行列のできるさんのマイ★ベストレストラン 2013

きっと明日いいことが。

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行列のできる (70代以上・千葉県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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2013年も大きな病気もせず、年間を通じてレビューをあげることが出来ました。ありがたいことです。

今日現在でのベストテンを決める対象となるお店の数は545軒です。12月末という本来的な年間訪問件数はおそらく600軒前後になると思われます。

ことしも多くの読者の方に励まされました。58歳に食べログ参戦して早5年。加速的に老化が進む?中でほぼ毎日のようにレビューがあげられたのも、読者の皆様のあたたかい励ましのお言葉があったからこそです。深く感謝申し上げます。

そしてことしもいっぱいのおいしいものとの出会い。多くのレストラン、料理人、販売員、フロア担当者さんたちとの出会い。食べることを通じて多くのマイレビュアーさんたちとの出会い。エキサイティングな1年でした。

今年は海外旅行にも積極的に出て行ったため、パリ日記、ミラノ日記、ソウル日記そして現在進行中の香港日記と日記の件数が飛躍的に増えた年でもありました。国内旅行では、富山・金沢、仙台、信州、新潟、石垣島、博多ということで、こちらも充実した1年でした。

毎年のことですが、545軒のお店から10軒選んで、そこでまた順位をつけると言うのははなはだ困難なことではあります。少なくても上位50軒くらいは同じ順位でもいいのかとも思います。そんな気持ちですが、今年はこういう順番をつけさせていただきました。

*第1位 新潟 はつね寿司本店
レビューにすべて書きましたので蛇足になりますが、このお店、このお店のご主人との出会いは強烈でした。まだまだ表に出ていない名店が数限りなくあるんだ、という思いにさせられたお店です。地元のレビュアーさんの中にもこのお店の良さを見逃している方が多くいるのかもしれません。冬は雪と言う難物がありますので、来春再訪を考えてます。

*第2位 東京 ラ・チャウ
もともと大好きなイタリアンのお店ですが、今年は馬渡シェフの源流を探るべく、イタリア・ピエモンテ州にあるラ・チャウまで行って食べてきました。ピエモンテで馬渡シェフのすごさを聞いて、再び田町のラ・チャウを訪問。格別な味わいに感動しました。

*第3位 山梨 仙人小屋
仙人との出会い、天然きのこの刺身のうまさ。このお店も2013年の収穫でしたね。ジビエも食べてみたい。このお店で偶然隣り合わせた方に誘われて初海釣りに挑戦。釣り上げた真鯛のうまさったら。と後日談までおまけがあって。仙人小屋の魅力を知りはじめた、だけでも3位の価値はあると思いました。

第4位 東京 宇ち多”
こういうお店が存在すること自体奇跡に思います。店に入って、お客さんが全員笑顔の店。個性的なオリジナリティの高い料理が激安の庶民価格。毎月でも行きたいお店ですが。早くから、この店を世界遺産登録して守れ、と言っているのですが賛同者、未だ現れず。

第5位 石川 サリーナ
ナポリ認定ピザ。今年もまた何軒か訪問しました。どのお店でもおいしくいただけましたし、イオーラさんとの会話も楽しいものでした。代表してこのお店にベストテン入りを。おいしさが際立っていましたね。金沢ではどうしても寿司店巡りに走ってしまい、なかなか行くことができませんでしたが、行って食べてびっくりのうまさ。庶民的な?店作りも感激しました。

第6位 東京 砂の岬
押上の人気店、スパイスカフェの伊藤店主のツイッターに貼っていた料理が旨そうで行ってきました。今でもインドに定期的に行き、インスパイアされたインドカレーは食べているだけでその旨さで笑いがこみあげてきて。

第7位 宮城 弘寿司
2年連続、おいしい、楽しい寿司をいただきました。弘寿司の予約が取れたら仙台行き、そんなお店です。店主の素朴な人柄があればこそかな。

第8位 東京 オマージュ
2年連続。やっぱり何食べてもおいしいし、見せ方が上手だし、がこの値段というランチ。フレンチなんですがフレンチっぽくないところもあり、どフレンチなところも感じ。料理、奥様、店主のトライアングルの妙。

第9位 東京 すし家一柳
寿司もいっぱい食べた年でした。ベストテンも3軒寿司店ですね。銀座には200軒の寿司店があるそうですが。このお店のすばらしさは、やはり店主の考え方かなあ。その筋の通った考え方でぐいぐい攻めてくる寿司。

第10位 茨城 季より
今年は蕎麦店に行く回数が激減しました。興味が別のとことに行っちゃったんですね。でもこの季より。この店の手挽きの蕎麦を食べるときの感動。それは今まで他店では同じ経験をしたことがありません。しっかりと引き出された蕎麦の魅力。年内もう一回行こう行こうと思いつつ。

マイ★ベストレストラン

1位

はつね寿司 本店 (新潟、白山 / 寿司)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2014/10訪問 2014/11/04

2700件目のキリ番だったはつね寿司。感激もあらたに第三章です。

(2014年10月 再訪)

新潟旅行の5日目の夜。

古町の海老の髭で呑んでました。今回の旅行もいよいよ翌朝再び高速バスで帰京します。

海老の髭の後もう一軒どこかに寄って行こうとは最初から考えてました。

さあて、どの店でフィナーレにするか。その店なら一番行きたい店に行けばいいんじゃない、って天使のささやきが。
そうだよ、一番行きたい店に行けばいいんだよ。じゃあ、一番の店って?

そりゃあ文句なし、はつね寿司ですよ。そっか、もう一回行ってもいいんだ。と思って海老の店から電話しました。席は用意できるけど少し時間が遅くなるということで、いやあいつまでも待てますよ。じゃあこの時間に来てくださいと言うことで再びはつね寿司の極上が食べれます。

この日は奥様もいてちょうどご挨拶もできました。月曜日に行って再び木曜日に戻って来ましたから、最初からネタの大きな入れ替わりはないことは百も承知で来てます。この日は、つまみなしで握りだけをおまかせでいただきました。ほとんど重複しますので個々の評は致しませんが、最後に食べた穴キュウ。よかったですよ。

南蛮海老の昆布締め

①佐渡産アラ
②赤いか
③真鯛
④本鮪赤身
⑤本鮪中トロ
⑥こはだ
⑦赤貝
⑧赤貝ひも
⑨わらさ藁焼き
⑩穴キュウ

これで心置きなく新潟を離れることが出来ます。

5泊6日の食べ旅行の総決算は、


寿司      5軒(6回)
ラーメン    4軒
居酒屋     3軒
回転寿司    1軒
健康ドリンク  1軒
イタリアン   1軒
オイスターバー 1軒
アイスクリーム 1軒

でした。宿泊のホテルメッツ新潟は部屋が広くて快適。

このあとはお土産のお店が続きます。

おつかれ~。


(2014年10月 再訪)

今回の新潟旅行で最も期待していた二軒のお店の内の一軒がここ、はつね寿司。

ちょうど昨年の10月以来1年ぶりの再訪となりました。

前回の訪問時には、あまりお店の情報を持たずに行きましたので寿司やアテの質に大変驚きました。いままで新潟で食べる寿司のイメージとは全く相いれないまさに手の込んだ江戸前寿司。

こういうお店が正しく評価されずに埋もっていて、食べログの評価も当時はあまり高くなく。新潟のレビュアーはもっとがんばるべきやで、と思ったことでした。当然★5とし、2700件目のキリ番レビューの重責を担っていただきました。

寿司の写真を見ていただければ他店とどう違うかは一目瞭然でしょう。寿司に品があります。品がある寿司は旨い。なぜなら、品を生み出す努力を握りにも注いでいるからです。そんな背景ですから、大きな期待をもって店に向かいました。

定刻開店。

この日はおかみさんが所用と言うことで既に予約が入っていた2組3人だけ。ゆっくりご主人と話もできて、素晴らしいひとときを過ごすことが出来ました。料理と寿司のおまかせでお願いしました。とにかく、このお店にあるものは全部食べたい。

①南蛮海老の昆布締め
アイスブレークのアミューズからがつんと来ましたね。何もしなくても上質で旨味の強い南蛮海老を昆布締めできましたか。もう食べるのがもったいないほど、うまみが口中に広がります。石川で食べる甘海老よりもなお旨味が強い感じ。

②あら、真鯛、しめさば、ばい貝
お造りが順番に出てきます。一番おいしいところがちょっとずつという贅沢さ。どのネタも甲乙つけがたく、普段あまり呑まない日本酒がすすみます。そうでした、ここは酒どころ新潟です。しめさばもばい貝も最高品質です。
仕込みも全然違う感じですし、ネタのカットがうまさを助長させますね。

③さんまのワタ焼き
むふふのおいしさ。これは家に戻ったら絶対に自作しますよ。こういう食べ方があるんですね。

④真鱈の白子
⑤鰤藁炙り、生七味
⑥焼き穴子
もう大好きなモノのオンパレード。白子、鰤、穴子をどう手を加えればいちばんおいしくなるのか、それを知り尽くした調理です。他店のものとは当然差が出ます。仕込みにかける手間と時間。シアワセです。キリ番にしたことを誇りに思ったくらいです。

それでは握りに移りましょうか。

①赤いか
②まこがれい
鳥取産の赤いかからスタート。ねっとり甘味がでていて、このカットも旨さの下支えになってますね。シャリも大好き。

③本鮪赤身
④本鮪中トロ
どちらも、それぞれの良さがでていて、こうやって食べ比べのように続けて食べるのがいいですね。赤身と言ってもトロに近い部分のようで、煮切りヅケの味が強すぎるなんて愚は絶対におかしません。この2貫だと赤身の方がウマイ、と感じる人の方が多いんじゃないでしょうか。

⑤こはだ
⑥閖上産赤貝
こはだは〆かたが旨さを倍加させてますね。赤貝は香りが強く、三太夫、世は満足じゃと言いたいシーンです。

⑦鯵
⑧生いくら
⑨ばふんうに
⑧⑨のスペシャル軍艦を見てください。高さが倍あります。海苔の最後の半分にするカットをしないで、2倍の幅で使ってます。そして、シャリは同じ。つまり、いくらとうにが通常の2倍以上乗っていると言うことなんです。

『どうして、このような軍艦にするのですか?』

『この方がおいしいですから。』

なんですよ。寿司職人として、いつもそう考えて仕入れ、下拵え、握りをしているんですね。こういう風に先行レビューに書いてあって予備知識で入りたい店でした。偶然知ったからよかったものの。

⑩煮穴子
つまみで焼き穴子が出てきました。握りはちゃんと考えていて、煮穴子。うま~です。

ここで一通りと言うことでした。料理から握りの最後の一貫まで緊張の糸を感じる素晴らしい出来栄え。大満足だったことは言うまでもありません。帰りたくないので、とろたくを追加でお願いしました。

次回はいつ来れるかなあ。ジブンの足で来れる元気なうちにまた来たいお店です。


(2013年10月 初稿)

新潟市に来ています。

新潟滞在の最終日。この日、昼は前の日のつながりでことぶき寿司でいただき、夜のはつね寿司がますます楽しみになりました。亀田からホテルがある本町に戻って来ましたが、まだ夕食までは時間があります。今考えるとちょっと信じられないのですが、車を置いてそのまま青島食堂西堀店に行きます。おいしい青島ラーメンに舌鼓を打ち。新潟ラーメン、うますぎるなあ。

気分も落ち着いてホテルの部屋で一休み。今回新潟の寿司ツアーは、このはつね寿司の写真を見たのがきっかけでした。おいしそうな寿司の写真が並べられています。新潟には江戸前寿司のお店が少なくて、という先入観がありましたが、こういうお店もあるんだと思って一度食べてみたい。

お店の開店時間に合わせてホテルを出発。店舗情報で開店10分前から店の前に立ちました。開店時間になってもお店が開く様子もなく。お店に電話をすると中からおかみさんが出てきて、今日は18時開店だと言われます。全然構いません。普段は17時半らしいのですが、連休明けで仕込みの量が多く、30分ずらすとのことでした。

お店のすぐ近くにコーヒーショップがあり自家焙煎のようなので30分そこにいておいしい淹れたてコーヒーを楽しみ、残りの時間はウォーキング。時間になったので再びお店に戻り入店です。

こじんまりとした店内は清潔感が溢れてます。すがすがしい気持ちになります。先客がすでにカウンターにひとりいて、始めてます。常連さんのようですね。そのあと、ずっと二人の時間が続きましたので、いろいろ話をさせていただきました。お寿司にも造詣が深くおもしろい話をたくさん聞けました。

つけ場にいる店主はまだお若く、しかしその後話をすると、しっかりとした技術と客との距離感に秀でていることがわかり、しばしおいしい寿司の時間を楽しむことができました。厳選したネタの良さ、シャリのおいしさ、が基本にありますので、居心地の良さと聞いて驚いた値段も併せると、こんな寿司店がまだ日本にあったのかとネットでも拾い切れていない名店に巡りあった喜びを感じます。

写真撮影の許可をいただき、ブログに書きたい旨を話します。隣にいた常連さんからは、出来ればそっとしておいてほしい気持ちもあります、と言われます。よ~く分かります。逆の立場ならジブンもそう言いかねませんが。

ワタシの姿勢は一貫して、いいお店をいっぱい紹介して、読者の方においしいものを食べてひとときシアワセな時間を過ごしてほしい、それだけです。ですから、ジブンも含めてほとんどの方が行く機会のない2万円だ3万円だを払って、おいしいを連発するようなお店をレビューする気持ちは全くありません。トップページのプロフィールには、過去のレビューの値段別グラフがありますが、1000円以下が一番多い事実が目で見て分かります。

さて、ビールをお願いしてから、少し切っていただくことに。お酒も飲みませんし、お寿司をメインにしたいので少しだけお願いします、と。

お通しの白子のあとは、佐渡産のあら、しめ鯖、お願いした南蛮海老を出していただきました。日本酒ががんがん呑めればなあ、と。日本海の魚は味が濃くて深いですね。こうして店主が選んで仕入れた魚をじっくりいただきますと、実に味っぽい、とつくづく思います。

お寿司を握ってもらいます。スタートは赤いかから。塩でいただき、さっぱりとしたところで鮪です。ふう。ため息が出るほどおいしい。大好きになったこはだを挟んで車海老。このサイズの車海老の蒸したのは、生よりもずっとおいしいですね。あまり立派なので写真に収めようとカメラを出しましたが、ご主人、頭を取って剥きに入ってます。

『あああ、ちょっとスミマセン。あの、蒸した車海老の写真を撮らせてください。ああ、頭はちょっとくっつけて置いていただければ。』

見たこともない車海老に食べる前から大興奮の老人です。

南蛮海老も大きくてまさに絶品。佐渡のあら。そして、その次のネタが何だったのか思い出せません。行った日から18日経ってますが、その間に何軒寿司屋に行ったことか。心当たりのネタはありますが、間違っていると困りますので空欄にしておきます。メモには佐渡、と書かれてます。

うに、しめ鰯、穴子の食べ比べ。これでストップしてもらいました。しかし、まあおいしかったです。このお店で食べた後、特に今これを書いている博多に来てからはワタクシが思うキリ番級のお店が2軒ありました。その3軒のどれもがすばらしいお店で、こんなに選ぶのに困ったキリ番は初めてでした。

レビュー3000件。気の遠くなる数字でしたが、やっと2700まで到達し、影が見える距離になったと感じてます。いつも叱咤激励してくださる読者のみなさまに改めましてお礼の気持ちを申し述べ、2700件目のキリ番レビューとさせていただきます。

  • 南蛮海老昆布締め
  • 赤貝
  • 赤いか

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2位

リストランテ ラ チャウ (田町、三田、芝浦ふ頭 / イタリアン、フレンチ、ワインバー)

2回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2017/07訪問 2017/09/05

ピエモンテの風は吹いていたかって?もちろん、吹いていましたぜ、ラ・チャウ。

マイレビュアーさんのお誕生会をラチャウで行いました。

料理、接客、雰囲気と三拍子そろった店ですので、ここなら絶対に安心です。絶対にゲストが喜んでくれます。自信があります。今回も料理はおまかせで、ワインは料理に合わせたペアリングでお願いしました。

終わってみれば何と3時間半のお誕生会。よく食べてよく呑んでよく笑って。お疲れさまでした。

そして、この後、馬渡さんが修業したピエモンテ州のラ・チャウ・デル・トルナヴェントへワタクシはるばる日本から食べにいたときに、偶然ラチャウから派遣されていたアヤさんと現地でお会いして。彼女が数年ぶり?に帰国してラチャウの第二ブランド店のマネージャーをしていると聞いて、会いに行きました。

という二部制のお誕生会でありました。

*泡でカンパイ

*チーズ、生ハムの前菜
ブラータチーズと熟成14か月のサンダニエーレプロシュートの組み合わせ。黄金率です。
一気に心はピエモンテへぶっ飛んで。

*自家製パン

*白ワイン ランゲ ピエモンテのDOCG

*仔牛のもも肉 鶏レバー アンチョビソース、玉子ソース
ちゃんと合う白ワインがサーブされていて、さすがです。

*白ワイン ランゲ ラルトロ2015

*チッポラ リピエーナ ピエモンテ郷土料理でラチャウのスペシャルテ
玉ねぎの中にサルシッチャが入っている料理。馬渡さんがお出まししてポルチーニをぶっかけます。
数年前は通いすぎてすっかり味に飽きてしまい、しばらくはパスさせてもらってました。
久しぶりでいただいたら、うまい(笑)。

チーズはウォッシュのタレッジョとゴルゴンゾーラ。聞いただけでもその濃厚な味わいが。
トップにはヘーゼルなどのナッツ類。

*パスタ サルシッチャ、茄子
ラチャウのスパゲッティ、最高!って吠えたくなります。
これが食べたくてラチャウに通っているようなもの。

*赤ワイン ドルチェット・ダルバ2013

*リゾット ポルチーニ
ラチャウのリゾット、最高!って吠えたくなります。
これが食べたくてラチャウに通っているようなもの。

*赤ワイン バルバレスコ サント・ステファノ2012

*アニョロッティ デル プリン
鳥の巣に模した藁の器の上に肉詰めのラビオリが乗ってます。馬渡さんの修業先であるピエモンテ州にある本家ラチャウのスペシャルティで、現地では藁ではなく、ヘイ(干し草)を使って、その香りが強烈でした。
肉ラビオリ、うまし。

*メイン 霧島牛のロースト 岩手めんこい黒毛牛いちぼ ナッツ 
アートな一皿。うまさに思わず顔を見合わせる瞬間。

*デザートワイン

*お誕生プレート
おめでとうございます。
しゅわしゅわでカンパイ

*ドルチェ盛り合わせ

っつう誕生会でした。



(2016年8月 再訪)

マイレビュアーさんのハッピーバースデー。ピエモンテ料理と江戸前寿司のどちらがいいですかと訊いたところ、おまかせしますとの答え。それでは、両方しましょうと言うことで予約の関係から

最初に ラチャウで 1日空けて
2回目は 鮨あらい

と言うことになりました。

ラチャウは前回もマイレビュアーさんの誕生会でそれからまだ日数もそれほど経ってなく、ほぼ同じ内容でした。が、マイレビュアーさんは大満足でしたのでやはりラチャウにしてよかったなと。この日いただいたものを記します。

*アミューズ ホワイトレディ―種とうもろこしのパンナコッタ

*パプリカのローストのポテサラ包み アンチョビ&ケッパー、仔牛のもも肉のツナソース包み、タラとジャガイモのサラダ

*キジ肉のアンチョビソース&卵ソース

*第一のパスタ 桃とマリネ野菜のカッペリーニ

*第二のパスタ フレッシュポルチーニのタリオリーニ

*第三のパスタ ヤリイカ、枝豆、からすみのリゾット

*メイン 蝦夷鹿のサマートリュフ ジャガイモのピューレ添え

店内の照明が少し暗くなって ハッピーバースデーツーユー♪

*バースデープレート

*デザート オールスター 内容は、マンゴーアイス、レモンソルベ、パンナコッタ、エスプレッソプリン、ガトーショコラ。

と、今回の方がメニューの内容が詳細なのは、一部マイレビュアーさんのをコピペしてるので。さすが、ちゃんとメモしてますね。

と言うことで、またまたラチャウでワタシもハッピーな時間でした。


(2016年7月 再訪)

