マンの余韻が蛍烏賊の旨みを軽やかに包み込む。

***黄ハダのポワレ 筍と山菜のガレット(4.6)***
見事なキュィソン。みずみずしい魚の味わいに白先海老の軽やかな苦味。下には筍と山菜のガレット。ソ―スはサフランのソ-スとオリ―ブ系ソ―ス。実に軽やかなソ―スが実にうまく主役に馴染む。

***フルーツハープティ(4.5)***
レモンタイム*レモングラス*レモンミント*はっさくなどを混合したもの。柑橘類系の香りにミントの香り。マイルドな酸味感じられる。いい咽喉越し。

***フランス産仔牛の岩塩包み(4.5)***
仔牛は一時間かけてじっくり火入れ。新タマネギのピュレに北アカリのジャガイモ(秋に収穫されたものを藁につつみ大地の中で熟成させたもの)*赤玉葱に淡路産玉葱。ソ―スは、仔牛のジュベ―スの焦しバタ―。仔牛はあっさりした味わいで旨みがみずみずしく凝縮している。玉葱のピュレの酸味と甘味に玉葱の甘くも酸味の感じられるサラダにほっこりする甘味の詰まったジャガイモ。適度な味わいのソ―スが交錯し五感に訴えかけてくる。なんともいえない旨みの混合。

***コンテ エキストラ(4.4)***
写真撮り忘れ。陳謝。癖がない味わいで日本人向き。

***色々な柑橘類とヨ―グルとのパウダ―(4.3)***
ブラットオレンジ*キヨミオレンジ*文旦などの柑橘類系とヨ―グルトの混合。複雑な酸味の強弱と果実の甘味を多角的*広角的に楽しむ。柔らかい酸味の強弱が実に印象的な味わい。

***チョコレ-トのスフレ pint風(4.0)***
チョコレ-トは、バロ―ナ使用。チョコレ-トアイスとチョコスフレ。現代的意義のショ―フロワ。手堅い味わい。柔らかいスフレにしっかりした味わいの滑らかなアイスクリーム。シンプルな美味しさ。

***ミニャルディ―ズ(4.1)***
手抜かりなく実にうまい。とりわけいちごを飴砂糖で包んだものが美味。酸味と甘味のバランスが印象的。

***ドリンク(4.0)***
コ―ヒ―*紅茶(ダ―ジリンセカンドフラッシュかディンブラ)など。ダ―ジリンセカンドフラッシュ選択。マスカットフレ―バ―の芳醇な香りにタンニン少なめのみずみずしい味わい。美しい透明感のある色合いにうっとり。

参考までに主として飲んだのは1949 .ルロワのミュジニー 1940年代の偉大な年のひとつ。バッセンした時から香水のような芳醇な熟成香に包まれる。完熟状態。ティスティングするとシルクの如き舌触りに内に秘めた力強さ。酸もタンニンも果実味もまろやかな重奏的かつ複合的な柔らかく全身を包まれるような味わい。極めて長いデリケ-トで上品な余韻。現代まで生命体として生き残ること自体奇跡に近い。バッカスの神が微笑んだ瞬間である。

新たな夢路は始まったばかり。その夢は未来に向かってどのように進化していくのであろうか。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • かわいらしいロゴ

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2位

トゥールモンド (肥後橋、渡辺橋、中之島 / フレンチ、ビストロ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥2,000~¥2,999

2013/01訪問 2014/05/05

 ひとつの熟成期に入った文句なく大阪で最高に旨い店のひとつ。

文句なく最高に旨い店。10年に1度現れるか゜どうか。神がくれた奇跡を感謝したい。80年代のバンサンク*90年代のベキャスに匹敵する名店。高山氏の作る料理はいつも私の期待を裏切らない。これがフレンチかと思わせる独創性も魅力のひとつ。冬場に食べたトリュフ入りたまねぎの蒸し焼きキャラメ-ルソ―ス たまねぎの皮つきだがその皮すらうまいと感じさせるテク二ック 今回も大正解 まず素材の吟味が゛いい。どの素材もそのピ―クの状態を使う。どれも旨い。しかもこれだけ食べて10000円でお釣りがくる。 大きな岩がキにシャンパンソ―ス 複雑な味わいが一体となって口のなかで軽やかに消えていく。メロンと冬瓜のム―スも驚いた。バスク産サラミに静岡産メロンム―スのしっかりした甘味とあっさりした冬瓜の旨みが渾然一体となって絶妙なバランスで、口のなかでとろける。ラタトュに毛蟹 なんと繊細な毛蟹のおいしさがしっかりと主張してくるではないか。香草のム―スも邪魔にならない。ヌシマの鱧のたまねぎ詰めも好印象 愛知産うなぎのソテ-も火の入れ加減も絶妙で 付け合せの西洋わさびがいいアクセント。メインの鴨は青森産だがこれがル-アン産もびっくりの味。何とも心地よい弾力のある鴨 その鴨のダシでつくったバタ-系のソ―スとの素晴しいマリア-ジュ。至福のとき 時間よ とまれ。チ―ズも程よく熟成していて良かった。デザ-トの白桃のアイスリ―ム自然な旨み*甘味があり滑らかなのど越しとあいまって口のなかでとろけた。文句なく最高の白桃だった。ワインも、特にグラスワインは、コストパの高いものばかり集められており、料理を裏切らない。サ―ビスも丁寧で、料理の説明もできる限り専門用語を使わず、わかりやすい日本語で説明する。これも好印象。 *今年2度目の訪問* 今回も大正解、高山氏。凄い料理の連発で、またまた感動もらった。マダムも、復帰してきぱきサ-ビスしていた。定番のサングリアを飲んで待つと、ファグラのム-スのうえにりんごのム-スと炭酸いりりんごベ-スのジュレ黒胡椒風味がでてきた。付け合せは、食用花。濃厚なフオアグラのム-スは、古典的でしっかりした男性的なスタイル。しかし、くちどけは、甘く柔らかい。りんごのム-スやジュレ酸味と合いいいハ-モ二-奏でる。黒胡椒もいいアクセント。果実とフオアグラをあわせるのは特段新しいことではないが、味のバランス感覚に、シェフのセンスが要求される。フォアグラの甘味を殺さないりんごの酸味が、好印象。ここで、ルロワ69年ムルソ-シャルムがサ-ブされる。程よい果実味と柔らかい酸味が、完成された料理のあじを、殺さず、より複雑な味へと昇華させる。熟成したシャルムのア-モンド香*蜂蜜がいい香りとなり、料理の味を香りで、包み込む。シャルムでよかった。ペリエ-ルなら、すこし酸が強すぎたかもしれない。秋刀魚の料理。生のさんまの皮を、すこしあぶっただけで、ほとんどレアの状態で食べる。これが、また鮮度のいい秋刀魚で、それだけでうまい。トマトのソ-スとセルバチコのソ-ス さんまの下に、クスクスとバスク産のサラミ 付け合せは秋刀魚のキモでつくったム-ス。それぞれに、秋刀魚の味の変化を楽しめた。完成度の高い逸品。日本人シェフならではの、発想ではないとうまれまい。ギネスビ-ルのジュレは、ビ-ルの苦味がいい。フランス産のクリのム-スのデリケ-トで繊細な甘味にあう。丹波産では甘すぎる。大麦のポップコ-ンもいいアクセント。ここでも、シャルムがやってくれました。シャルムの控えめな果実味とクリの風味とよくあう。絶品。 12種類のきのこ*ココット風 は、ふたつきのままサ-ブされ、客の目の前でサ-ブされる。開けた瞬間、キノコの色々な香りがにおい立ち、ひとつのシンフォニ-を奏でた。森の中を散歩する感覚*ベ-ト-ベンの交響曲6番*田園が聴こえる。マエストロは、カルロス*クライバ-だ。私は、ここで、確かに、クライバ゜-の奏でる音を聞いた。ジロ-ル*しいたけ*エリンギ*マッシュル-ムなど12種のきのこに、ぎんなん*リ-ド-ボゥと落花生の刻んだものが混ぜてあり、キノコ類のダシとコンソメのだしだけで、煮込んであるシンプルな料理だが、これも、絶品。10年以上前、ロ-ズル-ムの横田シェフに、今回と似たスタイルで、6種類のきのことベキャスをココット風にして、食したが、あのときの味に、匹敵するあじ。あのときは、ベキャスに合わせて50年のシャト-ペトリュゥスを飲んで、大正解だったが、今回は、ジビエがない分、69年のシャルムでよかった。柔らかい酸味と果実味が、いい相性みせる。松茸のラビオリ*手長えびいりは、なかにあるぷりぷりとした手長えびの食感は、良かったが、松茸の香りが貧弱なのが難点。ソ-スは、さつまいものピュ-レとアメリケ-ヌソ-ス。悪くない組み合わせ。メインの山鳩のロ-ストも良かった。レバ-のム-スを山鳩に縫ってあり、全体柑橘類をベ-スにしたソ-ス。アンデイブ*オレンジの皮*黒キャベツが鳩のしたにある。野生的な味わい。火加減も絶妙で、弾力ある肉質を堪能した。オレンジの酸味も柔らかくいい具合に、旨みを倍加させた。柑橘系類の酸味がシャルムと幸相性 幸せな気分 アンデ-ブも変な苦味もなく、黒キャベツも幸相性。デザ-トは、カルダモンのアイスに、イチジク*チョコレ-トのムース、ア-モンドのチュイル。まとまりのあるおいしいデザ-ト。今夜も生きてて良かった。次回は、どんな感動もらえるか。期待しながら、帰途についた *今年最後 の訪問* 今年最後という訳で、それにふさわしい内容のワイン を飲むことにした。1949 年ルロワのミュジ二-である。マダム*ルロワが事業 に直接 参加 するのは、 1955年 から だが、この年 は、間接 的 に関わっていた 実に 微妙な時期 なのだ。 49年 は、40年代 最後をしめるふさわしい偉大 な年 のひとつ。この年代で、 ルロワ のミュウジニ-  に対抗できるミュウジ二-は、 ド * ヴォギ エ のそれしかない。後は、保管状態如何 。酸化しては、宝の持ち腐れだ。ブュルゴ- ヌ ワイン で、長期 保存 可能なのは、ルロワ その他 一部の生産者のみである。後は、料理とのマリア-ジュがどうかである。高山氏自身かなり緊張すると話しておられた *49年のルロワのミュウジ二-* に対して緊張しない料理人がいるだろうか。さて、抜詮である。60年の月日を経て、生命体として生き抜いてきたか、緊張が走る。抜詮された途端、見事なまでの熟成香が拡がった。ミュウジ二-は、香水の如く香り高いのが特色のひとつで、これがボンヌ*マ-ルと異なるところである。まず香り酔いしれる。これだけで、十分であった。ひとくち飲むと、ビロ-ドの舌触りに、控えめな果実味とそれを支える優しい酸味*タンニンは丸くなり優雅に溶け込んでいる。フルボディ 1分を超える余韻。雑味がないと高山氏。良くわかっている。見事に雑味がなく総てが一体として溶け込んでいる。内に秘めた力強さが感じられる。美しきビ-ナスの造形美として現れる、見事なまでのテロワ-ルの反映。ピ-クの高原状態。保管が良好ならまだもつ。素晴しいの一言につきる。さあ、料理とのマリア-ジュだ。緊張する高山氏に、大丈夫だよ、ルロワが総てを包みこむから、自然体で立ち向かえばいいとアドバイス。一品目は、 *コ-ヒ-カップの底に森バトとフォアグラのム-ス* そのうえに林檎のチャッネ*高山氏が奈良で見つけた和紅茶のエスプ-マ*その葉っぱがかけてある。血の滴るような鳩の風味と濃厚なファァグラがなめらかなム-スとなり、林檎のチャッネとあう。果物とファアグラがあうのは、あたりまえだが、鳩の血の風味を感じさせながら美味くまとめるところが、大切。血の風味がですぎてもだめだし、なくてもだめだ。絶妙なバランス感覚が要求される。まさに絶妙だった。和紅茶のエスプ-マも繊細な日本の美感じられる。濃厚さと繊細が絶妙なバランスをもって両立する。アクセントの和紅茶の葉もいい。逸品。大胆かつ繊細さが、今日のミゥジ二-のスタイルに合う。2品目が、 カクテルグラスに、コンソメのジュレ*車えび*ブロッコり-のム-スにとんぶりとマ-マレ-ド 悪くないがまずまずの組み合わせ。3品目は、 淡路産玉葱のロ-ストトリュフ添え 玉葱の中には、トリュフ煮詰めてペ-スト状にしてキャラメルを混ぜたもの。玉葱は,3時間掛けて焼いたもの。去年出されたものの進化系。去年もらった同じ感動もらった。トリュフの官能的な香りに妖艶なミュウジ二-の香りにあう。玉葱の甘味とワインの果実味が心地いい。4品目 豚べ-スのス-プにかぶら*牡蠣*白菜煮たもの 上に河豚の白子のロ-スト*海老風味のバタ-の塊のせてある。ココット風にして供され、熱いうちに、バタ-を溶かしながら食べる。かぶらの旨みと牡蠣の味わい。とろける河豚の白子。白菜の旨みがもっとあったら、絶品。5品目。 霜降りの的鯛をさっとあぶっもの 上のチュルレは、的鯛のキモでつくったもの。的鯛の下には、トランペットと、パルメザンいりリゾット ソ-スは2つ。鶏ベ-スのあわ立てとイカ墨のソ-ス。これは、絶品。的鯛への絶妙な火入れとチ-ズの風味トランペットもいい食感 チュルレがなんともいえない味わいをだした。ソ-スの相性もいい。6品目 北海道産蝦夷鹿のロ-スト  鹿の上には、黒胡椒 ソ-スは鹿べ-スにした赤ワインソ-ス 皿には、カカオパウダ-付け合せは、フランス産の栗のピュ-レ添え ロゼ色に焼き上げられた蝦夷鹿がいい野生味をだしていた。カカオパウダ-がいい新発見。 デザ-トの冬柿のコンチュ-ルと柿のタルト タルトには、杏のシロップ。柿の旨みを堪能した。ワインと好相性。ルロワと互角に渡り合った印象強い。

2011年に入って明らかにディナ-タイムにおける高山氏の作る料理のスタイルは変化しつつある。ネオクラシックのスタイルから洗練された現代フレンチの要素を巧みに入れたスタイルへの変革である。それはある意味新しい世界の広がりへ。新しい熟成への到達点へと至る道程である。この年から今年に至るまでその過程には紆余曲折あったが、やはり総合的に考慮するとき、その新しい地平線への挑戦に間違っていないと感じる。その芸術がわずか9500円で感じられる感動に感謝するしかない。ある意味、同時代を生きたことを心から感謝するひとりである。とりわけミキュイにこだわり始めた彼は、キュイソンに関しては素晴らしいというしかない。しかも、機械を使用せずに、自分の感性の中で処理するところに天性のセンスのよさを感じる。今回、とりわけ驚いたのは雷鳥のロ-ストである。変化球的面白さを感じた次第である。通常熟成させると見事な熟成香が現れるのだが、彼の場合、それを現代的に解釈しようとする。すなわち熟成させながら熟成香を感じさせない。つまり肉に対する旨味成分だけを凝縮した味わいを提供することで、ジピエの現代的解釈を提供しようととする。雷鳥の胸肉と腿肉と内臓のフォルスをキャベツで巻いているのだが、味わうごとに実に雷鳥のうまみが口の中に洗練された味わいとして口の中に広がりクリア-な味わいとして消えてゆく。実に洗練された味わいだ。サルミソースも現代的に軽く仕上げてあり、古典的ではない。実に軽いが深みのある味わいである。その相関関係が新しい新時代のあり方をしめす。その意味で新しい転換期となった年だと感じたのは私だけだろうか。

2012年、今年もまた、高山チ―ムの快進撃は、止まらない。わずか9500円で得られる感動とは、素晴らしいの一言である。進化し続ける現実は、無限の宇宙からのメッセ―ジであろうか。この日は、長年の友であり、世界的な料理ジャ―ナリストになりつつある彼との,さしでの飲み会。楽しい、なんとも溜まらない時間が過ぎてゆく。今年を締めるのに、相応しい内容となった。どの料理も素晴らしく完成度の高い、しかもコスパの優れた料理ばかりである。しかも、ワインとのマリア―ジュにおいて、見事なまでに、融和する。キュイソンもいつもながら素晴らしくなんともいえない素敵な時間を共有できた。この年を締めるにふさわしい内容だった。

参考までに、1955年のマジ*シャンペルタン ルロワについて。確固たる男性的でありながら、しなやかな力強さも併せ持つ。みごとな熟成香が溜まらない。しっかりしたストラクチャ―。フルボディ。長いシルクの如き余韻がたまらなく、セクシ―の一言。まさに、マリリン*モンロ―的世界感。あるいは、クリムトの退廃的世界感。なぜ、この素晴らしさが、分からないのか。不思議でたまらない。

