kaoru7さんのマイ★ベストレストラン 2012

kaoru7のレストランガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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今年もまたこの時期がやってきた。今年一年なんとか平穏に過ごせたことにまず感謝。それをささえてくれたシェフやワインやクラシック音楽に感謝しようないほどの感謝*感謝*感謝であります。生きるという意味あいでは、それらが緻密に絡みあい支えているといっても過言ではない。人生への問いかけは各個人が最終的に決定すべき事柄であるが、その意味あいを考える機会になったり、支える機会になったという意味あいではそれらは複合的に絡みあって存在すると考えている。沢山の方々に生きる力を貰ったのは事実。その意味でも感謝の一言しかない。人生と同じで、あらゆる表象的形態が完璧ということはありえず、いいときもあれば悪い時もある。その中で評価とは極めて難しい問題が絡むと思う。料理とは機械でなく最終的には人間が作る芸術である以上、その対象が評価が分かれるのは当然て゜あるし食べ手の好みの問題も絡む。ある意味絶対的美意識などありえないのだ。それはあくまでも個人の感性の問題だと考える。だからこそ客観的思考性が柔軟に対応する姿勢が大切だとおもえる。その意味で評価とは客観的主観における相対的な複合的評価と思う。絶対的評価などありえないと考えている。色々な意見があり評価があることで成り立っていると思えるが。話はずれるかもしれないか゜議会制民主主義の重要性はなにかといえば、討論の自由が確保されているかどうかなのだ。ある意味、その成り立ちの中で知恵を出し合い未来的志向でひとつの見解を出すことに意義がある。その意味では本来的には党議拘束など、本来の意義に反する。イギリスの議会ではそれがない。だからこそ自由闊達の議論が可能であり国民ないし国益にとってなにが重要かという観点からあらゆる議題が決められていく。それが本来の民主主義のあり方であり、ハンス*ケルゼンが理想とした現実である。その意味でいえば、料理の評価にしても色々客観的な自己的視点から決定していく問題だと考えている。絶対的価値感などありえないわけだから、あくまでもひとつの参考として考えていただければ、ありがたい限りである。

マイ★ベストレストラン

1位

トゥールモンド (肥後橋、渡辺橋、中之島 / フレンチ、ビストロ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥2,000~¥2,999

2013/01訪問 2014/05/05

 ひとつの熟成期に入った文句なく大阪で最高に旨い店のひとつ。

文句なく最高に旨い店。10年に1度現れるか゜どうか。神がくれた奇跡を感謝したい。80年代のバンサンク*90年代のベキャスに匹敵する名店。高山氏の作る料理はいつも私の期待を裏切らない。これがフレンチかと思わせる独創性も魅力のひとつ。冬場に食べたトリュフ入りたまねぎの蒸し焼きキャラメ-ルソ―ス たまねぎの皮つきだがその皮すらうまいと感じさせるテク二ック 今回も大正解 まず素材の吟味が゛いい。どの素材もそのピ―クの状態を使う。どれも旨い。しかもこれだけ食べて10000円でお釣りがくる。 大きな岩がキにシャンパンソ―ス 複雑な味わいが一体となって口のなかで軽やかに消えていく。メロンと冬瓜のム―スも驚いた。バスク産サラミに静岡産メロンム―スのしっかりした甘味とあっさりした冬瓜の旨みが渾然一体となって絶妙なバランスで、口のなかでとろける。ラタトュに毛蟹 なんと繊細な毛蟹のおいしさがしっかりと主張してくるではないか。香草のム―スも邪魔にならない。ヌシマの鱧のたまねぎ詰めも好印象 愛知産うなぎのソテ-も火の入れ加減も絶妙で 付け合せの西洋わさびがいいアクセント。メインの鴨は青森産だがこれがル-アン産もびっくりの味。何とも心地よい弾力のある鴨 その鴨のダシでつくったバタ-系のソ―スとの素晴しいマリア-ジュ。至福のとき 時間よ とまれ。チ―ズも程よく熟成していて良かった。デザ-トの白桃のアイスリ―ム自然な旨み*甘味があり滑らかなのど越しとあいまって口のなかでとろけた。文句なく最高の白桃だった。ワインも、特にグラスワインは、コストパの高いものばかり集められており、料理を裏切らない。サ―ビスも丁寧で、料理の説明もできる限り専門用語を使わず、わかりやすい日本語で説明する。これも好印象。 *今年2度目の訪問* 今回も大正解、高山氏。凄い料理の連発で、またまた感動もらった。マダムも、復帰してきぱきサ-ビスしていた。定番のサングリアを飲んで待つと、ファグラのム-スのうえにりんごのム-スと炭酸いりりんごベ-スのジュレ黒胡椒風味がでてきた。付け合せは、食用花。濃厚なフオアグラのム-スは、古典的でしっかりした男性的なスタイル。しかし、くちどけは、甘く柔らかい。りんごのム-スやジュレ酸味と合いいいハ-モ二-奏でる。黒胡椒もいいアクセント。果実とフオアグラをあわせるのは特段新しいことではないが、味のバランス感覚に、シェフのセンスが要求される。フォアグラの甘味を殺さないりんごの酸味が、好印象。ここで、ルロワ69年ムルソ-シャルムがサ-ブされる。程よい果実味と柔らかい酸味が、完成された料理のあじを、殺さず、より複雑な味へと昇華させる。熟成したシャルムのア-モンド香*蜂蜜がいい香りとなり、料理の味を香りで、包み込む。シャルムでよかった。ペリエ-ルなら、すこし酸が強すぎたかもしれない。秋刀魚の料理。生のさんまの皮を、すこしあぶっただけで、ほとんどレアの状態で食べる。これが、また鮮度のいい秋刀魚で、それだけでうまい。トマトのソ-スとセルバチコのソ-ス さんまの下に、クスクスとバスク産のサラミ 付け合せは秋刀魚のキモでつくったム-ス。それぞれに、秋刀魚の味の変化を楽しめた。完成度の高い逸品。日本人シェフならではの、発想ではないとうまれまい。ギネスビ-ルのジュレは、ビ-ルの苦味がいい。フランス産のクリのム-スのデリケ-トで繊細な甘味にあう。丹波産では甘すぎる。大麦のポップコ-ンもいいアクセント。ここでも、シャルムがやってくれました。シャルムの控えめな果実味とクリの風味とよくあう。絶品。 12種類のきのこ*ココット風 は、ふたつきのままサ-ブされ、客の目の前でサ-ブされる。開けた瞬間、キノコの色々な香りがにおい立ち、ひとつのシンフォニ-を奏でた。森の中を散歩する感覚*ベ-ト-ベンの交響曲6番*田園が聴こえる。マエストロは、カルロス*クライバ-だ。私は、ここで、確かに、クライバ゜-の奏でる音を聞いた。ジロ-ル*しいたけ*エリンギ*マッシュル-ムなど12種のきのこに、ぎんなん*リ-ド-ボゥと落花生の刻んだものが混ぜてあり、キノコ類のダシとコンソメのだしだけで、煮込んであるシンプルな料理だが、これも、絶品。10年以上前、ロ-ズル-ムの横田シェフに、今回と似たスタイルで、6種類のきのことベキャスをココット風にして、食したが、あのときの味に、匹敵するあじ。あのときは、ベキャスに合わせて50年のシャト-ペトリュゥスを飲んで、大正解だったが、今回は、ジビエがない分、69年のシャルムでよかった。柔らかい酸味と果実味が、いい相性みせる。松茸のラビオリ*手長えびいりは、なかにあるぷりぷりとした手長えびの食感は、良かったが、松茸の香りが貧弱なのが難点。ソ-スは、さつまいものピュ-レとアメリケ-ヌソ-ス。悪くない組み合わせ。メインの山鳩のロ-ストも良かった。レバ-のム-スを山鳩に縫ってあり、全体柑橘類をベ-スにしたソ-ス。アンデイブ*オレンジの皮*黒キャベツが鳩のしたにある。野生的な味わい。火加減も絶妙で、弾力ある肉質を堪能した。オレンジの酸味も柔らかくいい具合に、旨みを倍加させた。柑橘系類の酸味がシャルムと幸相性 幸せな気分 アンデ-ブも変な苦味もなく、黒キャベツも幸相性。デザ-トは、カルダモンのアイスに、イチジク*チョコレ-トのムース、ア-モンドのチュイル。まとまりのあるおいしいデザ-ト。今夜も生きてて良かった。次回は、どんな感動もらえるか。期待しながら、帰途についた *今年最後 の訪問* 今年最後という訳で、それにふさわしい内容のワイン を飲むことにした。1949 年ルロワのミュジ二-である。マダム*ルロワが事業 に直接 参加 するのは、 1955年 から だが、この年 は、間接 的 に関わっていた 実に 微妙な時期 なのだ。 49年 は、40年代 最後をしめるふさわしい偉大 な年 のひとつ。この年代で、 ルロワ のミュウジニ-  に対抗できるミュウジ二-は、 ド * ヴォギ エ のそれしかない。後は、保管状態如何 。酸化しては、宝の持ち腐れだ。ブュルゴ- ヌ ワイン で、長期 保存 可能なのは、ルロワ その他 一部の生産者のみである。後は、料理とのマリア-ジュがどうかである。高山氏自身かなり緊張すると話しておられた *49年のルロワのミュウジ二-* に対して緊張しない料理人がいるだろうか。さて、抜詮である。60年の月日を経て、生命体として生き抜いてきたか、緊張が走る。抜詮された途端、見事なまでの熟成香が拡がった。ミュウジ二-は、香水の如く香り高いのが特色のひとつで、これがボンヌ*マ-ルと異なるところである。まず香り酔いしれる。これだけで、十分であった。ひとくち飲むと、ビロ-ドの舌触りに、控えめな果実味とそれを支える優しい酸味*タンニンは丸くなり優雅に溶け込んでいる。フルボディ 1分を超える余韻。雑味がないと高山氏。良くわかっている。見事に雑味がなく総てが一体として溶け込んでいる。内に秘めた力強さが感じられる。美しきビ-ナスの造形美として現れる、見事なまでのテロワ-ルの反映。ピ-クの高原状態。保管が良好ならまだもつ。素晴しいの一言につきる。さあ、料理とのマリア-ジュだ。緊張する高山氏に、大丈夫だよ、ルロワが総てを包みこむから、自然体で立ち向かえばいいとアドバイス。一品目は、 *コ-ヒ-カップの底に森バトとフォアグラのム-ス* そのうえに林檎のチャッネ*高山氏が奈良で見つけた和紅茶のエスプ-マ*その葉っぱがかけてある。血の滴るような鳩の風味と濃厚なファァグラがなめらかなム-スとなり、林檎のチャッネとあう。果物とファアグラがあうのは、あたりまえだが、鳩の血の風味を感じさせながら美味くまとめるところが、大切。血の風味がですぎてもだめだし、なくてもだめだ。絶妙なバランス感覚が要求される。まさに絶妙だった。和紅茶のエスプ-マも繊細な日本の美感じられる。濃厚さと繊細が絶妙なバランスをもって両立する。アクセントの和紅茶の葉もいい。逸品。大胆かつ繊細さが、今日のミゥジ二-のスタイルに合う。2品目が、 カクテルグラスに、コンソメのジュレ*車えび*ブロッコり-のム-スにとんぶりとマ-マレ-ド 悪くないがまずまずの組み合わせ。3品目は、 淡路産玉葱のロ-ストトリュフ添え 玉葱の中には、トリュフ煮詰めてペ-スト状にしてキャラメルを混ぜたもの。玉葱は,3時間掛けて焼いたもの。去年出されたものの進化系。去年もらった同じ感動もらった。トリュフの官能的な香りに妖艶なミュウジ二-の香りにあう。玉葱の甘味とワインの果実味が心地いい。4品目 豚べ-スのス-プにかぶら*牡蠣*白菜煮たもの 上に河豚の白子のロ-スト*海老風味のバタ-の塊のせてある。ココット風にして供され、熱いうちに、バタ-を溶かしながら食べる。かぶらの旨みと牡蠣の味わい。とろける河豚の白子。白菜の旨みがもっとあったら、絶品。5品目。 霜降りの的鯛をさっとあぶっもの 上のチュルレは、的鯛のキモでつくったもの。的鯛の下には、トランペットと、パルメザンいりリゾット ソ-スは2つ。鶏ベ-スのあわ立てとイカ墨のソ-ス。これは、絶品。的鯛への絶妙な火入れとチ-ズの風味トランペットもいい食感 チュルレがなんともいえない味わいをだした。ソ-スの相性もいい。6品目 北海道産蝦夷鹿のロ-スト  鹿の上には、黒胡椒 ソ-スは鹿べ-スにした赤ワインソ-ス 皿には、カカオパウダ-付け合せは、フランス産の栗のピュ-レ添え ロゼ色に焼き上げられた蝦夷鹿がいい野生味をだしていた。カカオパウダ-がいい新発見。 デザ-トの冬柿のコンチュ-ルと柿のタルト タルトには、杏のシロップ。柿の旨みを堪能した。ワインと好相性。ルロワと互角に渡り合った印象強い。

2011年に入って明らかにディナ-タイムにおける高山氏の作る料理のスタイルは変化しつつある。ネオクラシックのスタイルから洗練された現代フレンチの要素を巧みに入れたスタイルへの変革である。それはある意味新しい世界の広がりへ。新しい熟成への到達点へと至る道程である。この年から今年に至るまでその過程には紆余曲折あったが、やはり総合的に考慮するとき、その新しい地平線への挑戦に間違っていないと感じる。その芸術がわずか9500円で感じられる感動に感謝するしかない。ある意味、同時代を生きたことを心から感謝するひとりである。とりわけミキュイにこだわり始めた彼は、キュイソンに関しては素晴らしいというしかない。しかも、機械を使用せずに、自分の感性の中で処理するところに天性のセンスのよさを感じる。今回、とりわけ驚いたのは雷鳥のロ-ストである。変化球的面白さを感じた次第である。通常熟成させると見事な熟成香が現れるのだが、彼の場合、それを現代的に解釈しようとする。すなわち熟成させながら熟成香を感じさせない。つまり肉に対する旨味成分だけを凝縮した味わいを提供することで、ジピエの現代的解釈を提供しようととする。雷鳥の胸肉と腿肉と内臓のフォルスをキャベツで巻いているのだが、味わうごとに実に雷鳥のうまみが口の中に洗練された味わいとして口の中に広がりクリア-な味わいとして消えてゆく。実に洗練された味わいだ。サルミソースも現代的に軽く仕上げてあり、古典的ではない。実に軽いが深みのある味わいである。その相関関係が新しい新時代のあり方をしめす。その意味で新しい転換期となった年だと感じたのは私だけだろうか。

2012年、今年もまた、高山チ―ムの快進撃は、止まらない。わずか9500円で得られる感動とは、素晴らしいの一言である。進化し続ける現実は、無限の宇宙からのメッセ―ジであろうか。この日は、長年の友であり、世界的な料理ジャ―ナリストになりつつある彼との,さしでの飲み会。楽しい、なんとも溜まらない時間が過ぎてゆく。今年を締めるのに、相応しい内容となった。どの料理も素晴らしく完成度の高い、しかもコスパの優れた料理ばかりである。しかも、ワインとのマリア―ジュにおいて、見事なまでに、融和する。キュイソンもいつもながら素晴らしくなんともいえない素敵な時間を共有できた。この年を締めるにふさわしい内容だった。

参考までに、1955年のマジ*シャンペルタン ルロワについて。確固たる男性的でありながら、しなやかな力強さも併せ持つ。みごとな熟成香が溜まらない。しっかりしたストラクチャ―。フルボディ。長いシルクの如き余韻がたまらなく、セクシ―の一言。まさに、マリリン*モンロ―的世界感。あるいは、クリムトの退廃的世界感。なぜ、この素晴らしさが、分からないのか。不思議でたまらない。

2013年 初頭。それは、月夜の美しい晩でした。この日、奇跡が起きたのです。私の長年の友人のひとりが、来阪することになり、私としては、出来るだけの誠意もって対応しようと考えました。シニアソムリエ資格保有者であり、長年にわたり某世界ソムリエ協会会長と昵懇の方だけに、それなりのワインで、おもてなししなくては、なりません。そこで、考えたのがまず、料理はここ。それにあわせ、驚かすワインの選定として、1934年 ロマネ コンティでありました。御承知のとおり、この時代、フィラキセラの影響により、ヨ-ロッパの葡萄畑は、壊滅的な被害を受けその免疫性をもつアメリカ産の苗木に順次植えかられていた過度期であります。ただ、ロマネ コンティに関してはそのまま昔ながらの葡萄で育てられました。それゆえ収穫量は、激減してしまいます。その時期に収穫された葡萄で瓶詰めされた奇跡の一本。プレフィレキィセラによるワインを堪能することが、最大限のおもてなしと考えました。しかし、ワインは生命体であり、実際抜栓しなければ、わかりません。開けるまで実に緊張しました。コルクも実のところボロボロの状態で、テ-ステイングするまで、緊張しました。樹皮のような香りに、なめし革の香り。アジアンスパイス。トリュフ 腐葉土 バニラそして後から熟れたプラムのような香り。チェリ― イチゴといった果実系の香りが後から続きます。テ―スティングすると、実に柔らかいシルクのごとき舌触りで、しかも、一切の雑味のない優しい味わいでした。戦後のロマネ コンティとは、明らかに一線を画す味わいでありました。酸味もタンニンもすべてチャ―ミングで凝縮した果実味のなかに溶け込みただ、ひたすら優しい味わいとして、しみじみとほのぼのと飲み手に、訴えかけてくる。繊細でデリケ-トな味わいだけに、その語りかける味わいは、全体を包み込むような実に優しい味わいでありました。長くてチャ―ミングな余韻も印象的であります。あらゆる現象をすべて吸い込み、自然体としてのあるべき姿を呈示する。まさに奇跡の瞬間を体験できたことになんともいえない宵となりました。偉大なワインの語りべとなった一夜でありました。

  • アラン*デュカス氏のメッセージカード
  • (説明なし)
  • 厨房前にある*テ-ブル席

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2位

カハラ (北新地、東梅田、大江橋 / 創作料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2011/12訪問 2012/12/22

創造する古典的芸術の美意識

いまさら、私が取り上げる必要のない関西の至宝のひとつ。
そのひとつひとつが芸術ともいうべき料理の数々であり、きわめて創造性豊かなものである。
作りあげる料理は、オリジナリティにあふれ、ある意味古典的な意義におけるフランス料理を超えている。
それは和食との融合であり創造といっても過言ではあるまい。

エル*ブりのフェリアン*アドリアンを震撼させたのも納得のいく話である。
話は、ずれるが彼の場合、三つの段階があったといわれている。
優れたフレンチ料理を注意深く翻案していた時期*カタロニア料理を組み替えていた時期すなわち原点回帰の時代*現代へ続く自由に芸術性を発揮し味覚の創造を発揮した時代。

この最後の部分を、どう理解するのかが問題なのである。
すなわち現代ヘ続くモダンスパニシュではないという議論のあるところである。あらゆる文明*文化を取り入れて作り上げた料理は、モダンスパニシュという概念では、捉えきれないのではないか。という批判である。

ある意味、モダンスパニシュが、世界最高峰であると理解するのはひとつの幻想ではあるまいか。
ナンバ-ワンの料理ではなく彼の自由な哲学に基づくオンリ-ワンの料理と理解するのが適切ではあるまいか。
その同じような思考をとるのが、森氏の料理ではあるまいか。
ひとつの既成概念にとらわれないところにアドリアンは共通の感覚を感じたのではあるまいか。

