(前略)崔孃には何かしら暗い影があり、平生、何かしら眞劍に考へざるをえぬものがある。そして「より良く生きる」といふ事を彼女は念じてゐる。それは尊敬の對象があるからで、それが朴正煕大統領だつたのである。無論、よりよい生活を心掛けて果せぬのが人間の常である。が、尊敬の對象がある限り、人はひたむきに向上を圖るのではないだらうか。賢を見ては齊(ひと)しからん事を思ふ、とはさういふ事ではないだらうか。
松原正著「ある娘との出會ひ/全斗煥將軍の事など」『松原正全集 第三卷 戰爭は無くならない』(圭書房)所收
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