やっぱりモツが好きさんのマイ★ベストレストラン 2018

春は山菜・夏は川魚・秋は茸・冬は獣肉・モツは一年中

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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相変わらず東京の東側の下町中心の選出ですが、そこに唯一長野県から選出された「柚木元」は圧倒的でした。
1位のうを徳が2万円を払っても安く感じるお店だとすれば、柚木元は3万円を払っても安く感じるお店。
国内最高クラスのジビエをお腹いっぱいに貪るという異次元体験でした。
こればかりは東京でも味わえません。

下町のモツ焼きのコストパフォーマンスを含めた総合力の高さは昔から知っていましたが、
新規開拓によって焼鳥、ビストロ、寿司など新たなジャンルの優良店も発掘されたのが2018年。
見落としていた老舗を新たに発見したり、強力な新人が現れたり。
柚木元に触発されたのでこれからは都内だけでなく地方を巡る機会も増えてきそうです。

マイ★ベストレストラン

1位

うを徳 (東向島、曳舟、京成曳舟 / 寿司)

104回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 ¥20,000~¥29,999

2024/05訪問 2024/05/27

【★5.0】岳娟巻(がくえんまき)【0601-104】

5.0評価。
京料理と江戸前鮨を繰り出すハイブリッドな日本料理店。
いちおう鮨屋なのですが、鰻、鼈、アンキモ、野菜、果物の美味しさが全国トップクラス。
豊洲市場から仕入れた日本全国の食材を、炭火の火入れ技術や京料理をベースとした味付けで引き立てます。
雰囲気や接客を重視する人には全く向きませんが、純粋に食を楽しみたい人には唯一無二な異端の鮨屋。
(2019年7月30日追記)

東武伊勢崎線の「東向島」駅より歩くこと4~5分。
向島百花園に近く「百花園前」バス停からは歩いてすぐ。
地域密着型の下町のお鮨屋さんです。

1964年創業の老舗で店主は三代目(鮨屋になってからは二代目)。
食材マニアの店主は築地(→豊洲)に週3、千住に週1で通います。
修業先が京都の割烹やましたということもあって、
「京料理と江戸前にぎりのおまかせ」がお店の主力商品。
アラカルト利用も可能なのですが、おまかせのほうがお得です。

初訪問時は5,000円のおまかせもあったのですが、
現在は7,500円~、事前予約で20,000円までの特別コースも可能。
下町のお鮨屋さんとしては高級店の部類に入ります。

しかしお店が持ち家で賃料が無く、食材マニアの店主の矜持、
お店を切り盛りするのが実質店主1人だけということもあって、
値段に対するコストパフォーマンスの高さはおそらく東京No.1。

おまかせではお酒に合う料理がちょこちょこ出てきて、
お酒を飲んだ後にお鮨で〆て最後に水菓子というスタイル。
飲める人のほうが楽しめるお店でしょう。

前述の通り実質1人で切り盛りしているので提供速度は遅いです。
2~3時間の滞在は覚悟、特別コースのときは毎回5時間コース。
アラカルト注文でも提供は遅いらしいです。

老舗だけあって風情のあるお店なのですが古い建物で換気に脆弱性。
魚を捌いた直後など店内が生臭いことも。
雰囲気重視の、特に女性には嫌がられる面が色々とあります。
デートや接待で利用するのにはあまり向いていないでしょう。
純粋に食と向き合いたい人が行くべきお店と思います。

お店の先代は銀座の奈可田(閉店)出身。
先代から習ったという握りのシャリはイマイチに思っていたのですが、
今はシャリを変えて、火力も炭火に変更するなど日進月歩で進化中。

かつては鮨屋として3.5級、和食店として4.5級という評価でしたが、
現在は鮨屋として4.0級、和食店や鰻店として5.0級。
日本料理の花形であるお椀の美味しさが最高級の和食店クラス。
フレンチのポワレのように皮をパリッと焼き上げた天然鰻は、
他のどのお店でも味わえない日本一とも思う美味しさ。

飲食店には一見客でも常連客でも同じ満足度になるお店と、
常連のほうが満足度が高くなるお店がありますが、うを徳は後者。
お客さんの好みに合わせてカスタマイズする能力が高いお店なのです。

そのため何度も通うことで満足度が上がっていきました。
店主の引き出しの多さから何度通っても毎回新しい発見があります。
鮨屋とは思えないほど野菜や果物にもこだわっていて、
コンソメやムースなど洋食まで楽しめる変なお店。

鮨屋によっては禁忌となるニンニク、高級店は捨てることが多いモツ、
挙句の果てにドリアンまで扱うという異端のお鮨屋さん。
賛否両論あって万人ウケする高級店では無いのですが、
合う人には最高のお店で、何度も通うことで至高のお店となります。
1,410文字★

01.愛知産渡り蟹カンジャンケジャン
02.実山椒と炊いた能登産マフグの白子
03.酢豚ならぬ酢鮪(本鮪の血合い竜田揚げ、淡竹、玉葱、万願寺とうがらし、台湾産パイナップル)
04.熊本産赤茄子と岩手産帆立貝の煮込み
05.沖縄産冬瓜 釧路産毛蟹餡掛け
06.余市産アンキモ 熊本産黒皮かぼちゃ
07.酢味噌和え(閖上産赤貝、青森産天然ホヤ、加賀太きゅうり、土佐酢ジュレ)
08.大分日出産城下鰈お造りカラスミ添え
09.海苔と炊いた富津産スミイカ 境港産バイ貝と琵琶湖産鮎の有馬煮
10.勝浦産鰹藁焼き
11.愛媛八幡浜産マナガツオと秋田白神山地産蓴菜のお椀
12.石巻産メカジキ(握り)
13.有明産コハダ(握り)
14.勝浦産鰹藁焼き(握り)
15.琵琶湖産天然うなぎ600gサイズ蒲焼きミニ丼
16.石狩産白魚(握り)
17.羽幌産ボタン海老(握り)
18.塩釜産本鮪中トロ(握り)
19.鳥羽産アオリイカ(握り)
20.銚子産黒ムツ(握り)
21.礼文島産ムラサキウニ(軍艦)
22.愛知産白ミル貝(握り)
23.島根浜田産どんちっちアジ(握り)
24.塩釜産本鮪赤身(握り)
25.鳥羽産カマス(握り)
26.富津産スミイカ(握り)
27.岳娟巻(沢庵漬け、胡瓜、紫蘇、白胡麻)トロタク巻
28.岩手産帆立貝(天ぷら)
29.鳥羽産アオリイカ(天ぷら)
30.茗荷(天ぷら)
31.石巻産メカジキ(天ぷら)
32.カラスミ(天ぷら)
33.五郎島金時(天ぷら)
34.余市産アンキモ(天ぷら)
35.水果子(千葉産ブルーベリーと長崎産枇杷のゼリー、宮崎産日向夏、山形産佐藤錦、寒天、黒蜜)

まずはカンジャンケジャンで内子や蟹味噌のネットリ感に舌鼓を打ちます。
醤油に冬菇や昆布といった旨味アイテムは加えていますがアルコール不使用。
これならお酒がダメな人でも楽しめるでしょう。
紹興酒をジャブジャブ使う「酔っ払い蟹」のほうが味は上かも知れませんが、
お酒に頼らず優しい味わいながら美味しいというのが見事です。

本日の白眉は皮目をパリッと焼き上げた琵琶湖産の天然うなぎ。
同店(3.88)で何度も琵琶湖産を食べていますが過去最高といった美味しさ。
ジビエの天然うなぎは産地のみならず「個体差」も大きく味を左右するのだと痛感。

炭火でパリッと焼き上げ、一番出汁を吸ってフワッと変質したマナガツオも非凡な逸品。
親方曰くモノが良かったので下処理は軽く塩しただけなのだそう。
それが火入れと吸い地の複雑玄妙さで更に昇華していました。

握りで白眉だったのは銚子(つまり江戸前ではなくて外房)の黒ムツ。
さかな人の長谷川大樹氏やサスエ前田魚店が扱う淡麗系の黒ムツが持て囃される昨今ですが、
そういう淡麗系とは対照的な旨味ガツンとした濃厚系。
酢飯と合わせる前提であれば淡麗系より濃厚系の黒ムツのほうが活きるように思いました。
こういう濃厚系は万人ウケしないのでしょうけど、好きな人には破壊的な美味しさなのです。

天ぷらではレアーに火を入れた帆立貝が専門店顔負けといった美味しさ。
超大振りサイズを仕入れる同店ならではの反則級アイテム。
ギンポ、穴子、ハマグリ、白ミル貝、そして帆立貝の天ぷらに関しては百名店クラス。
本日の琵琶湖の天然うなぎに関しては百名店やアワード店すら超越した日本一クラスという感想。
1,130文字★

01.銚子産黒ムツの卵とアラの煮凝り
02.滑川産ホタルイカ冷燻 片栗の花お浸し 明石の鯛レバ刺し
03.神戸産鰯(いわし)と泉州水茄子の炊いたん
04.滑川産ホタルイカ冷燻 新潟産コゴミ白酢和え 琵琶湖産稚鮎山椒炊き 白味噌炊き(富良野産蕗の薹、岩手産山独活、山形産ウルイ)
05.愛媛産真鯛白子 能登産岩もずく 釧路産バフンウニ 土佐酢ジュレ
06.片栗の花お浸し 明石の鯛炭火焼き 寿都産アンキモ 釧路産ミンク鯨畝須(うねす)
07.花山椒鍋(常陸牛リブロース、銚子産黒ムツ、物集女産筍、奈良産花山椒)
08.明石の鯛(握り)
09.閖上産赤貝(握り)
10.赤貝のヒモ(握り)
11.羽幌産ボタン海老(握り)
12.塩釜産本鮪大トロ(握り)
13.釧路産バフンウニ(細巻き)
14.浜名湖産天然うなぎ蒲焼き丼
15.舞鶴産真鯵(握り)
16.神戸産〆鰯(握り)
17.天草産小鰭(握り)
18.出水産スミイカ(握り)
19.塩釜産本鮪赤身(握り)
20.物集女産筍と山形産タラの芽(天ぷら)
21.新潟産コシアブラ(天ぷら)
22.青森産行者大蒜(天ぷら)
23.春の天丼(鹿児島産鰹、ミンク鯨尾の身、気仙沼産あわび、赤貝の肝、四万十川産青さ海苔、行者大蒜)
24.那智勝浦産鯖(さば)白子ポン酢
25.水菓子(丹波大納言小豆、愛媛産黄金柑、熊本産大将季ゼリー、福岡産あまおうアイスクリーム)

いよいよ春がやって来たことを食材で実感。
コゴミ、山独活(うど)、ウルイ、タラの芽、コシアブラ、行者大蒜、
東北で採れたという各種山菜を和え物や天ぷらで楽しんでおりました。

走りにはキロ48万円、現在でもキロ15万円という、超高級ハーブ「花山椒」。
トップブランドであろう奈良産は口当たりのやわらかさに特長あって、
ご主人も本日の仕入れで一番の自信を持っておられるようでした。

真昆布、利尻昆布、鮪節の吸い地に、こちらもブランド産地である物集女の筍(孟宗竹)、
三河島の中條(精肉店)で仕入れた常陸牛や黒ムツをしゃぶしゃぶして「花山椒鍋」完成。
ジビエを使った花山椒鍋ほどパンチはないですが吸い地の美味しさは流石。
(過去にはハクビシンやアライグマを花山椒鍋にしたこともございました。)

魚卵の煮凝り、鯛のレバ刺し、鯛と鯖の白子といった「モツ」も相変わらず素晴らしいです。
ピーク時はキロ20,000円を超えていた国産の最高級アンキモ。
シーズンオフとなった4月の現在はキロ9,000円まで値下がり。
寿都産は余市産と並ぶ最高級ブランド産地となっており食べログGOLDの某鮨店も愛用。
季節感には欠けますが春のアンキモはお値打ち品なのです。
1,247文字★

01.生しらすの冷燻カルパッチョ真鯛出汁パプリカムース乗せ
02.和歌山産うすい豆葛寄せと対馬産煮穴子
03.前菜盛り合わせ
03-1.駿河湾産桜海老入り出汁巻き玉子
03-2.秋田産蕗の薹と山独活の白味噌和え
03-3.滑川産ホタルイカ
03-4.大洗産煮蛸
03-5.琵琶湖産稚鮎の山椒炊き
04.宿毛産4.2kgメダイのフリット 春キャベツと新ジャガイモの擂り流し
05.琵琶湖産子持ちホンモロコ炭火焼き木の芽酢掛け
06.桜蒸し(支笏湖産ヒメマス、真鯛白子、道明寺)噴火湾産毛蟹餡掛け
07.お造り(明石の鯛炭火炙り、大間産ムラサキウニ)
08.八女産筍と木の芽のお椀
09.岸和田産鰯(握り)2貫
10.羽幌産ボタン海老(握り)
11.竹岡産〆鯖(握り)
12.渡波産赤貝(握り)
13.勝浦産本鮪大トロ(握り)
14.五島産2.5kgヨロイイタチウオ(握り)
15.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
16.天草産小鰭(握り)
17.勝浦産鰹藁焼き行者ニンニク胡麻油醤油(握り)
18.勝浦産本鮪赤身ヅケ(握り)
19.出水産スミイカ(握り)
20.宿毛産4.2kgメダイ(天ぷら)
21.下北産サクラマス(天ぷら)
22.茨城産菊芋(天ぷら)
23.琵琶湖産子持ちホンモロコ(天ぷら)
24.五島産2.5kgヨロイイタチウオ(天ぷら)
25.愛知産白ミル貝と白ミル貝の肝(天ぷら)
26.春の珍味天丼(水蛸の卵、赤貝の肝)
27.水菓子(愛媛産黄金柑、台湾産パイナップル、とちあいか、ベトナム産龍眼)

ブランド高級食材だけでなくマニアックな食材も楽しめる同店(3.79)。
4.2kgアップの眼鯛(メダイ)や2.5kgアップの鎧鼬魚(ヨロイイタチウオ)が登場。
頭部を見せて貰いましたが、その名の通り確かに眼がデカイ眼鯛。

ブリブリした歯応えを楽しめてフリットや天ぷらのように揚げるのが適してそう。
ヨロイイタチウオはヒゲダラとも呼ばれる隠れた高級魚。
意外に淡白な味わいで、シコシコした歯応えが独特でした。

美味しさという点では明石の鯛のほうが王様クラスとしても貴重な食体験。
メダイやヨロイイタチウオだけでなく明石の鯛や天然うなぎも出てきますし、
この日は本鮪の大トロ(蛇腹)が特に良かったです。

珍しい食材という点では子持ちホンモロコも登場(実はリクエストしました)。
富山県の某ミシュラン店のご主人が子持ちは使わないとおっしゃっていましたが、
その理由を知るために食べて体験してみたかったのです。

子持ちのほうが美味しいと思う蝦蛄(しゃこ)やアジメドジョウに比べると、
確かにホンモロコは卵を持っていない状態のときのほうが美味しいように思いました。
とはいえ鮎だって落ち鮎(子持ち鮎)より若鮎のほうが身は美味しいわけで、
それでも落ち鮎を楽しみたくなるのは卵の味わいも乙なものだからなわけです。
子持ちホンモロコも魚卵好きであれば食べてみて損は無いでしょう。
1,756文字★

01.おこわ(青森産あわび、北海道産ウニ、佐賀産ホワイトアスパラガス)
02.能登産新もずくの蕎麦雑炊
03.気仙沼産モウカの星(モウカザメの心臓刺し太白胡麻油塩)と春の白味噌炒め(山形新庄産行者大蒜、駿河湾産桜海老、熊本産白木耳)
04.余市産アンキモ甘辛煮と小名浜産真蛸やわらか煮
05.天草産石鯛炭火炙りポン酢
06.壱岐産鰹(かつお)藁焼き大蒜醤油と鹿児島産筍の木の芽味噌和え
07.炊いたうなぎの肝 秋田産蕗の薹味噌 七尾産海鼠(なまこ)
08.火を2分入れて氷水で〆た愛媛産真鯛白子と北海道産ウニのミニ丼
09.羽幌産ボタン海老(握り)
10.塩釜産本鮪大トロ(握り)
11.気仙沼産サヨリ30cm閂サイズ(握り)
12.下北産サクラマス(握り)
13.尾鷲産〆鯖(握り)
14.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きおこわ(青森産あわび、北海道産ウニ、佐賀産ホワイトアスパラガス)ミニ丼
15.海の沢庵漬け(ボラ子カラスミ)
16.ボタン海老の潮汁
17.土佐清水産シマアジ(握り)
18.塩釜産本鮪赤身ヅケ(握り)
19.伊良湖産平貝(手巻き)
20.出水産スミイカ(握り)
21.岩手産山独活(天ぷら)
22.愛知産白ミル貝(天ぷら)
23.琵琶湖産活けニゴロブナ(天ぷら)
24.かき揚げ(ニゴロブナの卵、うすい豆、蕗の薹)
25.スミイカのゲソ(天ぷら)
26.那智勝浦産マカジキ棒寿司
27.石鯛の潮汁
28.水菓子(自家製チョコレートアイスクリーム、鹿児島産金柑「春姫」、奈良産いちご「古都華」)

この日はランチにOMAKASE掲載の食べログアワード店を訪れたのですが、
(そういうプレミアム店は行きたい日にちを選べないので昼も夜も高級店となってしまったり)
無駄なものを削ぎ落としたような洗練された美味しさだけを楽しめるアワード店に対して、
同店(3.80)は混沌ながらも幅広く色々と味わえます。

いきなり残り物のウニ(バフンウニもムラサキウニも)で作ったという「おこわ」から始まり、
モウカの星なんてレバ刺しやハツ刺しのような臓物を胡麻油塩で貪って、
養殖うなぎの肝、蕗の薹味噌、海鼠(なまこ)といった癖の強い食材で三重奏をかましてきます。

しかし下町仕様を思わせる蕗の薹味噌の濃厚な味わいが意外な美味しさですし、
大蒜(高級鮨店ではまず扱わない禁忌食材にんにく)と相性バッチリの鰹(かつお)、
こちらも濃厚な味わいの木の芽味噌と相性バッチリな筍(たけのこ)に舌鼓。
食べログでアワード表彰されるようなお店は基本的に大蒜や濃厚な味付けを避けるのですが、
そんな万人向けの薄味淡麗な料理ばかりが美味しいとは思えないのです。

マニアックな同店ならではの仕入れが活けのニゴロブナ。
琵琶湖の固有亜種であり「鮒鮓」の原材料と知られる淡水魚。
ホンモロコや鮎を生きたまま豊洲に輸送しているのは知っていましたが、
ニゴロブナまでビニール袋の中で泳いだ状態で届けているとは驚きました。

今から熟れ鮓にするわけにもいかないので活けから捌いて天ぷらに。
(同店はいちおう鮨屋の看板を掲げているはずですが気にしてはいけません。)
フワッとした白身魚で僅かに小骨、少し癖や臭みを感じるのですが美味しい。
鯉(こい)を天ぷらにするより味は上かも知れません。
真鯛(まだい)や鮃(ひらめ)といった火を入れるとパサつく白身魚よりも好印象。

サラダ油で揚げている同店ですが、古典的な江戸前の天ぷらのように、
焙煎した胡麻油で揚げれば癖や臭みも目立たなくなって更に美味しくなりそうです。
活けのニゴロブナが身近な存在になれば鮒鮓と天ぷらが庶民のご馳走となるでしょうか。

そして天ぷらで食べて意外なヒットだったのが白ミル貝(アメリカナミガイ)。
本種のミル貝がキロ7,000円ぐらいの高値となるのに対して白ミル貝はキロ2,500円。
しかし歯応え良くて、油脂添加によって旨味も十分。

同じ月にスコア4.50を超えるアワード店で本ミル貝のお造りを食べる機会もありましたが、
それより美味しいぐらいで下手な天ぷら百名店より面白い食体験でした。
(同店はいちおう鮨屋の看板を掲げているはずですが気にしてはいけません。)
1,430文字★

01.氷見産スルメイカ肝和え
02.加賀蓮根ひろうす(ホタテ貝、ズワイガニ、キクラゲ入り)椀
03.千葉大原産2.8kgサイズ天然トラフグ煮凝り
04.赤穂産大あさり汁
05.京都産海老芋甘辛煮
06.お造り(千葉大原産2.8kgサイズ天然トラフグ、余市産アンキモ)
07.千葉大原産2.8kgサイズ天然トラフグ潮汁
08.室津産真牡蠣
09.宿毛産シマアジ(握り)
10.塩釜産本鮪中トロ(握り)
11.山口産トラフグ白子炭火焼きミニ丼
12.塩釜産本鮪大トロ(握り)
13.岩手譜代産鰯(握り)
14.羽幌産ボタン海老(握り)
15.鹿児島産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
16.氷見産鰤(握り)
17.富山新湊産鮃(握り)
18.浜中産バフンウニ(軍艦)小川のうに
19.千葉天津小湊産金目鯛(握り)
20.福井小浜産胡麻鯖(握り)
21.佐渡産ヒラスズキ皮霜(握り)
22.天草産小鰭(握り)
23.氷見産メジ(握り)
24.車海老(天ぷら)
25.加賀蓮根と車海老のアタマ(天ぷら)
26.羅臼産サクラマス(天ぷら)
27.韓国産穴子(天ぷら)
28.佐島産スミイカと万願寺唐辛子(天ぷら)
29.佐島産スミイカの肝と山口産トラフグ白子(天ぷら)
30.カラスミ2種盛り(ボラ子と数の子)
31.佐島産スミイカのゲソ(天ぷら)
32.水菓子(屋久島産ポンカン、甘平、徳谷トマト)

この日は福井、石川、富山、新潟の食材を多用(被災した北陸を食で応援)。
加賀蓮根を擂り流して「ひろうす」にしていましたが、
複雑玄妙かつ旨味が強烈で驚きました(蓮根に加えてホタテやカニの旨味でしょうか)。

スマッシュヒットだったトラフグの煮凝り。
豊後水道の臼杵や下関の南風泊など西日本のイメージが強いトラフグですが、
大原(千葉県の太平洋側)で獲れたトラフグも負けじと美味しいです。
トラフグのゼラチン質で自然に固めた煮凝りが、口の中で心地良く溶けて旨味のスープに。

キロ28,000円というトラフグ白子の炭火焼き。
今季は九州の食べログGOLDや北海道の食べログBRONZEでもトラフグの白子を食べましたが、
火入れによって昇華した同店(3.80)が頭一つ抜けているような印象。

そして鹿児島産という天然うなぎがトラフグの煮凝りと並ぶ本日の双璧。
皮パリ身フワな火入れが相変わらず専門店殺しですし、
鹿児島ならではか宍道湖や浜名湖といった他の産地とは異質な旨味に目を見張ります。

マニアックな舌を持つ人は鮎を食べて産地を当てると聞きますが、
淡水魚は特に育った環境に味を左右されるのかも知れません。
日本全国の名店を巡る食通の人も同店をうなぎ目当てにリピートしていたりします。
(うなぎ屋ではなくて本職は鮨屋なのですけど。)