ある意味アドリアン自身ひとつのカルチャ-ショックを感じたかもしれない。

森氏の作り出す料理は、創造的でありこれをひとつの料理の範囲として理解することは、この世界における意義なり意味を汲み取れないことになる。
フランスにおけるヌ-ベルキュジ-ヌを始める前に日本料理がヒントになった。
それは、絵画の世界で言えば印象派の画家達が日本の浮世絵をヒントに自分達の世界を作り上げたことと同意義である。

その意味でいえば料理の世界に境界線はないことになる。
新しい感性*新しい感覚で新しい料理を創造する。その意味では森氏の料理もまたひとつのカテゴリ-て゛は括ることはできまい。
ある意味同じ時代を生きていることを感謝しなければならない。
めくるめくるときは、いずれ終わりがくるとしてもそれが永遠の感覚として残っていってほしいものである。

カハラの歴史は、1971年にはじまる。いままで続く夢の始まりである。
お客様の前で牛肉を焼くスタイルは今でも続くスタイルである。

当時席数は10席あった。90年になって席数は8席となる。
最高の状態で最高の料理を最高のタイミングでだすという意図のためである。

漆芸作家としての顔をもつ森氏は、93年から5回ほど 漆展を開催しているそうだ。
今年で40周年を迎える。
シンプルな素材の組合わせでありながら深遠たる味へと変化してきていることである。
まさに人生の達観した境地で作り出される料理は、神が与えし夢の時間のように感じる。
そこから新しい芸術が生まれてくる気がしてはならない。

それは人のぬくもりの感じられる芸術であり感性である。
機械文明の世界だからこそコントラストとして立ち上がってくる美意識だとおもう。
現代においてもこういう美学も失ってはならず美しい柔らかい日差しに包まれる優しいときめきがある。

店内はカウンタ-席のみで奥に厨房がある。

基本としてディナ-タイムが中心である。
二部制になっており22000円のコ-ス料理のみ。

料理とあわせてグラスワインを数杯飲むと3万円前後になるが、それをもってあまるほどの感動があるといっても過言ではあるまい。

ただ純粋なフレンチ料理よりも創作料理としての美学が息ずいている。
日本人のDNPがそれを喚起させるのかもしれないが。

まず、定番の大阪柏原で作られる葡萄の発酵を途中で止めるアルコ-ル度数7度のナイヤガラの食前酒から始まる。

透明感溢れる色合いで、甘さ控えめのフル-ティな味わい。
軽やかな余韻が心地いい。
それは天国への階段を上る素敵な時間の始まりである。

***シラサキ海老料理(4.8)***
熊本産のふじなみをしきつめてその上には広島産の大ぶりな太くスライスされたごぼうに粉雪のようなほぐされたシラサキ海老の身が舞い降りる。軽くて柔らかいしらさぎ海老の身を食べるごとに不思議な感覚であるが中島みかの雪の華のメロディ-が聞こえてくる感覚になった。こんなことはなかったが不思議と感じたのである。ごぼうは、旨みにみち かみ締めるほどに繊維質感じられるがしらさぎ海老の旨みを邪魔しないいいアシスタント的役割を果たす。ふじなみはわかめのような食感でこれもまた海老の甘味旨みを引き立てる存在感。海老の頭はカリッとした食感で海老の風味満載である。純粋においしい。それにあわせてニュ-ジランド産の軽めのソ-ビョンブラン飲んだが゛、洋ナシの香りが印象的だった。いいマリア-ジュだと思う。

さあ,八寸御膳様(4.6)の登場である。生後5ヶ月のバ-ジン牡蠣にライムを合わせている。食べるとライムの酸味感じるが、コリコリした牡蠣のザツミのない旨みがほのかに立ち上がる。里芋の上には、カラスミがかかっている。ほっくりした里芋にカラスミがうまく融合しておりあっさりしながらも深いお味。かにときくらげのあえものもかにの繊維質の旨みをひきだしておりこりこりしたきくらげとのいい食感が印象的。やや酸味の利いたあじわい。薄く焼かれたそばのクレ-プはほのかにそばの香りが匂いたつ。中には細ギリされペッパ-利かせたレアにちかい和牛。和牛の甘味をひきしめるペッパ-に包み込むそばの風味。面白くしかもうまい食感かんじさせる。鱈の白子に軽く火をいれ表面はラ-油で焼こまれた白子は、ピリッとした味わいでありながらふくよかな白子の甘味をひきだす。かぼちゃのム-スよりも粘着性のあるものを海苔で巻いて食べるのだが、これも驚きの食感と旨みを感じさせる。パリとした焼き海苔と粘着性のあるとろろのような食感と味わいがなんともいえないシンプルでありながら奥ぶかいあじわい。

ここでコーヒーオイルをかけた特製竹内の揚げカレ-パン(4.6)だされる。コ-ヒ-の香りに包まれたさくっとした生地のパンの香ばしさに辛口カレ-の具がいい調和感でまとめられている。しかもひつこさがない。複雑で軽い味わい。

***パプリカ料理(4.7)***
野菜ソムリエコンク-ルで優勝した大きなパプリカを器にしてなかには、あわぴ゛とほしなめことまつなめこを煮込んだものがつめこんである。ねっとり感の少ないほしなめことまつなめこはあっさりしながらもジュシーな味わい。あわびも柔らかく蒸されておりいい食感。すべてが繊細でやさしく優美な味わいでまとめてある。パプリカの鮮度*品質も最高で、ハリのある味わいで食べるごとにその旨みが増し、パプリカの風味とともにス-プの優しい味わいといい相性みせる。

***蟹のリゾット(4.7)***
奈良の発芽米の古代米使用。純粋なリゾットという概念では、捉えきれない日本的リゾットというべきか。そのリゾットにたらばがにのような緻密なズワイガニの身がさっとあわせている。きわめて美味。古き昔の時代に戻っていくような感覚に襲われた。リゾットはやや固めだがかみ締めるごとにそのうまさ甘味が溢れてくる。なんとも柔らかいずわいがにの身とのコントラストが魅力的である。

***牡蠣料理(4.2)***
北海道のさるま湖で採れる牡蠣をしっかりグリエしてイカスミのソ-スをふりかけ底にはビ-フン敷き詰められている。ほんのり甘味の感じられる小ぶりだがふっくらした牡蠣はかすかな磯の風味とともに柔らかいビ-フンの味わいが食欲をそそる。イカ墨のソ-スも上品な味わいで料理的にはシンプルな構成だがあじわい的にうまくまとめてある。

***ねぎのス-プ柚子風味(4.4)***
大根おろしで摩り下ろされたネギをス-プ状に仕上げられたもの。なかには柚子の皮がちらしてある。まず柚子の香りがここちいい。柑橘類系のきつい香りでなくほのかな優しい香り。ス-プをすくって食べると、なめらかさとある意味荒々しさが共存している食感にネギの存在感と柚子の香りが口内に広がってゆく。のど越しにねぎの存在感をつよく意識させる。

***定番の牛肉のミルフィ-ユ(4.5)***
薄切りのミルフィ-ュは表面は綺麗に焼きを入れられ真ん中にある牛肉はミディアムの状態ではさまれている。柔らかい肉質はとろけるような味わい。上品な牛肉の味わいにかみ締める必要のないぐらい肉質はさらりと消えてゆくまさにとろける味わい。それだけで十分おいしい。にんにくチップも丁寧に焼かれ軽やかな香りも香ばしく食欲をそそる。バタ-で風味づけられたほうれんそうもこれが、ほうれんそうかとおもえるほど柔らかくしかも旨みに満ちている。京のすずきもいい食感でみずみずしくほどよいつけあわせ。薄口醤油と白ワインベ-スのたれも軽やかなあじわいでまったくザツミの感じられない味わいである。これにつけてもさっぱりとした牛肉の美味さ感じる。生わさびも上品な薄味の辛さで、牛肉の旨みを上品に刺激させる。もみじおろしも軽い刺激的な味わい。

***下関とらふぐごはん(4.4)***
鳥取農園で栽培される大山の水で育てられたこしひかり使用。美味く炊かれた御飯のうえに蒸しにされたトラフグに唐辛子とからしと味噌を混ぜたものをタレみたいのせてある。御飯の甘味にトラフグの旨みに味噌の甘さとピリ辛が心地いい刺激をあたえ食欲を進ませる。
***デザ-ト類(4.2)***
デザ-ト類はふたつ。ひとつは林檎を使用したものとクリームブリュレ
りんごの品種は不明。紅玉でないことは確か。そのりんごを生キャンディ状にしてある。林檎のまろやかな甘味が凝縮している。

***クリームブリュレ***
クリームブルュレといっても典型的なクリームブリュレではなくプリンみたいな食感で上には、白小豆にコ-ヒ-がかかっている。なかには苺がはいっている。コ-ヒ-の苦味に苺の酸味にブリュレの甘味。クリ-ムブルュレとは思えない変化級的存在。

煎茶は薫り高くすっきりしたあじわいでおいしい。

***お菓子***
自家製チョコのなかにピオーネふくむものとロマネコンペイトウ 英国で販売されているもの。アニスのかおりが強い。

最後はアッサム紅茶を牛乳で煮詰めたロイヤルアッサムティ- 
アカシアの蜂蜜を加えて飲むかは、個人の好み次第。エグミのない上品な紅茶の味わいだが、やや濃厚である。

ひとつの時代を形成しこれからもまだ独創的な料理を時代の流れにあわせながら作っていただきたいものである。

それは永遠のときめきとともにこの店の存在感の普遍的価値を微動だにしないものとして存在させるものとなろう。

そのときめきは永遠の感動を与えてくれる希有な存在といっても過言ではない。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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3位

ユニッソン デ クール (なにわ橋、北浜、南森町 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.9 ]
  • 昼の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 4.9 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2014/01訪問 2014/06/29

未知なる可能性に満ちた若き彗星

2014年 初頭。
今日は、ワインラバー達と、べキャスを食べにきました。関西における、ビストロとしてではなくフレンチにおけるジピエの銘店なら、総合的観点から、渋谷氏率いるラ ベカスか、高田氏のラシームか、手島氏率いるタテル ヨシノが、個人的には好みであります。伝統と革新という意味では、いずれも、伝統的なアプロ-チであります。どの店にすべきかは、実際迷った。あるいは、未知数だが、レストラン ディファレンスというカードもあった。あまりにも、昨秋食べた雷鳥の火入れが魅力的で、予見可能性として、かなり、期待感あったのは、正直なところ事実であります。和歌山はやや遠い。巨匠渋谷氏は、四ツ橋時代と比較すると、料理哲学としての信念はいささかもぶれないのだが料理そのものはフレンチとしてはややぶれる要素もある。ある意味、もっともフランス的で魅惑的だった、ロビション氏やアラン シャペル氏のそれを彷彿させるフランス的エスプリ感じるのは、四ツ橋時代という印象が強い。現代は、むしろ、和食との融合ないし配慮や中華的発想との統合感が強く、それはそれで楽しめるのだが、純粋なフレンチという概念からすると、やや変化級が強すぎて、本当に食べなれたグルマンでないと、理解できない難解な部分がある。それは、一つの進化形なのだか、若い世代にとっては、齟齬を感じる部分もあるのが実際のところ。そこはある意味、グルマンの聖地的領域である。その意味で、ラシ-ムか、ここかと直感的に感じた。両者とも、感動の時間を共有できるのは、真理的命題としての客観的事実である。今回、シュブラルブランの1949年をとことん、堪能するベキャスとのマリア-ジュで、至福な時間の光彩という意味で両者とも、甲乙つけがたい時間を享有できることは、容易に予想できた。結果的にここで至福の時間となったが、ラシ-ムでも恐らく同様の感涙たる時間となったと想像するが。ジピエという野性的側面を強調するなら、マリアージュ的には、コ-トロティがいい相性見せるのが定説であるのだが、洗練された野性味という意味では、ペトリゥスやシュブラルブランなどの偉大で耽美的な古酒がいい。そのマリア-ジュが麗しくも美麗なる感性的な味覚の調和感の提供となる。ここでは、1929年の後者とあわせて、感動のひと時を感じたのは、記憶に新しいところであるが、今回のそれは、遙かに上回る味覚の記憶となった。ただ、個人的には、故横田シェフが,ロ-ズルーム時代にみせた、1961年のペトリゥスや1949年のシュブラルブランを使用した芳醇なソ-スと、べキャスとそのワインのマリア-ジュという意味において、これを上回らない。あるいは、ガーデン時代にみせた、故松本シェフが作って魅せた1949年のシュブラルブランの赤ワインソースとべキャスとのマリア-ジュにおけるシンプルな美味には、及ばない。ただ、料理そのものとしての完成度はきわめて高い。素材の状態を見抜きそれに適した精妙なる火入れにその味覚を芳醇にするソ-スの選択の多様性の選択肢において比肩するものはない。ただ、今回テ-スティングしたワインとのマリアージュにおいて至福であったが、永遠へ続く感涙のときめきたる時空を超えた共感とは別次元問題であるが。ただ、これは、現代的嗜好と伝統的価値感との相克の問題かもしれないが。

2013年の記憶
ひとつの新しい感性がひとつの新しい未知なる時代を形成する。その意味においてもこのお店は稀少的存在といえよう。ビォデナミや醸造といったワインの思考を料理法にとりいれようとする。例えば明確に、それを意識させるのが自家栽培の香草である。ビオの法則に従い、カモミ-ル*ヴェルヴェールは、午前11時に摘むそうだ。それが香りがいいという理由からである。しかしながら、シェフの思考の中には常に古典的な伝統料理がありそれをいかに現代的に再構築するかという意識も矛盾なく両立している。その意味あいでいえばソ-スの重要性もまた重視する。毎日、ジュを骨から色々な数種類のソ-スをつくり、それらを毎日つけたしていく。日本的にいえば、鰻屋のたれの思考である。そのソ-スを多様に使い分け、現代フレンチをつくりだすことが、今の理念である。しかも、日本人である以上日本の食材とフランスの食材をたくみに使い分けフランスと大阪の感性でフランス的技法で構築するところにある。しかも、それがワインとのマリア-ジュという点で感動する料理を創造するところに現在におけるシェフのあり方があるといえよう。しかしながら料理は時代とともに生きているという意識もありどのように変化していくかは、時代の流れを吸い込み、そして自由闊達に変遷していくようだ。その意味でいえば、柔軟に変化していく姿に期待するひとりである。それはある意味、料理人の宿命といえるかもしれないが。シェフは私的には赤い彗星*シャア*アズナブルのような存在のように映るが。

2010年の記憶

若き巨星のごとき彗星が、神に導かれし西天満に象徴のごとく登場した。                                                                        北浜駅26番出口より徒歩5分の場所にある。                                                                                         とりあえず、ランチタイムに訪問した。                                                                                              ム-リスのソ-ス部門出身の坂本氏は、弱冠32才。フランス人シェフを引き連れての凱旋である。                                                           驚くべき若き才能を強く感じた。もしかしたら、将来hajimeやトゥ-ルモンドに匹敵する存在になるかもしれない。そんな予感さえある。恐るべき才能に魅了された。このまま、順調に、才能を開花させて頂きたいと期待するひとりである。                                                                                              ランチ*ディナ-もコ-ス料理のみ。                                                                                               ランチタイムは、3200円と5200円の2つ(サ-ビス料+税金込み)。                                                                            今回、私は後者を選択。極めて、CPの高い内容である。11品ついて5200円は、安い。                                                                 店内は、白を基調としたシンプルな店内だが、テ-ブル席は、ゆったりとられゆとりが感じられる。照明は、明るくここちいい。BGMはない。                                                                                             
***料理*味*** 
アミュ-ズは3品 ドレも軽い味で仕上げられており、これから始まるコースの期待感をいやおうなしにも高める内容。                                                                                              
***カリフラワ-のヴェロ-テ(4.0)***
ヴェロ-テと思えないほど、軽く仕上げられており、滑らかな舌触りに、カリフラワ-の旨味が、優雅に凝縮しておりなんとも美味。ヴェロ-テというより、ス-ブのイメ-ジに近い。付け合せの野菜をカリフラワ-の旨味で包み込む柔らかさは、なんともいえない絶妙なバランス感覚を感じさせた。                                                                                               
***ほたてのプ-タンブラン(4.0)***
スモ-クしたほたてに、ブ-タンブラン 付け合せは 茹でたズツキーニとからっとあげたその葉に青梗菜 ソ-スは軽く仕上げられたプ-ルブラン。柔らかい口当たりの帆立の甘味にブ-タンブランの淡白な味が、すこししゃりとするズッキーニの軽い酸味にうまくあい、すこし甘いがシャ-プな味の滑らかなプ-ルブランといい調和で、料理の旨味を増加させる。はらりとくずれるズッキーニの葉も心地よいアクセント。青梗菜も違和感なくこの世界になじむ。輪郭のはっきりした料理。                                                                      
***鳥賊類のパエリア(4.0)***
スペイン風のパエリアと異なり、サフラン風味のパエリアの上に、鮮度のいい厳選された鳥賊類をレアに近い状態におき、エレ-ションのソ-スで食べる。アクセントとしてのきざみ黒オリ-ブが、食欲を刺激する。鳥賊類は、それぞれ、最高の状態にあり、純粋に美味い。                                                                        
***ファアグラ チェリ-ソ-ス(4.5)***
ファアグラは、低温調理 ソ-スは、チェリ-の果実味にあふれ、ファアグラの甘味と好相性。チェリ-の酸味が、ファアグラの甘味をひきたてる。オレンジ風味のチュイルもパリっと焼かれ、煎餅のごとき食感が、ファアグラの滑らかな触感といいハーモ二-を生み出す。オレンジの風味も心地いい。                                                                 
***鱧 ラベンダ-ソ-ス(4.5)***
筋ぎりされた鱧は、弾力があり男性的な味わい。カムほどに旨味に溢れる。春キャベツのオンブレも優しい甘味のある味で、鱧の存在感を高める。軽やかな花香るラベンダ-ソ-スもデリケートに、デュリの香りとともに、鱧の力強さを包み込む。                                                                                
***黒豚のロ-スト(4.5)***
素晴しいの一言 黒豚の素材が最高 その旨味を見事な火入れでひきだし、頂点まで、豚の持つ旨味を引き出している。外側は、ややかりっと焼かれ、中心部は、柔らかく、ジュ-シ-。hajimeの豚が100点なら、90点ぐらいの品質。素材の旨味の引き出し方は同じぐらいうまい。ただ、調理法は、対照的。香草のロ-ズマリ-も、自己主張強くなく豚の旨味をそそる。付け合せ野菜の甘味も、それぞれに豚と美味くなじむ。見事なできばえ。                                                                                                                 
***デザート(3.5)***  
デザート類は、まずまず。バジルのグラニテは、バジルの風味もあり、シャリ感もあるが、林檎との相性がいまひとつ。クレ-ムブルュレは、90年代ベカスで食べたそれのほうが、一枚上 あるいは、本場 ジャマンで食べた方が美味だった。                                                                            
サ-ビスは、つぼを押さえたサ-ビスで悪くない。しかし、マニュアル通りに完成されたサ-ビスのhajimeやサ-ビスを超えたサ-ビスのシャンポ-ルには、いまひとつ及ばない。                                                                   今後大きく成長していく将来有望な新進気鋭の名店

***再訪(6月)***
やはりいい。上り坂にある店特有の明るさが眩しい。+1000円でメインをシャラン鴨に変更。好い鴨だった。ロゼに焼かれた鴨は、弾力があり、しかも柔らかい。魚だけでなく、肉質の吟味*料理も素晴らしいトキメキもらえた。飲み頃のシャンペルタンといいマリア-ジュみせた。馥郁たるトリュフの香りと熟成した果実味が、鴨を包み込むさまは、見事。あとさきになったが、鮭もいい鮮度で、さっと焼いて中は、レア。脂身もなく、クリア-な味わいだった。キャラメゼしたほのかな大根の甘味が、いい相性。今回、デザートは、かなりいい。こういった完成度の高いデザ-トを安定的にだせるようになると、好印象。試行錯誤の段階だが、関西屈指の名店になる有力候補のひとつ。