2013年 初頭。それは、月夜の美しい晩でした。この日、奇跡が起きたのです。私の長年の友人のひとりが、来阪することになり、私としては、出来るだけの誠意もって対応しようと考えました。シニアソムリエ資格保有者であり、長年にわたり某世界ソムリエ協会会長と昵懇の方だけに、それなりのワインで、おもてなししなくては、なりません。そこで、考えたのがまず、料理はここ。それにあわせ、驚かすワインの選定として、1934年 ロマネ コンティでありました。御承知のとおり、この時代、フィラキセラの影響により、ヨ-ロッパの葡萄畑は、壊滅的な被害を受けその免疫性をもつアメリカ産の苗木に順次植えかられていた過度期であります。ただ、ロマネ コンティに関してはそのまま昔ながらの葡萄で育てられました。それゆえ収穫量は、激減してしまいます。その時期に収穫された葡萄で瓶詰めされた奇跡の一本。プレフィレキィセラによるワインを堪能することが、最大限のおもてなしと考えました。しかし、ワインは生命体であり、実際抜栓しなければ、わかりません。開けるまで実に緊張しました。コルクも実のところボロボロの状態で、テ-ステイングするまで、緊張しました。樹皮のような香りに、なめし革の香り。アジアンスパイス。トリュフ 腐葉土 バニラそして後から熟れたプラムのような香り。チェリ― イチゴといった果実系の香りが後から続きます。テ―スティングすると、実に柔らかいシルクのごとき舌触りで、しかも、一切の雑味のない優しい味わいでした。戦後のロマネ コンティとは、明らかに一線を画す味わいでありました。酸味もタンニンもすべてチャ―ミングで凝縮した果実味のなかに溶け込みただ、ひたすら優しい味わいとして、しみじみとほのぼのと飲み手に、訴えかけてくる。繊細でデリケ-トな味わいだけに、その語りかける味わいは、全体を包み込むような実に優しい味わいでありました。長くてチャ―ミングな余韻も印象的であります。あらゆる現象をすべて吸い込み、自然体としてのあるべき姿を呈示する。まさに奇跡の瞬間を体験できたことになんともいえない宵となりました。偉大なワインの語りべとなった一夜でありました。

  • アラン*デュカス氏のメッセージカード
  • (説明なし)
  • 厨房前にある*テ-ブル席

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3位

ラ・ビオグラフィ (烏丸御池、二条城前、丸太町(京都市営) / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.3
    • | CP 4.3
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2013/03訪問 2014/05/14

麗しい時を刻んで゛美しき夢をみる。

美の扉を開いて、その向こう側にある夢の世界を堪能しよう。
ここはあらゆるものを複合的かつ緻密に、組み立て、男性的な造型力を基本としながらもしなやかさと繊細さを織り交ぜて、構築する夢幻の世界である。
ある意味、現代的正統派フレンチに京都的感性を加味して組み立てるスタンスだと思える。
そこには、現代的再構築というべき現代的意義の再確認だとおもえる。
クラシックの伝統を踏まえた現代的フレンチの響きがあるといっても過言ではあるまい。

まず、予約の電話の応対からして適切であり、かつここちいい敬語の使い方が上手い。
しかも、予約の三日前に予約確認の電話があるという丁寧ぶりである。
そこである程度のことは決められる。

ランチコ―スは二種類あり5500円と6850円(税込み*サ別)。
後者選択。

外観は京都の町屋だが、店内に入ると右側にウェティングル―ムがあり漆黒のイスが印象的である。
それからテ―ブル席へ案内される。
明るい雰囲気にしかもゆったりとスペ―スがとられている店内。
壁には渋い水墨画が飾られ全面窓ガラスの先にの庭には人工池がある。
BGMはモ―ッアルトを中心とした軽妙なクラシックの選曲。
個人的には好みである。

まず、お手拭が渡される。
適温で柔らかくここちいい感触。

まず、前菜の前に、お付だし的感覚として自家製サブレが提供される。伝統的技法に基づいて、作られたサブレ。上にはグリエールとパルメザンチ―ズが加味されブラックペッパ―がちょこんと乗っかっている。ひとくちで食べると、さくさくとした食感にバタ―の風味にア―モンド*二種類のチ―ズの二重奏が絡みあいブラックペッパ―のここちいい余韻が長く続く。

ここでアペリティフの注文となるが、その記載はあとで飲んだワインの印象とまとめて記載したい。

***前菜(4.0)***
とにかく種類が豊富であること。極め細かい仕事ぶりにまず感謝。ざっと見た感じ一部ナリサワのスタイルを彷彿させる。食べる順番あるのか聞いたところ好きなように食べてくださいとのこと。そこで、自由奔放にいただいた。このあたりは、奇才ピエ―ル*ガニエール氏と異なるところ。(参考までにガニェ―ル氏の場合、自分が理想とする味わいを体験するよう時計周りに食べるよう設計し体系的に配置される。)スプ―ンに載せられた鮮度のいい大降りの蛍烏賊にア-モンドのバ―ミックスは、弾力ある蛍烏賊の磯の風味ともないながら透明感ある味わいにア-モンドの風味が軽やかに包み込む。美味たる味わい。**イタヤ貝セーヴィチェ**地中海料理のひとつ。色彩感がカラフル。コリッとしたイタヤ貝につぶつぶとした野菜の甘味が包み込む。**アマエビとキャビア**アマエビのややねっとりしながらもぷりぷりした食感と甘味にフランス産キャヒ゛アの小粒だが塩けが、かみ締めるごとに上手く溶け合う。**グリュェ―ルとカカオの煎餅**これはまずまずのあじわい。下には土に見立てたレンズ豆。但し、コレは鑑賞用。**真梶木コルネ**そのコルネの下に白胡麻。白胡麻の風味にヴィネガ―のきいた真梶木が食欲をそそる。**サ―モンココナッツと白身魚のム―スリーヌボンボン**サ―モンにココナッツ振ったものと白身魚にム―スリ―ヌの2本の串刺し。繊細な味わい。クリア―で臭みは一切ない。

***北海道 噴火湾産帆立貝柱のポワレ(4.1)***
まず温かい皿に好印象。帆立貝のポワレにトリュフのバ-ミックス下には、甘藷のロワイヤル。繊細な芳しいトリュフの香りが鼻腔をくすぐる。ナイフをいれ帆立貝を口にいれるとその甘味*旨味がトリュフと重なり合うように広がる。甘藷のロワイヤルもここちいい弾力感でそのうまみと重なりあうように消えてゆく。重層的な旨味に長いトリュフの余韻。好印象。

***ウッフ*ア*ラ*コック*ショ―フロワ(4.0)***
シェフのスペシャリテ。半熟卵にエピスクリーム*シェリ―ビネガー*ホワイトペッパ―*などが混合している。かみ締めるごとに味覚が変化する複雑な味わい。しかも、力強くやや濃厚な味わい。剛直な男性的な力強さを感じる。それぞれのスパイスのハ-モ―ニ―がくっきりしメリハリのある味わい。ほんのり感じる卵の黄身の甘味とコントラストとしての長いスパイシ―な余韻。味覚のグラディションが魅力的。

***香住 ズワイガニ キャビア 蕪 海のミネラル(4.2)***
様々な酸味の強弱でズワイガニの美味さを浮き上がらせようとする。ズワイガニに海葡萄*いくら*海のミネラルのバ-ミックス*ビィネガ―利かせた蕪に青海苔に隠し味にアカシアの蜂蜜。磯の味覚と色々な酸味の強弱により磯辺の風景が浮かんでくるようだ。

***宮津沖 一本釣り アマダイ プレミアムエッセンス2010(4.6)***
アマダイの皮目はカリカリ焼きにしアマダイの身はヴァプ―ル。ソ―スは魚の出汁と貝の出汁が中心。仕上げの段階で塩を微妙に調整するそうだ。付け合せは檸檬のコンフィチュ―ルに食用花。アマダイが唸るほど美味。素材そのものの鮮度がよく理想的なキュイソン。身はハラリとくずれるほど柔らかくジューシー。アマダイの甘味が魅惑的。香ばしいカリ感のある皮も身と程よく絡み美味たる味わい。ソ―スもその存在感を引き立てるほどに存立するほどにミネラルの旨味。檸檬のコンフィチュ―ルは果実の酸味のいいアクセント。
なんともいえない美味たる味わい。

***北海道 夕張 産 霜降り和牛背肉 低温100分グ゛リヤード 黒トリュフ 軽いジュ(4.8)***
和牛背肉の上には、菜の花*肌理の細かい厚みもあるフランス産トリュフ。たまねぎの新芽。それを取り巻くように焼いた玉葱。燻製玉葱のピュ―レ。ジュを上から降りかける。ナイフが入らないほど蕩けるような柔らかくしっとりした背肉の旨味。かみ締めるごとに肉汁が溢れ美味たる味わい。力強いが肌理の細かい繊細なあじわい。そこにコリッとしたトリュフの香味がシルクのように肉の旨味を包み込む。菜の花の苦味が春の季節感感じさせる。トリュフと菜の花を組み合わせて今という季節の変わり目を感じさせる味わい。軽やかなジュがここちいい。しんなりした玉葱の甘味。滑らかなピュ―レもいい相関関係感じさせる。圧巻ともいうべき味わい。

***ノルマンディ―産フロマージュ*ブラン(4.0)***
りんごのふじのうえにフロマージュ*ブランのム―スにミント。爽快なミントの香りにややねっとりしたフロマージュブラン。くせのない優しい味わいのデザ-ト。

***カライブショコラ ショコラブラン カカオウォ―ク(4.5)***
ヴァローナのカライブ使用。カライブでグラサ―ジュされた中にはカカオのム―ス。ショコラフランのアイスにカカオから抽出したカカオのエッセンス。手堅い味わいだが深く印象に残る。甘すぎないチョコレ-トの味わいにカカオの旨味。とりわけカカオのエッセンスは透明感ありカカオの旨味に満ちている。それを飲みながら、カライブショコラを食べるのは、至福のひと時。冷たい皿も好印象。

***お菓子(4.0)***
チョコレ-トケ―キ*ココナッツ*オランジェット*コ―ヒ―マカロン*いちごチョコレ-ト*クッキ―などゴ―ジャスなラインナップ。

***ドリンク(3.7)***
ドリンクは、コ―ヒ―*紅茶(ア―ルグレイのみ)*ハーブティ(日本に輸入されていないフランス産のもの。ただ乾燥ハーブだが、種類豊富。デトリックス効果とか美肌効果とか効用ごとに異なるハープを用意している。)日本茶(煎茶のみ)*エスプレッソから選択。消化系に利くというハ―フ゛ティ選択。透き通る透明感のあるガラスのティ―ポットで提供される。フレッシュ感ないのが残念だが、レモングラス系の香り+ミントですっきりした味わい。

テ―ステイングしたワインはアぺリティフとしてシャンパンロゼ。作り手はモ―リスヴェセル。モンタ―ニュ地区のシャンパンロゼ。バラ*赤いラズベリーの香りにさらっとした舌触りに綺麗な酸味に軽やかな味わい。繊細な余韻。

途中、魚*貝などにあわせてシャサ―ニヌモンラッシェ2010年。色は透き通る透明感。麦わらの香りにミネラル感じられ優しいあじわい。すっきりした果実味にクリアーな酸味。アタックは優しくさらさらした飲み口。

スタイリシュなスタイルが、シェフの創造する世界を生かす味わいとして融合する。

現代と過去をひもとくあらゆる引き出しが存在するという意味で、稀有たる存在。

グロ―バル化する世界のなかで存在するある意味ひとつのありかたとしての京都フレンチのあり方を意識させる。

それは世界から京都へ。京都から世界へ発信する中で存在する現代フレンチのひとつのあるべき姿を啓示する。

麗しき時を刻むそれは、美しき夢の世界でもある。

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4位

La Cime (本町、堺筋本町、淀屋橋 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.8
    • | 雰囲気 4.4
    • | CP 4.9
    • | 酒・ドリンク 4.7 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.4
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.9 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥4,000~¥4,999

2013/07訪問 2013/08/03

再訪 新感性フレンチの美しきヴィ-ナス  伝統と現代の融合 栄光の輝きとして輝いて

進化の芸術。
現代フレンチと近代フレンチとの理想的な融合ないし結晶。
今年2回目の訪問。
前回も見事だったが、今回も凄かった。
進化という言葉は、シェフのためにあるのではないかというぐらいに絶好調のひとことである。
ブラボ-の一言しか思い浮かばない。
簡単に料理の印象綴りましょう。

***6種類のアミュ-ズ ブッシュ(4.8)***

(1)ビーツをさくさくの生地にしてその間にかぼちゃのクリームとラベンダ-の花をアクセントにして挟んだもの。
(2)ビスタチォをまぶしたシュ-生地のなかににバナナのクリーム。
(3)人参のチップを器にして人参のム-スを載せたもの。
(4)フダンソウのラビオリのなかにはオリ-ブと卵。
(5)蕎麦粉のガレット。上には刻んだ賀茂茄子と茗荷。
賀茂茄子は、鮎の内臓であるウルカで風味づけしてある。
(6)ブ-タンノワール。といっても従来のそれではなく、現代的視点から再構築されたもの。

***スイカのジュレ(4.4)***

スイカのジュレに、ナスタチウムの葉。夏らしくあっさりいただきました。

***フォアグラのテリ-ヌ(4.5)***

フォアグラをクリーム状にしたものに玉葱のパウダ-がまぶしてあり、下にはフロマージュブランをクリームにしたもの。奥には、ファアグラとキャラメルを混ぜてアイスにしたもの。ビーツやフランボア-ズ*リュバ-ブのソースをつけていただく。蕩けるようなフォアグラは、実に甘くしかも、その甘さは、玉ねぎのほのかな甘さに共鳴する。異なる甘味の二重奏。酸味利かせたフランポワ-ズ。ビーツ*リュバ-ブ*フロマージュブランを多用したソースで多面的かつ複雑*緻密な万華鏡の如くその魅力を引き出す。まさに、五感を使って味わう味わい。。酸味であったり、苦味であったり甘味であったり、きわめて、緻密な味わいの集大成のごとくフォアグラの甘味と調和する。キャラメルの甘味と、フォアグラの甘味が融合するアイスは、まさに秀逸。両者の甘味が違和感なく融合している。しかも、ほどよい甘さに微かな苦味がここちいい。

***半熟卵の料理(4.9)***

トロトロの半熟卵にカリカリに炙ったカリフラワ-と、ピュ-レ状にしたもの。ピ゜エブル-というフランス産キノコ。燻製した牛乳のバ-ミックスをかけていただく。トロトロの半熟卵の天然の黄身の濃厚な甘味。塩*胡椒一切使用していない。そこにカリフラワ-のコリッとした触感の妙と自然な野菜の甘味。しゃきしゃきした歯ざわりのいいフランス産ピエブルー。口どけのいい牛乳のバ-ミックスが、まるでシルクのごとき滑らかな舌ざわりで全体を包み込む。その旨みが幾層にも重なり合い至福の時間を奏でる。

***ヤガラ(4.6)***

ヤガラをおろして刻んだ豚足とジロ-ルダケと茶豆を巻き込んである。ソ-スはあさり貝の出汁をベ-スにしてジロ-ルのジュを混ぜている。上から、トマトを粉末状にしたものをかけてある。皮は適度なカリ感があり。身そのものは、鱧のごとく弾力ありながら柔らかく滋味深い味わいに、デリケ-トな粉雪のようなトマトの軽妙な酸味。臭みの感じられない優しい味わいの豚足にジロ-ル茸。茶豆のコリッとした食感のアクセントに、あっさりした味わいでありながら旨みに満ちた繊細で豊満なソ-スが、素材の持つうまみに共鳴する。そして、かみ締めるごとに微かに広がる繊細な杏の如き風味。

***スペイン産乳のみ仔豚(4.6)***

ゆっくりキュイソンされた仔豚に、ドライトマト。上にはオ-ストラリア産フレッシュトリュフ散してある。芳醇で力強い官能的な香りが、セクシ-。ソ-スは、そのジュとトリュフ。ほのかに香るミルキ-な肉質は、柔らかくかみ締めるごとに、その旨みに満ちる。そこに軽やかなトマトの酸味に、コリットシタ食感のトリュフの官能的な味わいが絡む。それをやさしくつつむこむようなトリュフのソ-ス。まさに,官能美の世界。