鮨屋なのに握りの後に天ぷらコースが始まったりと自由奔放。
レアー感を残す火入れによって甘みを引き出された車海老が専門店顔負けな美味しさ。
専門店はもっと小さな巻や才巻を使うので、専門店では出会えない味わいだったりします。

800gサイズというスミイカの身は肉厚カットかつレアーな火入れ。
肝やゲソまでこれでもかと大量に出てきて専門店で食べるイカの満足度を凌駕します。
常連さんに頂いたというポンカンは歯応え、甘み、旨味のバランス良くて、
〆のデザートも非凡(そういえば北海道のBRONZEは同店より高いのにデザート無かったです)。
1,385文字★

01.氷見産鰹藁焼き大蒜醤油
02.横須賀産煮蛸 虎杖浜産助子旨煮 琵琶湖産イサザ生姜炊き
03.餡掛け椀(柴山産セイコガニ、堀川牛蒡、福岡産初物筍、木の芽)
04.宮崎産ボラ子カラスミ
05.お造り(小柴産鮃、落石産バフンウニ)
06.余市産アンキモ
07.なましらこ(海鼠、雲子、京都産聖護院大根おろし、ポン酢)
08.赤穂産真牡蠣ソテー
09.黒豆煮
10.富田林産海老芋カラスミ
11.噴火湾産ズワイガニ
12.噴火湾産ズワイガニ解し身の蟹味噌和えミニ丼
13.氷見産寒鰤背側(握り)
14.氷見産寒鰤腹側(握り)
15.五島列島産クエ炙り(握り)
16.閖上産赤貝(握り)
17.小柴産鮃(握り)
18.函館産ムラサキウニ(軍艦)
19.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
20.戸井産本鮪大トロ(握り)
21.天草産小鰭(握り)
22.竹岡産太刀魚炭火焼き
23.八戸産あわび
24.小柴産鮃潮汁
25.メガ太巻き(本鮪、クエ、寒鰤、雲子、数の子)
26.水菓子(とちあいかアイスクリーム、ふじ、デコポン)

まずは氷見の二大スターが競演。
いずれも豊洲市場で最高級ブランド産地となっている鰹と寒鰤。
鰹は藁で炙って(鮨屋なのに)大蒜醤油で、寒鰤は(鮨屋ならでは)握りで。

寒鰤宣言が出る前に(氷見から10数km離れた)高岡市でも氷見の鰤を食べましたが、
やはり脂ノリ、旨味、身の締まりに優れており、九州で食べた地物の鰤を遙かに凌駕。
最高級ブランド産地の面目躍如といったところでしょうか。

九州を訪れたときに空港で豪州産ボラ子のカラスミを購入してみたのですが、
こちらも食べ比べると同店の宮崎産ボラ子カラスミのほうが桁違いに美味しい。
豪州産だって100gあたり6,600円という高級品なのですが、
食べ比べてしまうとネットリ感に欠けるボソボソ食感で旨味も弱かったです。

26kgという大きな個体のクエ。
ご主人がクエは大きいほうが美味しいとおっしゃっていたので、
機会あれば食べてみたいと申し上げていたのですが念願叶いました。
(丸で仕入れると40万円ぐらいになるという高級魚。)

ハタ科の魚は火を入れるほうが旨味が活性化するので炙ってから握りに。
某食べログGOLD鮨店で食べたアラ(クエに似ているアラ科の魚)の握りより美味しい。
ついでに戸井の本鮪もGOLD店で食べた大間の本鮪を凌駕していました。
握りが弱点と言われる同店(3.82)ですが日によっては握りが美味しいこともあります。

そして本日の白眉と思った「なましらこ」。
過去に同店で雲子(真鱈の白子)やトラフグの白子を生で食べていますが、
今回の「なましらこ」は海鼠(なまこ)と白子を組み合わせたという意味。

いずれも60℃ぐらいの低温で火を入れたという海鼠と雲子。
組み合わせて食べるなんて初めての経験で、暴挙ではないかとすら思ったのですが、
これが意外とマリアージュを感じられてホームラン級の美味しさ。
聖護院大根が両者の仲介役として良い仕事しているみたいです。

とちあいかのアイスクリームがアイス・ジェラート百名店より美味しいですし、
なましらこのようなイノベーティブ系の料理も楽しめる異端の鮨店。
2024年も半年ぐらい先まで予約を入れてあるので通っていきたいと思います。
1,305文字★

01.青森産青海鼠の京都産聖護院大根おろし和え
02.女川産煮鮑 サロマ湖産真牡蠣アヒージョ 青森産煮蛸 京都産聖護院蕪
03.長野産坂井芋の唐揚げ
04.北海道虎杖浜産助子旨煮
05.香住産セイコ蟹と九条葱の「たこ焼き」
06.軽く揚げた京都産堀川ごぼうと余市産アンキモ
07.お造り(浜中産バフンウニと明石の鯛)
08.鳥羽産鰆の藁焼き
09.鳥取産活け松葉蟹の炭火焼き
10.明石の鯛(握り)
11.鳥羽産鰆の藁焼き(握り)
12.塩釜産本鮪大トロ(握り)
13.北海道産オオミゾ貝(握り)
14.積丹産鰤(握り)
15.鳥取産松葉蟹の蟹味噌和え(手巻き)
16.霞ヶ浦産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
17.塩釜産本鮪赤身ヅケ(握り)
18.天草産小鰭(握り)
19.出水産スミイカ(握り)
20.羅臼産雲子(軍艦)
21.厚岸産鰯(握り)
22.釧路産八角(握り)
23.宮城産金華鯖(握り)
24.蟹汁(鳥取産松葉蟹と長野産坂井芋)
25.竹岡産細魚(握り)閂サイズ
26.鯵ヶ沢産鮃(握り)
27.淡路産真鯵(握り)
28.北海道広尾町産ししゃも(握り)
29.水菓子(洋梨ソルベ、次郎柿、初物紅マドンナ)

まずは出汁で炊いてフワフワ食感に変質した海鼠(なまこ)に舌鼓。
聖護院大根の辛味や柚子の香りも良い脇役に。
ボリュームもテクニックも兼ね備えた肴のせいで酒量が増えてしまいます。

LOOP TOKYO(3.72)村上修平シェフが日本一の芋と評していた坂井芋。
水害の多い飯山市坂井地区で、水に強く定着して作られてきた里芋の一種。
信州の伝統野菜にも認定されています。

その特長は粘りが強く濃厚な味わいだそうですが、
確かにネットリした口当たりでジューシー感が強く旨味もしっかり。
芋の世界で最高級ブランドとなっている海老芋に負けていません。

ちなみにブランド産地である富田林産の海老芋は豊洲市場でキロ2,800円。
坂井芋は相対取引となりますがキロ1,100円。
コストパフォーマンスまで考慮すれば「日本一の芋」という評価にも納得。

いちおう鮨屋なのに過去10回ぐらいたこ焼きを焼いたとおっしゃるご主人。
本日は香住産セイコ蟹(メスのズワイ蟹)の剥き身、蟹味噌、内子、外子を、
蟹出汁の生地で「たこ焼き」にするという奇行に走っていました。

たこ焼きに蟹がプラスされることで、香りの良さが一般的なたこ焼きとは桁違い。
前回のたこ焼きよりも進化を感じられました。
どうせなら真蛸も入れて本当にたこ焼きにして欲しかったところ。

お造りにバフンウニと明石の鯛が出てきたので、明石の鯛をウニ巻きにしたりと。
高級食材への冒涜とも思える楽しみ方で堪能しておりました。
ウニも鯛も都心であれば50,000円クラスの高級店が扱うレベルでしょう。

握りでは北海道の食材が光っていました。
ご主人が本日のNo.1と評する鰯、市場で見るのは10年振りというオオミゾ貝、
八角(トクビレ)や生のししゃもを握りで食べるのも珍しい食体験。
いずれも脂ノリが良くて、脂に由来するトゥルトゥル食感を楽しめました。
1,056文字★

01.おこわ(岩手産松茸、真鱈の白子、零余子)
02.アンキモ茶碗蒸し(苫前産アンキモ、浜中産バフンウニ、噴火湾産メスのズワイ蟹、とんぶり、銀杏)
03.北海道広尾町産シシャモのフルーツエスカベッシュ(柿、洋梨、キウイフルーツ)
04.長良川産子持ち鮎と北海道産かぼちゃの煮物
05.五島列島産真鯵なめろうと焼津産生しらすカルパッチョ
06.お造り盛り合わせ(明石の鯛3.2kgサイズ、羅臼産雲子、余市産アンキモ、女川産あわび)
07.能登珠洲産オニカサゴ1.6kgサイズお造り
08.浜中産バフンウニ
09.小名浜産煮蛸
10.竹岡産1.8kgサイズ太刀魚サッと煮
11.羅臼産鰤の藁焼き
12.土瓶蒸し(岩手産松茸、江の島産黒ムツ、愛知産車海老、吸い地は利尻昆布、真昆布、鮪節)
13.塩釜産本鮪大トロ(握り)
14.能登珠洲産オニカサゴ1.6kgサイズ(握り)
15.五十猛産鰹炭火焼き(握り)
16.羽幌産ボタン海老(握り)
17.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
18.塩釜産本鮪中トロ(握り)
19.苫小牧産ツブ貝(軍艦)
20.岩手宮古産いくら(手巻き)
21.紅白握り(塩釜産本鮪赤身、出水産スミイカ)
22.天草産小鰭(握り)
23.能登珠洲産オニカサゴ1.6kgサイズのアラと磐田産海老芋の煮付け
24.能登珠洲産オニカサゴ1.6kgサイズ骨湯
25.ちらし(本鮪、ホタテ貝、鰹、厚岸産鰯、真鯛、干瓢)
26.水菓子(シナノゴールド、次郎柿、ラムプルーンアイスクリーム)

飯田(長野県)の現地で松茸を食べたり、庄川(富山県)の現地で子持ち鮎を食べたり。
(ちなみに松茸が不作の2023年は豊洲に信州産松茸の入荷が無いとのこと。)
山の食材は足が早いので東京で食べるより現地で食べるほうが美味しいです。

一方で熟成させることでも美味しくなる海の食材は東京のほうが活きるかも知れません。
アンキモ、ウニ、蟹、シシャモ、雲子(真鱈の白子)、鰤、ボタン海老、ツブ貝。
特に北海道の食材が東京の技術で昇華したときの美味しさは超絶。
コッテリ脂が乗った鰤(ぶり)を藁でサッと炙れば至福のひととき。

山の食材の例外的存在である天然うなぎ。
火入れによって美味しさが大きく左右されるので現地よりも東京で食べるべき食材。
ブリブリ感を残す身とカリッと焼き上げた皮を楽しめた本日の浜名湖産も素晴らしかったです。
最後のラムレーズンならぬラムプルーンアイスクリームもアイス・ジェラート百名店を凌駕。
1,299文字★

01.岩手産松茸と青森産エゾアワビの炊き込みご飯
02.柿なます(奈良産柿の胡麻和え、熊本産水前寺菜と野菜のなます)
03.標津産いくらと北海道産ズワイガニ♀の茶碗蒸し
04.秋の味覚の餡掛け椀(根室産秋刀魚有馬煮、零余子、ミズの実、香茸)
05.焼き茄子(熊本産赤茄子)と香茸で炊いた余市産アンキモ
06.青森産エゾアワビと冬菇椎茸の旨煮
07.揚げ出し椀(草加産里芋、宇和島産マナガツオ、岩手産松茸)
08.明石の鯛2.0kgサイズお造り
09.佐島産真蛸
10.函館産バフンウニ
11.徳島産岩牡蠣
12.明石の鯛湯引き
13.羅臼産初物雲子と明石の鯛アラのポン酢仕立て椀
14.羽幌産ボタン海老(握り)
15.深浦産本鮪90kgサイズ大トロ(握り)
16.釧路産ムラサキウニ(軍艦)
17.宍道湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
18.根室産秋刀魚(握り)
19.仙崎産シロイカ(握り)
20.深浦産本鮪中トロ(握り)
21.野付産ホタテ貝(握り)
22.有明産小鰭(握り)
23.小柴産カマス(握り)
24.萩産鰹藁焼き(握り)
25.十五夜巻き(メガ海鮮太巻き)
26.黒豆そうめん入り明石の鯛の潮汁
27.愛知産いちじくコンポートと自家製ラムレーズンアイスクリーム

いきなり炊き込みご飯という変化球を投げ込んできました。
『美味しんぼ』17集5話で紹介されていた海のマツタケご飯(正体はトコブシご飯)。
それを食べてみたいと申し上げたことはありますが、
まさか本物の松茸と(トコブシより高級な)アワビの炊き込みご飯とは恐れ入りました。

茶碗蒸しは蓋が閉まらないぐらい、標津産のブランドいくらがテンコ盛りで驚愕。
玉地の中にはズワイガニの蟹味噌や内子も入っており濃厚な味わいを楽しめます。
インスタ映えしそうな虚仮威しかと思いきや、きっちり美味しさを担保していました。
見映えばかり狙う駄店とは本質的な能力が異なるのです。

ご主人の会心の仕入れという「明石の鯛」もトップブランドの名に恥じぬ美味しさ。
白身魚にこだわるご主人だけあって目利きや市場とのコネクションが強力。
そして本日は赤身魚のクロマグロ(本鮪)も非凡な個体を仕入れていました。
脂が爽やかながら旨味も申し分なくて、都心の超高級鮨店も顔負けといったクオリティ。

紅白の高級魚だけでなく宍道湖産の天然うなぎまで登場。
キロ30,000円ともなる天然うなぎの最高級ブランド産地。
現地であればキロ7~8,000円で手に入るようですが、豊洲市場では4倍の高値となるのです。

あくまで鮨屋なので宍道湖産の天然うなぎを味わえるのは2切れだけ。
こうやって他のお客さんとシェアすることで高級食材を色々と楽しめます。
現地ではもっと安く食べられるとしても、焼くのに相当な技術を要するのがうなぎ。

うなぎ百名店を凌駕する火入れを会得しているご主人。
結局は現地に行くより東京で食べるほうが美味しかったりします。
全国各地から集まってきたブランド食材を、高いスキルを持つ料理人が昇華させる。
これぞ東京ならではの楽しみ方でしょう。
1,569文字★

01.金糸瓜・能登産岩もずく・トウモロコシ豆腐(青森産嶽きみとわらび粉)の素麺仕立て
02.大分産鱧(はも)・万願寺とうがらし・ハナビラタケの薄有馬煮
03.飛騨高山宮川産天然鮎(あゆ)とだだちゃ豆のコンソメ椀
04.メヌケ・養殖うなぎの肝・オクラの炊いたん
05.気仙沼産鰹(かつお)藁焼き大蒜醤油・ゴーヤ唐揚げ・かいわれ大根
06.お造り(京都産引き上げ湯葉、富津産0.9kgサイズ真鯛、明石産2.3kgサイズ真鯛、利尻産バフンウニ)
07.鱧しゃぶ(淡路産鱧、淡路産玉葱、一番出汁)
08.浜名湖産1.0kgサイズ天然うなぎ白焼き
09.室津産養殖岩牡蠣(握り)
10.深浦産本鮪大トロ(握り)
11.舞阪産新子(握り)
12.出水産新イカ(握り)
13.深浦産本鮪赤身(握り)
14.羽幌産ボタン海老(握り)
15.利尻産バフンウニ(軍艦)
16.霞ヶ浦産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
17.木更津産真鯵(握り)
18.養殖うなぎの肝焼き
19.出水産新イカのゲソ(握り)
20.観音寺産マナガツオしゃぶしゃぶ(鱧しゃぶの残り汁を再利用)
21.富津産カマス棒寿司
22.鯵ヶ沢産鮃(ひらめ)と富津産真蛸の二色丼
23.水菓子(宇都宮産豊水梨「プレミアム13」、福島産川中島白桃コンポート、自家製アイスクリーム)

お盆に上陸した台風7号(西日本を直撃)の影響で江戸前の食材が多かったです。
とはいえ流通網の発達した現代。
真鯛の最高級ブランドである明石産の当日物をきっちり仕入れていました。
ついでに江戸前(富津産)の真鯛も仕入れていたので「魚の王様」真鯛を食べ比べ。

夏の鯛は味が落ちるなんて言われますが、美味しさを左右するのは旬よりも個体。
夏であろうと美味しい個体は美味しいのです。
いずれも高級店クラスといったクオリティですが食べ比べると明石のほうが水っぽくて、
仕入れ値(明石と比べて)4分の1という富津のほうが美味しかったりするのも面白いところ。

海の魚の王様を食べ比べましたが「湖の魚の王様」天然うなぎも食べ比べ。
かつて淡水魚の王様と言えば鯉(こい)でしたが現代で最も高級な淡水魚は天然うなぎ。
1.0kgサイズの浜名湖産はブリンとした身の厚みと食べ応えが素晴らしかったです。
(cf.養殖うなぎは250g~330gサイズが多いように思います。)

霞ヶ浦産(浜名湖産よりも小振り)はパリッとした焼き上がり。
これは身厚な1.0kgサイズでは出せないであろう軽やかさ。
産地、大きさ、火入れ、様々な要素に左右される天然うなぎの味わいを贅沢にも食べ比べ。

なお肝は天然ではなくて養殖を使用。
天然のほうが大谷翔平クラスだそうですが大谷1人で野球はできないとのこと。
(つまりお客さんに出せるほど数が揃わないので天然の肝はご主人の賄いに。)

専門店はタレに二度漬けすることが多いそうですが同店の肝焼きは一度漬け。
このほうが素材の味わいがよく分かります。
当日に〆た肝だけ豊洲から仕入れており、専門店の肝焼きよりも苦味や臭みが少なかったです。

真鯛同様に夏は「猫跨ぎ(猫も食わない不味さ)」と評される鮃(ひらめ)ですが、
こちらも優秀な個体を仕入れているようで旨味の強さが圧倒的。
青森(鯵ヶ沢)産ですが、かつて青森(みなと食堂)で食べた鮃丼より桁違いに美味しい。
資本主義の原理によってピンの魚は地元ではなく東京に流れてしまうのでしょう。

さりげなくヒットだったのが嶽きみとわらび粉のトウモロコシ豆腐。
2023年に食べたトウモロコシ料理としてNo.2評価。
(館林の天ぷら百名店「車」で食べたトウモロコシの天ぷらが2023年のNo.1評価。)
鱧の旨味を吸ったハナビラタケなど脇役も良い仕事していました。
1,012文字★

01.明石産真蛸塩茹で
02.岩手産ムラサキウニ 枝豆葛寄せ 千葉産ブラックジャックスイカのガスパチョ
03.徳島産岩牡蠣 青森産天然ホヤ 土佐酢ジュレ
04.小川原湖産ゴリ有馬煮
05.佐島産鰹藁焼きニンニク醤油 長芋 オクラ なめこ ミョウガ
06.明石産真蛸やわらか煮
07.霞ヶ浦産白魚の赤ちゃん 心太(ところてん)
08.お造り(尾鷲産アラ、沼島産真鯵、金糸瓜、へべす)
09.お椀(観音寺産マナガツオ西京焼き、鹿ヶ谷かぼちゃ、青柚子の皮)
10.明石産鮃(握り)
11.舞鶴産真鯵(握り)
12.陸前高田産エゾイシカゲガイ(握り)
13.銚子産鰯(握り)
14.羽幌産ボタン海老(握り)
15.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
16.塩釜産本鮪中トロ(握り)
17.塩釜産本鮪赤身(握り)
18.まるひろの生うに(利尻産ムラサキウニ)軍艦
19.天草産新子2枚付け(握り)
20.土佐清水産シマアジ(握り)
21.大分産城下鰈(握り)
22.琵琶湖産ビワマス(握り)
23.水茄子(天ぷら)
24.大分産城下鰈(天ぷら)
25.舞鶴産真鯵(天ぷら)
26.鹿嶋産岩牡蠣(天ぷら)
27.掻き揚げ丼(淡路産玉葱、鮃、穴子)
28.水菓子(チョコレートのアイスクリーム、皮付き桃のコンポート、ピオーネ)

ブランド明石産の真蛸食べ比べ(塩茹で or やわらか煮)、
夏の小さな川魚(ゴリや白魚の赤ちゃん)など楽しんでおりました。
「赤ちゃん」だからなのか白魚に泥臭さなど感じることなく美味しかったです。

この日のTOP3を挙げると、岩牡蠣、マナガツオ、真鯵の天ぷら。
徳島産の岩牡蠣はナマで鹿嶋産の岩牡蠣は天ぷらで食べたのですが、
やはり岩牡蠣はナマのほうがネットリとクリーミーで濃厚。
火を入れるとクリーミー感を喪失するのでナマでこそ活きる食材なのでしょう。

真鯵は、お造り、握り、天ぷらの三段変化だったのですが、
こちらは逆に天ぷらで食べるほうが美味しかったです。
天ぷらのほうが厚切りカットなので食べ応えあって、パサつかずシットリ感を残す火入れ。

青魚は特有の癖や臭いがあるので専門店ではあまり天ぷらにしませんが、
アジフライより美味しいかも知れない真鯵の天ぷら。
(少なくとも過去に同店で食べたアジフライより今回の天ぷらのほうが気に入りました。)
〆の掻き揚げ丼も天ぷら百名店に負けないレベル。
1,022文字★

01.愛知産トウモロコシ「サニーショコラ」と秋田産蓴菜の葛寄せ
02.実山椒で炊いた与論島産小芋・万願寺唐辛子・じゃこ・牛肉
03.たこ焼き(明石の真蛸、サニーショコラ、九条葱)
04.下北産黒鮑 うるかと京都の白味噌で炊いた山口産萩たまげなす
05.島根高津川産天然鮎コンフィ お酢とオリーブオイルで叩いたキュウリ
06.お造り(明石の鯛、小川商店バフンウニ、冬瓜、愛知産子持ちシャコ)
07.佐島産鰹藁焼きニンニク醤油
08.壱岐産本鮪大トロ(握り)
09.天草産小鰭(握り)
10.大分産関いさき(握り)
11.佐島産鰹藁焼き(握り)
12.琵琶湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
13.山口萩産白バイ貝(茹でて肝と一緒に握って)
14.羽幌産ボタン海老(握り)
15.壱岐産本鮪赤身(握り)
16.ボタン海老出汁のお味噌汁(アワビの肝と九条葱入り)
17.出水産スミイカ(握り)
18.明石の鯛(握り)
19.秋田産アラ(握り)
20.淡路産真鯖(握り)
21.いさきの白子(握り)
22.舞鶴産真鯵(握り)
23.宮崎広渡川産2.2kgサイズ天然すっぽんのポン酢仕立て椀
24.すっぽん雑炊
25.すっぽん幽庵焼き(炭火焼き)
26.干瓢巻き
27.水菓子(冷凍バナナ、夕張メロン、佐藤錦、寒天)

キロ6,000円という明石の真蛸を何と「たこ焼き」にしていました。
高級店ならではの遊び心といったところでしょうか。
フワトロな仕上がりとなっており、真蛸もいつもよりソフトな食感に。
ご主人曰く火を入れ過ぎただけのようですが一体感を得られて悪くなかったです。