マイレビュアーさんのハッピーバースデーをラチャウで行いました。

おいしい料理とおいしいワイン。何よりもマイレビュアーさんが超弩気に入ってくれてよかったです。

馬渡シェフの料理、久しぶりになってしまいましたが、どれも本当においしい。クセになります。後をひきます。ということで、マイレビュアーさんの中で誕生月の人がいなかったか懸命に思い出して。あっ、いた~。早速誕生祝に予約をいれました(笑)。この日いただいたものを列記します。ワインはペアリングでお願いしました。

*アミューズ ホワイトレディ―種とうもろこしのパンナコッタ

*前菜 牛肉のパテの上に玉ねぎ乗せ、仔牛肉サラダ、イタリアンポテサラ

*きじ肉トリュフ乗せ

*第一のパスタ するめ味の冷製魚介カッペリーニ

*第二のパスタ サルシッチャラグーソースの温製パスタ

*第三のパスタ  枝豆のリゾット

*メイン サマーエゾジカ

店内の照明が少し暗くなって ハッピーバースデーツーユー♪

*バースデープレート

*デザート オールスター

馬渡シェフ、スタッフの皆さま、ありがとうございました。

あやさんが帰国すると聞いて、また楽しみがひとつ増えます。

(2015年9月 再訪)

マイレビュアーさんのハッピーバースデイにラチャウにお呼びしました。

この日のランチの予約が満席だったために、馬渡さんに相談して、13時に店に入ってカウンター席に空きができるまで呑む計画でしたが到着した時には既にテーブル席を空けて待っていてくれました。

料理はお任せで、ワインは料理とのペアリングといつもと同様です。泡をのんでいるとソムリエさんが来て、この日の料理の内容を最初から最後までメモを見ながらスラスラと説明してくれます。

『ブログに載せないから、そのメモ見せてくださいよ。』

もう顔なじみのソムリエさんにおねだり。そのメモの秘密分かりました(笑)。シェフがイタリア語で書いてあるんですね。

突き出しは、ジャガイモスープと夏トリュフ。こういうものも得意な馬渡シェフ。久しぶりにイタリアに行って帰って来たばかりです。修業時代の常連さんやら村の歓迎やらで、ピエモンテ ラチャウで4日間食事したそうですが。

『他の店にも行きたかったあ(笑)。』

もうあちらでは、モテモテなんで仕方ないですね。

*アミューズ トリュフ、ジャガイモ

*前菜 生ハム、パテ、コンフィ、リエットなど競演

*フォアグラ、リンゴ、ルッコラ

*旬の野菜のバーニャカウダ

*最初のパスタ、ラムのラグーのタリオリーニ。完璧。

*2番目のパスタ。数種類のチーズのニョッキ。今まで経験したことがない味と食感。ヘーゼルナッツもいいね。お代わりしたかった。

*魚のメインは、真鯛。アメリケーヌソースをじゃぶじゃぶつけて。いつものようにシェフ登場でトリュフかけ。いいんですかって思うほどすってすってすって。いつもありがとうございます。

*肉のメインは、霧島豚トリュフ乗せと牛のほほ肉パイ包み。

*そして、突然ホールの照明が落とされてハッピーバースデーツーユー。

マイレビュアーさんの誕生日祝い。ワイン呑みが止まらないので時間がかかり、飴細工が湿気を吸ってダウン(笑)。

*最後のデザートはこの日のオールスター、ちょっとずつ。

*カプチーノもちゃんとハッピーバースデイ。

長時間にわたり、おいしい料理とワイン。お店のホスピタルティとシェフの心遣いに感謝の言葉しかありませんでした。


(2014年11月 再訪)

マイレビュアーさんにハッピーバースデーをしていただきました。

何歳になってもうれしいものです。

この日のお料理もすばらしいものの連続で、楽しい、おいしい時間は3時間半も続きました。マイレビュアーさん、馬渡シェフ、ソムリエさん、そして同じ時間に居合わせたお客様、たいへんありがとうございました。

マイレビュアーさんお二人の内、一人は呑める女性の典型酒豪、もうひとかたは呑めない女性の典型下戸。申し訳ありませんでしたが、ノンアルを呑んでいる彼女を横目に二人で料理に合わせてもらったワインを最初から最後まで楽しんで。

最初の皿は、生ハム、サラミ、コッパ盛り合わせ。毎回、どんどんおいしくなるような感じです。

前菜のあでやかさは毎回感心します。へしこいわしのマリネ、仔牛モモ肉ツナソース、鱈のミルク煮、鶏レバー・フォアグラテリーヌ、トマトのマリネなど。トリュフがけのチポラリピーナをいただいたあとは、パスタ2種とリゾットで。シアワセ時間がずっと続きます。

ポルチーニ茸とうさぎのラグーのタリオニーニ。スルメイカ、いいだこ、海老のタリアテッレ。グラナパダーノ、タレッジョ、ゴルゴンゾーラのリゾット。いつもながら、ラチャウのパスタ、リゾットはめちゃうまですね。そしてメインは鹿肉でした。それから、バースデーの式典が始まります(笑)。

飴を糸状に伸ばして作ったタワー。グラスの中にはベリーのソルベが入っていて、シャンパンをつぎます。きれいな色に変わったところでかんぱ~い、おめでとう。そして、デザート盛り合わせにローソクを立ててふ~。ぱちぱちぱち。お客さんからも温かい声をかけていただきました。

(2014年7月 再訪)

この日はマイレビュアーさんお二人にピエモンテ料理を楽しんでいただこうと。

三人で食事するのは、浅草のオマージュ、本郷の蕎麦切森のに続いて3回目です。ワタクシにとってフレンチのオマージュとイタリアンのラ・チャウは絶対に喜んでいただける鉄板ですので。

田町駅で落ち合ってぶらぶら歩き。情報交換をしながら店へ向かいます。この日も暑かったですね。二人の女性同様ワタクシまでが傘をさしてましたから。

お店に入って。今日はグループ客が二組入るセッティングになってました。メニューは、絶対におすすめのシェフのおまかせ(3980円)。

この日のコースは、今までいただいてきたコースでは質量ともに最高でしたね。あくまでおまかせですから、その日によっていろいろありますが、とにかくすごいと思いました。お二人も十分満足されたようで何よりよかった。

ソムリエ君から好き嫌いやリクエストを訊かれますが、ここで一言言ったためにシェフの闘争心に火をつけたかな(笑)。前回いただいた中で、ちょっとこれはと言うのがありました、って正直に伝えました。もちろんお店のためにですが。

そしてこの日は食事の前にシェフがテーブルまで来てくださいました。ソムリエ君から話を聞いたかもしれませんね。

コースには一杯つきますので、泡、泡、ブラッドオレンジジュースでかんぱ~い。OJが入ると画がきれいです。今写真を見ると、まさに両手に花の座るポジションだったんですね。

二人のうちのひとりはお酒を召し上がらず、もうひとかたはめっぽうお酒好き(笑)です。白のボトルを選んでもらいました。

話をしているとソムリエ君がキッチンから食材を持ってきました。

『生のポルチーニです。』

うああ、でっかい。前回来たときにマイレビュアーさんと生ポルチーニのサラダが食べたいね、って話をしてました。彼女がいたら、サラダにしてくださいって絶対に言ってたでしょう。

さて、最初の前菜。うあ~、すっげえ。華やかなデザインと選りすぐりの食材。サラミ、プロシュート、天使の海老、真鯛、蛸、帆立。これだけでもう大満足です。まあ3万円のコース相当ですね。お二人にはいい日に来てもらいました。

そして、ジャージー牛のカルパッチョ。あれれ、また馬渡シェフがキッチンから出てきましたと。ああ、手にはトリュフ。カルパッチョのサマートリュフ掛けですね。いっぱいかけてもらいました。この肉の旨さは破格ですね。

そして、最初のパスタです。桃の冷製カッペリーニ。ジブン、冷製パスタっておいしいと思ったことがなかったのですが、初めて旨い!と思ったのがラ・チャウでした。まだ移転する前のことですね。その時、馬渡シェフの感性に惚れて、2013年には馬渡さんの修業先であるピエモンテのラ・チャウまで行ったくらいです。

この桃のカッペリーニも最高でした。桃がおいしいのは当然ですが、フレッシュトマトと完璧に融合してますね。この組み合わせでこんな味が創出できるなんて。ジブンにはとうてい不可能な味の創出と思いました。

まだ続きます。

ボトルが空いたのでソムリエ君おすすめの赤をいただきます。これもおいしかった。

2番目のパスタは、アニョロッティ・デル・プリン。これも、今までで一番旨かったと思いました。藁を使いながらピエモンテのヘイ(干し草)の香しさを彷彿させると言うアイデア。風味にパンチがあってアニョロッティ自体もうまかったです。

そろそろメインかなと思っていると、またまたソムリエ君がキッチンから何か持って来ました。おおお。

オーブン焼きにした羊肉ですね。まあ見事です。ああ、ポルチーニもここで使うんですね。すごいことになってきました。これをもう一度キッチンにもどして切り分け、ウツクシイお姿で登場です。もう見ただけでテンション上がりますね。肉は大きい塊を焼くと本当にうまい。ポルチーニ、ごっつあんです。シェブールまで添えてあります。この皿の満足度も極限近く。

おなかいっぱいになりました。ベツバラデザートへ突入。デザートもオールスターラインナップ。至れり尽くせりでした。また誰か誘って来よう、とすぐに思いました。しあわせ~なひととき。楽しい会話がはずみ、至福の時間。シェフ、いつもありがとうございます。

そしてオナカイッパイになったワタシタチ。次の店へレッツGO。

後日談。

ご一緒したマイレビュアーさんから連絡が入り、

ありがとうございました。
ラグーサマーポルチーニのタリオリーニが抜けてます。

って。ジブンも食べたのかなあ(笑)。写真がありません。
彼女がUPしたら写真を拝借して追加します。


(2014年6月 再訪)

ラチャウも久しぶりになっちゃいました。

そう言えば、ピエモンテ州で会ったAyaさんはそろそろ帰国してるんじゃないかな。店の予約を入れてからAyaさんにメール。返信が来て、まだイタリアで頑張っていることが分かりました。ピエモンテでお待ちしてます、なんて言われると本気にしますよ。

馬渡さんに会うのが1年ぶりになっちゃったとは。マイレビュアーさんを誘っていそいそと出かけます。ピエモンテで撮った写真も焼き増しをして携行することに。話が早いですからね。

実に気分のいいシェフ、馬渡さんは何も変わってなく歓迎されます。食事の前にいろいろ話をしました。Ayaさんが一時帰国したときの彼女のイタリア語の上達にはびっくりしたそうです。そして、彼女の将来のこともきっちりと考えていることを話していただきました。そういう信頼関係でおいしい時間をお客さんに提供し続けていくんですね。

馬渡さんの指導を受けたシェフが会津若松でお店をやっていることを教えていただき、機会があれば是非ご挨拶に伺いたいと思ってます。

さて、料理はシェフおまかせコース(3980円)。ワンドリンク付きですが、二人ともスプマンテで。他にリクエストがありますかと訊かれ、

チーズを詰めたアニョロッティデルプリン 藁の香りと共に

を入れてください、と。最後のラテアートは、彼女にはハートを、ジブンには馬渡シェフのイラストをお願いしました。

カンパイの後、前菜1はハム、ソーセージの盛り合わせ。いつ来てもビューティフルな前菜仕立てで。続いて前菜2。更に華やかさを増して。少しずつですが、めっちゃ楽しめます。岩手産の帆立が一番かな。

3番目の皿が、ピエモンテの郷土料理チポラリピーナ。この中に入っている玉葱とパンチェッタの組合せがばつぐんですね。

次の皿は、岩手産ジャージー牛の炙り。これがメインでもおかしくないな、なんて言いながら。どうしてこんなおいしい楽しい料理が4000円で食べられるのに、足が遠ざかっていたのか。とても悔やまれます。

1番目のパスタ。蛸とオクラのペペロンチーニ。蛸からこんなコクのあるスープがとれるんですか?ラチャウのパスタはどれもおいしい。パスタランチ1300円。こいつでパスタをごっつりと食べる手はありますね。頻繁に来て。

そして2番目のパスタが、アニョロッティデルプリン。ピエモンテの郷土料理で、やはり現地仕様のヘイの巣の匂いが強烈なやつをもう一度食べたい。パスタは繊細でこっちのほうが好きかな。

リゾットは、うああ、ピエモンテ産生ポルチーニ入り。香りが強烈で、ピエモンテで食べたポルチーニ茸のサラダを思い出します。前回食べたチーズリゾットもおいしいですが、これも最高です。

メインは豚肉。脂身がおいしいいい肉です。味付けにヴィネガーが使われていて、こういう味は初めてでした。

最後のデザートもがっつり。

このクオリティと値段。また会いに行かなくっちゃ。


(2013年6月 再訪)

イタリア・ピエモンテ州にあるラチャウ・トルナヴェント。ミラノ旅行の最大の楽しみだったトルナヴェントでのディナー。実際行ってみると、それは想像以上にすばらしいものでした。ミラノに出発する前にラチャウで食事をして馬渡シェフに今度行きます、と告げていました。

この日は、行ってきたことの報告の日。実際同行した方と一緒に予約をしての訪問です。席に着いて、すぐに馬渡さんがテーブルに来てくださいました。スタッフが言ってくれたのでしょう。

じゃ~ん。トルナヴェントで馬渡さんが修業といいますか、一緒にお店を立ち上げた盟友、今でも一線で頑張っているオーナーシェフのマウリさん(Maurilio Garolaさん)。マウリさんとスタッフ全員で厨房での記念撮影が、翌朝のハプニングでした。ラチャウ田町からトルナヴェントで現在修業しているアヤさんからのサプライズプレゼントです。その写真を馬渡さんに渡しました。アヤさんの気持ちも入っている全員での記念写真。

受け取った馬渡さん、一瞬沈黙があってしばし写真に見入ってました。

『いやあ、懐かしいです。なんだか、うるうるしちゃいます。』

当時、マウリさんと苦労しながら店を立ち上げていったのでしょう。その時の苦労を思い出したのか。誰も分からないご本人の苦労。マウリさんも、何かとZIOCHI、ZIOCHIとワタシタチに話しかけてきたのです。思いは繋がっています。馬渡さんの本名は、TSUYOSHIです。しばし、馬渡さんを囲んで話をしました。その訪問時のことを記した食べログの日記をコピーして持参しようと思いながら、前の日のオフ会で飲みすぎ、忘れました。次回、お渡しします。

さて、この日のお料理。いつものCコースですが、スタッフから何か注文はありますか、と訊かれ、そりゃあもう食べたいのは、

チーズを詰めたアニョロッティデルプリン 藁の香りと共に

この料理のオリジンをトルナヴェントで食べて来ましたから、比べて食べたくなるのは人情でしょう。ランチですから、出来るかどうかはシェフに訊いてくださいと言います。前段のシェフとの話の中で、トルナヴェントで食べた

Plin di Seirass raviori stuffed with ricotta cheese surrounded by a nest of hay of May
5月の干し草の巣で囲まれたリコッタチーズ入りのラヴィオリ

このお料理の素晴らしさ、感激したことは伝えてあります。

さて、スプマンテで食事のスタートです。

先ずは、前菜。いつもながらきれいですね。生ハム、ジェリー寄せがおいしいです。そして、この日は短角牛のモモ肉でした。添えてあるチーズは、グラナ・パダーノという名前だそうでピエモンテ産。塩気が効果的でした。

続いては前回もいただいてとってもおいしかったロースト玉ねぎの詰め物チーズ掛けです。チポラリピーナと言うんだそうです。

次に出てきたのが最初のパスタ。

ピエモンテ州クーネオ産ポルチーニ茸とウサギのタリオリーニ 

このタリオリーニがめちゃめちゃ旨いです。パスタの旨さは随一ですね。大好きです。ポルチーニも生きてましたし、これウサギなんですね。居ながらにしてピエモンテの風が味わえる。

そして、じゃ~ん、藁に囲まれたアニョロッティデルプリンです。

藁と干し草。これはもう干し草の勝ちです。しょうがありません。あっちは正真正銘の田舎ですから。ラヴィオリはラチャウ田町の勝ちです。断然うまいです。風味、柔らかさ、食感、味とどれをとっても田町馬渡シェフの勝ち。よかったです、食べることが出来て。

そして、メインはキジの肉でした。これまた絶品です。フォアグラと一緒に食べると天国に行けます。量がいですねえ。ピエモンテだったらこの3倍でてくるでしょう。そして、デザートのダブルヘッダー。何もかも大満足なランチでありました。

馬渡シェフを描いたラテアート。同行者はさすがに飲めませんでしたね。サンキュウでした。

ピエモンテ日記をコピーして、また訪問しましょ。


(2013年4月 再訪)

ラチャウが移転して初めての訪問。同じ田町駅からすぐの場所に移転したんですね。以前は駅前からちょっと歩いて右に行ったのが今度は左に。東京で何軒かイタリアンの人気店に行きましたが、もっとも好きな味のラチャウ。予約した時から楽しみでした。

田町駅で首尾よく落ち合ってお店に向かいます。川を越えて左折、また川を越えて右折。すぐに見つけました、ブルーのシェードにラチャウの文字も鮮やかなお店の入口。ここから地下に降りて行き重厚な扉を開けると天国が待ってます。

今までのお店と雰囲気がガラリ変わりましたね。そっか、グループ客が一緒でなくなり、大勢様は別室になったのですね。マダムさんのはしゃいだ笑い声が聞けなくなり、カップルには朗報でしょう。さて、今日のお料理はどんなのが用意されているでしょう。

前回めちゃめちゃおいしかったランチのおまかせコース。でもオナカイッパイだったので、軽いパスタコースというのもあります。しかし、あの盛り沢山なCコースが4000円しませんから。食べられるかなあという同行の方の心配はご無用。絶対にここではCコースでシェフの料理を堪能しましょうよ。食べられない分は助けますから、と後押しして馬渡ワールドに突入します。絶対に後悔させませんから。

元気のいいスタッフ。元気はいいのですが、お料理の説明になると途端にトーンを落として秘密めいた話し方をします。ので、だめだめ。今日は全部聞こえるまで何回でも質問します。さいわいマダムさんの嬌声も聞こえませんので。前回はすごかったねえ。

Cコースは飲み物付き。ソフトドリンクとジブンはスパークリングで乾杯です。楽しみだなあ。

前菜。ここからが素晴らしいコースの全開ですね。同じような価格設定のお店に行っても、ここまでのクオリティとクウォンティティの前菜ってそうはないですよ。一番目立つ大判のソーセージがラチャウでは一番好きなモルタデッラ。これピスタチオが入っているソーセージでめちゃめちゃ旨いっす。ね、ちゃんと説明聞いているでしょ。他省略ですが、パテも気合入ってますね。バルサミコで味付けした玉ねぎが乗ってました。

いやあ、今日は馬渡シェフの登場が早いです。どうもどうも。今日もおいしくいただいてます。スマイルがステキなこの方がめっちゃおいしい料理を作るんです。

『馬渡さん。へへ。今度、ラチャウTornaventoに行くんですよ。予約が取れたんです。』

La Ciau Tornaventoはピエモンテ州にある一つ星レストランで馬渡さんの修業先。La Ciauのレストラン名もここから来ています。多分、4冬か5冬過ごした想い出の土地。絶対にうらやましがると思って、へへ、言ってしまいました。少しその話をして。今度帰って来たらまた報告にきますよ。

