kaoru7さんのマイ★ベストレストラン 2014

kaoru7のレストランガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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今年もこの時期が訪れました。最近は、公私ともに忙しくなかなか新しく更新できるレビューを記述する時間はあまりありませんが、時間的ゆとりが生まれる時期が訪れるまで、今はある意味じっくり我慢のときと考えております。皆様のおかげで色々なお店の情報は、時間の許す限り、できるだけ目を通すようにしており、それなりの思考を形成しており、新しいお店の紹介につながればと考えております。また、私のつたなきレビューが、少しでも、読み手の皆様のお店選びの参考になれば至福の至りであります。いい年をお迎えください。今年もいい年でありますように。

マイ★ベストレストラン

1位

ル ヴァンサンク (心斎橋、四ツ橋、西大橋 / フレンチ、洋食、ケーキ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.4
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.4
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥6,000~¥7,999

2014/03訪問 2014/05/12

古き良き思い出と、新しき船出のために。

ひとつの時代の終焉へのアンソロジー。2014年3月。
創業40年続いた関西の文化的芸術価値としての文化遺産としての銘店が、幕を下ろす。それは、ある意味一つの時代の終焉を意味する。ビストロ ヴァンサンク時代から、知っている者にとっては、感慨深いものがあるのは確固たる事実。古典的芸術から脱皮したヌ-ベルの息吹を感じさせる名店であった。大阪では ホテル ブラザのル ランデブーという名店もあったのだが、町場のレストランとしては、その当時、ここがモダンであり、フランスに最も近い味わいでなかったか。80年に初めて、ここへ訪問したとき衝撃を受けたのは事実であります。正直 東京生まれの東京育ちの私にとって、フランス料理とは、東京の文化圏の一部であり、実際、大阪のフレンチは格下とみていたのは厳然たる事実。しかも、店名にビストロとついている。グラン メゾンと異なるビストロの店としての認識が強かった。いまでも、鮮明に記憶しているのだが、初めてここへ訪問したとき、魅惑的なミルポワの香りがした。やはり、素敵なビストロなんだなって感じた。しかし、提供される料理そのものは、ビストロの領域を超えた本格的フレンチであった。シェフは原シェフであったが。それは、やはり凄かったというべきだ。この時代近代フレンチをベースにした創作性*独創性における料理の安定度において、関西では、最高水準のグラン*メゾンのひとつだった。シェフの創作的意識がもっとも強かったのは、この年代では、なかったかと、個人的には感じている。貫禄としての90年代へとつながっていくのであるが。ただ、この地域においては色々な競争相手が、現れた時代でもある。シェワダやべキャスである。しかしながら、グラン*メゾンとしての総合的な満足度という感覚では、優位性が、あったと記憶している。しかし。バブル時代に多角経営として色々出店したことがひとつの足かせになった。グラン メゾンとしての存在意義を失わせたことに、結果的になったのではないか。バブルがはじけて、美食家達の意識も変わり始め、フレンチのあり方への要望も変革した結果、大いなる錯誤が生まれた。時代における対応性という意味において、若い世代とのギャップが生まれたのではあるまいか。敷居の高いフレンチより気さくなビストロやイタリアン。カロリ-的問題で、日常的ではない高額な高級フレンチ。これを日常的にすれば、それに対する代償は高くつく。その意味で割が合わないのである。グランメゾンはあくまでも、非日常の世界であり、これを日常的にすべきではない。その流れでいうと、フレンチのシンプル化*軽量化によって、日常化に取り込もうとするその時代の流れに即応できなかった。ないし、それに対応するスペシャリテがうまれなかったことが、ひとつの限界になったのかもしれない。横田シェフの時代になっても、その流れはとめられなかった。モダンクラシックといっても、あくまでも、クラシック的視点からのモダン的解釈がある種の限界を生み出してしまったのかもしれない。ただ、原シェフないし横田シェフのなした功績はいささかも色あせることはない。その文化的芸術的価値は普遍である。ル バンサンクは閉店となるが、この店を愛した人達の心の中には、永遠と息づいていく。そして、今はなき巨匠横田 知義氏に哀悼の気持ちを捧げます。シェフのスピリッツは、若い世代が引き継ぎ、その芸術性を進化させると信じるものであります。安らかにお休みください。今まで、本当にありがとうございました。


               ***********************


運命の時、真に時は満ち、今何を語るべきか。                                                                                        ここは、ひとつの形として、フレンチを取り上げたいと思います。                                                                               ただ、この分野は、私の好きな分野とともに、鬼門の分野でもあります。                                                                          それでも、なおかつ、はずせない深い想いがあります。                                                                                   あらゆる意味で、この店は、フランス料理における私の原点として、認識できるのです。                                                               その存在意義は、あまりにも大きい。                                                                                              ある人は、いいます。                                                                                                        ここは、フレンチ料理における聖地だと。                                                                                           なるほど、それは、ひとつの真実かもしれません。                                                                                      しかし、それで、すべて言い尽くせるわけでは、ありません。                                                                                別の見方もできるはずです。                                                                                                     古き良き時代の遺物だという考えもできるでしょう。                                                                                       グラン*メゾンなど、時代の流れに、逆行する無用の長物かもしれません。                                                                     某ガイドブックなどは、すべてが皿の上で評価すると。                                                                                    なるほど。                                                                                                              それでは、おもてなしの気持ちは、料理人のテクニックだけで、判断されうるものなのか。                                                               総合的な判断における、居心地のよさは、どこに消えてしまうものなのか。                                                                        サ-ビスとか、雰囲気はいらないのか。                                                                                            屋台のお店は、なぜ、対象外なのでしょう。                                                                                          私にはよく理解できません。                                                                                                    ここは、伝統的フレンチを近代的意味におきかえる結晶のごとき重厚さがあります。                                                                 それは、まさにポギュ-ズ達がはじめた、ヌ-ベルキュジ-ヌのスタイルの息吹があります。                                                               それがあって今の現代的フレンチがあるはずです。                                                                                      あるべき伝統の形とは、なにか、もう一度考えるべきです。                                                                                その上で、もう一度問い直すべきではないかと。                                                                                       伝統がすべて正しいとは、いいません。                                                                                             悪しき伝統もあるはずです。                                                                                                   それらは、批判継承していけば、いい。                                                                                            問題は、どう対話の機会を生み出していくか。                                                                                          食べ手と料理人やスタッフが、どんな文化を造形するか。                                                                                  問題は、そこです。どんどんメッセ-ジだしたらいい。                                                                                    沈黙は、何も生みません。                                                                                                    彼らも、humanであって間違いも侵すでしょう。                                                                                         それは、指摘すればいい。                                                                                                    彼らが、今まで普及してきたフレンチにたいして、それなりの評価を与えてあげるのが道理であるまいか。                                                     大切なことは、伝統と現代が、融合することで、新しい文化*文明が、創造される。                                                            その意味では、外せないし、外すべきではない。批判的対象となる、近代的フレンチとは、なにか、考えるには、名店のひとつ。

  • 外観
  • 看板メニュ-
  • 店内

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2位

ユニッソン デ クール (なにわ橋、北浜、南森町 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.9 ]
  • 昼の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 4.9 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2014/01訪問 2014/06/29

未知なる可能性に満ちた若き彗星

2014年 初頭。
今日は、ワインラバー達と、べキャスを食べにきました。関西における、ビストロとしてではなくフレンチにおけるジピエの銘店なら、総合的観点から、渋谷氏率いるラ ベカスか、高田氏のラシームか、手島氏率いるタテル ヨシノが、個人的には好みであります。伝統と革新という意味では、いずれも、伝統的なアプロ-チであります。どの店にすべきかは、実際迷った。あるいは、未知数だが、レストラン ディファレンスというカードもあった。あまりにも、昨秋食べた雷鳥の火入れが魅力的で、予見可能性として、かなり、期待感あったのは、正直なところ事実であります。和歌山はやや遠い。巨匠渋谷氏は、四ツ橋時代と比較すると、料理哲学としての信念はいささかもぶれないのだが料理そのものはフレンチとしてはややぶれる要素もある。ある意味、もっともフランス的で魅惑的だった、ロビション氏やアラン シャペル氏のそれを彷彿させるフランス的エスプリ感じるのは、四ツ橋時代という印象が強い。現代は、むしろ、和食との融合ないし配慮や中華的発想との統合感が強く、それはそれで楽しめるのだが、純粋なフレンチという概念からすると、やや変化級が強すぎて、本当に食べなれたグルマンでないと、理解できない難解な部分がある。それは、一つの進化形なのだか、若い世代にとっては、齟齬を感じる部分もあるのが実際のところ。そこはある意味、グルマンの聖地的領域である。その意味で、ラシ-ムか、ここかと直感的に感じた。両者とも、感動の時間を共有できるのは、真理的命題としての客観的事実である。今回、シュブラルブランの1949年をとことん、堪能するベキャスとのマリア-ジュで、至福な時間の光彩という意味で両者とも、甲乙つけがたい時間を享有できることは、容易に予想できた。結果的にここで至福の時間となったが、ラシ-ムでも恐らく同様の感涙たる時間となったと想像するが。ジピエという野性的側面を強調するなら、マリアージュ的には、コ-トロティがいい相性見せるのが定説であるのだが、洗練された野性味という意味では、ペトリゥスやシュブラルブランなどの偉大で耽美的な古酒がいい。そのマリア-ジュが麗しくも美麗なる感性的な味覚の調和感の提供となる。ここでは、1929年の後者とあわせて、感動のひと時を感じたのは、記憶に新しいところであるが、今回のそれは、遙かに上回る味覚の記憶となった。ただ、個人的には、故横田シェフが,ロ-ズルーム時代にみせた、1961年のペトリゥスや1949年のシュブラルブランを使用した芳醇なソ-スと、べキャスとそのワインのマリア-ジュという意味において、これを上回らない。あるいは、ガーデン時代にみせた、故松本シェフが作って魅せた1949年のシュブラルブランの赤ワインソースとべキャスとのマリア-ジュにおけるシンプルな美味には、及ばない。ただ、料理そのものとしての完成度はきわめて高い。素材の状態を見抜きそれに適した精妙なる火入れにその味覚を芳醇にするソ-スの選択の多様性の選択肢において比肩するものはない。ただ、今回テ-スティングしたワインとのマリアージュにおいて至福であったが、永遠へ続く感涙のときめきたる時空を超えた共感とは別次元問題であるが。ただ、これは、現代的嗜好と伝統的価値感との相克の問題かもしれないが。

2013年の記憶
ひとつの新しい感性がひとつの新しい未知なる時代を形成する。その意味においてもこのお店は稀少的存在といえよう。ビォデナミや醸造といったワインの思考を料理法にとりいれようとする。例えば明確に、それを意識させるのが自家栽培の香草である。ビオの法則に従い、カモミ-ル*ヴェルヴェールは、午前11時に摘むそうだ。それが香りがいいという理由からである。しかしながら、シェフの思考の中には常に古典的な伝統料理がありそれをいかに現代的に再構築するかという意識も矛盾なく両立している。その意味あいでいえばソ-スの重要性もまた重視する。毎日、ジュを骨から色々な数種類のソ-スをつくり、それらを毎日つけたしていく。日本的にいえば、鰻屋のたれの思考である。そのソ-スを多様に使い分け、現代フレンチをつくりだすことが、今の理念である。しかも、日本人である以上日本の食材とフランスの食材をたくみに使い分けフランスと大阪の感性でフランス的技法で構築するところにある。しかも、それがワインとのマリア-ジュという点で感動する料理を創造するところに現在におけるシェフのあり方があるといえよう。しかしながら料理は時代とともに生きているという意識もありどのように変化していくかは、時代の流れを吸い込み、そして自由闊達に変遷していくようだ。その意味でいえば、柔軟に変化していく姿に期待するひとりである。それはある意味、料理人の宿命といえるかもしれないが。シェフは私的には赤い彗星*シャア*アズナブルのような存在のように映るが。

