オビキンさんのマイ★ベストレストラン 2018

勝負ランチ

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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勝手に皆様からパワーをもらってがんばっています。雑食性なので特化したジャンルはありませんが、「行った」レビューでは「居酒屋」が多くなっています。自分はそんなに酒場ばかり行っている自覚はないのですが…。地域やお店の活性の一助になるよう、そして特に知られざるお店こそ魅力がよく伝わるようなテキスト作りを心がけています。町の食堂とか中華とか、守りたい味がたくさんありますからね!

マイ★ベストレストラン

1位

ミモザ (表参道、外苑前、明治神宮前 / 中華料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2018/11訪問 2018/11/29

冬は上海蟹! 感性と技術が炎の中でマリアージュ、南青山「ミモザ」。

★殿堂メニュー 期間限定 上海蟹コース ¥12,000(税抜)
 屋号が書かれた小さな表示の右側にドアノブらしい突起を発見し、引いてみるとやはりそれが扉でした。ドラクエのような謎解きの入り口です。

 明る過ぎない落ち着いた店内、ですが厨房ではすでに南シェフが炎を上げています。コース料理は2種類あり、今夜は季節のコースをお願いしました。11からの冬期限定、念願の上海蟹づくしのコースです。
 オールド上海(老上海)の料理がいただけるとのことですが、老上海とは歴史的にいつ頃のことなのでしょうかね。ヌーベルシノワとの対比でしょうか。

「金華ハムと大根の中国パイ包み」
 いきなり美味。大根ってこんな食感に変身するものなんですね。マッシュポテトのような食感です。これからの展開に期待が膨らむ前菜です。

「海老の春巻き」
 こんなに綺麗に畳まれた春巻きは初めて見ました。海老の香りが立つ具です。パリパリの皮で音を楽しめる料理です。

「ピータン豆腐と薫香」
 ピータンにガリを合わせるとは。しかも、合う。攻撃的オーダーでどんどん攻めてきますね。

「蟹の卵湯葉巻き」
 目をつぶって食べたら何なのかまずわからないと思います。いろいろな味が複雑に絡んでいます。確かに、外側は湯葉で、具は卵の味がします。これが本当の蟹玉ですね。ソースも美味い!

「真イカとネギのオイル和え」
 なんだあ、この料理。こんなにシンプルなのに、こんなに美味しくできるのか。すごいな、これ。美味過ぎる。

「上海蟹みそ大団子」
 その名の通り大きな肉団子です。上海蟹の蟹ミソが練りこんであり、確かに濃い蟹の味がします。そしてハンバーグ並みにボリュームがあります。しかし複雑な味のスープですねえ。もはや解析不能です。

「卵とトマトのスモーク炒め」
 先ほど厨房で大きな炎が上がっていたのは、この料理だったんですね。中華鍋で具材を放り上げる時に大きな炎に包ませることでトマトを瞬時に燻す、という大技です。こんな香りの料理は初めてです。本当にスモーキーな香りです。ところが味は甘いんです。南シェフの驚きの技術ですね。

「上海蟹の豆鼓(トウチ)炒め」
 さあメインです。甲羅、足、爪…。上海蟹のすべてが集結です。おおーっ、おおおーっ! いろいろな部位がそれぞれの役割を発揮して、旨みを持ち寄っています。淡白であるはずの蟹が、深みのある味となっています。特に甲羅部分、ミソと肉と豆鼓が絡み合って化学反応が起きています。上海、万歳! 生まれ変わったら上海の嫁をもらうぞ!

「上海蟹みそのせ葱油拌麺(ばんめん)」
 シメの料理は、見たこともない油そばです。拌麺(ばんめん)とは、まぜそばのことらしいです。トッピングされているのはやはり上海蟹の果肉。葱油だけの仕業か、XO醤かオイスターソースか、ただの油の味でほありませんよ。なんだこのそばは。風味といい味付けといい食感といい、こんなまぜそばは知りません。物凄い旨み。これは美味すぎる! 縮れ細麺もよく合っています。これは参りました。蟹みそ、万歳! 底に溜まっている油だけ飲むとちょっと胃に来ますが…。

「デザート」
 デザートは2種。揚げプリンの砂糖きな粉掛けと、バジルのシャーベット。これ、プリンというより餅ですね、この弾力は。きな粉には砂糖がまぶしてあって甘い仕上げです。
 帰途に着いて30分ほど経つと、急に膨満感が押し寄せます。この揚げプリンの仕業です。食べている時には気がつきませんでしたが、ボリュームあるデザートなんです。

 これでコース終了。いやああ、大満足。1杯の上海蟹でこれだけの味を創りあげる南シェフの上海料理、唯一無二です。ものすごい料理と出逢ってしまいました。ボリュームもさすが中国料理のおもてなし、お腹一杯です。
 軽装で行ける高級料理「ミモザ」。忘れられない食事となりました。ごちそうさまでした。

最寄駅 メトロ「表参道」(港区)

「ミモザ」ホームページ CLIC → http://www.mimosa-aoyama.com/

  • 上海蟹みそのせ 葱油拌麺(ばんめん)
  • 上海蟹みそのせ 葱油拌麺(ばんめん)
  • 上海蟹の豆鼓(トウチ)炒め

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2位

鮨 由う (六本木、六本木一丁目、乃木坂 / 寿司)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2018/12訪問 2018/12/22

オンライン尾崎氏の、ネタが沈む鮨。六本木「鮨 由う」に酔う。

★殿堂メニュー プリン巻き
 世の中にはいいお店がたくさんあるんですねえ。
 六本木「鮨由う」さんに初めての訪問です。約一ヶ月前にネット予約をしていました。カウンターに座り、緊張の面持ちで空気を読むことに集中します。しかし心配は無用、大将が気さくに場を和らげてくれます。

 大将はインスタ派で、客のインスタによる販促を狙っています。だから料理を撮影することに寛大です。常にインスタやfacebookをチェックしているので「オンライン・オザキ」と呼ばれているそうです。また客の顔を覚えるのが超苦手らしく、したがって一見客も二度目以降の客も同等に接して下さいます。面白い大将です。

 まず始めに、コース外の追加があるか聞かれます。本日は、生牡蠣、のどぐろなどが追加できるそうです。コース全体の量がわからないのでやめておきましたが、他の方が追加した生牡蠣、美味しそうだったなあ。
 のどぐろは対馬のブランドのどぐろ「紅瞳(べにひとみ)」だそうです。これを食べたらなかなか他ののどぐろには触手できないと大将が豪語しています。