***フランス産仔牛(4.6)***

ロ-ス部分をロ-ル状に巻いて、柔らかく焼いている。付け合せは、仔牛のリ-ドヴォ―。ジャガイモのピュ-レ。とろとろのネギとキクブロッコリ―。ソ-スは仔牛のジュ。フレッシュでジュ―シ―な仔牛の旨みを堪能する世界。リ-ドボ-は、今年、春解禁になったフランス産。まったりした柔らかい肉質が、好印象。

***アバン*デセール(4.6)***

ライチのアイスクリーム

***デザ-ト(4.8)***

フレッシュのパッションフルーツをジュレ状にして、甘く炊いた人参のピュ-レとココナッツのムース*マンゴ―のス-プ。グレープフルーツのチュイ-ル。

***お菓子とドリンク(4.6)***

美しき彩りを与えるお菓子達。それを引き立てるお茶としてハープティ選択。その魅惑的な旋律線は、心の琴線に触れ、そして優美でロマン的な時間を奏でる。


進化する現実。進化する芸術。更なる至高の極みへ。

***2012年10月の訪問記は日記参照してください。***

***再訪2012年1月***
久しぶりにディナ―タイムに訪問しました。
やはり。高田シェフは登り坂にあるシェフのひとりであるにちがいない。
その力量はまだまだこれから開花していくことであろう。
今回その能力の高さを再確認した。
彼の全貌はディナ―タイムにあることは間違いない。

ランチタイムはその一部を垣間見ることできるのだが、ランチタイムは伝統的地方料理の現代的再解釈にある。

ディナ―タイムは彼の今考えているオリジナリティの表現にある。

伝統と革新の中で、シェフの今表現したいことは、エスコフィエ以前の17世紀から18世紀の料理の現代的再解釈*再構築にあるようだ。

以前と異なりディナ―タイムは、アラカルト中心でなく7500円と一万円のお任せコ-スに変更になった。
後者選択。
サ-ビススタッフはわずか二人で客の応対に大変なようだった。
白い手袋をはめてサ―ビスするようになったのも印象的だった。
お酒の分量もワングラスの半量グラス売りも始まり柔軟な対応ができるようになりその範囲が広範囲となった。

さて、今回も素敵な時間を過ごすことができた。
一部デジカメの故障で、写真掲載できなかったことをここでお詫びする。
内容的にはかなりの満足である。
まずアミュ―ズの前にヴァンムス-飲んだが、ここでまずデジカメの故障で撮影できなかったのは残念である。
あっさりしすっきりした味わいだった。

***アミュ―ズ(4.5)***
ひとくちサイズのアミュ―ズが四ッつ。一つ目はほうれん草のピュ―レにレモンライム加えたラビオリ。柔らかい食感のラビオリにほうれん草の旨みにレモンライムの酸味があってすがすがしい美味さ感じる.西洋牛蒡のソテ-はその繊維質がわかるまで絶妙な火入れ。ヒメジの柿をイタリアン生ハムでまき、西洋わさびのピュ―レにフランス産菊芋のバ-ミックス。柿の甘酸っぱいジュゥシ―さにややねっとりしたイタリア産生ハムにさらっと感じるわさびの苦味を菊いものほっくりした甘さ控えめのバ-ミックスがシャンパン泡のような軽やかさで包み込む。実に美味。プくッとふくれたした広島産牡蠣は、軽やかな磯の風味とともに、レ*フォール*ソ―スとの見事の相性にア―モンドのミジンぎりがアーモンドのコクを感じさせ両者のいい組合わせを感じさせる。

***フォアグラとたまねぎのポアレ(4.6)***
細ギリされこりこりした食感のトリュフの官能的な力強い香りにフランス産フォアグラの表面カリカリに焼かれ中身のトロトロ具合もよくその甘さとじっくり丁寧に焼かれたたまねぎの甘味が共鳴しあう。上にふられたほどよい黒ペッパ―がその甘味をひきしめ甘味とトリュフの香りの余韻と黒ペッパ―の軽やかな風味とが複雑な長い余韻伴って心地いい。洗練された味わい。

***たらとにんにくのクロメスキ(4.3)***
鱈とにんにくをぺ―ストとして固めたものを揚げたもの。パン粉をてんぷら粉と同じで、網で細かくフルことできめ細かい粉ができる。それをつけてあげてある。その結果とても軽く緻密な味わいのクロメスキとなる。中身のぺ―ストも滑らかで軽いにんにくの風味に鱈の旨みが実にクロメスキと溶け合う味わい。フレッシュトランペットのジュシ―な旨みが美味く調和する。

***ル―ルブル―のロ-スト(4.8)***
久しぶりに日本で現地の味に近い本物のル―ル―ブル―食べた。まず、品質が素晴らしい。まさに本物の味わい。それを殻ごとオ-プンで焼いている。見事な火入れ。大降りの身はパサつかずプリっとしており濃厚な旨みが凝縮している。食べるごとにバニラのような味わいがしてくる。力強い味わい。これこそ真のルールブル-なり。菜の花と根セロリのピュ―レをつけて食べる。滑らかで季節感感じさせるピュ―レは実にその存在感のあり方をわきまえている。付け合せの菜の花のソテーは、自然の旨みに満ちいい組合わせ。シンプルでありながら複雑な味わい。ディルのさわやかな芳香が、心地よく鼻から抜けていく。

***和歌山産鱸のポアレ(4.7)***
和歌山産鱸。鱸の旬は、俗に一年のうち三度あるといわれる。そのひとつの時期が今である。鮮度もよく火入れもいい。皮はサラマンダ―で焼かれ、カリカリの皮に身は弾力あり脂ののりもよくふっくらジュウシ―で食べるごとにその旨みが増してくる。ビーツの甘いソ-スとフォンドボーにオレンジのジュに鰹節くわえてある。それに、八角のリキュ―ルにパティス。エスニック的であり複雑なソ-スはきわめて複雑な味わい。五感で味わってほしいソ―スである。甘味*酸味*苦味がバランスよく絡み合いソ―スの存在感が、色々な鱸の旨みをひきだす。

***フランス産仔鴨の胸肉(4.7)***
柔らかいいい肉質が美味い。かみ締めるほどに旨みがましてくる。上にはア-ティチョ―クとトリュフの刻んだもの。ソ―スは、仔鴨のジュと生クリーム。まずいいトリュフの香り。ア―テイチョークの酸味と軽やかな黒コショウの風味がソ-スの甘味といい融合みせる。実に美味く仔鴨の旨みを引き出す。

***デザ-ト(4.7)***
一つ目はホットワインにカスタードクリームにメ―プルシロップ絡めた胡桃。香りはシナモンにクロ―ブにハッカにアニスの香り。こりこりした胡桃に甘い蜂蜜の味わいに甘さ控えめのカスタ―ドクリームとよく合う。ホットワインからだが温まる。

二つ目は、クレ―ムブュルレのアイスと柚子のソース。愛媛の伊予かんにヨ―グルトクリームにオレンジのお酒を加えてある。上にはオレンジのチュイ―ル。甘さに酸味の二重奏が、口の中で広がる。アカデミアンナッツのキャラメゼに、クレ―ムブルュレのアイスにゆずのソ―ス。香ばしいナッツの風味に滑らかなタマゴ風味のブュレに柚子の爽やかなソ―スがここちいい。

〆のお菓子は、ロ―ズとフランポワーズのマカロン*ブルベリ―風味のマシュマロ。フロランタン*生姜風味のトリュフチョコ 

最期の〆も抜かりはない。

***再訪2011年2月***
久しぶりに訪問の狙いは、彼が巨星のごとく彼の才能を開花させつつあるのかという点にあった。
ディナ-タイムにおけるそれが、彼の考えるフレンチの全貌が明らかになると、以前から考えていたからである。
ジビエのおいしいシ-ズンにどのような答えを出すのか興味津々であった。
彼が、自分の感性で、どのような料理作るのか、ランチにおけるそれが、彼の限界とは到底考えていなかった。
彼の考えている事のすべてが明らかになったかどうかは、わからないが、実力は相当のものだと理解できた。
関西を代表するシェフになることは、間違いない事実と大いなる確信をいだいた。
今回おまかせで料理作って戴いた。
ジビエのシ-ズンゆえ、ベキャスも料理して戴いた。
結論からすれば、彼の実力は、かなりのものである。
希望に満ちた大いなる可能性が未来の熟成を彷彿させる。
印象に残った料理を記載しよう。

アミュ-ズブッシュのケ-キサレ(4.0)は3種のチ-ズ(コンテ*ブル-チ-ズ*パルメジャン)のハ-モ-二-がレ-ズンといい相性みせ、生地とうまくなじむ。おいしいアミュ―ズだとおもう。

***菊芋とトリュフの料理(4.5)***は菊芋の様々な旨みを様々なアプロ-チでそのうまさを引き出そうとする。
群馬産菊芋にフランス産菊芋のピュ-レ合わせ薄切りにしたさくっとあげた菊芋にあわせて、芳醇なフレッシュトリュフにあわせる。
その香りと、菊芋の多面体の魅力を引き出し融合するさまは見事。
フォンド-ボ―とハシバミのオイルとの相性もよく、菊芋のア-ティ-チョ-クのような味わいをより甘くすっきりした味わいが甘く木のようなナツメグの香りとうまく調和する。

***的鯛のポアレ(4.5)***
素晴らしいキュイソンで、身は、ふっくらジュ-シ-である。バタ-モワゼットの相性もいい。
モリ-ユの香りも香ばしい。付け合わせのオニオンヌ-ボ-にパンジョ-ヌに付け込んだジロ-ルとグリンピ-スのフリッカッセを包んだものは、オニオンの新鮮な苦み酸味に、フリッカッセした野菜の甘みが的鯛の旨みをひきたてる。組み合わせのうまさに感動した。

***青りんごとグラニドスのグラ二テ***(4.0)
サクッとした食感にお酒の香りに酸味のきいた青りんごのハ-モ-二-が素晴らしい。

***ベキャスのロ-スト(5.0)***
120度のオ-プンで30分前後焼いたもの。産地はスコットランド産 熟成期間は、2週間程度だが熟成感よりもフレッシュ感が強い。付け合わせには、パングリエしたものに、アパとフォアグラを混ぜたものをぺ-ストしたものと白人参のピュレと根セロリのピュレ ソ-スは、ベキャスのジュ。
感動する程、素晴らしいベキャスだった。文句なく今年食べたベキャスの最高のひとつ。
ベキャスの繊細な肉質の味わいを極限まで、ひきだして美しくも気品ある女性的なきわめて優美な味わいだった。
洗練された野趣の風味に満ちたぺ-ストとの相性はなんともいえない極上の時間をうみだした。
これほど、気品に満ちたベキャスは、久しぶりである。
ユニッソンやべカスの作る男性的な野性的なそれとは、まさに対極的である。
現代的な美しさに満ちている。
その美しさはまさに現代の奇跡である。
彼のベキャスに対する美意識は、ジビエの女王として美しきビ-ナス像として構築することにある。
まさにそれにふさわしい豊潤な味わいだった。

***デザ-トはモンブラン(4.0)***
秀逸の味わいだった。
マスカポネチ-ズのクリ-ムを下にひき、チョコメレンゲとビスタチオのクッキ-に丹波栗のアイスのうえにカシスクリ-ムのエスプ-マ

賛否両論ある店であるが、それは名店の宿命である。
感動の時間は、感動の宵を生み出した。
それは、永遠のときのように流れていく時間のようにおもえた。


***2010 7月再訪**

ここは、登り坂にある将来有望なシェフのひとり。
間違いなく大阪を代表するシェフになる期待の星だと思う。
1977年生まれ 奄美大島出身の高田シェフは、ム-リスで働いたことで有名である。

今回のランチも感動ものだった。
ただ今の時点では、明らかにディナ-タイムよりもランチタイムの方が、CP高く、現時点では彼の実力充分発揮しているのはランチと考える。
今後は、未知数であるが。
この実力判断する限り、将来有望である。
ただ問題は、その実力が、いつディナ-に発揮するのか。
そのとき、ラ シ-ムの全貌が明らかになる。
きっと巨大な巨象のごとき存在になるにちがない。

ランチタイムは、伝統的地方料理を現代的な視点から最構築する点にある。
そこに、シェフの真骨頂がある。
食べ手として今は、そこをきちんと押えて、おくべきだと思う。
今回も納得する洗練された料理ばかりだった。
9品ついての4800円(税込み)は、内容ギッシリ詰まった食べ応えのアル密度の高い料理と思える。
私なりの感想綴ろう。

***コニャク風味のサバィヨンとフォアグラのト-スト添え(4.5)***
フォアグラのト-ストに、コニャク風味のサバィヨンの生クり-ムをつけて食べる。
コニャク風味のふわふわと柔らかいサバィヨンの甘味が、フォアグラの旨味をひきだすとともに本来のフォアグラの滑らかさ甘味旨味を最大限まで強調させた。
フォアグラの上にある塩気のある胡桃もいいアクセント。
実に美味い料理だった。

***ム-ル貝のムラク-ド(3.5)***
生に近い感触の焼いたスペルト小麦とふっくら蒸らされたム-ル貝に、ムラグ-ド。
ムラグ-ドとは、泡系ソ-スの進化系。
サフランの煮詰めたものとム-ル貝の出汁でとったもの。
バスク地方のとうがらしが、アクセント的に使われている。
サフランとム-ル貝の風味のなじむ軽やかなソ-スは、いいのだが、スぺルト小麦が硬くこの世界になじまない。実際のところ違和感感じた。ただこれが、新食感なのかもしれないが。

***モジェット豆とうさぎのサントンジェ風(3.5)***
これも新食感。蒸したうさぎとモジェット豆とエスカルゴにゼリ-状の煮汁をかけたもの。
その上にはオゼイユの芽。
ソ-スは、パセリのソ-ス。
野うさぎと異なりあっさりした肉質は、柔らかく食べやすい。
軽いパセリのソ-スにモジェット豆*エスカルゴとの組み合せも、実に食べやすい。
ただ、少しぬるっとした食感のゼリ-は、好みの分かれるところ。

***鰻の燻製と酸味の利いたシュ-エとクルトン(4.5)***
桜のチップで蒸されたフランス産の鰻に、新キャベツの葉に、セロリの新芽。 
ネズノミと酸味の利かせたキャベツのソ-スで食べる。
鰻の最も柔らかい部分だけ使用しているので、ハラリト崩れる程柔らかい。
脂ないほどあっさりしている。
コレは、フランス産ゆえ。
桜のチップもいいのりだった。
キャべツも柔らかく、セロリの優しい味のコクも いい相性みせた。
キャベツの酸味利かせたソ-スも鰻といいマリア-ジュ。
実に美味い。
完成度の高い料理のひとつ。

***鴨フィレ肉のロ-スト パイナップルのエキス(4.0)***
鴨は、シャラン産。 
鴨は、低温調理で、皮の部分だけ高温処理する。
中心は、ロゼ色で、皮はカリカリ。
付け合せは、ジロ-ルダケとポテト。
ソ-スは、ジュとパイナップルのエキスのふたつ。
香草はからし菜。
鴨のフィレは弾力のある味わいで、噛めば噛むほど、滋味深い味わい。
ソ-スとの相性もいい。パイナップルエキスの酸味*甘味が、食欲をそそる。
付け合せも悪くない。
アクセントとしてのからし菜もいい組み合わせ。

***グラスに入ったプラムとコニャック(4.0)***
奄美大島のプラムにレモンのジュレ コニャク風味の泡にシュト-レ プラムの甘味に、レモンの酸味 コニャクの風味にサブレのごとき食感のシュト-レ 美味くまとめた一皿。

***トゥルト-フロマ-ジュ レモンとシェ-ブルのアイス(3.5)***
焼いたフロマ-ジュのタルトは、表面黒くなるまで、焼かれるのが、ポイント。
ここも好みが分かれるところ。
レモンとシェ-ブルのアイスは、柔らかい酸味にチ-ズのコクがいいバランスだった。

2010 5月 初訪問


ラ シ-ムとは、山の頂きを意味するフランス語。お客*料理*ダイニングが生み出す三角形の頂点をイメ-ジする。お客にある種の居心地良さを、生み出すことをイメ-ジしている。                                                                        本場ム-リスで、働いた高田シェフのコンセプトは、伝統的フランス地方料理に、スポットを当て、現代的な意味合いによる自分なりの再構築にある。                                                                             

ランチは、月代わりの地方料理のコ-スメニュ-のみ。

5月は、リヨン地方。 4620円(税込み)  

ディナ-は、アラカルトのみ。                                                          

ランチタイムに訪問。

8品ついての4620円は、まずまずのCPの高さ。                                                                          
店内は奥行きがあり広い。開放的な店内。                                                   

照明は、やや明るい。                                                               

BGMは、フランス語の放送が流れる。音量はまずまず。                                                    
テ-ブルのみ。木製のテ-ブル。ナプキンなし                                                                                       
店内の白い木の柱が印象的だった。                                                                                              
奥に、厨房がある。