次のお料理がまた訊かないと分からない一品です。なんですか、これ?これ、中にローストした玉ねぎとかサルシッチャとかが入っていて、グラナ・バターノチーズとかゴルゴンゾーラとかかけられているんだそうです。まあこれがうまいのなんの。この位の量ならいいのですが、本家ではどうなんでしょう。心配がよぎります。

パスタはタリオリーニ。駿河湾の桜海老とドライトマトが入ってます。またこれも旨さにしびれてしまいます。パスタランチのメニューを見てもこれは入っておりませんので、やっぱりここではCコースだね、と顔を見合わせほくそ笑んでいました。

そして、リゾット。赤ワインで煮たリゾットで牛肉のラグーソースがかけられてます。スタッフはこのへんから分量を聞いてくれますので、食べたいだけの量をリクエスト。ジブンはノーマルに、同行の方は少な目で。まだメインを食べていないのに、めっちゃおなか一杯ですが、ノーマルにしてよかった。パスタもおいしいですが、リゾットも最高やね。

そして、メイン。量のリクエストは二人とも、リゾットと同じで。鹿肉肩ロースの赤ワインマスタード粒ソース、バルサミコソース。イタリア直輸入ホワイトアスパラ。同行の方が半分にした量がそのままこっちに来たようで。肉は当然として、アスパラがめっちゃうまいね。東京の有名スーパーならイタリア産売っているんかな。フランスに行ったときアスパラが出始めだったので、季節が巡って来たことを実感します。

デザートは完璧ですね。もう食べられない、とおっしゃっていた目の前に座っている方はぺろりと完食。デザートの量を訊かれたときにノーマルにして正解でしたね。カプチーノはラテアートのハート。このハート、ピエモンテで再会できるでしょうか。いやあ旨かった。La Ciau Tornaventoでのディナー楽しみです。


(2012年8月 初稿)

東京田町に来ています。

キリ番レビューにリキムほど力を入れているワタクシ。100軒ごと、と言いますとだいたい2ヶ月ピッチになりますので、もっとお楽しみを増やそうぜ、って毎月イベントをしたいと。なら、50件区切りでやればいいじゃん、ということで、本稿が1950件目。

前から襲撃したかったこのイタリアン。引き金は、東京でイタリアン、フレンチをはじめ旨いところばっか行っている仲良し6人がこのお店をターゲットにしたことです。行って食べておいいしい、という事実よりももっと注目したのは、このお店に行こう、と決めたこと。

イナカから東京の動向を見ていると、レビュー数がめっちゃ多い店がたくさんあって、どうして多いのかがいつも気になります。たいていは、(当然ですが)行き易い!このお店も200件以上のレビューがありますが、斜めヨミで50件くらいスキャンすると、お店の魅力は、

①うまい
②CPのよさ、接客のよさ
③シェフひむせるふ

そうなんだ。まあ、そのうちに、と思っていたら、あららら、有名なレビュアーさんが6人で仲良く行っているじゃあありませんか。その方たちが行くお店、必ずしもワタクシ、全部が全部行きたいと思いませんが。むしろ値段や場所を考えると興味のないお店のほうが多いです。このお店に集合とは、ナニカアル。ニオッテ来ました。じゃあおいらにも行かせろ、って予約の電話を入れて、その日まで待っておりました。はい、特別レビューと銘打っておりますので、食べるまでが長いイントロです。まだまだ、食べさせませんよ。

で、やっぱり予約の時には、人数は2人で、と言いますな。そんで、今回もMさんにお相手をしていただきました。ありがとうございました。

ちょっと雨交じりのこの日。何とか首尾よく二人でお店にやって来ました。お店は準備中ですね。テラス席のシェードの下であまやどり、兼開店待ちをしております。するとですなあ、マダム6人がぺちゃくちゃやりながらお店のほうにやってきて、ドアの前に来ましたよ。

まだ開店時間前だべ。おいらのほうが先に来ちょるけい、割り込みはいかんよ、と熱波光線を送っていたところ、あれま、ドアを開けて入っていっちゃいました。まあ、さすがマダムパワーですね。まだ時間前でしたが、じゃあこっちも入ろうか、ってゆっくりとライスシャワーなしのリーディングロードを進みます。

いい感じの店内です。そうですね、イタリアやフランスの田舎にあるレストランのような居心地のいい空気感があります。イタリアの田舎ってシエナやピサくらいしか行ったことありませんが、プロバンスではこのお店と良く似た食堂は何軒か行ったことがあります。お店の魅力④には、“雰囲気”をアッドしたい。

接客の男子もイケメンを揃えておりますので、マダムがはしゃいでいる気持ちが分かります。奥の方の二人用のテーブルに案内されます。壁側の席にMさんに座ってもらいましたが、ジブンが座ったほうからはジブンが影になって写真がNGになってしまいます。で、場所交換。写真が一番大事な食べログレビューであります。

メニューはもう頭に入ってます。パスタランチのほか、A,B,Cコースがあって狙いはやっぱり馬渡シェフおまかせコースのCでしょう。3780円ですが、みなさんが口を揃えてCPバツグンなんて言っているコースです。このCコースだけは、ワンドリンクがサービスとなりますので、ラ・チャウでの記念すべき一口目はただドリンクになるわけですね。二人ともCコースでお願いしました。さっそく、ビール、いただきました。

うっめ~し、ってギンヒエのグラスビール。店内を見渡すと9分の入り。先ほどのマダム連合はテンション高くいいですねえ。

料理の前にビールがなくなりました。ちゃんと訊きに来てくれます。泡のあとですが、泡が飲みたい、と申し上げて、泡の種類は問わず。セレクションの中から選んでいただいたものでスタートです。

1皿目から大好きなものが出て来ましたよ。サンダニエーレ・プロシュートと真鯛のカルパッチョ。トマトとチーズが添えられていて、濃厚プロシュートを引き立たせています。泡に手を伸ばしながらいただくサンダニエーレ。いつの日か、この生ハムを10枚くらいいちどきにがっついてみたい。少ないからおいしいのではなく、おいしからおいしい、の証明がしたい。

自家製のパンもきっちりうまい。さて、次に登場は豚ヒレ肉のコンフィのサマートリュフ添えと高松から参戦のヒシコイワシ。ちょっと前にラーメンを食べたときにコンフィのチャーシューを食べてことがありますが、低温調理って味が新鮮ですね。噛み応えとじゅわ~っと出てくる旨みジュースがとっても新鮮。こんな簡単な調理法が普及しないのが不思議ちゃんです。

白ワインのチョー詳しい説明をしてくれます。へ~え、と思いながらもお店から出るとすべて記憶喪失するという特技を持ち合わせていて、ここで披露できないのが残念であります。このお店の唯一の短所は料理間のインターバル時間が永い、とここは評判がいまいちでしたが、ここまではそんなことは全く感じませんでした。お店から出るまで、ストレスフリーでしたよ。

次の皿がまたまた楽しませてくれましたよ。コーンスープのサマートリュフ添え。コーンだけの甘味がすばらしいスープなんですが、これなんかは絶対に自作したいですね。トリュフも大活躍。コーンスープの中にいろいろな分析不能なものが入っていてこれが味を引き締めているんです。うまいなあ。あと3倍くらいほしいよ。

お次は、Mさんがいつも一番大好きだと言っている冷製カッペリーニでした。これ、二人で顔を見合わせたくらい、まじ旨なカッペリーニで、ワタクシも過去こんなに旨いものを食べたことはありません。ワレワレが来ると知っていて出してきたような。食べるのがもったいないほど旨い。オクラやトマトも丁度良い味、丁度良い量で参戦してますよ。この辺が調理する人の感性なんでしょう。まあこの細さでこの食感は感動ものでした。

なんて噂をしていたら、なんてこったい。馬渡シェフがご挨拶に来るではありませんか。へ~え、こんな方だったんですか。親しみ易くとても腰の低い方です。街ですれ違っても絶対に分からないでしょうね。人のよさそ~な笑顔でお客さんに挨拶されてますが、厨房ではさぞかし厳しいシェフなんでしょうね。今日のお料理は、ピエモンテの風がびゅんびゅん吹いてますよ、って感想を述べました。これから、ですって、もっとすごくなるのは。

それじゃあ、赤ワインもお願いして。このワインも数奇な運命を背負って生まれたワインですが、それがナンなのか、訊かないでください。忘れてます。

お料理の方は続きまして、タリオリーニです。ピエモンテで人気のパスタだそうですよ。手打平打ち麺です。ソースがうさぎ肉のラグーソース。薄めの味付けで、パスタの小麦の風味を楽しめるように設計されているかのよう。こういう料理なんですね、ピエモンテ。絶対に行きたくなっちゃいました。豊かな食材でシンプルな料理、という印象を受けました。プロバンスの12ヶ月というピーター・メイルのイタリア版で、ピエモンテの12ヶ月 by 行列、 というのはどうなんだろう。各出版社からのお申し出を受付中です。ここまででは、二人ともカッペリーニが今日一です。

お次は、リゾットです。これもピエモンテで典型的な、と言われるリゾットだそうですが、使われているチーズがゴルゴンゾーラとピエモンテのチーズ。このリゾット、初めて食べる濃厚な味のリゾットにまたまた二人で顔を見合わせちゃいます。旨すぎる。お米が微妙に食感が残っていて、米とチーズがこれほど合うとは初めての実感です。このリゾットで、ジブンの今日一はリゾットに栄誉が。Mさんは、依然カッペリーニのままです。

まあ、なんというお店でしょう。ここまでで、まだメイン料理が出ていないんですよ。スタッフの接客のよさやシェフがやりくりをして2度目のご挨拶にいらしたり。なんて気持ちよく食事が出来るお店なんでしょうね。スタッフから次の料理がアナウンスされました。

シャラン鴨とフォアグラのフィナンツアーラソース

なんですか、それって。内臓を煮込んだソースで、とさか、が入ってましたよ。こんなに柔らかくてゼラチン質なんですね。見た目は、まんまの鶏のとさか。どうする?食べたらうめ~よ。内臓やソースもおいしゅうございましたが、鴨やフォアグラがやっぱり主役の味してますね。最後までテンションを下げない料理の連続でございました。料理にうるさい食いしん坊ばんざいさんたちをストーカーして、ずばりいかったです。思惑通りと申しますか。

しめの5点盛りデザート。飲物。

これがラ・チャウでいただいたすべてです。3780円です。とうてい信じられません。感謝の気持ちをこめて精算しておりましたら、馬渡シェフと本日2度目のご対面。どう見ても隣に住んでいるおっちゃんにしか見えない馬渡シェフが繰り出すイタリアンマジック。

ピエモンテの風、びゅんびゅん吹いてました。


  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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3位

仙人小屋 (甲斐大泉、甲斐小泉 / 郷土料理、オーガニック、肉料理)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥4,000~¥4,999

2013/07訪問 2013/07/28

2550件目のキリ番?特別レビューは、八ヶ岳の仙人小屋。14種類の天然きのこの刺身は圧巻でした。

八ヶ岳甲斐大泉に来ています。

このお店、キリ番クラスでした。2600件目、まで待てませんので、特別待遇です(笑)。さて、

親戚の方が八ヶ岳にもっている山小屋を売却したいというので、その打ち合わせとネゴのため久しぶりにやってきました。親戚の中で“最も交渉上手”(笑)とのことでジブンに白羽の矢が立ち。その山小屋も、よく使わせてもらって想い出深い山荘です。ですから、山梨、長野のレビューも結構あるでしょ。

そうそう、最近食べログの内容が変わって訪れたエリア、とか新設されたでしょ。思ったよりもレビューしていない県が少なかったのですが、あともうちょっとで全県制覇じゃないですか。これ、絶対に全部塗りつぶしたいですよね。すべて行った県ですが、食べログ前史。

鳥取も行ったことあります。鳥取で生まれましたから(笑)。

鳥取、岡山、大分、滋賀、岐阜、山口、高知の7県。

高知はもう10回くらい行ってますがね。滋賀も前史では出張によく行きましたが、確かに食事してないかな(笑)。7県はバラバラですねえ。やりにくい(笑)。

ま、そんなことであの山小屋がなくなると八ヶ岳への足掛かりがなくなりますので、今までずっと行きたくても行けなかった行列店を攻めることにしたんです。自然な流れでしょ。

で、まず行ったのが仙人小屋。八ヶ岳山麓ではとびぬけた食べログ★4.24(本日現在)。TOP500のお店です。週末は行列のお店で、五月連休とか夏休みに行っていたワタクシ。とても取材?できるようなお店ではありません。今回は不動産屋さんが開いている平日を使ってのお仕事?チャンス、でしょ!

地元の不動産屋さんで打ち合わせを無事に終了。そこの社長さんに、どんなお店であるか事情聴取?します。なるほど、行くしかないなあ。その社長さんは行ったことがないそうで。

打ち合わせが終わり、まだ時間が早いので山小屋で読書。もうこれが出来ないのね。そろそろと思ってお店に向かいます。15分くらいで到着。そう、目と鼻の先なんです。来ない方がおかしい(笑)。

それでも車が1台とまってました。とりあえずお店の中に入って、開店時間を確認してからまた車の中で待機。定刻に店の中から、仙人ではないお弟子さん?が出てきて、営業中の看板を出し。車から出て店に向かいます。先客の方も車から出てきましたので、店の前で待ってました。先客が先客ですから。

『どうぞ。』

と先に入るのを促したのは、ワタクシよりも少し年上に見える紳士。お一人です。東京のナンバーですので、ここまでひとりで運転してきたのでしょう。店に入る前に二人で立ち止まり、お店のこと、知っている情報の交換。老人同士の立ち話ですね。じゃあ、一緒に食事しましょうか。

店内は思ったよりも全然広くて。千葉でちょっと先行レビューの写真を見て想像していたのは、仙人の前にカウンター5席、位の小さな“小屋”だと思っておりましたが、まったく頓珍漢な想像でした。カウンター席もありましたがね。

『入口のメニューから選んでください。』

お弟子さんが、店の奥に居て、こっちに指示してます。手が離せないようですね。

『仙人小屋ならではのものを食べたいんですが、何がおすすめですか~。』

しょうがないので、少し大きな声で問い合わせ。

奥から仙人様登場。ははん、この方ですか。

『天然きのこの刺身なんか、どうですか?』

やっぱりね。いちおうメニューの短冊を見て、これかな、と思っていました。

『それか、このヤマメの新子の天ぷら。まず、ここでしか食べられないと思うし、絶対においしいから。』

結局、先客の紳士も同じものをオーダーして、カウンター席に並んで座ります。話の続きです。

天然キノコのお刺身定食
ヤマメ新子天ぷら

後客もぽつぽつ入って来ますね。平日ですから静かな店内ですが、週末はたいへんみたいですね。メディアが取り上げた翌週は、2時間以上待ち?まだ仙人にお会いしただけで食べていませんから、どんな料理なのかワクワクです。仙人に会うための2時間ではないです、会った限りでは(笑)。

隣に座ってご一緒させてもらった紳士といろいろ話をして。へえ、海釣りがご趣味とか。今度一緒に船に乗りましょうよ。ぜひぜひ。男同士ですので、話は簡単です(笑)。

でた~、天然キノコのお刺身定食。

これ、食べられるの?と思うくらい見たことがないキノコばっかし。

『あのお、スミマセン。キノコの名前教えていただきたいのですが。』

『紙に書いたのあげるから。』

『はい、それはもういただきましたが、どのキノコがユキレイタケでどのキノコがアメリカウラベニイロガワリなのか、教えてください。』

名前を見ると、食べて死んじゃいそうですが、ダイジョウブ。いま、レビュー書いていて生きてます。

『じゃあ、ちょっと待っててよ。食べないで。これ終わったら教えてあげるから。』

仙人様、すっごく人間味のある方です。ジブンよりももう少しお若いかな、と思いましたが、あれま2歳上だそうで。さすが、山で鍛えてます。今日も4時に山に入ってキノコ狩り、そして、釣り。朝6時までに全部揃えないと店が開けないんで、とめっちゃ朝方の生活を送ってます。

キノコは、色も形もさまざまで、大きなものはスライスしてますね。仙人が名前を教えてくれるまでは、キノコの一盛りのおおきなものをちょっとずつ食べて待ちましょうか。全部は食べないで。

なんだ、これ~。

思っていたキノコの味と全然違います。なんでしょう。例えば、アカヤマドリなんかはコクがあってトロのような味ですし、ツクリタケはやっぱりマッシュルームですし。これ、すごいです。ここまでいろんなキノコが採れて、こうして食べられることに感激してます。むさぼり喰う、みたいな。

アカヤマドリ
ハタケシメジ
イロガワリ
アカハツ
アミタケ
アメリカウラベニイロガワリ
ツクリタケ
タマゴタケ
カクミノシメジ
マイタケ
クロシメジ
ムラサキヤマドリタケ
ウスヒラタケ
ユキレイタケ

一つ一つは小さいのですが、だんだんお腹に溜まって行きますね。キノコはカロリーゼロと聞いてますので、ノーファット、ノーカロリーの完全健康食品と言えるでしょうね。味っぽくて、全然飽きません。これってすごいです。キノコ汁もついてましたが、やっぱり生。

店内にはいろんな草木で作った各種お茶も用意されていて、これも楽しみました。ご飯は手をつけまいと思ってましたが、天ぷらが来るとついつい。山小屋からはそんなに遠くないですが、山ですからね。歩いて来ると6時間?お酒、飲めません。

ヤマメ新子天ぷらは、仙人の言うとおり、絶品でした。ごめんね、と言いながら全部いただきました。たしかにこれはここでしか食べられないかも知れません。清涼感ある渓流の魚。

仙人は、弟子を募集していて、何でも教えてくれるんだそうです。1日コースもあるよ、と言われましたので、足腰が元気なうちに是非弟子入りをしたい。

そっか、山小屋、売れない方がいいな、とか不謹慎なことを考えているワタクシなのでした。

キノコシーズンはこれから。冬はジビエ料理。あっと、冬は行きません。雪ですからね。スタッドレス、持ってないっすから。

  • 天然キノコのお刺身定食
  • ヤマメ新子天ぷら
  • (説明なし)

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4位

宇ち多゛ (京成立石、青砥 / もつ焼き、居酒屋)

2回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥1,000~¥1,999 ¥1,000~¥1,999

2020/02訪問 2020/02/29

立石:宇ち多゛ 宇ち入りは、マイレビュアーさんの誕生祝兼ジブンへのご褒美

マイレビュアーさんのハッピーバースデー祝いを船橋でやったとき。

ピッツェリアでケーキに入れる名前を尋ねたら、ケーキは要らないので居酒屋に連れて行ってくださいとのリクエスト。せーので行きたい居酒屋の名前を同時に言ったら同じ店でした。いざ行ってみると、悲しいかな満席。その場で、

『立石にある世界遺産居酒屋にご案内します。きっと気に入っていただけると思います。』と約束します。

宇ち多゛はしろくま1124さんに何回か連れて行っていただき、最後が7年前でした。70歳になったらがんばってきたジブンへのご褒美に宇ち多゛へ行こうと思っていましたのでちょうどいい。時間を約束してこの日の決行となりました。

無事に会えて行列に向かいます。この日はラッキーでした。並びは前に16人だけ。店に入って30分も経たない頃には行列なしという奇跡の日でした。

順番が来て二人客が店から出て、これもラッキー。最初から並びで座れます。来るにあたっては、もう一度しろくまさんの指南に目を通し、最後まで慌てずに食べたいものが食べれて大満足な宇ち入りとなりました。

先ずはこれからですね。

*梅割りX2
*ウーロン茶

マイレビュアーさんがチェイサーが欲しいと言うのでウーロン茶。コップひとつで。そして、スタートはゆるぎない煮込みで。折角なんで、ちょっとずつ変えて味わいます。

①煮込み白いとこ多く

②煮込みアブラ多く
これだけでも十分すぎます。居酒屋で煮込みを頼むことはまずないワタシですが、ここは全くの例外で真逆ワールド。

③タン生
生を2皿お願いするもひとつは飛んだようですが全く気になりません。また言えば済むことです。タン生、二人で大興奮。どうしてこんなに旨いのか不思議なくらいです。