 今夜は基本の15,000円コースをいただきます。今夜の献立を一気に紹介しておきます。

(肴)

生クリームとトウモロコシと牛乳の嶺岡豆腐

長崎のクエりざけ掛け

握り巻き石川の香箱ガニ函館のムラサキウニ有明の海苔

東京湾のタチウオ

富山県氷見の寒ブリ中トロの横の部分と、大トロ

子持ち昆布の天ぷら

茶碗蒸し昆布ダシと醤油に漬けた海苔シャリ混ぜ

プリン巻き裏ごしあん肝とシャリ

(握り)

かすごダイ幼魚

スミイカとゲソ焼き

釣りアジあさりネギしょうがあさつきにんにく使用なし

まぐろ赤身

まぐろ中とろ

コハダ

あおさ海苔入り卵焼きごま油

ムラサキウニとイクラの丼

穴子

海老頭出汁の味噌汁

以上です。
なんと献立の多いこと!価格に見合わぬオールスター。しかし部位や味付けが全て上品なので、膨満感は適度です。女性でも大丈夫です。

 すべてシャリが赤身を帯びていますが、赤酢なんだそうです。
 では特筆すべき献立をいくつか紹介します。

「嶺岡豆腐」
 嶺岡豆腐とは牛乳を使った寄せ豆腐の総称です。ここではトウモロコシと生クリームを混ぜた、優しくクリーミーな豆腐です。まず他では食べられない渾身の一発です。これだけで半合は飲めます。

「握り巻き」
 香箱ガニ、函館ウニ、有明海苔のジェットストリームアタック。一口で食べるなんてもったいないよう。大将は海苔の風味にこだわりを持っていることがわかってきます。

「プリン巻き」
 あん肝を裏ごししてシャリと混ぜたものです。あん肝=プリン体、ということでプリン巻きだそうです。ハッシュタグ付けてアップして欲しいそうです笑。

 大将はご自分では日本酒は飲まないらしいのですが、お酒に詳しいんです。さすがです。おもてなしのために貴重なお酒がたくさん用意されています。

 また、大将は相当「海苔」にこだわっています。生海苔の香りを大切にしています。あおさ海苔も絶品でした。

 はて、先程から何か他の方たちと出される料理が微妙に違いますね。私には太刀魚(これも脂ノリノリでめちゃくちゃ美味しいんです!)でしたが、他の方は「のどぐろの串」が出されています。大好物なのに…。
冷静に考えれば、皆さんのコースがワンランク上なんですね。私との違いを具体的に言うと…
・太刀魚がのどぐろになる
・まぐろ大トロがプラスされる
・車海老の握りがプラスされる
ことです。大トロが私の前にだけ来なかった時はかなりショックを受けましたが、後から考えればそういうことだったんですね。

 引き続き特筆を。
「うにいくら丼」

「まぐろ中とろ」
 ネタが、沈むんですよ。大将は口もよう動きますが、手わざも見逃せません。何が凄いって、よくテレビで有名な寿司職人の特集をする時に「ネタが沈む」握りを披露してますが、このオンライン大将の鮨も、置かれた後スーッと沈むんです。シャリを空気ごと優しく握っているんですね。神業です。

 最後は海老頭の出汁の味噌汁でシメ。これが身体中あったまって美味しいんです。身も心もポカポカで、お会計です。

 現在、開店2周年記念ということでお土産もいただきました。こんな清々しい満足感に満たされて帰途に着けるなんて。素敵な夜をありがとうございました、大将。季節が変わる頃、またお伺いできれば幸いです。ごちそうさまでした。

最寄駅 都営・メトロ「六本木」(港区)

「鮨由う」twitter CLIC → https://twitter.com/hashtag/%E9%AE%A8%E7%94%B1%E3%81%86

「鮨由う」facebook CLIC → https://www.facebook.com/pages/%E9%AE%A8%E7%94%B1%E3%81%86/1761029367551530

  • まぐろ中とろ
  • コハダ
  • 握り巻き 石川の香箱ガニ 函館のムラサキウニ 有明の海苔

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3位

天丼 いもや 二丁目天丼店 (神保町、九段下、水道橋 / 天丼)

2回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2018/03訪問 2018/04/01

春は別れの季節、栄光の650円「天丼 いもや」閉店。アディオス。

今日の一品 天丼 ¥650
 大人とはこういう店でこういう雰囲気で昼メシを食べるんだ、と衝撃を受けた「いもや」。長い歴史に幕を閉じると聞いて、閉店2日前に列に加わった。もちろん仕事は休んで来ている。ここ大事。
 10:40、開店20分前だが奥の「卯佐」の前が最後尾。私の後もどんどん並び、一本裏の細道まで行列ができ、この一区画を囲むほどになった。全盛期のまま身を引く印象が強い。閉店の理由は、私は知らない。

 カウンターに座れたのは11:45。言い方は悪いが「マシン」のような動きの、細身の大将が味噌汁を給仕してくれた。昔は大将が油にネタを浮かべながら「お客さん、天丼ですかー?」と聞いてくれていた。今は若旦那が揚げてくれている。大将、今日もマシンのようだ。ご健在。「お客さん、天丼ですかー?」の名台詞も今日が聞き納め。もちろん天丼です。「海老天丼」なんてオーダーしたことないなあ。

 丼に盛られた揚げたての天ぷらにタレをかける時、「ジュワーーーっ」と音がする。この音を聞くために来ている、といっても大げさではない。最期のいもやの「天丼」だ。心して、ゆっくりいただくこう。ネタは、かぼちゃ、イカ、キス、海苔、海老。いつものラインナップ。
 もちろん、美味いに決まってる。アツアツのメシ、熟成のタレ、老練の技術で揚がったタネ。一口ひとくち、噛みしめる。金子半之助がなんだ。間違いなく日本の天丼界を牽引してきたのは、いもやだ。なんてな。
 今日はやけに「海老天丼」を食べている客が多い。また、一回転目から女性客がすごく多い。だから、回転が悪い。今までの訪問では女子率はほぼゼロが多かったのだが、最期の一杯を求めて老若ニャンニョ、殺到している。わかるわかる。

 ああ、美味いぞ。いもやの天丼、美味いぞ。気がつけば、最期の海老天をかじっているところだ。これで、終わりだ。一つの時代が、終わりだ。大将に、「ごちそうさま」。

 店を出て、振り返る。白いのれんもこれで見納め。本当に長い間、お疲れ様でした。らーめんさぶちゃん、ハングリー味川など、最近このエリアの名店が次々と姿を消していく。歳をとるとはこういうことか。いもや、いい店だったなあ。アディオス。