サ-ビススタッフは、男女二人。36席を、担当するのは、少し大変な気がする。                                                                                                                  

***グラトン リヨネとカリフラワ-のクリ-ムと小海老(4.0)***                                                                                
皿の底に、カリフラワ-のム-スに、オリ-ブオイル そのうえに。薄切りしたかりっとしたカリフラワ-と、かりかりべ-コンのからあげ ぷりっと焼かれた小エビ それらを泡立てカリフラワ-ソ-スで軽く包み込んである。とても柔らかいカリフラワ-の泡の風味 滑らかなカリフラワ-のクリ-ムに、小海老の食感 香味 さくっとした薄切りカリフラワ-のシャ-ブな甘味 アクセントとしてのへ゛-コンの存在を、カリフラワ-の旨味によってすべてを調和的に美味くまとめられているが、少しベ-コンの塩分が強く感じさせる。少し塩分控えめでも十分料理の美味さ伝わるとおもう。                                                             
***リヨン風サラダ(3.5)***                                                                                                    
ポ-チドエッグに、生野菜 ソ-スは、マスタ-ドとシェ-ブルチ-ズの混ぜたものと鶏のダシでとったジュの2種類。卵にナイフを入れると、トロけ出す卵の黄身。ポ-チドエッグはうまい。前者の爽やかな酸味のきかせたソ-スの相性も悪くない。ただバランス的には、後者の鶏のジュのソ-スの塩分が、すこし気にかかる。いいのだが、もう少し控えめ方が、ポ-チドエッグの旨味が引き立つと思う。前者のソースはまずまずの美味。野菜の鮮度もいい。                                                                            
***鶏肝のガト-仕立て(4.0)***                                                                                                
トマトのジュレに鶏肝のム-ス そのうえに、刻みアスパラ トマト 冷製海老を泡立て軽いトマトのソ-スで包み込む。点々はエストラゴン ジュレ ム-スともにいいでき。エストラゴンの香りも芳醇。柔らかい酸味のジュレに滑らかなム-ス 上質の鶏肝のコクも上品に感じられ滑らかで後口あとずされしないが、少し重い印象残る。具材のアスパラ 海老 トマトもほどよい硬さとともに、鮮度のいい旨味でソ-スといいマリア-ジュ。                                

***お魚のクネル ソ-スナンチャ***(4.0)***                                                                                        
クネルとは、団子の意味。素材は帆立貝をべ-スにミンチにして団子。ゆでてから、焼いている。ふっくらしており、中身は緻密だが、あっさりした帆立の甘味。軽い味わい。ソ-スはナンチャ。 甲殻類の殻をへ゛-スにしたもの。 特有のコクが感じられる。そのコクが、繊細なクネルの美味さをひきたててなかなかの美味。付け合せのほうれん草のバタ-焼きも、クネルのコクを増した。                                                             
***鶏のワインヴィネガ-風味(4.5)***                                                                                             
高品質の鶏を低温調理 ヘルシ-で淡白な味わい。繊細で弾力のある鶏の旨味を美味く引き出していた。肉質は、綿密だが、柔らかい。ソ-スは、柔らかい酸味のワインビィネガ-。肉質と好相性。付け合せもいい。焼いたジャガイモのなかに、キャラメゼした玉ねぎに、ドライトマト 薄切りネギ ジャガイモのほくほくした甘味に、とろけるような甘味の凝縮した玉ねぎ。ドライトマトの存在感が、つけあわせの素材としての存在感を高める。ネギのみずみずしい苦味と酸味が食欲をそそる。鶏の旨味ともあい、なんとも美味。素朴でありながら。料理の完成度はたかい。                                                                   
***ピンクのプラリネとフランポワ-ズ(3.5)*** 

グラスの底にフランポワ-ズのス-プに、その上にチョコレートに ア-モンドの泡立てソ-ス 軽いアーモンド香るソ-スに、かりっとしたチョコ フランポワ-ズの果実味の感じられる酸味。うまくまとめられているが、フランポワ-ズの果実味にもう少しの凝縮感があると、デザートの味が、引き締まると感じた。                                                                              
***ブ-ニョとアプリコットとヨ-グルトのム-ス(4.0)***                          

ブ-ニョとは、揚げ菓子のこと。さくっと揚げられたブ-ニョは粉と牛乳の風味が心地いい感触。付け合せは、ヨ-グルトのム-スの上にデュりのゼり- 香草はデュり。ソ-スは甘さ控えめなアンズののソ-ス まず、ほのかに香るデュりの香りが、すがすがしい。柔らかい酸味でほどよい硬さのヨ-グルトム-スとデュリのゼリ-が、さっぱりした味わいを残す。甘すぎず、しっかりした果実の甘味の感じられるソ-スは、ほどよく、フ゛-ニョ ヨ-グルム-スと一体となっていい調和*融合うみだした。                                                                                                              

クラシックをベ-スにしながら、新しい感性によるフレンチを創造していく新感覚フレンチの方向性を強く感じた。

  • 看板
  • 外観
  • 内部から外を見たところ

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5位

レストランディファランス (本町、肥後橋、阿波座 / フレンチ、イノベーティブ)

1回

  • 夜の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.3
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 昼の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.3
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥5,000~¥5,999

2013/10訪問 2013/10/27

奇跡の銘店

***再訪***

ディナ-タイムに訪問。

やはり、夜も素敵だった。

シェフなりのセンスで自由に独創的に料理を作る才能にたけている。

すなわち 料理人には、二つの才能が必要だとおもいます。

皿の上で独自的かつ創造的芸術を自己でプロデュ-スするという芸術的才能とそれを現実化できる職人的技量的才能。

そのバランス感覚において、シェフは、卓越した才能をお持ちのようです。

ジピエのおいしいシ-ズンに、シェフは見事な回答を提示してくれました。

今回、ワインラバ-達と訪問。

深けゆく秋の宵にジピエとワインを堪能するのが、目的でありました。

ワインは、すべて私のコレクションからの持ち込みであります。

シ-ズン的に雷鳥の季節ということでメインは、スコットランド産の雷鳥。

本来的なマリア-ジュのスタイルとしては、ロ-ヌがいい相性と一般論的に考えますが、シェフの持つノ-ブルな感受性に基づくノ-ブルなアプローチからして、古酒として、偉大なワインたる1945年 ヴォギエ ミュジニーを中心にあわせてみました。

その結果 見事な官能的なひと時となりました。

また、それぞれのワインと料理とのマリア-ジュにおいて、馥郁たる豊醇ともいうべき最高の時間を共有できたことをとても、嬉しく感動的な一夜となりました。

簡単に、料理の印象綴りましょう。

***アミュ-ズ(4.0)***

かぼちゃのポタ-ジュのなかにマディラでソテーしたフランス産仔牛のリ-ドボーの組み合せ。三つの異なる甘味の饗宴。かぼちゃの甘味に、軽やかな酸味と甘味のマディラに愛を語るごとくやさしく蕩けるリ-ドボーの甘味。滑らかな舌ざわりのポタ-ジュのうまみにそれぞれの甘味の3重奏が、魅惑的なアンサンブルを聞かせる。まるで,モ-ッアルトの3重奏のごとき、優雅なときめき。

***日本鹿の前菜(4.3)***

三種類の日本鹿の前菜がでてきました。それぞれに、簡単に記載しましょう。

まず一皿目は、鳥取産日本鹿の腿肉をロ-ストしたものに、北海道産 雲丹。コンソメジュレ。薄くスライスしたコンテ チ-ズをあわせていただきます。ねっとりしながらも、あっさりした柔らかい赤身の旨み感じる絶妙な食感の日本鹿の腿肉の滋味たる旨みに、海のときめき感じる雲丹の甘み*磯の風味。そこに、たおやかなコンソメのジュレが、静寂の中での行進のごとく進む。そして、彩りを感じさせるアクセントとしての、コンテの味わいが、違和感なく溶け込み共鳴し渾然一体として融合する。シンプルな組合わせの構図だが、熟慮された組み合せの妙。

二皿目。日本鹿の自家製生ハムに、ム-ル はまぐり 牡蠣の貝類 枝豆と酒粕のエスプ-マ。コクの感じられるしっとりした自家製生ハムに、甘みに満ちた赤子のほっぺみたいに柔らかいノ-ブルな味わいのム-ル貝*磯の風味満載の牡蠣*たよやかな甘み感じるはまぐり。鮮度抜群の丹波篠山の黒豆の枝豆。それらを包み込むきめ細かい酒粕のエスプ-マ。鮮度*計算された旨みが、満月のごとく、満ち溢れる。

三皿目。鹿腿肉のミンチを愛媛産の栗と練りこんだパイ。臭みのない程いい熟成感感じる鹿ミンチの味わいに、繊細な栗の甘み、さくっとしたパイ生地の食感の心地よさに印象的なピュ-レ。天然のもつ自然の滋味たる旨みが、内から内からと溢れてくるようだ。

***フォアグラの料理(4.6)***

フランス産鴨のフォアグラをゆっくり丁寧に時間をかけて、牛乳で煮たのち裏ごしし冷やし固めたのち常温の状態にしたもの。その上にカシュナッツを粉状にしたものをちらしてあります。バニラで香りをつけた柿のテリ-ヌ。ソ-スは丁寧に煮詰めたバルサミコソ-ス。舌の上で蕩ける見事な口どけのフォアグラの洗練された円やかな甘味の優しさに、季節を感じる柿のうまみの味覚と食感の妙。凝縮したバルサミコソ-スが、違和感なくその世界に、優しいビロードの如く深く長い吐息のごとく馴染む。美味たる味わい。人気絶頂のヨハネス カフスマンのごとく素敵な時間の感動を呼び起こす。

***馬面萩(4.7)***

丁寧に火入れされた馬面萩は、皮の表面は理想的な優しいカリ感で、中心部に向かって絶妙なしっとりした火入れ。鱈の白子+マッシュル-ムと秋トリュフのスライス。万願寺唐辛子 キノコのソ-スとの組合わせ。トリュフの繊細な香りに包まれて、登場する馬面萩の旨み。マッシュル-ムの食感の妙。ココチイイ辛味の万願寺唐辛子 蕩ける鱈の白子 キノコのソ-スが、深けゆく秋色の世界に染めていく。

***雷鳥のロ-スト(4.7)***

雷鳥の胸肉を丁寧に火入れしたもの。ブラックペッパ-効かせた林檎。雷鳥の腿肉をを安納芋のぺ-ストで包んだもの。銀杏 むかご。ソ-スは、雷鳥のキモを使ったソ-ス。従来型の古典的なサルミソースよりも、むしろ軽妙な味わいに仕上げてある。シ-ダ-の香りの強い雷鳥は、肌理の細かい繊細な肉質の味わいを的確に感じさせる木の実*亜鉛*鉄分感じさせる野趣の味わい。軽やかなソ-スは、その旨みを極みにまで昇華させる。黒胡椒利かせた緻密な甘味の林檎。安納芋の濃厚な甘味に潜む筋肉質な腿肉の旨み。アクセントとしての銀杏*むかご。

***スティルトン(4.0)***

青かびチ-ズのアイスに洋ナシのコンポ-トとナッツ 上から パウンドケーキを凍らして削ったもの。 これは、実際好みが分かれると思う。青かびチ-ズ特有の癖のある味わいが、好む人。そうでない人。フランス的には、納得できる味わい。滑らかな舌ざわりのアイスクリームに、ナッティ 程よい洗練された甘味と酸味の洋ナシ 口の中で広がる軽やかなパウンドケ-キの食感の妙

***トリュフチョコ(4.2)***

チョコレ-トと秋トリュフを混合しまぶしたアイスクリーム。チョコレ-トパウダー チョコメレンゲ カシスのジュレ。かみ締めるごとにチョコレ-トフレーバーと官能的なトリュフフレ-バ-の二重奏が濃密に広がる。果実の甘味が魅力的なジュレと重なり合うとき濃厚*濃密な時間のときめき 知的なアプロ-チによるワルツのごとき遊戯な味覚のエクスタシー。

***お菓子(4.2)***

前回 同様 安定したおいしさ。


夢は始まったばかり。その夢は無限にひろがる遙かなる先の夢の世界からの希望なのだろうか。

***初訪問***

信じがたい奇跡が再び起こるとは、誰が予想したであろう。
恐るべき運命に出会って唖然とするばかりであります。
実際のところ、最初、今回の訪問はあまり期待していなかったのは厳然たる事実。
しかしながら、料理を食べ進むうちに、いい意味で期待を大きく裏切られた。
信じがたいことであるが、それは真実でありまぎれもない現実であります。そのうち、そのときめきは、歓喜となり感動の嵐となりました。
そして、それは間違いなき確信へと変化しました。

昨年 、グランシャンを見つけた以上の喜びに、実際 震えた私であります。
間違いなく今年のベストレストランのひとつといっても過言ではない。
それは、グランシャンの長所とpointのいいところを足して二で割った希有の存在であります。
それが、わずか 4725円でいただけるとは、至福の至りて゛あります。
今年出会った調理人の中で間違いなくベスト キュイソンのひとりである。
今まで、実際、コレを上回るキュイソニストにであったことがない。
これをコンベクション使わずして仕上げる能力の高さに何度感涙したことか。
実際 驚いた。
シェフはホテル日航大阪 レ セリブリテで、弱冠29才でス―シェフとなった藤本 義章氏。
在職中に様々なフランス料理コンク―ルに入賞した経歴を持つ。

これが、またダルビシュ並みのいい男なのであります。
俗に言うイケメンシェフであります。

場所はうつぼ公園のすぐ近く。蕎麦の名店蕎麦切りmasaの隣という好位置にある三階建ての一軒屋。
長方形の店内は、手前にテ-ブル席があり、奥に厨房という陣容であります。
調理スタッフふたりにサービススタッフふたりの陣構え。
店内はク―ルなジャズながれ、シンプルだが、お洒落な異空間であります。
ランチは基本フルコ―スの4725円のランチのみ。
ただその内容は客の要望により柔軟に対応するそうだ。
前菜 魚 肉など含めて9品ついて4725円はかなり内容が濃い。
高級食材を惜しみなく使いみごとな、キュイソンで仕上げるそれは、驚愕の逸材というべきであろう。

とりあえず、料理の印象綴りましょうか。

***フロマージュブランと桃(4.6)***
カクテル仕立てで、底には甘さ控えめのフロマージュブランにプリプリッとした天然の甘味に満ちたあまえびに桃のソ-ス。エストラゴン。香草のジュレ。エストラゴンの風味が印象的だが、実に軽やかにまとめてある。

***鯖とセロリ(4.3)***
生の鯖にセロリ。底にはトマトのジュレ 日本酒のカキ氷。ざっくりだが、きめの細かい日本酒風味のかき氷に、トマトの甘酸っぱいジュレ。ややアクセント的に強いセロリの香味に、筋肉質な鯖が、クリア―な味わいで纏めてある。バランス感覚として素晴らしいアレンジというべきだ。

***帆立と夏野菜(4.5)***
見事なキュイソンの帆立にまず、感動。外側は軽く炙り、中心部に向かって微妙なレア感の仕上げ。かみ締めるごとに旨み*甘味に満ちる。コリッと食べ応えのある香ばしいバイガイ。ルッコラ パプリカ オクラ プチベ―ル カニフラワ― コウシン大根 ズッキ―ニ ブロコッリー カニフラワーなどの夏野菜が絡む。貝の出汁がみごとにそれぞれの存在感をきわだてる。見事なできばえ。

***玉蜀黍とフォアグラ(4.8)***
まず、フォアグラの鮮度がよく、しかもみごとな最高のキュイソン。外側は、程よいカリ感で中心部に向かって実に微妙な火入れの妙。柔らかいレアの食感。程よい甘さが、印象的であります。バルサミコソ―スと黒コショウ。それが、フォアグラの旨みを更に引き出します。甘くスパイシ―な魅惑。また、ミルクのエスプ―マに薄切りのア-モンドが、軽やかさと香ばしさ感じさせる。しかも、絶品の長野産のとうもろこしのポタ―ジュが、実に美味い。それをつけてフォアグラ食べるとまさに至福たる天国の味わい。

***赤ハタと茄子(4.3)***
ゆっくり低温で調理し最後は、高温処理した赤ハタ。それに、茄子とそのソ―ス。茄子のうまみあるものの、最高ではないが、良質。それと、赤ハタにたいするアブロ―チが、さすがで、見事。程よい表面のカリ感と、ジュシ―な内側の身がたまらなく美味。その対比 その旨みをうまく引き出し、やや濃厚な茄子のソ-スにつけて食べる。美味たる味わい。