美味しさという点で本日の白眉と思ったのは琵琶湖産の天然うなぎ。
おまかせ50,000円ぐらいの京都某店(食べログ超ハイスコア)では、
炭火の強火で一気に焼き上げて琵琶湖産をブリブリ食感に仕上げていましたが、
パリッとサクッとフワッと軽やかに焼き上げるようなご主人の火入れのほうが筆者好み。

茹でて肝と一緒に握った白バイ貝も良かったです。
5月には富山県のミシュラン二つ星でエッチュウバイを食べましたが、
生だからか特有の癖というか生臭みが少し気になってしまいました。

ボイル調理によって臭みが穏やかになるという効果があるのでしょうか。
濃厚クリーミーな肝と一緒に握るという食べ方も気に入りました。
(生で食べるときのようなコリコリ食感は失いますが旨味は申し分なし。)
909文字★

01.愛知産活けギンポ天ぷら
02.宮城松島産朝〆穴子天ぷら
03.穴子の骨煎餅
04.愛媛産ヒメコダイ天ぷら
05.勝浦産蒸しサザエ
06.京都産淡竹(はちく)自家製搾菜の余市産アンキモ和え
07.宮城塩釜産黒鮑 宮崎産佐土原ナス 会津産蕗の薹味噌
08.淡路産2.1kgサイズ星鰈お造りエンガワ付き、函館産「小川の生うに」バフンウニ
09.山椒で炊いた秋田産天然わらび、芋茎の胡麻酢和え
10.星鰈の潮汁
11.岡山児島湾産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
12.滑川産ホタルイカ叩き(握り)
13.岩手普代産ホタテ貝(握り)
14.羽幌産ボタン海老(握り)
15.塩釜産本鮪大トロ(握り)
16.大間産「ダイセンの生うに」ムラサキウニ(軍艦)
17.出水産スミイカ(握り)
18.塩釜産本鮪赤身ヅケ(握り)
19.愛知産平貝(握り)
20.ボタン海老の潮汁
21.有明産小鰭(握り)
22.宿毛産シマアジ(握り)
23.銚子産金目鯛(握り)
24.葉山産アオリイカのミミ(握り)
25.天丼(アオリイカ、穴子、シマアジ、淡竹、ホタテ貝)
26.水菓子(スイカ、マンゴー、さくらんぼ、寒天、自家製アイスクリーム)

この日は専門店顔負けな「天ぷら」に舌鼓。
専門店でも入手困難な活けギンポの筋肉質でムキムキした歯応えが堪りません。
ネットリ濃厚に蕩ける穴子は百名店クラス、今が旬のヒメコダイも専門店を凌駕する美味しさ。

百名店を超越するうなぎを繰り出している同店(3.82)ですが、
(いよいよ冷凍ではなくてフレッシュな天然物が児島湾産からスタートしました)
天ぷらに関しても百名店に負けない感動を得られました。

かつて法事を受けていた頃は天ぷらを揚げまくっていたとおっしゃるご主人。
天ぷらの揚げ油には豊年サラダ油を使っているとのこと。
(サラダ油でも太白胡麻油100%な専門店の天ぷらに負けていません。)

自家製の搾菜を最高級アンキモで和えたり、蕩けるナスがアワビより美味しかったり、
おつまみのセンスは鮨屋というより高級和食を上回っています。
ご主人が今季No.1と豪語する星鰈の素材力も凄まじかったです。
1,164文字★

01.山椒で炊いた宮城松島産穴子と加賀太きゅうり
02.千葉竹岡産太刀魚カルパッチョ
03.宮城産渡り蟹カンジャンケジャン
04.揚げ出し椀(千葉竹岡産太刀魚、信州産タラの芽、駿河湾産桜海老)
05.愛媛産真鯛白子の塩茹で
06.愛知産鳥貝の肝と気仙沼産真子鰈の肝刺し
07.愛知産蕗お浸し
08.気仙沼産真子鰈お造り
09.徳島産アイナメ皮炙り
10.鹿児島産キビナゴ 花山椒 海苔佃煮
11-1.花山椒鍋1杯目(京都産花山椒、物集女産筍、銚子産金目鯛)
11-2.花山椒鍋2杯目(京都産花山椒、対馬産ノドグロ)
12.大船渡産本鮪大トロ(握り)
13.琵琶湖産ビワマス(握り)
14.鳥羽産1kg級アオリイカのミミ(握り)
15.鳥羽産1kg級アオリイカ(握り)
16.羽幌産ボタン海老(握り)
17.閖上産赤貝(握り)
18.大船渡産本鮪中トロ(握り)
19.愛知産鳥貝(握り)
20.気仙沼産鰹藁焼き(握り)
21.自家製搾菜
22.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
23.船橋産小鰭(握り)
24.函館産ムラサキウニ(握り)
25.大船渡産本鮪赤身(握り)
26.出水産真鯵(握り)
27-1.花山椒鍋3杯目(京都産花山椒、黒毛和牛コプチャン)
27-2.花山椒鍋4杯目(京都産花山椒、黒毛和牛ハラミ)
28.鳥羽産シマアジ(握り)
29.下北産サクラマス(握り)
30.対馬産煮穴子(握り)
31.能登産鰯(握り)
32.本わさび入り干瓢巻き
33.銚子産金目鯛の潮汁
34.水菓子(熊本産スイカ、ニュージーランド産キウイ、ハワイ産パパイヤ、宮崎産マンゴー)

まずは甘めに炊いた穴子(春でも脂ノリ良かったです)に舌鼓。
酢橘と大蒜を乗せた太刀魚のカルパッチョ(イタリアン)、カンジャンケジャン(韓国)、
ジャンルレスな酒肴がどれも美味しくてアルコール摂取量が跳ね上がっていきます。

キロ20,000円の淡路産とキロ6,000円の気仙沼産を仕入れるも、
食べてみると味の違いは殆ど無かったとおっしゃる真子鰈。
ネットリした身質と旨味の強さを楽しめて産地のブランド力を超える実力を感じられました。

春の風物詩となっている花山椒鍋。
この日は主役候補として銚子産(静岡産よりブランド力が強いらしい)の金目鯛、
対馬産(市場評価No.1ブランド)ノドグロ、黒毛和牛のコプチャンやハラミ、
色々と試してみたのですが白眉と思ったのは物集女(京都)の筍。

アクが無いので糠などで下茹でせずに二番出汁でそのまま炊いたのだそう。
筍の産地として市場評価が高いのは合馬(北九州)、塚原(京都)、物集女など。
ブランド筍を超厚切りカットで花山椒鍋と合わせる。
何とも資本主義な料理ですが、食感も旨味も素晴らしくて、本日の主役といった美味しさ。
1,029文字★

01.毛蟹のビスク 佐賀産ホワイトアスパラガス
02.毛蟹・白海老・ワラビ・徳島産珊瑚樹トマトのタルタル
03.宮城南三陸産真牡蠣、鳥羽産岩牡蠣燻製
04.琵琶湖産セタシジミの澄まし汁(昆布出汁で1時間10分火入れ)
05.室津産鳥貝肝酒煮
06.下田産ヤリイカと熊本産筍の木の芽味噌和え
07.三河産平貝・勝浦産本鮪・ウルイ・九条葱のぬた
08.お造り(明石の鯛2.8kgサイズ、函館産バフンウニ)
09.蕗味噌(魚沼産蕗の薹と京都産白味噌)
10.エゾアワビと山独活 アワビの肝とアンキモ和え
11.真鯛の白子ポン酢煮
12.室津産鳥貝(握り)
13.勝浦産本鮪中トロ(握り)
14.出水産春子鯛(握り)
15.山口産トラフグ白子ミニ丼
16.船橋産小鰭(握り)
17.勝浦産本鮪大トロ(握り)
18.羽幌産ボタン海老(握り)
19.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
20.明石の鯛腹皮炙り(握り)
21.ボタン海老の潮汁
22.出水産スミイカ(握り)
23.勝浦産本鮪赤身(握り)
24.鳥羽産石鯛炙り(握り)
25.鹿児島長島産真鯵押し寿司
26.焼津産サザエの沢煮椀
27.閖上産赤貝(握り)
28.ひもきゅう巻き
29.赤貝の肝炙り
30.福井産ホタルイカ(握り)
31.メガ太巻き
32.奈良産コットンベリー 千葉産アイベリー 佐賀産はまさき 黒トリュフのアイスクリーム

2017年1月に食べログが訪問回数をカウントするようになって以降90回目の訪問。
最近は日本全国のアワード店巡りで食べた料理をご主人に伝えて、
インスパイア&同店(3.82)ならではのカスタマイズを施した料理を出して貰っています。

大分県の某店で食べた地物(つまり大分産)真鯛の腹皮炙り。
同店では明石の鯛の腹皮を炙って、握りのタネにするというカスタマイズ。
アブラギッシュな部位なので爽やかな酢飯と合わせるほうが合理的かも知れません。

岡山県の某店で食べたホタルイカの混ぜご飯。
同店では混ぜご飯を握っていましたが、握って凝縮させることで濃厚感が増すのか、
カスタマイズによってアワード店より美味しくなっていました。

最後は茨城県の某店スペシャリテをインスパイアしたような黒トリュフのアイスクリーム。
ビスクやタルタルなど「洋」の料理にも非凡なセンスを発揮するのが同店の特長。
一応鮨屋ですが何でも屋のようになっています(そこが同店の魅力とも言えます)。
1,589文字★

01.佐島産天然トラフグ煮凝り
02.能登産鰯お造り生姜醤油
03.能登産青海鼠と小長井産真牡蠣
04.釧路産焼き雲子の擂り流し
05.大洗産鮃(握り)
06.宍道湖産白魚(握り)
07.宮崎産ボラ子カラスミ
08.明石の鯛2.9kgサイズお造り
09.佐島産天然トラフグお造り
10.函館産バフンウニ
11.あきるの産独活(うど)きんぴら
12.佐島産天然トラフグのカマ唐揚げポン酢風味
13.八戸産真鯖と蒟蒻の白味噌煮
14.八幡浜産白甘鯛と熊本産筍のお椀
15.蒸し寿司(車海老おぼろ、錦糸玉子、椎茸、空豆、ガリ)
16.佐島産天然トラフグ白子炭火焼きと黒トリュフのオリーブオイル漬けミニ丼
17.銚子産本鮪中トロ(握り)
18.増毛産ボタン海老(握り)
19.岸和田産鳥貝(握り)
20.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
21.気仙沼産さより閂サイズ(握り)
22.銚子産本鮪大トロ(握り)
23.函館産ムラサキウニ(握り)
24.出水産スミイカ(握り)
25.能登産〆鰯(握り)
26.釧路産生雲子と紅瞳(対馬産ノドグロ)炭火焼き丼
27.ノドグロにゅうめん(ノドグロのアラ汁、三輪素麺、琵琶湖産ワカサギ有馬煮)
28.ボタン海老スープ
29.自家製アイスクリーム 北海道産自家製小豆餡 唐津産はまさき 高知産水晶文旦

トラフグから溢れ出た天然のゼラチン質が固まった「煮凝り」からスタート。
構成はトラフグ出汁の煮凝りの中に身と皮(身皮と遠江は入っていません)。
同じ週に大分県の食べログNo.1とNo.3で豊後水道の天然トラフグを食べましたが、
それを遙かに凌駕する美味しさで驚愕しました。

佐島(相模湾)のトラフグが豊後水道のトラフグを上回るというわけではなくて、
ご主人の調理技術によって組み立てられた煮凝りの美味しさが異常。
(トラフグのお造りや唐揚げにはそこまでの感動を覚えませんでした。)
出汁の強烈な旨味と食感の妙味で佐島産の天然トラフグが昇華しています。

同じ佐島産の天然トラフグから採取された白子。
パツパツに変質するまで炭火で焼き上げて、黒トリュフのオリーブオイル漬けを添えて。
(トリュフと白子は相性が良いのでフレンチはもちろん和食でも目にする組み合わせ。)

同じ週に福岡県の食べログ4.54超高評価鮨店でもトラフグ白子焼きのミニ丼を食べて、
それも全国トップクラスに美味しいとは思ったのですが、
同店(3.84)のトラフグ白子と黒トリュフの組み合わせはそれすら凌駕。
筆者が知る限り白子料理として全国No.1の美味しさです。

お支払い55,000円となった超高評価鮨店(4.54)。
魚介の美味しさは資本主義なので高級店のほうが圧倒的に有利なはずですが大金星。
食べログのスコア4.50以上となっている日本全国36軒のうち17軒には訪れてみましたが、
トラフグ煮凝り、白子&黒トリュフ、天然うなぎ蒲焼き、紅瞳(ノドグロ)炭火焼き、
本日食べた以上4皿に関してはスコア4.50店をも上回る圧巻の美味しさ。

うなぎ百名店を凌駕する天然の地焼き蒲焼きですが本日はシットリ感を残す火入れ。
天然の食材なので個体によって仕上がりが変わってきますが、
そういう一期一会を楽しめるのもまたジビエ(天然食材)の魅力の1つ。
時期的に冷凍だと思いますが、技術の発達した現代に於いては冷凍が弱点とはなりません。

そして過去に食べたノドグロでNo.1かも知れない紅瞳の炭火焼き。
市場取引されるノドグロの中では最高級と謳われる対馬産のブランド。
皮目は炭火で香ばしく焼き上げて身はレアー感を残す火入れ。
この火入れによってもブランド紅瞳が昇華しているのでしょう。
生の雲子(真鱈の白子)との組み合わせという斬新さでも他店の追随を許していなかったです。
1,187文字★

01-1.助子の昆布巻き温菜
01-2.数の子
02.斜里産雲子と淀大根の合わせ味噌椀
03-1.琵琶湖産公魚(わかさぎ)有馬煮
03-2.うなぎ肝の煮凝り
04.函館産バフンウニ
05.能登産活け鮟鱇お造り
06.能登産活け鮟鱇の生肝
07.利尻産鮃お造り
08.能登産青海鼠(なまこ)このわた和え
09.三河産ミル貝炭火炙り
10.サロマ湖産スモーク牡蠣
11.余市産鮟肝温菜
12.カラスミ餅
13.塩釜産本鮪中トロ(握り)
14.羽幌産ボタン海老(握り)
15.天草産トラフグ白子炭火焼きミニ丼
16.利尻産鮃(握り)
17.塩釜産本鮪大トロ(握り)
18.天草産小鰭(握り)
19.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
20.利尻産鮃と横須賀産カワハギの肝(握り)
21.蒲郡産真鯊肝乗せ(握り)
22.横須賀産煮蛸(握り)
23.手巻き(鹿児島産筍、秋田産蕗味噌、愛媛産のれそれ)
24.鯊子カラスミ
25.どぶ汁ラーメン(能登産活け鮟鱇、茨城産わわ菜、安土信長葱、石巻産原木椎茸、鹿児島産筍、白味噌、バター)
26.能登産鰤(握り)
27.三河産ミル貝
28.小柴産スミイカ
29.富山産スルメイカ
30.せとかと徳島産さくらももいちごのゼリー寄せ

年明けということで昆布巻きと数の子からスタート。
おせちに入っているような昆布巻きとは全く異なる薄味の温菜。
同じ月に某店で食べた八寸はおせち料理をおせちと同じ濃い味付けで出してきましたが、
(日持ちを考慮する必要がない)実店舗のアドバンテージを活かしているのは同店(3.86)。

うなぎ肝の煮凝りは市場でのお付き合いで(養殖の肝を)押し付けられたそう。
実山椒の香りで養殖かつ捌いてから時間が経って臭みの出やすい肝を上手く調理。
クリーミーな口当たりと肝ならではの旨味が素晴らしかったです。
茶色くて見映えこそ悪いですがフレンチのテリーヌやゼリー寄せを超える美味しさ。

豊洲市場で能登の活け鮟鱇を丸ごと1尾購入したそうでお客さんの到着前に吊し切り。
プリプリ食感のお造りを楽しめるのは活けから捌き立ての特権でしょう。
次に食べた鮃と比べると水分含有率が高いように思うのですが、
ブランド高級白身魚である鮃以上といった旨味の強さを楽しめて驚愕。
捌き立てなので肝まで生で楽しんでいました(肝は余市産のほうが美味しかったです)。

このわた和えの海鼠、炙ったミル貝、スモークした牡蠣、ボラ子と鯊(はぜ)子のカラスミ。
酒を盗みまくってきます。
1月から3月ぐらいがシーズンであろうトラフグの白子、
シーズンオフなので冷凍を使うも、うなぎ専門店を遙かに凌駕する蒲焼きなどに舌鼓。
活け鮟鱇で作った「どぶ汁ラーメン」まで堪能していました。
(いちおう鮨屋なので握りや手巻きなども美味しく頂いておりました。)
1,206文字★

あけましておめでとうございます、本年もよろしくお願いいたします。

01-1.出汁と土佐酢で煮た宮城産青海鼠(なまこ)青森下北産天然海鞘(ほや)
01-2.生海苔の佃煮
02.海老芋カラスミ
03.鶏挽肉を射込んだ堀川牛蒡
04.お造り(明石の鯛2.6kgサイズ、根室産バフンウニ)
05.合馬産初物筍
06.香住産せこ蟹 バターでソテーした仙鳳趾産牡蠣と淡路産新玉葱のムース
07.余市産アンキモ
08.明石の煮蛸
09-1.北海道オホーツク産ずわい蟹鍋(胴体)
09-2.北海道オホーツク産ずわい蟹鍋(脚)
10.羽幌産ボタン海老の卵と海老味噌ミニ丼
11.羽幌産ボタン海老(握り)
12.大間産本鮪大トロ(握り)
13.函館産ムラサキウニ(握り)
14.勝浦産金目鯛(握り)
15.八戸産〆鯖(握り)
16.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
17.根室産鰯(握り)
18.和歌山箕島産カワハギ(握り)肝を挟んで
19.氷見の鰤(握り)
20.長万部産ホッキ貝(握り)
21.淡路産スミイカ(握り)
22.大間産本鮪赤身(握り)
23.斜里産アカメヌケと雲子のポン酢仕立て椀
24.北海道オホーツク産ずわい蟹鍋
25.蟹鍋の〆雑炊(蒲鉾とカラスミ入り)
26.淡路産真鰺棒寿司
27-1.気仙沼産鮃(握り)
27-2.気仙沼産鮃(握り)
28.自家製あまおうアイスクリーム 凍らせた富士柿 紅まどんな

2022年は間人蟹(1杯80,000円)を食べる機会が何度かあったのですが、
個人的には同店(3.86)の蟹鍋も負けていないと思いました。
ちなみに間人蟹の1杯80,000円がおそらく日本最高級ブランド。
越前蟹の1杯70,000円がそれに次ぐ高値となっているようです。
(本日のオホーツク産は諸事情あって、それらよりも遙かにお値打ち価格。)

どうして資本主義に反する革命が起きたのか申し上げれば、
同店は鍋の出汁(一番出汁)が強力で、蟹の旨味に「足し算」しているからでしょう。
間人蟹を使えるような高級店が素材を活かすため「引き算」するのとは対照的。

もちろん旨味が濃厚になり過ぎると富裕層ウケは悪くなると思うのですが、
下町育ちでコッテリ濃厚な味わいを好む筆者には同店のほうが合っています。
足し算といえばせこ蟹(メスのずわい蟹)と牡蠣を組み合わせた料理がフレンチ顔負け。
ソテー(油脂添加)やムース(変質)といった技法を駆使することで蟹を昇華させていました。

トロッとパリッと焼き上げた地焼き天然うなぎは専門店を凌駕する日本屈指の美味しさですし、
最後のデザートも同店よりスコアの高いアシェットデセール専門店より感動。
コッテリ濃厚クリーミーなアイスと、凍らせた甘柿の食感との組み合わせに唸りました。
握りでは(2022年に仕入れた中で最高らしい)ボタン海老と金目鯛が特に良かったです。
1,124文字★

01.仙鳳趾産牡蠣昆布〆
02.仙鳳趾産生牡蠣
03.聖護院かぶ 大阪産ボラ子カラスミ 淡路産ボラ子カラスミ
04.余市アンキモ
05.鳥取産セコ蟹紹興酒漬け
06.大阪産ボラ子カラスミ(追いカラスミ)
07.淡路産星鰈お造り 函館産バフンウニ 淡路産ボラ子カラスミ
08.大村湾産赤海鼠茶ぶり
09.横須賀産煮蛸 岩手普代産秋刀魚有馬煮
10.京都山城産海老芋出汁揚げ 大間産メジ藁焼き
11.宮城産500gサイズ穴子白焼きを横須賀産カワハギ潮汁で
12.大原産石鯛タタキ
13.北海道斜里産雲子とズワイガニ餡の温寿司
14.淡路産星鰈(握り)
15.大原産石鯛タタキ(握り)
16.横須賀産カワハギ肝を挟んで(握り)
17.大分産赤貝(握り)
18.気仙沼産本鮪大トロ(握り)
19.児島湾産740gサイズ天然うなぎ蒲焼きミニ丼
20.気仙沼産本鮪中トロ(握り)
21.山口宇部産車海老(握り)
22.根室産鰯(握り)
23.有明産小鰭(握り)
24.佐賀産養殖すっぽん内臓ソテー
25.佐賀産養殖すっぽん唐揚げ
26.ハリハリ鍋(ニタリクジラ赤身、イワシクジラ鹿の子、しろ菜)
27.ラ・フランスのソルベ ル・レクチェのコアントロー和え 王林(りんご)

ボラ子カラスミ、牡蠣、アンキモ、セコ蟹(内子)、ウニ、海鼠、雲子(真鱈の白子)。
(生の状態から昆布〆にした牡蠣は水分が抜け塩分と濃厚感が増して塩辛に近くなります。)
季節が冬に移り変わって珍味系のおつまみが色々と出てきました。
チョコチョコ少量ずつ出てくるのが一般的な珍味の扱い方と思いますが、
ドカドカ大量に出てくるのが同店(3.87)ならではの良さといったところでしょう。

食べログGOLD店と同じ仕入れ先、ご主人の調理技術はGOLD以上と思っているぐらいで、
それだけ良質な珍味をバクバク貪れる幸せを他ではまず味わえません。
日本酒がドンドン蒸発して尿酸値はガンガン上がってしまいそうですが、
リスクに見合うだけのリターンは得られたと思います。

高知県で食べて美味しかった、こうろう(石鯛)のタタキをリクエストするも、
仕入れ値がキロ8,500円まで高騰していたのは誤算。
(いつもは半値ぐらいのようですが脂ノリが良くなる冬に値上がり傾向。)

藁焼きやタタキ(炭火焼き)といった焼き物の美味しさも光る同店。
メジ、戻り鰹、サワラ、寒ブリに加えて、今回の石鯛も素晴らしかったです。
そして同店で最も美味しい焼き物が天然うなぎ。
740gという大振りサイズな児島湾(岡山県)産が本日も圧倒的な美味しさ。
日本全国のうなぎ屋を巡っても同店を超える蒲焼きに出会えません。
902文字★