 さぶちゃん、とんかついもや、天丼いもやが無くなった。行列は「みかさ」「卸)神保町食肉センター」に引き継がれた。負担は重い。しかし新たな神保町の歴史を作っていってほしい。現在の若者たちが将来、私たちのように「いもや」を懐かしむように。

最寄駅 東京メトロ「神保町」(千代田区)


変わらず神保町ランチの中心的存在である。いつも店の外まではみだす行列。おススメタイムは11:30までの入店か12:40分頃。12:40は週に2回程度この時間に列が短くなることがある、という感じ。とんかついもやより回転は速い。

さて、シンプルな注文を済ませて空席を待つ。メニューは天丼とえび天丼のみ。黙っていれば天丼になる。着席すると1分程でしじみの味噌汁が置かれる。その2分後には丼ぶりが。この間、無駄がないマシンのような店員の動きに注目である。昔メインでフライヤー担当されていたマスターがまだご健在なのが嬉しい。今日は若旦が揚げているようだ。

コロモがいい。わざとらしいサクサク感ではなく、自然体のしっとり感がたまらない。ご飯は私好みの少し柔らかめ。タネは、イカ・海苔・キス・海老の4点。はやる気持ちを抑えるなら一口目はキスの尾側がいい。ご飯が多いので一口を少し多めにほおばり、その中にタネを泳がせる。そうすると食べ終わりの着地がきれいに決まるのである。

タレについては、ご飯とのカラミを中心に考えると少し味が薄いと感じる。しかし、天ぷらとの相性を考えると、抜群の濃度である。私がいう濃度とは甘味のことだ。一体どちらが正解なのか。スマートなモデルとグラマーな読モ、どちらが美しいか?私はよくミスジャッジを……そんなことはどうでもいが、私は基本的に「メシ」に合うタレが好きだ。だから、もう少しグラマーなタレが好きだ。でもスレンダーなタレが嫌いなわけでもない。

味噌汁のしじみは、ひとつ残さずすべて殻から剥ぎ取って食べるのが私の流儀。これも邪道なことと充分承知している。

心に迷いがあるとき、いもやのカウンターに座り、自分の性格を反芻するのも悪くない。ストイックなランチであった。
もう20年以上の行きつけになるが、いつも服の香りでいもやに行ったことがバレてしまうのが少し恥ずかしい。

最寄駅  都営三田線・メトロ半蔵門線/新宿線「神保町」(千代田区)
訪問時間 11:40
待ち時間 8分

  • 天丼 ¥650
  • 天丼 ¥650
  • 天丼

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4位

石ばし (江戸川橋、神楽坂、茗荷谷 / うなぎ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2018/04訪問 2018/04/15

明治43年創業「石ばし」。この美味しい鰻を永続的に江戸庶民に提供して下さい。

★殿堂メニュー「うな重 特上」¥6,800
 本日はちょっとした記念日、憧れの「石ばし」の鰻をいただきに来ました。鴨浮かぶ神田川から少し入った静かな一角にありました。見えてきた外壁レンガはイギリス積みですね。目地は珍しい山型の覆輪目地。板橋の凸版印刷の外壁と同じです。印刷業のエリアですからやはり何かしら関係しているんでしょうかね。その門をくぐると瀟洒な玄関まで、静寂のアプローチです。

 お座敷に上がります。掛軸は初夏を意識した鯉のぼりの柄。その元には生花。生花は、朝からお待ちしていました、という暗黙の趣旨の証し。おもてなしの気持ちの現れです。いやあ落ち着く空間ですねー。

 まずビールを一本。お酒をオーダーするとお通しがつきます。今日のお通しは「おぼろ豆腐」「3種の先付」。3種の内容は、宇部のかまぼこと山葵味噌、富山のホタルイカ、鹿児島の空豆です。うん、どれもいいですね。美味しいです。これらを肴に、鰻が焼けるのをしばらく待ちましょう。

 鰻は九州か静岡かどちらかのものだそうです。作り方は江戸前なので、背開き・白焼き・蒸し・炭焼き、の手順です。蒸し器に1時間入れるので…と書いてあるので、首を長くして我慢の時間が続きます。ああ、早く早く。

「うな重 特上」¥6,800
 着席から45分、大奮発の特上が配膳されました。輪島塗の器、蓋には牡丹の唐塗り風の絵付け。ドキドキしながら牡丹を開けると…、おおお眩しい!鰻でご飯が見えない重なんて…!今なら「愛してる」といえる気がする。うなぎ、1本半。幸せなショウタイムの始まりです。
 鰻はしっとりでフカフカです。これは、う、うない、じゃなくて、美味い。なんじゃこりゃ。食べながらニヤツキが止まりません。ほのかな炭の香り。分厚いクセして舌の上で溶けていく身。なんじゃこりゃ。鰻の質も調理も完璧ペキ男じゃないですか。いい意味でこの世の食べ物とは思えないですよ、これは。美味いーっ!
 ご飯は少し硬めで、箸でスクエア状に区切ったキューブがそのままの形で持ち上がってきます。好みの質感です。立ったお米にこちらもスタンディングオベーション。
 そして、タレに頼らない重です。甘さも辛さも感じない、自然な風味のタレなので、その存在すら忘れていました。まるで枯山水庭園の境地。造作していることを悟られない自然のおもむくままのあり方。すごいタレもあったもんです。ホントに美味しいタレですね。

 山椒は和歌山産だそうです。真ん中のうなぎに振りかけてみました。なるほど、味より香りの山椒です。タレより存在感ある山椒です。少し柑橘系も混ざっているかな?とにかくこんな風味、香りの山椒は初めてです。
 ただ正直いって、この鰻は山椒いらずです。そのままが一番美味しい鰻だと思います。ああ、愛してる。

 消費者はもちろんのこと、鰻を提供するお店にしてもこれ以上の鰻の高騰は望ましいはずはありません。シラスから自然環境で繁殖させることが困難だと聞きます。これだけ鰻を美味しくする調理技術があっても、いい鰻が育ってこそです。食べる側も何か協力していかなければ、この日本が誇る鰻料理は、一部の裕福な方だけが嗜む細々とした産業になってしまいます。

 この美味しい鰻を、これからも永続的に江戸庶民に提供していってほしいと、切に願います。日本が誇る鰻料理をみんなで守るぞ! 江戸川橋「石ばし」の絶品うな重!
 本日は、大変美味しゅうございました。ありがとうございました。ごちそうさま。