***再訪(7月)***
真夏の到来に対して、シェフは涼しげな料理提供しましょうという事で今回再訪となった。しかし、言葉と裏腹でかなり充実した深い内容となった。今回も大満足である。どれもこれも納得するものばかりであったが、特に印象に残る料理を記載したい。

***青森帆立 夏野菜とトマトのプロヴァンサル(4.0)***
まず生の帆立の鮮度が素晴らしい。肉厚で旨味が凝縮している大降りの帆立のコリコリした食感に加えその最高の甘味が、あっさりしたプロヴァンサル風ソ-スや色々な夏野菜と融合しハ-モ二-奏でる。美味しい。

***サンモンミッシェルム-ル貝のヴェロ-テ カプチ-ノ*サフラン(4.0)***
ほくほくしたム-ル貝にサフランとカレ-風味の滑らかで軽い優雅なヴェロ-テが心地いい。

***ブルタ-ニュ*ホロホロ鳥 クレオ-ル風(4.5)***
今年食べたホロホロ鳥のなかでは、最高のひとつ。
最高品質の素材に、最適の火入れ。部位ごとの旨味が、極限まで引き出され見事の一言につきる。胸肉は、低温調理だが、最後は高温調理で仕上げられている。
皮はうっすら焼かれ香ばしく、中は柔らかくジュシ-な味わい。噛めば噛むほどに、旨味が溢れてくる。腿肉は、筋肉質でシャ-プで引き締まった味わい。ソ-スはクレオ-ル。素材を引き立たせる程度に軽いが濃密である。

***オレンジのジュレとテュイ-ル ロ-ズマリ-のババロワ-ズ4.0)***
柔らかい酸味のオレンジのジュレとテュィ-ルがいい食感。
ロ-ズマリ-の風味も程よく、夏向きのさわやかな一皿となった。

まだまだ、いい夢がみれそうだ。

***8月再訪***
長年にわたる友人のひとりと食べるフレンチとして考えたのが、ユニッソンだった。
彼も相当の食通である。
その彼を感動させるためのフレンチレストラン色々考えた。
革新的フレンチのhajimeにするか、近代的視点から、現代フレンチを再構築するトゥ-ルモンドにするか、ネオクラシックのシャンポ-ルにするか。モダンクラシックのル*バンサンクにしようか。
色々考えたあげく、近代的フレンチと現代的フレンチの融合という視点から考察したとき、最も適しているフレンチレストランのひとつとして考えた結果からこの店の選択となった。
しかも、登り坂にあるシェフへの期待が、動機となった。
シェフの立場は、現代フレンチであるが、そこから、近代や古典的フレンチも,視野に入れるスタンスにある。
久しぶりに愉快な時間が、過ぎてゆく。
アミュ-ズに天然真鯛の刺身でたが、脂ののりといい身のしまりといい最高の口当たりだったので、明石鯛かとシェフと話したが、愛媛だという。愛媛もいい天然真鯛の取れる産地だという。
厨房から、大きな天然真鯛をみせてくれた。あまりにも美しい光稀な色合いが印象的だった。
コレを、1日2日熟成させて、焼いたら美味いというシェフの言葉も記憶に残っている。
マテ貝を食べたときも、鮮度がよく、コリコリした食感が心地よかったので、美味いなというと、シェフが生の大きなマテ貝をみせてくれたものだ。

素材の絶妙なキュイソンと複雑なソ-スの相性も、まだまだワクワクさせてくれる。

ドレもコレも、印象に残ったが、特に印象深く残ったのが**夏鹿のシェブルイュのパイ包み ソ-スペリグ-**である。
ある意味こういった古典的な料理もシェフは、現代的に美味くつくれるところをしめしたかったのか。
パイの焼き加減もよく、さくっとした食感が、夏鹿のコクになじみ、ぺリグ-ソ-スと美味くなじんだのだ。
古典的でありながら重すぎず仕上げられたソ-スのバランス感覚は、すばらしいものだった。
シャラン鴨のキュイソンは、いつもながら、絶妙だった。
モ-ッアルトピアノ協奏曲9番を聴いている心境になる。
食後食通の彼も、感動しここの誕生は、90年にラ ベカスできて以来の衝撃ではあるまいかと話していた。
至福な時間を過ごせたコトは、人生のいい思い出となった。

***8月末再訪***
ひさしぶりに、鮑が食べたくなりました。
色々考えた結果、この時期ここで、食べておくべきではないかと考えました。
私には一種の天命のように感じたのです。
相談の結果、シェフのおまかせコースのひとつとして鮑のコ-ス作っていただくことになりました。
ありがたいことです。
私の時間の都合上、本来 ディナ-タイムに提供される内容ですが、ランチタイムに、料理していただきました。
うれしいことです。
ワインは、料理とのマリア-ジュとの観点から、アンドレ ラモネのバタ-ルモンラッシェがいいと考えました。
シェフのスタイルからすると、アンドレぐらいの方が、最適とおもいます。
ヴィンテ-ジは88年がいいのではないか。
硬い酸味が、柔らかくなり、果実味とのバランスがとれてきた今こそ、飲み頃と考えたからです。
いつもながらのアミュ-ズから、優雅な時間の幕開けとなりました。
***黒鮑 ビートラブのクリエ-ション(4.5)***
ビ-ツのジュレに、生まぐろの角切りに薄切りの鮑が乗っています。マグロの柔らかい食感にややこりっとした鮑の味の食感にいいリズム感を生みます。それらをビ-ツのやさしい酸味が引き締めます。鮑のほんのりした甘味がマグロのコクにあいます。バタ-ルの果実味が、それらの世界をより芳醇なものにひろげます。
***ホロホロ鳥と夏野菜のタルトレット(4.0)***
タルトの上にパンダド-のロティに夏野菜 ソ-スは、玉ねぎのエスプ-マ 柔らかく弾力のある鳥に夏野菜に軽い玉ねぎの風味が、来たるべき秋の気配を感じさせました。
***鮑のキモのファゴティ-ニ(4.0)***
鮑の肝のコクに、カボチャのラビオリの甘味がいい相性。
***徳島産黒鮑 かさご たまねぎのデグりネゾン(5.0)***
めちゃくちゃ美味い 玉ねぎの甘味にかさごのやわらかさと旨味に黒鮑のデリケートな磯の味が、複雑にしてシンプルな味と構成に、新時代の新しい美味さを感じた。
バタ-ルの果実味と酸味が、複合的な美味さをより複雑なものにする。
***子羊のセルのロティ(4.0)***
子羊はクセがなく、噛むほどに旨味に溢れる。羊のハンバ-グも柔らかく美味い。付け合せのいんげんやししとうも肉の味に美味くなじむ。
***タイムと巨峰のグラニテ(4.5)***
タイムの香りに巨峰の甘味がいい。噛むほどに洗練された甘味に溢れる。バラの花もここちいい香りに包まれる。
***テリ-ヌ*ショコラ ソルベフランボワ-ズ(4.0)***
フランボワ-ズの酸味と甘味の口どけのいいソルベが、ショコラのクッションのような生地と甘味に見事な調和みせた。 

新しい時代の新しいときめきを感じた夏の午後 
それはきっと新しい地平線をしめしているのだろう。

***再訪 10月*** 
シェフのお任せ 15000円 コース(12品)頂いた。
メニュー内容は以下のとおりである。 
アミューズ(5.0) いつもながらの安定したおいしさ
サツマイモとクルミのヴェローテ クロミスキー(5.0)) さつまいもとクルミのバランスが秀逸 クロミスキとの相性もいい。
丹波鳥 トランペットジロールダケ シャピニンのロワイヤル(4.5)秋の風味が、鶏の旨味を包み込む。
フオァグラと黒トリュフのブレス(5.0)以下に記載あり。
ラ ブイヤベース マルセイエーズ(4.0) マルセイユの地方料理の現代解釈 魚介類の鮮度もよくヴァプールで魚介類の旨味をひきだしている。その上からブイヤベースを振りかけている。魚介類の鮮度の旨味が引き立つ。
鬼カサゴ(4.5) キュイソンが見事。
ペルドロー(5.0)以下に記載あり
フロマージュジュール(4.0) コート*ドール時代のチーズには、まだ及ばない。
タイムのグラニテ 梨のコンポテ(4.0)タイムの香りにグラニテのシャリ感が好印象。
オペラ ショコラ (3.5) コーテイングしているチョコレ-トが。甘すぎるのが難点。
お菓子(4.0)
カプチーノ(4.0)
ドレも、コレも、完成度の高い料理ばかりだが(オペラ ショコラは、いまひとつ) 特に印象に残った料理について記載しよう。
今回 ジピエのヨーロッパ産ペルドローが入荷し、調理していただいた。キュイソンがすばらしかった。まさに芸術的だつた。こういった白身の肉は、しっかりした火入れこそ、コクが感じられる。赤身の肉と異なりバサつきやすいため、充分な加熱で。コクをひきだしつつ、アロゼして表面の乾燥ふせぎつつ、プレゼして仕上げる。食べると、しっとりした食感が、繊細に感じられ、コクがありながらも、独特な風味と淡白な味わいが見事に調和し響きあう。ソースは、そのジュを中心としたソース。あくまでもペルドロ-の旨味を深遠にする程度に存在する。モーツアルト的軽妙さでありながらも、奥行きのある深遠なる深みに感動(5.0)
***フォアグラと黒トリュフのプレス(5.0)***
ロティしたシャラン産鴨とフォアグラと黒トリュフをジュレでサンドして食べる。
弾力のあるコクと旨味のある鴨とデリケートなフオァグラの甘味と、こりっとしたトリュフが、優しい味わいのジュレと融合し四重奏奏で官能的なトリュフの香りで、全体を包み込み、有機的統一体になる様は、モーツアルトの弦楽四重奏のごとく、軽やかでありながら、より深い存在感 深みを感じさせる。
アクセントのネギの苦味もいいアクセント。今年 食べた五感で感じた最高のスペシャリテのひとつ。

ワインは、1976 シャトー ラフィット ロートシルト(ポイヤック1級)70年代最高の年のひとつ。スパイシーでシーダ-の香りにプラムの香りが絡む。うっとりするブーケ 後からトリュフの強い香り 濃縮した果実味に優しい酸味 丸みを帯びたタンニン シルクのごとき舌触りに長い余韻は、うっとりするほど魅力的。
繊細でありながらも内に秘めた力強さ感じられる。その麗しき女性美はまるで現代のディーバ ナタリ デッセイの歌声のようだ。
フォアグラと黒トリュフのブレスと最高のマリアージュみせたことは、いうまでもない。

サービスは向上しつつあるが、まだまだ物足りない部分は残るのは事実
しかし、それを超える料理の完成度の感動は、五感で味わえる見事なものだ。

美しきトキメキと新たなる感動が、明日への希望へといざなう希有の存在

**2011年2月再訪***
***今季至高のベキャスに感涙した思い出に乾杯***
***2011年7月再訪 感動の天然鮎とブレス鳥***
以下 下記記載と写真は、日記とコメント欄をごらんください。

  • お店のシックなロゴ
  • 黒鮑の殻
  • バタ-ル モンラシェ 1988  アンドレ ラモネ

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4位

アキュイール (なにわ橋、南森町、北浜 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 4.7
    • | 雰囲気 4.4
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク 4.4 ]
  • 昼の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.7
    • | 雰囲気 4.4
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク 4.4 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥6,000~¥7,999

2012/01訪問 2012/12/21

再訪*美しき伝説のために

新しい伝説が、この地で刻まれている。
美しいまゆぶいばかりの宝石のごとくきらめく時間と空間は信じられない自然の光の中に包まれている。
ここにも、偉大な神話にふさわしい名店が存在する。

優美までに完成された美意識は、感動までにときめく時間と信じがたいまでの長い余韻を永遠に感じさせる。
芸術的な名画や音楽の鑑賞の後で感じる感動とまったく同質のものである。
素晴らしい料理の感動は、それと同じ意味で、人生を芳醇なものにする。
それは変えがたいもので、永遠のトキメキともいえるべきものである。
料理*サ-ビス*雰囲気の調和が優雅で優美のひとことにつきる。

居心地のよさとは、なにか。快適さとはなにか。その意味するところのすべてが、ここに存在している。
まさに、希有の存在といっても過言ではない。
まるで、リヒャルト*シュトラウスのオペラ **薔薇の騎士**の世界である。
メトロポリタン歌劇場の名演が、甦って来ました。ルネ フレミングの名唱 ス-ザングラハムの好サポート。
その世界に共通する美意識があります。

お迎えからお見送りまで完成度の高いサ-ビス くつろげる空間 
ただこの空間の居心地の良さとは、グランメゾンにおけるそれと共通する部分もあるが、異なる部分もある。
隠れ家的な、あるいは、都会的でなく避暑地で感じるようなくつげる時間の快適さなのである。

それにふさわしい完成度の高い料理の内容。
すべてがひとつの結晶体となって作り出す至福の時間は、極上のものである。
ある意味、グランメゾンが生み出す極上の夢のひとときとは、やや異質なもので゜あるが、得られる感動は共通する。

再訪2012年一月。
今回はランチタイムに訪問。Bコ-ス6200円選択。その後予定がありワインは我慢。
***三重県産牡蠣と海老芋のロワイヤル(4.3)***
フランのなかにふっくらした牡蠣があり、フランの上には、海老芋の泡立てのソ-スにコリアンダ-の葉。そのセージとオレンジ゛ピールの香りが芳醇でほのかな甘味とさわやかさが鼻腔をくすぐる。軽い海老芋の泡立てが季節とともにほのかにたちあがる海老芋の旨みをともなって、小ぶりだがふっくらした牡蠣の磯の旨みとフランとの融合がみごとでなんとも美味。
***氷見産寒ブリと大根のガト-仕立て(4.2)***
寒ブリの表面だけをさったあぶり身そのものはほぼレア。それを様々な薄くスライスされた大根でミルフィ-ヌ状に挟んである。コウシン大根*青大根*黒大根など。上からたっぷりのカラスミかかっている。寒ブリの美味さを様々な酸味で引きだそうとする。官能的なカラスミの味にあっさりした寒ブリの味わいに大根の複雑な酸味が噛むしめるごとに口の中で広がる至福。鮮度のいい生のはつか大根に土に見立てたブラックオリ-ブを乾燥させたものが回りを取り囲む。新鮮な酸味とほのかに甘い大根は、食べ応えあり、オリ-ブの風味が心地いい。以下コメント欄参照。
       ********************以下は2011年の思い出******************
9品 4490円で得られる極上の時間は,奇跡ともいうべき感動を導き出す。
料理のスタイルは、正統的フレンチに独自のアレンジを加えたスタイルである。
素材の鮮度 吟味 それをひきだすテクニック どれをとっても満足のいくものばかりであり、さすがと唸るばかりである。
***アミュ-ズ(4.5)***
雲丹のフランの上に徳島産枝豆のス-プ バ-ジンオイルかけてある。とても滑らかな枝豆のス-プは存在感感じられこれだけでとても美味い。雲丹のフランは、最適の柔らかさで、ほのかにひろがる上品な雲丹の風味は、長い余韻をともなってここちいい。ス-プの重さフランの軽やかさが、絶妙なバランスでもって融合するさまは、見事のひとことにつきる。

***北海道産秋刀魚の軽い炙りとガスバッチョ*ヴェ-ル(4.0)***
ガスパッチョにその中には、おくらやにんじん 胡瓜の角切り 秋刀魚の炙りに上には、色々な野菜ちりばめてある。その上には、鯛のからすみがかかつている。ガスパッチョは、適度な濃度で、さっぱりした味わい。具材の野菜の角切りが、吟味され鮮度もよく、コリコリした食感もいい。秋刀魚は脂ものっており、いい炙りでガスパッチョ*鮮度のいい野菜との見事なバランス感覚。鯛のからすみのアクセントも食欲をそそる。

***本日の鮮魚のお料理(4.5)***
この日は鱸のポアレ 鮑のキモのソ-スで食べる。
付け合せは、京都の田鶴さんの作った賀茂茄子を焼いたものと白バルサミコでつけた水茄子のふたつ。
鱸の火入れは、絶妙でその旨味を最大限まて゛ひきだされていた。香ばしくやわらかく、ふわりと崩れる柔らかさは見事。
鮑のキモのコクのアルソ-スとのマリア-ジュも見事。
付け合せの賀茂茄子も絶品、賀茂なすのジュ-シ-な濃密な旨味にあふれ、さくっとした触感もほど良い硬さで、茄子本来の旨さを実感させる。
白バルサミコにつけた水茄子は、みずみずしくあっさりした味わい。
何を食べても旨く、見事な調和のとれた極上の一皿。

***レモンビネガ-のグラニテ(3.5)***
しゃりとした食感にレモンビネガ-の鋭角でない柔らかい酸味。 
さっぱりした味わい。今の季節にふさわしい一品。

***山形産牛肉のクラシタ肉のロ-スト(4.5)***
牛肉は65度の低温調理で焼かれ、仕上げは高温調理。
外側はカリカリで内側は、肉の旨味に溢れ、噛む程に肉質のキメの細かい深いコクが感じられる。
ソ-スはかぼちゃとバニュルス酒とジュでとった3種類のソ-スでつけて食べる。
付け合せは、まこもだけ*肉厚のみずみずしいしいたけ*インゲン*天草緑竹
ソ-スは、軽すぎず重すぎず、存在感感じられそれぞれ肉の旨味を増幅させる。
付け合せもそれそ゛れに最適な状態でその旨味をひきだしている。素材の吟味 旨味の引き出し方 最高に感じ゜る。
夏だけに取れるというたけのこは、初めて食べた。春先食べる山城産のたけのこや福岡産のそれと異なり、やや硬くコリコリした食感だがさっぱりした味で、夏向きのあじわい。ソ-ス*素材の組み合わせは、ベストな組合わせで、見事な融合*調和で統合される。
とにかく美味いの一言に尽きる。

***小さなデザート(5.0)***
メロンとココナッツのスム-ジ-にミントのジュレにメロンの実
シンプルな構成だが、完成度の秀逸な逸品。
滑らかなスム-ジ-のココナッツとメロンの旨味がすばらしく、さわやかなミントのジュレの密度が極上で、濃密な甘味のメロンの実との3層がマスクメロンを中心とした,さまざまなハ-モニ-を奏でながら、統一体となる様は、見事。

***沖縄産マンゴ-とリ*オレ アキュイ-ル風(4,5)***
肌理の細かいバニラアイスクリ-ムに角切りマンゴ-にココナッツソ-ス そのうえに炊いて蒸して揚げた米とインディカ米を振りかけてある。まず、マンゴ-の鮮度*素材がいい。濃縮した甘味に柔らかい口当たり。ビロ-ドのような滑らかな口当たりのアイスクリ-ム。キメの細かいココナッツソ-ス。ポップコーンのような舌触りの米とインディカ米。ある種の刺激的な香ばしいアクセント。コレが゜面白い試み。それ以外のそれそ゛れの組み合わせにさしづめ驚きはないが、美味いと思わせる構成力の豊かさには、さすがとうなるものがあった。

ここは至福の喜びをあたえてくれる極上の時間と空間とトキメキがある。ここには、希望と夢とが同化する奇跡ともいうべき時の鼓動が、ひとつの現実として、心からの感動に響いてくる。