01.明石産真蛸やわらか煮 鹿ケ谷かぼちゃ
02.お造り
02-1.明石の鯛
02-2.函館産バフンウニ
02-3.真鶴産石鯛
03.古平産ボタン海老紹興酒漬け
04.白子と牡蠣の三杯酢(羅臼産雲子、仙鳳趾産真牡蠣、胡瓜)
05.お椀(丹波産松茸、鳥羽産鰆炭火炙り、高知産四方竹、丹波産黒枝豆)
06.大間産本鮪大トロ(握り)
07.古平産ボタン海老(握り)
08.関イサキ昆布〆(握り)
09.北海道日高産鰤(握り)
10.明石の鯛(握り)
11.大間産本鮪中トロ(握り)
12.浜名湖産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
13.陸前高田産エゾイシカゲガイ(握り)
14.有明産小鰭(握り)
15.鹿児島産スミイカ(握り)
16.ボタン海老潮汁
17.長崎産2.5kg級クエ炙り(握り)
18.明石産真蛸塩茹で(握り)
19.三河産平貝(握り)
20.神戸産鰯(握り)
21.鹿嶋産蛤と長芋の揚げ出し
22.ミックスフライ(金谷産真鯵、知床産鰊、丹波産松茸)いぶりがっこ入り自家製タルタルソース
23.宮城産400gサイズ穴子炭火焼き
24.アイスランド産イワシクジラ鹿の子汁
25.飛騨高山産宿儺かぼちゃプリン 笠間栗渋皮煮 ラ・フランス 黒あま(紀の川柿)

食べログGOLDの某店や食べログGOLDの某店と同じ仲卸から仕入れている同店(3.88)。
むしろ地代家賃の負担僅かな同店のほうが良質な食材を仕入れているぐらいで、
特にご主人がこだわる白身魚の美味しさに関しては天下一品。
明石の鯛がいつも通り美味しかったです(ついでに脂ノリの良い石鯛も筆者好み)。

うなぎ専門店を凌駕する地焼きの蒲焼きも(諸事情で)いつにも増して美味しい。
食べログSILVERの某店は蒲焼きのタレが水っぽく筆者の好みと合わないので、
関西風の蒲焼きとして筆者の評価は同店が全国No.1となっています。

アジフライをリクエストしたのですが、ついでに出てきた鰊(にしん)のほうが美味しくて、
こういう予想外の美味しさに驚くのが同店の特長となっています。
鮨屋なのに鮨のことについて何も言及しないのもお約束となっています。
1,511文字★

01.宮城産渡り蟹と仙鳳趾産牡蠣の紹興酒漬け土佐酢ジュレ
02.神戸産いわし・焼津産生しらす・新玉葱・柿酢マリネ
03.琵琶湖産ワカサギ南蛮漬け
04.北海道白糠産ししゃもとクエの出汁
05.加賀蓮根すり流し・愛知産銀杏・信州産松茸・羅臼産雲子・余市産アンキモ餡掛け
06.お造り(伊豆下田産1.5kgサイズ天然シマアジ、北海道産鮃、野付産バフンウニ)
07.山口産さわら藁焼き
08.ハリハリ鍋(釧路産ニタリクジラ赤身、釧路産ニタリクジラ本皮、水菜)
09.北海道産鮃昆布〆(握り)
10.大間産本鮪大トロ(握り)
11.山口産さわら藁焼き(握り)
12.神戸産いわし(握り)
13.陸前高田産エゾイシカゲガイ(握り)
14.大間産本鮪赤身(握り)
15.浜名湖産480gサイズ天然うなぎ蒲焼きミニ丼
16.羽幌産ボタン海老(握り)
17.宮城産2.4kgサイズ大穴子炭火焼き
18.大間産本鮪中トロ(握り)
19.北海道産鮃昆布〆(握り)
20.伊豆下田産1.5kgサイズ天然シマアジ(握り)
21.有明産小鰭(握り)
22.黒枝豆入りシマアジ潮汁
23.鹿児島産スミイカ(握り)
24.シナノスイート(りんご)と笠間栗渋皮煮

渡り蟹は夏のほうが味噌や内子がたっぷり詰まっているそうで、
どちらかと言えば身のほうがメインとなるような比率でしたが十分に美味しい。
殻からトゥルントゥルンした身を吸い出せば口の中で滑らかに蕩けていきます。

いわしのマリネにいくらを乗せるなんてインスタ狙いのネオ居酒屋を思わせますが、
美味しさがきっちり担保されておりネオ居酒屋とは構成力の次元が異なります。
さりげなく新玉葱のシャキッとした食感が良い仕事していました。

南蛮漬けは酸味穏やかな高級店仕様となっておりワカサギを昇華させます。
すり流しに入っている雲子(真鱈の白子)は初物だそうですが旨味しっかり。
天然シマアジは〆たばかりということで活かったようなブリブリ食感。
それでも旨味抜群という印象で、お造りで食べても握りで食べても絶品でした。
(2.4kgという通常の穴子10倍サイズの超巨大穴子は残念ながら大味でイマイチ。)

大阪のソウルフードの1つであろうハリハリ鍋(鯨肉と水菜を用いた鍋料理)。
かつて鯨が安く手に入った時代に広まったそうですが現在は鯨の値上がりによって衰退。
食べログ鯨料理ジャンル全国No.1の北新地某店がスペシャリテとしています。
それを食べてみて美味しかったので、ご主人ならではのハリハリ鍋を食べたいとリクエスト。

豊洲市場で仕入れたニタリクジラのフレッシュな赤身と本皮を厚切りカット。
そして赤身だけ葛打ちしてトロンとした食感を付与。
鍋の出汁は鮃の潮汁をベースに、昆布と鰹節も加えています。

鯨の脂と旨味が溶け込んだスープを飲むだけで圧倒的に美味しい。
ご主人の作る潮汁の美味しさは食べログGOLDを超えると思っていますが、
食べログの鯨料理ジャンル全国No.1を凌駕するであろう吸い地となっています。

レアー感を残す火入れで仕上げた厚切りの赤身もフレッシュながら旨味強くて美味しい。
鯨肉の宿命か僅かに獣臭さを感じてしまうのですが全国No.1で食べた赤身より臭み無し。
No.1のハリハリ鍋は赤身、本皮、鹿の子、全て薄切りにしていましたが、
葛打ちすれば厚切りでも吸い地との親和性は高くなりますし厚切りなので食べ応え抜群。
スープの圧倒的な美味しさも相俟ってNo.1を凌駕するハリハリ鍋となっていました。
うなぎ、すっぽん、くじらが専門店で食べるより美味しいという異端の鮨屋。
1,081文字★

01.根室産秋刀魚・岩手産香茸・山形産もって菊・山形産ミズ餡掛け
02.飛騨高山産宿儺かぼちゃ 大間産本鮪フレーク
03.青森産岩もずく 仙鳳趾産真牡蠣
04.岩手産平茸と三つ葉の胡麻和え
05.白和え(洋梨、胡桃、枝豆)
06.お造り(明石の鯛3.1kgサイズ、利尻産ムラサキウニ)
07.お椀(北海道産毛蟹、北海道産松茸、山形産菊花)
08.羽幌産ボタン海老の卵と海老味噌・富山産白海老・標津産いくらミニ丼
09.羽幌産ボタン海老(握り)
10.大間産本鮪大トロ(握り)
11.余市産松皮鰈(握り)
12.仙崎産剣先イカ(握り)
13.利尻産バフンウニ(軍艦)
14.利根川産天然うなぎ670gサイズ蒲焼きミニ丼
15.陸前高田産エゾイシガキガイ(握り)
16.大間産本鮪赤身ヅケ(握り)
17.舞鶴産真鯵(握り)
18.知床産〆鰊棒寿司
19.十勝産鰤(握り)
20.生のミミとゲソ(仙崎産剣先イカ)ミニ丼
21.岬はなあじ(握り)
22.アジフライ(岬はなあじ)
23.アジフライ(出水産真鯵)
24.天草産天然すっぽん1.5kgサイズ内臓ソテー
25.骨煎餅(岬はなあじ)
26.天草産天然すっぽん1.5kgサイズ唐揚げ
27.自家製抹茶アイスクリーム 洋梨 クイーンルージュ(葡萄)

まずは秋刀魚(さんま)や天然キノコに秋の訪れを感じます。
フレークにして宿儺(すくな)かぼちゃに合わせた大間産本鮪は豚の挽き肉のような味わい。
大間の本鮪を豚に例えるのが果たして褒め言葉になるか分かりませんが美味しい。
ムスリム(宗教的に豚を食べられない)でも楽しめる「豚そぼろ」。

大間の本鮪、明石の鯛、天然うなぎ、すっぽん、といったブランド食材も美味しいですが、
〆鰊(にしん)の棒寿司といった原価は安くとも美味しい料理が光ります。
脂が多くて足が早いので高級店はまず扱いませんが、技術による底上げで高級食材を凌駕。

と言ってもブランドはブランドでやはり美味しさが担保されています。
有名な「関あじ」の対岸、豊予海峡で獲れる真鯵、三崎漁協の岬あじ(はなあじ)。
市場を通さないので三崎漁協との直接取引となります。
ご主人曰く関あじに似ているとのこと(泳いでいる海は同じなのでしょう)。

「岬はなあじ」を握りとフライで堪能。
アジフライに関しては国内最高級ブランド産地の出水(鹿児島)も登場して食べ比べ。
レアー感を残す火入れで大衆店のアジフライとは一線を画していました。
仕入れた日が違うこともあって(出水のほうが古い)今回は岬はなあじに軍配。
1,298文字★

01.うまき(霞ヶ浦産天然うなぎ)
02.出汁で炊いた北海道産トウモロコシとパプリカ 佐渡産蒸し鮑 肝クリームソース
03.うざく(琵琶湖産天然うなぎ、鷹架沼産天然うなぎ、仙鳳趾産真牡蠣、キュウリ、岩もずく)
04.琵琶湖産天然うなぎ天ぷらと北海道産トウモロコシ天ぷらの揚げ出し椀
05.霞ヶ浦産天然うなぎ八幡巻き 釧路産秋刀魚有馬煮 横須賀産真蛸 余市産アンキモ
06.お造り(青森産鮃エンガワ付き、礼文島産ムラサキウニ)
07.鷹架沼産天然うなぎ白焼き
08.銚子産いわし(生の生姜醤油和え)
09.萩たまげなすのうるか煮
10.塩釜産本鮪大トロ(握り)
11.銚子産黒ムツ藁燻し(握り)
12.出水産新イカ(握り)スミイカの新子
13.羽幌産ボタン海老(握り)
14.霞ヶ浦産天然うなぎ蒲焼きミニ丼
15.苫小牧産松茸と琵琶湖産天然うなぎのしゃぶしゃぶ
16.函館産ムラサキウニ(握り)
17.うにいくら飯(函館産ムラサキウニ、網走産いくら、北海道産トウモロコシ)
18.陸前高田産エゾイシガキガイ(握り)
19.淡路産真鯵(握り)
20.釧路産鰊ソテー軍艦
21.淡路産〆鯖(握り)
22.山形刈屋産幸水梨とピオーネ入りアイスクリーム

トウモロコシと天然うなぎをリクエスト。
高級食材である天然うなぎの食べ比べということでいつもより高くなってしまいましたが、
霞ヶ浦(茨城県)産、琵琶湖(滋賀県)産、鷹架沼(青森県)産、
3種類の湖沼(こしょう)の天然うなぎをバリエーション豊かに楽しめて興味深かったです。

印象としては、霞ヶ浦産がオーソドックス、琵琶湖産は良い意味で土のような風味が強く、
うなぎの獲れる北限と知られる鷹架沼産は身がやわらかくて旨味がアッサリしていました。
ジビエ(天然食材)は個体によっても印象が変わるので産地の特色とは断言できないですが、
専門店でも不可能であろう「うなぎ尽くしコース」を堪能。

オーソドックスな霞ヶ浦産を皮パリ身フワな地焼きの蒲焼きに仕上げれば、
天然ならではの旨味が迸(ほとばし)り知る限り最高に美味しい「うな丼」となります。
双璧と思うのが蒸しを入れた関東風で坂東太郎を楽しめる四ツ木の魚政(4.17)ですが、
すぐ近く(2駅ぐらいの距離)に日本のNo.1とNo.2の蒲焼きが存在する下町恐るべし。

土のような風味の漂う琵琶湖産は「しゃぶしゃぶ」にしたときが最も活きていました。
まずは身を骨切りにして、同じく香りに特長ある松茸と一緒に、一番出汁を張った鍋へ投入。
琵琶湖産ならではの風味と松茸のハーモニーを楽しめる逸品。

そして濃厚クリーミーな仙鳳趾の真牡蠣、適度に歯応えを残す横須賀の真蛸、
前回に続いてリクエストしたうるかなすも天然うなぎに負けず劣らず美味しい。
本職は(たぶん)鮨職人なので握りまで楽しめます。

〆スイーツの刈屋産幸水は繊細で上品な甘さ。
フレンチは梨や無花果をコンポートにしたりスープにしたり調理で変質させますが、
梨と無花果に関しては素材そのままストレートに食べるのが最高ではないかと思っています。
1,383文字★

01.北海道旭川産玉蜀黍「ドルチェドリーム」(二番出汁で炊いて)
02.浜松産落花生「おおまさり」、群馬産枝豆
03.羽幌産ボタン海老の塩辛
04.島根高津川産天然鮎のうるかと群馬産トロナスの「うるか茄子」岐阜長良川産天然鮎コンフィ
05.青森産蒸し鮑
06.お造り(利尻産バフンウニ、明石の鯛2.6kgサイズ、宮崎産へべす)
07.仙鳳趾産真牡蠣(出汁で炊いて)
08.塩釜産本鮪の顎の炭火焼き
09.香川観音寺産マナガツオ西京焼き
10.東京湾産マゴチ0.8kgサイズと京都山城産無花果の揚げ出し椀
11.うにいくら飯(標津産いくら、根室産ムラサキウニ)
12.山口萩産鰹藁焼き大蒜醤油(握り)
13.羽幌産ボタン海老(握り)
14.明石の鯛(握り)
15.有明産新子2枚付け(握り)
16.塩釜産本鮪大トロ(握り)
17.青森鷹架沼産天然鰻0.7kgサイズ蒲焼きミニ丼
18.塩釜産本鮪赤身ヅケ(握り)
19.陸前高田産エゾイシカゲガイ(握り)
20.苫小牧産炙りホッキ貝(握り)
21.富津産新イカ(握り)スミイカの新子
22.東京湾産マゴチ潮汁
23.北海道旭川産ドルチェドリーム炭火焼きのお寿司
24.パエージャ(伊勢海老、メゴチ、オキシジミ)
25.あんみつ(山梨産桃、沖縄産キーツマンゴー、長野パープル、大納言小豆、寒天、黒蜜、抹茶リキュール)

モツ好きと名乗る筆者はモツが好物な反面、どちらかと言えば野菜は嫌いなのですが、
例外的に野菜を美味しいと思ってしまう和食店が関東圏に2軒あります。
それが東向島の同店(3.88)と土浦のよし町(3.17)。

同店は特に茄子の扱いに長けているという印象で(枝豆はいつも筆者の理想よりはやわめ)、
この日に食べた「うるか茄子」も突き抜けた美味しさでした。
枝豆は歯応えを残す火入れのほうが理想と思う一方で茄子は蕩ける食感のほうが理想。
つまり同店の野菜への火入れポリシーが茄子のときは筆者の理想とバッチリ合うのです。

油で揚げてから出汁の旨味を吸わせるという調理法もまた茄子を最大限に活かすと思います。
こういうコッテリに特化した調理法は高級店は避ける傾向にあるのですが、
何しろ鰹に(高級店では禁忌とされる)大蒜醤油を合わせる同店。
そんな高級店のセオリーを無視する姿勢に筆者は魅力を感じております。

卵も海老味噌も塩辛にしたボタン海老、うるか(鮎の肝)、本鮪の顎、
ついでに貝類やうにいくらも筆者の好物であるモツのような美味しさを楽しめる料理。
50,000円の高級鮨店も「うにいくら飯」を出してくることがありますが、
それより美味しいのではないかと思う圧巻の内容。

明石の鯛、マナガツオ、(大蒜醤油の)鰹といった「真ん中の部分」も抜群に美味しい。
高級店はトリミングして「ど真ん中の部分」しか出さなかったりしますが、
そんな配慮無く肝ごとブツ切りで登場した蒸し鮑の何と美味しいことよ。

食べログで高く評価されているお店は誰でも楽しめる部分しか出しませんが、
(だからこそ万人にウケて高いスコアとなっているのでしょう)
賛否あっても人によっては最高に美味しいと思える料理を楽しめる同店のほうが面白いです。
デザートのあんみつには抹茶リキュールを原液で入れており何とも尖った味わいでした。
1,460文字★

01.宮城松島穴子山椒煮と夕顔
02.横須賀活け真蛸湯霜
03.宮城養殖ホヤ
04.大分天然岩牡蠣と能登絹もずく
05.大洗460gサイズ蒸し黒鮑と京都青茄子
06.明石の鯛2kgサイズお造りと肝 礼文島バフンウニ
07.淡路メイタガレイの肝
08.淡路メイタガレイお造り
09.北海道ハナサキガニ800gサイズ活けから塩茹で
10.那珂川420gサイズ天然鰻白焼き
11.谷中生姜と水茄子の糠漬け
12.三浦枝豆
13.長良川天然鮎と熊本焼茄子のお椀
14.羽幌ボタン海老(握り)
15.羽幌ボタン海老の卵と海老味噌・富山白海老・奥尻ムラサキウニのミニ丼
16.鳥羽アオリイカ(握り)
17.羽幌ボタン海老の潮汁
18.小柴真子鰈(握り)2貫
19.大間本鮪赤身(握り)
20.明石の鯛(握り)
21.大間本鮪大トロ(握り)
22.琵琶湖ビワマス(握り)
23.天草新子5枚付け(握り)
24.那珂川420gサイズ天然鰻蒲焼きミニ丼
25.横須賀活け真蛸湯霜(握り)
26.銚子鰹藁焼き(握り)
27.愛知平貝(握り)
28.鱧寿司(淡路鱧1kgサイズ)
29.海鮮丼(打木赤皮甘栗かぼちゃ、ビワマス、真蛸、アンキモ、鰹、大トロ)
30.青森フジツボと北海道ハナサキガニの潮汁
31.自家製アイスクリーム 佐賀白いちじく 杏コンポート 山梨桃

2022年7月2日は半夏生(はんげしょう)、関西ではタコを食べる風習が残ると聞きますが、
この日は東向島で横須賀産の活けから火を入れた真蛸を楽しめました。
塩ではなく米糠でぬめりを取っているそうで、このほうが塩で揉むより美味しくなるとのこと。

弾力ある活かった食感と旨味の強さを味わえて確かに美味しい。
かつて出前していた頃は特上に真蛸を入れたら安いタネ入れるなと文句を言われたそうですが、
回転寿司では安いタコ(外国産)もブランド産地の真蛸はキロ5,000円クラスの高級食材。

2022年7月23日は土用の丑の日、全国的に鰻を食べる日と知られますが、
この日は東向島で那珂川の天然鰻を白焼きでも蒲焼きでも楽しめました。
水戸の川魚問屋から直接仕入れており仕入れ値は宍道湖産の3分の1ぐらい。

なお土用の丑の日は痩せた夏の鰻を売るために平賀源内が縁起物としたイベントデー。
夏が旬とされる長物は穴子や鱧のほうなのですが、
アッサリした脂と旨味を楽しめて思ったより悪くないです。
天然鰻ならでは生息地を由来とする独特の風味を感じられる点も特長でしょう。

夏は真鯛など白身魚は痩せて味に劣ると聞きますが、旬を覆す例外的な個体も存在するようで、
この日に食べた明石の真鯛はメチャクチャ美味しかったです。
淡路のメイタガレイ、小柴の真子鰈といった、白身魚との食べ比べにも勝利する王者の風格。
あまり旬にこだわり過ぎてもいけないのだと痛感しました。

マニアックなところではハナサキガニ(タラバガニなどヤドカリの仲間)が意外に美味しくて、
800gで2,700円という市場価格を超える価値を感じられました。
そのハナサキガニの潮汁と合わせたフジツボ(こちらもヤドカリの仲間)も美味しい。
硬い殻のような外皮に覆われて食べにくいのですが味は良いです。

そして意外なヒットだったのが糠漬けにした谷中生姜。
ご主人曰く甘酢漬けや味噌漬けにするより、糠漬けで食べるのが一番美味しいとのことですが、
確かに白米5杯ぐらい食べてしまいそうな美味しさでこの日も茄子などの野菜に感動。
1,740文字★

01.礼文島バフンウニ・富山白海老・金目鯛潮汁の煮凝り仕立て
02.鳥羽煮蛸 愛知ズイキと枝豆の胡麻酢和え
03.自家製胡麻豆腐 秋田白神産地蓴菜
04.琵琶湖若鮎有馬煮 加賀野菜打木赤皮甘栗かぼちゃ
05.塩釜黒鮑 群馬トロ茄子
06.ホヤご飯(宮城養殖ホヤ)
07.淡路アマテガレイお造り
08.淡路鱧焼き霜
09.加賀太きゅうり昆布〆(自家製)と山牛蒡お漬物(足立市場)
10.銚子鰹藁焼き大蒜醤油
11.下関マナガツオ塩焼き
12.鮎椀(長良川郡上鮎炭火焼き、沖縄冬瓜)
13.氷見本鮪140kgサイズ赤身ヅケ2貫(握り)
14.氷見本鮪140kgサイズ大トロ(握り)
15.氷見本鮪140kgサイズ中トロ(握り)
16.銚子鰹藁焼き(握り)
17.出水春子鯛(握り)
18.羽幌ボタン海老(握り)
19.銚子金目鯛(握り)
20.ボタン海老潮汁
21.北海道吉岡ムラサキウニ(軍艦)
22.ボタン海老の卵
23.鳥羽アオリイカ(握り)
24.出水真鯵(握り)
25.うなぎちらし(児島湾天然うなぎ、本鮪、アオリイカ、春子鯛)
26.本鮪スジ竜田にゅうめん
27.フルーツ盛り(鹿児島パッションフルーツ、宮崎マンゴー、山形佐藤錦、自家製アイスクリーム)

某イタリアンでは「GOD鰹」と神のように扱われていたウエケン(豊洲の高級仲卸)の鰹。
この日は同店(3.88)もウエケンからカツオとマナガツオを仕入れていたのですが、
イタリアンの話を振らない限りは只の「鰹」としか紹介されません。

食べログGOLDとSILVERに選出されたお店を合わせて40軒は巡ってみましたが、
(あくまで筆者の主観ですが)同店に匹敵するレベルに美味しいお店なんてほんの一握り。
何故こんなにも高く評価されているのかと首を傾(かし)げるお店ばかりで、
しかもお支払いだけは50,000円も60,000円もブン取られるという「泣きっ面に蜂」状態。

同店が評価されず駄店が評価される原因について考えてみたのですが、
プレゼンテーション能力の有無が大きいのではないかという結論に至っています。
食べログSILVER以上のお店は総じて高い、食材のプレゼンテーション能力。