梅が空いたので
*瓶ビール大 コップ二つ
二人とも、このくらいの酒があれば十分。後からジブンタチの前に座ったお客さんは、2皿と梅で帰って行きました。こういう常連になりたいなって会話して。

④シロ味噌
⑤カシラ塩
焼物2皿いっちゃいます。楽しすぎる、旨すぎる。

⑥ハツ生
これが最後の皿だと言うことで、宇ち多゛の神に祝福され。

⑦ダイコン生姜乗せて
マイレビュアーさんもちゃんと予習していて、これは言う前に言われてしまいました。よいことです。

⑧ガツ塩
たまりませんねえ。ガツはよく買って来ていただきますが、旨さが違う。宇ち多゛のガツ焼きとおけ以のガツ炒めはガツ料理の最高峰。

⑨レバボイル
やっと食べれました。相性が悪いのか、3回目のコールでゲットでこれで帰れます。

想像以上に楽しくて想像以上においしかった、というマイレビュアーさんからの言葉が最後に来て。船橋で食べれなかったのも守護神のお導きかなと。

『私、もう一回ここに来ます。』でしょうね。

『行列さんと一緒に。』

(2013年9月 再訪)

日記更新。とっても楽しかった出山果樹園さんでのブルーベリー摘み。早速、ブルーベリーマフィン、焼きましたよ。

本稿、2300件目に初稿としてUPしたときに使ったタイトルを、そのまま使っております。

さて、

小林麹味噌店そして出山果樹園というカントリーサイドならではのスポットを堪能させていただきました。あと1時間もすれば飲みタイム。打ち上げに参りましょうか。

一番行きたいところ、それはもうしろくまさんと一緒ならここしかありません。立石にある居酒屋宇ち多”さん。でも夕刻もやっているんですか、と訊いたところ材料終わりしまいなので、口開けと違って希少部位はないもののやってますよ、ということで営業を信じて立石に向かいます。

夕刻の買物の時間。立石の商店街は賑わいを見せてました。わくわくする時間と場所に来て高揚した気分です。お店の前に行きますと、外待ちの人数もたいしたことありませんね。しばらく待って入店。うれしいなあ、この午後はなんという日なんでしょう。ようやく並んで座り、先ずはビールでおつかれさま~。

目の前では、大きなもつ煮の鍋がいい色の汁を湛えています。その奥では、お店の焼きを一手に引き受けて手際よくどんどん焼き上げています。オーダーはすべておまかせで。ハツ、レバー、アブラ、ナンコツといった極上の食材をキレのある調理で提供され、どの皿も感激感激。生、若焼、酢、たれ、塩と調理方法と調味料を変えることで変化をもたせ、食材が持つ魅力を多角的に表現していく。

もう見事としかいいようがありません。虜になって毎日でも通いたい店です。が、こうやってしろくまさんと長いインターバルの後に来るというのもまた格別なものがあり。

初回の感激とは違った異質な、どちらかと言うと角が取れた感激。じわじわとココロにも味がしみ込んで来て心底癒されます。だからみなさん、足しげく通ってくるんですね。

すっかり堪能させていただきました。まだもう少し材料が残っていますが、席がひとつふたつ空きはじめ。そろそろ終わりかなと思っていると、またどこからかお客さんが来て座っていて。

次回いつ来れるかな。そんなことを思いながら二人でお店を出ました。


≪付記≫

しろくま1124さんから、この日食べた串の内容の説明をいただきました。貴重な情報だと思いますので、ここに付記して掲載させていただきます。ありがとうございました。


・アブラ少ないところ、ハツ、一本ずつ、お酢で   
   コレは、ナマ(ボイル済みです)でのみ頼める、一本ずつのオーダーに、
   デフォルトでは醤油がかけられてきますが、さらにお酢もかけてもらい、
   サッパリと、酢醤油でいただくのです。
   湯通し(あるいは、蒸してあるかも・・)してありますので、
   ゼラチン化したアブラと肉のバランスに、酢醤油が絶妙に絡み合います・・・

・カシラ素焼きお酢
   優先順位は、無くなっていくメニューから・・・
   やはり、我々がオーダーしてすぐに、カシラは売切れてしまいました・・・
   素焼きは、味をつけずに焼き、醤油をかけて出す焼き方です。
   さらにお酢をかけてもらい、サッパリと、肉のウマミを際立たせます・・・

・煮込み
   もう遅い時間なので、煮込みの鍋がかなり具が少なくなっていました。
   シロとかクロとか、文字通り選り好みせず、いただきました・・・

・ナンコツ塩
   タレのよく焼きや、素焼きお酢にしても、美味しいと思います。

・レバ素焼き若焼きお酢
   先ほどのカシラと同じ焼き方ですが、レバの新鮮さを生かすため、
   若焼き(少しだけ火を通す)で、さらにお酢をかけ、酢醤油にしてあります。
   レバの甘味と、プリッとした食感が抜群です。

・おしんこショウガのっけてお酢
   キュウリとダイコンのおしんこに、紅ショウガを多めに乗せてもらい、
   デフォルトの醤油に、さらにお酢をかけてもらいます。
   箸休めに最高です。

・シロタレよく焼き
   タレ焼きの白眉です。
   シロをタレ焼きで、なおかつ、よく焼きにしてコンガリと焦げ目をつけます。
   独特の香ばしいタレの香りと、カリッとした表面に、中の柔らかい食感・・・
   梅割りの焼酎と、抜群の相性を示します。

・アブラタレよく焼き
   コレは、アブラ少ないところ、にするべきでした。
   ちょっと、アブラが多すぎでした・・・反省です。

お味の流れとしては、私の場合は、
ナマのお酢や、素焼きお酢や塩焼きなど、比較的、淡白な系統からはじめて、
最後に、タレを持ってくる形にしています。


(2013年1月 初稿)

葛飾区立石駅前にあります宇ち多”さんに行きました。

今まで2299軒のお店のレビューを綴ってまいりましたが、宇ち多”さんほどの驚愕そして歓喜のお店は初めてでした。店内は昭和初期の映画に登場するようなノスタルジックないい雰囲気。その中で繰り広げられる光景もまた昭和初期に登場する映画そのもののように感じました。お店に中にいる全員が静かにしかし心から笑ってます。喰ってます。飲んでます。こういうシーンを、今まで見たことがありません。

この店内のシーンを記録映像に撮ってユネスコの世界文化遺産登録をしたい!そう思ったのはワタシ一人ではないと思います。2010年11月にフランスの美食術が世界無形遺産登録をはたしました。それと同等の価値がある宇ち多”の食文化。ちょっと漢字ばかりの書き出しで恐縮ですが、これだけは最初に申し上げたくご勘弁ください。

さて、この日が来るのが楽しみでした。いよいよ宇ち多”さんの暖簾をくぐることが出来る!積年の夢でしたが、とうてい一人で入れるとは思っておりません。このお店こそは定連さんと一緒に行かなければただただ唖然とするだけで終わってしまいそうなお店です。今回ご案内していただいたのは、わがしろくま1124さん。今までも何軒かの居酒屋の名店を案内していただいております。

そんなに楽しみにしていたのに、20分も遅刻してしまったワタクシ。実は立石に行くのに、常磐線の北千住には1時間半以上前におりました。余裕ですので、カヌレを買ったり中国茶を買ったりしてから千代田線で金町に。ここで京成に乗り換え。まだたっぷり時間がありましたが、なんてこったい。ホームで10分以上停車するというローカル線。そして乗り換えの駅を間違え、行きすごしてまた戻って、なんてやっておりましたら、大遅刻。お店の前でしろくまさんと合流しましたが、既に長蛇の列。

行列さん、だいじょうぶです。何とか、ぎりぎりですが、本当にぎりぎりですが、だいじょうぶ。入れます。

なぐさめられて、申し訳ない気持ちを引きずりながら開店を待ちます。お店が開いたようです。列がどんどん短くなって、もう入口に近づくとお店の中になだれ込むように入店。さっと席を取ってくれて、ああ、よかったあ。入店の時に、みなさんはお店の人が持っている割り箸をもらっていましたが。はて、割り箸をもらわなかったワタクシ。手で食べる?とか。

初心者にとってこれ以降は何もできないお店の暗黙のルールでお店はまわっていきます。楽しいねえ。食べる前からめちゃめちゃ楽しいです。ま、これも暢気にお店のできごとを観察して愉しんでいる観光客気分でオフィシャルガイドさんがいればこそ、なんですけど。この入店時割り箸の意味は、しろくまさんのお言葉をそのまま借用しますと、

“ホネ(煮込みに豚の下顎のお肉がタップリついたホネ、割箸で権利確定します)”

ということなんですね。ええ、だいじょうぶでしたよ。ちゃんと定連さんは1本確保していました。セーフ。お店の方が近くに来て、なんとか、と皿の名前を言うとあっちもこっちからも手が挙がって。これがオーダー。楽しいよ。

飲み物の最初は、ビールをお願いしました。だって、もうアセアセで喉が渇いていましたから。途中から、このお店のスペシャルティである焼酎の梅割り。まあ、めちゃめちゃモツに合いますね。びっくりの旨さです。これはおひとり様5杯まで、とちゃんと教えてくれるしろくまさん。食べた後のお皿の置き方とか、宇ち多”さんの無形文化遺産は各所にあるんです。

最初の1皿。“シンキお酢(テッポウとコブクロのボイルそれぞれ一本ずつに酢醤油。お一人一皿のみ限定です)”

この旨さには本当にこしをぬかしました。こんなうまい食べ物があったんだ。知りませんでした。この一皿が衝撃をもたらしました。だから、この食文化を世界遺産にすべきだと思ったのです。そうやって、この食文化を遺していかねばならないんじゃないかって、思いました。人類共有の食文化遺産。

そこからは、怒涛のうまいものの連続でした。大興奮のうちに、どんどんいただきました。都度、お料理の説明をしていただき、エピソードもはさんで。そうやって料理を楽しみ、お店を楽しみ。外に大勢のお客さんが待っておりますので、まだまだあるお楽しみは次に残しておくことで、お店を後にしました。もちろん最上級のお礼を申し述べて。

絶対にもう一度来たいです。でも、まだまだ一人では来れないなあ。次の機会が訪れるまで、静かに待つことにしましょう。機会は絶対来る、と信じてます。最後に、この日いただいたものを記して記録にしたいと思います。

Special thanks to しろくま1124 
さん

この日、いただいたもの。しろくまさんから再度教えていただきました。

*シンキお酢(テッポウとコブクロのボイルそれぞれ一本ずつに酢醤油。お一人一皿のみ限定です)

*ホネ(煮込みに豚の下顎のお肉がタップリついたホネ、割箸で権利確定します)

*ツル塩(豚のオスのシンボルのお肉。弾力があり美味)

*タンお酢(タンのボイルを縦切りにしたものに酢醤油。皿盛り)

*カシラ塩

*レバ素焼き若焼きお酢(レバを少し焼いて酢醤油をかけたもの)

*シロタレよく焼き(シロ(大腸)のタレ焼きに焦げ目をつけて香ばしさを出します)

おしんこショウガのっけてお酢(ダイコンとキュウリのおしんこに、紅ショウガを乗せて酢醤油)

*アブラ少ないところタレ

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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5位

サリーナ (野々市工大前 / ピザ、パスタ、イタリアン)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2013/05訪問 2013/05/15

今まで食べて来たナポリピザではNO1かも。石川県野々市のサリーナ。センスが光るピザイオーロさん。

金沢富山旅行の2日目速報レビューです。

2日目の朝食は、これはもう定番の鱒寿司。東京でいつでも買える大手メーカーの鱒寿司はもう食べる気がしませんが、富山で手作りしている鱒寿司は全くの別物のようなおいしさ。富山に来たら必ず1個は食べるようにしてます。いやあ、旨かった。

このまま富山に残るかどうするか、最後まで悩みました。魚津に行くか野々市にいくか。野々市は太平寿司ではなくて、ナポリピザの認定店サリーナ。北陸に来るたびに毎回地図を携行しているものの、いつも海鮮に走ってしまい未訪です。今回行くならこの日のひるしかありません。あとは予約が入っていますので。富山にも認定店が1軒ありますが、こちらはサリーナのあとで。

またいつ来れるか分かりませんので、思い切って富山から野々市に直行することに決めました。鱒寿司は朝の7時から始まるお店の中からチョイス。今回4軒周ります。そのうち3軒は過去に行ったお店でした。お店の前まできて、ここは来たことがあるよ、ですから。耄碌がビギンしたかも。ホテルに戻って朝食会場に行き、食事をしている宿泊客の熱い視線を感じながら鱒寿司をいただきます。味噌汁とお茶、という心強い味方を得て。

ホテルをチェックアウト。途中のSAで南砺にあるカフェの住所をナビに入れてみました。想い出の店で、一度再訪しようと思いながらこちらも機会が巡って来ません。行ってカフェ時間を過ごしてまた高速に戻って野々市にいくと、う~ん、ちょうどランチタイムのど真ん中。やめましょう。

あまりに早く着きすぎるので時間調整をしながらお店に向かいます。それでも、お店に着いた時には開店30分前。駐車場が埋まっていると思ったら、店の隣はクリニックで駐車場は共同で半分ずつ使用の形でした。とまっていた車は全部クリニックに来た人のもの。様子が分かりませんので、駐車場からお店に電話して予約を入れます。

開店時間になったので車から出てお店に入ります。オープンの表示に変わっていました。ピッツェリア。いいなあ。名前を告げると、お待ちしてました。どうぞこちらへ、と2人用のテーブル席を指差されますが、このお店は左手に薪窯があってそこに短いカウンター席があるんです。

『あの窯に一番近い席に座ってもいいですか?』

いつものフレーズを告げて無事特等席を確保。イオーロさんがパーラを操っている姿の撮影の許可もお願いします。窯は準備万端。イオーロさんは最後の準備中でした。いやあ、とうとう来れた。

ランチメニューは、ピザ+デザート+ドリンクでセットになっていて、ピザの種類で値段を変えてる方式です。例えば、定番のマルゲリータなら1500円、マリナーラなら1300円。認定店ですからD.O.C.が食べたいと。ありますよ、と言うことでしたのでトマトソースなしのビアンコでお願いしますとリクエストしました。

イオーラさんから、ここのDOCはほんの少しトマトソースを塗るだけですから、と言われそれならトマトソースもお願いしますと。イオーラさんの言い方から、そのほんの少し塗るトマトソースでおいしくなるんだという意味を感じましたので。ドリンクは+200円でジンジャーエールの辛口で。(ビ)でないのが残念ですが、このお店のロケーションでは(ビ)はあきらめるしかありませんね。

作業開始。鮮やかな手さばきで発酵した生地を延ばしていきます。そして、トマトソースを塗りますが、本当にほんの少し。今まで見てきた中では断トツに少ない量です。へ~え。後でメニューをゆっくり見ましたが、メニューにちゃんと載ってましたね。

ピッツァ・ドック(2200円)
(プチトマト、水牛のモッツァレラ、バジリコ)

確かにトマトソースは書いてありません。写真が載ってますがその写真はトマトソースの色がばっちり写ってますが。実物は全然違います。

プチトマトはフレッシュではなく、あらかじめ調理してあるもの。トッピングをささっと乗せてパーラに搭載。窯の中に入れて行きます。

焼き加減を見ながら、ときどきパーラでピザを回転させ焼きを均一にしてます。さ、焼きあがり。

うああ、もう見ただけで旨さのオーラが出てますよ。何と言っても最大の特徴は額縁、コルニチョーネがものすごく大きいこと。膨らみも大きく、焼きもいいですねえ。同じようなピザを食べたことないか、一生懸命記憶を辿りますが、過去にはないような、という大脳からの回答。トマトソースの色は全くありません。そうでしょうね、あれだけの量ですから。表面を覆い尽くすブッファラ。バジリコとチェリートマトが彩りを添えます。

もう早く食べたい!

お仕事?の写真撮影を手早くすませ、カットしていただきます。

うま~。やっぱり額縁がめちゃめちゃ旨い。この発酵と焼きと小麦。まあ見事というしかありません。ゼッポリーネでも最高でしょうね。そして、これにチーズ、トマト、バジリコが組み合わさったら、もうひっくり返りそうになる旨さです。

分かりましたよ。イオーラさんは、とってもセンスがいいんですね。このバランスの妙。ですから、トマトソースもほんの少し隠し味に入れた方がうまい、と。確かにその通りでした。最初にイオーラさんが言った、ほんの少ししか入れませんから、の言い方に自信を感じましたが、その通りだったんです。任せてよかったあ。このほんの少し入るか入らないか、その違いはきっと大きかったに違いありません。

認定店、これ何軒目でしょうか。あとで数えてみますが20軒くらいになったかなあ。過去一番の好みでした。一番旨かったです。生地の量とチーズやトマトの量のバランス。額縁の大きさ。その割合のどこが一番おいしく感じるか。オリーブオイルの量も関係してきますよね。そういったことをしみじみを感じさせる名品だと思います。

滞在中にもう1回食べたい。最終日のフライトの前にもう1回が可能かお店から小松空港までの時間をイオーロさんに訊きましたが、ちょっと無理みたい。ま、いいでしょう。お楽しみはこれからだ。

2日目は、
①②③④鱒寿司⑤ナポリピザ⑥海鮮居酒屋⑦寿司で4軒のノルマは楽々達成。食べすぎで死にそう。

  • (説明なし)
  • ピッツァ・ドック
  • (説明なし)

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6位

砂の岬 (桜新町 / インド料理、インドカレー)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2013/06訪問 2013/06/29

第25回目のキリ番特別レビュー。インドなどを周って吸収してきたインドの風を分けてくれる別天地砂の岬。

このお店の存在を知ったのは、1通のツイートからでした。つぶやいた主は、いまやときめく押上スパイスカフェの店主伊藤シェフ。1枚の写真が貼られてます。ミールズです。ツイートの行間からは、ココロから満足した伊藤シェフの気持ちが伝わってきます。伊藤さんの気持ちをこれほどまで揺さぶるお店、お料理ってどんなんだろう。訪れてみたい、食べてみたい。

砂の岬の店主が、ときどきブログをUPしてます。最近のブログを引用させていただいて、どういう店主なのか先ずは店主のことを知ってください。ジブンもそうしました。

“今回の旅は、インドの東海岸をコルカタから南下し、マドゥライまで10の都市や町を訪れました。
南インドで魚介系のカレーというと真っ先にケララ州が浮かびますが、ベンガル湾に接する、アーンドラプラデシュ州や タミルナード州の魚介系も、 自分好みのテイストで好きなんです。“

非常に気持ちのいい書き方です。人柄が伝わってくるようです。こうやって、まめにインドや隣国を周り、インドを吸収してリフレッシュして、お料理にも生かす。そのおすそ分けをいただきたい。

もうこの日しか行けない、という土曜日に訪問しました。人気のお店ですし、お店のキャパもあまりないようですので、ここは絶対に1番でお店に入りたい。1番に入ればゆっくり食事が摂れ、お店の雰囲気を楽しむことができるだろう。

ようやくお店に到着したのは開店時間の1時間前。家から1時間50分かかりました。よかった。店の前には誰もいません。店の扉がわずかに開けられ、店内では開店準備の最中です。よし、営業する。あと1時間後には食べられる!!