2010年の記憶

若き巨星のごとき彗星が、神に導かれし西天満に象徴のごとく登場した。                                                                        北浜駅26番出口より徒歩5分の場所にある。                                                                                         とりあえず、ランチタイムに訪問した。                                                                                              ム-リスのソ-ス部門出身の坂本氏は、弱冠32才。フランス人シェフを引き連れての凱旋である。                                                           驚くべき若き才能を強く感じた。もしかしたら、将来hajimeやトゥ-ルモンドに匹敵する存在になるかもしれない。そんな予感さえある。恐るべき才能に魅了された。このまま、順調に、才能を開花させて頂きたいと期待するひとりである。                                                                                              ランチ*ディナ-もコ-ス料理のみ。                                                                                               ランチタイムは、3200円と5200円の2つ(サ-ビス料+税金込み)。                                                                            今回、私は後者を選択。極めて、CPの高い内容である。11品ついて5200円は、安い。                                                                 店内は、白を基調としたシンプルな店内だが、テ-ブル席は、ゆったりとられゆとりが感じられる。照明は、明るくここちいい。BGMはない。                                                                                             
***料理*味*** 
アミュ-ズは3品 ドレも軽い味で仕上げられており、これから始まるコースの期待感をいやおうなしにも高める内容。                                                                                              
***カリフラワ-のヴェロ-テ(4.0)***
ヴェロ-テと思えないほど、軽く仕上げられており、滑らかな舌触りに、カリフラワ-の旨味が、優雅に凝縮しておりなんとも美味。ヴェロ-テというより、ス-ブのイメ-ジに近い。付け合せの野菜をカリフラワ-の旨味で包み込む柔らかさは、なんともいえない絶妙なバランス感覚を感じさせた。                                                                                               
***ほたてのプ-タンブラン(4.0)***
スモ-クしたほたてに、ブ-タンブラン 付け合せは 茹でたズツキーニとからっとあげたその葉に青梗菜 ソ-スは軽く仕上げられたプ-ルブラン。柔らかい口当たりの帆立の甘味にブ-タンブランの淡白な味が、すこししゃりとするズッキーニの軽い酸味にうまくあい、すこし甘いがシャ-プな味の滑らかなプ-ルブランといい調和で、料理の旨味を増加させる。はらりとくずれるズッキーニの葉も心地よいアクセント。青梗菜も違和感なくこの世界になじむ。輪郭のはっきりした料理。                                                                      
***鳥賊類のパエリア(4.0)***
スペイン風のパエリアと異なり、サフラン風味のパエリアの上に、鮮度のいい厳選された鳥賊類をレアに近い状態におき、エレ-ションのソ-スで食べる。アクセントとしてのきざみ黒オリ-ブが、食欲を刺激する。鳥賊類は、それぞれ、最高の状態にあり、純粋に美味い。                                                                        
***ファアグラ チェリ-ソ-ス(4.5)***
ファアグラは、低温調理 ソ-スは、チェリ-の果実味にあふれ、ファアグラの甘味と好相性。チェリ-の酸味が、ファアグラの甘味をひきたてる。オレンジ風味のチュイルもパリっと焼かれ、煎餅のごとき食感が、ファアグラの滑らかな触感といいハーモ二-を生み出す。オレンジの風味も心地いい。                                                                 
***鱧 ラベンダ-ソ-ス(4.5)***
筋ぎりされた鱧は、弾力があり男性的な味わい。カムほどに旨味に溢れる。春キャベツのオンブレも優しい甘味のある味で、鱧の存在感を高める。軽やかな花香るラベンダ-ソ-スもデリケートに、デュリの香りとともに、鱧の力強さを包み込む。                                                                                
***黒豚のロ-スト(4.5)***
素晴しいの一言 黒豚の素材が最高 その旨味を見事な火入れでひきだし、頂点まで、豚の持つ旨味を引き出している。外側は、ややかりっと焼かれ、中心部は、柔らかく、ジュ-シ-。hajimeの豚が100点なら、90点ぐらいの品質。素材の旨味の引き出し方は同じぐらいうまい。ただ、調理法は、対照的。香草のロ-ズマリ-も、自己主張強くなく豚の旨味をそそる。付け合せ野菜の甘味も、それぞれに豚と美味くなじむ。見事なできばえ。                                                                                                                 
***デザート(3.5)***  
デザート類は、まずまず。バジルのグラニテは、バジルの風味もあり、シャリ感もあるが、林檎との相性がいまひとつ。クレ-ムブルュレは、90年代ベカスで食べたそれのほうが、一枚上 あるいは、本場 ジャマンで食べた方が美味だった。                                                                            
サ-ビスは、つぼを押さえたサ-ビスで悪くない。しかし、マニュアル通りに完成されたサ-ビスのhajimeやサ-ビスを超えたサ-ビスのシャンポ-ルには、いまひとつ及ばない。                                                                   今後大きく成長していく将来有望な新進気鋭の名店

***再訪(6月)***
やはりいい。上り坂にある店特有の明るさが眩しい。+1000円でメインをシャラン鴨に変更。好い鴨だった。ロゼに焼かれた鴨は、弾力があり、しかも柔らかい。魚だけでなく、肉質の吟味*料理も素晴らしいトキメキもらえた。飲み頃のシャンペルタンといいマリア-ジュみせた。馥郁たるトリュフの香りと熟成した果実味が、鴨を包み込むさまは、見事。あとさきになったが、鮭もいい鮮度で、さっと焼いて中は、レア。脂身もなく、クリア-な味わいだった。キャラメゼしたほのかな大根の甘味が、いい相性。今回、デザートは、かなりいい。こういった完成度の高いデザ-トを安定的にだせるようになると、好印象。試行錯誤の段階だが、関西屈指の名店になる有力候補のひとつ。

***再訪(7月)***
真夏の到来に対して、シェフは涼しげな料理提供しましょうという事で今回再訪となった。しかし、言葉と裏腹でかなり充実した深い内容となった。今回も大満足である。どれもこれも納得するものばかりであったが、特に印象に残る料理を記載したい。

***青森帆立 夏野菜とトマトのプロヴァンサル(4.0)***
まず生の帆立の鮮度が素晴らしい。肉厚で旨味が凝縮している大降りの帆立のコリコリした食感に加えその最高の甘味が、あっさりしたプロヴァンサル風ソ-スや色々な夏野菜と融合しハ-モ二-奏でる。美味しい。

***サンモンミッシェルム-ル貝のヴェロ-テ カプチ-ノ*サフラン(4.0)***
ほくほくしたム-ル貝にサフランとカレ-風味の滑らかで軽い優雅なヴェロ-テが心地いい。

***ブルタ-ニュ*ホロホロ鳥 クレオ-ル風(4.5)***
今年食べたホロホロ鳥のなかでは、最高のひとつ。
最高品質の素材に、最適の火入れ。部位ごとの旨味が、極限まで引き出され見事の一言につきる。胸肉は、低温調理だが、最後は高温調理で仕上げられている。
皮はうっすら焼かれ香ばしく、中は柔らかくジュシ-な味わい。噛めば噛むほどに、旨味が溢れてくる。腿肉は、筋肉質でシャ-プで引き締まった味わい。ソ-スはクレオ-ル。素材を引き立たせる程度に軽いが濃密である。

***オレンジのジュレとテュイ-ル ロ-ズマリ-のババロワ-ズ4.0)***
柔らかい酸味のオレンジのジュレとテュィ-ルがいい食感。
ロ-ズマリ-の風味も程よく、夏向きのさわやかな一皿となった。

まだまだ、いい夢がみれそうだ。

***8月再訪***
長年にわたる友人のひとりと食べるフレンチとして考えたのが、ユニッソンだった。
彼も相当の食通である。
その彼を感動させるためのフレンチレストラン色々考えた。
革新的フレンチのhajimeにするか、近代的視点から、現代フレンチを再構築するトゥ-ルモンドにするか、ネオクラシックのシャンポ-ルにするか。モダンクラシックのル*バンサンクにしようか。
色々考えたあげく、近代的フレンチと現代的フレンチの融合という視点から考察したとき、最も適しているフレンチレストランのひとつとして考えた結果からこの店の選択となった。
しかも、登り坂にあるシェフへの期待が、動機となった。
シェフの立場は、現代フレンチであるが、そこから、近代や古典的フレンチも,視野に入れるスタンスにある。
久しぶりに愉快な時間が、過ぎてゆく。
アミュ-ズに天然真鯛の刺身でたが、脂ののりといい身のしまりといい最高の口当たりだったので、明石鯛かとシェフと話したが、愛媛だという。愛媛もいい天然真鯛の取れる産地だという。
厨房から、大きな天然真鯛をみせてくれた。あまりにも美しい光稀な色合いが印象的だった。
コレを、1日2日熟成させて、焼いたら美味いというシェフの言葉も記憶に残っている。
マテ貝を食べたときも、鮮度がよく、コリコリした食感が心地よかったので、美味いなというと、シェフが生の大きなマテ貝をみせてくれたものだ。

素材の絶妙なキュイソンと複雑なソ-スの相性も、まだまだワクワクさせてくれる。

ドレもコレも、印象に残ったが、特に印象深く残ったのが**夏鹿のシェブルイュのパイ包み ソ-スペリグ-**である。
ある意味こういった古典的な料理もシェフは、現代的に美味くつくれるところをしめしたかったのか。
パイの焼き加減もよく、さくっとした食感が、夏鹿のコクになじみ、ぺリグ-ソ-スと美味くなじんだのだ。
古典的でありながら重すぎず仕上げられたソ-スのバランス感覚は、すばらしいものだった。
シャラン鴨のキュイソンは、いつもながら、絶妙だった。
モ-ッアルトピアノ協奏曲9番を聴いている心境になる。
食後食通の彼も、感動しここの誕生は、90年にラ ベカスできて以来の衝撃ではあるまいかと話していた。
至福な時間を過ごせたコトは、人生のいい思い出となった。

***8月末再訪***
ひさしぶりに、鮑が食べたくなりました。
色々考えた結果、この時期ここで、食べておくべきではないかと考えました。
私には一種の天命のように感じたのです。
相談の結果、シェフのおまかせコースのひとつとして鮑のコ-ス作っていただくことになりました。
ありがたいことです。
私の時間の都合上、本来 ディナ-タイムに提供される内容ですが、ランチタイムに、料理していただきました。
うれしいことです。
ワインは、料理とのマリア-ジュとの観点から、アンドレ ラモネのバタ-ルモンラッシェがいいと考えました。
シェフのスタイルからすると、アンドレぐらいの方が、最適とおもいます。
ヴィンテ-ジは88年がいいのではないか。
硬い酸味が、柔らかくなり、果実味とのバランスがとれてきた今こそ、飲み頃と考えたからです。
いつもながらのアミュ-ズから、優雅な時間の幕開けとなりました。
***黒鮑 ビートラブのクリエ-ション(4.5)***
ビ-ツのジュレに、生まぐろの角切りに薄切りの鮑が乗っています。マグロの柔らかい食感にややこりっとした鮑の味の食感にいいリズム感を生みます。それらをビ-ツのやさしい酸味が引き締めます。鮑のほんのりした甘味がマグロのコクにあいます。バタ-ルの果実味が、それらの世界をより芳醇なものにひろげます。
***ホロホロ鳥と夏野菜のタルトレット(4.0)***
タルトの上にパンダド-のロティに夏野菜 ソ-スは、玉ねぎのエスプ-マ 柔らかく弾力のある鳥に夏野菜に軽い玉ねぎの風味が、来たるべき秋の気配を感じさせました。
***鮑のキモのファゴティ-ニ(4.0)***
鮑の肝のコクに、カボチャのラビオリの甘味がいい相性。
***徳島産黒鮑 かさご たまねぎのデグりネゾン(5.0)***
めちゃくちゃ美味い 玉ねぎの甘味にかさごのやわらかさと旨味に黒鮑のデリケートな磯の味が、複雑にしてシンプルな味と構成に、新時代の新しい美味さを感じた。
バタ-ルの果実味と酸味が、複合的な美味さをより複雑なものにする。
***子羊のセルのロティ(4.0)***
子羊はクセがなく、噛むほどに旨味に溢れる。羊のハンバ-グも柔らかく美味い。付け合せのいんげんやししとうも肉の味に美味くなじむ。
***タイムと巨峰のグラニテ(4.5)***
タイムの香りに巨峰の甘味がいい。噛むほどに洗練された甘味に溢れる。バラの花もここちいい香りに包まれる。
***テリ-ヌ*ショコラ ソルベフランボワ-ズ(4.0)***
フランボワ-ズの酸味と甘味の口どけのいいソルベが、ショコラのクッションのような生地と甘味に見事な調和みせた。 