それは、美しき時間が美しくときめく現代の奇跡といっても過言ではあるまい。
***再訪***
秋めいてきた9月某日、サンドバンクで、食前酒として柿のマティ-ニを堪能した後で、素敵なディナ-タイムを期待して、オペラ鑑賞のごとき感動へのときめきで、胸は希望に満ちていました。
入店すると、柔らかい心地いい接客で、席へ案内されました。

メニュ-は、コース料理のみで、2種類です。
それ以外にお任せのコ-スがあります。
それは来店2日前までに要予約で12600円だそうです。
5450円と9450円のコ-スのうち後者を選択しました。
隠れ家的心地いい雰囲気のなかで、落ち着いた空気感をあわせつつ優雅な気持ちで、期待感で夢は膨らんでいました。
まさに、オペラの開演前の心境でした。

***カボチャのヴル-テ(4.0)*** 
フォアグラのフランの上にコランキ-と呼ばれるカボチャのヴル-テ。
中にはその種が浮かんでいます。
古典的なヴル-テというよりもス-プに近い食感。
滑らかで、カボチャの甘味が、しっかり感じられる。
種はいいアクセント。ファオグラのフランはきめ細かくふっくらしていてすこし弱いが繊細な甘味旨味が、ヴル-テとうまく馴染んでいて美味でした。

***淡路*由良産鱧の炙りとコンソメのジュレ(4.0)***
炙った鱧にその卵とうににライムの皮と花つきのしそにジロ-ルだけ*トランペット*松茸でとったコンソメのジュレかけてあります。
香りは、ライムのさわやかな強い香りに花つきしそのデリケートな香りの2重奏。
絶妙な炙りの弾力のある鱧は噛む程に、力強い旨味に溢れる。
うにも臭みがなく程よい甘さで柔らかくとろける。
コンソメもフレッシュな軽い松茸の香りとあっさりしたコクのあるジュレが、それらの具材に違和感なく馴染んでいました。
夏と秋の季節の変わり目を感じさせる季節感感じさせる一皿は、静かに秋の訪れを感じさせました。

***フォアグラと黒枝豆*十穀米のリゾット(4.5)***
絶妙なキュイソンのファオグラにデリケートな香りの秋トリュフに丹波産の黒枝豆入りのリゾット 
全体をデリケートな秋トリュフの香りが、絹のごとく全体を香りで包み込みます。香りは秋の気配です。フォアグラは、外側はカリカリに焼かれ中身はトロトロです。噛む程に甘味旨味に溢れます。
かりっとした心地いい硬さのトリュフと黒枝豆のコクがいいアクセント。
リゾットは適度な硬さで食べ応えあり、フォアグラとの相性は絶妙で両者の旨味を増幅させます。
あまりにも美味いのでスイスイ食べてしまいました。

***オマ-ル海老のブランマンジェとそのコンソメ(4.5)***
ブランマンジェの上にオマ-ル海老とコリアンダ-にバジルの種入りのオマ-ル海老のコンソメを振り掛けます。
コリコリしたオマ-ル海老は、臭みもなくいい鮮度で、ブランマンジェの程よい硬さと美味くなし゜んでいました。
オマ-ル海老のコンソメは、コクがありながらも、洗練された味わいで、ブランマンジェといい調和みせていました。

***本日の鮮魚(4.0)***
本日の魚は徳島産ノドグロのポアレ ノドグロのうえには、新鮮なデュリ 
ソ-スは、2種類 イカスミのソ-スと貝のソ-ス 
付け合せは、レンコンのスアゲとガレット 
ノドグロのポアレは、皮はカリカリに焼かれ、身は柔らかくジュ-シ- 
イカスミのソ-スと貝のソ-スとの相性はまずまず。
レンコンのスアゲと、ガレットのできはいい。からっと揚げられいい感じ。
***本日の肉料理(4.0)***
肉料理は、シャラン鴨のロ-スト。
ソ-スは、バ-ミックスのセッブダケの泡ソ-スとパンジョ-ヌ 
付け合せは、セップダケとまこもだけにア-モンド 
鴨は70度の低温調理で焼かれ、最後の仕上げは、炭火で焼き目をつける。
鴨の皮には、ノワゼットとビスタチォをまぶしてある。
鴨の皮はかりかりに焼かれ、しかも香ばしい。
中身は、ロゼ色で、弾力があり、噛む程に滋味深い味わい。
軽いバ-ミックスのソ-スは、ほのかなセップ特有の甘さで、鴨の旨味を引き立てる。
パンジョ-ヌは、ドライシェリ-ににた味わいで、鴨の甘味を引きだした。
ア-モンドは香ばしい香りと食感が心地いい。
付け合せのセップダケは、特有の甘い香りに、うっとり。
食べるととてもジュ-シ-で、弾力あるが、心地いい柔らかさ。
噛めばかむほどに、程よい甘味に溢れる
。まこもだけは、みずみずしい旨味が美味。
複雑で緻密な味わいが、鴨を中心として、それそれ゛の旨味が有機的統一体となる様は、見事。

***サマ-トリュフをサンドしたプリ-ド*モ-(4.0)***
少しもちっとした食感にまろやかなチ-ズの風味に、サマ-トリュフの繊細な官能的な香りと見事に調和しておいしい。

***小さなデザート(4.5)***
パツションフル-ツの泡立てと幸水のシャ-ベットは美味すぎる。
酸味の利いたここちいいパッションフル-ツとカルダモンとしょうがのジュを加えた幸水のシャ-ベットは、いいマリア-ジュ。
幸水のシャ-ベットはざらつきがあるが、噛む程に濃縮した梨のさっぱりした甘味としょうがの酸味が、口のなかで蕩ける様は、見事。

***色々な葡萄とコト-*デュ*レイオンのジュレ(4.0)***
デザートは、3種類のなかから、このひと品を選択。
シャイン マスカット岡山*長野パ-プル*ビオ-ネ*べり-Aの4つの葡萄に、コト-*デュ*レイオンのジュレをかけたもの。
そのうえには、北海道子羊のジェラートに近いミルクアイスクリ-ム それぞれの葡萄の甘味と酸味とそれぞれの特色が、はっきり感じられる。ジュレとの相性も好印象。アイスクリ-ムもほど良い甘さで、葡萄の存在感を壊さない。

ワインは、ロマネ*サンヴィバン 85年 ルイ*ラト-ル社のヴォ-ヌロマネ村にある自社畑 

85年は、80年代を代表する偉大な年のひとつ。
抜栓するまで、不安はふたつ。

ひとつは、ルイ*ラトュ-ルのスタイルは、昔と異なりこの年代では長熟スタイルでないこと。
実際62年のコルトン*シャルルマ-ニ以外、感動した瓶にあうことは、少ない。
78 85 86 89年のル*モンラシェやコルトンシャルルマ-ニュで何回、失望したことか。
もうひとつの不安は、タンニンや酸に比べて果実味が強すぎるこの年のスタイルに対する不安であった。
しかし、抜栓してみて、ふたつの不安は、いい意味で裏切られた。
濃密で濃厚な果実味は、まだ健在だった。
完熟状態だった。
フルボディに、しっかりしたストラクチャ-。
芳醇な香りにビロ-ドの様な舌触りに、長い余韻。
柔らかい酸味に丸くなったタンニン。
ただ、この状態がいつまで、続くかは不安として残ったが。
どの料理ともそれなりに融合*調和したが、鴨のロ-ストとフオァグラ料理が、最高のマリア-ジュみせた。
熟れたラズベリ-の香りが、鴨を優しく包み込み、トリュフや腐葉土の香りが、フォアグラの料理に美味くあったからである。
前者では、鴨の旨味を官能的につつみ込み、後者では、フォアグラの甘味をより退廃な官能美に昇華させた。
まさに至福の時だった。

今年鑑賞したトリノ王立の椿姫や英国ロイヤルオペラのマノンのオペラに匹敵する感動した宵だった。
美しき夢は、まだ、終わらない。私の胸は、その美しさに震えていた。

***2011年3月***再訪
美しき夢は、終わらないのか。いまもまだ、ときめいているのか、
その思いを秘めながらの訪問となりました。いつものことながらのお迎えとなりました。
今年、初めての訪問ということで、ボランジェで、乾杯となりました。
椿姫の乾杯の歌のごとく華やかな幕開けとなりました。
いつものごとくムニュ*サヴ-ルのコ-スです。

***ス-プ*ガルピュ-ル(3.9)***
バスク地方の料理ですね。肌寒い季節だったので体が温まりました。優しい野菜の味わいで、ベ-コンの風味が強く感じられました。のど越しもよくおいしく戴きました。

***北海道産桜鱒のミキュイとクレ-ム*デュパリ(4.0)***
桜鱒を油と塩て゜マリネしたあと、ミキュイします。カリフラーのクリームムースの上にいくら セリフィユのうえに桜鱒のせます。ぱりぱりに焼いた皮のせてあります。やわらかいほのかにあまみの感じるますのあじわいにやや個性の強いム-スが、自然になじみます。いくらの塩けもいい感じ。皮も香ばしく焼かれいいアクセント
***リ-ドボ-とインカの目覚め プ-ルノワゼット(4.0)***は、ふっくらと焼かれたリ-ドボ-の甘みにほくほくした甘いインカのジャガイモといいマリア-ジュに絶妙な焦がしバタ-が、食欲をそそる。繊細なトリュフの香りがシルクのごとく全体を極め細やかに包み込む。おいしい。

***ぺリゴ-ル産フオァグラのポワレと牛蒡のス-プ(4.2)***
暖かい皿に八尾産の若牛蒡のブイヨンにフォアグラのポアレにぺリゴ-ル産トリュフ そのうえに、チ-ズで焼いたチュ-イ-ル
フォアグラは、外側はカリカリで中身は、とろとろ状態。
チュイ-ルを壊すと、チーズの香りとトリュフの香りが混ざり合ってなんともいえない香りにつつまれる。それらを牛蒡のコンソメにつけて食べると、なんともいえない複雑な味と香りが競合しあい、中心にあるフォアグラのうまみあまみを複合的に引き出す。あるときは、チ-ズの風味が。またあるときは、官能的なトリュフがその旨みを引き立てる。それらの旨みを、じっくりと牛蒡のコンソメの旨みが染み入るようにかんじる。なんとも美味。

***富山のマナガツオのポアレと桜海老のビスク(4.5)***
富山のマナガツオは、外側はカリカリに焼かれ、中身は、ふっくらしている。桜海老の磯の風味が、いい相性で、ときめくおいしさをます。。香川産のホワイトアスパラやグリ-ンアスパラとそのソ-スが、いい相性で、ジュシ-でありながらも、その甘みとかたさの強弱が、マナガツオの旨みといい組合わせ。バジルオイルもかろやかにあう。

***ピュルゴ-家のシャラン鴨胸肉のロティ(4.0)***
70度の低温調理で最後は、炭火で仕上げる。あっさりしたさっぱりした味わい。
かむと弾力ある旨みが感じられる。シャトル-ズとジュとえんどうのピュレ、それぞれが、鴨の旨みを引き立てる。とりわけ、えんどうのピュレが、いい相性みせた。
***ブリ-ドモとアンディ-ブのサラダ(4.5)***
アンディ-ブに自家製パン*ドライフルーツ*ナッツ*くるみ*松の実の上からプリ-ド-モ-に牛乳あわせて軽くフランしたソ-スで食べる。
アンディ-ブの苦味に ドライフルーツの甘み ナッツ類の塩気が上質な牛乳の風味のするソ-スが、さまざまなハーモニ-を奏でながら、口のなかで広がる旨みは、見事のひとこと。

**デコボンとア-モンドの軽い泡とカリンのソルベ(4.3)***
デコボンの皮のチュイ-ルとタピオカを上において、したには、愛媛のデコポンとオレンジ果肉と果汁とア-モンドをバ-ミックス。デコボンの甘みにオレンジの酸味にア-モンドの風味にコリコリしたタピオカが、いい感触。さくさくとしたチュイ-ルの苦味がいいアクセントがカリンのとろけるようなソルベが、さっぱりした味わいで、全体をまとめる

***クリームチ-ズのム-スと和歌山県産八朔(4.0)***
八朔の実と皮にシロップ漬けにヨ-グルトシャ-ベットにシュクルペティアンふりかけてある。クリームチ-ズのム-ス混ぜてある。
八朔の酸味と甘みに、ヨ-グルとのさわやかさとシャリ感がここちいい。クリームチ-ズのム-スのクリ-ミ-感が滑らかに蕩けていく。

胸ときめくというよりも成熟した大人の熟成時期にはいってきたとおもいます。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • バタ-は今までと異なりフランス産イズ二-へ変更となった。バタ-というよりミルクのような甘い味わい  

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5位

グラン シャン (北新地、大江橋、西梅田 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2012/06訪問 2015/01/21

わずか9席の奇跡

あるときある時代に信じられない奇跡が起こることがある。
その奇跡は日常の中に人知れず存在しているわけだが、人は無意識の内にその存在を知ることはない。
しかし、その真実がある偶然から日常性のなかに突如として現れることによって、顕在化される。
それはひとつの真実であろう。
このお店を訪問したときなにかその予兆みたいな感覚が感性のなかに意識的にイメ―ジできた。
それは神聖なる神からのひとつの現実的存在感としての感化としての意識化なのかもしれない。
太田 浩シェフ35才。
8年間 ロビションのパリの店舗をはじめフランス各地の料理店をはじめヨ-ロッパの料理店で腕を磨きその無限たる才能が今開花しようとしている。
それは驚くべき厳然たる真実であるといっても過言ではない。
その才能の魅力に魅了されたひとりである。
新しい魅力とその存在感が凝縮した料理の完成度の高さは、輝かしき未来を予言しているようだ。
驕ることなき姿勢の先には何を見つめているのだろうか。
フランスの伝統的な手法によりながらも現代的な要素も組み入れ新しい現実を提供しようとする。
わずか10000円で得られる感動は、永遠の光のように光彩に満ちた至福の世界へと魂を導く。
しかも接客とは何かというものを心得ている姿勢には若いながらも人格者として敬意にあたいする。
スタッフもわずかひとりであるが良く教育されており実にここちいい空間をひきだす。
その静謐たる美学に現れる美意識はそれはまるで、陽光の中で森林を散策するような感覚なのである。
都会の中のオアシス的存在であります。
料理はコ―ス料理のみでシェフお任せのコ―スのみであります。
ランチタイムは前日までの完全予約制で2900円からあります。
ディナ―タイムは6300円と9500円の二つのお任せコ-スがあり、しかもその値段では通常考えられない厳選された高品質の素材が随所に織り込まれている。その意味では、最高というべきコストパフォ―マンスであります。
その内容を聞きどちらのコ―スにするか思慮したが9500円のお任せのほうがより充実していると考え、選択しました。
さあ、感動した夢の再現をしましょうか。
店内はわずか9席しかないカウンタ―席でオ―プンキッチンでシェフの無駄のない姿がよく洞察できます。
店内は明るい雰囲気で、選曲のいいジャズが、適音で流れます。そこにもまた、シェフのセンスのよさが伺えます。

***アミュ―ズ(4.6)***
アミュ―ズは四点。白だらとジャガイモのクロメスキは衣が柔らかい食感で中には白鱈とジャガイモが軽やかな味わいで融合しています。クリームチ―ズの入ったプチシュ-はシュ-の生地がうすくしかもクリームチ―ズのザツミのないクリア―な味わいと溶け込むような味わいであります。バスクイベラ―ドは、ひよこ豆とブラックオリ―ブをスティック上の生地に練りこんであり、さくっとした食感で塩分控えめで素材の旨みが口の中で広がる。カニ―ストは実に軽くしかもあっさりとクリア―な味わい。

***ガスパチョ(4.7)***
古典的料理の現代的再解釈。冷製ガスパチョの上に下関のうににキャビア*山菜のほごみ*粒マスタ―ドのアイスクリームに赤ダマ大根とさや大根ととうもろこしの新芽。その周りを取り囲むように、剣先イカにフルーツトマト*マグロのビネグレット。複雑かつ緻密な構成。ガスパッチョは軽やかなトマトの酸味に滑らかな味わいに、蕩けるようなうにの旨みにアクセント的なキャビアの粒粒感。山菜のホゴミは適度な固さで癖のないあじわい。鮮度が素晴らしい。ほのかに甘く軽やかな粒マスタ―ドのアイスクリームは強い苦味も感じられず、ガスパッチョの旨みに美味く融和する。コリッとした剣先イカは実に鮮度がよくここちよくガスパッチョの酸味と共鳴する。柔らかい姫筍はそれだけで十分うまいのだが、ソ―ス代わりのガスパッチョにつけると、一段と美味く感じられる。マグロのビネグレットは驚くべきあじわい。口の中で蕩けていく様は、なんともいえない美味。それはまるで宇宙から聴こえてくる響き*第九の合唱のように感じた。あるいは、森のなかで聴こえてくる小鳥達のさえずりのように響きあう音のように感じた。

***蝦夷鮑の蒸し煮エスカルゴバタ―ソ―ス(4.5)***
クロメスキのなかにエスカルゴバタ―のソ-スが詰められており、丁寧にそれを開くと豊かな香りがひろがる。そのソースをつけてポワレした原木の椎茸や蝦夷鮑の蒸し煮をつけて食べる。ほっくらしたジュシ―な原木の椎茸は柔らかくかみ締めるごとにその自然の恵みの美味さを感じる。エスカルゴバタ―は、やや濃厚だがその素材を殺さない程度に存在する。鮑は肉厚で弾力があり、しかも柔らかい。これだけで十分美味い。ソ―スをつければやや濃厚な味わいになりつけなければ、肉本来の旨みを堪能できる。後は好みの問題だろう。

***長野産ホワイトアスパラのリゾット(4.3)***
長野産ホワイトアスパラとそのリゾットに半熟卵にトリュフソ―スにその上からサマ―トリュフをたっぷり摩り下ろす。繊細で官能的なサマ―トリュフの芳醇な芳香に、まず酔いしれる。今ならではの香り。さくっとした食感にホワイトアスパラのこりっとしながらもみずみずしいほのかな甘味と軽やかな苦味が、いいマリア―ジュ。卵を崩すと黄身があふれだし自然の甘味とトリュフソ―スがリゾットと美味く融和しかみ締めるごとに複雑に甘味*苦味*が絡みあい美味たる味わい。

***ル―ルブル-のパイ包み焼き(4.7)***
焼いた殻つきル―ルブル―をフレッシュセップ*カナリアトマト*ベ―コン*野菜*白ワインで煮詰めたア-ティチョ―クとパイで包み蒸し煮にする。剥がすと香ばしいパイの香りにフレッシュセップの香りが交じり合う。その後、オマ-ル海老のビスクのソ―スを絡める。バニラの風味のルールブル-は肉厚でぷりぷりした味わいがたまらない。海老のビスクのソ―スはやや濃厚だが、この構築された世界になし゜む味わい。ア―ティチョ―クの控えめな味わいが好印象。

***AOCブレス ブ-レ(4.9)***
ブレスの胸肉にはフォアグラとトリュフを巻き込んだロ―ル巻きと、腿肉をゆっくり火入れ。ソ―スは、フォアグラのソ―ス。真ん中には鮮度抜群のヤングコ―ンが皮つきのまま焼いてある。あっさりししながらも弾力のあるブレスの味わいにフォアグラの甘味にトリュフのコリッとした食感と香り。やや濃厚だがフォアグラのソ―スもブレスの旨みに良くあう。キュィスも弾力十分感じられ、実に美味たる味わい。ヤングコ―ンがいいアクセントになり食欲が進む。