しかし、ステキな店の外観ですね。その色、デザイン、蔦の絡まり具合。そう思わせるには外観にプラスすることの店の前に出された小物品や調度品の品の良さなんですね。お店はテイクアウト専門の窓口を設けていて、その窓口の前にいろいろお店のことや料理を紹介するスペースを設けているんです。インドの小物を中心に、文字の字体まで何から何まで素敵。これは奥様のセンスなんでしょうか。

この日は、めちゃめちゃ暑かったです。石垣島ほどではないですが(笑)。あと開店まで40分くらいのときに、何かの用事でお店から奥様が出てきました。ああ、外掃きですね。

『あれ、もうお見えなんですか?』

『どうしてもお店の料理をいただきたくて。少し早めに来ました。』

奥様の話では、開店20分から15分前くらいに先頭の人が来て行列ができるそうです。

『もし、準備に余裕がありましたら、一段落してからで結構ですから、インドビールを1本出していただくとありがたいんですが。いえ、この外で飲みますので、グラスも要りません。』

ちょうどお店の正面にはコンビニがあって、そこで缶ビールを買って待とうか、という案も浮上したんですが、奥様が出て来たことをこれ幸いに、おねだりしてみました。まず掃除をさせてください、ということで、いえいえ、準備の邪魔をするつもりは全くありませんから、だめでも全然だいじょうぶです。

開店30分前、再び奥様が顔を出して、どのビールがいいですかと。ありがてえ。チベットビールをお願いしましたが、現在入荷が止まっているということで、ゴールデンイーグルをお願いしました。ほどなく瓶を渡していただき。

砂の岬で外待ちしながらインドビールを飲む。

いやあ、めちゃめちゃ旨かったす。奥様の優しい気持ちに感謝です。

定刻入店。既に10人以上の列になっていました。先頭で入り、カウンター席の一番端に座ります。もう食べるものも決まってます。

えっと、カレースペシャル(1230円)にしていただいて、カレーはチキンカレーとフィッシュ(+50円)でお願いします。それと、コブラビールお願いします。デザートには、マンゴクルフィ(400円)、セットのホットチャイ(150円)をお願いします。

こういうことなんです。

*砂の岬 カレースペシャル
カレー2種
チャナマサラ(オニオンとショウガを効かせたヒヨコ豆のカレー)
アチャール(大根と人参のネパール式スパイス漬け。ごまとニラの香り)
ジャスミンライス(タイの香り米と白米のミックス)
ポリセル(野菜のスパイス炒め)

*マドラスチキンカレー(国産鶏モモ肉を使用し、スパイスを効かせたタミル地方のチキンカレー。砂の岬の看板メニュー。辛さ★★★★。Taste from CHENNAI in TAMILNADU。)
*アレッピーフィッシュカレー(タマリンドのシャープな酸味とココナッツミルクのほんのり甘くてコクのあるカレー。辛さ★★★。Taste from ALLEPPEY in KERALA。)

どうです。ワタシがどんなに遠くても食べてみたかった理由がわかるでしょ。あなたも絶対にたべたくなるはずです。

カウンターの高台にはいろいろ物が置かれていて、そのすぐ向こうの厨房が全く見えません。立ちあがってそっと厨房を見ると、店主の鈴木さんが懸命にカレーを作っている最中でした。見るからに感じのいい若者です。イケメンですねえ。長い髪が嫌味でなくよく似合います。いろいろとちょっとずつ小なべに入れながら、何回も何回も味をみていきます。こうやって、丁寧に1皿1皿ずつ完成させていくんですね。

いやあ、ジブンのためにこれだけ丁寧にカレーを作ってくれるなんて。テンションあがりまくりです。奥さんも非常に感じのいい方で、まあ伴侶に選んだ男性を見るといかに選球眼がいいかよくわかります。さ、お料理ができあがりました。

ミールズですね。

フィッシュカレーから。この味はなんと表現したらいいんでしょうか。味が複雑な多重構造のように積み上げられていて、ソリッドなカレーとは全く趣を異にしてます。こういう味わいは南インドなんでしょうかね。ケララ州の味から、ということですから。旨味とか酸味とか辛みや、いろんなスパイスが順番に攻撃してくるようで、もう大好きな味です。

味のメイン、柱になっているのは何でしょうか。それすらも分かりません。このカレーのコクは果たしてフィッシュ由来なものなのかも全く不明ですが、とにかく一口食べるとまた次の一口が待てない。40度近いような高温で暮らす生活の中でこれを食べたらどうんな風に感じるんでしょうか。ケララ州の気温とか気候とかまったく不案内ですが、そんな気持ちになりました。

ときどき、アチャールやパパドを挟みながら食べ進めます。ご飯にも良く合います。

チキンカレー。これもまた別の次元のスパイシーなとってもおいしいカレーでした。スパイスが単調ではありませんから、辛さと言うものをあまり感じません。辛さ★4つで少し心配ではありましたが、全然OKです。チキンということで、コクの源は分かるはずなんですが、やはりスパイスの多重構造でチキンらしいコクは全く感じるただ、ことはできません。ただインドうめ~、みたいな。

チャナマサラは、2種のカレーと交互に食べておいしくいただきました。ポリセルも同様。いやあ、こんなおいしい料理って本当にインドに行ったら食べれるんでしょうか。もしそうなら、絶対にインドに行ってみたいです。インドに行っていろんな未経験な味に出会いたい。店主の作ってくれたカレーをしみじみ味わいながら、気持ちは遥かインド、そんな気分でした。

店主はインドでカレーを食べたあとは、クルフィをよく食べるそうです。それじゃあ、真似して食べてみるか、と思って頼んだデザート。いやあ、ひゃっこくて、なかなかに旨い。最後はチャイで〆ました。シアワセな気持ちになります。イケメンの男って料理が上手でない、という定説がありますが、岬の店主は例外ですね。いい味出してました。来れてよかったです。インドにも行きたくなりました。

お礼を申し述べて精算します。鈴木さんがわざわざカウンター越しに挨拶されました。実に気分のいい青年です。ごちそうさまでした。

後日、サザンスパイスの渡辺玲さんが、玲さんと一緒に行くインド、カレーの旅の募集を開始しました。10月です。8日間。いやあ、絶対に行きたい、行くべきだと思います。玲さんと行きますから、絶対保証付きのカレーに決まってます。現地で料理教室もあります。

ただ、本当にみなさんについていけるか、かなりハードなスケジュール。2,3日でギブしないか心配です。でも行くなら今年。だんだん足腰が弱くなって行きたくても行けないときが近づいてます。行きたい、けど、不安。誰か背中を押してくれないかなあ。あなたの一言でインドに行ってきます。

2500件目、たいへんありがとうございました。

  • 砂の岬カレースペシャル
  • 砂の岬カレースペシャル
  • (説明なし)

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7位

弘寿司 (愛宕橋、河原町、五橋 / 寿司)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2013/08訪問 2013/08/03

仙台の鬼才と呼ぶには人柄がよすぎる職人のアーティスティックSUSHI弘寿司。再訪。

(2013年8月 再訪)

決めていた日程で弘寿司の予約が取れず、弘寿司に合わせてリスケジューリング(笑)。

仙台に行ったらどうしても弘寿司がはずせなくて。2日目の夜に伺いました。この日は、本当にお客さんが少なくて、カウンター席を埋めたのは5人だけ。こういう日もあるそうです。お蔭で、ご主人とゆっくり話ができました。裏表のない気さくな人柄で、話を聞いていてもほっとします。

この日も雨でしたが、雨の日が続いて魚が沖に行ってしまい不漁になるんだそうです。ぼつぼつ養殖ものが混じりはじめたなあ、とかいうことでした。この日のおつまみ。

*蛸の卵、湯葉
ねっとりとしていて、味はこのわたみたい。お酒のアテには最高でしょう。湯葉、はずしません。

*がぜ雲丹、くじら、生蛸、まこ鰈
さしみの盛り合わせといいますか。このビューティフルな盛り付け。テンション上がっちゃいます。がぜ雲丹は二晩連続。多分、今日が最後かなあ、って昨日の江なみさんと同じことを言われます。突っ込みました。

『何故、最後なんですか?』

雲丹が卵を持ち始めると、味が急変してしまい食べられないそうなんです。海水の温度があがり、旬の季節がどんどん短くなっていくとか。開けてみないと卵があるかどうか分からないので、この時期だと雲丹の返品可の卸もあるそうです。どれも最高にうまい。量がいい。

*サメの心臓、マンボウの卵巣
サメはこりこりで旨い。ごま油をちょこっと垂らしてあるので、違うものを食べているみたい。そうそう、牛レバーです。マンボウは前回よりもずっとおいしく感じました。ははん。今回は炙ってますね。旨味が膨らんでました。

*赤海鞘と蝦夷海鞘
海鞘大好きです。楽しみにしてました。む!赤海鞘はこのわたと和えて、蝦夷海鞘は白味噌を混ぜて。どちらも大変おいしゅうございますが、何もせず、そのままが喰いて~。しかも、まるまる2個とか。ちょっと上品すぎるのが残念。←うるさい。

*鯨の潮吹き
潮を吹く器官のお肉。とろとろに煮込まれていて、絶のピン。

そして、握り。

この日も味が冴えわたってました。

*とろ 大根おろし
*こち ブルーベリー
*ほっき貝 山芋
*ずわい蟹 アスパラガス
*海老 干し海老
*鯛 雲丹
*鯵 薬味
*ごま鯖 山芋

こうしてみると、8貫も食べてたんだね。おなか、いっぱい。そして、この日もお金、そんだけでいいの?ってくらい。もうしわけない気持ちです。

やっぱり天才やね。

(2012年7月 初稿)

1900軒目です。初レビューをUPしてから1397日目に当たるおめでたい日です。食べスギ良太郎です。

今回の仙台行。いつも寿司を食べに行く塩竈はスルーにして、仙台でうまい寿司を食べようと計画しました。さて、どの店さ行こうか。このとき閃いたのが、仙台でたくさんのお店をレビューしているゴマピイさんの存在です。ええい、直接訊いちゃおう。訊きました。で、教えていただいたのは、ここ、弘寿司。

先行レビューを見ると、まあ何というアートな寿司なんでしょう。江戸前寿司の上を行く?芸術寿司。食べてみたい、もそうですが、どんな人物がどのようにしてかような寿司をつくるのか目の前で見たい!好奇心がめらめら燃え始めます。その後、仙台X寿司で人気店をチェックすると、この弘寿司の他に、小判寿司も食べてみたい。じゃあ、こうすっか。

ランチは、小判寿司。
ディナーは、弘寿司。

こうして、仙台行き初日の骨子がかたまります。それに朝ら~の長浜ラーメンを足せば、3件のレビューを読んだ人は絶対にこのコースで追体験したくなるはず。えいちあいしーも旅プランとして商品にするはず。我ながら、非の打ちどころのない計画に満足であります。あとは、行って食べて確認するだけ。

お店の予約が取れて、18時半に来るように言われました。直前に訪問した甘味処の彦いちで、思いもよらぬづんだ餅のヘビーな歓迎を受けましたが、ここを楽しみに来てますからそんなことは言っておれません。仙台駅から地下鉄に乗り、愛宕橋という駅で降りててくてく歩いてお店に向かいます。

このお店?あなたも、このお店の評判を知っていて最初お店を見たらびっくりすることでしょう。こじんまりとしている、もそうなんですが、大繁盛店らしからぬ少々鉄錆が浮いているような古い感じの外観にサプライズ。表には、準備中の札が出てます。店内を覗くと2組4人のお客さんがカウンター席で食事をしてますね。準備中ではないやん、と思いながら、予約していた行列ですが、と入店。カウンター席に招じ入れられます。

この日は、このあとしばらくして予約のご夫婦が到着。結局カウンターに座れる7人だけが入店できて、その他の人には準備中という意味だったようです。我々が出た後はどうなるか知りませんが。予約、必要です。

席に座って、先ずは生で。この方がご主人ですね。そして生を出してくれたのが奥様でしょうか。ご主人は、人懐っこい笑顔でお客さんと話をしてます。へ~、この人があのようなアートを演出するのですか。鬼才、とか先行レビューで見ましたが、鬼才のイメージとはまったく別次元の柔和なお顔を見て、話を耳にして、お人柄がだんだん分かってくると、寿司からは鬼才と呼びたくなっても、ちょっと違うなあ、と思ったことでした。

お通しは、ゆば。うまい、ですが、寿司屋のお通しでは初めていただき何が始まるのやら、徐々にテンションがあがってきます。

あのお、この方たちと同じものでお願いします。すべておまかせいたします。嫌いなものはございません。

1組は男同士。風体はサラリーマンで、目の前には舟盛でおいしそうな肴が満載です。もう1組はご夫婦で、同じ舟盛を食べてます。こっちも、あれがいい、とお願いしたわけです。

丁寧に包丁を入れながら舟盛を完成させていくご主人。仕事をしながらもお客さんから振られた質問に答え、話題に入って行くタイミングはさすがです。話がしたくなってしまうタイプの方です。最初、勝手が分からず先客とご主人とのやり取りを聞く側にまわっていたジブンですが、徐々に中に入り込んでいました。そうそう、ご主人はちゃんとネクタイをしていて、これは江戸前寿司屋の基本である、と納得しました。とても気さく、とても謙虚な方です。

きれいに盛られたうまそうな肴。大根で作ったタワーが変化を与えています。新芽の若木、蘭の花が華やかさを演出。肴は、赤いかの沖漬け風、石鯛、タコ、アジ、赤いか刺身、さざえ刺し。それぞれに説明していただき、納得のおいしさです。産地にこだわり、手を入れるところはきっちり仕事して。残念なのは、ジブンで書いたメモの字がきたなくて判読不能なこと。ネタには有名処の冠がつくブランドものばかり。

舟盛、前菜の1点1点をじっくりと楽しみながらいただいたあと、おお、来ましたよ。先客のご夫妻と話をして、うっかりご主人の仕込みに目を離した瞬間、提供されたのはきれいな青色模様の蚊取り線香を入れる陶器。蚊やり豚のおしゃれ版です。こいつを渡されるわけです。なになになに?前後をひっくり返すと、中に肴が収めてありました。

やってくれますねえ。これ、とってもおいしかった。まんぼうと炙った卵巣。食感がおもしろく、味がないと聞いたことがあるまんぼうを絶品の味に仕上げてきました。

ネクストも青色のホイルを帆にみたてての派手なお皿の登場です。どこからこのような発想が出てくるのでしょうか、ごまふぐの白子。そして、今度は何とまあ肴の入った皿に籠が被せてあって涼しげな一品。中身は、さえずりでした。クジラのタンですね。演出だけでなく、料理としても最高の味わいに簡単至極です。この辺から直前に食べたづんだ餅のボディブローが利いて、肴の方はここまでにしていただきました。もう少し余裕があれば、次のサプライズも食べれたのですが、寿司、そりゃあ食べたいでしょう。

大とろから始まりました。行者にんにくが乗せてあります。いやあ、実に深く、うまい。まぐろだって驚いていることでしょう。まさか自分が行者にんにくと一緒に天国に行けるなんて。石鯛はあらためてシャリのおいしさを教えてくれました。ミニトマト、ブルーベリー!!添え。南蛮海老には風味のいい桜えびがオンされていて、これがまたますますうまさが増すのが不思議です。

北寄貝には炙りが入ってヒマラヤの岩塩合わせ。あいなめには雲丹が乗せられてます。このような組み合わせが、本当に次なる旨さを引き出し、セカンドテーストと呼んで新しいジャンルに加えたいくらいでした。赤貝は閖上(ゆりあげ)産とのことで、日本一の称号を与えられている赤貝とききました。そのような枕を聞かなくても、こんなにおいしい赤貝を食べたのは初めてです。

もうおなか一杯です。ここで無理に食べるとなんだかご主人にも魚にも失礼なような気がして、最後にあと2貫だけくださいとお願いしました。おいしいものをいただきながら、他のお客さんとも話が弾み、こういうのが外食の最高の楽しみなんだなあ、と思いました。

最後にふたつ、と切ったのは、突然ここまでと言ったのではご主人が用意していたベストオブSUSHIの機会損失を避けるためです。

一つ目は、きっちりと仕事がしてあったこはだ。二つ目は濃厚なたれで供された穴子。思わず、もう2貫、と言いそうになりました。

区切りとして、こんなに豊かな気持ちにさせてくれたこのお店の紹介ができることは、本当に幸せなことです。途中で裏方にまわっているご子息がご主人との打ち合わせをしたり、ほのぼのいい家庭の空気にも触れました。奥様からお勘定のメモをいただいたときは、目を疑いました。万の位の数字を書き忘れてませんか。失礼ですが、お店を拡充したり新装したり新店舗を出したり、そんなお金もお客さんから受け取らず、この最高のネタを使ったNEXT寿司を提供するご主人の心意気。こういうお店が日本にはあるんですね。大衆的な海鮮居酒屋で食べるより安い値段で、この幸せです。本当にいいお店を紹介していただきました。

Special thanks to ゴマピイさん。

  • とろ 大根おろし
  • こち ブルーベリー
  • ほっき貝 山芋

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8位

オマージュ (浅草(つくばEXP)、浅草(東武・都営・メトロ) / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2015/04訪問 2015/04/27

浅草にあるフレンチのオマージュ。6つの難関をクリアするポテンシャルの高さで2015年度も★獲得。

(2015年4月 再訪)

10か月ぶりのオマージュです。マイレビュアーさんのハッピーバースデーのリクエストを訊いたら、オマージュと言うことでしたので予約して行ってきました。マイレビュアーさん二人との3人で浅草フレンチ。

また一段とパワーアップしたと感じた料理の数々。オマージュが初めてと言うお二人が喜んでいたのも分かりますね。2時間半の大満足なランチでした。

かんぱ~い、の後はアミューズから幕が上がり。

*パプリカとあおさ海苔のサブレ エルダーフラワーが味の変化をもたらすクリームで。

*クロケット、サラミ、いわし、春巻風、田楽風 最初の前菜は小品をちょっとずつ。コースによってポンデケージョとクロケットが変わる?こんな細かい作業を毎日毎日続けるシェフって。前菜の一皿をボンと置く店とは一線を画し。そう言えばオリーブもなかったな。

*生うにジュレ この日のスペシャルティで追加料金。ウニが大好きと言うマイレビュアーさんで、一も二もなくオーダー。これが大当たりでした。うにを引き立たせるジュレがまた秀逸。シェフの感性をまざまざと感じる皿でした。

*フルートトマト、黒トリュフ、ケッパー、生クリーム 飴の円盤の上には野菜、それを割りながらいただく中はフルーツトマトをメインに生クリーム仕立てのソースで食べる。マイレビュアーさんはトマトが苦手ということで代わりに出てきた1皿。上にはラディッシュのサラダになっていて、中は生からすみ。こっちがよかった、両方食べたいなど議論百出。

*新玉ねぎ 同じ素材で調理方法を変えてその味わい、風味を楽しむ趣向。玉ねぎの七変化には驚きました。皿にペイントしてるのはヨーグルトソース。黒く見えるのは、玉ねぎのグリル。

*宮城産鮎魚女(あいなめ) 鮎魚女ももちろんおいしいですが、付け合わせのブイヤベースソースで煮込んだスペルト小麦のリゾット風が旨い。パンには上質なオリーブオイルを合わせたり、リゾット風が出てきたり、イタリアンとの接近もダイスキ。

*天草梅ポーク、フォアグラ、うるい うるいの葉をめくるとフォアグラソテーが見えてテンションマックス。ソースの力もありますが、こうなるとビーフ<ポークになりますね。きょういちでした。

*バースデープレート 喜んでいただけました。

*デセール、イチゴ
*小菓子 フィナンシェ、ミニマカロン
*コーヒー、ハーブティー

また明日にでも行きたくなるシアワセ時間。あれ?このコースには小桜のかりんとうが出ませんね。じゃあ、帰りに寄って買って行きましょう。

(2014年6月 再訪)

今回はオマージュデビューの女性おふたりとステキ浅草の散策&食べ&呑み&カラオケ(笑)。

まずは浅草駅から出発して仲見世に。ジブンは少し早く来て0次会がありましたが、それはまた次で。この日も仲見世は世界からの観光客や修学旅行生で溢れてました。浅草寺の常香炉で煙をかぶり、そこから左に舵を切って花やしきに向かいます。

花やしきでゴンドラを見上げたのちに5656会館を横目で見てオマージュに到着。珍しく一番乗りで左奥のテーブルに案内されます。こちらに座るのは初めてですので、うれしくて記念撮影。