新しい時代の新しいときめきを感じた夏の午後 
それはきっと新しい地平線をしめしているのだろう。

***再訪 10月*** 
シェフのお任せ 15000円 コース(12品)頂いた。
メニュー内容は以下のとおりである。 
アミューズ(5.0) いつもながらの安定したおいしさ
サツマイモとクルミのヴェローテ クロミスキー(5.0)) さつまいもとクルミのバランスが秀逸 クロミスキとの相性もいい。
丹波鳥 トランペットジロールダケ シャピニンのロワイヤル(4.5)秋の風味が、鶏の旨味を包み込む。
フオァグラと黒トリュフのブレス(5.0)以下に記載あり。
ラ ブイヤベース マルセイエーズ(4.0) マルセイユの地方料理の現代解釈 魚介類の鮮度もよくヴァプールで魚介類の旨味をひきだしている。その上からブイヤベースを振りかけている。魚介類の鮮度の旨味が引き立つ。
鬼カサゴ(4.5) キュイソンが見事。
ペルドロー(5.0)以下に記載あり
フロマージュジュール(4.0) コート*ドール時代のチーズには、まだ及ばない。
タイムのグラニテ 梨のコンポテ(4.0)タイムの香りにグラニテのシャリ感が好印象。
オペラ ショコラ (3.5) コーテイングしているチョコレ-トが。甘すぎるのが難点。
お菓子(4.0)
カプチーノ(4.0)
ドレも、コレも、完成度の高い料理ばかりだが(オペラ ショコラは、いまひとつ) 特に印象に残った料理について記載しよう。
今回 ジピエのヨーロッパ産ペルドローが入荷し、調理していただいた。キュイソンがすばらしかった。まさに芸術的だつた。こういった白身の肉は、しっかりした火入れこそ、コクが感じられる。赤身の肉と異なりバサつきやすいため、充分な加熱で。コクをひきだしつつ、アロゼして表面の乾燥ふせぎつつ、プレゼして仕上げる。食べると、しっとりした食感が、繊細に感じられ、コクがありながらも、独特な風味と淡白な味わいが見事に調和し響きあう。ソースは、そのジュを中心としたソース。あくまでもペルドロ-の旨味を深遠にする程度に存在する。モーツアルト的軽妙さでありながらも、奥行きのある深遠なる深みに感動(5.0)
***フォアグラと黒トリュフのプレス(5.0)***
ロティしたシャラン産鴨とフォアグラと黒トリュフをジュレでサンドして食べる。
弾力のあるコクと旨味のある鴨とデリケートなフオァグラの甘味と、こりっとしたトリュフが、優しい味わいのジュレと融合し四重奏奏で官能的なトリュフの香りで、全体を包み込み、有機的統一体になる様は、モーツアルトの弦楽四重奏のごとく、軽やかでありながら、より深い存在感 深みを感じさせる。
アクセントのネギの苦味もいいアクセント。今年 食べた五感で感じた最高のスペシャリテのひとつ。

ワインは、1976 シャトー ラフィット ロートシルト(ポイヤック1級)70年代最高の年のひとつ。スパイシーでシーダ-の香りにプラムの香りが絡む。うっとりするブーケ 後からトリュフの強い香り 濃縮した果実味に優しい酸味 丸みを帯びたタンニン シルクのごとき舌触りに長い余韻は、うっとりするほど魅力的。
繊細でありながらも内に秘めた力強さ感じられる。その麗しき女性美はまるで現代のディーバ ナタリ デッセイの歌声のようだ。
フォアグラと黒トリュフのブレスと最高のマリアージュみせたことは、いうまでもない。

サービスは向上しつつあるが、まだまだ物足りない部分は残るのは事実
しかし、それを超える料理の完成度の感動は、五感で味わえる見事なものだ。

美しきトキメキと新たなる感動が、明日への希望へといざなう希有の存在

**2011年2月再訪***
***今季至高のベキャスに感涙した思い出に乾杯***
***2011年7月再訪 感動の天然鮎とブレス鳥***
以下 下記記載と写真は、日記とコメント欄をごらんください。

  • お店のシックなロゴ
  • 黒鮑の殻
  • バタ-ル モンラシェ 1988  アンドレ ラモネ

もっと見る

3位

レストラン シャンボール (中之島、新福島、福島 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2014/04訪問 2014/08/20

再訪 老舗ロイヤルホテルの威信をかけたグランメゾン

***2014年***
2014年4月よりシャンポ-ルは、ディナ-タイムにおいて、両巨頭のスタイルのフレンチが食べれるようになった。フレンチファンにとっては嬉しい限りであります。すなわち、太田総料理長と豊田料理長の二人の作り出すロイヤルの至宝というべきフレンチを同時期に進行的に味わえるという魅力的な企画であります。同じ松本シェフの門下でありながらも、フレンチに対するアプロ-チは、共通する側面を共有しながらも。異なる側面もあるようだ。ネオクラシックという概念の捉え方にしても、現代フレンチ的視点ないし思考から、捉える立場と近代フレンチ的視点から、現代的に解釈ないし解析する立場のようだ。食べ手からすると、料理の楽しみの幅が広がるという意味ではいい時代を共有できる楽しみがあります。その意味で言うと、今ほどシャンポ-ルが充実している時期はないといえるかもしれません。

***再訪 2013年10月***
米津*三浦*太田シェフの時代から豊田シェフの時代へ。
新たなる視点からのネオクラシックへのアプロ-チ。
シャンポ-ルというグランメゾンは、いつの時代もあるいは、時代を超えてネオクラシックというスタイルに,首尾一貫している。
但し料理長が、交代することで、それに対するアプロ-チなり視点が異なるのは、それぞれの料理長の哲学の反映の結果なのであります。
今回、料理長が新たに豊田シェフに交代したことで、シェフのスタイルをデッサン的に参考までに記載しておくことが、参考になると思い、字数制限の関係から、素描にならざるおえないことを御了承願いたい。
まず、シェフの料理哲学を形成する上で大きく影響を与えたシェフとして、大切な偉大なる二人のシェフがいるとおもいます。
ひとりは、引退したジェラ-ル ポワイエ氏 もうひとりは、故松本 弥成氏のふたりであります。
両者とも、モダンクラシックの巨匠であります。
両者'ともに、最高級の素材の吟味にこだわり、その素材のもつポテンシャルを最大限に引き出す手法にこだわった。
その考え方が、シェフの料理を形成する基盤であります。
したがってシェフのスタイルはあくまでも、モダンクラシックのスタンスから、現代的な要素を加味しながら料理を提供するスタイルが、基本的なスタイルであります。
その意味では、伝統を大事にしながら、時代に合わせて、現代的な手法も取り入れて行くスタイル。
まさに、王道のフレンチのスタイルといえるでしょう。
ただそこにあえて加える要素としては、高級フレンチらしからぬ素材との融合。
松本シェフはとりわけ、普通フレンチでは使用しない日本の食材との融合も試みた経緯と同じ感覚がシェフにもあるようだ。
食べ手をあっと驚かす仕掛け工夫が、さりげなく装置されている。
一種の遊び心みたいだ。
そういった感覚が、グランメゾンにおける料理の一種の緊張感みたいなものを和らげる効果を狙っているのかもしれない。
ある種の関西的なミヤビともいうべき遊びの文化が、ここにも、密かに反映しているのかもしれない。
そんな遊び心を探すのも、フレンチの楽しみ方の一つかもしれない。
グランメゾンという枠内でありながらも、可能な限りコスパの優れた料理を提供するスタイルは、今だ、普遍であります。
その意味でも、やはり、関西を代表するグラン*メゾンだといえよう。
また、それにあわせたワインとのマリア-ジュにおいても、マスターソムリエの的確な判断やウィットに富んだ接客や日本の感性に基ずく心の琴線に触れるサ-ビスは、いぶし銀の如く伝統に彩られた色あせないものであります。
それは、日本の文化であり、大阪の美意識でもあるように感じられます。
国際化になっても、失ってはならない伝統文化のひとつといえるのでは、ないでしょうか。
日本の常識を世界の常識にしていくことが、大切だとおもいます。
それが、日本の美意識ないし誇りとしての存在意義だとおもいます。
なお、シェフのコ―スの組み立て方は、奇を狙うことなく実にオ-ソドックスな正統派的構成力であります。
前菜2皿にス-プを挟んで魚*お肉料理へ至るまさに至福スタイルであります。
最後に甘すぎないデザ-トで〆るところは、まさに現代的なスタンスに対する配慮というべきものでしょう。
簡単に料理に対する印象綴りましょう。

***タスマニアサ-モンの瞬間スモ-ク 胡瓜のヨ-グルト添え 人参のク-リ***

絵画的に美しい配置に色彩感。見た目の美しさとともに、立体的な存在感を感じさせる配置の構図。まず、目で楽しませてくれます。鮮度のいい生のタスマニアサ-モンに煙製香をつける。強すぎると酸味*苦味がきわだち、弱いと生臭く感じる。その辺が、テクニックのみせどころであります。モダンスパニシュみたいに、素材に、軽やかに香りを移すための煙製香の活用の仕方とは異なります。このへんは、まさに正統派フレンチらしいアプロ-チであります。その上にはヨ-グルトと胡瓜を合えたもの。さらには、見栄えを浴するための効果と、爽やかな印象的な使い方として、スプラウトがのせてあります。人参のク-リに、ルッコラのゼリ-そのうえには、キャビアが載っています。塩分ほとんど控えめで、素材だけの味付けで、組み合わせてあります。臭みのない、弾力の感じられるすっきりしたあじわいのサ-モンに、胡瓜の混ざったヨ-グルトの軽い酸味に、スプラウトの苦味のコントラストに、、ルッコラや人参のク-リの味わいが絡んでゆきます。

***オレンジ風味の飴を纏ったマンゴと鴨フォアグラのソテーアンディ-ブプレゼ添え***

豊田シェフのスペシャリテのひとつ。フレッシュのフォアグラを焼きマンゴをのせてオレンジの飴でコ―ティング。パイナップルのクリスティアン。フォンドボ-のソース。フォアグラの濃厚な香り。蕩けるフォアグラの食感と、カリカリの固さの飴を纏った果実味に溢れるマンゴーの触感の対比の妙。オレンジの柑橘類系の酸味*アンディ-ブの苦味*複合的に重層的に絡み合うねっとりするマンゴ-の果実の芳醇な甘味に、フォアグラの官能的な陶酔するような甘味が奏でる豊潤で豊満な響あうひととき。五感を刺激する味覚と香りの融合。

***マッシュル-ムのポタージュ カプチ-ノ仕立て ブルサンアイユチーズのクリーム添え***

ポタ-ジュそのものは、やや塩分が強く濃厚な味わいであるが、ブルサンアイユチーズのクリーム挟んだ生のマッシュル-ムをス-プにつけて食べると塩分バランスがとれ、口どけは軽く後口には、デリケ-トな余韻がここちいい。ふわっと広がるマッシュル-ムの旨み。コクのあるチ-ズが、いい調和感を持って融合し、昇華する。素敵なアンサンブルの結晶。

***モンサンミッシェル産ム-ル貝と帆立貝のマリ二エ-ル***

ポワレした分厚い帆立の上には、セロリの葉。これが、爽やかに華やかで香ばしい香り。分厚い帆立は、完熟した甘味*旨みに満ち食べ応え十分。ソ-スとの相性も悪くない。ただ、モンサンミッシェルのムール貝がいまひとつ。今年7月に食べたユニッソン デ クールのそれは。まさに、ドビッシ-の喜びの島の旋律線のごとく、旨みに満ち最高の味わいだった。まさに死せる貝が、もう一度、華やかに生を得て舞い踊るようだった。まるで、ヴィオレッタの最後の命の輝きのごとく美しさに満ちていた。

***シャロレ-産仔牛ロティ茸とカリフラワ-のテり-ヌ添え リブザルトワインとヴァニラ香る甲殻類のソ-ス***

程よい熟成感の感じられる仔牛は、食べると弾力あり、赤身のあっさりした肉質のまずまずのあじわい。面白いとおもったのは、シャンポ-ルでは、こういった甲殻類のソ-スを肉類にあわせて食べるのはやや記憶にない。ややアンバランス的な感覚もするが、面白い試み。ただ、もうひとねりあると、もっとよくなるかもしれない。

***デザ-ト***

モンブランと洋ナシのソルベの組合わせ。モンブランにその粉末添えてある。構造は、クッキ-生地に生クリーム*刻み栗に、マロンクリームで包んでいる。甘さ控えめで、素材そのものの味覚をひきだしている。甘すぎないモンブラン。洋ナシのソルベのざっくり感とともに、ここでも、甘さ控えめの妙。

***お菓子***

最後の余韻を楽しむ可愛いお菓子達。ここでも、手抜かりはない。

***再訪(2011年11月)***

ランチタイムは、グランメゾンの息吹をすこしでも感じていただこうというスタイルに変貌してきているようだ。
それもひとつの時代の流れであろうか。それもそれなりの価値があるとおもえる。
私はそれを否定するものではない。
しかし本当の伝統のグラン*メゾンとはなにかは、やはりディナ―タイムにあるのだろう。