最寄駅 東京メトロ有楽町線「江戸川橋」(文京区)

「江戸川石ばし」ホームページ CLIC → http://unagi-ishibashi.com/index.html

  • うな重 特上 ¥6,800
  • うな重 特上 ¥6,800
  • うな重

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5位

ブラッスリージェルバ (志村坂上、本蓮沼 / アフリカ料理、中東料理)

2回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.3
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 -

2020/12訪問 2020/12/28

チュニジア、ズルいです。現地の味を「ブラッスリー ジェルバ」にて。

 ここはチュニジア、シムラアズサワ地区。チュニジアはアフリカ大陸の北端にあり、大陸の中では小国といえます。地中海に面した美しい国です。と勝手に想像しています。
 日が暮れてからこの町を徘徊するのは本当に久しぶりです。特に土日は。徘徊と言っても今夜は予約を入れていただいています。指定されたお店に行くだけなのですが、店内での酒宴は緊張します。

 ここはチュニジア料理専門店。ママはネイティブでほとんど日本語はわかりません。最低限のやりとりでオーダーします。電話予約の時にいくつかオーダーしておくことをお勧めします。特にムスリは時間がかかるので、予約時に伝えておきましょう。

「ラムのムスリ(ハラル)」¥1,800
 そんなわけで、すぐに提供していただきました。タジン鍋のふたを開けると、骨付きのでっかいラム肉がインカ風ジャガイモたちに囲まれています。ラムはフォークとナイフでホロホロと崩れていきます。何なく丸裸にできます。
 不思議な味のスパイススープが、ラムやじゃがいもによく染みて美味しいです。チュンジアの人たちはいつもこんな料理食べているんでしょうか。ズルいです。

「チュニジア産ツナのサラダムシュイヤ」¥980
 ムシュイヤ、って何でしょうね。しかもチュニジアってマグロが上がるんですね。意外。
 これはまた不思議なサラダです。この味は…オリーブが強く効いています。好みではありませんが、このさっぱり感はムスリとクスクスの間には必要でした。

「魚のクスクス」¥980
 魚、ってチュニジア語で「poisson」というんですね。それって、ほぼ「毒」ですよね笑。
 世界最小のパスタ、と言われているクスクス。魚とともにザクザクと混ぜ合わせて、これに特製のサラサラのソースと、激辛のタレを掛けていただきます。もちろん先に個人の取り皿に分けてからいただきます。
 さすが本場の味、美味しいです。サラサラの、オニオンスープのようなソースが、パスタソースの役目です。これがあって味が引き締まります。


 広いお店ではありませんが、混み合っていなかったのは幸いでした。たまにドアが開け放たれて換気扇がガンガンまわる時間帯があり、寒いときもありますが、そこは我慢です。この時勢ですから。
 相変わらず美味しかったです。ごちそうさまでした。
★殿堂メニュー 羊のムスリ ¥1,680
 やっと実現しました、チュニジア料理「ブラッスリージェルバ」訪問。なぜなら、一人で行くにはもったいないお店だからです。やっとの思いで同志を募ることができて、初見参と相成りました。成就。今夜の俺はアフリカン。
 チュニジア料理は、イスラム圏なのでムスリムのために豚肉は一切使用無し。また、オスマン帝国からの影響を受けているので、トルコ料理の影響を受けているということです。保存料や添加物も使用せず、自然素材だけの料理店です。でも、お酒はありますよ。そこがいい。

 今夜の厨房はチュニジア出身と思われる女性お一人。一人でお店を回しているんですか!?そりゃ大変ですね。でも大丈夫。予約する時に、時間がかかる料理はオーダーしておきましたから。でかしたっ、俺。
 意外と、と言ったら失礼ですがお客さんは多いんですね。4組いました。知る人ぞ知る名店か。

 メニューには写真がないので、品名を見てもさっぱりわかりません。一度外へ出て、外に貼ってある写真を確認に行きました。…なるほどなるほど。席に戻って、みんなで情報交換してからオーダーしました。女性シェフは忙しそうなので、自分から厨房へ出向いてオーダーをしてきました。

「魚のクスクス」¥980
 予約時に伝えてあったので、入店から15分程度で供されました。他のお客さんより早く提供され、ちょっとバツが悪い感じですが…。
 魚はアジでした。丸々一匹、生まれたままの姿でクスクスに載っています。アジは「ぜいご」を剥かないと大変な事になります。まず剥がしましょう。で、身をほぐします。
 デュラム小麦やセモリナ小麦を練ったものを小さい粒状にしたものがクスクスです。下段でスープを煮てその蒸気で上段のクスクス粒を蒸す二段状のクスクス鍋というものがあるそうです。

 スープと辛味噌が一緒に出されました。辛味噌は「ハリッサ」といい、どうやらすべての料理に共通に使えるようです。スープはクスクス用です。各自が取り分けてから好みの量を振りかけていただきます。
 …おおっ。おおおっ。美味いっ!美味いぞ!これ、いいぞ。しかもこのスープ、いいぞ。トマトスープのようですが酸味はあまり感じません。辛そうでもありますがあまり辛くもありません。それでいていい出汁が出ています。クスクス粒にメチャメチャ合いますね。
 魚のクスクスにして正解かも。まったくクセなし。おお、魚のクスクス、初登場第1位みたいな衝撃です。チキンやラムでもいいんでしょうが、ムスリで鶏か羊をオーダーする方は多いと思うので、それならクスクスは魚ですよ。

「羊のムスリ」¥1,680
 こちらも事前予約済み。クスクスをちょうど食べ終える頃に供されました。本来なら1時間以上かかる料理ということです。

 タジン鍋ですよ。蓋をはずすとそこは…羊肉様!すごいケモノ肉の様相でおわします。ラムのスネ肉だということです。これをナイフで切り分けて、いただきます。
 あああっ!なんじゃこりゃ!美味い!ちょっとカレー味っぽいのはターメリックでしょうか。ポテト、ピーマン、オニオンは形を残したまま入っています。ラムはほどんど臭みなし。軟骨、皮、肉。切り分ける肉の間からは、甘いガーリック片が出てきます。美味いなあ。苦手な香草の味もしない。気がつけば、カニを食べてる時と同じくらい黙って黙々と食べてます。

 これは一人ではとても食べきれません。複数人で来て、ぎゃーぎゃー言いながら食べるのがベストです。ネット上ではレシピが見つからなかったので、書籍を調べるか厨房のシェフに聞くしかありませんね。

「オジャパン付き」¥780
 一体どんな味か見当もつかずオーダーしてみましたが、見たままの味でした。玉ねぎ、トマト、赤パプリカなどを玉子でとじた料理です。赤い油分は、もしかしたらさっきのクスクスのものと同じかも知れません。これもクセのない料理で、サラッといただけます。美味しい。
 これに、フォカッチャが付いています。フォカッチャの甘みがよく合いますね。そして最後に大技、ムスリ鍋の残りスープに浸して食べる!これがいい!