お二人はお酒を呑まれない方と酒豪の方の組合せ。申し訳ありませんと言いながら、酒豪さんにワインの選択をお願いします。いいワインでした。1本では足りないお顔でしたが、ここでは我慢していただき、このあとホッピー通りへご案内しました(笑)。

たいていお料理の名前があやふやで内容が分かるジブンネーミングもありますが、今回はこの後すぐに大阪に飛び、リアルタイムでレビューしたためこのレビューが遅れに遅れました。従いまして、既にレビューされている酒豪さんのブログをコピペでごめんなさいです(笑)。こんど、お酒で穴埋めさせていただきます。

まずはカンパイの後、定番のオリーブをアテにしばし談笑で。

今回は趣向が変わって、ずらずらアミューズが繰り出せれます。これがとても新鮮で、おいしくて、にこにこが止まりません。

赤ピーマンのムースと豆乳のブランマンジェ。こちらは写真で緑の方ですが、上には枝豆と枝豆のソースがかけられてます。豆乳と枝豆、相性がよくないわけがありませんね。でも手間がかかりますから、オマージュのシェフ以外手を出す人はいないでしょう(笑)。とことんやり遂げるシェフの姿勢に惚れてます。

定番のポンデケージョには生ハムが乗ってますね。お初です。お二人の歓迎でしょう。そしてライスコロッケまでも。温かい料理がありがたいです。サラミの上にはヘーゼルナッツを乗せて。

とうもろこしのスープです。甘くてとてもおいしいスープです。が、そこはオマージュ。それだけでは終わらせない。スープは2層になっていて、上はトウモロコシスープ、下は黒ゴマのジュレ。そしてトウモロコシスープの上からはヘーゼルナッツクリームが。もうすごい、としか言いようがありません。

ランチはダブルメインで、魚の方はイサキ。上には海老のトースト。帆立と芝海老の上に新じゃがを乗せてローストする手間が入ってますが、それだけに旨さも格別。泡状のソースはウイキョウとアサリでとったソースから。

肉の方は、鶏肉のバロンティーヌ。鶏肉に詰め物をした料理という意味だそうです。詰め物はフォアグラとあおさのり。下町フレンチの面目躍如です。これらの手の込んだ料理が一皿いくらだと思いますか。

デザートは、雷おこし風味のブラマンジェ、レモンクリームクレープと金柑アイス、小桜さんのかりんとう、生チョコでした。

まあ、三人とも大満足。ワタクシが何故か鼻高々で(笑)。

お店を出るときにシェフと奥様とで話ができました。そして、記念写真をパチリ。

かくして、浅草ジャーニーは次のお店へGO。


(2013年8月 再訪)

久々となったオマージュ。マイレビュアーさんと待ち合わせて行ってきました。

初めてですね。同行の方がジブンよりもずっと浅草にくわしいことって。いろいろ教えていただきました。いろいろ知っているとその土地がずっとジブンに近づいて来て、いつもと違った景色に見える。そんなこと、サン・テグジュペリが言ってませんでしたか。

“愛、それはただ互いに見つめ合うことではなく、ふたりが同じ方向を見つめることである。”とか言っているでしょ。どうも待ち合わせからサン・テグジュペリが回想されていたんですよ。

“きみが夕方の四時に来るなら、ぼくは三時から嬉しくなってくる。そこから時間が進めば進むほど、どんどん嬉しくなってくる。そうしてとうとう四時になるともう、そわそわしたり、どきどきしたり。こうして、幸福のありがたさを身にしみて思う。”

オマージュに着いたのが開店1分前。おしゃべりしながらも、帳尻はぴったり合わせてきました。この日まさかの予約が取れて、ランチの3800円のコースをお願いしてました。1か月前のことですけど。

今回もまあ出て来る料理、全部が全部、めちゃめちゃおいしかったです。料理の名前を聞いて想像する味を見事に超えてくるシェフの独創性。調理の細やかさ。純フレンチではなく、和15%仏50%オリジン35%みたいな。技はフレンチですが、この豊かな独創性ってすごい。

料理の度にあまりのおいしさにおもわず目と目を合わせて何回にんまりしたことか。帰りに出口で見送ってくださったシェフと奥様には、料理のおいしさへのお礼を申し上げると同時に、同行の女性との距離がぐんと縮まってこれからそれを確かめに行ってきます、と言ったくらい。浅草でいとは、このお店の予約を取ることから始められたほうがよろしいと。

*アミューズ・ブーシュ
カンパイをして、いつもの熱々ポンデケージョをいただきます。何回食べても絶品ですね。そして、フォアグラのフラン。料理は仕掛けがいろいろあります。スプーンで宝物をさがしつつ。うめええ、と山羊になって合唱。

*ビシソワーズ
地鶏のコンソメのジュレ
奥様から丁寧な説明を受けますが、聞いているときは100%理解していても、紙に書こうと思った瞬間、聞いたことが霧散してしまいます。おいしければいいよね、って二人で言い訳のしあっこ。

*高知産金目鯛松笠焼き
ムールのジュと枝豆のクーリー
めっちゃおいしい金目でした。うろこを逆立ててかりかりに。ここでテンションマックスに。枝豆のクーリーもばっちり効いてました。

*岩手産地養鶏のロティ
ローリエのジュ
おいおい、どこからこの木株の皿持ってきたんだ、とまず器のインパクトですね。やってくれます。これもたくさん説明をいただきました。メモしてありますが、まちがったこと書くよりも書かない方がいいかなって。

*デザート
最後まで喜ばせていただきました。3年連続★ですが、どこまで進化していくんでしょうか。人の良さがお顔に出ているシェフを見ていると、無限大の可能性を感じます。ごちそうさまでした。


(2013年2月 再訪)

ランチの予約が取れましたので、再訪しました。

お店に入ったのは正午。マダム、スタッフのみなさまに温かく迎えられて2階へ。テーブルはすべて埋まってます。予約していたのでそこだけは空いています。二人で着席。テーブルの上には既に用意されていたこの日のメニューが置かれていました。魚と肉も含んだプリフィックスランチです。

飲み物のメニューを持ってきたのはマダム。ご一緒した女性は飲めないということでソフトドリンクを、ジブンはオマージュでビールいいですか?あわてて急いで来ましたので。理由を知っているので温かいほほえみ返しです。

ソフトドリンクとビールという不思議組み合わせでようやく乾杯までこぎつけました。経緯は最後で。つきだしのオリーブとポンデゲージョを間に置いてアイスブレーク。話が弾みます。このオリーブの産地はラングドック。へ~え、そうなんですか。アミューズブーシュは2品。

フルーツトマトとコンソメジュレを合わせ、上にお化粧でカリカリな板状のキャラメライズされたものを乗せ。もうひとつが、フォアグラのフラン。このあたりからオマージュの世界にどんどん引き込まれていきます。

トピナンブール(菊芋)のヴルーテは、思わず目と目を合わすほっこりふわふわな味。思わず笑いが出てしまうおいしさって。前回来た時も、お~し、オイラも自作してみよう、と思って絶対近づけなかったヴルーテ。ここに来てシェフのをいただくのが一番やね。自家製のクルトンだって、この味、この大きさ、この数がピンポイントなんでしょ。

銚子産ホウボウのポアレ ジュ・ド・ポアソンでは、ホウボウの味が際立ってました。魚のポアレ、そんなに多くの経験はありませんが、ここまでのは初めて。焼きはもちろん完璧でしょうし、ソースがどれだけ主役を引き立たせるかしみじみ思ったことでした。フレンチはソースなんて聞いたことはありますが、実感。つぼみ菜、自家製のセミドライトマト、プチベールが更に料理に凄みを与えてました。

春菊のソース。魚の骨のソースは、まったく塩を入れていないというのが不思議な塩梅のいい味に驚嘆するばかり。手が込んで、手が入って。どれだけ根気が続くシェフなんでしょう、と今回も性格判断したくなりますよ。

イモ豚肩ロースのロースト、のほうは逆に魚に株を奪われた感じで肉の旨味やNA醤の味わいがホウボウの余韻を消すのに難しいくらいでした。これだけ高いポテンシャルの肉料理が前の皿の引きずりを許すという魚料理の素晴らしさを特記しておきたいと思いました。

デザートはリンゴのデクリネゾン。変化、と意味だそうです。リンゴチップを天使の羽根のように使い、その下にアイスクリーム、その下にクリームケーキと焼きリンゴ。リンゴ尽くしです。そして最後は、小菓子。小桜のかりんとう、人形焼フィギュアマドレーヌ、やげんぼりの乗ったチョコ。

シアワセ時間をいただきました。1人前でよかったあ。

待ち合わせを決めていた場所にご一緒する人が現れないというハプニング。携帯、ははん、家に忘れているな。連絡が取れないのでとりあえずお店には30分遅れると連絡しておきます。もうあきらめて、今日は2人分食べれるな、しめしめと思って店に向かって歩きはじめます。間もなく携帯が震え、お連れの方がお見えになったます。え~~~!急いで、速歩でお店に向かったため、いやあ、喉が渇きました。

お料理、ちゃんと満足できるように1人前は1人前なんですね。帰り際、シェフのお見送り。この方が、あの繊細で手の込んだ料理を、毎日毎日作っているんですね。

『とってもおいしくて。また幸せな時間をいただきました。あの手のかかるお料理。シェフはご自身ではSではなくてMと考えることありませんか?』究極のインタビューです。まあ、答えがすばらしい。けど、公にしないほうがいいような直截的ワードで。絶対的ファンになりました。


(2012年11月 初稿)

キリ番レビューの21回目。2100軒目のお店になりました。

ここまでレビューしたお店の数が増えてくると、書き手、読み手にとってキリ番の緊張感がゆるみがちだと思いますが、少なくとも書き手であるジブンは特別なお店を特別な思いで書く、ということには変わりありません。100軒目、500軒目、1000軒目、2000軒目と同じように、

熱い気持ちをお店に、読み手に伝えたい。

キリ番レビューの歴史がジブンの食べログ史であると思っております。いつもは行けないところやお店、いつもは食べられないお料理。

夢枕に閻魔大王が登場。
なあオマエ、オマエの命もあと21日。一日一食だけ好きなものを食べさせてあげよう。命が尽きる前に。どこで何が食べたいか申せ。

と言われたら、間違いなく食べログで刻んできたキリ番のお店21軒で食事をさせてくれえ、と言います。それだけ、自分にとってキリ番のお店はスペシャルなものなんです。今回も素敵な出会いがありました。

浅草には永年通い続けているアドバンテージを生かして、最近、浅草の美味しい店シリーズを走らせております。洋食、天麩羅、大学芋、肉まん、粟ぜんざい、とまずは目玉のお店を取り上げて、浅草通のはしくれであるアピールをしていたのが、ここオマージュとの出会いの伏線になったのでは、と今思ってます。浅草案内ならジブンにまかせなさい、みたいな。

ある日、毎回千葉オフ会UB会でお世話になっているうめばらももさんからランチのお誘いが。お店の名前がオマージュ、場所が浅草。あれま、やだよ。オマージュという名前のレストランが浅草にあることを知らないワタクス。これじゃあ、浅草通ライクも返上だし。いやあ、とってもうれしいお誘いですから万難を排して行くのは当然でありましょう。

行けなくなる可能性もありますよ、と脅かされましたが、それはこっちではなく向こうのこと。都合が悪くなったらドタキャンしますから、とも言われました。オマージュのことをすぐさま調べたら、ミシュランの一つ星。これは、ドタキャンはないな。絶対に行くはず、のつもりで浅草ガイドツアーのことも少し考えておかなきゃあ。浅草に行ってオマージュで食べて、はい、解散、という場所ではありません。時間の許す限り、お腹の許す限り、浅草の魅力を伝えましょう。

浅草駅での待ち合わせ時間が、予約してあると言う時間の直前です。ものすごい早歩きで行くような時間を言われました。これも、ただお店に行けばいいっつうもんでもありませぬ。お店に行く道中で何軒か紹介もしたい。浅草寺に来て、常香爐の煙を頭や顔にかけないとか、お賽銭をあげてお祈りしないとか、それはもう、ありえません。どんなに急いでいても、浅草ではやっていただきたい。

約束に時間に首尾よく会えました。そんなわけで、行きすがら何軒かのお店を紹介します。もちろん外観をみて、ガイドするだけです。雷門をくぐると人が多過ぎて歩くにも歩けませんから、雷門をくぐってすぐ脇道に入り、宝蔵門のところまで来て門をくぐります。こうすれば、常香爐で煙をかけられますし、お賽銭もあげられる。その後は一直線でお店を急襲。

ジブン、お誘いを受けてから1度オマージュの前に来てます。本番の日には道を間違えず、一発で来る必要がありますので、できたら下見をすると。機会があって、そうすることができました。お店は周囲の様子とは異質の外観を誇るコンクリ打ちっぱなしのモダンクール。ふたりでその前に立ちました。ドタキャン、ないない。

1階のクロークで荷物を預けて2階に案内されます。13時を少しまわってました。ラストオーダーまで20分。余裕でした?2階は外観とは異質な木を使った温かな空間が用意されてました。L字型に配置されたテーブル席。既にわれわれ以外は食事をスタートさせています。静かです。話をするよりも食べる方に専念しているかのような雰囲気。おれらも早く仲間入りしたい。

手わたされたメニュー。3800円!!か6300円ですよ。6300円になると魚と肉の両方が出てきますが、二人いることだし、3800円のコースでそれぞれ肉と魚をチョイスして半分ずつ食べることに。このランチのあとも控えてますので、少ないくらいがいいんです。お飲み物はと訊かれ、2種類の赤ワインを頼みました。

◎突出し的アミューズブーシュ
お店の定番だそうですが、オリーブが素敵スティックに刺さって。ポンデケージョをうめえうめえと食べていよいよ始まるなあ的気分になります。もちもち好きのももさんが、スマイルすることすること。このあとも、スマイルしっぱなしで、二人でうめえうめえを連呼してます。二人とも、初オマージュ、初ミシュラン。ワインが食欲を引き上げてきて。

◎アミューズ2種
フォアグラのフラン 葡萄のジュレ
茄子のピュレ 秋鮭のリエット

とってもシンプルに見えるのですが、作るのは大変だろうな。そんな思いを起こさせるアミューズ。既に素材の種類は両手で数えられないほどでしょう。フォアグラのフラン。

フランがいい。田舎者ですから、もっとくれ~的発想しかできませんが、これひとつとってもシェフのすごさが伝わってきます。あとでミシュランの採点の項目を調べると、なるほど、それぞれの項目で高い完成度を感じました。

◎マッシュルームのヴルーテ フランス産栗とノワゼットのクリーム
これが今日一だったかなあ。ヴルーテの旨味とクリームの濃厚さ。マッシュルームの風味。栗とヘーゼルナッツの刺激。こういう料理が出来るんですねえ。これはびっくらぽんのおいしさでした。ここ何年のベストワンと言ってもいいくらいの出色の出来。あまりに感激して、直後にマッシュルームスープを自作したくらい。もっと旨くするために、フードプロセッサーも買ったくらい(日記参照)。

マッシュルームクリームスープが、泡とともにふわとろ。ふわふわとろとろ。いやだなあ、もう、の逸品でした。フレンチトーストが箸休めの豪華さ。

◎冷製奥美濃古地鶏のドーブ セップ茸のクリーム
このテリーヌも複雑な味でこれだけの旨味を出すための苦労が、労力が透けて見えてきます。フレンチってすごい。セップ茸ってポルチーニですよね。濃厚なクリームで、この変化の山谷や味の深さには驚嘆です。

◎スパイシーなパン粉を纏った蝦夷鹿シンタマ ソース・ポワヴラード
メインの肉は蝦夷鹿でした。ちょっとジミな外見。目の前で食べている魚が豪華なセッティングゥに比べれば、メインらしからぬジミー大西。シンタマってもも肉の種類で、ウチモモの下にあって球状なので芯玉って言うそうです。肉肉してて、いい味してますね。しかし、魚の勝ち。

◎洋梨のイル・フロッタント スパイシーなキャラメルのスープ仕立て
フレンチの定番デザート。島、浮いている、ということで、スープがまわりを囲んでます。言ってしまえば大人の味。おいしいですが、これも目の前で食べているデザートの勝ち。この日はチョイスは全敗でした。ま、ガイドはでしゃばっちゃあいけませんぜ。

珈琲と小菓子。このスプーンがほしい。人形焼のマドレーヌは店のスペシャリティ。これから訪問する小桜のかりんとうも登場でした。

これで、全幕の終了。お客さんは二人だけで全員退場してます。余韻を味わい。お料理の素晴らしさ、というより、凄み。ミシュランが評価するという、「素材の鮮度と品質」「調理技術の高さ」「オリジナリティー」「コストパフォーマンス」「常にクオリティーを保つ料理全体の一貫性」「味付けの完成度」。この6項目クリアはもちろんのこと、深く印象に残ったのは、美意識。食の感性とアートなこころ。

選び抜かれた食材。完成度の高い調理技術。それを美的に見せる、魅せる。満足なランチでした。

ひとつだけココロ残りがありました。何であのとき、次回の予約を入れなかったのか。

これが、2100軒目に選ばれたオマージュです。いつもレビューを応援していただき、感謝いたします。また、2200件に向かってがんばっていきたいと考えます。

                            2012.11.4
                                   (G)

  • (説明なし)
  • (説明なし)
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9位

すし家 一柳 (銀座一丁目、京橋、有楽町 / 寿司)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥20,000~¥29,999

2013/12訪問 2013/12/07

一貫一貫が名品。寿司の温度、硬さのグラデーション、寿司の流れと、もちろん目を見張るネタと安心価格。

(2012年12月 再訪)

前回UPした寿司の写真を見て、作り物のように美しいと評したマイレビュアーさん。見てみたい、食べてみたいというお話でしたのでお誘いしました。

開店時間前にお店の前に行ってみましたが、まだ到着していないようでしたので。ジブンは時間を調整して開店時間ちょうどに店に入ります。にこやかな一柳さんに迎えられ、入口に近い2人だけ座れるショートカウンター席に。予約が2人でお一人様ですから、どうされますかと訊かれ、

『常識的な時間くらいはこのまま待たせていただきます。』

決して遅れてくるような方ではありませんので、と思いながら10分ほど経過。

『どうか、しびれをきらせたらおっしゃってください。お出ししますから。』

この絶妙なタイミングで声を掛けて来るのが、まさに一柳店主の真骨頂。

『たった今、しびれをきらしちゃいましたので、ビールをいただけますか?』飲み始めたと思ったらすぐにマイレビュアーさん到着。道に迷ったそうです。で、二人でカンパイしたのが開店時間の14分後ですから、もちろん常識の範囲で問題ありません(笑)。お店のおすすめ用途に“デート”を追加しました(笑)。

さ、始まりです。前回と同じおまかせの真ん中の値段で。お寿司の前に少しおつまみを。

お通しのわかめの後は、軽く味のはいった鱈子。そして、大ぶりに切られたかつおを3種の薬味でいただきます。このかつお、めっちゃうまかった。この日は前回とうって変わって、やはり二人の話に夢中になり、寿司に注いでいた愛情が半分もっていかれた、といった感じでしたね。あとで写真を見て気がつきました(笑)。この写真じゃあ、誰も一緒に行きたい、と言わないでしょう(笑)。

ここから、同席の方の本領発揮。お酒をたしなまれる方です、平均以上に。白ワインがきました。もちろんお酒も全部おまかせ、お店ではなくマイレビュアーさんに。

蒸した黒あわび。いやあ、でっかいですねえ、これ。まごうかたなき特級品で、味も食べごたえもすごい。Mてん鮨で1個まるごと出てきましたが、こちらの2切れの方が体積大みたいな。ワイン、正解!あまりお酒を飲まなくなったワタクシですが、隣に注ぎ上手な方がいたおかげで、久しぶりに飲んだぁのランチです。