それといつもながらありがたいと感じるのはガストロノミックフェアを開催してくれることである。
フランスの息吹をすこしでもこの日本で味わって頂きたいというスタイルはありがたいことだと感謝している。
今回は、フランス*ミシュラン二つ星のフィリップ*ゴブロー氏が来日するということで訪問しました。
南仏のジャック*マキシアンを尊敬し、自分の料理を太陽がサンザンと輝く南の料理と語る。その料理のうち印象に残った料理を記載しよう。
***アサリのファルシ マリニエール風トマトコンフィ添え***
あさりの磯の味わいと弾力ある味わいにトマトコンフィの酸味の二重奏がここちいい。南仏を感じる温かさがなんとともいえない。
***ヒメジのポワレ 柔らかな酸味の野菜 ヴェルヴェーヌの香り***
柔らかくジュシ―なヒメジにやや酸味の感じる軽いあじわい。ヴェルヴェーヌの香りが心地いい。

***ブルタ-ニュオマ-ル海老 蟹 青梗菜 ライム風味ココナッツのブイヨンとともに***
ブルタ―ニュ特有のヴァニラのような濃厚な甘味のオマール海老のうまみに繊細な蟹の風味 ここちいい青梗菜の旨みに酸味の利いたライムにやや甘味を利かせたココナッツが美味く交じり合い弾力のあるオマ-ル海老の旨みをひきだす。純粋に美味い。

***エトフェしたシャラン鴨 ゴブロ―スタイル***
とろけるような柔らかいシャラン鴨の旨みになんともいえない美味しさ ワインベ―スのソースがその旨みをます。ゴブロー氏が特別に契約している農家から今回特別に輸入されたもの。特上とも言うべき味わい。かみ締めるごとに滋味の味わいに感涙。なかなかコレを上回るシャラン鴨はであえない。

***苺風味のフレンチト―ストとバニラ風味のリ*オ*レ赤いフルーツシャ―ベット***
苺のあまづっぱい酸味がここちいい。薄地のフレンチと―ストとの相性もいい。滑らかなラズベリー中心としたフルーツシャ―ベットといいマリア―ジュ バニラ系のム―スもほどよい甘さで苺の甘ズッパサをさわやかにさせる。

参考までにワインは1971年ミゥジニ―VV 作り手はヴォギェ バッセンしたとたん花びらのような芳しき花の香りに包まれる。シルクのような舌触りに豊満な果実味に力強いアルコ―ル綺麗な酸味に長い余韻。美しきビ―ナスのごとく女性像が現れる。シャラン鴨と見事なマリア―ジュ。天国を歩いているような時間だった。至福のマリア―ジュ

***再訪(2011年12月)***
今日はフランス産メスの雉を食べにきました。フェサンタ―ジュの語源はここからきました。〆てすぐは、身が硬いく旨みも少ないため数日熟成させます。脂を落としながらじっくりアロゼしながらじっくり火入れします。肉の繊維がしっかりしており弾力があります。白身で脂がよくのりながら淡白な味わいです。食べるごとにジュシ―さが感じます。部位は胸肉です。ソ―スはサルミですが軽やかな味わい感じます。雉の旨みをひきたてます。実にうまい。

後先になりましたが、***ふぐの白子とトリュフのポテト包み焼 エシャロット風味のバルサミコソ―ス***は絶品でしょう。とろけるような下関のトラフグの白子にスライスポテトのポテトチップみたいなかりっとした塩けにトリュフの香りが見事に融合します。それにバルサミコの酸味が交わリ絶品の一言でしょう。エシャロットの軽やかな香りもここちいい。

***マロンが入った雉の田舎風ス―プ***も身体が温まります。雉のス―プにマロンに雉のすり身が美味く溶け合いおいしいですね。滑らかな舌触りに優しい味わい。心が和みます。

参考までにワインは1937年 リッシュブ―ル DRC 。バッセンしたとき香りはややかれつつありましたが、滑らかなビロ―ドのような舌触りにとろける退廃的な果実味に優しい酸味丸くなったタンニン まるでキャンディをなめているような感覚 素晴らしいフィネス 長いシルクのような余韻。ヴォ―ヌロマネのエッセンスを詰め込んだ味わい。信じがたい存在感。これこそ神の雫のあじわい。雉とのマリア―ジュは奇跡とも言うべき時間をかもしだした。ブラボ―と何度叫んだことか。それはまるで奇跡のような時間だった。
              *****************************************

シャンポ-ルにかよって、20年以上になる。
こうなると、お互いの恋愛関係も、夫婦関係に近いものになる。
話さなくとも、ツ-といえば、カ-のなかである。
恋愛関係が終了しないのは、この店の居心地の良さにある。
その最大の理由は、この店のサ-ビスにある。長年培われた老舗ならではのサ-ビスが、私を捉えている。
料理のスタイルは、ネオクラシックスタイルで、一貫しているのだが、料理長が変わるたびに、微妙にかわるので、その点が難点といえば、難点である。

この日は、ソムリエの誕生年の83年飲みたいということで、ブロ-ドベンド大先生、大絶賛のこの年の シャト-マルゴ- を飲むことにした。83年は、腐敗病の発生した年で、葡萄の選別がうまくいった生産者だけ、偉大なワインを作った。マルゴ-もそのひとり。あと、タニックな年なので、果実味*酸味のバランスがとれるかどうか微妙な年である。開けた瞬間、熟成香が前面にでてきており、熟成のピ-クであることがわかる。すみれの花*動物臭*腐葉土*コ-ヒ-*なめし皮など複雑な香りに濃厚な果実味。

舌触りは、まさに、ビロ-ド。酸もやわらかく、タンニンも丸くまさに、飲み頃。ストラクチャ-もしっかりしている。余韻も長い。
横に居たシニア*ソムリエも、喜んだ。これこそ、まさに、ボルド-女王の真の姿であり、マルゴ-スタイル。
保管さえ、よければ、あと10年は、もつだろう。 
*フアァグラのソテ-* は、鮮度も、よく、火入れもいい。甘めのソ-スも、フアァグラのもつ濃厚なあまみの邪魔にならないほど繊細な味。マルゴ-の濃厚な果実味が、これとあう。食が進む。 

*ヌシマのハモ* も鮮度がよく、しっかりした歯ごたえがあり、*サフランス-プ*も軽くしあげられており、古典的スタイルであるが、妙に心に残る。 
*子羊のロ-スト* もロゼ色に焼かれ、食感も弾力があり、実に、うまい。
ワインともあい、食が進む。
デザ-トは、 *しょうがといちじくのアイスクリ-ム* に、ア-モンドのチュルレ。やわらかい食感のアイスクリ-ムいちじくのうまみ、しょうがのアクセントがよく、チュルレの食感も好印象。          

ココに来ると、いつも、話が長くなる。  ワインの話から、話題のレストラン、食の話まで、話題がつきない。
つぎからつぎまで、話が盛り上がり、愉快な時間がすぎる。
いつのまにか、レストランは、私の貸切状態になり、まだまだ、話が続く。 
スタッフ一同が 私を囲んで話し込む。話が終わったときは、12:00時回っていた。
もう、終電もない時間だ。それでも、スタッフ*ソムリエはつきあってくれる。こんなうれしいことはない。みんなで、エスカレタ-のところまで、見送ってくれる。外で建物をみあげれば、まだ、シャンポ-ルにあかりが。本当に、こんなうれしいことは、ない。

* 再訪 *  
12月の楽しみと言えば、3つあった。
ひとつは、スギノ氏のつくるスペシャルのクリスマスケ-キ 
*マエストロ朝比奈の第9* ムツシュ米津の極上ロ-スト-ビ-フ であった。
これらを味わえることが人生の喜びであり感動であった。
しかし、今人生の喜びをあたえてくれるのはムッシュだけになった。

*マエストロ朝日奈*ヴァントが死去して、クラシック界では、ブルックナ-は、死んだ。確かに、今年聴いたプロムシュテットの *ブルの8番* は名演だった。しかし両巨頭の至った世界には、いまひとつ及ばない。名匠スクロバフチェスキ-がいるではないか、いわれる方もいるだろうが、名匠Sの生のブル は、実のところ今ひとつである。CDで聴く方がいい。

しかし、フランス料理界では、両巨匠のごとき 伝説の巨匠 がいる。米津春日氏そのひとである。ムッシュの作り出すフランス料理は、 ブルの7*8番 のごとき荘厳にして重厚である。頑なに、伝統的フランス料理の造形にこだわる。その姿は、今はなき両巨匠に共通するものがある。生前巨匠朝比奈は、スコアから聞こえる音だけを具現化すると伝え聞いた。ムッシュも同じである。レシピから聞こえるイメ-ジだけを現実化する。

たしかに、ここには創造する芸術はない。しかし、伝統的スタイルのフレンチを至福の味わいで再現する*文化的芸術的価値*がある。一品一品丁寧に作られた料理の数々は、現代における奇跡的存在だ。神のなせる技である。
例えば手間隙かけてつくられた *コンソメス-プ* は、まさに黄金のス-プである。
色合いは、透き通る透明感のある金色に輝き絹のごとき滑らかさな舌触り、極上の味わいである。
伝統的なコンソメのあるべき姿を示す。 

***ロ-ストビ-フ*** は、まさに至福のかぎりである。極上牛肉を選別し、熟成させ、絶妙な火入れで焼き上げる。 神がかり的なデクパ-ジュ によって、生命感の宿るロ-ストビ-フは、黄金の味わいである。ロゼ色に光り輝くそれは、ナイフもいらない程、やわらかい。肉の繊維の一つ一つが、はっきりとわかるぐらい旨みが充実している。上質な牛とその質のいい脂の旨みが、舌のうえでとろけるさまは、まさに天国の味わいだ。*英国風グレ-ピ-ソ-ス*西洋わさび*クレッソンとの組み合わせは、伝統的な意味における黄金の組み合わせだが、うまいものはうまい。本来、美味さに古いも新しいもない。うまいかどうかがすべである。最高のソ-スによって牛肉の旨みが増す。最質に吟味された西洋わさびは、いい刺激を食べ手に与える。 極上の時間が 過ぎていく。まさに、荘厳なブルックナ-の音を聴いた*極楽な一夜*だった。この日ブルックナ-は、不死鳥のごとく甦った。来年もこの味わいに出会えることを期待して、超越した時間を待とう。                                           

2月某日 なんとあのマチュ- ヴィアネイが初来日にて、フェア-するという。私は、いってもたってもいられなくなった。ヴィアネイといえば、あのポギュ-ズが、アプランティとして働いた*** ラ メ-ル プラジェ *** を取得した2つ星の新進気鋭のシェフだからである。13860円(税*サ込み)のランチメニュ-戴いた。なかなかの実力の持つシェフとみた。

アミュ-ズのボンボン(3.5)みたとき、カランドリエのそれ(4.5)を思い出した。ただ食べ比べてみると、両者は、だいぶ異なる。前者は、さくっとするが、やや硬くへ-ゼルナッツの香りはするが、ファアグラの存在感感じられるのに対して、後者は軽やかに、とろけるファアグラの食感だ。

***パテ アンクル-ト(4.0)***は、シェフのスペシャリテ 少しサブレに近い固めのパイに、醤油のゼリ- ファアグラのテリ-ヌ 肉類のミンチにレ-ズン*松の実をまぜたもの とりむね肉の構成。 食べると ぷるんぷるんとした醤油ゼリ-の風味が軽やかに感じ、肉の弾力とレ-ズン 松の実のコクとアクセントがいい。ファアグラの甘すぎない甘味と癖のないとりのむね肉が、いい調和を見せる。パテ全体として、甘味*旨みが統一体として、複雑に口のなかに広がる。美味。

***平すずき 的矢牡蠣 マテ貝とともに(5.0)*** 
最高の平すずき 今まで食べた最高の平すずき。ナイフをいれると、ふわっととろける程、柔らかい.癖はないすずきの繊細な旨みが凝縮したさまは、圧巻というほかない。カリカリした皮もよく、磯の風味感じられる牡蠣も最高の相性。コリコリッとしたマテ貝と西洋ごぼうは、いいアクセント。軽いフォンドボ-と貝のだし汁のエルミジョンソ-スもきわめて軽やかに仕上げられており、魚の旨みを増幅させる。今年、食べた最高の一品のひとつ。

***プレス鶏とオマ-ル海老(4.5)***
まず、食材の鮮度がいい。吟味されている。これこそ、真にプレス鶏の鶏なり。ポシェされた鶏はあっさりしているが、ほのかに甘味が感じられる。柔らかく弾力もあり、きめも細かい。腿は、かめばかむほど筋肉質で滋味深い。ポルトきかせたクリ-ムソ-スもいい相性。海老の鮮度もよくフランベしたぷりぷりした海老と、バジルとカルダモン風味の泡立てソ-スは、絶妙だった。

***マドレ-ヌとアイス(3.5)***
これは、まずまず。

***レモンのジプレ レモンクリ-ムとメレンゲ(4.0)*** 
甘くシロップで煮たレモンの器に、酸味の利かせたレモンシャ-ベット やや酸味の強い味だが、レモンの風味が、口の中に広がる。ややライムのニュアンス。レモンの器の皮は、柔らかく甘ずっぱい。しゃりとしたシャ-ベットと好印象。