***チ-ズ(4.0)***
クセのないチ-ズを集めているようだ。

***琵琶のコンポ―トとバジルのシャ―ベット(4.5)***
ざっくりしたシャーベットの味わいにバジルの香味と琵琶のコンポ―トがこんなにうまく合うとはおもわなかった。全体的にはさっぱりした味わい。

***苺のデザ-ト(4.7)***
コレもまた見事なできばえ。苺のソ―スに薄地のビスケットみたいな生地のなかににルバ―ブのコンポ―トにミルクのアイスクリームにとよのかのいちごに、苺のチュイ―ル。苺の芳醇な香りが素晴らしい。苺の甘酸っぱさとアイスクリ―ムの滑らかでありながら程よい甘味とルバ―ブのコンポートのバランス感覚が素晴らしく有機的な統一体となって収斂していく様は見事の一言。苺の余韻も長くここちいいものだった。

***お菓子(4.3)***
お菓子は三点。柔らかいフィナンシェにココアマカロン*パションクリームのクリームタルト。実に優しい味わいは食後の余韻に浸るには最適ではあるまいか。

過ぎゆく時間に終わりがあるとすればこそ、今ある時間を惜しむように自分の感性のなかで感じなければならない。
人生の意義とはそういうものではあるまいか。
人間の神から与えられし時間は、無限なものでなく、そのなかで、なにをすべきか、何をすべきでないか。
後悔のない貴重な時間を生きることこそ生を得たよろこびではあるまいか。
その時間はかけがえのない人生のひとときを彩る。


  • 看板
  • (説明なし)
  • メニュ―の表紙

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6位

レストラン シャンボール (中之島、新福島、福島 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2014/04訪問 2014/08/20

再訪 老舗ロイヤルホテルの威信をかけたグランメゾン

***2014年***
2014年4月よりシャンポ-ルは、ディナ-タイムにおいて、両巨頭のスタイルのフレンチが食べれるようになった。フレンチファンにとっては嬉しい限りであります。すなわち、太田総料理長と豊田料理長の二人の作り出すロイヤルの至宝というべきフレンチを同時期に進行的に味わえるという魅力的な企画であります。同じ松本シェフの門下でありながらも、フレンチに対するアプロ-チは、共通する側面を共有しながらも。異なる側面もあるようだ。ネオクラシックという概念の捉え方にしても、現代フレンチ的視点ないし思考から、捉える立場と近代フレンチ的視点から、現代的に解釈ないし解析する立場のようだ。食べ手からすると、料理の楽しみの幅が広がるという意味ではいい時代を共有できる楽しみがあります。その意味で言うと、今ほどシャンポ-ルが充実している時期はないといえるかもしれません。

***再訪 2013年10月***
米津*三浦*太田シェフの時代から豊田シェフの時代へ。
新たなる視点からのネオクラシックへのアプロ-チ。
シャンポ-ルというグランメゾンは、いつの時代もあるいは、時代を超えてネオクラシックというスタイルに,首尾一貫している。
但し料理長が、交代することで、それに対するアプロ-チなり視点が異なるのは、それぞれの料理長の哲学の反映の結果なのであります。
今回、料理長が新たに豊田シェフに交代したことで、シェフのスタイルをデッサン的に参考までに記載しておくことが、参考になると思い、字数制限の関係から、素描にならざるおえないことを御了承願いたい。
まず、シェフの料理哲学を形成する上で大きく影響を与えたシェフとして、大切な偉大なる二人のシェフがいるとおもいます。
ひとりは、引退したジェラ-ル ポワイエ氏 もうひとりは、故松本 弥成氏のふたりであります。
両者とも、モダンクラシックの巨匠であります。
両者'ともに、最高級の素材の吟味にこだわり、その素材のもつポテンシャルを最大限に引き出す手法にこだわった。
その考え方が、シェフの料理を形成する基盤であります。
したがってシェフのスタイルはあくまでも、モダンクラシックのスタンスから、現代的な要素を加味しながら料理を提供するスタイルが、基本的なスタイルであります。
その意味では、伝統を大事にしながら、時代に合わせて、現代的な手法も取り入れて行くスタイル。
まさに、王道のフレンチのスタイルといえるでしょう。
ただそこにあえて加える要素としては、高級フレンチらしからぬ素材との融合。
松本シェフはとりわけ、普通フレンチでは使用しない日本の食材との融合も試みた経緯と同じ感覚がシェフにもあるようだ。
食べ手をあっと驚かす仕掛け工夫が、さりげなく装置されている。
一種の遊び心みたいだ。
そういった感覚が、グランメゾンにおける料理の一種の緊張感みたいなものを和らげる効果を狙っているのかもしれない。
ある種の関西的なミヤビともいうべき遊びの文化が、ここにも、密かに反映しているのかもしれない。
そんな遊び心を探すのも、フレンチの楽しみ方の一つかもしれない。
グランメゾンという枠内でありながらも、可能な限りコスパの優れた料理を提供するスタイルは、今だ、普遍であります。
その意味でも、やはり、関西を代表するグラン*メゾンだといえよう。
また、それにあわせたワインとのマリア-ジュにおいても、マスターソムリエの的確な判断やウィットに富んだ接客や日本の感性に基ずく心の琴線に触れるサ-ビスは、いぶし銀の如く伝統に彩られた色あせないものであります。
それは、日本の文化であり、大阪の美意識でもあるように感じられます。
国際化になっても、失ってはならない伝統文化のひとつといえるのでは、ないでしょうか。
日本の常識を世界の常識にしていくことが、大切だとおもいます。
それが、日本の美意識ないし誇りとしての存在意義だとおもいます。
なお、シェフのコ―スの組み立て方は、奇を狙うことなく実にオ-ソドックスな正統派的構成力であります。
前菜2皿にス-プを挟んで魚*お肉料理へ至るまさに至福スタイルであります。
最後に甘すぎないデザ-トで〆るところは、まさに現代的なスタンスに対する配慮というべきものでしょう。
簡単に料理に対する印象綴りましょう。

***タスマニアサ-モンの瞬間スモ-ク 胡瓜のヨ-グルト添え 人参のク-リ***

絵画的に美しい配置に色彩感。見た目の美しさとともに、立体的な存在感を感じさせる配置の構図。まず、目で楽しませてくれます。鮮度のいい生のタスマニアサ-モンに煙製香をつける。強すぎると酸味*苦味がきわだち、弱いと生臭く感じる。その辺が、テクニックのみせどころであります。モダンスパニシュみたいに、素材に、軽やかに香りを移すための煙製香の活用の仕方とは異なります。このへんは、まさに正統派フレンチらしいアプロ-チであります。その上にはヨ-グルトと胡瓜を合えたもの。さらには、見栄えを浴するための効果と、爽やかな印象的な使い方として、スプラウトがのせてあります。人参のク-リに、ルッコラのゼリ-そのうえには、キャビアが載っています。塩分ほとんど控えめで、素材だけの味付けで、組み合わせてあります。臭みのない、弾力の感じられるすっきりしたあじわいのサ-モンに、胡瓜の混ざったヨ-グルトの軽い酸味に、スプラウトの苦味のコントラストに、、ルッコラや人参のク-リの味わいが絡んでゆきます。

***オレンジ風味の飴を纏ったマンゴと鴨フォアグラのソテーアンディ-ブプレゼ添え***

豊田シェフのスペシャリテのひとつ。フレッシュのフォアグラを焼きマンゴをのせてオレンジの飴でコ―ティング。パイナップルのクリスティアン。フォンドボ-のソース。フォアグラの濃厚な香り。蕩けるフォアグラの食感と、カリカリの固さの飴を纏った果実味に溢れるマンゴーの触感の対比の妙。オレンジの柑橘類系の酸味*アンディ-ブの苦味*複合的に重層的に絡み合うねっとりするマンゴ-の果実の芳醇な甘味に、フォアグラの官能的な陶酔するような甘味が奏でる豊潤で豊満な響あうひととき。五感を刺激する味覚と香りの融合。

***マッシュル-ムのポタージュ カプチ-ノ仕立て ブルサンアイユチーズのクリーム添え***

ポタ-ジュそのものは、やや塩分が強く濃厚な味わいであるが、ブルサンアイユチーズのクリーム挟んだ生のマッシュル-ムをス-プにつけて食べると塩分バランスがとれ、口どけは軽く後口には、デリケ-トな余韻がここちいい。ふわっと広がるマッシュル-ムの旨み。コクのあるチ-ズが、いい調和感を持って融合し、昇華する。素敵なアンサンブルの結晶。

***モンサンミッシェル産ム-ル貝と帆立貝のマリ二エ-ル***

ポワレした分厚い帆立の上には、セロリの葉。これが、爽やかに華やかで香ばしい香り。分厚い帆立は、完熟した甘味*旨みに満ち食べ応え十分。ソ-スとの相性も悪くない。ただ、モンサンミッシェルのムール貝がいまひとつ。今年7月に食べたユニッソン デ クールのそれは。まさに、ドビッシ-の喜びの島の旋律線のごとく、旨みに満ち最高の味わいだった。まさに死せる貝が、もう一度、華やかに生を得て舞い踊るようだった。まるで、ヴィオレッタの最後の命の輝きのごとく美しさに満ちていた。

***シャロレ-産仔牛ロティ茸とカリフラワ-のテり-ヌ添え リブザルトワインとヴァニラ香る甲殻類のソ-ス***

程よい熟成感の感じられる仔牛は、食べると弾力あり、赤身のあっさりした肉質のまずまずのあじわい。面白いとおもったのは、シャンポ-ルでは、こういった甲殻類のソ-スを肉類にあわせて食べるのはやや記憶にない。ややアンバランス的な感覚もするが、面白い試み。ただ、もうひとねりあると、もっとよくなるかもしれない。

***デザ-ト***

モンブランと洋ナシのソルベの組合わせ。モンブランにその粉末添えてある。構造は、クッキ-生地に生クリーム*刻み栗に、マロンクリームで包んでいる。甘さ控えめで、素材そのものの味覚をひきだしている。甘すぎないモンブラン。洋ナシのソルベのざっくり感とともに、ここでも、甘さ控えめの妙。

***お菓子***

最後の余韻を楽しむ可愛いお菓子達。ここでも、手抜かりはない。

***再訪(2011年11月)***

ランチタイムは、グランメゾンの息吹をすこしでも感じていただこうというスタイルに変貌してきているようだ。
それもひとつの時代の流れであろうか。それもそれなりの価値があるとおもえる。
私はそれを否定するものではない。
しかし本当の伝統のグラン*メゾンとはなにかは、やはりディナ―タイムにあるのだろう。

それといつもながらありがたいと感じるのはガストロノミックフェアを開催してくれることである。
フランスの息吹をすこしでもこの日本で味わって頂きたいというスタイルはありがたいことだと感謝している。
今回は、フランス*ミシュラン二つ星のフィリップ*ゴブロー氏が来日するということで訪問しました。
南仏のジャック*マキシアンを尊敬し、自分の料理を太陽がサンザンと輝く南の料理と語る。その料理のうち印象に残った料理を記載しよう。
***アサリのファルシ マリニエール風トマトコンフィ添え***
あさりの磯の味わいと弾力ある味わいにトマトコンフィの酸味の二重奏がここちいい。南仏を感じる温かさがなんとともいえない。
***ヒメジのポワレ 柔らかな酸味の野菜 ヴェルヴェーヌの香り***
柔らかくジュシ―なヒメジにやや酸味の感じる軽いあじわい。ヴェルヴェーヌの香りが心地いい。

***ブルタ-ニュオマ-ル海老 蟹 青梗菜 ライム風味ココナッツのブイヨンとともに***
ブルタ―ニュ特有のヴァニラのような濃厚な甘味のオマール海老のうまみに繊細な蟹の風味 ここちいい青梗菜の旨みに酸味の利いたライムにやや甘味を利かせたココナッツが美味く交じり合い弾力のあるオマ-ル海老の旨みをひきだす。純粋に美味い。

***エトフェしたシャラン鴨 ゴブロ―スタイル***
とろけるような柔らかいシャラン鴨の旨みになんともいえない美味しさ ワインベ―スのソースがその旨みをます。ゴブロー氏が特別に契約している農家から今回特別に輸入されたもの。特上とも言うべき味わい。かみ締めるごとに滋味の味わいに感涙。なかなかコレを上回るシャラン鴨はであえない。

***苺風味のフレンチト―ストとバニラ風味のリ*オ*レ赤いフルーツシャ―ベット***
苺のあまづっぱい酸味がここちいい。薄地のフレンチと―ストとの相性もいい。滑らかなラズベリー中心としたフルーツシャ―ベットといいマリア―ジュ バニラ系のム―スもほどよい甘さで苺の甘ズッパサをさわやかにさせる。

参考までにワインは1971年ミゥジニ―VV 作り手はヴォギェ バッセンしたとたん花びらのような芳しき花の香りに包まれる。シルクのような舌触りに豊満な果実味に力強いアルコ―ル綺麗な酸味に長い余韻。美しきビ―ナスのごとく女性像が現れる。シャラン鴨と見事なマリア―ジュ。天国を歩いているような時間だった。至福のマリア―ジュ

***再訪(2011年12月)***
今日はフランス産メスの雉を食べにきました。フェサンタ―ジュの語源はここからきました。〆てすぐは、身が硬いく旨みも少ないため数日熟成させます。脂を落としながらじっくりアロゼしながらじっくり火入れします。肉の繊維がしっかりしており弾力があります。白身で脂がよくのりながら淡白な味わいです。食べるごとにジュシ―さが感じます。部位は胸肉です。ソ―スはサルミですが軽やかな味わい感じます。雉の旨みをひきたてます。実にうまい。

後先になりましたが、***ふぐの白子とトリュフのポテト包み焼 エシャロット風味のバルサミコソ―ス***は絶品でしょう。とろけるような下関のトラフグの白子にスライスポテトのポテトチップみたいなかりっとした塩けにトリュフの香りが見事に融合します。それにバルサミコの酸味が交わリ絶品の一言でしょう。エシャロットの軽やかな香りもここちいい。

***マロンが入った雉の田舎風ス―プ***も身体が温まります。雉のス―プにマロンに雉のすり身が美味く溶け合いおいしいですね。滑らかな舌触りに優しい味わい。心が和みます。

参考までにワインは1937年 リッシュブ―ル DRC 。バッセンしたとき香りはややかれつつありましたが、滑らかなビロ―ドのような舌触りにとろける退廃的な果実味に優しい酸味丸くなったタンニン まるでキャンディをなめているような感覚 素晴らしいフィネス 長いシルクのような余韻。ヴォ―ヌロマネのエッセンスを詰め込んだ味わい。信じがたい存在感。これこそ神の雫のあじわい。雉とのマリア―ジュは奇跡とも言うべき時間をかもしだした。ブラボ―と何度叫んだことか。それはまるで奇跡のような時間だった。
              *****************************************

シャンポ-ルにかよって、20年以上になる。
こうなると、お互いの恋愛関係も、夫婦関係に近いものになる。
話さなくとも、ツ-といえば、カ-のなかである。
恋愛関係が終了しないのは、この店の居心地の良さにある。
その最大の理由は、この店のサ-ビスにある。長年培われた老舗ならではのサ-ビスが、私を捉えている。
料理のスタイルは、ネオクラシックスタイルで、一貫しているのだが、料理長が変わるたびに、微妙にかわるので、その点が難点といえば、難点である。

この日は、ソムリエの誕生年の83年飲みたいということで、ブロ-ドベンド大先生、大絶賛のこの年の シャト-マルゴ- を飲むことにした。83年は、腐敗病の発生した年で、葡萄の選別がうまくいった生産者だけ、偉大なワインを作った。マルゴ-もそのひとり。あと、タニックな年なので、果実味*酸味のバランスがとれるかどうか微妙な年である。開けた瞬間、熟成香が前面にでてきており、熟成のピ-クであることがわかる。すみれの花*動物臭*腐葉土*コ-ヒ-*なめし皮など複雑な香りに濃厚な果実味。

舌触りは、まさに、ビロ-ド。酸もやわらかく、タンニンも丸くまさに、飲み頃。ストラクチャ-もしっかりしている。余韻も長い。
横に居たシニア*ソムリエも、喜んだ。これこそ、まさに、ボルド-女王の真の姿であり、マルゴ-スタイル。
保管さえ、よければ、あと10年は、もつだろう。 
*フアァグラのソテ-* は、鮮度も、よく、火入れもいい。甘めのソ-スも、フアァグラのもつ濃厚なあまみの邪魔にならないほど繊細な味。マルゴ-の濃厚な果実味が、これとあう。食が進む。 

*ヌシマのハモ* も鮮度がよく、しっかりした歯ごたえがあり、*サフランス-プ*も軽くしあげられており、古典的スタイルであるが、妙に心に残る。 
*子羊のロ-スト* もロゼ色に焼かれ、食感も弾力があり、実に、うまい。
ワインともあい、食が進む。
デザ-トは、 *しょうがといちじくのアイスクリ-ム* に、ア-モンドのチュルレ。やわらかい食感のアイスクリ-ムいちじくのうまみ、しょうがのアクセントがよく、チュルレの食感も好印象。          

ココに来ると、いつも、話が長くなる。  ワインの話から、話題のレストラン、食の話まで、話題がつきない。
つぎからつぎまで、話が盛り上がり、愉快な時間がすぎる。
いつのまにか、レストランは、私の貸切状態になり、まだまだ、話が続く。 
スタッフ一同が 私を囲んで話し込む。話が終わったときは、12:00時回っていた。
もう、終電もない時間だ。それでも、スタッフ*ソムリエはつきあってくれる。こんなうれしいことはない。みんなで、エスカレタ-のところまで、見送ってくれる。外で建物をみあげれば、まだ、シャンポ-ルにあかりが。本当に、こんなうれしいことは、ない。

* 再訪 *  
12月の楽しみと言えば、3つあった。
ひとつは、スギノ氏のつくるスペシャルのクリスマスケ-キ 
*マエストロ朝比奈の第9* ムツシュ米津の極上ロ-スト-ビ-フ であった。
これらを味わえることが人生の喜びであり感動であった。
しかし、今人生の喜びをあたえてくれるのはムッシュだけになった。

*マエストロ朝日奈*ヴァントが死去して、クラシック界では、ブルックナ-は、死んだ。確かに、今年聴いたプロムシュテットの *ブルの8番* は名演だった。しかし両巨頭の至った世界には、いまひとつ及ばない。名匠スクロバフチェスキ-がいるではないか、いわれる方もいるだろうが、名匠Sの生のブル は、実のところ今ひとつである。CDで聴く方がいい。

しかし、フランス料理界では、両巨匠のごとき 伝説の巨匠 がいる。米津春日氏そのひとである。ムッシュの作り出すフランス料理は、 ブルの7*8番 のごとき荘厳にして重厚である。頑なに、伝統的フランス料理の造形にこだわる。その姿は、今はなき両巨匠に共通するものがある。生前巨匠朝比奈は、スコアから聞こえる音だけを具現化すると伝え聞いた。ムッシュも同じである。レシピから聞こえるイメ-ジだけを現実化する。

たしかに、ここには創造する芸術はない。しかし、伝統的スタイルのフレンチを至福の味わいで再現する*文化的芸術的価値*がある。一品一品丁寧に作られた料理の数々は、現代における奇跡的存在だ。神のなせる技である。
例えば手間隙かけてつくられた *コンソメス-プ* は、まさに黄金のス-プである。
色合いは、透き通る透明感のある金色に輝き絹のごとき滑らかさな舌触り、極上の味わいである。
伝統的なコンソメのあるべき姿を示す。 