***ニュジ―ランドの仔牛と豆類(4.8)***
仔牛をゆっくり低温て゛調理し、見事なまでの色合いに仕上げる。これが、コンベクション使用せず、焼き上げるというから驚いた。精密機械の如く精密でありながら、人間的な温もりも感じられる。完璧な火入れの妙技。 肌理細かい肉質の処理はもはや芸術なみというべき領域の世界。仔牛のうまみを極限にまでひきだす。甦生する仔牛の幻影をみた。そこに、様々な泡やソースで彩りをつける。枝豆のピュ―レや麦芽のエスプ―マ。ソースは仔牛のジュ。付け合せ いんげん えんどう豆 サヤインゲン などの彩る野菜たち。軽やかなクレッソンの苦味。 最高のできばえ。

***葡萄とライム(4.6)***
信州産の巨峰使用し葡萄のコンポ―トとアイス、ライムのクリーム 葡萄のエスプ―マ クッキ―。まず葡萄の香りが素晴らしく食欲をそそる。そこに、緻密な食材の組合わせが、見事というべき時間の至福を生み出す。

***お菓子(4.3)***
カヌレ+お茶のメレンゲ菓子というよりガレット(アクセントにアン 秀逸の味わい)+フランポワ―ズのゼリ―

***ドリンク(4.5)*** 
コ―ヒ―*エスプレッソ*紅茶の選択。コ―ヒ―は、高槻の自家焙煎 マウンテンのフレンチブレンド使用。コ―ヒ―選択。濃厚て゛しっかりした味わい。樹皮の香りが魅惑的。

新しい時間が新しいときめきを感じさせる。それは、至福の時間である。

  • 玄関マット
  • 外観
  • (説明なし)

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6位

ライラ (赤坂、青山一丁目、乃木坂 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.9
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2013/09訪問 2013/09/25

明確な構図 精妙なる調和 若き感性のアンソロジー

ライラとは、詩的に実験するという造語。
つまり、料理を科学的視点をもってアプロ-チするが、人間的な感性ないし視点も忘れないということを意味する。
オ-プンして、わずか四ヶ月であるが、予約至難になるのは、時間の問題だと考えるほど、インパクトの強い印象に残る料理を提供している。
新しきスタ-誕生といってもいいすぎではあるまい。
それほど、料理の完成度は極めて高い。
シェフのスタンスは、俗にいうコンテンポラリ-フレンチなのであるが、純粋に、その立場を支持するというより、むしろ、モダンクラシックとしての価値を含有し重視している。
とりわけ、クラシックとしてのルネッサンス的な人間的な感受性を重要視している点で、料理そのものの幅を広げ、奥行のある料理を提供しているようだ。
今回、初訪問。
地下鉄乃木坂の駅から、10分程度でしょうか。
隠れ家的な場所にひっそりとこのレストランは佇む。

店内はテ-ブル席のみで、薄暗い照明であるが、落ち着く雰囲気であります。
コンクリ-トむき出しの天上と、木目調に包まれた店内のアンバランス感のくみあわせが、斬新といえば、そのとおりであり新しい感覚を呼び起こすものであります。
シェフひとりに、ソムリエでもあるマダムを加えたサ-ビススタッフふたりの体制.
接客はサ-ビス料とらないが、下手なグランメゾンを上回る内容であります。
ただ、若さゆえか、細部にわたってすこし甘さがめだつ。
あるいは、狭い厨房で,フロワ-に隣接しているせいか、料理の作る音が、いやに気になる。
その関連でいえば、厨房のなかのスタッフの話し声が、まる聴こえである。
それゆえ、裏方の真実の声がわかってしまうという雰囲気はやや難であろうか。
その点、雰囲気を重視する方にはやや難色でしょう。
ただ、それを上回ってあまりある料理内容であるのは事実。
土日曜祝日だけランチがあるが、その他の曜日は、ディナ-しかない。
料理は、お任せのコ―スのみ。
11品ついて、税*サ込みの7800円は内容からみてかなりリ-ズナブル。
ワインリスト眺めたが、良心的価格で、好印象。
とりあえず、グラスシャンパンでしょう。
白い花の香り*ナッツ*洋ナシの芳香。黄金色の色合いに、綺麗な泡立ち。
スマ-トな果実味に、やさしい酸味。
洗練された味わいにややドライなフィ二シュ。
なかなかいいシャンパンだ。
コ―スの幕開けとして、あるいは、食中酒としての活用も有効性がある使いやすいシャンパンのようだ。
セパ-ジュは、シャルドネ70% ピノノワ-ル30%程度。
それにあわせて、ビスキュイ シャンパンが提供された。
少しのカリ感と、軽やかな味わいが、シャンパンに優雅に馴染む。
パティスリー ルシェルシェのと比較すると、こちらのほうが、優美な感じであります。

***よもぎとかぼちゃと枝豆(3.8)***

よもぎを練りこんだガレットに、かぼちゃのムースにえだまめ散したもの。かりっとした食感のガレットによもぎの風味。なめらかなかぼちゃのム-スに、軽やかな枝豆の味わい。まるて゛、モ-ッアルトの3重奏曲を聴いているような軽やかな味わい。

***卵(3.7)***

ウフ 三層のム-スをイメ-ジ。卵黄 玉葱のコンフィ シェリビネガーを加えた卵白のシャンティ メ-プルを利かせている。 その上には焦がした玉葱のパウダ-。 アラン パッサ-ル系のシェフ達ラ・ビオグラフィレーヌ デ プレのスペシャリテによく似ている。それらから比べると、複雑に素材を組合わせ多面的魅力という点では、やや見劣る。より、シンプルな味覚の構成である。インパクトにかけるもののアミュ-ズとしての位置づけとして,思慮するとき、納得するものがある。やさしい味わいでまとめてある。

***コ-トドール(4.5)***

大分(シェフの出身地)のみかん畑をイメ-ジした黄金の丘(コ-ト ドール)。カボスのジュでマリネした大分県産の鯖を藁で燻製にし剥がした後、金粉を散してある。みかんの果肉。エメンタ-ルチ-ズのクランブルと、ミモレットのチ-ズスライス。ゴ-ルデンビーツとヨ-グルトをあわせたソ-スをつけて食べる.クリア-な味わいの鯖は、癖がなく、軽やかなカボスの風味。繊細でデリケ-トなみかんの果肉のたおやかな甘味と酸味。甘く酸味の利いた濃厚なソ-スに、チ-ズの二重奏の旨みが、味覚の彩りを加える。

***大地の皿(4.1)***

根菜のソテ-。香草タイムと玉葱のバ-ミックスのソ-ス。焼き人参。軽くいためた人参の葉。土をイメ-ジしたごぼうと麦芽のクランブル。マダムの実家である山形産の野菜を使用している。

***海の一皿(3.7)*** 

マツタケのアンクル。北海道天然帆立とマツタケをパン生地で貝に包んでむしあげる。シンプルなあじわい。帆立の貝を開けると松茸の香りを嗅ぐという嗜好。ただ、やや松茸の香りは稀薄な感じがしました。季節的にみると、これからよくなる感じがする。おおぶりな帆立は食べ応えのある味わい。弾力もあり甘味がそそる官能的な味わい。

***小笠原で一本釣りした天然赤むつ(4.4)***

ソ-スは、シャピニオンソ-ス。付け合せはフランス産ジロ-ルダケとシャンピニンをソテーしたもの。山ほうれん草の新芽。しっとり繊細でやさしい火入れ。女性的であります。魚の皮目は、焼きすぎず程よいカリ感で、肉質は、ほっくらした綺麗で、うっとりするほど、やさしい火入れ。シャピニオンソ-スの軽やかなあまみと共鳴する。秀逸な火入れではあります。ただ、個人的には、ラ・ビオグラフィユニッソン デ クール レストランディファランスの方が好みかな。付け合せのシャピニオンやジロ-ルも、ジュ―シ-でデリケ-トな味わいで、メインの味わいに寄り添う。

***沖縄 アグ-豚(4.5)***

アグ-豚は4週間熟成させたもの。福岡のノワ-ルドカノンのイチジク フランス産白人参のピュ-レ ソースはそのお肉のジュ。蕩けるようなアグ-豚の旨み。洗練されたクリア-でありながらも繊細で、程よい熟成感が、端麗な女性的な美しさを感じさせる。まさに、ルノワ-ルの描く女性像に近い美しさ。軽妙な味わいのジュ。そして、なんとも、心揺さぶるイチジクのうまみ。たおやかに聳え立つイチジクの凛とした旨みになんもいえないおいしさを感じた。それは、まるで、エレ-ナ モシェクの演じるジルダの如き美しさである。

***フランス ラント産 ピジョン(4.5)***

サルミソース。キュイスのコンフィ。トレビス*ブラックベリ-*ラズベリーの組合わせ。ねっとりした舌ざわりのピジョンは、柔らかくかみ締めるほどに旨みにみちる。鉄分のうまみが十分に感じられる。洗練されたサルミのソースが、スタイリシュな味わいとして、絡む。キュイスのコンフィも都会的な味わいの処理。地方的ではない。都会として、成立つ洗練された美意識の結晶。

***アバン デセール(4.5)***

山形産の黄金桃とア-モンドのチュイールとイチゴのアイスの組合わせ。なんといっても桃が美味。岡山のそれに匹敵する。その天然の糖度の感じられる旨みにア-モンド風味のさくっとしたチュイ-ルに、イチゴのアイスのあまづっぱさが絡む。

***チョコレ-トケーキ(4.2)***

伝統的なスタイル。ショコラとアプリコットあわせたチョコケ-キにキャラメルのアイス。アプリコットのうまみに軽やかな苦味のチョコにここちいいクッシュン。キャラメルのアイスの滑らかなあじわい。

グランメゾンとしての雰囲気求めるなら、ここは、不向きであります。
むしろ、プチメゾンのイメ-ジに近い。
コスパに優れたお店でありながらも、料理の完成度はかなり高い。

シェフのもつ潜在能力をこの価格帯で惜しみなく味わえる幸せは、なんともいうない感動の時間を生み出す。

それは、あえていえば、モ-ッアルトとルノワールが導き出す至福のひと時といっても過言ではない。

美しき俊英。

ここには、ダニエル ハーディングが紡ぎだすフアルスタッフの如きウィットに富んだ新しき現代的な美しき響きがこだまする。

新しき時間の光彩である。

  • (説明なし)
  • テ-ブルセッテング
  • 店内

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7位

モトイ (京都市役所前、烏丸御池、丸太町(京都市営) / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.4
    • | 雰囲気 4.6
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2013/07訪問 2013/07/30

風たちぬ 美しき貴婦人への憧憬

時が語らうその時は、まるで美しき貴婦人の如き麗しくも凛々しい美しさに満ち溢れそしてその美しさにただ崇拝する永遠のときめきを感じます。
ここには、美しき現代的で聡明な女性像の如く複雑で多面的でありながら、しなやかなで繊細な謎めいた美女のような微笑で語りかける。
その微笑は、大いなる希望と未知なる期待*願望が美しき憧憬となって溶け込み稀少なる時間の中にヴェ―ヌのように溶け込んでいる。
それは、まるで、今はなきグスタフ レオンハルトが奏でる神韻たるチェンバロの世界に共通している世界感であります。
その生み出す神秘的世界をただ堪能するのみでありました。

京阪三條駅から歩いて15分程度でしょうか。
落ち着いた京都市内の一角に、古民家を再開発し佇む日本屋敷の中にその美しき貴婦人は、存在していました。
お出迎えから、サ-ビス 料理 雰囲気にいたるまで、すべて細やかな女性的視点ないし配慮から再構成されている印象もちます。
実際、ここには、静謐の美学たる時間*空間*雰囲気がありました。
シェフは、hajime出身のシェフ。
そのスタンスは、京都的感性の中で、ヌ-ベルシノワを現代フレンチを通して再構築ないし再創造する部分と、京都的要素をhajimeのスタイルを踏襲しつつ自己のスタイルとしてフレンチの中で昇華し、それらが、古都たる京都的美意識の中で、複合的かつ緻密に結びつきあい美しき夢の結晶のような時間を提供しているようです。
あるいは、この古都の中で、移りゆく季節が奏でる色彩や音色を自分の感性の中で、昇華し中華料理の技法やフランス料理の技法を使い分けフランス料理という形態を通して、自分が感じた感性を具現化するところにあるといえるかもしれない。

なお、motoiとはシェフの名前から取られたものであります。
いうまでも、ないことでありますが、ミシュラン一つ星のお店であります。

ランチタイムは、7500円(消費税込み*サ-ビス料10パ―セントは別)のお任せコ―スのみ。
何が提供されるかは当日のお楽しみであります。
スタッフは女性ふたりに男性ふたりの体制。
どんなシチエ―シェンも対応できる柔軟な応対でありながらも、きめのこまかい接客。
しかも、あくまでも、自分達が黒子的存在であることを常に自覚している。
接客に難ありとのレビュ―あったが、私の訪問時には、問題ありしのようには、些細にもおもわなかった。
料理の提供は、hajimeと同じで、白い手袋はめての提供となります。
まず、お手拭提供されるのだが、、適切な温度でしかも、柔らかい感触がここちいい。しかも、ロキシタンの香りが、とても落ち着く効果を生み出している。好印象。好感度。

さて、料理である。
10品ついて 7500円はなかなかのコスパ。席につくと、まずおつまみを提供されドリンクの選択となります。
ドリンクは、見ていただくとわかるが、hajimeと同じで、かなりリ―ズナブル。
その中で、フィリプ ゴネのグラス シャンパン選択。
繊細で綺麗な泡立ちにまず、うっとり。
透明感のある色合いで、すっきりしたクリア―な味わい。力強さよりも、繊細さがとても印象的だった。
結論的に言えば、このスタンスは料理とのマリア―ジュという視点からすると、料理の存在感を支えるという意味では、かなりの存在だと思える。
そんなシャンパン飲みながら、おつまみ提供されました。
コレが、かなりの美味。へ―ゼルナッツを丁寧にキャラメゼして、マドラスで香りづけています。
香ばしいア-モンド香に*ナツメヤシ*カレ―の香味*蜂蜜のニュアンス*バニラ。コリットした食感にかみ締めるごとに、その旨み 香味が広がり、長いデリケ-トな余韻。シンプルでありながら食欲をそそる味わいが、これから始まる料理への期待が、無限に広がるというへ゛き味わい。

***すっぽんのム―ス 水茄子のマリネ(4.4)***
スッポンのエキスのエスプ―マに大阪泉州の水茄子*秋田県のジュンサイ*水茄子のクリーム*上には、食用花ボリジ-。ざっくり、スプ―ンをいれると、中には水茄子が、ゴロゴロ。その旨みに、ジュンサイ スッポンのエキスのエスプ―マのうまみが、幾層にも重なりあって複合的かつ複雑に絡みつつも、泉州水茄子のうまみをうまく引き立てる。素材本来のうまみ引き立てるため、香辛料は極めて控えめであるが、それ以上に組合わせ的な素材の足し算的旨みが、強調される。実にクリア―な美味たる味わい。

***フォアグラにエゴマとキノワ 山桜桃梅の酸味と甘味を合わせて(4.5)***
48℃ぐらいの低温調理で、フランス産鴨のフォアグラをゆっくり火入れ。その下にのはエゴマのオイルとそのすったものとオリンピアの穀物キノワ。クランブルしたもの。ソ―スは、山桜桃梅をコンフィチュ―ルしたもの。hajimeのスタイルよりもスタイリシュないし、より現代的な味わいのフォアグラ。ややねっとりした味わいでありながらも、クリア―でありスタイリシュな味わい。そこに。軽やかな山桜桃梅の酸味にほのかな甘味のソ―スが絡む。コリッした食感のキノワやエゴマはいいアクセント。これもまた、美味たる味わい。

***鱧の焼き霜 フヌィユのクレームとクリア―なヒュメ(4.6)***
淡路産の鱧を焼き霜にして、ウィキョウのクリームに上には梅肉のジュレのエッセンスと鱧のジュレ。弾力あり食ベごたえある鱧の生命力ある力強いあじわいに梅肉の爽やかな酸味にウイキョウのクリームの滑らかさに、透明感の感じる鱧のジュレが実にバランスよく絡み合い響きあい融合しときめく。なんとも美味たるあじわい。

***若狭のグジ フロマージュブランと煮詰めたジュ(4.3)***
皮を香ばしく焼き上げ、グジそのものは、ゆっくり火入れ。中心部に向かってレアの火入れ。フロマージュブランと魚のだしを煮詰めたものに、コリアンダ―。付け合せはまこもだけ。パリッとした皮の食感と対照的なグジのはらりと崩れる身の柔らかさが印象的にきわだつ。コリアンダーの風味に、滑らかなフロマージュブランの少し濃くのある味わい。エッセンスたる魚のジュが実にそそられる美味さ。そこに、まこもだけの表面しっかり焼かれ、中身は、とても、ジュ―シ―な味わいなんともいえず、みすみずしくも、切々と訴えかけてくる女性のごときせつなさになんともトキメイタ。