***サ-ビスは、いつもながらの極上のサ-ビス***                                                                                  
3月再訪 20年以上このお店と、恋愛感情に、あるが、今ほど料理が充実している時期はないといえる。特に、料理技術に関して目に鱗である。大田シェフ達の実力は、今 まさに花満開である。最高素材の吟味 素材とソ-スの組み合わせのバランス 付合せとの配置と融合 コ-スの構成力 ドレをとっても、秀逸である。伝統と革新を融合させながら、あるべき正統フランス料理を提示する。実に巧いし旨い。例えば、フォアグラのコンフィ 絶妙な火入れで、とろけるほど旨い。イチジクのピュレの酸味のアル果実味が、その旨味を引き立てる。真鯛もふっくらと焼かれ素材の旨味 を極限まで、高める。苦味のアンデイ-ブの繊維質まで感じさせるグラタンと、ソ-スのバランスもいい。弾力のある鴨はジュ-シな-旨味に溢れ、かめば,かむほど滋味深い。フキノトウカラメゼともベスト。グレ-プフレ-ツのグラニテにあう大粒のキャビアの組み合わせも感涙もの。デザートの完成度も高い。まだまだ、恋愛関係は、終わりそうにない。

今回(2011年2月) 再訪の目的は、大田シェフの作るベキャスを食べることにありました。
ネオクラシックからのアプロ-チで、どのような彼なりの感性で、いかなる料理作るかに、主たる関心ありました。
そこで、ベキャス中心としたコ-ス作っていただきました。

コ-スの組み立てのバランス感覚に優れ、一皿にかける情熱 美意識に傑出したものがあり、まるで、シェ-ンベルグの浄夜聴いている気分になりました。素材の吟味 最高の状態でその味わいを引き出す能力にたけたものがあります。印象に残ったものを、記載しましょう。
アミュ-ズでは、なんといっても、テ-トドフロマージュでしょう。豚ほほ肉のにこごりですが、定番料理ですが、豚ほほのあっさりした味わいは、前菜に最適だと思います。かぶ゜らのス-プの旨みは、季節感もあり、かぶらの甘みが、凝縮していてなんとも美味。しかもその上にあるコンソメのジュレとの相性もよくコンソメのうまみとかぶらのあまみが融合しておいしい。

***香辛料に包まれた鴨のフオァグラのコンフィ ドライイチジクのピュレと青りんごのサラダ***
シェフのスペシャリテ まず、あっさりしたフォアグラのコンフィの甘みにはシルクのような上質な滑らかさと甘みが共存し、上質な脂のとろける味わいは、極上ものです。しかも、軽い味わい。天然の自然の味わいがします。ココには、最高品質のフオァグラの味があります。それも、そのはずです。フランス*ボルド-の契約生産者が、シャンポ-ルのため特別に作らせているのです。昔ながらの手間のかかる製法で自然の素材だけの飼料だけ与えて育てるのです。しかも空輸されてフレッシュのうちに料理するのです。おいしくないわけありません。タ-メリック 胡椒 カイエンヌペッパ-などの香辛料に オニオン にんにく ジンジャ-のパウダ- パン粉などをかけて、低温でじっくり旨みをひきだすのです。鴨の脂でパン粉を吸わせカリッとしながらもさくっとした食感をうみだすのです。付け合わせの青りんごも特別に作ってもらっているそうです。。上品な柔らかい酸味がフオァグラの別の魅力をひきだします。イチジクのピュレとの組合わせは、定番だが、上品な甘みが、フオァグラのコンフィの魅力を更にひきだします。美しきビ-ナスが、微笑かけます。

***ブルゴ-ニュ産エスカルゴのタルト フレッシュハ-プのポタジュ-ルと季節の野菜*** 
とにかくうまいエスカルゴなんです。何で、この魅力に気がつかないのでしょう。フランスで食べるのに近い上質なものです。うえにかかるガーリックのエスプ-マが、食欲をそそります。

さあ、ベキャスです。火入れは良好です。悪くありません。
ベキャスの柔らかく繊細でありながら豊潤かつ緻密な肉質のうまみの引き出し方は、うまい。
洗練された野趣の味わいです。ポレンタのエスプ-マ使用により、あっさりした軽い味わいです。
しなやかな女性美感じられる味わいです。
しいていえば、肉質の味わいはラ*シ-ムに近い味わいです。
軽い赤ワインのソ-スがうまくなじみます。
洗練された上品な優美な味わいです。
現代人には、向いているかもしれません。
ただマニア向けではありません。

***蜜柑のコンポ-トとグランマルニェキュべ150のアイスクリーム*** 
おいしいですね。蜜柑の凝縮した甘みにややシャ-プな酸味が、その甘みをひきしめます。かみ締めるごとに。旨みがましてきます。 滑らかなアイスクリームがリキュ-ルの甘みと融合しとてもおいしい。コンポ-トのうまみをさわやかにひきだして、いい調和みせます。
かんきつ類系の長い余韻もみごとのひとことです。

ワインはシャト-ム-トンロ-トシルト1953年 戦後最高の年のひとつ。
50年代では、59年につぐあたり年のひとつ。
シ-ダ- なめし皮 シナモンの香り 甘くとろける果実味に柔らかい酸味にタンニンは、丸くなりみごとなバランス感覚。
しっかりしたストラクチャ-に、男性的な力強さ。
飲むとビロ-ドのような舌触り。
長い余韻は、シルクのような心地よさをあたえてくれる。
バッカスの神が、月夜の夜に微笑んだ。
ベキャスとのマリア-ジュは、美しき女王をエスコ-トするシュバリエのようだった。
バッカスが、導く至福の時間だった。

流れていく時間は、感動的な時間を共有したものとして、人生の宝物として、心に、永遠に残っていくだろう。

永遠のときめきとともに。

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4位

ad hoc (新福島、福島、中之島 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.3
    • | CP 4.9
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 昼の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.3
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 4.1 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥10,000~¥14,999

2015/01訪問 2015/03/16

分かち合う感動 ときめく心 進化するモダンクラシックの響き

(再訪)新しい時代は、美しきトキメキとともに訪れたようだ。
シェフの考える方向性と、料理そのものが、一つの具現化として呈示するとき、もはや、言葉はいらないのではあるまいか。
ある意味、言葉すら無意味と思えることすらあるのだ。
例えば、我々は青という言葉をイメージする時、その言葉の意味のなかには、すでに、潜在的に色々な色としての多元的な青が潜んでおり,単一的には表現できない要素を含む多元的な意味あいをふくんでいる。
それは、意識的には把握できない無意識の中に観念として位置づけることが可能なのだ。
つまり、頭の中で現実化する理念と現実の世界における料理が理想的な形として具現化するとき、その意味するところは、決して、単一的な表層たる現実として把握できるものではなく、多義的な概念を含んでいる。
その意味でシェフのスタイルは、ある意味ひとつの潜在的な概念を超えた存在といえるのではあるまいか。
ひとつの解答亡き時代にひとつのスタイルとしての結実した命題を呈示したように思える。
その意味で今回は,大満足の一夜となった。
ひとつの総決算としての転換期となった料理その一つ一つが、美しき宝石の如く、端麗な美意識の中に、輝いている。
そこには、決して過去の否定でなく、それを生かしさらに時代に合わせるように新しい輝きをも加えているようだ。
その輝き そのときめき その響きは,新しい時代を吸い込み、よりシンブルにより複雑に存立している。
その夢はアヤラのシャンパンから始まった。
その繊細でフェミニンなスタイルは高山氏の織り成すアミュ-ズたるトラフグと岩手産白金豚のデグリネゾンの蕾みを、優雅に花開かせるアペリティフのようだった。

***アミュ-ズ 白金豚と河豚のデグリネゾン***
どのアミュ-ズも素敵な相性を感じさせて、うっとり。
食べるのが惜しくなるほど、惜別の念を感じてしまうほど。
トラフグと岩手産白金豚を合わせたものに、河豚の白子のアイス。甘すぎないまったりした白子の旨みに降り積もる白い粉雪の如き繊細な味覚のすっきりしたあじわいの白金豚のうまみが絡み合う。
食べるごとにその自然の旨みが、混ざり合い単純だが複雑な余韻が、旋律線の中に溶け込み響きあう。
まるで、バッハの織り成す旋律線のようだ。
私の耳には,アンドラ-シュ シフのそれのように感じ感銘をうけたが。

円形の鶉卵の半身の上には、河豚のタルタル。
黄身の甘みにタルタルの旨みが囁くように絡み合う。

豚足ベ-ストのチュイールに、豚の頭肉や首肉などと河豚をゼリ-で固めたもの。
さくっとしたチュイ-ルはほんのりとゼラチン質の甘みが感じる味わい。
臭みはいっさい感じられずなくすっきりした優しさで全体を包んでいるようだ。
少しコリッとした触感のゼリ-は程よい固さで、肉の繊細さと河豚の淡白さを美味く融和し違和感の感じない味わい。滋味深い味わいが、内に向かって語りかける。その優しさは愛おしくも存在する生命への計らいである。

イカ墨のクロメスキは、河豚を豚のフリットと混ぜて、揚げている。香ばしさの中に現れる素朴なふくの幸福感 愉悦感。

***タラバガニ 人参 みかん***
タラバガニを色々な種類の人参や、みかんで五感に語りかけようとする料理。
タラバガニに白人参、姫人参、人参の葉っぱ。マイクロコリアンダー。みかんパウダ-。ローストみかん。
それぞれが織り成す旋律線が、タラバガニの繊細な旨みを色々な曲想で呈示する。その主題は、いうに及ばず、タラバガニなのであるが、複雑で緻密な構成の重層的な甘みの存在感であったり、異なる酸味の複雑な重なりあいが、複合的な旨みをひきだす。この料理は、ある意味トウ-ルモンドへのオマ-ジュでもある。

***アンディ-ブ トリュフ パンディビス***
アンディ-ブにトリュフとパンディビス トリュフソ-ス。生ハムとクルトン バナナにパンディビス。アンディ-ブの苦味に芳醇な官能的なトリュフ、バナナの甘みに香辛料としてのパンディビス。シナモンの香り これも、トゥールモンド時代のオマ-ジュと感じたが、如何であろう。

***本州鹿のラビオリ***
本州鹿をダシにとったコンソメ(ラ カンロの方が滴るような野生の風味感じたが)
に雑穀米 キノワ 蕎麦の実 本州鹿のミンチのラビオリを浮かべたもの。
実にデリケ-トな味覚の味わい。野趣の風味感じるが、洗練された野性味感じる。レストランディファランスで提供されてもおかしくないだろう。おそらくはよりスタイリシュなスタイルではないかと、想像するのだが。

***鮟鱇 フォアグラ キャベツ***
山口産の鮟鱇にフォアグラ おにあさり マスカルポ-ネ ちりめんきゃべつ ターメリックのスパイスにターメリックの泡 ナスタチーム

***国産ヒドリカモ***
いまや、希少価値になりつつある国産ジピエヒドリカモ。丁寧に低位置網で生け捕りされたもの。じっくり時間をかけて繊細にロ-ストしている。弾力あり、筋肉質でかみ締めるほどに軽妙な野性的な肉本来の甘み旨みがデリケ-トに感じられる。ソースはジュをベ-スにして鴨レバーのぺ-ストにクロオリーブにアンチョビ足したもの。心臓 肝 腿肉を部位ごとに味わう。

***トウルトフロマ-ジュ***
フランス ポワトゥ ヴァンデ地方のチ-ズケーキ。サントモ-ルのチーズで作られる。

***酒かす ゆず 米***
軽やかな酸味の柚子のジュレとチャツネ 酒かすのムースに日本酒のエスプ-マ。

***イチゴ 春菊***
イチゴのムースグラッセにメレンゲ 春菊のビュ-レ。

新しい伝説が始まった実感を現実的に感じた一夜となった。
きっと夢は終わらない。その先にあるもの。
それは、おそらくレナ-ド バーンスタインが描いたマ-ラーの世界ではなく、むしろ、21世紀の現代を予感して彫刻するピエ-ルプレ-ズの世界にごく近いものになろう。

