『ワインペアリングについて』Avignon_mats1984さんの日記

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批判するつもりも批評するつもりもなく、私は当然のように受け入れていた「ワインペアリング」について、ペアリングよりもボトル一本を楽しみたいというコメントを見て、ああそういう考え方もあるのか、と思った。

私も、家で飲む分にはワインの変化を楽しむ(学ぶ)嗜好があり、ボトル一本をゆっくり時間をかけて飲むことはよくあるが、レストランでの食事においては難しいと思っている。
2時間程度では開かないワインも沢山あるからだ。
そういう場合はデキャンタージュ、という手段もあるが、10年以上ワインを飲んだ経験上、デキャンタージュは諸刃の剣で、ワインのピークの寿命を極端に縮めるケースがある。〈シェ・イノ〉クラスのレストランならいざ知らず、ソムリエと一口に言っても技術レベルに差があるので、初めて行ったレストランで初見のソムリエにデキャンタージュを託すこと自体がリスクと感じている。

もう一つ、こちらのほうが私にとっては大きいのだが、ワインはペアを組む料理によっては全くといっていいほどポテンシャルを発揮できなくなることがある。
卒倒するほど高いブルゴーニュのピノノワールが不本意なペアと組まされた時の肩身の狭そうな様に当たると、哀しくて仕方ない。

単品でずっと通すことができれば、ワインボトル一本で味わうこともありだとは思うのだが、食事が主になりがちで、通しで複数のメニューを味わうことになるレストランにおいては、解決策として編み出したのがペアリングではないかと思う。
一人で行くことが多い私は、ペアリングに大変助けられている。まあ、〈ヴィノシティ〉のようなワインバーとビストロの中間にあるような店ではボトルを頼むこともあるが。

ただ、ペアリングではあまり好きではないワインを出される可能性がある、とか、いつ開けたかわからないワインを出されるリスクもあるじゃないか、というのはよくわかる。
私はワインと聞けば食事と合わせた時に伸びるワインを選びたい人間で、ブショネでもないかぎりどんなワインでも飲むから、前者のリスクが気にならないだけ。本当にどうしようもない不味いワインというのは、チェーン居酒屋の飲み放題ワイン以外では案外当らないものだ(凡庸なワインはある。だがその凡庸に見えたワインが、料理と組まされた時に著しい化け方をすることはそう珍しいことではない)。
後者は、さすがに1週間前に空いたワインを出されれば閉口するが、よほど繁盛していない店でなければ、そんなことは無いんじゃないかな。まがりなりにもペアリングと謳って出そうというからには、ワインを選ぶ人は最低限居て、最低限の知識が無ければ扱えないはずだ。そして繊細なワインは別だが、市価5-6千円程度のワインならば、1日程度でピークアウトが来ることは稀なので、前日空いたやつだからと目くじら立てるのも違う(中にはシャンパーニュは泡が抜けたほうが美味しいと言う人すらいる……)。

最も、とどのつまり嗜好品でありワインの楽しみ方の問題。食事とのマリアージュ/ペアリングにヤカマシイだけなんだろうな、私が。
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