『アンリ・ジャイエ ヴォーヌ・ロマネ1982』Yuchiuさんの日記

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2011.02.13
フランス料理 トリアノン須藤会

1995年ヴィンテージを最後にワイン造りの第一線から退き、引退後もワイン醸造に携わっていたジャイエさんですが、ジャイエさんのワインは生前から天文学的なお値段で取引されていましたね。時にはDRCのロマネ・コンティをも凌ぐほどのお値段になりました。

そしてお亡くなりになったニュースが届くやいなや、ワイン市場からアンリ・ジャイエさんのワインが一瞬で姿を消しました。

アンリ・ジャイエさんのワインというのは、いったい何がそんなにすごいのでしょうか?

ジャイエさんは「ブルゴーニュの良さを引き出す」ために、
ぶどう畑での仕事を何よりも大切にし、
徹底して収穫量を制限する。
収穫したぶどうは選果台を使って一房一房選び、
低温浸漬を行うことでキレイなぶどうのエキスを抽出。
発酵には自然酵母を使用します。

どこにも奇をてらわず、高級な何かを使うわけでもありません。ぶどう栽培もワイン醸造法も一般的なブルゴーニュの生産者がみんな行っているスタンダードなものです。

ただ、これは今でこそスタンダードな醸造法ですが、アンリ・ジャイエさんがこの醸造法でワインを造るまでは、誰一人こんな方法でワインを造ろうとなんてしなかったんです。

アンリ・ジャイエさんはブルゴーニュの良さを引き出すために、周りの誰もやっていなかった醸造法を自分で考え、開発し、ワイン造りを一変させました。

そうして造られたワインは世界中に衝撃を与え、ジャイエさんが考え出した醸造法がブルゴーニュのスタンダードになっていったんです。これが、アンリ・ジャイエさんが「ブルゴーニュの神様」と呼ばれる所以。

現在のブルゴーニュワインは、アンリ・ジャイエさんという1人の天才醸造家が造りだしたものなんです。



今では考えられませんが、ジャイエさんのワインが世界に知られるまでは「大量生産すること」が何よりも重要で、「ブルゴーニュらしさ」や「品質」は二の次だったんです。

私たちが「ブルゴーニュが大量生産ワイン? ありえない!」と思うのも、シャンボールやジュヴレの個性が良く出たワインを楽しめるのも、すべてアンリ・ジャイエさんの功績。

他の産地では造れない、ブルゴーニュならではのワイン。それこそが本当の「ブルゴーニュワイン」ですよね。つまり、アンリ・ジャイエさんという人は「ブルゴーニュワインを産んだ人」なんです。

大量生産のブルゴーニュに一石を投じ、新しい醸造法をいくつも編み出し、同じ哲学を持った若手醸造家をたくさん育てたアンリ・ジャイエさん
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