2014年9月某日
ひとつの時代が終わり、新しい時代が始まる。
時の指し示す先 そこに、ひかりはあるのだろうか。
トウールモンドが時が与えし役割を終えたとき一つの時代の終焉を意味した。
ただ、ある意味 その存在そのものが、一つの時代を象徴する一つの完成形としての傑作ではなかったか。
傑作だからこそ食べ手にとっての感動も大きかった。
遣り残したことはなかったのだろうか。
幕をおろすには、少しはやすぎたのではあるまいか。
現代にとってその意味するところはとても大きいような気がしてならない。
新しい時代にときめくような新しい価値を呈示する新しい芸術を創造する時代が始まろうとしていることはよく理解できる。
ある意味、一つの感慨をもって私は、この時代の到来を迎えている。
ポストトゥ-ルモンドとして、この店を考えてよいのだろうか。
何を継承し何を創造し何を残していくのか。
アドックとは、特別のを意味するラテン語。
そこに、どんな思いが込められているのだろうか。
アドックの指し示す先にどんな未来が待ち受けているのだろう。
その赴く先に、美しきひかりの花束があることを信じたい。
新しい伝説がはじまる。その期待に心が震えている。
ただ、進化形として美しい洗練された一つの形として理解できるものの、今の段階では、ある意味 創造する芸術としての一つの理想型としてはまだ未完成のような感じがしてならない。
誕生とともに、すでに、名店として完成しているのであるが、伝説の銘店たりうるかという意味においては、これから、記憶に残る新しい伝説は作られると思える。
究極の至福の新しい感動を生み出すものとしては、まだ検討しなけれならない余地があるように感じている。
今は、まだ、生まれいずる苦しみの道程のような発展途上の試行錯誤の感じがしてならない。
これから、伝説となる銘店誕生の陣痛のような産みの苦しみのように映るが。
ただ、これは、銘店の内在する宿命なのであるが。
完成している部分(名店)とまだ未知なる領域(銘店)
レストランそのものが一つの交響曲のように、ひとつの完成型としてうなるような極上な感動の余韻を生みだすには、まだもうすこしの時間が必要なようだ。
しかし、ポテンシャルはあるだけに、その実現は時間の問題のように思える。
確かにひとつひとつの料理がひとつの熟練された名匠の工芸品のようにレベルが高いのは、シェフならではのレベルの高さを指し示すもので、納得できる技量の高さであります。
スタ-トとしては、これで、必要十分と考える余地は大いにあります。
ただ、今後の進化に、表層的な現実を芸術としての進化と取り違えることがないよう心から祈るばかりである。
今まで以上の、芸術性の高い凄い料理が生まれることを信じている。
大いなる期待とともに、新しい一歩を踏み出したという感覚もある。
いかに進化させていくか。
その方向性(食べ手に特別の時間を提供すること)は、これからの時代を前提にする時、間違えていないと感じるが、問題は進化のさせ方にある。
今まで築いてきたもののエッセンスを浄化ないし昇華してそのスタイルに融合させると言う意味では、新しい形として納得するものの、しかしながら、それを踏まえて、特別のための一つの個性として何か新しい価値の創造を期待するものである。
そうでなければ、古い感動を超えた新しい感動は生まれてこないと感じるが、いかがであろうか。
辛口かもしれないが、あえて言えば、伝説の銘店となるような新しい感動を生み出す進化としてはまだ、道半ばという感覚もある。
つまり、フィルタ-のかけすぎにより、綺麗に純化した味わいになったが、ワイン本来の旨みをなくしてしまう危険性があるように感じる。
そう感じさせない何かが、必要かと。
シェフの魅力の一つは、内なる野性の具現化にあるように思える。
それが、消えてしまうことは、魅力のひとつを消していくような感じがして仕方がない。
新しい感性としての洗練された野性の具現化に期待している。
この感覚は、トゥ-ルモンドへの哀愁の思いがそう感じさせている部分もある。
その意味では古い感覚かもしれない。
ただ、夢は、始まったばかりだ。
新しい伝説が、ここから生まれていく予感はある。
確かに、わずか5000円でいただける洗練された美しいひとつのレベルの高いひとつひとつの高度な技量の結晶としての職人としての宝石箱の如き完成品であることは、いがめない事実なのであるのだが。
実際のところ納得できる部分とポテンシャルとして期待する部分のせめぎあいの心境なのである。
ただ、一般的レベルとしての総合的な満足度は、コスパを含めて考えるとき、満足度はかなり高いと考えるが。
この価格帯でこれ以上のフレンチを提供できるお店はそうない。
その意味ではトゥ-ルモンドの精神は息ずいている。
なお、スタンス的には、広義のモダンクラシックの影響を受けた近代フレンチの立場でありながら、現代フレンチよりの立場により近づいたという意味あいでは、進化したモダンよりのスタイルである。

**場所***
堂島クロスウォ-クの一角にあります。朝日放送のすぐ近く。JR福島駅から徒歩3分程度。

***店内***
入店すると、右側に厨房があります。
割合広めの厨房で、開放型のため、調理スタッフの動きがよくわかります。
高山シェフの明るい挨拶が、テンポよく和ませる空気感を生み出すようです。
そのほか、三人程度の調理スタッフがいるようだ。
左側は、壁とトイレがあります。
トイレはすこし段差があるので、気をつけてくださいね。
特にアルコ―ル類を飲んだ後には。
通路を歩いていくと右側に客間が広がります。
明るい陽光と落ち着く空間が適度なリラックス感を生み出すようです。
雰囲気的には、山小屋のようなシンブルな空間。
カウンタ-席はなくテーブル席のみ。
やや広めにテ-ブル席の間幅がとられています。
なお、客間にくると、白い壁により、厨房は一切見られない。
この辺がpointと異なるところである。
BGMは、ジャズ。
テーブルにかけられた白いテーブルクロスは、清潔感があります。
木製の台に乗せられたコンパクトなメニュ-は見やすい場所に配置されています。

***サービス***
男性ひとりに女性ふたりの三人体制。
そのうち二人は、ソムリエ資格保有者。
基本的にはつかずはなれずを旨とするサ-ビス。
ビストロとしてのサ-ビスではなく、高級レストランないしグランメゾン並み。
入店の際。男性スタッフが迎えて、テ-ブル席まで、エスコートするサ-ビスあり。
チェックは、テ-ブルごとに。
お見送りは、店外まで、マネ-ジャ-と高山シェフ。

***料理とワインを含めた私の所感***
ランチタイムは、5000円のコース料理のみ。
今の段階では、2ヶ月ごとに、メニュ-が変わるそうであります。
今のところ、ランチメニュ-はディナーメニュ-のエッセンスを味わえるスタイルのようであります。
その料理にあわせたリーズナブルなグラスワインがあります。
1400円から1800円程度の価格帯。
まず、シャンバンでしょう。
グラスシャンパンは一種類。
アンリオであります。
1500円でありました。
状態は良好。
ただ、食事を通してという意味とアペリティフとしての意味あいを考えるなら、分けて提供したほうがいいかもしれない。
今の高山シェフのスタイルなら、アンリオ スーヴェランで、十分食中酒として通用する。
ただ、アペリティフなら、もう少し軽やかな繊細で優雅な華やかさがほしい。

***フリュイドメール(4.4)***
海の果物という意味のフランス語。
ゴ-ジャスなアミューズであります。
小石を敷き詰めた長方形の皿に、
*カラスミちらしたム-ル貝のタルト*
淡路産の鱧をカダイフで巻いたもの アクセントにオ-ストラリア産の粒マスタード。
*北海道産秋刀魚の刺身の上にレモン風味のシ-ト 下に秋刀魚の肝 黒オリーブのソース。
季節感の感じる秋らしい一品。
脂の乗った秋刀魚の旨みに、軽やかな肝の苦味にレモンの酸味が包み込むように黒オリ-ブの旨みが、重なり合う。
卵型のなかには、卵白卵黄に淡路産の雲丹 ミルクのエルミッションを添えて。
滑らかな黄身の甘みに、雲丹の滋味深い旨み。
軽やかなきめ細かいミルクのエルミッションがいいアクセント。

***牡蠣 焼きなす エストラゴン(4.4)***
牡蠣の貝殻の中に北海道産の牡蠣を軽くポッシェしたもの。
その下には焼きなすを皮ごとピュレしたもの。
牡蠣のエキスのジュレ エストラゴンのクリームソ-ス のこぎりそうのハープを添えて。
ミルキーな味わいの牡蠣は、柔らかく優しい口当たり。
磯の苦味と焼きなすのコク エストラゴンの風味があいまって旨みを増すようだ。
のこぎりそうのアクセントもここちいい。
軽やかな余韻を奏でる。

ワインは、シャトーティユレ ブラン 2001 (グラス 1400円)
セミヨン種の優しい口当たりが印象的。
その優しさが、料理のおいしさを包み込む。
好印象のマリア-ジュ

***足赤海老 バタ-ナッツ オレンジ(4.1)***
足赤海老のラビオリにバタ-ナッツのビュレにスープ。
オレンジの果肉にオレンジの皮。
そして、そのエルミッション。
その上にバタ-ナッツのチュイール
ぶりっとした足赤海老の歯ざわりのいい触感に、ラビオリが馴染みます。
オレンジの果肉の感じる果実味にその酸味そして苦味が重なりあう様にその旨みに重層的なハーモーニ-を奏でます。
さくっとした食感のチュイ-ルも好印象。

***太刀魚 シャピニオン リゾ-二(4.3)***
太刀魚のベニエ 
その下には冬場に仕込んだトリュフのビュ-レで味付けたリゾ-二。
デュクレルの泡。酸味利かせた玉葱。ナスタチュ-ム ポートワインソ-スの組み合わせ。
さくっとした食感のベニエの衣に、太刀魚のホクッとしたジュシーな旨みが、素敵なおいしさを引き出す。
ふわっと広がるトリュフの香りとともに、リゾ-二との相性もいい。
酸味の利いた玉葱もいいアクセント。
甘みとコクを感じるポ-トワインソースも比較的軽い仕上がりのソ-スで、その世界を壊さない。

***鴨 季節の野菜 アンコ―ルぺッパー(4.0)***
シャラン鴨の胸肉を優しく火入れ。
鴨のジュのソ-ス。青ネギのピュ-レ。つるむらさき 西洋牛蒡 アピオス カンボジア産のアンコ―ルペッパ-を添えて。
弾力のある鴨に、上品なペッバ-の刺激が、ここちいい。
ある意味優等生的なおいしさで美味くまとめていて、これはこれで、おいしいのだが、個人的には、もうすこし、野生的な刺激的なおいしさを求めてしまう。
シェフには、青森産鴨の絶妙なるおいしさの思い出があるだけにその印象が重なるように感じてしまうのである。

ワインは、2010年 ヴァンサン ジラルダンのヴォルネイ AOC。
グラス 1800円 この鴨でこの料理なら、夢心地の世界で、ベタ-な関係を構築する。
洗練された果実味がいい感じ。柔らかく優しい酸味にこなれたタンニン。ひっそりと鴨の旨みに寄り添う。

***フルムダンベ-ル ダッコワ-ズ(3.9)***
ム-スグラッセにしたフルムダンチーズをダッコワ-ズに挟んでいる。
さくっとした食感だが、くせのある味わいが好みの分かれるところ。

***マスカット マスカルポ-ネ リースリング(4.7)***
求肥でコ―ティングされたマスカット。マスカルポーネチ-ズ リースリングのグラニテとエスプ-マ マジョラムのハープをちらして。
プリッとした食感のみずみずしい果実味の感じるマスカット マジョラムの風味にチ-ズ グラニテが、軽やかに優雅に絡み合う。
これは、文句なく美味い。
至福の逸品。

新しき時代のときめくような夢がはじまる。それはきっと新しき伝説のはじまりでもある。


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5位

堺筋倶楽部 L'HISTOIRE (長堀橋、堺筋本町、松屋町 / フレンチ、ワインバー、ステーキ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 4.3
    • | 雰囲気 4.8
    • | CP 4.7
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2014/08訪問 2014/08/20