***フランス アキテ―ヌ産仔牛のロティ 色々な野菜とともに。(4.6)***
ゆっくり火入れした仔牛を最後バタ―で仕上げたもの。ソ―スは牛のフォンベ―スの赤ワインソ―ス。付け合せは、20種以上それぞれ違った料理法で調理された京都産の野菜達。淡白な味わいの仔牛は、柔らかくデリケ-トな味わい。軽い赤ワインソ―スが、食欲をそそる。そこに、実に美味いミネラル溢れる野菜達が、色々な音色を奏で絡みあう。優しさと繊細さが内に秘めた力強さの中で融合する。見事なバランス感の中に溢れる美しきビ―ナスのごとき存在感。

***杏仁豆腐(4.7)***
杏仁豆腐のエッセンスをアイスクリームにして、上には、クワの実。下には、レモンのグラニテ。中華の杏仁豆腐を分解しフランス料理的にアレンジし再構成したもの。食べると確かに杏仁豆腐の味わいがする。

***レ―ニアのクラフティ(4.4)***
キリシュのエスプーマに、リム―ザン地方の伝統菓子 レ―ニアのクラフティ。それに雪のような粉糖。さくっと口解けの柔らかい生地にさくらんぼの風味に溢れきめの細かいエスプ―マが心地よく蕩ける。

***加納岩桃とかき氷(4.6)***
ざっくりきられた大降りの加納岩桃がごろごろとあり、そこに、丁子+クリームその上にたっぷりのかき氷。上からヴェルヴェーヌソ―スをかける。日本の夏 古都の夏。涼しげな逸品。ざっくりしながらも決めの細かいかき氷に丁子の風味に満ち滑らかな程よい甘さのクリームにヴェルベ―ヌの風味に満ちる。食べ応えある蜜のような白桃と美味く融合するなんともいえない美味たる味わい。

***お菓子(4.4)***
ボルド-地方の伝統的焼き菓子 カヌレ*ラムネ(日向夏の皮をパウダ―状にしてまぶしたもの)*マドレ―ヌ*マカロン(中にはビスタチォのム―ス)*大徳寺納豆*京都の伝統菓子 スハマ

***ドリンク(4.5)***
紅茶とコ―ヒ―とハーブティが数種類つづあり、一ヶ月ぐらいで変わっていくそうだ。
コ―ヒ―はウニ―ルの豆使用。

内容充実の緻密な時間は、美しき機智に富んだ貴婦人との対話のごとく過ぎていった。
それは、過去との対話であり現代との対話であり未来との対話でもあった。
そのときめきは永遠のときめきとして残っていくのではあるまいか。

それは美しき貴婦人への憧憬のごとく感じる。

美しくときめく夏は今。

風たちぬ、光彩の中に我あらん。

  • 外観
  • お店の表札
  • (説明なし)

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8位

コシモ・プリュス (芦屋(JR)、芦屋川、芦屋(阪神) / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.4
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2013/01訪問 2013/01/09

麗しき花開く神秘の花園

抽象性と現実化という問題がひとつの結論としてひきだしたその未知なる魅力が今開花しようとしている。
伝統と革新のなかであるべきフレンチとはなにか。
食べ手に問いかける。
それは、伝統を守りながら新しいひとつの造形力をしなやかな力強さと繊細さをあわせもちながらも、構造学的にひとつの立方形として五感の感性に訴えかけてくる。
そのバランス感覚は素晴らしいセンスに溢れ、明確な主張と緻密かつ複雑なフレンチの存在感を感じさせる。
それはまるで魅力満載の神秘の花園のごとく存在する。
そのスタイルはモダンクラシックであったり現近代のフレンチの形而であったりする。
それは謎めいた麗しき女性像のように我に何を語りかけるのであろうか。
ここにはまさに五感を使って存在するフレンチの啓示がある。
シェフのお任せ料理一本であり、それは毎日のようにシェフの想像力のなかで無限のように広がり変化する。

昨日の料理は今日はなく今日の料理は明日はない。
まさに自由な発想の中で呈示するフレンチのスタイルが存在するだけである。
伝統と革新はまさにその中でゆれうごく。
まさにゆりかごのように。
何が出てくるのか、食べ手はわくわくしながら感動の瞬間を待つのみである。
とにかく前に進もうではないか。
知的好奇心とともに。
そんな4200円のコ-スはまさに遊び心一杯である。
迷宮のラビリンスのごとくである。
夢や希望を失ってはならない。
われわれはまだ不思議の国のアリスに現実的にまだであっていないのであるから。
あるいは夢の島に到着していないのだから。
だからわれわれは失望するにはまだ早い。
希望という言葉に未来を託しながら、現実という時代の中で生とはなんであるのか。思慮する時間はまだある。

わずか4200円で得られる感動は極めて深遠であるが明るい陽光の中で、見えてくる希望という至福を現実のものとして感化するには余りあるものである。

***バ-スニップと苺のクーリ(4.2)***
バ―スニップに苺のク-リにアボガドにルッコラの新芽が香草として加えてある。軽い甘酸っぱいイチゴ゛のクーリのほのかな風味に、森のバタ-といわれるアボガドの存在感に滑らかなバ-スニップのス-プにやや苦味のあるルッコラの新芽の苦味がいいアクセント。甘くて苦味の余韻がとても優しく口内のなかで香味と一体となって長く続く。ある種のときめきとともに。それはある意味夢と現実のなかで存在する人生のようだ。甘いだけの夢だけでなく存在すべき現実として存立する現実を感性として感じさせる。

***ジャガイモのデグリネゾン パプリカとトマトのソ-ス じゃがいもから抽出したジャガイモのエルミション(4.3)***
優しいほっくりしたジャガイモの甘味に香ばしいタイムの新芽に、その存在感を壊さずに、存在する適度な濃度のソ-ス。じゃがいものデグリゾンだけで十分うまいのだが、二つのソ-スが実に美味く溶け込み素材の味により複雑さと奥の深い味へと広がる。トマトのほのかな甘味と酸味にパプリカの風味にじゃがいものエルミションが、実に軽やかに描く旋律線に美味く馴染む。

***野菜の庭 各種野菜とビーツのソ-ス(4.0)***
正直なところ、この料理に関しては、hajimeや御影ジェンヌの方が一枚上手と感じるが。それなりの美味さは感じるのだがひとつの力強い緻密なシンフォニ-を奏でるにはまだもうひとつという感覚が残る。繊細な野菜の旨味が(根菜類は旨味十分だが)織り成す室内楽的響き好きな方にはお勧めかもしれないが。ただ酸味や苦味*甘味の織り成すハ-モニ-にはそれなりの価値があるが、インパクトに欠けると個人的には感じるが。ただ全体的には優しいあじわいが印象的であるが。その意味でいえばコ-スの位置付けとしては好ポジションと考えるが。ソ-スのビーツベ-スに加えた木苺のソ-スの味わいは良く野菜とのマリア-ジュもいい点では、好印象。

***茸とレンコン  牛頬肉の煮込み コンソメス-プを注いで(4.3)***
蕩けるほどに煮込まれた牛頬肉は実に優しい味わいでかみ締めなくともその美味さが口内に広がる。エリンギ*キノコ*舞茸*椎茸のうまみが軽くしかも優しい味わいでありながら旨味の凝縮したレンコンのコりコリした食感と、コントラストとが印象的、やや濃厚なコンソメだが違和感なく溶け込んでいる。ただやや洗練さに欠けるか。洗練されていれば、牛頬肉の旨味が更に際立つと考えるが。ただ点々と皿のまわりにある辛すぎないヨ-ロッパ産ディジョンマスタ-ドがいいアクセントとなりほのかな辛さが肉の旨味を増し昇華する。

***イトヨリのコアラ焼き 白と黒のバルサミコソ-ス(4.5)***
めちゃくちゃ美味。イトヨリの上にあられを細かく砕きのせてある。キュイソンが絶妙。しっとりしたイトヨリがみずみずしく柔らかく旨味があっさりしながら凝縮している。香ばしいコリッとしたさくさくしたあられの香味が実にアクセントとして魚のうまみといいマリア-ジュ。旨味をより増幅させる。ソ-スは白ワインベ-スのクリームソ-スと白黒のバルサミコソ-ス。それらの味わいがまた、魚のうまみを足し算的に変化させる。しかも違和感なく溶け合う。複合的で複雑な旨味が料理としての完成度を高める。それらに加えて軽やかなグリンピ-スのソ-スが実に春の到来を予感させる。それはまるで、ナタリーデッセイの歌声のように心に響いてくる。あるいは絶頂期のキャスリ-ン バトルのリリックソプラノのごとく鳴り響く。ときめく心はいにしえにそこにあるだろう。

***雪姫ポ-クのロースト シャピニオンデュクセルと胡椒赤ワインソ-ス(4.4)***
兵庫産雪姫ポ-クのローストが実にうまい。まさにプラチナポ-クというべきである。とりわけ脂が臭みもなくクリア-な味わいでありながら透明感のある美味しさをかんじる。肉質は弾力ありながらあっさりした味わい。これだけで純粋に美味しい。マッシュドポテトもあっさりした美味さでポ-クに寄り添う。コンソメで煮込んだ牛蒡はコンソメのうまみと牛蒡本来のうまみが実に美味、かみ締めるごとに大地のうまみを感じる。マーラ―の大地の歌が聴こえる。軽やかな赤ワイン系のソ-スが素材のうまみを壊さない。

***ア-ルグレイティ-のムース オレンジソルベ添え(4.0)***
ム-スのなかにはチョコソ-ス。蕩けるほどに優しい味わい。デリケ-トな余韻の二重奏がたまらない。オレンジソルベも軽く優しい味わいでスット胃の中に吸い込まれるように消えていく。

***タルトタタン シナモンのアイスクリーム(4.4)***これもまた実に美味。キャラメゼしたフジのりんご゛に林檎の泡にシナモン風味のアイスクリーム。林檎のまろやかななあまづっぱさにシナモンアイスクリームが実に心地よく溶け合う。さくっとしたパイもうまく調和する。言葉は入らない。その美味さをただ堪能していただきたい。

参考までに、タルランロゼ1999年について。
熟成香が素晴らしくそこにバラや木苺*腐葉土の香りにマッシュル-ムの香りが絡む。柔らかいタッチで滑らかな舌ざわり。ワインの涙もある。優しいミネラル感もある。可憐な泡立ちも美しい。気品で華麗なる味わい。長い余韻は軽く一分を越えた。まさに成熟した美しきビ-ナスを感じさせる。ポテンシャルは十分にあり。まだ、熟成していく可能性は十分にある。

サ-ビスは、家族的なサ-ビス。
実に緊張させない大らかなサ-ビスというべきものである。
しかも丁寧なサ-ビスは印象的。

新しい時代がいま開花しようとしている。
それは伝統に基づきながら新しい造形美はしなやかな力強さと繊細さも併せ持つ。

そこには美しきビ-ナス像が微笑む進化しつづける新しい時代の鐘をたたくフランス革命における自由の女神のようだ。


  • 場所はJR芦屋駅南口から神戸方面へ線路沿いに歩き二つ目の信号の手前を左へ曲がるとある。徒歩約7分程度
  • これがロゴマーク
  • 実に現代的な外観。窓から厨房がみえる。

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9位

レストラン シャンボール (中之島、新福島、福島 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2014/04訪問 2014/08/20

再訪 老舗ロイヤルホテルの威信をかけたグランメゾン

***2014年***
2014年4月よりシャンポ-ルは、ディナ-タイムにおいて、両巨頭のスタイルのフレンチが食べれるようになった。フレンチファンにとっては嬉しい限りであります。すなわち、太田総料理長と豊田料理長の二人の作り出すロイヤルの至宝というべきフレンチを同時期に進行的に味わえるという魅力的な企画であります。同じ松本シェフの門下でありながらも、フレンチに対するアプロ-チは、共通する側面を共有しながらも。異なる側面もあるようだ。ネオクラシックという概念の捉え方にしても、現代フレンチ的視点ないし思考から、捉える立場と近代フレンチ的視点から、現代的に解釈ないし解析する立場のようだ。食べ手からすると、料理の楽しみの幅が広がるという意味ではいい時代を共有できる楽しみがあります。その意味で言うと、今ほどシャンポ-ルが充実している時期はないといえるかもしれません。

***再訪 2013年10月***
米津*三浦*太田シェフの時代から豊田シェフの時代へ。
新たなる視点からのネオクラシックへのアプロ-チ。
シャンポ-ルというグランメゾンは、いつの時代もあるいは、時代を超えてネオクラシックというスタイルに,首尾一貫している。
但し料理長が、交代することで、それに対するアプロ-チなり視点が異なるのは、それぞれの料理長の哲学の反映の結果なのであります。
今回、料理長が新たに豊田シェフに交代したことで、シェフのスタイルをデッサン的に参考までに記載しておくことが、参考になると思い、字数制限の関係から、素描にならざるおえないことを御了承願いたい。
まず、シェフの料理哲学を形成する上で大きく影響を与えたシェフとして、大切な偉大なる二人のシェフがいるとおもいます。
ひとりは、引退したジェラ-ル ポワイエ氏 もうひとりは、故松本 弥成氏のふたりであります。
両者とも、モダンクラシックの巨匠であります。
両者'ともに、最高級の素材の吟味にこだわり、その素材のもつポテンシャルを最大限に引き出す手法にこだわった。
その考え方が、シェフの料理を形成する基盤であります。
したがってシェフのスタイルはあくまでも、モダンクラシックのスタンスから、現代的な要素を加味しながら料理を提供するスタイルが、基本的なスタイルであります。
その意味では、伝統を大事にしながら、時代に合わせて、現代的な手法も取り入れて行くスタイル。
まさに、王道のフレンチのスタイルといえるでしょう。
ただそこにあえて加える要素としては、高級フレンチらしからぬ素材との融合。
松本シェフはとりわけ、普通フレンチでは使用しない日本の食材との融合も試みた経緯と同じ感覚がシェフにもあるようだ。
食べ手をあっと驚かす仕掛け工夫が、さりげなく装置されている。
一種の遊び心みたいだ。
そういった感覚が、グランメゾンにおける料理の一種の緊張感みたいなものを和らげる効果を狙っているのかもしれない。
ある種の関西的なミヤビともいうべき遊びの文化が、ここにも、密かに反映しているのかもしれない。
そんな遊び心を探すのも、フレンチの楽しみ方の一つかもしれない。
グランメゾンという枠内でありながらも、可能な限りコスパの優れた料理を提供するスタイルは、今だ、普遍であります。
その意味でも、やはり、関西を代表するグラン*メゾンだといえよう。
また、それにあわせたワインとのマリア-ジュにおいても、マスターソムリエの的確な判断やウィットに富んだ接客や日本の感性に基ずく心の琴線に触れるサ-ビスは、いぶし銀の如く伝統に彩られた色あせないものであります。
それは、日本の文化であり、大阪の美意識でもあるように感じられます。
国際化になっても、失ってはならない伝統文化のひとつといえるのでは、ないでしょうか。
日本の常識を世界の常識にしていくことが、大切だとおもいます。
それが、日本の美意識ないし誇りとしての存在意義だとおもいます。
なお、シェフのコ―スの組み立て方は、奇を狙うことなく実にオ-ソドックスな正統派的構成力であります。
前菜2皿にス-プを挟んで魚*お肉料理へ至るまさに至福スタイルであります。
最後に甘すぎないデザ-トで〆るところは、まさに現代的なスタンスに対する配慮というべきものでしょう。
簡単に料理に対する印象綴りましょう。

***タスマニアサ-モンの瞬間スモ-ク 胡瓜のヨ-グルト添え 人参のク-リ***

絵画的に美しい配置に色彩感。見た目の美しさとともに、立体的な存在感を感じさせる配置の構図。まず、目で楽しませてくれます。鮮度のいい生のタスマニアサ-モンに煙製香をつける。強すぎると酸味*苦味がきわだち、弱いと生臭く感じる。その辺が、テクニックのみせどころであります。モダンスパニシュみたいに、素材に、軽やかに香りを移すための煙製香の活用の仕方とは異なります。このへんは、まさに正統派フレンチらしいアプロ-チであります。その上にはヨ-グルトと胡瓜を合えたもの。さらには、見栄えを浴するための効果と、爽やかな印象的な使い方として、スプラウトがのせてあります。人参のク-リに、ルッコラのゼリ-そのうえには、キャビアが載っています。塩分ほとんど控えめで、素材だけの味付けで、組み合わせてあります。臭みのない、弾力の感じられるすっきりしたあじわいのサ-モンに、胡瓜の混ざったヨ-グルトの軽い酸味に、スプラウトの苦味のコントラストに、、ルッコラや人参のク-リの味わいが絡んでゆきます。