「ブリック」¥700
 最後はデザート的にこれをいただきます。チュニジア料理の定番の「卵料理」だそうです。春巻きのような料理で、揚げたパリパリの皮に包まれています。中身はポテトやパプリカを卵で和えたもので、チーズも入っているようですね。うん、これも美味い。デザートというより、充分主食になる料理です。もちろん、残りのハリッサをちょいちょいつけていただきました。

 お酒は、日本やチュニジアや各国のビール、ワインなど、品揃えは豊富です。それもありがたいです。

 いやあ、チュニジア料理をナメちゃいけません。そりゃそうか、考えてみれば、世界三大料理のトルコ料理の影響をうけているということですから。もちろん日本人の舌に合わせてアレンジをして下さっているとは思いますが、メチャメチャ美味しかったです。どうあがいても家で作れそうにないので、ここに食べに来るしかありません。隠れた名店ですよ、ここは。大満足。
 ごちそうさまでした。

最寄駅 都営三田線「志村坂上」(板橋区)

  • ラムのムスリ ¥1,800
  • ラムのムスリ ¥1,800
  • チュニジア産ツナのサラダムシュイヤ ¥980

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6位

鳥竹 総本店 (渋谷、神泉 / 焼き鳥、うなぎ、居酒屋)

1回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.9
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 3.9
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 -

2018/01訪問 2018/01/24

若い女性もよく知ってますねえ名店を。渋谷「鳥竹」の焼鳥。

今日の一品 ポンポチ ¥350
 今夜の給油は渋谷。「富士屋本店」と双璧の人気酒場「鳥竹」に伺いました。一階は満席、二階へ通されました。井の頭線の駅を臨む連続窓が居心地良しです。
今日はタレを楽しむことにしましょう。

「うなぎ串」
さっそくメインの登場です。蒲焼きやうな重もありますが、飲兵衛の財布にはこれぐらいがちょうど、というより限界です。串には4切れの愛しきうなぎ。もちろん美味い!チビチビつつきましょう。

「首肉」(数量限定)
柔らかい。しかしコリコリした感じもあります。これはタレがよく合うなあ。いいぞいいぞ。

「ポンポチ」
鳥の尾の部位です。ほぼ、ぼんじりと思っていいでしょう。こっれっは、美味い!なんと優しい食感か。適度な脂感もいい。升酒いきましょう。

「皮」
弾力のある皮。そんなに脂ぎってはいません。噛み応えあり、アゴを一生懸命動かしましょう。出汁が出てきますよ。

「とりきも」
レバです。大ぶりです。これぞ、レバ! 美味いなあ。塩でもよかったかもしれん。

 しかしここのタレは本当に美味しいです。甘すぎず、しょっぱすぎず。どんな肉にも合いそうです。これで焼き鳥丼とか、美味いだろうなあ。ランチであるのか、焼鳥丼!
 丸むし、鳥もも、鳥なべ、なども食べたいなあ。やっぱり通わないといけませんね。

 お土産もあるんです。焼鳥弁当、きじ焼弁当など垂涎ものがたくさんあります。もちろん焼鳥も一本単位でお土産にできます。
 これは名店です。若い女性客が多いのもうなづけます。また来ますよ、ここ。ごちそうさま。

最寄駅 JR・メトロ・京王・東急線「渋谷」(渋谷区)

「鳥竹」ホームページ CLIC → http://shibuyachuogai.com/shop/?p=70

  • 奥から ボンボチ ¥350、首肉(数量限定) ¥330、皮 ¥300
  • うなぎ串 ¥980
  • とりきも ¥300

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7位

卯佐 (神保町、九段下、水道橋 / 日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.1

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.6
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2018/03訪問 2018/03/14

路地裏のオトナランチ。「卯佐」は昼も夜もしっぽりです。

 あ、卯佐、ランチ始めたんですね。まさか「沢ガニ」はないかと思われますが、暖簾をくぐりましょう。カウンター9席中、残り1席をゲットです。あぶないあぶない。やはり昼も人気ですね。

 ランチメニューは3品。おっと、お隣さんはランチビールですか! 私も早くそういう立場になりたい! 私は…「お刺身御膳」をいただきます。艶やかな女将さんと実直なご主人がおもてなししてくれます。
 あ、れ? 他の方より早く配膳されましたが、いいんですか? ああ、他の方は「天ぷら御膳」なんですね。調理の順番のアヤでした。中華のチャーハン理論と同じで、他の方との便乗配膳でした。

「お刺身御膳」¥1,100
 厨房で〆さばを炙っているのを見ていました。美味そうです。刺身は、本まぐろ赤身、真鯛、帆立、水だこ、そして炙り〆さば。豆腐、茶碗蒸し付き。茶碗蒸しはデザート決定です。味噌汁は赤味噌。ではいただきます。
 ご飯ホクホク。お刺身も新鮮。鯛、水だこがいいですね。プリプリ。炙り〆さばはいい脂のノリでメシに合います。さすが、卯佐さん。間違いない。酒が欲しくなりますねえ。
 茶碗蒸しにはエビが入っていました。ちょっと嬉しい。うん、美味い。オツなランチデザートです。