***ロ-ストビ-フ*** は、まさに至福のかぎりである。極上牛肉を選別し、熟成させ、絶妙な火入れで焼き上げる。 神がかり的なデクパ-ジュ によって、生命感の宿るロ-ストビ-フは、黄金の味わいである。ロゼ色に光り輝くそれは、ナイフもいらない程、やわらかい。肉の繊維の一つ一つが、はっきりとわかるぐらい旨みが充実している。上質な牛とその質のいい脂の旨みが、舌のうえでとろけるさまは、まさに天国の味わいだ。*英国風グレ-ピ-ソ-ス*西洋わさび*クレッソンとの組み合わせは、伝統的な意味における黄金の組み合わせだが、うまいものはうまい。本来、美味さに古いも新しいもない。うまいかどうかがすべである。最高のソ-スによって牛肉の旨みが増す。最質に吟味された西洋わさびは、いい刺激を食べ手に与える。 極上の時間が 過ぎていく。まさに、荘厳なブルックナ-の音を聴いた*極楽な一夜*だった。この日ブルックナ-は、不死鳥のごとく甦った。来年もこの味わいに出会えることを期待して、超越した時間を待とう。                                           

2月某日 なんとあのマチュ- ヴィアネイが初来日にて、フェア-するという。私は、いってもたってもいられなくなった。ヴィアネイといえば、あのポギュ-ズが、アプランティとして働いた*** ラ メ-ル プラジェ *** を取得した2つ星の新進気鋭のシェフだからである。13860円(税*サ込み)のランチメニュ-戴いた。なかなかの実力の持つシェフとみた。

アミュ-ズのボンボン(3.5)みたとき、カランドリエのそれ(4.5)を思い出した。ただ食べ比べてみると、両者は、だいぶ異なる。前者は、さくっとするが、やや硬くへ-ゼルナッツの香りはするが、ファアグラの存在感感じられるのに対して、後者は軽やかに、とろけるファアグラの食感だ。

***パテ アンクル-ト(4.0)***は、シェフのスペシャリテ 少しサブレに近い固めのパイに、醤油のゼリ- ファアグラのテリ-ヌ 肉類のミンチにレ-ズン*松の実をまぜたもの とりむね肉の構成。 食べると ぷるんぷるんとした醤油ゼリ-の風味が軽やかに感じ、肉の弾力とレ-ズン 松の実のコクとアクセントがいい。ファアグラの甘すぎない甘味と癖のないとりのむね肉が、いい調和を見せる。パテ全体として、甘味*旨みが統一体として、複雑に口のなかに広がる。美味。

***平すずき 的矢牡蠣 マテ貝とともに(5.0)*** 
最高の平すずき 今まで食べた最高の平すずき。ナイフをいれると、ふわっととろける程、柔らかい.癖はないすずきの繊細な旨みが凝縮したさまは、圧巻というほかない。カリカリした皮もよく、磯の風味感じられる牡蠣も最高の相性。コリコリッとしたマテ貝と西洋ごぼうは、いいアクセント。軽いフォンドボ-と貝のだし汁のエルミジョンソ-スもきわめて軽やかに仕上げられており、魚の旨みを増幅させる。今年、食べた最高の一品のひとつ。

***プレス鶏とオマ-ル海老(4.5)***
まず、食材の鮮度がいい。吟味されている。これこそ、真にプレス鶏の鶏なり。ポシェされた鶏はあっさりしているが、ほのかに甘味が感じられる。柔らかく弾力もあり、きめも細かい。腿は、かめばかむほど筋肉質で滋味深い。ポルトきかせたクリ-ムソ-スもいい相性。海老の鮮度もよくフランベしたぷりぷりした海老と、バジルとカルダモン風味の泡立てソ-スは、絶妙だった。

***マドレ-ヌとアイス(3.5)***
これは、まずまず。

***レモンのジプレ レモンクリ-ムとメレンゲ(4.0)*** 
甘くシロップで煮たレモンの器に、酸味の利かせたレモンシャ-ベット やや酸味の強い味だが、レモンの風味が、口の中に広がる。ややライムのニュアンス。レモンの器の皮は、柔らかく甘ずっぱい。しゃりとしたシャ-ベットと好印象。

***サ-ビスは、いつもながらの極上のサ-ビス***                                                                                  
3月再訪 20年以上このお店と、恋愛感情に、あるが、今ほど料理が充実している時期はないといえる。特に、料理技術に関して目に鱗である。大田シェフ達の実力は、今 まさに花満開である。最高素材の吟味 素材とソ-スの組み合わせのバランス 付合せとの配置と融合 コ-スの構成力 ドレをとっても、秀逸である。伝統と革新を融合させながら、あるべき正統フランス料理を提示する。実に巧いし旨い。例えば、フォアグラのコンフィ 絶妙な火入れで、とろけるほど旨い。イチジクのピュレの酸味のアル果実味が、その旨味を引き立てる。真鯛もふっくらと焼かれ素材の旨味 を極限まで、高める。苦味のアンデイ-ブの繊維質まで感じさせるグラタンと、ソ-スのバランスもいい。弾力のある鴨はジュ-シな-旨味に溢れ、かめば,かむほど滋味深い。フキノトウカラメゼともベスト。グレ-プフレ-ツのグラニテにあう大粒のキャビアの組み合わせも感涙もの。デザートの完成度も高い。まだまだ、恋愛関係は、終わりそうにない。

今回(2011年2月) 再訪の目的は、大田シェフの作るベキャスを食べることにありました。
ネオクラシックからのアプロ-チで、どのような彼なりの感性で、いかなる料理作るかに、主たる関心ありました。
そこで、ベキャス中心としたコ-ス作っていただきました。

コ-スの組み立てのバランス感覚に優れ、一皿にかける情熱 美意識に傑出したものがあり、まるで、シェ-ンベルグの浄夜聴いている気分になりました。素材の吟味 最高の状態でその味わいを引き出す能力にたけたものがあります。印象に残ったものを、記載しましょう。
アミュ-ズでは、なんといっても、テ-トドフロマージュでしょう。豚ほほ肉のにこごりですが、定番料理ですが、豚ほほのあっさりした味わいは、前菜に最適だと思います。かぶ゜らのス-プの旨みは、季節感もあり、かぶらの甘みが、凝縮していてなんとも美味。しかもその上にあるコンソメのジュレとの相性もよくコンソメのうまみとかぶらのあまみが融合しておいしい。

***香辛料に包まれた鴨のフオァグラのコンフィ ドライイチジクのピュレと青りんごのサラダ***
シェフのスペシャリテ まず、あっさりしたフォアグラのコンフィの甘みにはシルクのような上質な滑らかさと甘みが共存し、上質な脂のとろける味わいは、極上ものです。しかも、軽い味わい。天然の自然の味わいがします。ココには、最高品質のフオァグラの味があります。それも、そのはずです。フランス*ボルド-の契約生産者が、シャンポ-ルのため特別に作らせているのです。昔ながらの手間のかかる製法で自然の素材だけの飼料だけ与えて育てるのです。しかも空輸されてフレッシュのうちに料理するのです。おいしくないわけありません。タ-メリック 胡椒 カイエンヌペッパ-などの香辛料に オニオン にんにく ジンジャ-のパウダ- パン粉などをかけて、低温でじっくり旨みをひきだすのです。鴨の脂でパン粉を吸わせカリッとしながらもさくっとした食感をうみだすのです。付け合わせの青りんごも特別に作ってもらっているそうです。。上品な柔らかい酸味がフオァグラの別の魅力をひきだします。イチジクのピュレとの組合わせは、定番だが、上品な甘みが、フオァグラのコンフィの魅力を更にひきだします。美しきビ-ナスが、微笑かけます。

***ブルゴ-ニュ産エスカルゴのタルト フレッシュハ-プのポタジュ-ルと季節の野菜*** 
とにかくうまいエスカルゴなんです。何で、この魅力に気がつかないのでしょう。フランスで食べるのに近い上質なものです。うえにかかるガーリックのエスプ-マが、食欲をそそります。

さあ、ベキャスです。火入れは良好です。悪くありません。
ベキャスの柔らかく繊細でありながら豊潤かつ緻密な肉質のうまみの引き出し方は、うまい。
洗練された野趣の味わいです。ポレンタのエスプ-マ使用により、あっさりした軽い味わいです。
しなやかな女性美感じられる味わいです。
しいていえば、肉質の味わいはラ*シ-ムに近い味わいです。
軽い赤ワインのソ-スがうまくなじみます。
洗練された上品な優美な味わいです。
現代人には、向いているかもしれません。
ただマニア向けではありません。

***蜜柑のコンポ-トとグランマルニェキュべ150のアイスクリーム*** 
おいしいですね。蜜柑の凝縮した甘みにややシャ-プな酸味が、その甘みをひきしめます。かみ締めるごとに。旨みがましてきます。 滑らかなアイスクリームがリキュ-ルの甘みと融合しとてもおいしい。コンポ-トのうまみをさわやかにひきだして、いい調和みせます。
かんきつ類系の長い余韻もみごとのひとことです。

ワインはシャト-ム-トンロ-トシルト1953年 戦後最高の年のひとつ。
50年代では、59年につぐあたり年のひとつ。
シ-ダ- なめし皮 シナモンの香り 甘くとろける果実味に柔らかい酸味にタンニンは、丸くなりみごとなバランス感覚。
しっかりしたストラクチャ-に、男性的な力強さ。
飲むとビロ-ドのような舌触り。
長い余韻は、シルクのような心地よさをあたえてくれる。
バッカスの神が、月夜の夜に微笑んだ。
ベキャスとのマリア-ジュは、美しき女王をエスコ-トするシュバリエのようだった。
バッカスが、導く至福の時間だった。

流れていく時間は、感動的な時間を共有したものとして、人生の宝物として、心に、永遠に残っていくだろう。

永遠のときめきとともに。

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7位

オテル・ド・ヨシノ (宮前、田中口 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥15,000~¥19,999

2012/01訪問 2012/12/24

再訪*理念と現実の差異

***再訪2012年1月***
私は昭和の人間であり昭和というものを愛しているし昭和気質の人間であります。
前回 訪問の折自分の感じたまま書きました。
その後手島料理長みずからご丁寧なる一通の招待状を頂きました。
その趣旨はもう一度訪問していたた゛けませんかという趣旨の内容て゜した。
私は巨匠でもない一介の単なるレビュア―であります。
その心意気を強く感じました。

実際、こんな経験は初めての事であります。東京のおごった某三つ星レストランとは大違いです。
コレもある意味ミシュラン効果でしょうか。
つまり、判断基準は、料理だけだとする基準がある悪癖をうみだしているのも事実です。
驕った三つ星レストランは味がすべてとかんがえているようでサ―ビスが救いようがありません。
それでまわりがヨイショしているので、困ったものです。
サ-ビスも味のうちです。どんなおいしい料理を食べてもサ―ビス悪ければ、興ざめしその日の感動もうせてしまいます。
驕った三つ星に明日はあるのでしょうか。
感動とは料理*サ―ビス*雰囲気などあらゆるものがひとつの結実になってひとつの奇跡ともいうべき人生の宝石を生み出すものです。私の信念は変わりません。

その際わかりました。もう一回訪問しましょう。
ただし特別扱いはしないでください。
普通のお客さんと同じ扱いにしてくださいと伝えました。

15000円のシェフお任せコ―スでベキャスの美味しい時期に伺いましょう。
ベキャスは時価で結構です。
差額料金は支払います。
ただ特別扱いはしないでください、と話しました。
シェフはその内容を了解し快諾しました。
ただいつベキャスが入荷するかはわからないので、入荷した時点で連絡するとのことでした。

それで今回の訪問となりました。
信頼するレビュア-様である食いしぼりん様の参考になるレビュ―もあり期待の訪問となりました。

一月の寒い日でありましたが、すがすがしい晴天の日でした。
ドリカムの晴れたらいいねのうきうきの気分て゜和歌山へ向かいました。
結論めいたことをことをいえばかなり改善されていることは事実であります。

クラシックスタイルから現代フレンチを考えるというスタイルは変わりませんが、かなり改善していると感じました。
サ-ビスもよくなりました。
ユニソンの初代マネジャ―が、マネジャ-として赴任しておりました。
私の方が、実際驚きました。
心地いいサ―ビスです。
的確な判断力に分かりやすい説明。
そのタイミングの計り方も見事なものです。
東京の某三つ星レストランとは大違いです。
ある意味料理がうまいだけで天狗になっているのでしょう。
うわさによると大阪の某レストランで悪名をはくしたマネジャ―がマネジャ―についているそうです。
ある意味哀れみをかんじています。
本当の料理の感動とはなんであるかわかっていないようです。
ある意味大阪のハジですね。

それと比べたらここはかなりよくなってきたとかんじます。

グランメゾンを目指しているのでしょう。
まだまだ足りない部分ありますがその努力を買う私であります。
その意味はあくまでも主観ではなく客観的であります。
たとえば、グラスシャンパンやグラスワインにしろ数種類の品揃えをするようになったし、料理における構成にしろなにが主役でなにが助役かのバランス感覚もいいように感じます。

これからが楽しみであります。
さて料理の話をしましょう。アミュ―ジュはいつものとおりチ―ズ入りのグル―ジュ。
無駄な話もなく料理の説明だけで、温かいうちにいただきます。
さくっとした食感にチ―ズのいい風味。温かい美味しさが、その味わいの美味さをひきたてます。
フランス料理の原則に忠実であります。まず、ここでいい好感触。

***いわしのマリネ(4.4)***
和歌山産いわしを軽く白バルサミコでマリネして上には薄切りしたモッッアレラチーズ  付け合せはトマトとパプリカに有田さん蜜柑の生ジャム。大降りのいわしは旨みにいいバルサミコの酸味といいマリア―ジュ。薄ギりのモッッアレラチ-ズといい相性。いわしの存在感をよく生かしている。有田産ジャムとあわせると甘酸っぱくしかもいわしと別の旨みをかんじさせる。いわしの苦味といい感じなのだ。パプリカの控えめなあじわいも好印象。
***レンズ豆のヴル―テ(4.5)***
ジャンヴォンブランにフォンブランにトリュフの細く刻んだものにチョリソ―にクルトンに生クリームのエルミジョン レンズ豆をオリ―ブオイルでいためたヴォ―ルテは、甘さ控えめで滑らかな味わいでレンズ豆の歯ざわりのよさの美味さにトリュフの自然な香りが魅力的。あっさりした味わいに刺激的なチョリソ―が面白いあじわい。生クリームのエルミジョンがシャンパンの泡ごとく柔らかく複雑な味わいが、ひとつの統一的味わいになる様は、見事の一言につきる。軽い食感だが力強いあじわい。

***ジピエのテリ―ヌ(4.3)***
パイ生地にジピエのス―プをゼリ―状に煮詰めたもの森鳩にフォアグラに山和鹿*国産豚*和歌山産梅鳥のぺ―スト。力強いあじわい。素材*鮮度もいい。分かりやすい構成。自然の大地のおいしさをそのまま堪能できる。それぞれの旨みがいいハ-モニ―として融合する。肉本来の醍醐味がそのまま味わえる。

***クエのロ-スト(4.4)***
ほっくらしたクエの安定したあじわい。恐らくコンベンション使用.クエの焼汁に詰めたものにライムけずってある。トマトのコンフィに芽キャベツにイタリアンパセリ。ライムの爽やかな酸味にクエがよくあう。付け合せもそれそれ゛の旨みが、主役であるクエの旨みをこわさずいい組合わせ。クエの旨みを生かす程度に付け合せが存在する。いいバランス感覚。

***ベキャスのパイ包み(4.6)***
二週間ほど熟成させたベキャスのパイ包み。パイの中には、フォアグラにベキャスのむね肉にトリュフその周りに雉*コ―ルベ―ル*山鶉*和歌山の鹿*のムースで包んである。パイの生地も薄くパリッとした食感とバタ―の風味がここちいい。デクパージュ―ジュすると、そこは、ジピエの森だった。森の様々な歌声がする。様ざまなジピエの旨みが現れては消え消えては現れる。ベキョスの胸肉は。豊富な鉄分の味わいとすこしの苦味。柔らかい弾力のある滋味溢れる野趣の味わい。ソ―スはサルミだが、コニャクにアルマニャックにポ―トをフォアグラでモンテしてべキャスのジュ。内臓のぺ―ストに細かく刻んだトリュフにシブレット。滑らかな味わい。ここちいいかろやかなお酒のあじわいにフォアグラの軽い甘味。内臓の風味も現代的なサルミとしては軽い味わいで素材をいかすに十分なあじわい。柔らかい薄切りのトリュフも緻密で優しいあし゜わいがとてもここちいい。ベキャスの頭蓋骨もやわらかく脳みそも甘く美味い。
キュィスは弾力ありながらも柔らかいあじわい。繊細でありながら芳醇なあじわい。付け合せのトランペットや根セロリのピュ―レや群馬産黄色のビーツの甘味がいい相性みせる。

***しょうがのジュレ(4.7)***
しょうがのジュレに苺にア-モンドチョコにフロマージュブランのアイス。なんといっても自然のしょうがの力強い風味と旨みがなんともいえない。やや苦味をフロマージュブランの甘味が和らげる。ビタ―チョコの甘味に苺の酸味が複雑に絡みしょうがのなんともいえない存在感を至高のものとする。

***デザ-ト(4.5)***
ロビション氏との共同制作。飴細工の中に低脂肪牛に赤いフルーツにブルュレにアイスクリームに白ワインのジュレ。複雑なあじわい。かりっとした飴細工壊すとアイスクリームの甘味に程よいブリュレあっさりしたミルクに、酸味のきいた赤いフルーツがなんともいえない美味しさをかんじさせる。見事なおいしさ。

お菓子は、マカロンが抜群に美味い。中の生クリームがとろけるようにうまくかりっとして軽い味わいのマカロンがなんともいえないうまい。

真実は多面的なものだ。自分の見方で変化する。その意義をかみ締めた午後となった。

***2011年1月訪問***

吉野氏の哲学は、自然や風土に逆わらず、大地の実りをそのまま皿に盛り込むテロワの料理の哲学を実践することにある。
それとともに、味の記憶を重視し、昔食べた故郷の自然の味を残していきたいとする理念を実現するために、誕生したレストランである。スタンス的には、ネオクラシックの立場にある。
地産地消という視点から、フランス料理を再構築するという哲学には、共感するが、フランス料理の醍醐味や文化としての芸術性には、それに尽きないし、またその哲学の実践と実態との乖離があるのも事実であり、その意味では、問題ありと考える。
グランメゾンとしてのサ-ビス提供しているかという意味でも、実際疑問の余地ありといわざるおえない。

どこがどう問題なのか、私なりの見解を述べよう。

最初から、このレストラン訪問するときは、ジピエのおいしい季節に、訪問するつもりでいた。

ランチタイムに、8000円(サ-ビス料5パ-セント)のシェフおまかせコ-スを注文しました。

予約の際、メニュ-の内容を具体的にきめていく。
どんなジピエがあり、どんな料理がいいのか具体的に、コ-スを組み立てていく。
こういうサ-ビスは、好印象である。
客の好みを聞きながら、どのような食材が、いい状態にあり、どのような料理がいいのか、きめていく作業は、きわめて親切であり、客の要望を最大限とりいれるという意味では、かなりの好評価と考えてよかろう。

実際、心地いいサ-ビスのように感じた。
ただ、グランメゾンとして、考えると当たり前ともいえるのであるが。

吉野氏のスペシャリテ 2品いれることで、話がまとまった。
さて、当日。雲ひとつのないいい天気である。
少し、寒かったがすがすがしい気持ちだった。
南海電車に乗り、バスに乗り継ぎ、現地に到着した。
15階まで、エレベ-タ-に乗り、レストランに、着いた。

レストランのなかは、手前にカフェ ステラ*マリスがあり、細い通路の奥に、オテル*ヨシノがある。

昼間だからか、外からの陽光が、明るく気持ちがいい。

店内は、白と黒を基調としたシンプルな店内。
イメ-ジとしては郊外にあるリゾ-トレストランといったイメ-ジに近い。
和歌山という土地柄にふさわしいかも、知れませんが、個人的には、シャンポ-ルや、ジョエル ロブションの方が好みです。