***オレンジ風味の飴を纏ったマンゴと鴨フォアグラのソテーアンディ-ブプレゼ添え***

豊田シェフのスペシャリテのひとつ。フレッシュのフォアグラを焼きマンゴをのせてオレンジの飴でコ―ティング。パイナップルのクリスティアン。フォンドボ-のソース。フォアグラの濃厚な香り。蕩けるフォアグラの食感と、カリカリの固さの飴を纏った果実味に溢れるマンゴーの触感の対比の妙。オレンジの柑橘類系の酸味*アンディ-ブの苦味*複合的に重層的に絡み合うねっとりするマンゴ-の果実の芳醇な甘味に、フォアグラの官能的な陶酔するような甘味が奏でる豊潤で豊満な響あうひととき。五感を刺激する味覚と香りの融合。

***マッシュル-ムのポタージュ カプチ-ノ仕立て ブルサンアイユチーズのクリーム添え***

ポタ-ジュそのものは、やや塩分が強く濃厚な味わいであるが、ブルサンアイユチーズのクリーム挟んだ生のマッシュル-ムをス-プにつけて食べると塩分バランスがとれ、口どけは軽く後口には、デリケ-トな余韻がここちいい。ふわっと広がるマッシュル-ムの旨み。コクのあるチ-ズが、いい調和感を持って融合し、昇華する。素敵なアンサンブルの結晶。

***モンサンミッシェル産ム-ル貝と帆立貝のマリ二エ-ル***

ポワレした分厚い帆立の上には、セロリの葉。これが、爽やかに華やかで香ばしい香り。分厚い帆立は、完熟した甘味*旨みに満ち食べ応え十分。ソ-スとの相性も悪くない。ただ、モンサンミッシェルのムール貝がいまひとつ。今年7月に食べたユニッソン デ クールのそれは。まさに、ドビッシ-の喜びの島の旋律線のごとく、旨みに満ち最高の味わいだった。まさに死せる貝が、もう一度、華やかに生を得て舞い踊るようだった。まるで、ヴィオレッタの最後の命の輝きのごとく美しさに満ちていた。

***シャロレ-産仔牛ロティ茸とカリフラワ-のテり-ヌ添え リブザルトワインとヴァニラ香る甲殻類のソ-ス***

程よい熟成感の感じられる仔牛は、食べると弾力あり、赤身のあっさりした肉質のまずまずのあじわい。面白いとおもったのは、シャンポ-ルでは、こういった甲殻類のソ-スを肉類にあわせて食べるのはやや記憶にない。ややアンバランス的な感覚もするが、面白い試み。ただ、もうひとねりあると、もっとよくなるかもしれない。

***デザ-ト***

モンブランと洋ナシのソルベの組合わせ。モンブランにその粉末添えてある。構造は、クッキ-生地に生クリーム*刻み栗に、マロンクリームで包んでいる。甘さ控えめで、素材そのものの味覚をひきだしている。甘すぎないモンブラン。洋ナシのソルベのざっくり感とともに、ここでも、甘さ控えめの妙。

***お菓子***

最後の余韻を楽しむ可愛いお菓子達。ここでも、手抜かりはない。

***再訪(2011年11月)***

ランチタイムは、グランメゾンの息吹をすこしでも感じていただこうというスタイルに変貌してきているようだ。
それもひとつの時代の流れであろうか。それもそれなりの価値があるとおもえる。
私はそれを否定するものではない。
しかし本当の伝統のグラン*メゾンとはなにかは、やはりディナ―タイムにあるのだろう。

それといつもながらありがたいと感じるのはガストロノミックフェアを開催してくれることである。
フランスの息吹をすこしでもこの日本で味わって頂きたいというスタイルはありがたいことだと感謝している。
今回は、フランス*ミシュラン二つ星のフィリップ*ゴブロー氏が来日するということで訪問しました。
南仏のジャック*マキシアンを尊敬し、自分の料理を太陽がサンザンと輝く南の料理と語る。その料理のうち印象に残った料理を記載しよう。
***アサリのファルシ マリニエール風トマトコンフィ添え***
あさりの磯の味わいと弾力ある味わいにトマトコンフィの酸味の二重奏がここちいい。南仏を感じる温かさがなんとともいえない。
***ヒメジのポワレ 柔らかな酸味の野菜 ヴェルヴェーヌの香り***
柔らかくジュシ―なヒメジにやや酸味の感じる軽いあじわい。ヴェルヴェーヌの香りが心地いい。

***ブルタ-ニュオマ-ル海老 蟹 青梗菜 ライム風味ココナッツのブイヨンとともに***
ブルタ―ニュ特有のヴァニラのような濃厚な甘味のオマール海老のうまみに繊細な蟹の風味 ここちいい青梗菜の旨みに酸味の利いたライムにやや甘味を利かせたココナッツが美味く交じり合い弾力のあるオマ-ル海老の旨みをひきだす。純粋に美味い。

***エトフェしたシャラン鴨 ゴブロ―スタイル***
とろけるような柔らかいシャラン鴨の旨みになんともいえない美味しさ ワインベ―スのソースがその旨みをます。ゴブロー氏が特別に契約している農家から今回特別に輸入されたもの。特上とも言うべき味わい。かみ締めるごとに滋味の味わいに感涙。なかなかコレを上回るシャラン鴨はであえない。

***苺風味のフレンチト―ストとバニラ風味のリ*オ*レ赤いフルーツシャ―ベット***
苺のあまづっぱい酸味がここちいい。薄地のフレンチと―ストとの相性もいい。滑らかなラズベリー中心としたフルーツシャ―ベットといいマリア―ジュ バニラ系のム―スもほどよい甘さで苺の甘ズッパサをさわやかにさせる。

参考までにワインは1971年ミゥジニ―VV 作り手はヴォギェ バッセンしたとたん花びらのような芳しき花の香りに包まれる。シルクのような舌触りに豊満な果実味に力強いアルコ―ル綺麗な酸味に長い余韻。美しきビ―ナスのごとく女性像が現れる。シャラン鴨と見事なマリア―ジュ。天国を歩いているような時間だった。至福のマリア―ジュ

***再訪(2011年12月)***
今日はフランス産メスの雉を食べにきました。フェサンタ―ジュの語源はここからきました。〆てすぐは、身が硬いく旨みも少ないため数日熟成させます。脂を落としながらじっくりアロゼしながらじっくり火入れします。肉の繊維がしっかりしており弾力があります。白身で脂がよくのりながら淡白な味わいです。食べるごとにジュシ―さが感じます。部位は胸肉です。ソ―スはサルミですが軽やかな味わい感じます。雉の旨みをひきたてます。実にうまい。

後先になりましたが、***ふぐの白子とトリュフのポテト包み焼 エシャロット風味のバルサミコソ―ス***は絶品でしょう。とろけるような下関のトラフグの白子にスライスポテトのポテトチップみたいなかりっとした塩けにトリュフの香りが見事に融合します。それにバルサミコの酸味が交わリ絶品の一言でしょう。エシャロットの軽やかな香りもここちいい。

***マロンが入った雉の田舎風ス―プ***も身体が温まります。雉のス―プにマロンに雉のすり身が美味く溶け合いおいしいですね。滑らかな舌触りに優しい味わい。心が和みます。

参考までにワインは1937年 リッシュブ―ル DRC 。バッセンしたとき香りはややかれつつありましたが、滑らかなビロ―ドのような舌触りにとろける退廃的な果実味に優しい酸味丸くなったタンニン まるでキャンディをなめているような感覚 素晴らしいフィネス 長いシルクのような余韻。ヴォ―ヌロマネのエッセンスを詰め込んだ味わい。信じがたい存在感。これこそ神の雫のあじわい。雉とのマリア―ジュは奇跡とも言うべき時間をかもしだした。ブラボ―と何度叫んだことか。それはまるで奇跡のような時間だった。
              *****************************************

シャンポ-ルにかよって、20年以上になる。
こうなると、お互いの恋愛関係も、夫婦関係に近いものになる。
話さなくとも、ツ-といえば、カ-のなかである。
恋愛関係が終了しないのは、この店の居心地の良さにある。
その最大の理由は、この店のサ-ビスにある。長年培われた老舗ならではのサ-ビスが、私を捉えている。
料理のスタイルは、ネオクラシックスタイルで、一貫しているのだが、料理長が変わるたびに、微妙にかわるので、その点が難点といえば、難点である。

この日は、ソムリエの誕生年の83年飲みたいということで、ブロ-ドベンド大先生、大絶賛のこの年の シャト-マルゴ- を飲むことにした。83年は、腐敗病の発生した年で、葡萄の選別がうまくいった生産者だけ、偉大なワインを作った。マルゴ-もそのひとり。あと、タニックな年なので、果実味*酸味のバランスがとれるかどうか微妙な年である。開けた瞬間、熟成香が前面にでてきており、熟成のピ-クであることがわかる。すみれの花*動物臭*腐葉土*コ-ヒ-*なめし皮など複雑な香りに濃厚な果実味。

舌触りは、まさに、ビロ-ド。酸もやわらかく、タンニンも丸くまさに、飲み頃。ストラクチャ-もしっかりしている。余韻も長い。
横に居たシニア*ソムリエも、喜んだ。これこそ、まさに、ボルド-女王の真の姿であり、マルゴ-スタイル。
保管さえ、よければ、あと10年は、もつだろう。 
*フアァグラのソテ-* は、鮮度も、よく、火入れもいい。甘めのソ-スも、フアァグラのもつ濃厚なあまみの邪魔にならないほど繊細な味。マルゴ-の濃厚な果実味が、これとあう。食が進む。 

*ヌシマのハモ* も鮮度がよく、しっかりした歯ごたえがあり、*サフランス-プ*も軽くしあげられており、古典的スタイルであるが、妙に心に残る。 
*子羊のロ-スト* もロゼ色に焼かれ、食感も弾力があり、実に、うまい。
ワインともあい、食が進む。
デザ-トは、 *しょうがといちじくのアイスクリ-ム* に、ア-モンドのチュルレ。やわらかい食感のアイスクリ-ムいちじくのうまみ、しょうがのアクセントがよく、チュルレの食感も好印象。          

ココに来ると、いつも、話が長くなる。  ワインの話から、話題のレストラン、食の話まで、話題がつきない。
つぎからつぎまで、話が盛り上がり、愉快な時間がすぎる。
いつのまにか、レストランは、私の貸切状態になり、まだまだ、話が続く。 
スタッフ一同が 私を囲んで話し込む。話が終わったときは、12:00時回っていた。
もう、終電もない時間だ。それでも、スタッフ*ソムリエはつきあってくれる。こんなうれしいことはない。みんなで、エスカレタ-のところまで、見送ってくれる。外で建物をみあげれば、まだ、シャンポ-ルにあかりが。本当に、こんなうれしいことは、ない。

* 再訪 *  
12月の楽しみと言えば、3つあった。
ひとつは、スギノ氏のつくるスペシャルのクリスマスケ-キ 
*マエストロ朝比奈の第9* ムツシュ米津の極上ロ-スト-ビ-フ であった。
これらを味わえることが人生の喜びであり感動であった。
しかし、今人生の喜びをあたえてくれるのはムッシュだけになった。

*マエストロ朝日奈*ヴァントが死去して、クラシック界では、ブルックナ-は、死んだ。確かに、今年聴いたプロムシュテットの *ブルの8番* は名演だった。しかし両巨頭の至った世界には、いまひとつ及ばない。名匠スクロバフチェスキ-がいるではないか、いわれる方もいるだろうが、名匠Sの生のブル は、実のところ今ひとつである。CDで聴く方がいい。

しかし、フランス料理界では、両巨匠のごとき 伝説の巨匠 がいる。米津春日氏そのひとである。ムッシュの作り出すフランス料理は、 ブルの7*8番 のごとき荘厳にして重厚である。頑なに、伝統的フランス料理の造形にこだわる。その姿は、今はなき両巨匠に共通するものがある。生前巨匠朝比奈は、スコアから聞こえる音だけを具現化すると伝え聞いた。ムッシュも同じである。レシピから聞こえるイメ-ジだけを現実化する。

たしかに、ここには創造する芸術はない。しかし、伝統的スタイルのフレンチを至福の味わいで再現する*文化的芸術的価値*がある。一品一品丁寧に作られた料理の数々は、現代における奇跡的存在だ。神のなせる技である。
例えば手間隙かけてつくられた *コンソメス-プ* は、まさに黄金のス-プである。
色合いは、透き通る透明感のある金色に輝き絹のごとき滑らかさな舌触り、極上の味わいである。
伝統的なコンソメのあるべき姿を示す。 

***ロ-ストビ-フ*** は、まさに至福のかぎりである。極上牛肉を選別し、熟成させ、絶妙な火入れで焼き上げる。 神がかり的なデクパ-ジュ によって、生命感の宿るロ-ストビ-フは、黄金の味わいである。ロゼ色に光り輝くそれは、ナイフもいらない程、やわらかい。肉の繊維の一つ一つが、はっきりとわかるぐらい旨みが充実している。上質な牛とその質のいい脂の旨みが、舌のうえでとろけるさまは、まさに天国の味わいだ。*英国風グレ-ピ-ソ-ス*西洋わさび*クレッソンとの組み合わせは、伝統的な意味における黄金の組み合わせだが、うまいものはうまい。本来、美味さに古いも新しいもない。うまいかどうかがすべである。最高のソ-スによって牛肉の旨みが増す。最質に吟味された西洋わさびは、いい刺激を食べ手に与える。 極上の時間が 過ぎていく。まさに、荘厳なブルックナ-の音を聴いた*極楽な一夜*だった。この日ブルックナ-は、不死鳥のごとく甦った。来年もこの味わいに出会えることを期待して、超越した時間を待とう。                                           

2月某日 なんとあのマチュ- ヴィアネイが初来日にて、フェア-するという。私は、いってもたってもいられなくなった。ヴィアネイといえば、あのポギュ-ズが、アプランティとして働いた*** ラ メ-ル プラジェ *** を取得した2つ星の新進気鋭のシェフだからである。13860円(税*サ込み)のランチメニュ-戴いた。なかなかの実力の持つシェフとみた。

アミュ-ズのボンボン(3.5)みたとき、カランドリエのそれ(4.5)を思い出した。ただ食べ比べてみると、両者は、だいぶ異なる。前者は、さくっとするが、やや硬くへ-ゼルナッツの香りはするが、ファアグラの存在感感じられるのに対して、後者は軽やかに、とろけるファアグラの食感だ。

***パテ アンクル-ト(4.0)***は、シェフのスペシャリテ 少しサブレに近い固めのパイに、醤油のゼリ- ファアグラのテリ-ヌ 肉類のミンチにレ-ズン*松の実をまぜたもの とりむね肉の構成。 食べると ぷるんぷるんとした醤油ゼリ-の風味が軽やかに感じ、肉の弾力とレ-ズン 松の実のコクとアクセントがいい。ファアグラの甘すぎない甘味と癖のないとりのむね肉が、いい調和を見せる。パテ全体として、甘味*旨みが統一体として、複雑に口のなかに広がる。美味。

***平すずき 的矢牡蠣 マテ貝とともに(5.0)*** 
最高の平すずき 今まで食べた最高の平すずき。ナイフをいれると、ふわっととろける程、柔らかい.癖はないすずきの繊細な旨みが凝縮したさまは、圧巻というほかない。カリカリした皮もよく、磯の風味感じられる牡蠣も最高の相性。コリコリッとしたマテ貝と西洋ごぼうは、いいアクセント。軽いフォンドボ-と貝のだし汁のエルミジョンソ-スもきわめて軽やかに仕上げられており、魚の旨みを増幅させる。今年、食べた最高の一品のひとつ。

***プレス鶏とオマ-ル海老(4.5)***
まず、食材の鮮度がいい。吟味されている。これこそ、真にプレス鶏の鶏なり。ポシェされた鶏はあっさりしているが、ほのかに甘味が感じられる。柔らかく弾力もあり、きめも細かい。腿は、かめばかむほど筋肉質で滋味深い。ポルトきかせたクリ-ムソ-スもいい相性。海老の鮮度もよくフランベしたぷりぷりした海老と、バジルとカルダモン風味の泡立てソ-スは、絶妙だった。

***マドレ-ヌとアイス(3.5)***
これは、まずまず。

***レモンのジプレ レモンクリ-ムとメレンゲ(4.0)*** 
甘くシロップで煮たレモンの器に、酸味の利かせたレモンシャ-ベット やや酸味の強い味だが、レモンの風味が、口の中に広がる。ややライムのニュアンス。レモンの器の皮は、柔らかく甘ずっぱい。しゃりとしたシャ-ベットと好印象。