「鯛茶漬け」も良さそうですね。まずはそのままご飯に鯛刺身をのせて。しばらくしてコールするとお出汁が出て来るシステムです。おお、なんと美味そうな。次回はそれだな。

 オトナのランチ、いただきました。また夜に来ます。最近は人気でなかなか飛び込みでは入れないんですよねえ…。また沢ガニ食べに来ます。ご主人、女将さん、ごちそうさまでした。
今日の一品 沢ガニ素揚げ ¥800
 口開け一番客、一人で予約無しで入店しました。良かった、大丈夫そうです。続々お客さんが入店してきました。10席のカウンター席が半分埋まると、その後のお客さんは断られていました。あとはリザーブ席なんですね。
 白木のカウンター。ビールは陶器タンブラー。真摯な大将と優朴な女将さん。酔えますねえ、この雰囲気。お通しが握りなんて、粋ですねえ。握りは、コハダと平目です。シャリがふわふわです。
 さて、壁メニューで肴を選ばなくては。定番であろう「生本まぐろの漬け」ははずせません。あとは…カウンターの上、私の目の前にあるクラシックな箱、これ何でしょう。おっ…と!動いてますよ、何かが。む。蟹!沢ガニ。壁メニューの一番はじっこに書いてありました、「沢ガニの素揚げ」。それ、ぜひ下さい。1人なので3匹にしときましょう、と大将。了解。
 オーダーが入ると、女将さんがその箱から活き沢ガニを取り出し、酒が入ったボウルに蟹を入れます。酒で酔わせて、それから揚げる、とのことです。酔わすことによって蟹の恐怖感を軽減させるはからいか。いえいえ、そんなわけありません。酒の味が染みてから揚げるのです。しかし、目の前に置かれたボウルでカチャカチャといつまでも元気に動き回る蟹たちを見ていると、だんだん愛おしくなってきて困ります。
 本まぐろ漬けをいただきます。よく浸かっていますね、味が染みています。漬け醤油そのものに辛みを感じます。まぐろ、美味いなー。8切れは入っているでしょうか、ボリュームも良心的です。上にのっているワサビは、気をつけて下さい。すごく辛いです。ほんのちょこっと、風味程度につければ充分です。
 さて、蟹は20分以上酒浸りにされています。大将が「そろそろ」と、揚げ始めました。揚げること7,8分、お皿に供されてきました。オレンジ色に輝く沢ガニ、かわいいですね。すみませんが、いただきます。お、正にカニ。塩気と酒気とごま油が相まって美味しいです。特に塩気がいい塩梅です。スナック感覚でパリパリといただけます。うー、美味い。沢ガニ美味い。3つじゃなくて、もっと食べたいと思いました。
 まわりの方が食べているいろいろな料理がすべて美味しそうです。せめて2人でくれば、もっと多くの料理を楽しめたかもしれません。女性も気軽に楽しめるオトナの酒場でした。また来ます。ごちそうさまでした。

最寄駅 都営・メトロ「神保町」(千代田区)

  • お刺身御膳 本まぐろ赤身、真鯛、帆立、水だこ、炙り〆さば
  • お刺身御膳 ¥1,100
  • ランチメニュー

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8位

吉祥軒 (ときわ台 / 中華料理、ラーメン)

5回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.9
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 ~¥999

2023/04訪問 2023/05/07

そっと目を伏せて、ごちそうさま大将。「吉祥軒」で静かなGW初め。

 初夏の風を受けて坂を上がりきれば、僕らの聖域「吉祥軒」。揺れる赤のれんをくぐれば、ひとつ空いているカウンター席が輝いています。見上げた壁メニューは…新しく作成された純白のメニュー表。目を凝らしてメニュー確認を行うと…これは。幻か。大将、大丈夫でしょうかオーダーしてしまって。1日限定10食と書いてあります。

 大将は一心不乱に中華鍋を振っています。その背中を久しぶりにじっと見つめていました。だいぶ調子は戻ってきたように見受けられます。アレが復活したということが復調の証でしょう。

 しかし申しわけありません、知らなかったんです、私がオーダーしたことでそれを3回続けて作らなければならなくなったことを。身体に負担をかけてごめんなさい。
 大将、汗だくで作ってくれました。
 

 出来上がると、最後にラーメンスープをオタマに入れ、その上に中華鍋から放り上げられた黄色い米粒たちが舞い降りて、それを皿に返します。ラーメンスープが最後に全体を覆っているとは!


●「エビ炒飯」¥1,100
 降誕。再臨。なんと表現しましょうか。復活。1日10食限定、ありがたくいただきます。
 しっとりでもなく、パラパラに近い、ふわふわチャーハン。そりゃあ大将があれだけ中華鍋を振って空気を含ませ、皿にアッセンブルする時もチャーハンを振り上げてオタマにのせるわけですから。ふわふわです。
 大将はちゃんと毎回味見をするので、塩気も甘みも整っています。また、卵をボウルに入れる際に殻が入ってしまったらしく、それを丁寧に時間をかけて取り除いていました。あの怒涛の捌きの最中に一瞬の静寂があったのはそのせいです。機械ではなく人間らしい職人なのです。
 そして…美味しいに決まっています。海老が甘くてプリプリ。これが6ピースも入っています。ネギは輪切り。これはラーメン類と同じです。ご飯の量は、推定300g。充分です。

 うーむ。大将、さすがです。美味すぎ。レンゲが止まりません。大将の作るチャーハンは…言葉が出ません。中華鍋そのものに、そして炎に、大将の気持ちが宿っているかのようです。

 ごちそうさまでした。GW初日の昼、吉祥軒に集まった人々は大将の背中に舌鼓を打ちました。
 ずっと厨房を眺めていて、美味しそうにみえた料理は…
・坦々麺
 惜しげないそぼろ肉トッピング。
・広東麺
 野菜の甘みがたっぷり出ていそうな餡
・上海焼きそば
 ビールと合わせたら最強そう
などなど何を食べてもどこを切っても美味しい吉祥軒です。定期的に通わなければなりません。大将、ご無理なさらずに。今後ともよろしくお願いします。
 初の夜訪問です。一品料理の量や価格帯は独り飲みに適さないことはわかっていますが、それでも一度は飲みに来てみたかったのです。
 やはり、メニュー表にまだ「炒飯」の文字はありません。このまま絶品に…いやそんな、また大将が中華鍋からご飯を放り上げる日が来ることを切に願い祈っています。

 その厨房内の大将は、以前に比べるとかなり動きは軽快で、調子はかなり上向いてきたようにお見受けします。本当に良かったですね。おしゃべりも軽妙になってきました。

●「餃子」¥700
 水餃子もありますがビールにはやはり焼き餃子が似合います。生姜が決めての餡ですがしかし隠し具材もあるように思われます。どちらかと言うと肉餃子のカテゴリーでしょう。美味しいですね。お値が張るのはご愛嬌。

●「レバーとニンニクの芽 四川風炒め」¥1,500
 黒板メニューのおすすめ料理です。すごい量のレバーが盛られていますよ。複数人で来てシェアするボリュームなんです。でも頑張ります。

 具材は、レバー、ニンニクの芽、タケノコ、パプリカ、長ネギ、しめじ。ぜいたくな具材に、繊細な味付けの炒め。それほど辛味はなく「四川風」の由来は目立ちません。シビレもありません。辣油を軽く使用したかもしれません。そういえば定番メニュー表に「当店の自家製辣油は辛く仕上がっています」と書かれていた記憶があります。辛くすることが目的ではなく味に甘みや旨味を感じさせるために辣油を使ったかもしれません。
 レバーの中でも部位によって食感が違うのがよくわかります。これだけ入っていると笑。平らなレバーより塊になっている部分が美味しく思いました。
 タケノコやパプリカでシャキっとした食感を演出します。