前述のお支払い40,000円を超えた高級イタリアンは同じウエケンの鰹をGOD鰹と表現。
そういうプレゼンテーションによって鰹に有難味が付与されるのは間違いないでしょう。
加えてシェフが若くてイケメンでトーク力も高かったりします。

これは一例に過ぎませんが食べログ高評価店はそういう付加価値を生み出すのが上手いです。
同店の料理はプレゼンテーションによる底上げが期待できないので、
それで美味しいかを判断できるのは本質を見抜ける人だけということになるのでしょう。
食べログのアワード店を巡ることで同店の凄みに気付けた点は価値がありました。

本日のキラリと光った食材について申し上げるとまずはアマテガレイ(お造り)。
50,000円コースの京都の某店で食べたアイナメ(お造り)より格段に美味しかったです。
魚の美味しさは資本主義のはずですが捻じ曲げてきます。

そして修業先である京都の「割烹やました(3.70)」譲りの鱧の焼き霜。
皮目だけ炭火で炙り身はレアーに仕上げており、皮まで含めた旨味をダイレクトに味わえます。
40,000円ぐらいのお支払いとなった都内某和食店の鱧素麺より好印象。

豊洲市場ではなく足立市場から安く仕入れたという氷見産の140kgサイズ本鮪。
ドス黒い赤身を血合いかと思ったぐらいヴィジュアルは微妙だったのですが、
赤身から溢れ出る旨味の強さは素晴らしくて、見た目に反して何とも美味しい。
スジの硬くて脂っ濃い部分(竜田揚げ)から感じる旨味の強さも衝撃的でした。
こういうモツ的な美味しさを楽しめるのも同店ならでは。

同じ週に食べログSILVER鮨店でやま幸(豊洲の高級仲卸)の天然本鮪を食べましたが、
それよりも美味しいぐらいで資本主義を捻じ曲げてきます。
毎日のように市場(豊洲も足立も)を巡るご主人の目利きの賜物でしょうか。
こういう部分も評価しての同店に対する5.0満点となっています。
2,211文字★

01.山口アカエイ肝と身の煮付け
02.能登オニカサゴ肝刺し
03.能登オニカサゴお造り
04.宮城松島ギンポ天ぷら
05.南会津コシアブラ天ぷら
06.白酢和え(富山ホタルイカ、加賀太きゅうり、大分冬菇椎茸)
07-1.青森トゲクリガニ
07-2.那珂川モクズガニ
08.宮城松島ギンポ骨煎餅
09.琵琶湖稚鮎と海苔の有馬煮
10.与論島小芋
11.島根浜田クロアワビ
12.北海道アンキモ
13.酢味噌和え(京まんじゅう茄子、小樽白魚、釧路バフンウニ)
14.うざく(浜名湖天然うなぎ、四川きゅうり)
15.羽幌ボタン海老(握り)
16.銚子金目鯛炙り(握り)
17.能登オニカサゴ(握り)
18.塩釜本鮪大トロ(握り)
19.羽幌ボタン海老の潮汁
20.有明小鰭(握り)
21.北海道吉岡ムラサキウニ(軍艦)
22.長万部ワタ付きホッキ貝(握り)
23.塩釜本鮪炙りトロ(握り)
24.佐島鰹藁焼き(握り)
25.勝浦カンパチ15kgサイズ(握り)
26.岩手普代マスノスケ(握り)
27.江の島黒ムツ(握り)
28.出水スミイカ(握り)
29.鰺ヶ沢鮃3kgサイズ(握り)
30.児島湾天然うなぎ蒲焼きミニ丼
31.能登オニカサゴの潮汁
32.海鮮丼(ネギトロ、カンパチ、マスノスケ、モクズガニ、オニカサゴ、京まんじゅう茄子、鮃、スミイカ、四川きゅうり)
33.デザート盛り(宮崎マンゴー、日向夏、熊本グレープフルーツ、タイ産マンゴスチン、自家製アイスクリーム)

食べログが訪問回数をカウントするようになった2017年1月から78回目。
2014年7月(初訪問時)から数えれば100回を軽く超えて訪れている同店(3.88)。
信者というか狂信者のレベルで通い続けています。

OMAKASEの食べ手(レベル72)として、食べログGOLDの鮨なんば(4.56)、
食べログSILVERのすし喜邑(4.44)、鮨はしもと(4.33)、
ミシュラン二つ星の鮨旬美西川(4.09)、木挽町とも樹(3.77)、
移転前のスコア4.17でBRONZEだったくろ﨑(3.12)と巡ってみましたが、
リピートしたいと思うのは同店オンリー(信心は揺るがなかったです)。

それもそのはず本日1品目に出てきたのはアカエイの肝と身の煮付け。
某居酒屋でエイのレバ刺しを食べて可能性を感じたのでリクエスト。
(エイの肝を出すのこれで3回目だそうで同店に通うのはマニアックな客ばかり。)

その味わいは「カニミソ」としか思えません、まるでテリーヌに仕立てたカニミソ。
脂肪肝なので煮付けにしても全くパサつかずテリーヌのような食感に変質していました。
こんな食体験を楽しめる高級鮨店を他に知りません。

2品目にはオニカサゴの肝刺しが出てきてモツラー歓喜。
鮨屋なのに活けのギンポを仕入れて天ぷらにするという奇行に走り、
これがまたブリブリした弾力と旨味の強さを感じられて美味しいのだから参ります。

食べログSILVERの某店で食べた北海道産のギンポは化け物のように大きかったですが、
ギンポは北に行くほど個体が大きくなるのでしょうか。
宮城産のこのギンポは北海道産よりは遙かに小振りですが浜名湖産より大振りサイズ。
SILVER某店で食べたギンポは残念ながら水っぽくて大味でした。
こちらは大振りでもしっかり旨味を感じられて鮨屋なのに天ぷらを食べて感動。

白和えに酢を加えた「白酢和え」で味わうホタルイカ、
酢味噌和えに白魚とバフンウニを加えた京まんじゅう茄子など酒肴のセンス抜群。
おつまみの美味しさに関しては鮨屋の中で突き抜けてNo.1という印象。

尤もクロアワビやアンキモをトリミングせずそのまま出すので、
真ん中の滑らかな食感だけ楽しみたい人には確かにウケが悪いかも知れません。
OMAKASE掲載のプレミアム店とやらはそういう配慮には凄く力を入れています。

那珂川の漁師からの仕入れルートを再構築したようで本日はモクズガニが登場。
水から茹でて冷蔵庫で3~4時間冷やすと美味しくなるとのこと。
ついでに青森のトゲクリガニ(この蟹は今が旬なのです)も出てきて食べ比べ。
どちらも上海蟹を思い出すような蟹味噌や内子の美味しさが堪りません。
那珂川では鮎、うなぎ、鮭も獲れるのでいつか味わってみたいです。

うなぎ百名店巡りの際に「うざく」を色々なお店で食べたので同店にもリクエスト。
何故か四川きゅうりが異常に美味しくて驚きました。
アワビよりナスのほうが美味しい鮨屋という称号を以前から得ていましたが、
天然うなぎよりきゅうりのほうが美味しい鮨屋も他にまず無いでしょう。

そして鮨屋なのに握りが一番美味しくないと馬鹿にされ続けてきた同店ですが、
日進月歩で研鑽を重ね今ではお客さんからの評判も上がってきました。
(ご主人曰く握りをお召し上がりになるときのお客さんの表情が良くなってきたらしい。)

OMAKASEの食べ手(レベル72)としてプレミアム鮨店を巡った経験から申し上げると、
本日のボタン海老、ワタ付きホッキ貝、カンパチ、黒ムツに関してはプレミアムを超えます。
いよいよ鮨屋としても一流と評価される日がやって来るのかも知れません。
下町の(実質)ワンオペ店だけあってお支払いも(プレミアムと比べて)異常な安さでした。
1,590文字★

01.真鯛の白子 京都花山椒 蕗 宮城白魚 ホワイトアスパラガス 山独活
02.茶碗蒸し(宮城白魚、山形グリーンアスパラガス、京都花山椒、出汁は鮃の潮汁)
03.蒸し立て余市アンキモ 京小町かぶ
04.エイのホッペ唐揚げ
05.亘理ゆき菜の花(出汁で)
06.静岡タケノコ(二番出汁で)
07.滑川ホタルイカ
08.京都湯葉(千丸屋の京湯葉)
09.焼津サワラ藁焼き
10.京小町かぶの葉っぱ酢味噌和え
11.対馬カツオ炭火焼き
12.淡路星鰈お造り
13.式根島クロムツ花山椒鍋(京都花山椒、鮪節、本枯れ節、利尻昆布、真昆布)
14.君津イノシシロース花山椒鍋
15.焼津サワラ藁焼き(握り)
16.淡路星鰈(握り)
17.出水真鯵(握り)
18.銚子本鮪大トロ(握り)
19.羽幌ボタン海老(握り)
20.函館ムラサキウニ(握り)
21.浜名湖天然うなぎ蒲焼きミニ丼
22.野付帆立貝(握り)
23.銚子本鮪中トロ(握り)
24.鹿島煮蛤(握り)
25.出水スミイカ(握り)
26.焼津サワラ生(握り)
27.鴨川金目鯛(握り)
28.ジビエ花山椒鍋
29.焼津サワラ生(握り)
30.式根島クロムツ(握り)
31.神戸〆鰯(握り)
32.銚子本鮪赤身(握り)
33.新潟鮃(握り)
34.出水スミイカ(握り)
35.海老雑炊(白海老、三つ葉、出汁はボタン海老)
36.香の物(外注の沢庵漬け、自家製干瓢)
37.自家製ラムレーズンアイス せとかのわらび餅

同じ週に食べログGOLD、食べログSILVER、ミシュラン2つ星といった高級店を巡ってしまい、
舌が肥えて同店(3.90)を楽しめないのではないかと不安になりましたが杞憂でした。
そもそもGOLDに選ばれるお店は牛で例えればシャトーブリアン。
真ん中の滑らかで食べやすい部分だけを楽しめるような万人向けの穏当な美味しさ。

それに対して同店は牛で例えればコプチャンやレバー。
人によって好き嫌いが激しく分かれて好きな人に限っては究極の美味。
10人のうち美味しいと思えるのが2人でも、その2人にとってはGOLDより満足できるのです。

いちおう食べログBRONZEかつ寿司 TOKYO 百名店に選出されている同店。
豊洲市場の仕入れ先は誰もが知る有名高級店と変わりません。
同じ魚の半身が有名高級店に、半身が同店に流れてくることも珍しくなくて、
おつまみを食べて同店を美味しくないと思う人は雰囲気に流されやすいのだと自覚すべし。

今月は福岡県、愛知県、長野県で食べログのうなぎ百名店9軒に訪れたのですが、
うなぎのマイベストが同店という筆者のランク付けは微動だにせず。
初物として児島湾産の天然うなぎが豊洲市場に出回っているそうですが、
まだサイズが小さいからと避けて、解凍した浜名湖産の天然うなぎを地焼きの蒲焼きに。
技術の発達した現代では冷凍による劣化など僅かで本日のうなぎも究極の美味でした。

食べログが訪問回数をカウントするようになった2017年1月から77回目。
それ以前も含めると3桁回数お邪魔している同店。
こちら側の好みを把握して「エイのホッペ」なんてマニマックな食材を出してきます。

少しアンモニアのような臭みを感じるも強い味付けで上手く誤魔化しており、
やわらかさと繊維質を感じる独特な食感と旨味の強さに目を見張りました。
オコゼの唐揚げや養殖トラフグの唐揚げより美味しいのではないでしょうか。

都心の高級レストランに比べると雰囲気やサービスより美味しさに特化しており、
(そういえばスタッフが30分で早退して本日もご主人のワンオペでした)
どちらかと言えば普段使いで純粋に料理を楽しむべきお店ではありますが、
筆者にとっては食べログGOLDより遙かに金ピカに輝く存在となっています。
1,596文字★

01.釧路毛蟹茶碗蒸し
02.海のレバ刺し(野付帆立貝のヒモ、精巣、卵巣)京都畑菜と油揚げのお浸し
03.合馬筍と京都菜の花の炊き合わせ
04.アメーラトマト 大洗ブドウエビ ブドウエビの卵 海老出汁ジュレ
05.おつまみ盛り(明石の鯛の真子、大洗ヤリイカのゲソとミミの煮物、琵琶湖子持ちホンモロコ山椒炊き、車海老入り玉子焼き、琵琶湖氷魚山椒炊き)
06.滑川ホタルイカと山芋の醤油漬け 余市アンキモ
07.秋田蕗味噌
08.富山メジ北海道行者ニンニク和え
09.明石の鯛お造り
10.明石の鯛の皮湯引き
11.下田ヤリイカお造り
12.滑川ホタルイカと合馬筍の木の芽鍋(吸い地は一番出汁)
13.赤穂白魚桜の葉蒸し(握り)
14.野付帆立貝(握り)
15.大洗ヤリイカ印籠鮨(酢飯に木の芽、干瓢、ガリ、柚子)
16.岸和田鳥貝2枚付け(握り)
17.熊本天然トラフグ白子和え酢飯 女川ムラサキウニ
18.関いさき(握り)
19.大間サクラマス(握り)
20.明石の鯛(握り)
21.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
22.対馬ノドグロ(握り)
23.下田本鮪大トロ(握り)
24.下田本鮪赤身(握り)
25.太巻き(本鮪と鰯)
26.関いさきの潮汁
27.宮崎金柑「たまたま」三宝柑ジュレ エンドウ豆 苺アイスクリーム

カワハギの肝揉、あん肝、羊レバー、馬レバ刺し……発酵学者・小泉武夫が語る、美味なる肝料理の世界
https://realsound.jp/book/2022/03/post-983010.html

発酵学者であり日本に於けるモツラーの先駆者でもある小泉武夫氏の著書『肝を喰う』。
「魚介の肝を入手するいい方法は、寿司屋のおやじさんと親しくなること」、
とインタビューでおっしゃっていますが同店(3.88)こそ筆者にとってそのような存在。

本日は「海のレバ刺し」なる喩えとともに帆立貝の精巣と卵巣を出してくれました。
レバーよりも白子に近い食感ですが、僅かな癖を代償に超濃厚な旨味を楽しめます。
丸の「明石の鯛」から捌いた真子、余市産のアンキモ、子持ちホンモロコの卵。
(アジメドジョウの卵や落ち鮎が美味しいように淡水魚のホンモロコの卵も超絶美味。)
魚介の肝を求めるモツラー(内臓食愛好家)の心を満たしてくれると思います。

なお同店から1.5kmぐらい離れた台東区の橋場には丸祐明石屋という精肉店が在って、
そこでは全国トップクラスの牛レバーと豚レバーをチルドで購入可能。
東京の東側の下町はモツラーにとってパラダイスなのです。

もちろんモツ以外にハイレベルな和食も楽しめます。
1品目の毛蟹茶碗蒸しは、茶碗蒸しより毛蟹のほうがボリューミーという狂った構成比率。
都心のレストランでは同店より高いコース料金なのに蟹の使用量が僅かというケースが頻発。
チョット下町に移動してワンオペなどいくつかの弱点に目を瞑れば蟹がここまで増えます。

合馬の筍からはトウモロコシのような甘みと風味を感じられて塚原の白子筍顔負け。
そして明石の鯛から感じる白身魚とは思えない旨味も凄まじかったです。
地方都市の漁港を色々と巡って白身魚を食べてみましたが、
まるで勝負にならない桁違いの美味しさで豊洲市場に集まる魚は日本一なのだと確信。

握りも以前よりフワッと握っているような気がして十分に美味しいと思います。
前日に食べログ高評価の某店でアカムツ(ノドグロ)を食べたのですが、
そのお店では能登産の250gサイズを使用していました、同店は対馬産の400gサイズ。

市場ではサイズより産地によって金額が上下するそうで最高級ブランドは対馬産。
やはり対馬産は脂ノリが北陸や太平洋側に比べて圧倒的なのだそうです。
確かに本鮪の大トロすら凌駕しそうな脂肪率でアブラー(脂肪食愛好家)垂涎。
1,046文字★

01.舞鶴子持ちヤリイカ
02.萩白バイ貝・津居山ホタルイカ・九条葱の酢味噌和え
03.岩内アンコウどぶ汁
04.福井イノシシ粕汁(賀茂鶴の酒粕を使用)
05.本鮪・毛蟹・真鯵・トマト・新玉葱・鶉卵のタルタル
06.加賀源助大根、山形蕗味噌、余市アンキモ
07.小名浜鮃龍飛巻き
08.桑名白魚
09.函館バフンウニ
10.岩内アンコウ唐揚げ
11.合馬タケノコと木の芽の炭火焼き
12.和歌山(出汁で炊いた)うすいえんどう
13.鳥取焼き松葉蟹
14.鳥取松葉蟹汁(吸い地に昆布と鮪節)
15.鳥取松葉蟹の蟹味噌と白味噌バターラーメン
16.北斗ムラサキウニ(握り)
17.大分天然トラフグ白子ミニ丼
18.下田本鮪中トロ(握り)
19.銚子〆鰯(握り)
20.大原石鯛(握り)
21.下田本鮪赤身(握り)
22.小柴スミイカ(握り)
23.下田本鮪大トロ(握り)
24.鴨川〆鯖(握り)
25.網走炙りキチジ(握り)
26.出水真鯵(握り)
27.愛知平貝(握り)
28.浜名湖天然鰻ちらし(本鮪、真鯵、平貝、天然トラフグ白子、キチジ入り)
29.栃木スカイベリー(苺)入りアイスクリーム、奈良古都華(苺)、愛媛八朔、徳島ぷちまる(金柑)

ご主人が水戸のレストランオオツ(4.15)を訪れて刺激を受けたとのことで、
(ポワソンに長谷川さんの放血神経〆鮟鱇をお召し上がりになったようです)
本日は岩内と余市(いずれも北海道)の鮟鱇(余市は肝だけ)を楽しめました。

三浦半島で獲れた長谷川さんの鮟鱇は肝が小振りで身のほうが主役。
それに対して北海道の鮟鱇は(海が寒いからなのか)肝が肥大化しており肝が主役。
同じ魚でも産地によってここまで明確に差が出るのは面白いです。

本日はお客さんの数が多いということで、ご立派なサイズの松葉蟹を仕入れており、
この松葉蟹を昆布と鮪節で仕立てた「蟹汁」が白眉と思った逸品。
塩は一切入れてないそうですが、蟹から出た塩味と旨味、昆布と鮪節の旨味で強烈に美味しい。

食べログでGOLDに選ばれるような高級和食を訪れてもお椀は上品淡麗な味わいのことが多く、
どちらかと言えば濃厚な味わいを好む筆者はこの蟹汁のほうに軍配を上げます。
鮨屋でこのレベルのお椀を出せるお店なんて他にまず無いですし、
前述の通り日本全国の和食でもトップクラスに美味しいと思います。
(なお途中でギブアップしたお客さんいらっしゃって、ちらしが超豪華になった点も大満足。)
1,430文字★

01.琵琶湖氷魚と岩手香茸
02.五島アカジンミーバイ(スジアラ)香り蒸し
03.ボラ子カラスミと大角豆の飯蒸し
04.アカジンミーバイと高野豆腐の煮付け
05.網走ユムシとサロマ湖牡蠣
06.下田活ヤリイカお造り
07.大原天然トラフグ唐揚げ
08.明石の鯛お造り
09.根室バフンウニ
10.明石の鯛しゃぶしゃぶ
11.明石の鯛のモツ煮(肝、胃袋、皮)
12.明石の鯛の煮物
13.島根松葉蟹(明石の鯛の出汁で煮込んで)
14.明石の鯛の唐揚げ(鰓と鱗)
15.明石の鯛(握り)
16.塩釜本鮪中トロ(握り)
17.小名浜鮃(握り)
18.氷見メジ藁焼き(握り)
19.余市アンキモと大原天然トラフグてっぴ煮凝り
20.大原天然トラフグ白子ミニ丼
21.塩釜本鮪大トロ(握り)
22.苫小牧ホッキ貝(握り)
23.島根松葉蟹解し身の蟹味噌和え(軍艦)
24.銚子〆鰯(握り)
25.出水スミイカ(握り)
26.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
27.大原天然トラフグ(握り)
28.煮イカ・煮牡蠣・煮ホタテ丼
29.喜界島アカマチ(ハマダイ)潮汁
30.せとか(みかん)とひのしずく(いちご)

北海道から沖縄県(正確には鹿児島県の喜界島)まで。
豊洲市場から日本全国のマニアックな食材を仕入れる同店(3.89)。
この日はユムシを食べたいとリクエストしたお客さんいらっしゃって筆者も初体験。

捌くと俎板の上に大量の血が噴き出してグロいです。
ペニスフィッシュ(英語名)とも呼ばれるそうで捌いた後の見た目は「赤貝のヒモ」。
しかし赤貝よりコリコリした食感が強くてナンコツのような歯応えも感じます。
モツ焼き屋で出されても違和感の無い、モツに通じる味わいで旨味も強いです。
珍味の中では美味しい部類に入るのではないでしょうか。

沖縄三大高級魚と謳われる、アカジン、アカマチ、マクブ。
この日はアカジンミーバイ(スジアラ)とアカマチ(ハマダイ)が出てきました。
スジアラはフレンチやイタリアンでも出会うハタ科の高級魚。
鮎の魚醤や木の芽(山椒の若芽)で中華を思わせる香り蒸しにしていましたが、
キジハタやアズキハタ同様に蒸して旨味を活性化させる食べ方が最適解と思います。

アカマチは潮汁で味わったのですが出汁の旨味が凄まじいです。
この日は大原(千葉県)の天然トラフグや明石(兵庫県)の鯛も仕入れていましたが、
かつて同店で食べたトラフグの潮汁や明石の鯛の潮汁にアカマチが負けていません。
流石は沖縄三大高級魚と謳われるだけあります。

ユムシやアカマチも美味しかったのですが本日の白眉は天然鰻(浜名湖産)の蒲焼き。
皮目をサクサク軽やかに焼き上げ、身はフワッと蕩けて究極的な美味しさ。
ジビエ(天然食材)ゆえ個体差が激しくて美味しさは安定しないのですが、
大当たりの日は筆者の知る限り全国No.1の鰻という評価になります。

同店の鰻に感銘を受けて食べログのうなぎ百名店を巡っているのですが、
この日の天然鰻と比べてしまうと百名店の鰻すら児戯に思えるほど別格。
蒸しを入れない地焼き(西日本で主流)なのに関東風の辛口ダレというのも珍しいです。

トラフグの白子はキロ25,000円の天然物、他店ならこのミニ丼で推定7,000円。
豊洲市場で現在No.1評価となっている「ひのしずく」なども素晴らしくて、
支払った金額に対する満足度の高さが突き抜けています。
681文字★

今年も1年間レビューをご覧になっていただきありがとうございました。
来年も「おせち」レビューからアップしていく予定です。
どうか皆さま、よいお年をお迎えください。

以下、食べたもの(年越しそばならぬ年越しきしめんを食らう)