ロマン溢れる近代的造形美たる現代的構築性の織り成す新古典主義のときめき

長堀橋駅近く堺筋に面して存在する同店舗。
ご存知のように、建物は、大正ロマン主義的な純粋なる近代建築とは異なるバロック様式美たる新古典主義の建造物。
建築家矢部又吉氏の設計による旧川崎貯蓄銀行大阪支店であります。
このお店に関しては、今更、新たに改めて取り上げる必要性もないかと感じましたが、エピキュリアンとして尊敬する友人に気になる情報を頂き訪問してみた結果、かなりいい印象でありましたので、今回取り上げることにしました。
その晩は、なんともいえない美しい月夜の晩でありました。
私の耳には自然とその宵に溶け込むように、ベ-トヴェンのピアノ ソナタ 月光の旋律線が流れていました。
当然、弾き手は、近代的なら、ホロウ゛ィッツないしバックハウスでしょうか。
現代的なら、エフゲニ ザラフィアンツでありましょう。
京都コンサートホールで聴いた心の琴線に触れるときめくようなほのかに甘い旋律線の美しさが、昨晩の感動のように心刻まれ、震えた思いに満たされて、今晩いまだに忘れられません。
そんな月光に導かれるように訪問した同店舗。
そこには、心ときめくかけがえのないひとすじの光に満ちる美しい光彩の織り成すベルベットのようにときめく至高ともいうべき至福の時間が待ち受けていました。
一階はイタリア料理で、二階より上は、フランス料理であります。
嬉しいことに、フランス料理は、個室であります(サービスは、バトラーみたいなものとなります。)。
通常、このような形態である場合、原則として、ホテル経営の場合は別として、同一経営の場合、西洋料理の店舗で、 とりわけイタリアとフランス料理の場合、料理長は兼任になりがちでありますが、ここは、異なります。個々別々に存在します。
そこに、まず、並々ならぬ思いを強く感じました。
兼任する場合、どうしても、料理的に、イタリアン的フレンチになったり、フレンチ的イタリアンになったりする可能性があり、料理の基軸ないし基幹が共通する結果、料理形成における独自としての創造的芸術性が、相関関係性の結果、狭くなる可能性があり、その意味では、独創的な自由主義的アプロ-チを重視するなら、やはり独自性を発揮するものとして、個別的個性としての独創的な芸術性を重視すべきだと考えます。
その意味で個人的には好印象であります。
そのフレンチ部門の総料理長が、西浦 幸平という方で、新しく就任されたそうです。
その未知なる才能に魅かれて今回訪問した結果となりました。
結論から、申しますと、宝石箱の奥にひっそりと隠されていた秘蔵ともいうべき俊英たる逸材的存在といっても過言ではありません。
フランスミシュラン三ツ星 バリのブリストル出身のシェフであります。
したがいまして、基本的なスタンスはモダンクラシックに基づきながらも、現代フレンチに配慮しつつ洗練されたパリの美意識に基ずく新古典主義の立場を支持するようであります。
ただ、それに限らず、和食の技法や味覚をたくみにアレンジしてフレンチの中にうまく昇華している印象をうけました。
ただ、それは、ヌーべルの精神の反映ともいえるのでありますが。
室内は、支配人の独自の美学に基づく装飾品が配置され、洗練された重厚感が建物の雰囲気と融合して独自のここちいい快適な空間を生み出しているようです。
静寂の中で満たされる時間は、約束された至福の時間を刻むようでありました。
簡単に料理の印象を記載しましょう。

***淡路沼島産鱧の焼き霜 路地胡瓜のガスパッチョと鱧の浮身 腸のタルタル(4.0)***
円錐形のカクテルガラスに、鱧の内臓のタルタルに胡瓜のガスパッチョその上に炭で炙った鱧がのっています。トマトコンソメの澄んだ透明感の感じる繊細なエッセンスとあっさりした鱧肝の軽やかな苦味に響きあう胡瓜の爽やかな酸味を利かせたガスパッチョと、ゼラチン質の感じる鱧笛の旨みがディルのキャラウェイの如き爽やかな香りに独自の甘みの感じるやや鋭角な香草の風味に交りあうタルタルに巧く溶け合い、丁寧に骨切りされた鱧肉のうまみにヴェ-ルの如く包み込むように広がります。ポイントを押さえた的確な火入れの鱧の焼き霜は、皮にうつる炭の香ばしさとともに、内から外へ溢れるあっさりした肉の旨味が、かみ締めるほどに自然の滋味たる味わいとして溢れだして、その旨みと調和し共鳴します。まさに、夏の風物詩あるいは、交響詩というべき味わい。

***活カナダ産オマール海老のポッシェ アボガドのクレ-ム バニラと柑橘類の香り(4.3)***
丁寧にゆっくり優しくナ-ジュした海老は肉感的でありながら肉厚。幾層にも広がるバニラの風味にそっと寄り添い重なり合う優美な甘み。馥郁たるふくよかな弾力の感じるその柔らかい触感がたまらなく魅力的。ふわっと広がる柑橘類の軽妙なる香り。まろやかな林檎の酸味とシャ-プな酸味のレモンを融和させるアボガドのクレ-ムと違和感なく迎合的に融合する。アクセントとしてのコライユとのマリア-ジュ。それらが奏でる味覚と香りの統合感が、繊細でありながら緻密。緻密でありながら繊細。しなやかな女性美を強く意識させる美しい造形力。

***徳島産黒アワビのコンフィとムニエル 茶豆のオルツオット(4.2)***
まず、皿の温度が適温で好印象。素材の味覚と香りをうまくひきたてます。黒アワビを二種類のキュイソンで楽しみました。ひとつは、太白胡麻油でゆっくりと香りをひきだし食感を楽しむ低温のコンフィ。ソースは、黒アワビの肝を潰して混ぜた赤ワインソ-ス。素材の良さを感じさせる上品な香りに、コリッとした触感の黒アワビ。その磯の風味を黒アワビの肝の苦味の中に閉じ込める如く印象的で アクセント的に響き、洗練された赤ワインの果実味を感じさせるソ-ス。ふたつめは、バターで優しくゆっくり火入れしたムニエル。モリーユ茸とオーストラリア産フレッシュ黒トリュフを重ねた軽やかなクリームソースを添えています。むちっとした弾力感の感じられる黒アワビのあじわいに、上品な果実香の感じる軽妙な肉質のモリ-ユ茸と力強い官能的で妖艶な香りの肉感的な黒トリュフの香味の二重奏にその出汁が溶け込むクリームソースの旨みが、黒アワビの旨みをクラシック的に伝統的味覚の中に彩ります。前者が磯の恵みとの対話を意識させるのに対し後者は、森の恵みとの対話を意識させました。両者とも旨みを刺激し魅了する味覚の味わいが魅惑的。茶豆の味が印象的な大麦のリゾットの素朴なおいしさが、食欲をそそるいいアシスタント。

***ハンガリー産フォアグラのポアレ ゴ-ルドラッシュのピュレ エスプレッソソース(4.4)***
表面を強火で焼き旨みを閉じ込めたフォアグラ。口の中で咀嚼すると、フォアグラの蕩けだすノーブルな甘み。その下にクッションの如く存在する、ゴ-ルドラッシュの粒粒感の感じる圧巻的な濃厚で濃密な甘み旨みの感じる天使のリゾットのごとき柔らかいピュレ。上には、米粉のニュアンス感じるサクッとした香ばしいゴ-ルドラッシュのお煎餅。異なる甘みの質感と触感のアンジュレに 滑らかに絡み そのアンジュレを引き締めながら引き立てる蜂蜜のニュアンス感じるほのかに甘くもエスプレッソの苦味感じさせるソ-ス。

***アマダイのうろこ焼き 生ハムとパプリカのコンソメとともに(4.5)***
丁寧に下処理されたウロコの香ばしいさくさくとした触感の口当たりにアマダイのほっくらした白身のあっさりした繊細なうまみ。そこに、丁寧に手間隙かけて作られたコンソメをそそぎます。そのうまみをアマダイが吸いこみ、その香り味覚が、重なり合うように広がります。かみ締めるほと゛に、広がる香りに味覚。

***茨城県産 仔鳩のロティ トランペットのク-リー イチジクのマルメラ-ド添え(4.6)***
仔鳩は、ゆっくり時間をかけた優しい火入れ。胸肉には、炭の香りを移した低温の火入れ。キュイスは、白胡麻で香りをつけ、じっくりとフリットしたもの。トランペットの香りとポルト酒の甘み バタ-の風味 ヴィヨンのニュアンスが緻密に融合し渾然一体となって口内で芳醇に広がる軽やかな粘着性の感じる程よい柔らかさのク-リー。イチジクの風味*果実としての甘み マデラ バニュルスワインなどの甘み 蜂蜜の甘みが重層的に重なり合う融合を強く感じるマルメラードとの組合わせ。柔らかい肉質にかみ締めるほどに溢れるデリケ-トな赤身の旨みに鉄分の感じる味わい。部位ごとに火入れを変えて、色々なヴァリエ-ションとして楽しむ。ある意味火入れのマジックによって肉の旨味を引き出しまた、他の香りを移し味覚を加えることで複雑で複合的な奥行のある味わいを引き出している。この一皿の芸術性だけで、ひとつの交響曲を聴いているようだ。女性的な繊細な美しさとともに内に秘めた緻密で濃密な力強さ。私の耳にはシュ-ベルトがその女性的美しさを賞賛し讃えたベ-ト-ウ‘ェンの交響曲4番のように感じて感銘をうけたが。

***ライムのムースリーヌとライチのジュレ(4.0)***
きめ細かい滑らかな柔らかさを持つム-スリーヌは、口に含むと、まずライムの軽い酸味の香味がほのかに広がり繊細な余韻となって昇華します。そして、軽妙な泡立ちの感じる軽やかな生クリームのほのかな甘みとの融合的調和感として、溶けあうその果実の旨みがそそります。その上には果肉の感じるライチのジュレ。香水のような特有な香りに果肉の甘みが、ライムの酸味と響きあうときめき。

***ショコラとパイナップルのタルト仕立て(4.1)***
パイナップルに恋したショコラとのマリア-ジュ。ショコラ風味のクランブルクッキー。香辛料利かせたパイナップルのソルベ ショコラとパイナップル果汁入りムース ショコラの葛きり パイナップルのコンポ-トの組合わせ。

ドリンクは、コ―ヒー 紅茶 ハーブティなどからの選択。なお、ハープティは、6種類からの選択。

サ-ビスは、つかず離れずの的を得たサービス。

現代において再構成される意識としての空間と時間としての構造物の中で意識されるモダンクラシックとしての近代的造形美としての現代的構築性から導き出される新古典主義のときめき。その感覚は食べ手に伝統と融合する新しい感性を創造するかもしれない。

  • 堺筋クラブの正面玄関
  • (説明なし)
  • サ-ビススタッフを呼ぶ時にはこのベルを鳴らす。部屋には、無音で待機室には、聞えるという細かい配慮がなされている。

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6位

リョウリヤ ステファン パンテル (丸太町(京都市営)、神宮丸太町、京都市役所前 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.1
    • | サービス 3.6
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2014/03訪問 2014/05/21

京都的感性とフランス的感性の有機的融合としての平均律的配合の近代的美意識の結晶

元ケザコの料理人 ステファン氏が、独立して、新たなる店を立ち上げたので訪問してみました。
場所は、丸太町通り*京都御所の近く*京都地裁の目の前という絶好の場所にあります。
地下鉄四条烏丸線*丸太町駅から、歩いて5分程度であります。
外観はマズ暖簾があり、それをくぐると前庭があり、日本家屋が現れるという構造になっております。
ややこじんまりした店内。
右側に、テ-ブル席が二卓あり、左側が,オ-プンカウンターになっております。
奥には、個室が完備されており、個室からは、中庭を眺めながら、食事が出来るというスタイルであります。
要するに、日本家屋をリノベして、和風家屋を生かしたフレンチを堪能する京都的料理店の流れのひとつにあります。
ランチタイムに訪問。
5000円(税別*サなし)のお任せ料理だけの一本勝負であります。
料理内容は月替わりだそうであります。
店内には、適音なジャズ。
スタッフは、ステファン氏をハジメとする若いスタッフ達。
約六人の料理*サ-ビススタッフであります。
シェフのスタイルは、近代フレンチの立場にありながら、京都的感性を料理にいかした現代的なフレンチにも配慮するスタンスであります。当然のことながら、私の支持する現代フレンチと近代フレンチの融合の流れにあります。
まず、グラスシャンパンでしょう。種類は一種類のみでありますが、1150円としては、なかなかの内容。
シェフの料理に配慮する繊細な味覚は、料理とのマリア-ジュとして料理を生かす味わいとしていいとおもいました。
ここでは、あくまで、主役は料理。脇役としての存在感を十分に感じました。
料理は、ステファン氏自ら、流暢な日本語で説明なされます。
なお、メニュ-はありません。
したがって、正式な料理名は認識不可能であります。
料理そのものは、個人的には、かなり気に入りました。
簡単に説明してゆきましょう。

***海老の料理(3.9)***

ゆっくり低温調理した海老に、その下には、大原産の輪切りの軽やかな蒸した九条ネギ。香ばしいカリカリの海老の殻 いわば、あられのニュアンス的存在。ア-モンドのニュアンス強いヴァニラアイス。アニスを生かしたソ-ス。一緒に食べて欲しいそうだ。計算された味覚の複雑さが、堪能でききるからた゛。ややねっとりしながらもすっきりした触感の海老に、軽やかで優しい九条ネギの甘味と苦味。香ばしい海老の殻のチップ。そこに甘いアーモンド風味の強いヴァニラアイス。軽やかなアニスを生かしたソ-スが、軽やかな優美で繊細な余韻の感性を深き眠りからよびおこす。