 ニンニクの芽が美味しいですね。ニラより味も食感も存在感が強くて、エネルギーの源って感じがします。ビールとの相性バッチリな料理です。


 ご常連も多く訪れてきます。皆さんあまりお酒は飲まれずサッと食べて帰ります。飲兵衛とは間が違いますね。私はゆっくり1時間近くかけて平らげました。カウンター席で大将の活気ある背中を見てるだけであともう一本は飲めそうでした。

 ごちそうさまでした。まだまだいただいていない定番メニューもあるので、まだ夜に来たいです。大将、お身体に気をつけて。
 ご主人の体調が万全ではなく、またコロナの影響もあり、ずっと休業していた名飯店「吉祥軒」。ようやく再開したお店はコロナ対策万全。赤いのれんは風に揺れ、店内も元の活気そのままに復活です。厨房内のご主人もお元気そうです。とはいえ、ご主人の思惑以上にお客さんが大勢来てしまうとお体に影響を及ぼすので、まずは地元の方がそっと訪れることを願います。しばらくはランチ営業のみです。

 しかし…。衝撃の事実が壁メニューから読み取れました。「チャーハン」の文字が消えています。イチ推しの絶品料理が…まさか。ご主人いわく「やめたわけじゃない。様子をみながら…」とのことです。それだけ、あのクオリティのチャーハンを作るには、体への負担が大きいということを物語っています。あせらないでください、ご無理をなさらないでください、とお声がけして、さて何をいただこうかと考え始めます。今までチャーハンしか食べてこなかったからなあ…。

「ワンタンメン」¥800

 町中華の命、ラーメンスープをいただこうと思います。白飯を中華鍋て振り上げる負担は避けて、寸胴でスープをとる作業を選んだのですね、ご主人。その入魂のスープをいただきます。中華丼や天津丼などは健在でしたが、やはり中華鍋を大きく振る料理かと勘ぐりヤメておきました。初めて麺類をオーダーしました。
 スープ。す、すごい美味い…。なんじゃこりゃ。レンゲの回転が止まりませんよ。動物と野菜のコクや出汁が絶妙のバランスで甘みと塩っ気を作り出しています。ワンタンをオーダーして正解、ワンタンにベストマッチのスープです。

 チャーハンばかり持ち上げていましたが、ラーメンスープなんですね、吉祥軒は。大誤解をしていました。魂のスープとはこのことです。「魂の」とか、自分で言うことじゃありません。寸胴を見張るその背中を見た客がいうのです。

 トッピングは、脂身半分の分厚いチャーシュー、さやいんげん、メンマ、ネギです。それぞれ、すべてスープに合います。意外にもネギがいいですね。普通と言えば普通なのですが、その普通さが期待通りのドストライク。うーん、美味い。麺は細めの多加水麺。いいコシです。メンマを持ち上げてきます。いろいろな味が舌で踊ります。チャーシューはちょっと部位の運が悪くてチャーシューの端っこの方でした。脂身が多すぎて目立ちましたが、舌はしっかりと味をとらえていました。よく味がしみていて赤身部分も柔らかくていい食感。美味しいですねえ。
 ワンタンは皮同士がくっついていましたが、モチモチの皮で歯ごたえグッド。餡は少なめ。とても上品なワンタンです。数は、6〜7個ほどでしょうか。満足のボリュームです。

 まだ残暑とは言いにくい猛暑日、赤いのれんを見ながら、ご主人の背中を見ながら、お客さんたちの笑顔を見ながら、美味しいワンタンを汗だくでいただきました。夏の最後の休日、復活の「吉祥軒」を堪能しました。体調のお話ししてくださるご主人は一見元気そうですが、話の中身は満身創痍です。中華鍋を強く振れる日が来ることを心より願いつつも、それ以上にお身体を大切になさって「永く」吉祥軒が繁栄することを切に願います。今日はごちそうさまでした。また折に触れておうかがいさせていただきます。
 今のところ大繁盛はNGです。しかし地元客が絶えず吸い込まれて行く「吉祥軒」。ご主人の体調が万全ではなく、適度な客入りを希望しているそうです。一時期、貼り紙で一時休業のお知らせが出た時は、地元の方はみなさん心配しました。ご主人の復帰後も、店の意向では混雑を希望していないとのことです。
 私もしばらく遠慮していましたが我慢できず再開後の初訪問となりました。この日も、作業着を着た地元のご常連で満席です。休日ともなると、客が外に並んでいる風景もしょっちゅう目にします。ご主人や女将さんのお人柄と、美味しい中華に引き寄せられてしまうんでしょうね。
 
 厨房ではまだお若そうなご主人が中華鍋を振り上げています。不調をまったく感じさせない迫力ある背中なんです。しかしそんな時に中華鍋を振り上げるような料理をオーダーしてしまい、申しわけありません…。

「チャーハン」¥700
 見た瞬間に美味しいとわかるチャーハン、それがこれです。このチャーハンの一番の調味料は「空気」です。それは、その空間を支配する圧倒的存在感という意味もありますが、ご飯粒とご飯粒の間にしっかりと空気が含まれているんです。見てわかるんです。あの大きな背中で、痛みをおして、中華鍋を振り上げた渾身のチャーハンには、空気が多量に混ぜられていたんです。

 シャクっとレンゲを差し込んですくいあげると、オノマトペでは表現できない、手から伝わるシズル。重くなく、軽くない。口に放り込むと…頭の中で白い鳩たちが飛び立ち、その背後には虹がかかります。なんというチャーハン。塩加減、胡椒加減、油加減、火加減、そして空気加減…。
 チャーシューの塊が多く、興奮に拍車がかかります。しかし冷静に存在するは卵。フワフワ卵。出たり隠れたりはグリーンピース。私は森の中で妖精たちに見守られているようです。

 ボリュームがあり、チャーシューも脂身が多めなので、男の昼メシ、といったチャーハンです。
 ご常連とご主人の話に耳を傾けていると、ご主人は料理を研究していますね。スパイスや調味料にこだわっているのがわかります。だから、美味しくなっちゃうんです。だから、お客さんが来ちゃうんです。