01.琵琶湖氷魚・木耳・エノキ茸の山椒炊き
02.兵庫相生牡蠣、能登青海鼠
03.にぎりこ(鰊を船上で捌いてその場で塩漬けにした数の子)、大分冬菇椎茸
04.余市アンキモ
05.京都海老芋 淡路島カラスミ 宮崎カラスミ
06.鳥羽鰆藁焼き大蒜醤油
07.お造り(大原17kg級ヒラマサ、噴火湾バフンウニ)
08.京都菜の花木の芽味噌和え
09.加賀蓮根マスカルポーネ和え(柚子、一味、土佐酢、砂糖で味付け)
10.塩釜エゾアワビ塩蒸し
11.ボラ子カラスミ
12.佐渡鰹炭火焼き
13.島根松葉蟹
14.戸井本鮪大トロ(握り)
15.戸井本鮪赤身(握り)
16.函館ムラサキウニ(握り)
17.出水スミイカ(握り)
18.戸井本鮪中トロ(握り)
19.島根松葉蟹解し身蟹味噌和え(握り)
20.閖上赤貝(握り)
21.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
22.京都堀川牛蒡鶏肉詰め・慈姑・大原天然トラフグ白子のセイコガニ餡掛け
23.秋田ブリ子入りハタハタと芹の白味噌椀
24.戸井本鮪中トロ(握り)2回目
25.浜名湖鯊の肝
26.秋田蕗の薹天ぷら、浜名湖鯊骨煎餅
27.浜名湖鯊天ぷら
28.年越しきしめん(氷見鰤、スミイカ天ぷら、海老芋、独活、椎茸)
29.フルーツ盛り(やよいひめ、ルレクチェ、小布施林檎コンポート、宮崎蜜柑)
1,485文字★

01.岩手黒鮑・じゃこ・万願寺唐辛子・木耳・ハナビラ茸・実山椒のお椀
02.岩手宮古秋刀魚甘露煮 富津真蛸桜煮 埼玉蕪
03.ボラ白子天ぷら京都白味噌椀
04.香住セイコガニクリームコロッケ
05.横須賀天然カワハギ肝和え
06.余市鰤藁焼き大蒜醤油
07.小浜迷い鰹炭火焼き
08-1.津居山松葉蟹
08-2.蟹味噌和えご飯
09.富津細魚(握り)
10.愛知ミル貝(握り)
11.出水スミイカ(握り)
12.小浜迷い鰹炭火焼き(握り)
13.尾鷲カンパチ16kg(握り)
14.富山白海老とロシア産バフンウニ(握り)
15.兵庫ボラ子カラスミ
16.噴火湾バフンウニ(握り)
17.羅臼雲子とイタリア産黒トリュフペーストのミニ丼
18.八戸本鮪170kg大トロ(握り)
19.八戸本鮪170kg中トロ(握り)
20.富津真蛸桜煮と京都堀川牛蒡の蟹殻汁
21.八戸本鮪170kg赤身(握り)
22.霞ヶ浦天然鰻800g蒲焼きミニ丼
23.メガ太巻き(鰤、鰹、鮪、鰯、鮟肝、胡瓜)
24.アイスランド産鰯鯨(握り)
25.黒あま柿 ラムレーズン 自家製アイスクリーム

最初のお椀の中に黒鮑が3切れ、都心のフレンチならこの1皿で3,000円は取りそうです。
そして山椒の爽やかな風味が意外に鮑と相性良くて新たな発見。
クリームより蟹のほうが多い「カニクリームコロッケ」も余所ではまず出会えない逸品。

片身で20,000円という小浜産の迷い鰹は、鰹とは思えないぐらい癖が無くて上品な味わい。
高知県の久礼大正町市場では丸の鰹が8,000円~10,000円という値付けだったので、
4倍ぐらいの高値ということになりますが、高知県でこんな鰹に出会えたことは未だ無いです。
(あまりにも上品な味わいなので、この鰹が高知県民に受け入れられるかは分かりません。)

北海道で発生した赤潮被害の影響でロシア産のミョウバン入りバフンウニが1箱18,000円。
(ちなみに噴火湾産のバフンウニは1箱24,000円。)
松葉蟹(ズワイ蟹)も高値となっており、本日は蟹を仕入れた影響で白身魚のお造りは無し。
インフレ、コロナ禍、自然災害のトリプルパンチが日本の高級飲食店を襲っています。

しかし高級食材は値段に見合ってやはり美味しい。
残酷にも生きている状態から火を入れた松葉蟹の身からは繊細な旨味を楽しめて、
蟹味噌で和えて濃厚感を増した解し身と酢飯とのコンボも凶悪な美味しさ。

うなぎ百名店のメダルがそろそろ30件目に到達しそうなのですが、
背開き(関東の主流)地焼き(関西の主流)辛口ダレ(関東の主流)という、
専門店でもあまり出会えないスタイルの蒲焼きもまた高値に見合う圧巻の美味しさ。
(ご主人に尋ねたところ背開きor腹開きによる味の違いは特に感じ無いとのこと。)

市場の段階で牛肉をA5やマーブリング12などとランク分けしているように、
日本では肉も魚も資本主義となっており高級食材ほど美味しいのが原則。
(モツのような例外もありますが基本的には高いほうが美味しいです。)

その極め付きと思ったのがキロ60,000円というアイスランド産の鰯鯨。
和田浦(千葉)や太地町(和歌山)といった捕鯨基地まで鯨を食べに行ったことありますが、
現地を訪れても鯨は冷凍で(運良く生の鯨に出会えれば美味しいらしいです)、
この鯨のほうが桁違いに(それこそ本鮪よりも)美味しくて資本主義を痛感しました。
(鯨は哺乳類なので分類上は肉となるのでしょうが海を泳いでいるので魚に感じます。)
1,247文字★

01.吉野川天然鰻・くらげ・柿・胡瓜の胡麻和え
02.岩手天然舞茸・山形ミズのコブ・大阪湾鰯のお汁
03.高知鏡川天然スッポン(1.8kgサイズ)お椀
04.羅臼雲子旨煮
05.白子入り秋田ハタハタの煮付け椀
06.白糠町鰊と白子の胡麻油ソテー
07.萩鰹藁焼き大蒜醤油
08.お造り(浜中バフンウニ、利尻鮃、阿久根縞鰺、大洗ブドウ海老)
09.信州辰野松茸と小布施栗渋皮煮のお椀
10.稲取金目鯛(握り)
11.大間本鮪トロ(握り)
12.陸前高田石垣貝(握り)
13.気仙沼鰹藁焼き(握り)
14.大間本鮪赤身(握り)
15.壱岐クエ(握り)
16.山口赤貝(握り)
17.天草小鰭(握り)
18.信州辰野松茸ご飯と標津いくら
19.宍道湖天然鰻蒲焼きミニ丼
20.メガ太巻き
21.利尻鮃の潮汁
22.デザート盛り(小布施林檎「秋映」、長野ピオーネ、林檎ゼリーのシャーベット)

山で自家調達する料理人にとっては原価ゼロですが豊洲市場ではキロ8,000円にもなる天然舞茸。
幻と謳われるキロ20,000円のブドウ海老、赤潮被害でキロ27,000円まで高騰したバフンウニ。
ブランド高級食材が大好きな筆者の虚栄心を満たしてくれます。

北海道で発生した赤潮被害は深刻のようで、通常キロ8,000円のバフンウニがキロ27,000円。
ツブ貝も凄まじく高騰していると他のお寿司屋さんで聞きました。
西麻布の某百名店フレンチのレビューでもっと発色の良いウニを使って欲しいと書きましたが、
そんな見た目も美味しさも兼ね備えたウニを西麻布で仕入れるのは不可能なのかも知れません。

モツが大好きな筆者の探究心も満たしてくれるのが同店(3.92)。
真鱈の白子(雲子)、ハタハタの白子、鰊(にしん)の白子。
3種類の白子を3連続で出してくるという「秋の白子祭り」スタート。

走りの雲子は旬の時期のコッテリ濃厚な味わいに比べるとまだアッサリ淡麗なのですが、
一番出汁で低温調理することで旨味を見事に補完していました。
こういう「足し算」も上手いのが同店の特長。

ハタハタは鮎の魚醤、薄口醤油、お塩、お酒、仕上げに牡蠣醤油で味付け。
本場の秋田県でも出会ったことないぐらい超大振りで白子入り。
ホロホロやわらかなハタハタの身が美味しいですし、白子が先ほどの雲子より濃厚な味わい。

そして骨切りしてミキュイ(半生)に火を入れた鰊の美味しさが超絶。
2021年10月は8軒のフレンチ百名店を訪れて様々なポワソン(魚料理)を楽しみましたが、
同店の鰊を超えるポワソンに出会えることは無かったです。

身が崩れてしまうので見た目も重視される高級フレンチでは使えず、
ブランド力も無ければ(キロ1,500円)、少し生臭みや癖があって万人ウケするとも思えず。
それでもハタハタのとき同様に雲子よりも濃厚な味わいの白子を一緒に楽しめて、
高級店に見捨てられたこういう食材を活かすところに同店の真髄を感じました。
1,360文字★

01.北海道養殖ホヤ、岩手天然ホヤ
02.釧路秋刀魚有馬煮
03.仙鳳趾煮牡蠣 牡蠣クリーム(徳島岩牡蠣)
04.群馬トロ茄子 鮎味噌(長良川天然鮎)
05.余市鮟鱇頬肉・零余子・トマト・木の芽のお椀
06.北海道栗マロンかぼちゃ かぼちゃソース(打木赤皮甘栗かぼちゃ)
07.青森玉蜀黍「味来」天ぷら
08.富津鱚(きす)天ぷら
09.鮑の肝と礼文島バフンウニのペースト
10.佐渡黒鮑天ぷら
11.お造り(大分城下鰈、礼文島バフンウニ)
12.城下鰈の肝ペースト
13.萩戻り鰹藁焼き大蒜醤油
14.鳥羽真鯒(まごち)と山形ミズの実の鍋
15.宍道湖天然鰻蒲焼きミニ丼
16.三厩本鮪中トロ(握り)
17.大分真鯵(握り)
18.城下鰈(握り)
19.三厩本鮪炙り大トロ(握り)
20.鹿児島スミイカの新イカ(握り)
21.宍道湖天然鰻骨煎餅
22.愛知車海老の頭
23.愛知車海老(握り)
24.積丹ムラサキウニ(握り)
25.大阪湾鰯(握り)
26.野付小柱(軍艦)
27.三厩本鮪赤身(握り)
28.フルーツ盛り(自家製アイスクリーム、石川ルビーロマン、長野ピオーネ、京都無花果)
29.ばらちらし
30.土瓶蒸し(淡路鱧、信州松茸、祖父江銀杏)

天然ホヤと養殖ホヤの食べ比べからスタート。
この日に食べた天然ホヤは養殖ホヤと大して変わらない美味しさでしたが、
天然ホヤは偶に化物級に美味しいことがあって、瞬間最大風速では養殖は天然に敵いません。

これは鮎や鰻といった淡水魚(海で獲れる鰻もありますけど)も同じで、
都市部の川で獲れた天然鮎より、龍吟(3.98)が愛用する天龍鮎のほうが美味しいことあれど、
長良川の上流や高津川の天然鮎で覚えた感動を天龍鮎など養殖が上回ったことは未だ無いです。

尤もタイトルの元ネタを言った人(ジャギ)が弟にあっけなく倒されたように、
養殖でも美味しい食材は沢山あって、例えば真牡蠣はそもそも流通する100%が養殖。
スッポンは天然より服部中村養鼈場のほうがブランド力(市場価格も)高いです。

この日に食べた料理の中で記憶に残る美味しさだったのが、
煮牡蠣、トロ茄子、鮟鱇頬肉、城下鰈、城下鰈の肝ペースト、握りで出てきた真鯵。
クリーミーさに特長ある仙鳳趾の真牡蠣は煮固めても濃厚で美味しい。
蕩けるトロ茄子も相変わらずの絶品(鮑より茄子のほうが美味しい鮨屋と呼ばれています)。

意外なヒットだったのが1袋800円だったという鮟鱇の頬肉(頬だけで売っているそう)。
トマトの酸味を効かせて南蛮漬けのような味付けとなっていましたが、
適度な弾力感と旨味の強さを楽しめて美味しかったです。
キロ25,000円の宍道湖産天然鰻はもちろん美味しいのですが、
市場で評価されず捨て値となっている食材の中にも奇貨あります。

鮨屋なのに鮨が一番美味しくないなどと心無い誹謗を受け改良を続けている酢飯。
この日は赤酢2:米酢8で配合した硬めな炊き加減の酢飯でしたが、
白身との相性が良いようで城下鰈がお造りより握りのほうが美味しかったです。
(いつもは握りよりお造りのほうを美味しいと思うことが多いです。)
真鯵の握りも良かったですし鮨屋としても研鑽を重ねているのでしょう。
1,107文字★

01.打木赤皮甘栗かぼちゃ、大阪湾鰯有馬煮、鮑入り海苔佃煮、群馬枝豆「味匠」
02.徳島岩牡蠣 フルーツトマト「アメーラ」ペースト
03.宮城ギンポ天ぷら 能登天然モズク 金糸瓜 出汁掛け
04.塩釜本鮪角煮、群馬トロなす、島根浜田蒸し黒鮑、鴨居真蛸桜煮
05.鮑と礼文島バフンウニのおこわ
06.鴨居真蛸塩茹で
07.山口萩鰹藁焼き大蒜醤油
08.余市アンキモ
09.出汁で炊いた夕顔
10.明石の鯛お造り
11.礼文島バフンウニ
12.浜名湖煮浅蜊
13.大分冬菇旨煮3日目(本来は7日)
14.明石の鯛の潮汁
15.飛騨高山宮川天然鮎炭火焼き椀
16.塩釜本鮪中トロ(握り)
17.明石の鯛(握り)
18.氷見アラ(握り)
19.塩釜本鮪大トロ(握り)
20.大分城下鰈(握り)
21.銚子鰯(握り)
22.羽幌ボタン海老(握り)
23.浜名湖天然鰻蒲焼きと塩釜本鮪赤身のミルフィーユ丼
24.羽幌ボタン海老のアラ汁
25.函館ムラサキウニ(握り)
26.小布施桃「あかつき」のアイスクリーム
27.メガ海鮮丼(〆鯖と枝豆を忍ばせ、ガリ、白イカ、スミイカの酢イカ、大トロ、赤身、アラ、金目鯛)

高知県(四万十川)、鳥取県(千代川)、埼玉県(高麗川)、秋田県(真瀬川)、
2021年の夏も天然鮎を食べに行ったのですが、塩焼きの美味しさは現地が一番としても、
お椀や有馬煮などの鮎料理に関しては地方より東向島のほうがレベル高いような気がしました。

飛騨高山の宮川で獲れたという天然鮎(を豊洲市場経由で仕入れ)。
お出汁と鮎の旨味が効いた濁り汁から凄まじい旨味を感じますし、
吸い口の蓼の香りが鮎とマリアージュ、感動を覚える美味しさへと昇華していました。
ここまで洗練された鮎料理には高知でも鳥取でも埼玉でも秋田でも出会えず。
鮎に関して日本一と謳われる、島根県の美加登家(4.40)のお椀より美味しいかも知れません。

豊洲で仕入れており素材で劣ることを知っているので塩焼きは絶対に出してくれませんが、
(鮎は足の早い魚なので市場経由の鮎が活けの鮎の塩焼きに勝てることは無いのです)
ご主人のスキルで昇華した鮎料理は食べる価値あると思います。
市場であまりにも高値となっているので仕入れてくれませんが、
いつか活け鮎(豊洲まで活けで入ってくる鮎もあります)を炭火焼きにして欲しいものです。

そして本日の意外なヒット作が浜名湖産という浅蜊の煮物。
火入れ良くてプリプリした身が美味しいですし、お皿に溢れた浅蜊のお汁が何とも鮮烈。
お汁(煮浅蜊、潮汁、鮎椀)でここまで感動できる鮨屋を他に知りません。
884文字★

01.琵琶湖天然鮎有馬煮
02.苫小牧炙りホッキ貝
03.賀茂茄子と礼文島バフンウニ
04.徳島岩牡蠣と宮城養殖ホヤ
05.天草鱧とその卵 淡路島玉葱 沖縄凍み冬瓜
06.長良川天然鮎コンフィ・宮城黒鮑・茨城新蓮根のおこわ
07.普賢岳養殖鼈とお餅のお椀
08.那智勝浦鰹藁焼き大蒜醤油
09.お造り(礼文島バフンウニ、淡路星鰈)
10.佐渡黒鮑と群馬トロ茄子
11.愛知渡り蟹カンジャンケジャン
12.天草鱧の押し寿司
13.淡路星鰈(握り)
14.境港本鮪中トロ(握り)
15.陸前高田石垣貝(握り)
16.函館ムラサキウニ(握り)
17.銚子鰯(握り)
18.三重安乗胡麻鯖(握り)
19.苫小牧小柱(手巻き)
20.対馬ノドグロ(手巻き)
21.ちらし(大トロ、中トロ、鰹、鰯、小柱など)
22.岡山児島湾天然鰻蒲焼きミニ丼
23.フルーツ盛り(千葉スイカ、台湾マンゴー、杏コンポート、シャインマスカット、夕張メロン)
24.淡路星鰈潮汁

本日はサッと(山椒と煮込んで)有馬煮にした琵琶湖の天然鮎からスタート。
2021年7月は鮎を目当てに高知県や鳥取県など訪れて色々な鮎料理を食べましたが、
ここまで軽やかで洗練された味わいの鮎には出会えなかったです。

相対取引ではなく豊洲市場から仕入れた鮎なので素材力という点では現地に及びませんが、
そのハンデを調理技術で見事に補っていると思います。
(逆に地方は素材が良くても調理技術がイマイチということが多かったです。)

お付き合いで買う羽目になったという超特大サイズのホッキ貝も食べ応え抜群。
バフンウニ、岩牡蠣、ホヤ、エンペラ(鼈)、黒鮑、内子(渡り蟹)など、
食感マニアやモツ好きが歓喜する肴をこれでもかと貪っていました。

いちおう鮨屋の看板を掲げているのに(しかも店名が「うを」徳)、
魚の熟成よりフルーツの熟成のほうに興味があるとおっしゃるご主人。
今日だけフルーツパーラーと自虐するぐらい水菓子が豪勢でした。
スイーツ百名店に選ばれるようなフルーツパーラーよりも良質な果物を仕入れています。
1,011文字★

01.白滝・万願寺唐辛子・本鮪・桜海老の山椒炊き
02.大分城下鰈潮汁ベースのパプリカムース
03.愛知渡り蟹カンジャンケジャン
04.下田煮鮑(黒鮑)と愛媛絹かわなす
05.徳島岩牡蠣 加賀太きゅうり 蔵王サファイアなす
06.のどぐろアラ煮
07.鳥貝の肝
08.明石鱸潮汁
09.アメーラ(フルーツトマト)と秋田白神山地蓴菜
10.熊本新蓮根甘酢漬け
11.利尻バフンウニ
12.明石鱸(お造り)
13.長良川天然鮎おこわ
14.茨城メヒカリ唐揚げ
15.羅臼時鮭炭火焼きミニ丼
16.宮崎イノシシ
17.天草鱧と淡路島玉葱のお椀
18.ゴマフグ白子・黒トリュフペースト・雲丹のミニ丼
19.羅臼時鮭(握り)
20.三重安乗胡麻鯖(握り)
21.大分城下鰈(握り)
22.境港本鮪大トロ(握り)
23.函館ムラサキウニ(握り)
24.境港本鮪中トロ(握り)
25.天草車海老(握り)
26.宍道湖天然鰻蒲焼きミニ丼
27.銚子金目鯛(握り)
28.境港本鮪赤身(握り)
29.デザート盛り(アメーラ、佐藤錦、杏ゼリー、パプリカムース)
30.銚子鰯(握り)
31.福岡白烏賊(握り)
32.対馬のどぐろ(握り)
33.天草小鰭(握り)
34.舞鶴鳥貝(握り)
35.太巻き(干瓢、搾菜、本鮪、雲丹など)

コートドール(4.19)をインスパイアしたパプリカムース(出汁は贅沢にも城下鰈を使用)、
2日冷凍して渡り蟹の寄生虫リスクを低下させたカンジャンケジャン、
何故か茄子のほうが評価される鮑&茄子の組み合わせなど肴を色々と楽しみましたが、
本日の白眉と思ったのは羅臼産時鮭(トキシラズ)の炭火焼き。

フレンチを思わせるミキュイな火入れで脂ノリ抜群な時鮭を引き立てます。
もちろんフレンチの中でも最高クラスと思うお店に限れば火入れもっと繊細ですが、
百名店のフレンチで同店より火入れが下手なお店も少なくないです。

そして鰻(うなぎ)の火入れに関してはフレンチどころか専門店をも凌駕する上手さで、
予算の都合上フレンチや専門店では仕入れられないであろう最高級ブランド宍道湖産が登場。
養殖の白焼きを食べて同店を超えると思ったことは未だ無くて、
かぶと(4.46)など天然の白焼きばかり評価する天然至上主義者となってしまっています。
(カワハギ、スマガツオ、スッポンなど養殖のほうを好む食材もあります。)
1,313文字★

01.宇部鯒九条葱長芋のぬた
02.賀茂茄子山形ホワイトアスパラガス富山大門素麺
03.マナガツオと蓴菜の煮凝り、ゴールドラッシュと吉野葛の玉蜀黍豆腐
04.海苔の炊いたん、宮城養殖ホヤ森伊蔵塩辛
05.佐渡クロアワビ石川小芋
06.水貝(山口メガイアワビ、日高バフンウニ、信州佐藤錦)
07.徳島岩牡蠣
08.モズク秋田蓴菜小樽子持ち蝦蛄奥久慈鶏卵
09.勝浦伊勢海老お造り白芋茎
10.蓴菜鍋(出汁は鶏肉、鰹節、昆布、具材は蓴菜、舞茸、芹、明石の鯛)
11.宮城茹で渡り蟹、余市アンキモ、琵琶湖鮎有馬煮
12.お味噌汁(伊勢海老、蓴菜、加賀太きゅうり)
13.鍋の〆うどん(半田うどん)
14.下田鰹(握り)
15.羽立水産ムラサキウニ(握り)
16.富山白海老とムラサキウニ(握り)
17.舞鶴鳥貝(握り)
18.明石の鯛1週間熟成(握り)
19.気仙沼星鰈(握り)
20.下関マナガツオ西京焼きを酢飯に乗せて
21.出水スミイカ(握り)
22.気仙沼本鮪中トロ(握り)
23.愛知平貝(握り)
24.浜中毛蟹(握り)
25.黒トリュフペーストを乗せた大阪湾トラフグ白子ミニ丼
26.気仙沼本鮪赤身(握り)
27.有明小鰭(握り)
28.大分城下鰈(握り)
29.琵琶湖天然鰻蒲焼きミニ丼
30.羽幌炙りボタン海老お汁
31.太巻き(本鮪、ウニ、穴子、干瓢)
32.あんみつ(レイニアチェリー、アメリカンチェリー、佐藤錦、宮城マンゴー、寒天、蓴菜)