***サ-ビスは、いつもながらの極上のサ-ビス***                                                                                  
3月再訪 20年以上このお店と、恋愛感情に、あるが、今ほど料理が充実している時期はないといえる。特に、料理技術に関して目に鱗である。大田シェフ達の実力は、今 まさに花満開である。最高素材の吟味 素材とソ-スの組み合わせのバランス 付合せとの配置と融合 コ-スの構成力 ドレをとっても、秀逸である。伝統と革新を融合させながら、あるべき正統フランス料理を提示する。実に巧いし旨い。例えば、フォアグラのコンフィ 絶妙な火入れで、とろけるほど旨い。イチジクのピュレの酸味のアル果実味が、その旨味を引き立てる。真鯛もふっくらと焼かれ素材の旨味 を極限まで、高める。苦味のアンデイ-ブの繊維質まで感じさせるグラタンと、ソ-スのバランスもいい。弾力のある鴨はジュ-シな-旨味に溢れ、かめば,かむほど滋味深い。フキノトウカラメゼともベスト。グレ-プフレ-ツのグラニテにあう大粒のキャビアの組み合わせも感涙もの。デザートの完成度も高い。まだまだ、恋愛関係は、終わりそうにない。

今回(2011年2月) 再訪の目的は、大田シェフの作るベキャスを食べることにありました。
ネオクラシックからのアプロ-チで、どのような彼なりの感性で、いかなる料理作るかに、主たる関心ありました。
そこで、ベキャス中心としたコ-ス作っていただきました。

コ-スの組み立てのバランス感覚に優れ、一皿にかける情熱 美意識に傑出したものがあり、まるで、シェ-ンベルグの浄夜聴いている気分になりました。素材の吟味 最高の状態でその味わいを引き出す能力にたけたものがあります。印象に残ったものを、記載しましょう。
アミュ-ズでは、なんといっても、テ-トドフロマージュでしょう。豚ほほ肉のにこごりですが、定番料理ですが、豚ほほのあっさりした味わいは、前菜に最適だと思います。かぶ゜らのス-プの旨みは、季節感もあり、かぶらの甘みが、凝縮していてなんとも美味。しかもその上にあるコンソメのジュレとの相性もよくコンソメのうまみとかぶらのあまみが融合しておいしい。

***香辛料に包まれた鴨のフオァグラのコンフィ ドライイチジクのピュレと青りんごのサラダ***
シェフのスペシャリテ まず、あっさりしたフォアグラのコンフィの甘みにはシルクのような上質な滑らかさと甘みが共存し、上質な脂のとろける味わいは、極上ものです。しかも、軽い味わい。天然の自然の味わいがします。ココには、最高品質のフオァグラの味があります。それも、そのはずです。フランス*ボルド-の契約生産者が、シャンポ-ルのため特別に作らせているのです。昔ながらの手間のかかる製法で自然の素材だけの飼料だけ与えて育てるのです。しかも空輸されてフレッシュのうちに料理するのです。おいしくないわけありません。タ-メリック 胡椒 カイエンヌペッパ-などの香辛料に オニオン にんにく ジンジャ-のパウダ- パン粉などをかけて、低温でじっくり旨みをひきだすのです。鴨の脂でパン粉を吸わせカリッとしながらもさくっとした食感をうみだすのです。付け合わせの青りんごも特別に作ってもらっているそうです。。上品な柔らかい酸味がフオァグラの別の魅力をひきだします。イチジクのピュレとの組合わせは、定番だが、上品な甘みが、フオァグラのコンフィの魅力を更にひきだします。美しきビ-ナスが、微笑かけます。

***ブルゴ-ニュ産エスカルゴのタルト フレッシュハ-プのポタジュ-ルと季節の野菜*** 
とにかくうまいエスカルゴなんです。何で、この魅力に気がつかないのでしょう。フランスで食べるのに近い上質なものです。うえにかかるガーリックのエスプ-マが、食欲をそそります。

さあ、ベキャスです。火入れは良好です。悪くありません。
ベキャスの柔らかく繊細でありながら豊潤かつ緻密な肉質のうまみの引き出し方は、うまい。
洗練された野趣の味わいです。ポレンタのエスプ-マ使用により、あっさりした軽い味わいです。
しなやかな女性美感じられる味わいです。
しいていえば、肉質の味わいはラ*シ-ムに近い味わいです。
軽い赤ワインのソ-スがうまくなじみます。
洗練された上品な優美な味わいです。
現代人には、向いているかもしれません。
ただマニア向けではありません。

***蜜柑のコンポ-トとグランマルニェキュべ150のアイスクリーム*** 
おいしいですね。蜜柑の凝縮した甘みにややシャ-プな酸味が、その甘みをひきしめます。かみ締めるごとに。旨みがましてきます。 滑らかなアイスクリームがリキュ-ルの甘みと融合しとてもおいしい。コンポ-トのうまみをさわやかにひきだして、いい調和みせます。
かんきつ類系の長い余韻もみごとのひとことです。

ワインはシャト-ム-トンロ-トシルト1953年 戦後最高の年のひとつ。
50年代では、59年につぐあたり年のひとつ。
シ-ダ- なめし皮 シナモンの香り 甘くとろける果実味に柔らかい酸味にタンニンは、丸くなりみごとなバランス感覚。
しっかりしたストラクチャ-に、男性的な力強さ。
飲むとビロ-ドのような舌触り。
長い余韻は、シルクのような心地よさをあたえてくれる。
バッカスの神が、月夜の夜に微笑んだ。
ベキャスとのマリア-ジュは、美しき女王をエスコ-トするシュバリエのようだった。
バッカスが、導く至福の時間だった。

流れていく時間は、感動的な時間を共有したものとして、人生の宝物として、心に、永遠に残っていくだろう。

永遠のときめきとともに。

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10位

アニエルドール (阿波座、西大橋、本町 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.4 ]
  • 昼の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 3.9
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク 3.9 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 ¥2,000~¥2,999

2013/12訪問 2014/12/25

新星 美しきモダンフレンチの肖像 料理はコンセプトの時代

再訪 2013年 12月

藤田シェフは、ジピエ料理で有名なマガリ エ マルタンでの修行経験を持つ。
したがって、ジピエに対する並々ならぬ情熱と知識と調理技術を保有する。
その意味で、前々から再訪するならこの時期と考えていた。
連日,予約で満席であるが、何とか、この日を抑えることができた。
神に感謝するのみである。
また、ワインラバ-達をひきつれての訪問となった。
そこで、無理を聞いてもらいワインを持ち込ませていただいた。
シェフに感謝するのみであります。
根室産の秀逸な状態の蝦夷鹿入荷中とあって、それにあわせるようにルロワの1937年 シャンペルタン クロ ド ベースをテ-ステングすることにしました。
御承知の通り、1930年代における傑出した最高の偉大な年が、この年である。
恐らく市場にはあるまい。
たとえあるとしても、想像しがたい値段ではないかと考えるが、いかがであろうか。
言うに及ばず、私のコレクションの一本であります。
今年飲んだ1934年 ロマネ コンティ  1945年 ヴォギエのミュジニ-に匹敵する味わいであった。
この時代、まだ、ラル-の時代ではなく、親父の世代たるアンリの時代である。
しかしながら、この時代においても、優れた長熟ワインをプロデュ-スしていたことは、驚愕の現実であり、今の時代へ続く予兆とも言うべき現象に神なき時代でなく、やはり、不可侵たる神の領域は存在していたと、いうべきだろう。
さて、前置きが、長すきたようだ。
本題にはいろう。
ディナ-タイムは、5500円のコ―ス料理のみ。
その内容は、一ヶ月を目安に変わっていくようだ。
なお、食後のドリンクは、別料金である。

***ミニャルディーズ*サレ(4.1)***

三品。シフォンケ-キに、ベーコンの香りをつけたサワ-クリーム。ミモレットの雪。ふわっとした柔らかいクッションのシフォンケ-キに、ベ-コンの香りついた滑らかな甘すぎないサワ-クリーム。くせのないミモレットが、軽やかに絡む。パプリカ風味のサワ-クリームを詰めたスコ―ンの上にチェリソー。軽やかな辛味のチョリソ-の味覚にパプリカのサワクリームの組合わせ。さくっとした軽やかな味覚の組合わせ。シュクリームのなかに、林檎とブ-タンノワ-ル詰めている。コクの感じるブ-タンノワ-ルに、軽妙な酸味の林檎がここちいい。

***ウサギとフォアグラ 赤ワイン 洋ナシ カカオのチュイ-ル(4.3)***

まず、見た目の美しさを堪能したい.ア-チスティックな美しさに、抽象画を彷彿させる曲線美。シンプルな色彩感。現代的造形美。そこから始まる一皿の希望*夢。素敵な一皿となりそうだ。癖のない淡白な味わいのウサギの肉でフォアグラを巻き焼いている。一種のバロンティ-ヌ。しっとりした触感のウサギの肉質に軽やかに蕩けるフォアグラの甘み。さくっとしたカカオを利かせたチュイ-ルの透き通るような触感。シナモン利かせた赤ワイン風味の洋ナシ。しっかりコクの感じる濃厚なインパクトのあるチョコレ-トソ-ス。美しく華麗なる美味たる味わい。重なり合う美味の重層的構成。その調べは伝統的な様式美でありながらも現代的なモ-ッアルトのピアノコンチェルトの如く幾層にも美しき旋律線を響きあい共鳴しあい重なり合う。その無限なる音の煌きは、21世紀を彩る。

***イカとバタ-ナッツ 黄身のコンフィ 鶏節 シトロンキャビア(4.5)***

ライムの芳醇な香りのシトロンキャビアの酸味にしこしこした食感でまったりしたかみ締めるほど甘みのひろがるイカ、ねっとりした食感の卵黄のコンフィ カツオ節的な旨みをます鶏節。香ばしいバタ-ナッツ かみしめるほどに、うまみをます。その融合は、計算できる味覚の融合だが、計算できない効果をうみだしている。

***牡蠣のブランマンジェ ショ- 仔牛 バ-二スップ(4.4)***

広島産牡蠣の旨みを凝縮させた温かいブランマンジェ。卵を一切使用せずゼラチンだけでかためたもの。冷製ではなく温製なのにまったく溶けないブランマンジェ。それには、新時代の技術が裏打ちされている。食すととろんとした柔らかい舌触り。ミルクの如き旨みと、磯の風味。そこに仔牛のすね肉を煮込んだもの。バ-二スップのバ-ミックスの組合わせ。自然の対話。海と大陸の自然の織り成す風景。新しき時代を彩るようだ。

***真鱈のロ-スト タイ風プ-ルブラン(4.5)***

見事な真鱈のキュイソン。レストランディファランスに勝るとも劣らない。しっとりした食感で、皮は、パリッとした適度な火入れ。タイの食材だけで構成された柑橘類系の爽やかな酸味の感じられるバタ-ベースのプ-ルブランソ-ス。あっさりした味わいでかみ締めるほど旨みの満ちる肉質によく馴染む。ヘルシ-な味わいで軽やかに食がすすむ。付け合せの新たまねぎ 甘辛とうがらし 黒大根 クロマイのアンジュレが、素敵なアンサンブルを奏でる。

***蝦夷鹿 栗とサルシフィ 黒いクランブル バニュルスワイン(4.6)*** 

根室産の網で生け捕りされた蝦夷ジカ。粉末の栗とピュ-レ。西洋牛蒡。焦がしネギを練りこんだクランブル。バニュルスワインを使用したソ-ス。鹿の肉質の良し悪しのひとつとして捕獲の仕方により左右される。猟師による場合は、その技術に左右される。いかに、ストレスをあたえず、しとめるか。それにより、肉の良し悪しがきまる。捕獲の場合は、それによる危険性がない。部位はシンタマ。シェフのいうとうりかなりいい肉質だ。それに加えて見事なキュイソン。美味たるあじわいを見事にひきだしている。しっとりしながらもねっとりしたやわらかい食感の肉質に、かみ締めるほど肉の甘み*旨みが溢れんばかりに溢れてくる。臭みは、いっさいかんじられない。軽めの熟成感。小粒だが、ぴりりと甘い栗。ネギの軽妙な苦味のクランブル。甘くコクの感じるソ-スが食欲をそそる。参考までに、蝦夷ジカと、1937年のシャンペルタン クロ ド ベ-ズは、見事なマリアージュを魅せた。現代フレンチと古酒はあうとする私の主張は、ここでも証明された。


***オリ-ブオイルのソルベ 金柑とハープ(4.5)***

エストラゴン ミント セルフィ-ユなどの粉状になった香草に、酸味をきかせた金柑。香ばしいア-モンドの如きクッキ-に滑らかな舌ざわりのアイスの組合わせ。

***ガト-ショコラ ハイビスカス ミルクアイス(4.5)***

ガト-ショコラというよりも、フォンダンショコラ。崩すと、チョコレ-トソースが溢れてくる。その濃厚で芳醇な苦味と甘みが、しっとりしたチョコレ-ト生地と美味く馴染む。練乳ベ-スのアイスクリーム。下にはハイビスカスのコンフィチュ-ル。上にはカカオのチュイ-ル。ソ-スはハイビスカスのソ-ス。しっとり滑らかなミルクのコク感じるアイスクリームに、軽めのカカオの苦味かんじるチュイ-ル。

***ドリンク***

ドリンクは、別料金。200-300円という良心価格。種類豊富なハープティ。ドリンク注文すると、お菓子がついてくる。ヴェルヴェ-ヌのハープティ選択。ティ-ポットサ-ビス。お得感かなりあり。

実際のところ、総合的満足感はかなりありと感じた。

いろいろな味覚の組合わせによる新しいフレンチの創造が、主たる命題とするシェフの今後の進化におおいなる期待をいだかせる一夜となった。

***2013年8月***

うつぼ公園近く本町通り南側に、美しき、フレンチレストランが、誕生しました。
その名をアニエル ド-ルといいます。
それは、フランス語で、フランスの古い金貨を意味します。
フランスで、4年間修行(主として、ノルマンディ-やバスク地方のミシュラン一つ星((ここでいいたいことは、スペイン料理の革新の原点はバスクにあることをお忘れなく))*中には、セカンドまで勤めたレストランも含まれる。)したシェフが、満を喫して、この地で、お店をオ-プンさせました。
カジュアルな雰囲気で、本格的フレンチを提供したいというスタイルのようです。
店内は、ベ-ジュを基調としたシンプルな構成でテ-ブル席のみであります。
今のところ、基本的に、ランチは、1500円のランチのみ。
その内容は、前菜*ニ品(肉か魚)からの選択。
メイン*ニ品(肉か魚)からの選択。 
デザート(二品からの選択)+ドリンクは、別料金で゜+500円となります。
なお、それ以外にできるだけ、要望にそうようにメニュ-の変更も可能なようだ。
すべて、前者選択

前菜 岩手県産ホロホロ鳥のバロティ-ヌ 胡桃 (4.2)

胡桃の軽やかな味わいに、旨みの満ちたクセのないホロホロ鳥のバロティ-ヌにフレッシュな香草*赤マランサスの組合わせ。胡桃の粉末のアクセントも華やか。軽やかな香草の香りに彩られている。そこに、低温調理されたデリケ-トできめ細かい淡白で柔らかい透き通るような味わいの鶏胸肉に、コリッとした食感のタスマニア産粒マスタ-ドの軽やかな辛味のアクセント。芳しくも美しき世界。

メイン 岩手白金豚 パインチャツネ*黒酢と蜂蜜のソ-ス (4.0)

ゆっくり火入れした、岩手白金豚は、弾力のある味わいで、かみ締めるほどに透き通る透明感溢れる甘味*旨み*味わいが、内から、外へと溢れてくる。内に秘めた女性的な力強さ感じる。アマヅッパイパインチャッネに、あっさりデリケートな黒酢と蜂蜜のソ-スの二重奏の組合わせ。付け合せは、姫人参と姫大根。とうもろこしのひげ*白茄子の組合わせ。

デザ-ト バジルシャ-ベット グレ-プフルーツ ココナッツス-プ(4.5)

ミニ*バジルの力強い香りにバジルシャ-ベットの蕩けるような舌触りにその香味。程よい甘さのココナッツス-プに、ここちいい酸味のグレ-ブフルーツの組合わせの妙 さくっとした食感のメレンゲ。

どの皿も現代的芸術の美しさに満ち溢れまさにア-トの世界であります。

そのスタイルは、明らかに、モダンフレンチの立場でありながらも、古典的価値感すなわち、モダンクラシックに配慮し、モダンスパニッシュの影響うけながらも、ネオビストロの要素を含みつつ、現代におけるモダンフレンチのあるべきひとつの姿を指し示す。

美しくも聡明である可憐な現代女性のごとく、その美しさは、今花開こうとしている。

  • (説明なし)
  • 外観
  • 店内

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