 うーん、相変わらずすごいチャーハンでした。参りました。しかしお店の意向を汲み取って、地元ではありますがこれからも控えめに訪問する次第です。ご常連の席を大切にされているお店ですから。
 ご主人、お体を大切になさって下さい。ごちそうさまでした。

最寄駅 都営三田線「志村坂上」・東武東上線「ときわ台」(板橋区)


ときわ台と赤羽を結ぶバスでしか行けない不便な立地だが、店は大繁盛。まさか並ぶとは。座敷を含めて20席程度。地元の会社員や作業員が続々入店。マスターが一品いっぴんていねいに調理する。チャーハンはご飯パラパラ系、チャーシューの量が多く、少し塩っけが強い、夏によくあう料理。ボリュームもかなりある。日替わりランチも魅力的だった。夜は本格的な中国・四川の料理が楽しめそう。

訪問時間 12:20
待ち時間 10分
好き度・リピート感 6

  • エビ炒飯 ¥1,100
  • エビ炒飯 ¥1,100
  • メニュー

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9位

五香菜館 (新井薬師前、沼袋、中野 / 中華料理)

1回

  • 昼の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.9
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2018/02訪問 2018/02/24

MCK®トップランクの一店「五香菜館」で至極のチャーハンを。

今日の一品 炒飯(やきめし)¥890
 新井薬師・梅照院から歩いて2分ほどの小径に静かに佇む「五香菜館」。美しく老いた店構え。硬そうなサッシの引き扉をガラリと開けるとそこは…明るい笑顔のお客さん達でほぼ満席!外からはまったく想像がつかない状況です。カウンター客の荷物を退かせてもらって着席しました。入り口からのすきま風が涼しい席です。小さなお子様連れが3組もいらっしゃいます。ネイバーフッドなお店です。

 お店に来てから何を食べるか考え始めると、5分10分平気で経ってしまうので、決め打ちで来店されることをお勧めします。わたしは、炒飯です。

 アンダーラインをあえて揃えない直線と正円の弧に支配された独特のポップレタリングと、豪快な毛筆のカリグラフィに囲まれた空間で、その時を待ちます。
 そのどちらかが女将さんの字で、どちらかがご主人の字ですよね?女将さんは元気でチャキチャキ。ご主人は、絶対に美味いものを食べさせようとする気迫があります。期待に胸躍ります。
 
 混雑しているので炒飯にしては時間がかかりました。しかし目の前に飯山が置かれれば興奮のるつぼと化します。きましたよ、炒飯。
 メニューのルビが「やきめし」となっていますが、やきめしではなく炒飯=チャーハンですね。

 では。おお。おおおお。塩、こしょう、醤油、などなど、素晴らしいバランス。具材はベーシックにチャーシュー、ねぎ、卵、グリーンピース。一口目で鳥肌。これは…。すべての炒飯のお手本じゃないですか。非難を恐れずにいえば、ご飯が少し水分多めであることが、好みが分かれるところでしょう。しかし、美味い!珍しく大盛りにしても良かったかと思うくらいです。足りない、もっと食べたい。ベストチャーハンです。

 また、什景会飯(中華丼)も口にしました。これがまた美味い。甘みのある餡かけです。しかし飽きない複雑な味わい。野菜も、この高騰時期にお構いなくたっぷりです。お店のウリのひとつである「広東麺」の具材をご飯にのせているので、広東飯といってもいいでしょう。もともと中華丼という名称は中国にはないそうですし。これもハイクオリティの料理でした。

 町中華=MCK。今、自分が命名しました笑。だから®マーク。MCKの最高峰のひとつと云っていい名店ですね。麺類や麻婆豆腐、餃子なども、今後いただけなければなりません。なかなか行ける土地ではないのですが、再訪しなければ。MCK、奥が深いです。
 ご主人、女将さん、ごちそうさまでした。

最寄駅 西武新宿線「新井薬師前」(中野区)


  • 炒飯(やきめし)¥890
  • 炒飯(やきめし)¥890
  • 什景会飯(中華丼)¥980
  • 店構え

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10位

オーキッド 池袋西口店 (池袋、要町、東池袋 / タイ料理、カレー、ダイニングバー)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2018/02訪問 2018/02/18

流行から遅れること5年、初マッサマンカレー。池袋「オーキッド」にて。

今日の一品 マッサマンカレー ¥840(外税)
 ようやくこのカレーと対面できました。ずっと前からチェックしていたタイ料理「オーキッド 池袋西口店」。ここ以外に店舗はあるのでしょうか?西口の一番の繁華街「ロマンス通り」の入り口にありました。ロマンス通りは、若い頃の甘い出来事、苦い思い出、いろいろな感情が交錯する酸っぱい気持ちになります。

 マッサマンカレーは、2011年に『CNNGo』が「世界で最もおいしい50種類の食べ物」で第一位に選んだことから、にわかにブームになっていたそうです。そんなことは知らずに何かで知り得た情報でずっと憧れていたカレーです。「マッサマン」とは「イスラム教の」という意味らしく、宗教上の理由からムスリムは鶏肉を使用していたので、ここでももちろんチキンマッサマンなのです。

「マッサマンカレー」¥840(外税)
 鮮やかなオレンジ色のスープです。シナモン、カルダモン、クローブ、タマリンドといったスパイスで整えているようですが、思ったより甘いんですね。どうやらパームシュガー=椰子由来の砂糖の仕業です。ココナッツミルクやピーナッツもマイルド味を助けます。美味しいスープ!
 主な具材は、でっかいじゃがいも、にんじん、ピーナッツ、そしてチキン。チキンはよく煮込まれているのか、ホロホロです。皮も美味しく、コラーゲンたっぷり。
 なるほど、誰が何の基準で選んだか知らない第一位ですが、確かにすごく美味しいカレーです。パクチーの味がしないところが一番良いですね。もしコリアンダーパウダーとかの味が前面に出ていたら評は割れるでしょうね。

「グリーンカレー」¥740(外税)
 こちらは他のお店とはちょっと違うオリジナル感があります。ココナッツミルク頼みではない、繊細なスパイスの味がします。ちょい辛です。茄子や筍が柔らかく、もちろんチキンも。これは美味しいカレーです。

 恐れ入りました。オーキッド、すごく素敵なカレーをいただきました。マッサマンカレー、美味しかったー。ムスリムだけの特権じゃもったいない、日本上陸大正解。ごちそうさまでした。

最寄駅 JR・メトロ・東武・西武「池袋」(豊島区)


  • マッサマンカレー ¥840(外税)
  • マッサマンカレー
  • グリーンカレー ¥740(外税)
  • グリーンカレー

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