食器は、ナポレオン3世御用達のベルナルド カラトリ-は、クリストフル使用。
テ-ブルとイスは、白で統一されている。
2-6名様用の個室1部屋あり。(個室料なし)

予約の名前をあげ テ-ブルまで、案内され、着席しました。

グランメゾンという視点から、考えると、物足りないあるいは、配慮の足りない部分があります。
ただ普通のレストランなら、文句ありません。
例えば、グランメゾンなら、予約の名前告げた時点で、00様ですね。お待ちしておりました。席へご案内します。どうぞこちらです。

まず、それがない。普通のレストランなら、それでかまわない。

席に座ると、ソムリエ-ル登場しアペリティフ勧めるので、グラスシャンパンオ-ダ-した。
初めていく店では、グラスワイン注文するのが、私の定石である。
それで、ワインの選択*管理*センス*ソムリエの実力が、わかるのである。
そこから、お互いの信頼関係が、始まるのである。
20年まえからそうである。某マスタ-ソムリエとの信頼関係もそこから始まった。

話は、ずれたが、グラスシャンパン注文したが、一種類しかないという。
グランメゾンなら、少なくとも数種類のなかから選択できるのが、普通である。
まず、それがない。しかたがなく、それを注文。1500円。さほど、印象に残らない。

通常グランメゾンなら、数種類のグラスワインを用意し、料理に合わせてベストのグラスを選出していくのだが、ここにはそれがない。
ここには、赤も白も、ひとつしかない。その意味で、選択の余地がない。
ワインとのマリア-ジュによってフランス料理の美味の広がりがないという意味では、その楽しみが限定されてしまう。

つまり、どんな料理がでてきてもひとつのグラスワインしかないのである。

フランス料理は、フランスワインによって完成されるという立場を支持する私の立場では、物足りなさを感じたのは、事実である。

極論すれば、ワインは、フランス料理の第二のソ-スといっても過言ではない。

アラン*シャベルで、ベキャス食べたとき、1928年のグリオ*ラロ-ズ飲んだが、それを実感したものだ。

さて、そうこうしているうちに、アミュ-ズブッシュの提供となった。
チ-ズ入りプチシュ-配膳されたのだが、焼きたてのチ-ズの風味が匂いたつ素晴らしいものであったが、それをテ-ブルにおき、とうとうと、本日の料理のすべての説明が、始まるのである。

テ-ブルの目の前に、おいしそうなアミュ-ズブッシュありながら、その説明を聞く。
こういうスタイルはじめて、みました。
いつ、食べていいのか、さっぱりわかりません。

通常ならまず、料理の説明があって、それから、アミュ-ズではありませんか。
あるいは、アミュ-ズ運んできたとき、食べながら、話を聞いてください のひとことあるべきでは、あるまいか。

ご親切に、とうとうと説明していただけるのは、うれしい限りだが、料理が大切なのか、料理の説明が大切なのか、さっぱりわからない私であった。
料理の基本的鉄則 温かいものは、温かいうちに、冷たいものは、冷たいうちにという鉄則が、理解していないように感じられる。

その意味で、サ-ビスとして、マイナス感じてしまう。
客への配慮たる意識が欠けているようにおもえる。
冷めてしまったプチ*シュ-食べてもおいしさが感じられるのだろうか。
料理足るものは、最高の状態で、提供されてこそ、価値があるのに、そのへんの配慮が無神経すぎる感じがする。

そして、次に見せてきたのが、巨匠が、パリで買い付けてきたというフランス産トリュフである。
見た限り大きく肌理の細かいいいトリュフである。デリケ-トな官能的な香りが、印象的である。

それを、使用して料理をつくるという。
さあ、夢の始まりである。ドビッシ-の夢の旋律が、頭に浮かんで、料理への期待が、高まり自然と高揚してきた。

***富山の氷見の寒ぶりのミキュイ ラビゴットソ-ス(4.5)*** 蜂蜜とバルサミコでマリネしたコウシン大根と紅かぶのうえにミキュイした寒ぶりに、ラビゴットソ-ス 鮮度のいい最高の寒ぶり。脂ののりも最高で、カムほどに、旨みにあふれる。甘く少し苦味のかんじるコウシン大根もいい組み合わせ。歯ごたえもいい。かぶも、旨みが凝縮しており寒ぶりの旨みを増幅させる。それらをすべて、ラビゴットソ-スが、味わいをひきたてる。みごとなできばえ。和歌山で、おいしい寒ぶりにであえると正直おもわなかった。

***チリメンキャベツ 黒トリュフ フオァグラのミルフィ-ユ(3,5)***2000年ごろ、巨匠が、考えたスペシャリテ。
チリメンキャベツにフォアグラのム-スとフレッシュトリュフをサンドし厚めのフレッシュトリュフスライスしたものを添えてある。
ソ-スは、ジュで作ったもの。温かい皿で、提供される点は、好印象。しかしながら、サ-ブされる時から、さっきと異なり強いトリュフの香り。そこで、トリュフオイル使用ですね。と聞くと素直に、認める。トリュフたるもの 年によって香りが異なるのは、当然で、むしろ、自然である。
それは、ワインと同じで年ごとに異なるのが自然なのである。それから、考えると不自然である。そこで、まず、感動がうせた。
チリメンキャベツも天然の甘みに乏しくぱさつくちりめんキャベツ、フォアグラのム-スもさほど、ときめかない。食べるごとにあきてくる。
白いソ―スは、西洋わさびのバ-ミックスしたエルミュジョンだが、もうすこし、天然の苦味がほしいところだ。

***ジピエのス-プ(5.0)*** これは、文句なくうまい。紀州の猪や、コ-ルべ-ルや雉などのジピエをミックスして丁寧に、時間をかけて作られたス-プは、ひとさじ口に含めば心にも体にもやさしく染み渡ります。実に雑味のないクリア-でありながら滋味深い深遠なあじわい。薬味の青ねぎもいいアクセント。紀州梅鳥で作ったム-ス状の浮身もやわらかく淡白だが、旨みも感じられる。ス-プにうまくなじんで美味。トリュフもあったが、これはまずまず。

***平すずきのポアレ(4.0)***皮はかりかりで肉は、ふっくら焼かれている。うまいが、マチュ-*ヴィアネイが作ったはらりと崩れるような極限のうまさには、およばない。ヒュメデポアソンで、作ったソ-スとの相性は、悪くない。それよりも、和歌山産の野菜類が、旨みが、凝縮していてうますぎる。しかし、この料理における主役は、なんであろうか。付け合せの野菜なのか、メインの平すずきなのか。お皿における構成の位置付けを考えると疑問の余地がなくはない。

***ジピエのパイ包み(3..5)***巨匠のスペシャリテ。
付け合せは、ふたつ。根セロリとラズべり-のム-ス ソ-スは、サルミのソ-ス パイの焼き方はうまい。
ナイフは、ラギオ-ルに変更。
パイにナイフ入れると、なかには鹿*猪*雉などのミンチに、ファアグラ+トリュフ+蝦夷鹿のスライスがはさんである。
パイとジピエのミンチは、やさしい自然の旨みにあふれ好印象。
サルミのソ-スもうまいが、やや優等生すぎる。野性味にかける。
ム-スもうまく脇役としての役割として、主役のおいしさを引き立てる名わき役。
しかしながら、すべてを破壊するのは、主役の蝦夷鹿のスライス。旨みというより癖が強すぎて、全体のバランスを壊している。
地産地消にこだわるなら、紀州の野生の鹿つかうか、もっと質のいい蝦夷鹿使うべきではあるまいか。

***トリュフのスフレとチョコレ-トのエスプ-マ(4.0)***アセット*デセ-ル チョコレ-トのエスプ-マに、焼きたてのトリュフスフレをのせる。現代的意義のショ-フロワ 付け合せに、トリュフオイル使用のアイスクリ-ム。崩れるようなやわらかい食感のスフレに、甘さ控えめのチョコレ-トのエスプ-マは、存在感の弱いまずまずの組み合わせ。アイスクリ-ムもなめらかなあじわいだが、感動するほどのデザ-トではない。
***お菓子(3.5)***  可もなく不可もない。

全体的にいい素材使用しているが、しかし、フランス料理としての完成度としては、不満の残る点が、多々ある。

サ―ビスは、グランメゾンとして考えるとき、満ち足りない部分が、多くレストランとしてのサ―ビスとして理解するほうが適切である。

ただ感動するほどではないが、それなりの満足はある。その意味では。訪問の価値はある。しかし、新時代に向けて独創性に欠けるのではあるまいか。

ふと、二―チェの言葉 

世界の嘆きは深い。
しかし、快楽は、心の痛みよりなお深い。
嘆きはいう、過ぎ去れと
だが、すべての快楽は、永遠を欲する 深い深い永遠を欲するのだ。

そんな永遠の時間を永久なる無限なるものとして超越した時間とはなにか

その意味するところを考えながら、時間は過ぎていった。

果たして永遠なる時は、近いのであろうか。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • 左がロブション氏に右が吉野氏

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8位

トランテアン (市民広場、南公園、中埠頭 / フレンチ、ステーキ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2012/05訪問 2012/06/04

新たなる旅立ちへ

リヨンの歴史的名店*ラ*メール*ブラジェの日本初の提携店となるのが、***トランテアン***であります。
ラ*メール*ブラジエは1921年に創業し50年近く三ッ星を守り続けた伝説の女性シェフ*ウジェ二―ブラジェ女史のお店であり若きポ―ル*ポギュ―ズ氏もプランティとして学んだことで有名。
マチュ-ヴィアネイ氏は、1998年にリヨンにビストロ les*oliviersを営業。
2004年にMOFを収得。
2005年にmathieu viannayをオ―プンさせミシュラン一ツ星を獲得。
2008年にリヨンの銘店ラ*メール*ブラジエを収得。
2009年に二つ星穫得し現在に至る。
今三つ星にもっとも近いシェフのひとりといわれている。
私との接点は2010年にロイヤルホテルでおこなわれたガストロノミックフェアにおいてお会いしたことであります。
その折、ランチとディナ―両方食べておりある程度の手の内は把握しておりその意味で今回は最初からディナ―タイムに訪問しました。
店内の構造はアラン*シャペル時代と基本的な変化はありません。

ただサ―ビススタッフはアラン*シャペル時代と基本的に変わりませんが、新しいスタッフも加わっておりこの点のスタッフとしての一体感みたいなものが馴染んでくるにはもう少し時間がかかるのが実際のところでしょうか。
今の支配人はアランシャペル時代と変わらないが、15年ほど昔になるがその当時の支配人が私の到着時間に合わせてお出迎えしてくれたことはうれしい限りでした。
昔の話に話が弾み気持ちがなごんだのは事実であります。
さてやはりまず、シャンパンでしょう。そしてこの新しい門出にふさわしいのはやはりシャンパンでしょう。華やかで優雅な宴の始まりとなりました。
アンリオ ブリット ス-ヴェランで乾杯です。ヴェルディのオペラ**椿姫**で歌われる乾杯の歌がいずことなく聞こえてきます。
泡立ちも美しく適度なミネラル感にここちいい酸味が口の中を満たし優しい咽喉越しがいいですね。
料理はコ―ス料理とアラカルトがあります。
伝統と革新という理念のもとコ―ス料理には現代的料理(15000円程度)とクラシック料理(12000円程度)の二つになります。
後者は、ブラジェ女史が始めたクラシック料理の再現であります。
前者はヴィアネイ氏が考えたクラシックに配慮した現代的フレンチであります。
前者選択。

まず***アミュ―ズ(4.0)***
アミュ―ズは二種類あります。1つ目は三点セット。ひとつはビネガーにつけたサ―モンをシュー生地に詰めたもの。薄地で柔らかいシュ―生地に酸味利かせたサ―モンの優しい味わい。一口牛筋のテリ―ヌは肌理細かく繊維質までわかるしぐれ煮に近い食感。思ったよりくどくなくあっさりした甘さが特色であります。唐辛子とパプリカのム―スにグリスキ-ニをつけて食べる。パプリカの風味に軽やかな赤唐辛子の辛さがここちいい。グリスキ―二のこりっとした食感と塩けが、ム―スの旨みを引き出す。

二つ目は***ガスパッチョ(4.0)***
地産地消の視点から神戸市西区で作られている有機トマト使用。そこにパプリカ*タバスコ加え、クルトン*アサリ*バジルを具材として使用している。滑らかでありながら自然に近いあっさりした味わいにバジルの風味にアサリがよくあう。ここちいい軽さ。いい咽喉越しに繊細な余韻。

***マグロと野菜のマリネ 柑橘類のビネグレット(4.0)***
マグロの赤身をマリネ―ドしたものを軽く炙る。柑橘類系のビネグレット使用。皿には細長い生の人参とグルジェットひいてある。なかなか複雑な味わい。赤身のマグロに柑橘類の酸味がいい。

***ル―ルブル―と聖護院蕪のサラダ ライム風味(4.3)***
ル―ルブルーの下にはレモンヴィネガ―利かせた薄切りの蕪にラディシュ。生クリームにオマ-ル海老をあわせ蕪で巻いたもの。トマトのジュレにオマ-ル海老の卵が添えられている。ル―ルブルーの鮮度*ゆで加減がいい。クリア―な味わいでありながら柔らかくかみ締めるほどに旨みが溢れてくる。そこに酸味利かせた蕪の甘ズッパサとラデシュの苦味が絡む。トマトの酸味も強すぎず実に様ざまな味わいが感じられ美味くまとめられ実に美味。生クリームもあっさりした甘味でオマ-ル海老のこりこりした食感にうまく馴染む。強すぎないライムの酸味が全体の味わいを魅力的に引き立てる。

***近海産すずきのパヴェ。モリ―ユタケとアスパラガス 貝類のエルミジョン(4.7)***
鱸の身はパヴ―ルし皮はサラマンダ-で焼いている。理想に近い火入れ。皮はカリカリに焼かれ、肉質は蕩けるほどジュ―シ―でありながら柔らかい。その身とモリ―ユタケとグリ―ンアスパラをズッキ―二で巻いてある。ソ―スは肌理の細かい貝類のエルミッション。柔らかいモリ―ユタケとその特有の甘味としなやかな硬さのアスパラガスがズッキ―ニの爽やかな酸味にからまって、その軽い味わいのエルミッションが融合するときまさに五感でとぎさまれた味わい。その華やかさ*優雅さ*はまるでショパンのワルツの響きと共通するものがある。私はなんともいえない喜びに満たされし至福ともいうべき時間の観念を超越する感動ともいうへ゛き永遠の彼方へときめく感覚が残った。それは神が与えし魅惑の時間のように永遠というべき感性が刺激された時間であった。

***小鳩のロティと酸味を利かせた大根とキュィスのフォルシ(4.4)***
ゆっくり時間をかけて火入れした小鳩の胸肉のロ―ストとキュィスのフォルシ 付け合せは甘辛く煮た大根のうえにポテトチップみたいな食感のポテト。ソ―スは、小鳩のジュレとプ―ルブランの上澄みだけとったもの。ロゼ色に焼き上げた小鳩はなかなかの美味。柔らかい肉質で噛みしめるごとにその旨みが広がっていく。軽い仕上がりのソ―スがその旨みの幅を広げる。甘辛大根の煮込みとポテトの相性も悪くない。

***チ-ズ(4.5)***
何種類もあり食べ放題。ブランドブランのシャンパン飲んでいたのでそれにあわせて四種類ほど選択していただいた。ラングル*コンテ*セルシュシュ―ル*ロ―ブルの四種類。どれも鮮度*品質申し分なかった。シャンパンの洗練された味わいにみごとというべきマリア―ジュだった。かつてのコートド―ルに負けない品質といっても過言ではない。

***ひとつめのデザ―ト(4.0)***
マドレ―ヌとヨーグルトシャ―ベット。マンマの味わい。柔らかい酸味のヨ―グルトのシャ―ベットはシャ―ベットというよりアイスクリームに近い舌触り。柔らかいクッションのような食感のマドレ―ヌといい相性。ほっこりする味わい。まさにマンマの味わいというへ゛き味わい。

***二つ目のデザ-ト ミルクチョコレ-ト ジバラ とパッションフルーツのキュ―ブ カカオのソルベ添え(4.9)***
バロ―ナのジバラ使用しカカオのソルベとミルクチョコレ-トム―ス 上には球状のチョコレ-ト 外側には、チョコレ-トパウダ―。中にはパッションフルーツのム―スが詰められている。ナイフを入れるととろけるほど柔らかいム―スにパッションフルーツのムースというよりソ―スが溢れてくる。実にやわらかく優しい味わい。これほど蕩ける味わいのデザ-トに国内でであったことがないぐらい、滑らかにとろける。優しいチョコレ-トの味わいのム―スにしかも酸味の強くないパッションフルーツといいマリア―ジュ。カカオのソルベの滑らかな舌ざわりに存在感。強い苦味もなく見事な融合感。孔雀が羽を広げるような実に滑らかで蕩ける味わいなのである。まさにシルキ―な味わい。まさに極上ともいうべき時間のときめきに永遠がみえる。

***お菓子(4.1)***
ガラスの箱に詰められて運ばれてくるお菓子は食べ放題。ホワイトチョコのキャラメルにビスタチオとへ―ゼルナッツのヌガー。グロゼイユとレモンのゼリ―など。ドレもコレも手堅いつくりで味わい。

***ハ-プティ(4.3)***
最後のドリンクは、個人的には、ハープティ―お勧めする。神戸のハーブ園で摘み取られたハープは匂い立つほどのおいしさ。

二つの若き才能が、伝統と革新というフランス文化のなかで競合していくことに未知なる期待を感じたというべきである。
そこには新しい神戸フレンチをその枠組みのなかで創造していくという意味では、恐るべき存在となりえよう。

参考までに、とうして飲んだシャンパンは、RM。ヴ―ヴエレノール。ブランドブランである。
シャンパ―ニュAOCを構成する317の村の内、グランクリュを名乗れるのは17の村のみ。このシャンパンはその村の内オジェ村で生産されたもの。1985年に昇格した比較的若い村である。クリア―な味わいで、ミネラルの塊のようなあじわい。デリケ―トな余韻はなんともいえない心地よさ。酸味は実に優しく、その味わいがコ―ス料理としてのマリア―ジュと見事に融合する。


  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • ウジェ二―ブラジェおばぁ-ちゃん

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9位

リシュール 苦楽園 (甲陽園 / その他)

1回

  • 夜の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2012/07訪問 2012/12/17

七夕の宵 ひさびさに唸ったリストランテ

七夕の宵。一年に一度の彦星と織姫に会いたくて、美しき夢をみるために選択したのがこのお店。
もしかしたら夜空に手をのばせば、ふたりにあえるのではないか。
あえたら、何を願うか。
それだけで心は弾みます。
阪急夙川の駅から車で約15分ぐらい程度の山の上にその白亜の城ともいうべき建物がたたずんでいました。
その到着時間にあわせてスタッフが出迎えてくれます。
スマートな応対でレストランのある三階へ案内してくれました。
エレベ―タが開くとそこはまるで光の海でした。
満開に見渡せる光と静謐ともいうべき時間のときめきがみごとに融合し大人の社交場にふさわしい雰囲気であります。
まわりを見渡せばカップルばかり。何を願いにきたのでしょう。
幻想的な夜がいい雰囲気の中で始まりました。
ここにくる限りは、シェフお任せ10000円コ―スがふさわしい内容を実現するという期待の中で夢幻のような美しい時間は始まりました。
この夜には祝杯をあげるにふさわしいのは華やかなシャンパンでしょう。
とりわけ色鮮やかなピンク色のロゼ*シャンパンが優美な時間に相応しい時間を無限の至福の時間として泡の中に溶け込んでゆく。