***フォアグラの奈良漬巻き(4.3)***

いわずと知れたシェフのスペシャリテ。ムースのように蕩ける滑らかなフォアグラのテリーヌの上に、軽やかな塩と胡椒。ソ-スは、四種類の南国系フル-ツを混合した、軽やかな酸味とマンゴ-の甘味の強いソ-ス。しかし、主役の存在感との融合を明確に感じさせる味わい。しっかり存在感の感じられる構図としての料理の構成力はやはり見事のひとこと。滑らかなフォアグラの自然な甘味に、奈良漬けの存在感。アクセントとしての、塩*胡椒の的確さ。秀逸なバランス感覚。五感に訴えかける見事な豊潤な構成力。

***堀川牛蒡のス-プ(4.0)***

丁寧に裏ごしされた堀川ごぼうの素材としては繊細な風味の滑らかなス-プに、たらの白子のムニエル。下には、温かいジュレ。上には軽やかな酸味のケッパ-の実。クルトン的パンドカンパーニの浮実。柔らかい軽妙な弾力の白子のムニエル。ミルキ-さが、牛蒡の旨みと、とけあってなかなか美味。

***平目のプレゼ(4.2)***

魅力的なプレぜの平目は、やわらかく蕩けるように軽やかに崩れてゆきます.それを囲むように。ジュシ-なほっくら旨みに満ちたしめじ。豆乳のニョッキ*ほまぐりなどの白ワインで蒸した貝類。上からキクナのソ-スをかける。まず、見た目の美しさ。そして、素敵な合奏曲のように、色々な音色が重なりあいます。ウィーン*コンチェントス*ムジクスのブランデンブルグ協奏曲のごとく。ヒュメドポワソンや*チキンブイョンのニュアンス*バタ-の風味*しっかり存在感の感じられるキクナのソ-ス。立体的に立ち上がる音色には、みごとな時間のときめきの光彩が、感じられました。

***短角牛フィレのロティ 味噌とココアのソ-ス(4.1)***

真空調理した岩手産短角牛を軽くフライパンで火入れし、最後はサラマンドルで仕上げる。軽やかなブラックペッパ-。ミディアムに仕上げられたヘルシ-な味覚の短角牛は、甘くやわらかい。しかもあっさりした味わい。コクのある甘味の感じる味噌に、苦味の感じられるカカオとの融合の骨格の感じられるソースともいいマリア-ジュで魅惑の世界へ。付け合せのお米のギャレット。表面は、香ばしく焼きいろがつけられ、御飯自身は、バタ-で風味つけられたバタ-ライス。これと、短角牛のソースをつけて食べると、何か懐かしい思い出の日々に浸れるから不思議だ。色々なヴァリエ―ションのにんじん*しいたけ*子蕪*紫玉葱のソテー。それそ゛れに野菜の旨味が感じられる。

***筒仕立てのタルレット(3.9)***

筒状のタルレットのなかには、ビスキュイ*ジョコンダ*チョコレ-トム-ス*甘納豆。付け合わせには、酸味の利かせたパッションフル-ツのソルベに近い触感のアイス。筒の中には滑らかなソ-スの如きチョコレ-トムース。感覚的には、チ-ズ*フォンデュに近い。シェフの遊び心も計算の内か。甘い誘惑と酸味によって、幾層にも広がる重層的味覚の統合感。

***ドリンクとお菓子(3.8)***

コ―ヒ-*紅茶*ハープティから選択。


ディナ-タイムに訪問すべき稀少な店のひとつといっても過言ではないでしょう。


私にとってステファンとは、ロアジスのステファン*ランボ-氏だけでありましたが、もうひとり素敵なステファンが、加わったことは間違えない事実であります。

  • (説明なし)
  • テ-ブルセッティング
  • (説明なし)

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7位

ル・トリスケル (銀山町、胡町、八丁堀 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.1
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 3.6 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥4,000~¥4,999

2014/03訪問 2014/04/03

近代的フレンチの結晶の如き美しき華麗なる賜物のごとき存在。

人生はじめて広島へ行きました。
不思議なくらいいままで私の人生にこの都会とは縁がなかった。
というわけで、今回の訪問に当たっては、どこから、訪問すべきか、実際、戸惑った。
そこで、若き巨匠に参考までに、尋ねてみた。
世界でもっとも権威があるとされる某雑誌の世界ベストレストラン50における日本のレストランの選考委員である彼が、まず、第一に挙げたお店がこのお店であった。
マズ、断っておくが、二人の間に一切の利害関係はない。
したがって、自由にものが言える対等の関係にある。
また、彼がここを進めたのは、私の嗜好を熟知のうえのことかもしれない。
それを、前提に話を進めるのが、正当であろう。
唯、それだけで、訪問とはならない。
まず、食べログにおける写真をよく観察した。
だいたい、写真だけで、おおよそのことは、わかる。
したがって、食べる行為そのものは、それの検証作業に過ぎない。
それは、巨匠ロリン マゼール氏と同じ思考過程である。
マエストロは、ゲネプロで、演奏そのものは、すでに終了しているという。
実演は、それに対する検証ないし再現過程に過ぎず、極論すれば、指揮者の仕事は、ゲネプロの段階ですでに終わっているので本番に指揮者は不必要だと主張している。
また、ウィ-ンの三羽カラスといわれた、デ-ムス氏は、飛行機の中でも、練習はできるという。
架空の鍵盤を弾いて頭のなかで、その音が聴こえるという。
ピアノがなくとも、ショパンは弾けるというのだ。
すべて、頭の中で構築されている。
それと同じことである。
なるほど、写真を見る限り私好みの料理が多い。
そのなかで、パトリック ジェフロワ氏のサイン入りの写真をみつけた。
ジェフロワ氏といえば、御承知の通り,フランス ブルタ-ニュ地方を代表するミシュラン二つ星である。
私との関係は、2003年に、ニュ-オオタニ 大阪 サクラにおける彼のフェアに参加したことから始まる。
魚料理がおいしかった記憶がある。
その後、一度彼の現地のレストラン(ロテル ドゥ カランテック)にお邪魔したことがある。
その際食べた、ル-ルブル-が美味だったことは、鮮明に覚えている。
何でも、彼はそのお弟子さんにあたるとか。
4年半にわたる海外修行のなかには、タィュバンでの修行もあったとか。
なおシェフは、2000年ドイツで行われた世界料理コンク-ルの銅メダリストのひとりであります。
また、ジェフロワ氏といえば、いまをトキメク帝国ホテル出身のフランス ム リ-スの料理長 杉本氏の修行先のひとつでもある。
色々な懐かしい思いがひとつになって訪問を決意させることになった。
なお、トリスケルとは、ラテン語で、大地と太陽と水の三位一体を意味するそうだ。
当然名付け親は、シェフの師匠であるジェフロワ氏だそうだ。
広島駅から、歩いて10分程度でしょうか。
少し古びれたビルの二階に、当店舗はあります。
実際、少し当惑したのは事実であります。
ある意味、外観で損をしている部分はある。
ただ、外観で、人を判断してはいけません。
おそるおそる階段を上がり、入店してみると、入るとすぐ,オ-プンキッチンで、シェフひとりですべてをこなしているようだ。
その他、ホ-ル担当の女性がふたり。
サ-ビススタッフに案内されて客席に通された。
店内は、なぜか、フランスのラジオ放送が流れている。
こじんまりしたお店で、16席ほどしかないが、カジュアルだがシンプルな清楚な雰囲気の店内であります。
東京でいえば、エル ブランシェをよりカジュアルにした感じでしょうか。
接客は悪くなく、実直な感じであります。
料理の説明から、料理の配膳の間の取り方まで、華美さはないが、誠実さは伝わる心温まるサ-ビスである。
コースは三種類。
ひとつは、三日か前までに予約の必要がある。
あと二つは、当日でも食べれるようだ。
その他、アラカルトもある。食材は、総じていい食材をお使いのようだ。
地産地消の観点から、できるかぎり、広島近郊の厳選された食材をつかっているようだ。
ただ、フランスの食材に対するこだわりもかなりあるようで、鶉とか、また当然の如く,ル-ルブルーはフランスから取り寄せているようだ。
なお,サ-ビス料はない。
外税だけだ。
3980円のコースを選択。
その内容は、前菜+スープ+メイン(魚か、お肉の選択)+デザ-ト+ドリンクであります。
当然、ここにきたからには、魚料理でしょう。
したがって、メインは、魚料理。
この日は天然イシダイのポアレでありました。
まず、提供されたトリニスケル風前菜の盛り合わせでガッンとやられました。

***トリスケル風前菜の盛り合わせ。(4.0)***

山女の燻製にフォアグ゛ラのソテーの組合わせ。周りには様々な葉野菜。いんげん、空豆。ナッツ 胡桃 杏のコンフィチュ-ル 上にはポテトのチュイ-ル。ソースはビーツと、バルサミコソ-スの組合わせ。マズ。絶妙な味わいの山女の燻製に感涙。淡白な味覚の山女にほっくら崩れるような触感に、サクラのチップの香りが上品に軽妙に優雅に響きながら舞い踊る。まるで、妖精の踊りのようだ。かみ締めるほどに旨みが内から、外へと溢れてくる。程よい焼き加減のフォアグラは、外側は、魅惑的なカリカリ感で内側は、トロトロ状態で蕩ける。的確な火入れで程よい甘さが魅惑的。ある意味、エル ブランシェのそれよりも清楚な上品さが感じられた。春らしい季節を感じるいんげん 空豆の湯で加減もほどいい。アクセントとしての杏のコンフィチィ-ル 胡桃も食欲をそそる味わい。同様にかりっとしたポテトのチュイールもその旨みを増す味わい。しっかり存在感の感じるビーツとバルサミコソ-スは、甘く芳醇で芳しいひとときを醸しだす。しかも、水っぽくなくしかも、重すぎないおいしさ。フランス料理の醍醐味の一つとしての複雑さを見事に表現している。これだけで,ブラ-ムスの交響曲2番を聴いているような心境になった。個人的には,ピエ-ル モントゥ-のそれに近いように感じたが。

***スープ(3.9)***

当日ののスープは、かぼちゃのス-プ。滑らかで、かぼちゃの甘み旨みの詰まったおいしさであった。なお、写真は撮り忘れた。

***天然イシダイのポアレ(4.2)***

天然イシダイのポアレの下には、イシダイの頭でダシを取ったヒュメドポワソン。それにサフランを加味している。当然、皿は温かい。これは、鉄則でしょう。その他、具材に、筍の穂先 下仁田ネギ ポワロ-など。イシダイの皮は香ばしいカリ感で、身はパサつかず、しっかり水分質を保っている。この辺のキュイソンもうまいというべきだ。タイの場合、パサつきやすい。これをパサつかず仕上げるのは、コンベクション使用せずして、仕上げるのは、なかなかむずかしい。この辺にも料理人としての技量の確かさを感じた。そして、ナントいっても、ス-プである。これこそ黄金のス-プといってもいい味わいである。その芳醇さ*豊満さは他に変えられない。見事な味覚の結晶のごとき味わいである。その旨みに、イシダイのポワレに軽く吸い込む美味さはなんともいえない美味さである。そこに、下仁田ネギの甘さ エグミのない筍の柔らかい旨みが加わる。至福ともいうべき味わい。遠い昔。東京オペラシティで聴いた巨匠ギュンタ-ヴァントのブルックナーの交響曲に似ている。まるで、天国を歩いているような感覚であった。

***デザ-ト(4.0)***

奄美大島のマンゴのアイスとハイビスカスのジュレ
マンゴのアイスにハイビスカスのジュレ。それに、尾道の八朔。金柑のコンポ-トなどを具材として使用している。滑らかな濃厚な甘みとここちいい酸味のマンゴのアイスに、粒つぶした触感の八朔の酸味に、金柑のあまづっぱさ、華やかな香りのハイビスカスの酸味が四重奏のように重なり合いながらもマンゴの芳醇な甘みを引き立てながら融合する。それは、まるで、リヒャルト シュトラウスの薔薇の騎士の中で歌われる地上のものとは思われぬ天上の薔薇の如き世界である。

近代フレンチという視点から、現代を見ている点で、モダン クラシックないし、新古典主義の立場にあるようだ。したがって現代フレンチだけが、フレンチと理解されている方には、実際のところ、訪問の価値はない。フランス文化の多様性ないし、フランス料理としての伝統的価値としての多元的な文化的意義に興味のある方には、訪問の価値ありとおもえる。それは、あるべき正統派フレンチとはなにかの一つの姿を指し示す意味でもある。

  • 店頭にある看板
  • このビルの二階に店舗はあります。階段に手すりがないので、慎重に上がりましょう。またお酒など飲んだ帰りには、慎重におりたほうがよろしいかと。
  • メニュー

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