本日のメインとなる食材は、アワビ、伊勢海老(お誕生日の人がいて仕入れたそう)、蓴菜。
クロアワビは蒸して、メガイアワビは水貝(生)、そのコリコリした食感を例えれば海のナタデココ。
蓴菜は煮凝り、お味噌汁、そして鍋の主役で楽しみ、デザートのあんみつにも入ります。
(味は無くて食感を楽しむアイテムゆえ京都ではよくデザートにも使うのだそう。)

関西では一番の評価という琵琶湖産の天然鰻、羽立水産のムラサキウニ、1週間熟成させた明石の鯛、
森伊蔵を使ったホヤの塩辛(そういえば焼酎3Mを全て料理酒に使ったような気がします)など、
30種類ぐらいの料理を楽しんだのですが、この日ブッチギリでNo.1と思ったのが白子丼。

天然か養殖かは不明とのことですが、仕入れ値キロ15,000円という大阪湾のトラフグ白子。
パツンと皮が張るまで炭火で焼き上げることでクリーミーな中身がトロトロに蕩けます。
そこに自家製トリュフペースト(刻んだ黒トリュフとオリーブオイル)、土台は赤酢の酢飯という構成。

市販のトリュフオイルやトリュフペーストとは桁違いな香りの鮮烈さを楽しめ、
トラフグの白子、トリュフの蠱惑的な香り、酢飯が三位一体マリアージュ。
これはもう「究極のドリア」と表現しても良いぐらい異次元の美味しさとなっていました。

トリュフと白子の組み合わせは、食べログ4.50を超える和食店、瀬戸内のフグ専門店など、
色々なお店で定番となっていますが同店(3.91)で何度か食べたミニ丼が今のところマイベスト。
こういう5.0満点の料理と出会えるので通うのを止められません。
1,102文字★

01.和歌山真鯛の白子と真子
02.明石の鯛潮汁
03.明石の鯛アラ煮付け
04.網走キンキと奈良花山椒の潮汁ポン酢仕立て
05.四万十ゴリ有馬煮、愛知ズイキ胡麻酢和え、鹿児島新牛蒡荏胡麻和え
06.淡路鳥貝の肝
07.余市アンキモ、加賀太胡瓜胡麻酢和え
08.滑川ホタルイカ、合馬筍、筑波わらびと木の芽の白味噌なめろう、琵琶湖稚鮎ペースト
09.マナガツオ幽庵焼き、蕗の薹味噌、蕗、蕗の葉
10.明石の鯛の内臓(胃袋、腸、卵、肝)
11.御殿場花山葵
12.根室バフンウニ
13.明石の鯛エラ素揚げ
14.明石の鯛お造り
15.明石の鯛湯霜
16.大原サザエ合馬筍奈良花山椒の炊き込みご飯
17.花山椒鍋(明石の鯛と銚子金目鯛)
18.鍋の〆雑炊
19.羽幌ボタン海老(握り)
20.銚子本鮪大トロ(握り)
21.岩手サクラマス(握り)
22.淡路イシガレイ(握り)
23.函館ムラサキウニ(握り)
24.船橋鳥貝ヒモ入り(握り)
25.銚子本鮪中トロ(握り)
26.気仙沼マコガレイ(握り)
27.ボタン海老の殻汁
28.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
29.有明小鰭(握り)
30.桑名白魚桜蒸し(握り)
31.水菓子(土佐文旦、四万十トマト狼桃、宮崎マンゴー、和歌山デコポン)

春が訪れ桜鯛や花山椒を楽しめるようになってきました。
桜鯛に関しては卵や白子に栄養を取られるので美味しくないという意見もありますが、
その卵や白子も楽しめるのはモツラー(内臓Lover)にとって嬉しいポイント。

本日は雲子(真鱈の白子)より上品で洗練された美味しさに感じる真鯛の白子からスタート。
3.5キロという巨大な「明石の鯛」はお造りや湯霜で食べるのはもちろん、
カブト、アラ、内臓まで全て素晴らしい美味しさでした。
これだけ大きな明石の鯛ですから、桜鯛であろうとなかろうと良質なのでしょう。

春の短い時期しか楽しめない「花山椒」の鍋にはこの桜鯛と銚子産金目鯛を投入。
牛肉やサクラマスなどの花山椒鍋を試してきた同店ですが今回の桜鯛と金目が過去最高かも知れません。
桜鯛はサッと引き上げて、金目は鍋に少し長く入れる、火入れのメリハリも良かったです。

クマリン(桜の葉を塩漬けにすると発生する芳香成分)香る白魚の桜蒸しや巨大なボタン海老、
狼桃(四万十産の最高級トマト)をフルーツに見立てた水菓子など非凡な美味しさでしたが、
本日の白眉は皮をパリッと焼き上げ身はフワフワに蕩ける天然鰻(浜名湖産)の蒲焼き。
ジビエ(天然食材)なので日によってブレますが当たりの日は全国どの鰻屋をも凌駕しそうな超絶美味。
527文字★

某鮨店を訪れたときのこと。
あるお客さんが鯛茶を食べたいとリクエストするも、
リクエストに応えているとキリが無いから決まったものしか出さないとの対応。

同店(3.99)に通っているとついつい忘れてしまいますがそれが普通のことなのでしょう。
鮨屋にパエージャだのチャーハンだのリクエストする人間はいかれていると思いますし、
それに応える鮨屋なんてまず無いでしょう。

長い間お客さんに鮨屋扱いされていなかった同店ですが近頃は握りもレベルアップしてきました。
下町にしては高級路線、原価率が高いこともあって、扱うタネも良質なのですが、
酢飯をお客さんの好みに合わせてカスタマイズしているというのも大きなポイント。

筆者は硬めな酢飯を好むので最近はそれに応えた酢飯ばかり。
やわらかい酢飯、昔の酢飯を好む古い常連さんには、それに合わせて酢飯を用意しているようです。
バリカタなんて豚骨ラーメンみたいな酢飯リクエストのお客さんもいらっしゃったそうですが、
そういうリクエストに可能な限り応えようとしてくれる柔軟性が同店の1つの特長なのでしょう。
(頑固なお店が悪いとかは一切思っておりません。)
何度もリピートすることで真価の見えてくるタイプのお店。
434文字★

緊急事態宣言の発令によって時短営業を余儀なくされる同店(3.99)。
おつまみを減らして握りをメインにするなどコース構成を変えているようですが、
以前よりも握りを評価する声が多くなっているのだそう。

2014年7月に初めて訪れたときは白身魚にこだわるも本鮪にはそこまでこだわっていなかったのですが、
現在は食べログ全国ランカーの鮨屋より良質ではないかと思うレベルの本鮪を仕入れ、
酢飯も先代から受け継いだ奈加田(閉店)仕込みの酢飯よりも更に現代的に進化しています。

食べログで4.50を超えるような高い評価を受ける鮨店であっても、
酢飯の酸味が強くて自分の好みには合わなかったり、本鮪の腹ではなく背中を仕入れたりと、
場合によっては同店の握りより満足度が低くなることも珍しくなくなってきました。

事実上ワンオペでの切り盛りになってしまうなど同店の課題はまだまだ沢山あるのですが、
料理の美味しさに関しては弱点がどんどん解消されているように感じております。
835文字★

01.てっぴの煮凝り
02.天然トラフグ白子と淀大根
03.大分天然トラフグ(3.8キロ)唐揚げ
04.大原天然トラフグ(4.6キロ)唐揚げ
05.昆布森牡蠣フライとトラフグ白子フライの餡掛け(白川甘鯛の潮汁、ベルモット、バター、エシャロット、山独活の餡)
06.噴火湾バフンウニ
07.大分てっさ
08.大原てっさ
09.大原てっちり
10.余市アンキモ
11.大分てっちり
12.大分身皮
13.てっぴ
14.遠江
15.てっちりの汁(トラフグの潮汁)
16.白子雑炊
17.香の物(自家製搾菜)
18.白子雑炊おかわり
19.下田本鮪中トロ(握り)
20.鳥羽ホウボウ(握り)
21.大原白子炭火焼ミニ丼
22.下田本鮪大トロ(握り)
23.出水スミイカ(握り)
24.下田本鮪赤身(握り)
25.メガ太巻き(トロ、ウニ、アンキモ、干瓢)
26.水菓子(チョコレートアイスクリーム、金柑「春姫」、金柑のジュレ、白苺「ミルキーベリー」)

お大尽さまのリクエストに便乗してスペシャルなトラフグ食べ比べ。
大分(おそらく豊後水道)の天然トラフグ3.8キロ(仕入れ値4.5万円)。
大原(千葉県の太平洋側)の天然トラフグ4.6キロ(仕入れ値6万円)。

コロナ禍で本来は地元の名店に流れるはずだった豊後水道の天然トラフグが豊洲に流れているのでしょう。
サイズが少し小振りなこともあって大分のほうが筋肉質のように感じましたが、
鮑の名産地と知られる大原の天然トラフグもそれに勝るとも劣らない美味しさ。
千葉県(太平洋側でも東京湾でも)で獲れるトラフグも実は凄いのです。

てっちりは利尻昆布で出汁を取っただけで野菜など一切入れずトラフグだけで調理。
味付けは塩、醤油、自家製ポン酢を使って客側で好きなように調節できるので、
トラフグ自体のクオリティの高さもあって最高クラスに美味しい。
煮物、フライ、雑炊、炭火焼と、天然トラフグの白子を4通りで楽しむのもまた至福。
1,021文字★

01.モツソテー(舞鶴鰤と養殖鰻)
02.石巻鮟鱇どぶ汁
03.淡路星鰈2.7キロお造り
04.浜中バフンウニ
05.野菜盛り(淀大根、京人参、京菜花、カラスミ、セリと切干大根の胡麻和え)
06.氷見メジ鮪藁焼き
07.長崎普賢岳スッポンのお椀(お餅入り)
08.香住黄金蟹
09.塩釜本鮪中トロ(握り)
10.熊本天然トラフグ白子ご飯
11.塩釜本鮪大トロ(握り)
12.淡路星鰈縁側(握り)
13.黄金蟹の蟹味噌和えと雲丹を乗せたご飯
14.舞鶴鰤12キロ(握り)
15.勝浦黒ムツ(握り)
16.銚子〆鯖(握り)
17.大分真鯵(握り)
18.塩釜本鮪赤身(握り)
19.メガ海鮮恵方巻(ネギトロ、雲丹、カワハギ、平貝、小柱、京菜花)
20.水菓子(あまおうムース、チョコレートアイスクリーム、ロイヤルクイーン、ミルキーベリー、せとか)

スターターが鰤と鰻のモツソテー、続いては鮟鱇のどぶ汁、こんないかれた飲食店を他に知りません。
野菜を全く入れずに超濃厚に仕上げた「どぶ汁」の美味しさは本場の専門店を超えます。
大洗(茨城県)で食べた無加水どぶ汁は野菜の水分でアッサリした味わいとなってしまい不満が残ったので、
同店(4.19)のように野菜を入れないほうがコッテリした味わいを好む者にとっては正解なのでしょう。

専門店を超えると言えばお餅とネギの入った「スッポンのお椀」も専門店を凌駕しそうな逸品。
先日は都心のスッポン専門店で8,000円のコースを食べる機会あったのですが、
この1杯だけで8,000円コースを超える充足感を得られました。
(凄まじい大振りカットでスッポンが入っており8000円コースのスッポン使用量を超えそうな勢い。)

香住産の黄金蟹はズワイガニとベニズワイガニの交雑種。
1,000杯に1杯とも10,000杯に1杯とも言われる超希少な蟹だそうで甘みときめ細かな身質を感じました。
日本でこの日に黄金蟹を出したのは同店だけではないかというぐらいのレアアイテム。

握りでは本鮪の中トロ、ご主人イチ押しの鰤、黒ムツ、真鯵が良かったです。
ノドグロ(赤ムツ)同様に脂ノリの良い魚ながら脂に臭みあってノドグロほど評価されない黒ムツですが、
この日の黒ムツは脂に臭み無く爽やかな風味を感じられて別格でした。
〆スイーツの、あまおうムース、チョコレートアイスクリームまで専門店を超えそうな絶品で本日も大満足。
1,044文字★

01.能登青海鼠
02.淡路天然カワハギ潮汁
03.淡路天然カワハギ肝和え
04.壱岐鰹藁焼き大蒜醤油 四川胡瓜胡麻酢和え
05.加賀源助大根ふろふき味噌 明石真蛸
06.浜名湖鯊の卵巣お造り
07.根室落石バフンウニお造り
08.淡路鮃お造り
09.屋久島天然縞鰺お造り
10.アイルランド本鮪の脳天ソテー 聖護院蕪酢漬け
11.アイルランド本鮪の頬肉白ワインソテー
12.秋田ズワイガニ(1kgサイズ)
13.大阪吹田海老芋と慈姑とシャリおこげ香住セイコガニ餡掛け
14.三色丼(秋田ズワイガニ蟹味噌和え、噴火湾バフンウニ、岩手いくら)
15.大間本鮪中トロ(握り)
16.淡路鮃昆布〆(握り)
17.熊本天然トラフグ白子炭火焼ご飯
18.大間本鮪大トロ(握り)
19.屋久島天然縞鰺(握り)
20.富山白海老バフンウニ(握り)
21.函館炙り〆鯖棒寿司
22.有明小鰭(握り)
23.浜名湖天然鰻蒲焼ミニ丼
24.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
25.鹿島煮蛤(握り)
26.太巻き
27.年越し蕎麦(蒲鉾、堀川牛蒡の鶏肉詰め、芹)
28.デザート(丹波黒豆煮、せとか、あまおうとバナナのアイスクリーム)

まずは(茶ぶりでは無く)新たな手法で調理したという青海鼠からスタート。
手前は硬く、奥はやわらかくなっており、2種類の食感を楽しめて美味しいです。
磯の爽やかな香りも楽しめて冬の味覚を存分に堪能。

カワハギは通常キロ9,000円のところ年末最後の処分セールでキロ6,000円に。
一方でズワイガニは1杯(1kgサイズ)24,000円というインフレ価格。
お客さん1人に出す1皿で原価3,000円になってしまうそうでご主人を悩ませていました。

珍味という点では鯊(はぜ)の卵(卵巣)を生で味わう初めての体験。
この時期にはいつもカラスミに仕上げていましたが生そのままでもクリーミーで美味しい。
鯊は肝も卵も美味しい優秀な魚なのです。

大間産ではなくアイルランド産ですが本鮪の脳天や頬肉もソテーで堪能。
レアーに火を入れてあって、この火入れの上手さも同店の特長でしょう。
天然トラフグの白子や天然鰻も炭火で見事に火を入れていました。

鮨屋なのに何故か最後に年越し蕎麦(出汁は宗田節と鯖節)が出てくるという不思議なお店。
あまおう(苺)とバナナの自家製アイスクリームも濃厚コッテリした美味しさで最高。
鮨屋なので一応言及しておくと脂ノリノリな鯖棒寿司もハイレベルでした。
1,506文字★

01.宍道湖鯊(はぜ)と函館雲子の南蛮漬け
02.仙鳳趾牡蠣と出雲椎茸のアヒージョ
03.大分カラスミ
04.余市アンキモ
05.余市松皮鰈(3.8kg)お造りエンガワ付き
06.浜中バフンウニ
07.対馬鰹藁焼き
08.大阪海老芋とバチコ(海鼠の卵巣)のお椀
09.京都聖護院蕪と兵庫津居山セイコガニの茶碗蒸し(出汁は真鯛と蛤)
10.鳥取松葉蟹(1.1kg)
11.鳥取松葉蟹の蟹味噌和え岩手いくらミニ丼
12.余市松皮鰈(握り)
13.対馬鰹藁焼き(握り)
14.富山白海老(握り)
15.噴火湾バフンウニ(握り)
16.天草小鰭(握り)
17.出水スミイカ(握り)
18.戸井本鮪中トロ(握り)
19.大間鮃(握り)
20.戸井本鮪大トロ(握り)
21.鳥羽カンパチ(握り)
22.日高鰤ヅケ(握り)
23.青森鷹架沼天然鰻蒲焼きミニ丼
24.戸井本鮪赤身ヅケ(握り)
25.鹿島煮蛤(握り)
26.太巻き(本鮪、鰹、アンキモ、日野菜)
27.大分鯔(ぼら)白子ムニエル
28.姫路カラスミ(握り)
29.余市松皮鰈潮汁
30.八幡浜富士柿1ヶ月熟成、青森こみつ(りんご)入りホットケーキ、卵黄多め自家製アイスクリーム

高額な地代家賃を負担する銀座の鮨店がコロナ禍でダメージを受けていると聞きますが、
本当は銀座に回るはずのピンの本鮪が諸事情あって下町の同店(4.17)に回ってきたようです。
ご主人曰く本日の最高級食材とのこと。

同店は基本的に高級な「白身魚」にこだわるお店であって本鮪にはそこまでこだわっていないのですが、
この日の本鮪(戸井産)は見た目から脂ノリ良くテラテラ艶めかしく光っており官能的。
ネットリした肉質と鮮烈な旨味を楽しめて、食べログ上位ランカーの高級鮨店で食べた本鮪を凌駕します。
バフンウニ(現在ムラサキウニは禁漁期)も良いものを仕入れていると思いました。

天然鰻は池袋かぶと(4.52)と同じ仕入れ先から青森鷹架沼(たかほこぬま)産を購入。
かぶとはタレが水っぽくて筆者の好みと外れることもあって、
個人的にはかぶと以上と思う蒲焼きを何故か鮨屋で楽しんでおりました。
ジビエ(天然食材)なので個体差もあるでしょうが、身と皮のバランスがとても良かったです。
前回の宍道湖産(5.0満点)には及ばないとしても4.6評価ぐらいの超絶な美味しさ。

白子の世界も資本主義のようで雲子(真鱈の白子)は仕入れ値キロ8,000円。
鯔(ぼら)の白子はキロ1,500円、秋鮭の白子はキロ800円とのこと。
この日は雲子を南蛮漬けで、ボラの白子をムニエルで頂きましたが、美味しさは値段に比例という印象。
雲子より更に高級な天然トラフグの白子がこれからの楽しみとなります。

意外なヒットだったのが自家製というアイスクリーム(卵黄を多めに使用した不健康仕様)。
キーツマンゴーのパフェを食べて以来、銀座の資生堂パーラー(3.55)に何度か訪れているのですが、
同店のアイスクリームのほうが甘くて濃厚ながら食べやすくて遙かにレベル高いと思ってしまいました。

先代(故人)の時代ご主人はスイーツ(水菓子)担当でイチジクのコンポートなど作っていたそうですが、
お客さんが先代の握りよりコンポートを褒めると先代が不機嫌になったとか。
魚の熟成だけでなく果物の熟成についても(ご主人曰く魚以上に)研究しておられるようで、
この日の富士柿(1ヶ月熟成)トロリ蕩ける絶妙な美味しさで素晴らしかったです。
「銀座」のピンの本鮪を扱って、鰻専門店やフルーツパーラーより感動する、よく分からないお店。
1,628文字★

01.秋刀魚・梅干し・零余子・明石の鯛の煮凝り
02.小樽蝦蛄
03.仙鳳趾生牡蠣
04.羅臼生雲子
05.茨城友部栗渋皮煮
06.カラスミ食べ比べ(土佐の生カラスミ、宮崎カラスミ)
07.根室鰯カルパッチョ梅肉ソース
08.お造り(余市松皮鰈、浜中バフンウニ)
09.徳島海老芋揚げ煮
10.福岡菱の実
11.余市鰤藁焼き
12.信州松茸とノドグロの土瓶蒸し
13.大間本鮪大トロ炙り(握り)
14.明石の鯛とカワハギの肝(握り)
15.信州松茸の炊き込みご飯
16.羽幌ボタン海老(握り)
17.余市鰤藁焼き(握り)
18.出水墨烏賊(握り)
19.出水真鯵(握り)
20.余市松皮鰈(握り)
21.大間本鮪赤身(握り)
22.宍道湖天然鰻(握り)
23.太巻き(大トロ炙り、うに、いくら、鯖、搾菜)
24.余市松皮鰈潮汁
25.仙鳳趾牡蠣フライ
26.水菓子(北海道らいでんメロン、愛媛富有柿)

必ずしも高級ブランド食材に頼るお店では無いのですが今回は高級食材の美味しさが光っていました。
子持ちと思って購入したという小樽産♀の蝦蛄(実際には卵が入っておらず)は原価1尾500円。
好物である蝦蛄の卵こそ味わえなかったですが高級品だけあって旨味は強かったです。

カラスミは土佐産がキロ20,000円で宮崎産がキロ40,000円。
軽く脱水したぐらいの生カラスミがクリーミーな美味しさで新たな発見。
同席者は熟成さたカラスミのほうが美味しいと申しておりましたが、お客さんによって感想は変わるそう。

揚げ煮でシンプルに味わう海老芋の美味しさも隠れたヒット作品。
今月は京味系のお店2軒でも海老芋を食べる機会に恵まれましたが同店の海老芋がマイベスト。
海老芋を食べて同店より美味しいと思ったことが未だ無いです。

初めて食べた「菱」の実は1パック700円と高くは無いのですがアッサリした栗のような味わい。
高級な生カラスミ、高級ではない菱の実など、食の新たな体験を楽しめるのが同店の特長。
こういうお店は他に見つからないので唯一無二の存在となっています。
尤も松茸の箱にカラスミを乗せてしまったりと異端なお店ではあるので万人ウケはしないでしょう。
好き嫌いがハッキリと分かれて、好きになった人はヘビーリピーターと化すお店なのです。

松茸の土瓶蒸しといえば鱧が定番ですが同店はもっと濃厚な味わいを求めてノドグロと土瓶蒸しに。
出汁はノドグロと鰹節とのことですが、お椀の美味しさトップクラスの同店だけあって秀逸。
そして塩と醤油の小皿をスタート時点から用意してくれているので味の調整が可能なのも嬉しいところ。

松茸の土瓶蒸しは淡い味わいに仕立てるのが基本ですが筆者は濃厚嗜好。
塩を加えることで土瓶蒸しのコクがアップして理想の味わいへと変化していきました。
こういう食べ方は邪道かも知れませんが美味しくなるのは間違い無いのです。

そして本日のMVPだったのがキロ30,000円(1尾で約20,000円)という最高級ブランド宍道湖産の天然鰻。
脂ノリが良いからか崩れてしまうぐらい身がやわらかくてフワフワ。
しかし皮目は炭火の直焼きでパリッと焼き上げてあって食感も旨味も究極レベルに素晴らしかったです。

同店を鰻(うなぎ)屋と勘違いする人もいるそうですが(天然鰻で検索すると同店がヒットするため)、
確かに全国の鰻屋を巡っても、この宍道湖産より美味しい鰻にはまず出会えないと思います。
2020年に食べた鰻で年度ナンバーワンという感想。

いちおう鮨(すし)屋でもあるので太巻きも美味しかったです。
大トロ炙り、うに、いくら、鯖、そして何と搾菜を入れてコリコリ感まで演出した唯一無二の太巻き。
蕩ける食材とコリコリした搾菜のマリアージュを楽しめてこちらも5.0満点クラスの美味しさ。
仙鳳趾の牡蠣をフライにするなど新たな試みも楽しめて本日も大満足。
1,844文字★