ここからお寿司が始まりますが、やっぱりテンポがいいですね。寿司はこうでなくちゃあ、のタイミングで握られます。ただ、こっち側が少しはしゃぎ過ぎていたような感じでしたので、他のお客さんからは、IT企業の社長と銀座の超高級クラブのママが2号店を出すための土地買収がうまくいって騒いでいるんだ、と思われた可能性が大だと思います。どんだけ。

まずは、白身スタート。ひらめ、そして、鯛。このネタの厚みと大きさ。そして、シャリの温度に感激です。舌の味蕾が開いて大喜びしてます。感激したところで、あんきも。すでにマイレビュアーさんがねたばらししてますが、このあんきもがすごかった。

あんきもって、ねっとりとしてコクのかたまりみたいなもの、って思うでしょ。

アン肝を煮て味付けすることで、性情が全く変わるんですね。ねっとりがなくなり、さらっと爽やかな感じになりつつコクは残してる。これには二人とも、び・つ・く・りでした。

日本酒のリストを見て、何か選んでいるようですね。このあんきもがトリガー?いや、ワインがなくなったから(笑)。

中トロ、大トロ。こういう感じで、2つずつで攻めてきます。ひらめ、鯛もそうでした。トロのこのカットですよ。そして、温度のグラデーション。また前回の感激を思い出します。未だ発表されてませんが、2013年のマイベストテンに入れました。入れたはずです。

すみいか、こはだ、ときて、ここで一旦口直し。漬物でしたけど、ここだけ、何を食べたのか記憶がありません(笑)。ごぼうだったかなあ。で、握り再開はまず、車海老。これまた、ぶっとい海老ですねえ。茹であがって、温度もぴったり。客の食べ進みを見ながら裏で茹でてる?としか思えない絶妙さ。

店主がどんぶりをふたつ取りだしました。分かりますよ。海水うに、を海水からすくってペーパータオルの上に置き、海水を吸わせます。自家製いくら、を酒メインのつけ汁からすくって、以下同様に。

うにから。奥からオビを要求して握ります。

うにって、海苔なしで握るとおいしいよね、とかこちら側の幼稚な会話が聞き逃さず、

『ばふんうには、海苔と一緒の方がおいしくなるとおもいます。』

ごめんなさい、と言った気持ちでいただきます。いや、本当に海苔と雲丹が一体となって、うま~~。これは、海苔がいいからなんでしょうね。しろうとは余計なことを考えているんです。反省。いくら、またジブンで作りたくなりました。この前見つけたら1腹、2500円でしたので断念しました。

次は貝ですね。みる貝と煮はまぐり。最後焼き穴子にとどめをさされます。いやあ、大満足でした。興奮をしずめるのは、たまごやきと皮つきべったら。そして、お椀。

ごちそうさまでした。マイレビュアーさんも満足のご様子だったのが、何よりでした。

ここまま帰るはずもなく。

(2013年11月 初稿)

銀座に来ています。

ランチタイムの定刻に入店。一番ノリでしたのでカウンターの中央に。ランチのおまかせをお願いしました。つまみは不要でお寿司だけのおまかせです。

何が始まるか。何から始めるのか。とても楽しみです。ちょうどいい年齢かと思える若い店主。ジブンから見れば皆さん若い店主になっちゃいますが。少し話をして、どんな店主なのか。一発で、これはいける、と。

ひらめのスタートでした。うっほ。最初からこの大将の手の内が分かったような気になります。まずは、シャリの温度ですね。シャリの温度を突き詰めていくと、どこまで寿司が旨くなる、とトライエラーメソッドで究めたんじゃないの、と思うような。新鮮な味わい、ノーテンガツンです。

ぶり、鯛。鰤を挟んでの白身のラインナップですね。気のせいでしょうか。握りのほぐれ具合が違う。ふふ。笑いたくなる味の微妙な変化がもたらす旨さ。つまみで飲まなかった幸せを感じます。食事に専念して大正解。そして、ネタの切り方、カットですね。一番おいしく感じるカット、あるんですよ。基本的に小さなネタは対象外。大きなネタの厚みと大きさ。

産地はお訊きするまで言いませんが、訊くと最高のネタであることが何も分からないジブンでさえ感じます。毎日河岸に足を運んで流れの中でキャッチしてくる。

づけ鮪、中トロ、大トロ。白身から一変して鮪に入って来ました。まあ鮪はいつでもおいしいですが、今年一番かなあ、と感じさせる三タテ。トロも一番品がいい部分ですね。そして、厚み。シャリとの黄金体積比。ダメ押しはシャリの温度。温度管理、どうしていると思います?現場で確認してみてください。コモの中?ぶっぶ~。

すみいか、こはだ、鯵。江戸前のサクサクすみいか。寿司にはすみいかが断トツ最高ですね。そして、アオモノ。どんだけネタがいいかは写真で感じていただくしかありませんが、シャリとの味わいはねえ。写せません。鯵の後、ここで、チェンジアップ。酢漬けの蕪で口をウォッシュ。ここまで、今数えたら9貫でした。

車海老。鮪トリオ以上の興奮でした。こんな車海老って。結局、口に入れたときにどのような状態になっていると一番おいしいと感じるか、研究した者の勝ちなんですよね。どうしてこんなおいしいものを、まずくして提供するの?とちょっと言いたくなっちゃう見事なルーチン。これも現地で興奮してみてください。食べてみて、どうしておいしいのか言わない方が親切だったんだと思いますよ。

塩水ばふんうに、自家いくら。花形ネタの両者ですが、ここに来るともう一段レベルが上がってますね。いくら、ジブンで作りたくなりました。旨さがちがう。この塩加減だなあ。

みる貝、煮蛤。貝に入って来ましたね。蛤も断然ダントツで今年一番。ここで2度目のチェンジアップは、べったら漬け。うううう。買いたい!

穴子は塩、ゆずで。とろうまですね。お椀をお願いしました。そして、じゃ~ん、芝海老の玉子焼き。しっとりタイプ。カステラが一番おいしいと思っていましたが、その上でした。ま、あまりお寿司を食べる機会がありませんので、寿司に関してはまったく無知のワタクシですが。

〆はとろタク。めっちゃうまそうな中トロの厚めの切り身を切ったので、最後にもう一度トロから、と思っておりました。おっと、そいつを縦長にカットして、ああ、もったいない。と思ったら、とろタクに変身。ふふ、終わり方も粋やねえ。

  • 大トロ
  • みる貝
  • 煮はまぐり

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10位

季より (牛久 / そば、日本料理、創作料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 ¥3,000~¥3,999

2015/08訪問 2015/09/01

遊び心と繊細さ、緻密な計算と入念な手仕事。既にして名店に通じる道を歩む石臼手挽き蕎麦の季より。

(2015年8月 再訪)

お店のHPに夏の玄蕎麦の写真がアップされました。もう早生の収穫なんですね。季よりもずいぶんごぶさただと思って過去のレビューを見ると、なんと1年半も訪問してませんでした。予約をして行ってまいりました。

毎回、行くたびに驚かせることがありますが今回もまたびっくりでした。有馬店主の進化、そば前もそばもジブンの中にある過去の季よりをはるかに超えてきてると感じました。間があいたからこそその違いがはっきりと分かったのかもしれません。もともと勉強家ですからひとところに立ち止る人ではありませんが、着実に幅が増えてますね。

昼のコースの1品毎にも工夫が見られます。ここでは、飛び切りの素材の調達と素材の組み合わせが目を惹きます。一番気に入ったのは紅天使のスープ仕立てでしょうか。食材は師である阿部翁の紹介によるものですとおっしゃってましたが、このブランド芋のよさが存分に出ていたと思います。

竹富島産天然もずく、山芋葛、いちぢく、おくら、米茄子、アスパラなど和食のセンスが光る調理で楽しませていただきました。確実に前進してると感じながら食べ進めます。定番の鍋焼き玉子焼きや自家製豆腐もちょっと変わったような。

ウーロン茶葉で燻製にするとか、たまり醤油と藻塩出汁の対比を楽しませてくれるとか。充実の昼のコースでした。

蕎麦のハイレベルは期待を裏切りません。確実に来ます。陶酔が来ます。未食の方は今すぐ予約すべし。蕎麦の概念が変わると思います。この日はもう一つサプライズが。

こんなお蕎麦たべたことない、と言わしめたのが、水越しそば。突然仁行を閉めた石井さんから伝授を受けたそうですが、この細打ちでありながらこの食感はなんなんでしょう。石井さんは閉めるのも突然でしたが、すぐまた新富町で店を始めましたので、早速行かねばならないです。

この先どんな風に進んでいくのか。店主の動向に注目です。

(2014年3月 再訪)

気にしながらも1年振りとなった季より。

その長かったインターバルを悔しがらせた季よりの大幅な進化に、すっかり驚かされました。

この日の食事を総括してみると、

①蕎麦がまた一段と旨味と風味がシャープな逸品に変貌していた。

もともと凄みのある旨い蕎麦でしたが、1年ぶりに食べてみると過去のものよりも更に上を行く蕎麦になってました。ジブンの中では世の中にこれ以上の蕎麦があるのか、と思うくらいです。ここの方が多分上だよ、と言われる方があったら是非紹介していただきたいくらいです。

②ご好意で、試作品のかけそばをいただきました。
このかけそばがまたいかにも季よりらしい、蕎麦もつゆも両方の良さを最大限生かそうとする試み。今まで食べたことが無いような旨いかけでした。

お訊きすると、構想からかなりの時間を費やして研究を積み重ねてきた様子。HPではまだリリースの情報を見ませんが、早晩皆様のお口に入るかと。パーフェクト主義?の店主のことですから最後の詰めを行っているかも分かりませんが、ジブンの感想はもうすでに完成していると思いました。

次回からは、もりかかけか。両方いただくしか選択の余地はないでしょう。情報を早く上げすぎたフライングだったら、申し訳ないです。

③お昼のコース料理
これも更に進化してました。調理法の多様化、食材の厳選を研ぎ澄まし、この一見小さな世界にぎゅっと旨いものを食べた時の悦楽を凝縮したような。限定品ですので、予約の時に合わせてオーダーすることをお勧めします。

お蕎麦、いいですねえ。ごちそうになりました。

季よりの原点とも言うべき柏竹やぶさんに行く時期が到来したかな。そんなことも考えながら、暇を告げました。


(2013年2月 再訪)

季よりさんのディナーを食べてみたい。

所謂蕎麦会席と世間で呼ばれている蕎麦のコース料理を、どうしても季よりさんで食べたくて。ただ、一人では長時間のコースはどうも退屈なので一緒に行ってくれる方がいれば最高!そんな中、ありがたい、死んでも残留さんと誘い合って行って参りました。おまかせのコース。少し早めに予約して、店主さんが準備する時間を確保します。そして、この日、残留さんと牛久駅で落ち合って、いざいざ。

お店に到着。どうもどうも。ようやくこの日がやってまいりました。ご挨拶後、会場の部屋に通されて準備万端。ビールで乾杯して、いよいよコースのスタートです。

*そばがき
 見た目からしてすごい迫力。使っている蕎麦は皮を剥いてその後ほとんど挽いてませんね。手挽きの大粗挽き。ステキデザインのそばがきに使った蕎麦は栃木県馬頭の在来種。まだ熱々のそばがきをいただきます。すっごい強烈な蕎麦の風味。言ってみれば、挽いたばかりで、掻きたて。食べる蕎麦では最高の食べ方でしょうね。いきなりのトップギヤです。

蕎麦の実をそのままいただきました、と言った感じです。竹やぶさんでは、コースの最初にそばがきを持ってくると後でお話を聞きました。ひとつの見識だと思います。

*豆腐あれこれ
 豆腐よう、は沖縄の豆腐料理。ねっとりとして発酵食品独特のコクがあってうまい。おからを豆乳で炊いたもの。そして自家製って全部自家製ですが、豆腐。この豆腐も絶品やね。ちょっとしたあてに、グランドメニューにあるのかなあ。いつでも、毎回食べたいです。

*小料理15種
 出た~。お昼のコースのディナー版。迫力の15種です。そして、そのどれもが手が込んでいて、イタリアン、フレンチ、和食の手法を駆使し、珍しい食材を楽しませてくれる。これは時間をかけてゆっくりと堪能しましたよ。どれもこれも、隙があるようで隙がない、と言った料理です。アットランダムに5種選択すれば、もうそれだけでコース料理になり。

集大成とは申しませんが、味わい深いこのお料理は今後のお店の方向を見るのにはうってつけのアラカルトでしょうね。写真では分かりづらいかもしれませんので、胸にじ~んときて、運よく書き留めた素材の名前を列挙します。料理法はすべて教えていただきましたが、あまりに多くて複雑で書いても不正確になるでしょうから。食材だけでも不正確かもしれません。この全部が全部、料理法が違うんですからね。引き出しの多さ、恐れ入りました。

うるい、フルーツトマト、空豆、ちぢみほうれんそう。筍、新ごぼう、新蕎麦のブランマンジュ、つぼみ菜、クリームチーズ in 蕪。わらび、むらさき人参、安寧芋、むらさき芋。

*にしん1週間ことこと煮
 今まで竹やぶさんのお弟子さんのお店で何回かいただきましたが、断然おいしかったです。お話では、少しずつやり方が変わってきているということですが、これはすごい珍味だと思いました。これを食べて、未訪である柏竹やぶさんにそろそろ行きたくなりました。

*ユリ根鍋
 くるまえび、かつお、昆布のお出汁にユリ根と蕎麦がきが入ったもの。これも、ちょうど冷たい料理が続いたのでほっと気分が変わるニクイ演出だと思いました。量がたっぷりあって、そばがきが1人前?ずつ入っていますので、ここでかなりのキャパが埋まります。でも、うま~い。

*鴨肉、虹鱒、蝦夷鹿、アンコウの肝
 メープルシロップに漬けた鴨肉。甘くて旨味たっぷり。芦ノ湖の虹鱒を軽く桜チップでスモークしたもの。そして、蝦夷鹿の肉を烏龍茶でスモークしたもの。珍品の数々でこれだけ手を入れている酒のあってって。ジブンにはもったいない珍味共演でした。

と言う具合に、どれをとっても高原状態が続くハイテンションなお料理の連続。すごい、うまい、しか言葉が出て来ませんでした。昼のコースで予想は出来ますが、実際こうやってコースの流れなどを思いながら食べると、感慨無量なものがあります。

*車海老の天ぬき
 天ぬき、大好きです。大きな車海老がごろごろ。まあ、とんでもなく幸せを感じるひと時です。この天ぷらの技は必食だと思います。お出汁が時間を要すると言うことで、予約でお楽しみください。

*石臼手挽きもり①
 最初に供されたそばがきと同じ馬頭産の十割もり。最初の蕎麦がきの時に、その粗挽きの程度に驚きましたが、それをそのまま蕎麦にしたのですね。この大きな粒子でよく紐状になったと感心してしまいます。さすがに、蕎麦が濃くて旨い。蕎麦の実、そのものを食べている感じは、蕎麦がきの時よりもなお一層すごい。濃厚なつゆが味わいを膨らませます。

*石臼手挽きもり②
 2枚目は、北海道蘭越産と常陸秋そばのミックス。これがめちゃめちゃ旨い。細打ちの見事な蕎麦で、こちらはランチ時に提供されると同じもの。こちらのほうが、より深い感じがしますね。最高レベルの旨さ、です。もうこれ以上はない、と思わせる非常に完成された蕎麦だと思いました。馬頭もめっちゃおいしいですが、こうやって比べてみると、蕎麦のレベルを上げていくミックスの妙がありありと実感できますね。だから、蕎麦アーティスト。素材はもちろんいいけど、それを更に磨き上げるのは技、人間なんだなあ。

蕎麦がきから始まり、驚きと喜びの連続でした。これだけの量ですから、おなかはいっぱい。このあと、デザートの盛り合わせが用意されていましたが、一番軽いもの1点だけにしてもらいました。

*夏みかんムース
 ふわふわな食感で新鮮なフレッシュさを楽しめます。フィニッシュにふさわしい爽やかさでありました。

常に前を見て勉強、精進を継続してる有馬店主。もうすでにここまで到達していますが、更に上にと立ち留まっていません。ますます楽しみです。ディナーをいただきやはり真骨頂を垣間見た感じでした。また、ランチ、ディナーでお世話になります。ありがとうございました。

残留さん、おいしかったね。また、ご一緒しましょう。


(2012年12月 再訪)

この日も、前回同様にラーメン店の店主さんとご一緒させていただきました。伝説によりますと、ラーメンの食べ歩きをしていて、ラーメン好きが嵩じてラーメン店をひらいた、という店主さん。開店するやいなや、一気に行列店になった水戸にあるMじゃきさんです。その店主さんを蕎麦の世界に引き込もうと、こちらからお誘いしました。

開店時間にお店の前で待ち合わせ。時間になって揃って入店。また、あのラーメンおかもちがある素敵な部屋に通されました。季よりの店主さんからごあいさつを受けます。いよいよ、また極上蕎麦に会えます。

Mじゃき店主さんと話をしていると、うれしいですね。お昼のセットの登場です。美しい。おいしいものは、うつくしい。この日も、食材や調理法にさまざまな工夫がなされ、Mじゃきさんも旨いを連発してました。ベースが日本食で、そこにさまざまな感性で料理を主張する。ポーションは小さいですが、ここにある1品1品には相当の手間をかけていることが分かります。おいしいですねえ。小手先ではない力強さを感じます。

今回、サブライズを用意してくださってました。もうびっくり。チョーうれしい。ワタクシのバースデイということで、天ぬきを出していただきました。まったくのサプライズでしたが、天ぬきと聞いてにこにこが止まりません。熱いうちに、と言われます。

つゆをかけます。じゅ~~~~。この音は、竹やぶさんのお弟子さんのお店でいつも楽しませていただいているアミューズです。さくさくの天ぷら。ぷりぷりの海老。うまい、しか言葉がでてきません。食べタレ(食リポーター、タレント)にはなれません。はふはふ言いながらああっと言う間に食べきりました。

そして、メインのお蕎麦。毎回驚かされますが、今回が一番驚きの蕎麦だと思います。この日は、北海道と栃木の玄蕎麦を挽きわけてきたようです。チョー粗挽きと粗挽き。それをベストミックスで配合して打った蕎麦。手挽きならではの工夫と挑戦。この蕎麦は、風味といい味といい凄みがありました。ここまでのお蕎麦、食べた経験がありません。ジブンで説明する能力を超えた蕎麦、です。

蕎麦、穀物が本来持っている味、風味はこういうものなんだと思いました。それが蕎麦になって、もう一つのファクター、食感が加わります。どれもマックスだと思いました。

最後にいつもながらおいしいデザートで興奮を鎮めました。Mじゃきさんと顔を見合わせて、うまかったああ。

さて、
大晦日の日、あわただしく食べログのマイベストテンを決めました。毎年のことながら、印象深かったお店、一番幸せを感じたお店を10軒選ぶと言うのは本当に難しいことです。30軒くらいなら、もう少し気が楽になるのですが。10軒の中では、1位も10位も同じだと思ってます。

2008年の8月に初めてますので、ベスト10は2008年からストレート5回目。今回の大きな特徴は、日本蕎麦店が1軒も入らなかったということです。失礼ながら、季よりさんを次点として2013年度には是非ベストテン入りを目指してください、と結びます。

ベスト10のお料理をいつもいただいてます。季よりさんは、ご自宅を使ってお店をしてますので、レストラン的立地から言えば大きなハンデを背負っています。そのためだと思うのですが、食べログにUPされた15レビューで夜は1レビューだけ。これでは、季よりさんの実力のごくごく1部しか評価されません。実力の片鱗が見えるのは、あのyukaさんのブログです。

予約をすれば、このようなお料理が食べられるのか、のひとつの例でしょう。天ぬきも予約で作ってくれます。昼のセットの拡大版とも言えますが、やはり違います。デザートも盛り合わせにすると迫力が違います。豆腐三昧、食べてみたい、と思わせます。