***タルラン1999 ロゼ*** 
繊細でありながらふっくらとした味わいは美しい女性美は彷彿させる。透明感のある酸味はとてもここちよく甘すぎないうっとりする果実味が、繊細な余韻につながり美しくも可憐なそのスタイルに、もうすでに織姫に出会ってしまった錯覚さえ覚える。運命の人にであってしまったのだ。そんな時間のなかに料理への期待感が高まってきました。悦楽ともいうべき快感のはじまりでした。

***雲丹とお野菜のジュレ ヴィシソワ―ズのシェカ-ト***
茹でられたヤングコ―ンのスライスとおくらの輪切りに野菜のジュレに大降りのうに。そこに客の目の前でシェ―クしたヴィソワーズを周りにふりかける。スット入るナイフに、口に運ぶと蕩けるうにのクリア―な風味に微かな磯の風味がデリケ―トでありながら軽やかに感じられる。その支配的な味わいのなかに鮮度のいいこりっとしたヤングコーンにおくらの風味にコクの感じられる野菜のジュレにヴィソワ―ズの味わいが複雑に絡み合い溶解していく。複雑な余韻のなかには一言では言えない様々な味わいが馴染んでは消えていく。

***フランス産フォアグラカナ―ルのテリーヌ アメリカンチェリ―のサラダ***
フォアグラは丁寧に低温調理でじっくり火入れされる。滑らかな舌ざわりに、あっさりしながらも特有の甘味が残る。酸味が利いたアメリカンチェリ―の甘酸っぱさとのバランスがよくフォアグラの甘味を引き締めその存在感を高める。ブラックペッパ―の苦味のある味わいがいいアクセントとなり甘味*酸味*苦味*の複雑な調和感が一体となって様々な旋律線を描く。その旋律線の描く向こうがにあるものは歓喜という観念しか浮かばない。

***明石産足赤海老とレンコンのインボルティ―ニ 空豆の餡で ***
まず頭からかぶりつく。かりっと食感に海老固有の旨味がつまっている。海老とレンコンのインポルテイ―ニには海老の風味のレンコンの存在感が違和感なく交じり合っており、かみ締める後とにそのうまみがます。空豆の餡がその味を軽やかにその存在感とともに交錯する。見事なパ゛ランス感覚で明石産赤赤海老の旨味を究極までにひきだす。力強さと繊細さが連鎖のつながりで、しっかりと華やかに主張し密やかに余韻とともに現実的な忘却の彼方に麗しく消えていく。しかしその味の記憶は永遠に鮮明に残る。感動の余韻とともに。

***明石産鱧と九条ネギ 黒ゴマを練りこんだタリオリ―ニ 青柚子の香り***
スジギリされた鱧の皮の香ばしい香りに柚子のさわやかな柑橘類系の香りが絡む。もちもちしたした触感の手打ちタリオリ―ニ食べると黒ゴマの程よい風味がその香りにからむ。鮮度のいい九条ネギのしっきりした味わいとコクが違和感なく緻密な味わいとして交錯する。鱧の弾力ある味わいにすべての味わいが統一体として複合的な味わいとして収斂していくさまは見事のひとこと。

***赤アマダイのうろこ焼き ウイキョウとトマトのソ―ス***
感動の逸品。東京で食べた某ひとつ星の人気店よりはるかに上回るあじわい。まず鮮度が最高の鮮度。うろこのカリカリ感といい分厚い身の柔らかくほっくらした味わいは口の中でみずみずしくも力強い味わいでありながら蕩けるほど柔らかい触感にうろこのカリカリ感がここちいい。ウイキョウの風味とトマトのエキスだけちゅうしつした透明感の感じられる旨味が、極上の至福の味わいとなってよせては返す波のように感動の渦が光の海の中で感じる自然の営みというべき旨味のエッセンスをひきだす。今年最高のあじわい。

***宮崎産尾崎牛シンオンタマの低温ロ―スト 山葵とにんにく風味餡で***
奇跡の逸品。じっくり低温で火入れされたシンタマはナイフを入れるとスット切れるほど柔らかい。食べると、あっさりしながらも、シンタマの旨味が凝縮している。食べるごとに肉の力強く大胆でありながら繊細な肌理の細かい肉質の味わいが究極ともいうべき見事なバランスで蕩ける味わい。肉本来の甘味*コクが深遠たる永遠の至福ともいうべき極楽へ導く。山葵にアボガドを混ぜた餡をつけると苦味とほんのりとした甘味が肉本来の味わいをより一層うまく感じさせる。にんにくのアクセントも効果的に食欲を増幅させる。神が導く天上の味わい*響き 宇宙の中で響き渡る奇跡とも言うべき味わい。それは荘厳なというより言葉に出来ないまさに無限の感動を刻む。

***デザ-トの盛り合わせ***
手堅い味わい。何かひとつ足りない感じがするが。もう一回り上回る味わいだと最高の締めくくりと思う。

ただ一年に一度出会えた感動は永遠のものとして心の中に息ずいていくだろう。

それは神の定めし運命だったのかもしれないが。

美しき夢をありがとう。感動の宵を私は忘れない。

  • (説明なし)
  • このエレベ―タ―で上のレストランに上がっていく
  • (説明なし)

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10位

メゾン・ド・タカ芦屋 (芦屋(阪神) / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2012/03訪問 2012/05/23

天使も舞い降りる優雅なビ―ナス的グランメゾン

フランス*ノルマンデ-地方のミシュラン二つ星レストラン*ジル*のオ―ナ―シェフ ジ゛ル*トゥルナルドの日本支店が当店である。ジル*トゥナルド゛は、1955年フランス北部ノルマンディ―生まれ。

パリのルカ*カルトンやタイュヴァンなどの名店て゜修行したのち、1984年に29歳で、生まれ故郷のル―アンにレストラン*ジルをオ―プンさせました。故郷ノルマンディ―*フランス料理の伝統*母*祖母の家族の香りと思い出の三つのキ―ワ―ドを軸に、ノルマンデ―の自然のなかで生まれる新鮮な素材から生まれる郷土料理に本人ならではの繊細さと豊かな香りをバランスよく加えることを信念としている。

1990年に二つ星を獲得して現代に至る。

私との接点は、2000年にリ―ガロイヤルホテルで施行されたガストロノミックフェアにおいてである。

ここの店舗が、ジルの日本支店になってから、四年の月日がたつという。高山シェフは、ジルの料理をベ―スにしながら、自分なりの美意識と日本的な感性を融合させることが、自分の信念だという。

今回、このお店は初訪問。ココにおける訪問というのは、ここの店におけるものであって、ジルのフランスの本店は、すでに、訪問済みである。

ミシュラン関西版で、ひとつ星獲得。

結論からいえば、ジルの現代における進化と、ココにおける高山シェフの感性が、融合しているということである。

ジルのスペシャリテコ―ス7800円のコ―スを選択しました。

店内入ると受付があり、そこで予約した名前いい待合室でまちます。

その奥には、アペリティフ用の部屋があります。

大きなソファに座っていると、スタッフが、席へ案内します。

そのあたりは、現代らしくスピ―ディであります。前面ガラス張りで明るい日差しが心をなごませます。

ほとんど女性で満席です。美しき女性ばかりです。

バラの花園に包まれる雰囲気でした。
心地いい空気感が。全体を支配します。
なんともいえない心地よさです。
柔らかい空気感が、心地いいですね。

心か゛なごみます。ココへきたからには、

オ-ルジルスペシャリテのコ―スでしょう。

このシェフがどのように自分なりに再解釈し構築するかでしょう。

結論からいえば、コンセプトからすれぱ゛、ジルの理念を中心ににしながら、自分の信念や日本の感性をかなり料理に反映されているように感じました。

それと同時にジルもまた、時代とともに変化しているということであります。

明らかに現代フレンチのフレンチの中で存在しているということであります。

このコ―スにおける内容も明らかにジルのスペシャリテと高山氏の感性が融合して存在しているということである。ある意味ジル的であり、ある意味日本の感性における高山シェフのセンスが反映されているということを意味している。

その意味では、純粋におけるジルスペシャルで゛はないことを意味する。

一番印印象に残った料理はジルのスペシャリテは、**マナガツオのフレッシュセッブのソ―ス(4,5)***である。

コンベククションによるスチ―ムされた、明石産マナガツオは、脂が、しっとりと抜けあっさりした味わいて゜ある。
これが、フレッシュなセップの生命感の感じられるしっかりした味わいでありなが甘い滑らかな味わいは、見事なマリア―ジュだった。

それは、クラシックで言えばカルロス*クライパ―の愛したモ―ッァルトの交響曲33番の世界に共通する世界である。
なんともいえない味わいに、感動のひとことである。

最初にいただいたアミュ―ズは、おそらく高山シェフの考えたものであろう。

スイカのジュレに塩をつけてたべるのであるが塩をつけることで、スイカの甘味が増幅される。子供のころを思い出す、懐かしい一品だ゛と思う。滑らかなジュレは、現代的でありながら、懐かしい、その昔を彷彿させる。

***淡路産鱧のポワレ(3.9)***は、ふっくらした軽い味わいです。ただ個人的には韓国産のこくがありなか゛らシャ-プな味わいが好みです。ただ全体のバランス的には野菜の旨みとフェミニンな味わいは、女性好みといえるでしょうか。

***ゆっくり焼いた子羊のロ-スト(3.9)***
メインデシュとして二つ提示されました。私は、なんでも食べます。スキ嫌いは、ありません。シェフの自信作を食べるのがスキです。そこで、だしてきたのが、ニュ―ジ―ランド産の子羊でした。それにしたがい、それを選択しました。おそらく低温調理と推察されます。しかしながら、想像していたより脂濃く感じられます。おそらく融点の問題だとおもいます。個人的にはフランスのポイヤック産が好みです。ただ口蹄疫の問題で国内では、食べることできませんが。さもなければ、タスマニア産が、好みです。それをぬきに考慮しても、脂が゛ややつよすぎる。コレでは、子羊の本来のうまさが、感じ゛られないところが残念です。

***デザ―トの前のひと皿***
これはなかなか美味 とりわけエスプ―マが極めて、洗練されていて上品である。こんなうまいエスプ―マ初めて食べた。あわ立ちは、きめ細かくて淡いシルクのごとく軽やかに消えていく。こんな滑らかなエスプ―マは、初めて食べた。それだ゛けで十分である。

***あたたかいミルフィ―ユ ジルのスペシャリテ(3.9)***
実に懐かしい味わい。 素朴で家庭的あじわい。さくっとしたパイ地はバニラの風味にあふれる。懐かしい、マンマのあじわいである。

接客は、丁寧で優しい柔らかい物腰である。
たた゛純日本的というよりフランス的感覚である。

ココでは、結婚式をあげるカップルもいて、二階には、教会もあり、みせていただいたが、静謐な空間がなんともいえない心地よさがあった。その場合レストランは貸切になるそうだ。

食後挨拶にきたシェフと、ジルとレジ*マルコンのことで、話がもりあがった。

マルコンの息子が今年ロイヤルホテルでフェアしたときここにも、訪れたそうだ。だいの仲良しだそうである。その絆として、サイン入りのプレ―トが飾ってあった。

レジ*マルコンの店て゜は肉をバリバリ焼いていたんですという言葉は、印象に残っている。

純粋なジルの支店というよりはむしろそこに、自分なりの日本的感性をとりいれていくことが、ひとつの理念であるようにおもえる。

その新しい風がどのように流れ、吹いていくか。

楽しみな店のひとつといっても過言ではあるまい。

***再訪(2012年3月)***

春の到来感じられる季節に、いやもっと正確に言えば春の予感感じる季節に再訪しました。
店内はいつもながらの華やいだ優雅な雰囲気でありました。
それぞれが自分達の時間という観念を大事にしている。
そんな印象を今回も受けました。
ここはいつもながらの華やかな女性の花園ですね。
今回も前回同様7800円のコ―スいただきました。
前回よりも内容的に繊細にみると基本的なコンセプトそのものは変わらないものの、素材における品質の吟味*それを表現する技術においてかなり登り坂であることが熱意として伝わってきました。
うれしい限りです。
渋谷氏同様 私に真剣勝負挑んでくる。
巌流島の決闘の気分です。
総合的に検討すると前回よりもかなりいい印象受けました。
とりあえずシャンパンでしょう。綺麗な泡立ちに繊細な味わいにデリケ―トな余韻。食前酒として位置づけるときコレぐらいの軽さがいいのです。ピノ*ムニェ主体だからこそできるこの柔らかさ*軽さが表現できるのでしょう。セパ―ジュとしてそのほかシャルドネ*ピノノワ―ルブレンドであります。
それを味わいながら提供されたのは***アミュ―ズ(4.0)***でしょうか。
桃の花の木を真ん中に置き季節感を演出。鴨のひとくちテリ―ヌ*パルメザンチ―ズのババロワに生ハムを乾燥させパウダ―として焦がしたものに***たまねぎのチュイルに低温でじっくり火入れしたには赤ワイン風味のオニオンのせ上にはパルメザンチ―ズ**の三点セットでした。**鴨のひとくちテリ―ヌ**は鴨肉とフォアグラとピクルスにパセリが主たる構成要素。やや弾力の感じられるが柔らかい鴨の肉質の旨みに酸味の利いたピクルスにオレンジの風味にパセリのアクセントが一体となって凝縮した結晶のような味わい。実に美味。濃密で緻密な味わいであるがすべて計算されたおいしさ。まず先制パンチ食らった印象である。ただここにビスタチオ加えたらより複雑さがますとおもうが。**パルメザンチ―ズのパ゛バロワ**は一口でふわっと蕩ける味わい。チ―ズと生ハムの風味といい食感。実にあっさりした味わい。**たまねぎのチュイ―ル**はかりっとした食感でたまねぎの甘味と赤ワインの酸味といい相性。パルメザンチ―ズの余韻もこちいい。これから始まる美食の饗宴にふさわしい味わい。

***苺とトマトのガスパッチョ(4.3)***
ガスパチョの現代的再構築というべき味わい。苺とトマト*赤ピ―マン*オニオン*バジルをガスパッチョにしてそのうえにトマトの雫を丁寧に裏ごししエスプ―マしている。その上には、ディルの香草添えてある。まずほのかに香るディルの香りを堪能。ぐさっとスプ―ン入れるといいトマトの軽い酸味の利いた香味に程よい酸味と甘味にオニオンの酸味に赤ピ―マンの旨みにバジルのアクセントが微妙なバランスで存在しながら五感で味わう複雑な味わいのガスパッチョ。滑らかな舌ざわりでありながら甘味*酸味*苦味が見事なバランス感覚で存在する。しかも軽い味わい。トマトとつぶつぶした苺の酸味の共鳴感がクリア―でありながらすっきりした味わいがなんともいえない美味を生み出す。

***海の幸の軽い煮込みとハセリのソ-ス(4.3)***
軽く茹でた蛤と鮮度のいい赤貝にハマグリの出汁で取ったゼリー寄せ。にんにくのチップで風味づけ。大根*たらの芽に食用花を付け合せ。上からバセリのソースをかけます。鮮度のいい柔らかい弾力のある食感の赤貝にふっくらしたはまぐりのうまみが広がります。優しく仕上げたパセリのソ-スにその味わいがなじみます。やや苦味のあるたらの芽が心踊る春の到来感じさせます。

***フランス*ロワ-ル産フレッシュホワイトアスバラとカナダ産オマ-ル海老の蒸し煮(4.5)***
コリアンダ-シ-ドの上に蜂蜜の味わい利かせたビネグレットをアスバラにかけてある。品質のいいコリッとした繊維質の感じられる甘くて軽い苦味の感じられるアスバラの食感に甘く優しい酸味の利いたソ-スが包み込むおいしさがなんともいえない。コリアンダ-の長い余韻が心地いいアフタ-フレバ-。ぷりぷりとてして食べ応えのあるオマ-ルが実にうまく全体としての味わいのバランス感覚がお見事。

***アマダイのポワレ(4.4)***
アマダイの皮はパリっと焼かれ肉質は柔らかくジュシ―な味わい。見事な火入れ。付け合せのたらの芽*じゅんさい*筍の穂先*ぜんまいなどが春の到来を感じさせる。たらの芽の苦味に耐え忍んできた冬から春の息吹を感じ、たけのこの柔らかい味わいの穂先に春の恵みを感じた。バジルとネギのソ―スにヴィヨン*レギュ―ムと魚の出汁に白ワインヴィネガ―をまぜている。優しい味わいのソ-スが印象的であるとともに、野菜や魚にその旨みが、染み込むような味わいにほっこりする春の到来を感じる。これもまた実に美味。

***パンデ産ビジョンのプレゼ(4.8)***
見事な火入れ。ピジョンの胸肉を時間をかけてじっくり火入れしていく。ロゼ色に焼きあがった胸肉は柔らかく肌理の細かい味わいで臭みもなくとても美味。キュィスも同様。ソ―スはジュドピジョン。つけ合わせの野菜達はたまねぎ*マッシュル―ム*トランペット*芽キャベツ*ほうれん草たちが奏でる音は、実にバロック時代の合唱のようにささやきながらその旨みをそれぞれに主張し共鳴ししかもピジョンの旨みとうまく調和しソ―スの味わいと馴染む。間違いなく今年食べた最高のピジョンのひとつ。真に感動的な味わいだった。温かいお皿も好印象。

***デザ-ト(4.6)***
アセット*デセール。軽やかで華やかなバラの香りのする滑らかなアイスに上には飴細工 下にはミントのエスプ―マ。その下には、香川産讃岐姫と福岡産あまおうのミックスをス―プ状にしてあります。甘味*酸味の強弱を計算された苺の使い方と爽やかな香味のミントのエスプ―マに華やかな香りのバラのアイスが複合かつ緻密な味わいとなって様々なハ-モニ―を奏でる。しかも重過ぎず軽やかで優しい味わい。複雑なハ-モ―二―が長い余韻となって流れていく時間は、永遠ではあるまいかと感じた。

***最後のデザ-トは、ジルのいつもながらのスペシャリテ。***

お菓子も美味でいつものごとく手ゆきはない。

グラスワインのセレクトもコスパよく料理との相性も実に良く練られたものである。まずシャンパンであったが、ランバンでピノ*ムニエ主体のシャルドネ*゜ピノノワ―ルのブレンド。ピノムニエ主体なと゛昔の時代では考えられなかったことでありますが。淡い黄金色に綺麗な泡立ちに繊細な味わい。柔らかいタッチに適度なミネラル感もあり、優しい味わい。その意味では現代的であり、アペリティフとしては悪くない。
***白ワインはサンセール2010年***
作り手は、バシュロン。ソ-ビニュョンブラン100パ―セント。柑橘類系の香りに白い花の香りに蜂蜜のニュアンス。春の日差しのようなふくよかなでありながらさっぱりレた味わい。ミネラル感も充分。アスパラやアマダイといい相性みせる。とりわけたけのことは格別のマリア―ジュだった。
***コンヒ スナールのコルトングランクリュ2005年***は、ピジョンといいマリア―ジュだった。コルトンらしい力強い味わいが、ピジョンの旨みを包みこんだ味わいでありました。

ひとつの方向性としての和食の技法とのマリア―ジュという意味では、いい方向性へ向かっていると感じた次第である。
その意味では、ジャパニ―ズフレンチの流れにある。
明らかに素材の吟味*その素材の魅力的な旨み引き出し方において、登り坂であることは、間違いない真実であろう。
変な方向性へ変わっていかないことを心から祈るばかりであります。

春のときめきと将来性の未知なる希望にトキメイタ午後。

そこには、伝統と革新の響きに満たされた極上の時間でありました。

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