蕎麦でミシュランをとったお店のレビューを見ると、蕎麦だけでは当然☆は取れません。夜のお料理なんですね、評価されているのは。場所、と言いましたが、夜もっと多くのお客さんが押し寄せ、更に多くの夜のコースのレビューがあがれば、季よりさんも更に進化していくと思うのです。まず、言い出したワタシですね。今度誰か一緒に行く方を見つけてお邪魔します。

そういう伸びしろを考えて、本年度は失礼ですが次点にさせていただきました。今年1年のご健闘を祈ります。


(2012年9月 再訪)

今日は、一人ではありません。下妻にある人気ラーメン店の店主さんと待ち合わせて二人で季よりさんにやってきました。ヒゲゴリラさんの言い方では、A井さん。最近ラジオ番組に連続して2度出演するなど枠を超えての大活躍。先日のつくばラーメンフェスタでは、子供の集団しもんchuと一緒に写真におさまってツイートしてましたね。ジェレネーションギャップに笑いが引きつっているのを確認した方も多かったでしょう。

訪問したのは9月の下旬。まだ入道雲が元気な季節でした。思い出すために、雲の写真を1枚張り付けておきます。A井さんは、この日から夏休み。あとでお聞きしたら、このあと深夜に海外に遊びに行くということでした。そんなこともあり、満室になっても困るので、事前予約を入れます。その時、季よりの有馬店主さんから何かリクエストありますか、と訊かれます。

え~っと、1本の蕎麦には蕎麦の実がぎっしり入っていて、それが飛び出してくるみたいな、それで細い蕎麦。

むちゃくちゃなことを言ってます。そんな蕎麦、あるわけないやろ、って自分でも思いながら。

難しいですねえ。でもがんばって作ってみます。

なんと言う優しい気持ちの店主なんでしょう。まだ時間があるので、いろいろ試作してみるとおっしゃってくださいました。

待ちに待った当日がやってきました。お店の駐車場でA井さんと首尾よく合流し、並んで店内に入ります。ご挨拶をそこそこに招じ入れられたのは一番奥の部屋。そう、支那そばやのおかもちがある部屋です。とても落ち着く部屋で大好きです。

事前にお昼のセットもお願いしてありました。お茶をいただきながらA井さんと情報交換。当然お店ではゆっくり話せませんので、いい機会でした。

これ、そばがき作ってみました。どうぞ。

いやあびっくり。これは予想してなかったので、めっちゃうれしかったです。

ちょっと箸の先にとって、いただきます。掻き立ての熱々。おおお、すごいぞこれ。濃厚な蕎麦。コクのある蕎麦。蕎麦よりもずっと風味が強い蕎麦掻きです。そもそもが石臼手挽きのお店ですから、この蕎麦掻きは最強ですね。もう、くらくらするほどの強烈な蕎麦の風味にノックアウトされました。蕎麦掻きって実においしいものです。

途中で、すこしつゆをつけたり、本山葵をつけたりして変化を楽しみます。蕎麦掻きを、ジェラートの形で提供するとは、有馬店主らしい自由な発想が出ているとおもいました。

そして、お昼のセットです。きれいですねえ。いつも感心してしまいます。1つ1つ丁寧に説明していただきました。なるほどねえ、って聞いているときはよく分かりますが、紙に書きとめるときにはもう忘れてます。

クルマエビの茶わん蒸し。濃厚な味わいで、海老のいちばんおいしいところがでてます。エリンギとししとうは新鮮さんまのペーストで。その他、つるむらさきや焼きパプリカの深い味わい。ピュアホワイトとうもろこしの自然がくれる最高の甘味。濃厚な味の豆腐。鍋焼き玉子焼きにもしっかりと海老味が入っています。

これだけの品すべてが手が込んでいて。小さいポーションですので、いろんな味が楽しめる秀逸なお昼のセットです。本気でお酒を飲むときには、このなかから3点4点を1人前の量にしていただければ、そのままそば前になりますね。

食事のあとで店主が話されていたことが、ずっと胸にありました。

“ここは蕎麦屋、蕎麦があくまで中心のお店です。ですから、(昼のセットの)お料理に関しては、最高においしい、ところから少し手前で完成するようにして、蕎麦の方を生かすようにしてます。”

う~む。深いなあ。表現の言葉は正確には覚えておりませんが、そのようなことをおっしゃってました。ますます、季よりに心が傾いていきます。

そして、じゃ~ん、蕎麦に関して何もわかっちゃいないワタクシが無茶振りしたお蕎麦が出てまいりました。

おお、これだよ。びっくりです。本当に打ってくれたんだ。どうですか。写真でも、蕎麦の実がよく見えるでしょ。蕎麦の粒がぎっしりです。飛び出してきそうです。まさにリクエスト通り。よく蕎麦状と言いますか、ひも状になりましたね、ってお前が言うな。リクエストしたんだろ。はい、そうです。

箸で手繰ります。非常に軽やかです。箸で少しだけ食べてみました。これですね。蕎麦の原点そのものでしょう。蕎麦の穀物味がストレートに伝わってきます。目の前にいるA井さんも感心しきり。この蕎麦を食べて何も思わない人はいないでしょう。厳選された玄蕎麦を丁寧に自身の手で挽いた蕎麦の実です。手作りの愛情もたっぷり入っています。こんな蕎麦をいただけることに、深く感謝しました。

ふう、おいしかったねえ。雰囲気のある部屋で余韻を味わっています。

そして、最後、本日の石臼手挽き蕎麦の登場です。こちらはレギュラーサイズで。先ほどのスペシャルは、やや分量が少なく、合わせるとちょっと多いくらいか、普通の男性にはちょうどいい量かもしれません。引き続きいただきます。

一口食べて、A井さんと顔を向き合ってしまいました。何ということか、こちらも最高にうまい。なんで、なんで。先ほどのスペシャルが最高の蕎麦と思いましたが、こっちのレギュラーのほうがもっと濃厚でもっと蕎麦の味が出てる気がしました。やはり、どうやったら玄蕎麦を最高の味で提供できるのか、いつも考えている店主の傑作は違う。こうやって、蕎麦の魅力を存分に引き出してサーブする。蕎麦アーティストの面目躍如です。

ああ、おいしかった。こうやって素晴らしい蕎麦ランチが終わりました。その後、少しお時間をいただいていろいろ話をしました。控え目に話す有馬店主の熱い思いも分かりました。蕎麦はもちろんその他いろいろなお料理をいろいろなお店で食べ歩いている話。その一部はブログで知ることができます。話に出てくるどのお店にも行きたくなります。

特に、オランダ料理のお店は是非とも行きたいと思いましたが、店名、忘れました。検索ちゃんしても、どうも違うような。今度お会いした時に訊いてみましょう。時はうつろい、先日、新そば入荷のツイートが届きました。緑色の蠱惑。早晩お伺いしなくちゃあ。ごちそうさまでした。

この日、お相手をしていただきましたA井さんにも感謝いたします。また、どこかご一緒しましょう。


(2012年6月 再訪)

蕎麦好きの人は知っていると思いますが、おそらく日本で一番有名な蕎麦のブログはyukaさんが書いているつれづれ蕎麦でしょうか。そのyukaさんが房総鴨川にある打墨庵加瀬に行って蕎麦を食べてます。わたしもときどきyukaさんのブログを見に行きますが、実はあまり好きなブログではありません。どこの店の何を食べてもおいしい、しか書きませんので、面白みがない。

蕎麦店のほうも彼女は毒のない安全パイであることを知ってますので、彼女のために特別なそば前を用意したり、特別な蕎麦を打って彼女を招待する。そんな内容のブログって。苦労しながら蕎麦店の予約をとって当然ですが、決められたものだけをいただくワタクシのような平民にとって、まあ、一種の不公平に映るわけです。ずるい、と。

内容に悪口がないので、本にもなります。本なら、わかる。批評、不要です。でも、おいしいおいしいばかりのブログって。おいしいものしか店は出しません。それをそんなに絶賛する蕎麦ブロガーと蕎麦屋のべったり癒着が好きになれません。いくら人気があろうとも。

時同じにして、牛久の季よりの店主が打墨庵に行ったことをブログに載せてきました。ワタクシも鴨川までお蕎麦をいただきに行ったことがあって、興味深く読んで。ああ、あの打墨庵のマスコットやぎさんは、季よりの店主からのプレゼントだったのかあ。加瀬店主と有馬店主は、同じ釜のメシを食べた仲なんだそうです。ブログを拝見していたら、やっぱりね、季よりの手挽き蕎麦が食べたくなってしまいました。

この日、朝、季よりさんから、本日席に余裕ありますの告知がありました。ほんとですか?早速に電話して、席を予約しました。ラッキーです。数量限定の手挽きそばと数量限定のお昼のコースを一緒に予約しました。これで安心。今日、食べられます。

国道6号線の混雑を見越して早めに家を出たために、開店時間よりも相当早く着いてしまいました。このお店もまた独特の世界観が溢れてますね。ご実家を手作りでここまで完成させてきたのは店主です。お店には小さなタイルやビー玉を使った装飾があり、これは柏竹やぶの阿部翁の力が及んでいる証左です。店の外から建物をぼけっと見てました。開店時間までもう少しあるので、車の中で待ってますかな。

定刻よりも少し前、店主が母屋から出てきて、表の看板を裏返しましたよ。そして車の中に居たジブンに声をかけていただきました。

先ほどはどうもです。お店に来る前にツイートして、よろしくと。店主の後ろからくっついていき、靴を履き替えて通されたのは、一番奥の部屋。前回訪問した時は一番手前の部屋でしたので、これはいい。襖戸を開けて、部屋の中に招じ入れられます。大きなテーブルは骨董品を組み合わせて作ってあって、竹製ランチョンマットが二人分向かい合わせで置かれてます。その片方に座りました。家具も骨董なんですね。

さ、どんなお料理が食べれるのか。楽しみです。冷たく冷やされた麦茶をいただきながら、しばし待ちます。料理や勉強用の本が入っているのは、ラーメン屋のおかもちですね。こういう遊び心の雰囲気の中でいただく蕎麦はまた格別です。

さ、これがお昼のコースです。白いステキな皿の上に全部乗ってきました。店主から説明を受けましたが、そのときはなるほど、と思ってそんな料理法があるのかって感心するのですが、次の説明が始まると、もう忘れています。メモリーが極小のため、一つメモリーに入れるためには一つ忘れる必要があります。

ですから、以後は想像、推測も交えての感想ですので事実と違うかもしれませんのでご容赦ください。

さて、最初はおかひじきです。それを芥子和えにしていて、刺激を楽しむように設計されています。いいねえ。それから、隣の茶碗蒸しは海老の味が濃厚でやはりこのお店では、ふつ~のものがありません。どれもが斬新でうまい。それとスナップエンドウにわらび。わらびは北海道のものだったかな。こういうお料理が出てくるとどきどきしてしまいます。

まだありますよ。オーブンで焼いたアスパラでしょ。湯葉とソラマメ。味付けまで教えていただきます。そう、赤いのはパプリカを煮た物。これが一番刺激を受けました。自分でもやってみようと。濃厚な豆腐と鍋で焼いた玉子焼き。この玉子焼き、ちょーうまです。

見た目は、ほんのちょっとずつの料理ですが、全部、それぞれに手が込んでいて、イタリアン、フレンチの前菜もびっくりの多彩さです。それが、うまいんだからたまりませんね。こんな風に、小品の中に、店主の技と知識と(多分)冒険が詰め込まれているんです。

お料理は定番ではありませんが、理にかなっているところがおいしさをはずさない理由でしょう。しかし、この料理の仕込みは相当時間がかかりそうです。根気もないと、とてもここまでは。一品でも少なくなればうんと楽なんでしょうが、そうしないところが季よりなんですね。

お料理に関しては、ヌーベルバーグなどという言葉が頭に浮かんでまいりましたが、それが当たっているのかどうか。ごちそうさまでした。いよいよ蕎麦です。

まずは、つゆと薬味が出されて、それから少々待つことになります。薬味は辛味大根、山葵。蕎麦猪口も粋です。

そろりと蕎麦が届けられました。

おっと。ジブンの記憶にある季なりの蕎麦とはちょっとイメージが違っていて、どちらかというとおとなしい感じに打たれてます。自分の中では、季よりの蕎麦は、挽きぐるみばりばりの手挽きで、蕎麦の粒子がまだ荒々しく見えて、星も3色くらいに見えて、そんなことはないかもしれませんが、ちょっと肩透かしをくったかな。

ただしですよ、食べてみると、これはやっぱり店主がココロをこめて手挽きした蕎麦に間違いありません。あんなにおとなしい外見をしていながら、蕎麦特有の穀物風味は強いですから。ちょっとマジックのように感じました。

あとでお訊きすると、この日は夏バージョンということで更科をやや多目にしてのどごしを良くしたそうです。打ち方も教えていただきました。細かいこだわりのある蕎麦アーティストの面目躍如です。

また、ただし、ですが、ジブンの好みからしては、夏バージョン不要で、普通に打った蕎麦がいただきたかった、という具合に、なかなかうまくいかないものです。もしジブンがお店を貸切にして15食全部食べる機会があったら、まあ、あと100年ないでしょうが、本当に一度食べてみたいのは、

ゴツイ太い噛む系の黒っぽい挽きぐるみの田舎蕎麦を江戸前の細さで打った飲む系の蕎麦が食べたい。

要は、細打ちが大好きで、風味はどれほどあっても大歓迎で、ざらつきも大歓迎。

まあ蕎麦に詳しくないので、勝手に食べたい蕎麦を言っているだけです。

さて、季より。つゆ。これがあるから、すでに名店の道を歩き始めた、と評したいのです。このつゆは本物、と経験の少ないジブンでもそう感じます。蕎麦を手繰り、下一分ほどつゆをつけて一気にすすりこみ。ものが違ううまさ。うまかあって心が緩みます。蕎麦湯をいただいて終了。部屋を出て、厨房にいる有馬店主にごちそうさまでした、っていとまごい。デザートがありますよ、って言われて再び部屋に戻りました。デザートは、コーヒーババロアの白仕立てとコーヒー。まあ、いろんな引き出しをもっているんですね。うまかったです。白いコーヒーババロアってどうやらコーヒーを牛乳や生クリームに入れて風味を移してババロアを作るみたいですよ。訊きませんでしたが。

帰り際、ちょっとだけ話をさせていただきました。ますます将来が楽しみな、緻密なアーティスト、そんな印象を持ちました。またおじゃまします。またごちそうしてください。


(2011年7月 初稿)

お店の外塀は竹を組んでしつらえてあり、味わい深い季よりと書かれた看板が掲げられています。雑誌の写真で見た店主の若い風貌からはちょっと想像できなかった外観ですが、柏竹やぶの系譜ということを考え合わせれば、なるほど、の意匠です。入り口から中を覗くと、お蕎麦をいただくお店は入り口からはずっと奥の方にあります。入り口からは玉じゃりと飛び石を配したアプローチになっていて、その奥には、木の橋になってますね。どこまでの遊び心なんでしょう。

表には営業中の看板がありました。お目当ての手挽き蕎麦はあるのかないのか分かりませんが、営業中の看板に信頼を置いて橋を渡ります。

お店が新生開店したのは1年半前。お店が生活圏内の牛久にあることから、お店にはただものならぬ雰囲気を感じて早めにお伺いしたい、と思いながら悲しいかな雑事に紛れ、お店のことは忘却の彼方へ。あるお蕎麦屋さんで、蕎麦の出来上がりを待っている間に見た蕎麦の雑誌に季よりの有馬店主が柏竹やぶの阿部師と同じページに顔写真が載っていて。竹やぶの系譜特集の1コマでした。

店主は柏竹やぶで修行し、その後の箱根、六本木竹やぶでさまざまな経験を積みます。ここで遥か2000光年のかなたにあった季よりに行く、記憶が蘇り次の日に行くことにしました。

この日はまたまた雑事でお店に行く時間が遅れに遅れ、1日15食しか作れない手挽きせいろはとっくに売り切れの時間です。ここで行かないとまた1年半行かないだろうと危惧し、お店だけでも見ることで出発。住宅街にあるお店に到着したのは14時をとっくに過ぎていました。

木の渡り橋を渡るとそこにこれもどう見ても手作りの作品と思われるようなお店の入り口に差し掛かります。お店の中に入らずそのままマクラ木で作られたアプローチを進むと、屋外でも食べられるようにテーブル席があります。そこの主でしょうか、美形のにゃんこ先生にご挨拶されました。

のれんをくぐってお店の中に入ります。ごめんください。靴を脱いで玄関を抜けて最初の部屋に入ります。ほほう。クラシックな椅子とテーブルが配置された素敵な部屋があります。厨房から店主が出てきました。写真で見た方です。テーブルのひとつはマダムが静かに会話されてました。もうひとつのテーブルに落ち着きます。部屋の中にはモダンな曲が流れ、調度品や空気感と合わせてシックなカフェとも見違えるような心配りが行き届いた部屋になってます。この部屋の奥にも部屋があって、平屋で横長な民家を巧みに改造し、遊び心と緻密な計算で蕎麦を楽しむだけではない竹やぶのフィロソフィーが生きてるなと感じました。

お品書きを拝見。この品書きの文字だって。このお店の真骨頂はお蕎麦ももちろんですが、あてにいただくお料理だと思っています。ですから、次回はお酒をいただくこととして、種物は今回はスルー。そのままお目当ての蕎麦に目をやります。

“石臼手挽きもり 北海道蘭越産の蕎麦の実を手挽の石臼で挽いたおそば 1日15食限定 当店ではすべてのおそばが手挽です。”

店主をお呼びして恐る恐るお訊きしました。ある、とのことでこんな僥倖はありません。さっそく石臼手挽きもり(945円)をお願いしました。

厨房は仕切ってあって店主の所作を見ることはできません。時間はどれだけかかっても少しも頓着しませんが。流れてくる音楽に耳を傾け。ちょっと席を立って、石臼やクラシック扇風機を味わって。着席しているとお料理が運ばれてきました。これはちょっと知識がありませんでした。さしずめ前菜の3点盛り。そば前です。素敵な皿に盛られてます。骨董品でしょうか。挿してある絵がいい。

たまねぎの梅酢あえ。漬物。おくらの炙り。いずれも小品ながら気が回ってます。やっぱりお料理をいただきたい。そう思っていると、厨房から水切りの音が聞こえてきます。どきどきしながら待ちます。店主が現れていよいよお蕎麦をいただきます。

小粋な木の器に盛られた珠玉の蕎麦。目を凝らすと透明の蕎麦の粒粒が見えてます。店主が丹念に手挽きした蕎麦です。さっと箸を入れるとじつにふわりとかろやかに。一緒に蕎麦の香りまで運んできました。風味のいい生まれたての蕎麦。そっと大切に口に運ぶと、更に穀物の風が吹いて。この最初の一口が至福の一口。ちょっと気持ちが入って、蕎麦の感触を確かめつつ。二口目は蕎麦の上からわさびを塗って。

さっと手繰り下から二分のところまでつゆをつけていただきます。つっつ~と蕎麦とつゆが二度目の至福を運んできます。これはおいしい。濃厚なつゆが蕎麦をききりと引き締めます。周囲からの重圧も感じながらお店を開いたのではなかろうかと下衆の勘ぐり。見事期待に応える蕎麦がすでに手の内に入っているということですね。まだまだ将来の発展が楽しみな店主です。

鉄瓶に入って出てきた蕎麦湯。これなら、冷えることはありません。蕎麦猪口に注ぐと熱々の蕎麦湯が迸り出てきます。これもまた蕎麦のうまさを思い起こさせる出汁のきいた蕎麦湯。

遅い時間に訪れたにも拘わらず、思い通りの蕎麦をいただけました。ますます店主の作ったお料理、そば前をいただきたい。そう思いながらいとまごいをしました。入り口の外まで見送ってくださり恐縮。再び渡り橋を歩いて下界へとおりていきました。

  • お昼のコース
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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