01.釧路ミンク鯨ニンニク醤油
02.うるか茄子
03.琵琶湖ビワマス燻製
04.佐渡クロアワビ塩煮
05.北海道天然ホヤ 昆布森牡蠣 岩手ワカメ
06.白いかゲソ
07.小川原湖ゴリ 金糸瓜
08.小川原湖白魚・羅臼いくら・三輪素麺
09.お造り(礼文島ムラサキウニ、利尻鮃、縁側)
10.徳島海老芋・北海道松茸・観音寺マナガツオ・鮑煮汁のお椀
11.竹岡太刀魚炭火焼きミニ丼
12.羽幌ボタン海老(握り)
13.明石鯛炙り(握り)
14.気仙沼カツオ藁焼き(握り)
15.愛知平貝(握り)
16.鹿児島スミイカ臭橙塩(握り)
17.戸井本鮪中トロ(握り)
18.大阪湾〆鰯(握り)
19.戸井本鮪大トロ(握り)
20.利尻鮃昆布〆(握り)
21.式根島天然縞鰺(握り)
22.戸井本鮪赤身(握り)
23.伊勢小柱とボタン海老の卵(握り)
24.ムラサキウニ(握り)
25.霞ヶ浦天然鰻蒲焼き丼
26.Yさんスペシャル太巻き(小柱、雲丹、いくら、〆鯖、本鮪、鰹)
27.太刀魚の潮汁
28.愛知シロギス天ぷら
29.フルーツ盛り(ルビーロマン、ピオーネ、洋梨「オーロラ」、福島の桃)

北九州からのお客さんとか、前後にお大尽コースを予約するお客さんがいらっしゃると、
「お零れ(おこぼれ)」でコース内容がいつにも増して凄くなることがあります。
本日はそんな特異日だったようで体感としては都心の60,000円コース級の満足感でした。

1品目は醤油とお酒に1日漬け込んで臭み抜きしたというミンク鯨のユッケ風。
それでもまだ獣臭さが抜けず鮨屋では禁忌と言われるニンニクを薬味にしていますが、
下手な焼肉屋で馬肉のユッケを食べるより美味しいと思います。

そしてご主人の目利きで市場から仕入れたピンの茄子を「うるか」と炊いたうるか茄子。
うるか(鮎の内臓の塩辛)の塩味、苦味、旨味を吸った茄子のトロトロ食感が絶品。
鮨屋なのに茄子料理の美味しさがトップクラスと思います。

琵琶湖の固有種「ビワマス」はソミュールには漬け込まず軽く塩して燻製に。
フワッとした身のやわらかさを残す火入れでこれも良かったです。
サーモン系統の魚は身にすぐ火が通ってしまって火入れの難易度が高く、
フレンチで食べるほうが美味しいというイメージですが鮨屋のビワマスも侮れません。

いつもは茄子の脇役となってしまっていたアワビですが今回は単体での登場。
蒸すのではなく塩煮という技法で調理していましたが蒸すより手間かかるそう。
そして蒸しアワビは蒸し立てであれば美味しいがすぐに味が落ちてしまうのに対して、
塩煮のほうが美味しさが長持ちするとのこと。
実際に食べてみると蒸しとはまた異なるネッチリ感を楽しめて本日の白眉といった傑作。

タイミング合わないうちに旬の時期を逃してしまった天然ホヤ。
旬の時期の美味しさを「9」とすると今回は「6.8」ぐらいだそうですが、
それでも養殖ホヤより鮮烈な味わいで十分に楽しめました。
走りの昆布森(の真牡蠣)もそこそこクリーミーな食感。

アワビが感動的に美味しかったので煮汁も飲みたいとリクエストしたのですが、
海老芋、マナガツオ、そして吸い口に松茸まで添えた超絶な「お椀」が出てきました。
煮汁ベースなので少し塩が強いのですが大振りカットの海老芋やマナガツオとは相性良好。
これだけ挑戦的なお椀を出してくる日本料理店を他にまだ知りません。

そして丸で仕入れたという竹岡(太刀魚の最高ブランド産地)の太刀魚。
1メートルは確実に超えていると思うのですが、
スーパーマーケットで出会う太刀魚の切り身とはサイズ感がもう全然違います。

高級店で食べる太刀魚の塩焼きは骨が無いですが、
これだけ大きいから骨を外してカットしても身が厚いわけです。
脂の乗った旬の太刀魚をおかずに酢飯を貪るという贅沢。
後料理として太刀魚のアラや卵で潮汁まで堪能していました。

仕入れ原価1尾1,200円というボタン海老。
皮だけ炙ろうとして失敗したけど結果オーライ「塩焼き」として美味しかった明石の鯛。
戸井の本鮪の中トロと大トロなど握りも一定レベル以上の満足感(赤身はイマイチ)。

飲食店は美味しさが安定しているお店と不安定なお店があると思うのですが同店は後者。
毎月通っていると満足感に上下あるのが否めないところなのですが、
今回は年に1~2回あるかどうかの「大当たり」といった満足感でした。
901文字★

01.群馬枝豆
02.うを徳冷麺(素麺、明石鯛のアラ煮凝り、落花生、シメジ、オクラ、茗荷)
03.神奈川三浦金糸瓜(そうめんかぼちゃ)
04.千葉竹岡太刀魚塩焼き
05.天売島ムラサキウニ塩辛(塩うに)
06.蒸しアワビ 湯葉 じゃこ 万願寺唐辛子 肝ソース
07.三重尾鷲カツオ藁焼き
08.トロナス 賀茂なす コリンキー(かぼちゃ)
09.山形ノドグロ塩焼き
10.余市アンキモ
11.北海道シャイニングコーン「玉蜀黍豆腐」
12.伊勢鳥羽長ひじき 聖護院蕪切り干し 冬菇椎茸
13.三重尾鷲サワラ京都鹿ヶ谷かぼちゃのお椀
14.ウニイクラ丼
15.明石鯛昆布〆(握り)
16.塩竃本鮪大トロ(握り)
17.香川マナガツオ(握り)
18.大分〆鯖(握り)
19.三重尾鷲サワラ藁焼き(握り)
20.羽幌ボタン海老炙り(握り)
21.塩竃本鮪赤身ヅケ(握り)
22.大分真鯵(握り)
23.霞ヶ浦天然鰻蒲焼きミニ丼
24.塩竃本鮪中トロ(握り)
25.壱岐アラ(握り)
26.霞ヶ浦天然鰻蒲焼きトロタク太巻き
27.日高メヌケのポワレとトロナスのお椀
28.フルーツ盛り(尾花沢スイカ、沖縄キーツマンゴー、北海道らいでんメロン、北海道シャイニングコーン)

豊洲市場がお盆休みのため生の食材で自信あるの鮪ぐらいとのことでしたが、
ご主人の火入れ技術など調理の腕でサポートすることで色々と楽しめました。
夏野菜の美味しさも同店の特長でしょう(いちおう鮨店のはずですが)。

客単価40,000円や50,000円の食べログ超ハイスコア店の料理がハズレ無く堅実にヒット打ってくるのに対し、
同店の料理は波が激しいので時に大ハズレにも出会います。
そういうハズレ料理にネチネチと文句を言うような人には全く向かないお店でしょう。

しかし天然鰻の蒲焼きと天然本鮪のトロタクを合体させた「太巻き」など、
他店では見たことも無い特大ホームランに偶に出会えるのが同店の魅力。
優等生というよりは問題児だけど、とんでもない作品を生み出してくることもある、そんなお店。
ホームランをまた見たくて毎月通っています。
2,238文字★

01.宮城養殖ホヤ 奄美大島パパイヤ
02.鳥羽アジフライ 淡路星鰈フライ いぶりがっこ入り自家製タルタルソース
03.茨城じゃこ・万願寺獅子唐・湯葉の山椒炊き 玉蜀黍(ゴールドラッシュ)豆腐
04.島根蒸しアワビ 群馬トロナス
05.那智勝浦カツオ藁焼き
06.お造り(大分城下鰈、利尻バフンウニ、宮城アンキモ、群馬ユウガオ)
07.城下鰈の肝
08.淡路マナガツオ塩焼きと京都鹿ヶ谷かぼちゃのお椀
09.塩釜本鮪中トロ(握り)
10.銚子入梅鰯(握り)
11.伊豆黒ムツ(握り)
12.城下鰈(握り)
13.塩釜本鮪大トロ(握り)
14.天草小鰭(握り)
15.鹿児島スミイカ宮崎へべす塩(握り)
16.羽立水産焼尻島ムラサキウニ(握り)
17.児島湾天然鰻蒲焼き(握り)
18.塩釜本鮪赤身ヅケ(握り)
19.鳥羽真鯵(握り)
20.標津時鮭(握り)
21.太巻き(鮪、鰹、雲丹、干瓢)
22.大阪湾鳥貝(握り)
23.大阪湾鳥貝ヒモ(握り)
24.城下鰈の潮汁
25.フルーツ盛り(瀬戸ジャイアンツ、沖縄マンゴー、エクアドル産バナナ)

1週間前に同店(3.97)を訪れたお客さんから北海道産の天然アカホヤが感動的に美味しかったと聞き、
ホヤをリクエストしてみたのですが、天然の食材は入荷があるか否か運に左右されます。
この日は食運無かったようで代替の養殖ホヤからスタートすることになりました。

ご主人が評価は10段階で4.5とおっしゃる通り、ホヤから苦味と水っぽさを感じてしまいます。
(ちなみに先週の天然アカホヤは10段階で8~9ぐらいとのこと。)
今回はホヤよりも添えられていたパパイヤ(青パパイヤ)のほうが光っていました。

タイ料理の超定番である「ソムタム」のメイン食材として日本に於ける知名度も上がった青パパイヤ。
ソムタムより大振り厚切りカットゆえ歯応えを楽しめ、ナンプラーとは異なる出汁の旨味が新体験。
例えると「大根のべったら漬け」を旨味そのまま爽やかにしたような味わいで美味しかったです。

他店では絶対にやらないであろうことを平然とやってのける同店。
1切れの原価1,200円という星鰈(超高級魚)をフライにして出してきました。
いつの間にかタルタルソースまで、いぶりがっこ入りの自家製となって。

飲食店の原価率を考えればアジフライと合わせ1皿4,000~5,000円と値付けされるであろう高級フライ。
個人的には淡泊な白身魚である星鰈より脂ノリの良いアジフライのほうが好みでしたが、
お客さんによっては星鰈フライのほうが高評価だったようです。
(ちなみにアジフライは江戸前の金アジを使う浜金谷の某有名2店より美味しいレベルでした。)

ゴールドラッシュで作った「玉蜀黍豆腐」は火入れの時間を誤ったようでグチャグチャに崩れ「ムース」に。
この日はお昼に吉兆系の日本料理店を訪れていたので色々と違いを感じられて面白かったのですが、
他店ではおそらく失敗作として没になるであろう玉蜀黍豆腐をムース状になっても出すのが同店。

1品でも不味い料理や出来損ないの料理が出ることを許せない完璧主義者なお客さんには、
お昼の日本料理店を勧めることが出来ても同店を勧めることは出来ないと思います。
最初の養殖ホヤも人によってはお店への印象を大きく下げるでしょうし、
星鰈をフライにすることを冒涜と感じるような人にも同店は合わないでしょう。

しかし養殖ホヤを食べて天然はどれだけ美味しかったのだろうかとワクワク出来る人、
星鰈フライという遊び心を解する人、豆腐が少し崩れたぐらいでは動じない人にとっては、
同店は「そこに痺れる憧れる」ような最高の飲食店となるかも知れません。

城下鰈は白身魚とは思えないぐらい凄まじい旨味を有しており驚愕。
しかしご主人曰くこの日の城下鰈はもう一歩のようで、ご主人の思う本日の最高食材は「マナガツオ」。
炭火で塩焼きにしてから、鹿ヶ谷かぼちゃ(最高級かぼちゃ)と合わせてお椀に。
吸い地は鮪節、そして利尻昆布に真昆布という、ダブル昆布まで加えて唯一無二の味わいに。
お椀の好みも人それぞれと思いますが筆者にとっては日本料理店の中でも最高クラスという評価。

そしてお昼には夏の代名詞である鱧も鮎も登場したのに両方とも出さない同店。
(同店が日本料理店ではなく鮨屋ではないかという議論はとりあえず置いておきます。)
旬という常識に囚われず「我が道を行く」方向性もまた異端ながら人によっては絶大な支持を受けるところ。

いちおう本職であるはずの握りですが、お造りで美味しかった城下鰈、フライで美味しかった真鯵が出色。
鳥羽産の真鯵はキロ2,000円で最高級の出水産(キロ7,500円)に比べると3分の1未満の市場評価ですが、
旬ということもあるのか少し前に同店で食べた出水産より美味しくて驚愕しました。

他のお客さんには出し忘れたという鳥貝は名残の天然物。
もうこれで今シーズンはお終いということでしたが抜群に美味しかったです。
来年また肝と一緒に楽しめる日が待ち遠しくなりました。

デザートにマンゴー、バナナ、そしてデザートに使うのではなく野菜感覚ですがパパイヤ(青パパイヤ)。
日によってはドリアン、チェリモヤなどに出会ったこともあるのですが、
南国フルーツをここまで仕入れる和食店(鮨屋も日本料理店も含む)も他に知りません。
1,989文字★

01.煮凝り(富津黒ムツのアラ、秋田蓴菜、長崎クラゲ、花山椒)
02.岩手ゲンゲ唐揚げ
03.佐賀有明活き子持ち穴蝦蛄唐揚げ
04.宮城塩竈黒鮑 山口萩たまげなす 肝ソース
05.冬瓜アイス(帆立貝、パプリカ、枝豆)
06.青森蒸し立てアンキモ
07.お造り(宿毛天然縞鰺、利尻バフンウニ、茗荷竹)
08.長崎ウツボと熊本新蓮根のお椀
09.羽幌ボタン海老(握り)
10.噴火湾本鮪大トロ(握り)
11.淡路キジハタ(握り)
12.氷見鰆藁焼き(握り)
13.佐渡本鮪中トロ(握り)
14.富津黒ムツ(握り)
15.四万十天然鮎(握り)
16.函館ムラサキウニ(握り)
17.ボタン海老のガラスープ
18.舞鶴〆鯖(握り)
19.出水真鯵(握り)
20.佐渡本鮪赤身(握り)
21.うな丼(琵琶湖天然鰻蒲焼き)
22.また来てねYさん丼(湯葉じゃこ山椒の炊いたん、マグロ生姜煮、芋茎、大トロ)
23.マナガツオ西京焼き椀
24.ウツボと穴蝦蛄の唐揚げ
25.フルーツ盛り(台湾産グリーンライチ、米産レーニアチェリー、山形佐藤錦、鹿児島不知火、寒天)

高級ブランド食材からマニアックな食材まで、豊洲市場の総力を結集したような仕入れ内容。
グロテスクな見た目も相俟って「下の下の魚」扱いされてきた深海魚ゲンゲですが、
粘度強くネトネト感あるも、フワフワ脂の乗った身が揚げ油を吸って旨味を増し美味しかったです。

そして熊本県では「シャク」と呼ばれ郷土料理店では天ぷらなどで供されている穴蝦蛄。
エルブジ(スペイン)やノーマ(デンマーク)で修業経験を持つ「セララバアド(3.86)」でも、
コース料理の1品として定番アイテムとなっています。

同店では子持ちの穴蝦蛄を活きの状態で仕入れて唐揚げにしていましたが、
ジューシー感を残す火入れながら殻ごと丸ごと全て食べられて、
穴蝦蛄の独特な風味と卵の濃厚な旨味(蝦蛄の卵はカラスミを思わせる旨味)を楽しめて絶品。

熊本県で食べたシャク(穴蝦蛄)の天ぷら、岡山県で食べた蝦蛄(穴蝦蛄ではない)の天ぷら、
セララバアドで食べたマジャク(穴蝦蛄)など、
過去に食べた蝦蛄系統の揚げ物の中でマイベストな美味しさ。

マニアックに食材を仕入れる同店ならではのアイテムが初夏のアンキモ。
どぶ汁で有名な大洗(茨城県)の某店では、春を過ぎると生のアンキモが手に入らないと聞きましたが、
安定供給は無理でも稀に市場に出回ることがあるようです(真夏でも余市のアンキモを出すのが同店)。
蒸し立てで味わう初夏のアンキモ絶品でした。

同じくマニアック食材のウツボは、炭火焼きをお椀に仕立て、最後に唐揚げでも楽しみました。
ネットリとしたゼラチン質や皮の旨味を楽しめる身厚なウツボ。
下手な天然鰻(ex.高知県の四万十現地)や穴子(ex.広島の有名な穴子飯)より美味しいと思います。

椀妻の新蓮根は熊本産のキロ6,500円という高級品。
ご主人曰く味は加賀蓮根のほうが上だが、この白くて綺麗な身の美しさが別格なのだそうです。
蓮根の世界の最高級ブランド産地は熊本県(芥子蓮根にするには勿体無いかも知れません)。

ちなみに真鯵の世界の最高級ブランド産地は出水(鹿児島県)でキロ6,000円。
江戸前の黄金鯵(房総半島の根付きの真鯵)が東京人には身近な高級鯵ですがそれでもキロ2,000円。
ご主人曰く品格が違うらしいです(本日は握りで出水の真鯵が登場)。

食べログNo.1鮨店は島根県のブランド真鯵「どんちっち」を仕入れていましたが、
どんちっちは美味しいものの日持ちせず2日ぐらい。
出水産は5日ぐらい日持ちするという保存性の高さも高級な理由となっています。

高級品といえば握り1品目に出てきた羽幌産の超特大ボタン海老は1尾の仕入れ値2,300円。
飲食店の一般的な原価率3割に照らし合わせると1貫7,500円ぐらいとなってしまいそうです。
しかしマグロやウニなどピンの高級品を酢飯に乗せれば間違い無く美味しいブランド食材よりも、
マニアックな食材や手の込んだ料理のほうに魅力を感じるのが同店。

四万十の天然鮎(キロ15,000円の高級な活きではなく、市場で安くするからと押し付けられた氷詰め)は、
身を酢〆にして、焼いた肝と骨(裏漉して)のペースト、(お米と合わせた)蓼酢で三層ミルフィーユに。
3時間ぐらい手間をかけたフレンチのような握りを堪能しておりました。

ウツボのお椀と同じ吸い地でお椀仕立てにしたマナガツオの西京焼き。
マナガツオの西京焼きが一歩進んだ美味しさとなっていました。
北関東3県の食べログNo.1鰻店(2店は百名店)より美味しい「うな丼」など、
握りを11貫も食べているのに全国トップクラスに美味しい丼まで2種類も楽しんで本日も大満足。
1,308文字★

01.出汁巻きたまご
02.惣菜盛り合わせ(桑名蛤、トコブシ、蓬麩、花山椒・うすい豆・焼き穴子入り卯の花、炊いた日光湯葉とワラビ、切り干し聖護院蕪)
03.三河湾活き銀宝の天ぷら
04.駿河湾桜海老の天ぷら
05.コシアブラと桜海老と花山椒のお椀
06.城下鰈(魚体1.5kg)お造り
07.釧路バフンウニ
08.徳島フルーツトマト「珊瑚樹」ピュレ
09.滑川ホタルイカ
10.愛知渡り蟹カンジャンケジャン
11.銀宝の肝
12.銀宝の骨煎餅
13.ヤングコーン炭火焼き
14.尾鷲カンパチ魚体17kg熟成(握り)
15.羽幌ボタン海老(握り)
16.銚子本鮪大トロ(握り)
17.伊勢鳥羽コチ(握り)
18.銚子本鮪中トロ(握り)
19.出水真鯵(握り)
20.富津スミイカ(握り)
21.網走サクラマスとイクラ(握り)
22.琵琶湖天然鰻蒲焼き花山椒ミニ丼
23.銚子本鮪赤身ヅケ(握り)
24.函館ムラサキウニ(握り)
25.秋田初物蓴菜とボタン海老ガラのお椀
26.桜海老と酢飯のチャーハン 琵琶湖天然鮎素揚げ 賀茂茄子と壬生菜の餡 追いイクラ
27.城下鰈の潮汁
28.フルーツ盛り(長崎茂木びわ、宮崎マンゴー、鹿児島デコポン)

まず最初の出汁巻きたまごに唸りました。
卵は千葉県産、出汁は鮪節と利尻昆布、裏漉ししてから葛を加えて焼き上げているそうです。
それだけ手間をかけているから滑らか官能的な食感となっているのでしょう。

かつて同店は法事利用のお客さんが多くて出汁巻きたまごをよく作っていましたが、
現在は5人~10人の少人数対応で、客単価も以前よりは上がっています。
アフターコロナの世界でも対応できそうなビジネスモデルに既に変わっているのです。

いちおう鮨屋なのに何故か活き銀宝(捌く前は泳いでいました)を天ぷらにして、
琵琶湖の天然鰻を炭火で蒲焼きにするなど(薬味は花山椒)、天ぷら専門店、うなぎ専門店顔負けの仕入れ。
いちおう鮨屋なのにチャーハンまで作ります(お米が酢飯なのは鮨屋の矜持でしょうか)。

しかし同席者の1人が同店で気に入っているのは椀物。
馬鹿の三杯汁という格言にも負けずに本日もお椀を3杯も堪能しておりました。
鮨屋なのに鰻が専門店より美味しいので同店を「うな徳」と表現する者がおりますが、
お椀が日本料理店の中でも上位の美味しさなうえに何杯も出てくるので、
同店を「しる徳」と表現する者が出てきそうな気がしてきました。

本日の意外なヒットだったのが釧路バウンウニ(生)と徳島フルーツトマト(ピュレ)の組み合わせ。
いつかウニトマトの握りか巻きものを食べてみたいものです。
こういう不思議な組み合わせからヒットが生まれてくるのも同店の特長。

冬菇、林檎、大蒜、生姜、葱、大根、昆布、麦焼酎「吉四六」、蜂蜜、2種類の醤油。
それらを煮詰めた醤油ダレで1日漬け込んだカンジャンケジャン(渡り蟹の醤油漬け)。
ご主人曰く「どうまん蟹」をこの食べ方にしても美味しいと聞いたそうですが、
どうまん蟹は仕入れ値が高いので悩ましいとのこと(いつか食べてみたいものですが)。
1,039文字★

01.宮城菜の花、室津鳥貝の肝(酒煮)、青森ヤリイカ
02.山形ホワイトアスパラガス「甘えん坊」おかき揚げ(柿の種を使用)
03.淡路真鯛白子、鹿児島空豆
04.与論島小芋、滑川ホタルイカ、余市アンキモ
05.城下鰈(魚体2.2kg)お造りエンガワ付き
06.城下鰈の肝
07.松前ムラサキウニ
08.大分鯖味噌煮(白味噌6:赤味噌1)
09.愛知蕗
10.自家製カラスミ燻製
11.自家製メンマ(京都山城筍)
12.大原鰆(船上〆神経抜き)藁焼き
13.塚原筍と野付小柱の炊き込みご飯
14.花山椒鍋(塚原筍、木の芽、京都山城初物花山椒、吸い地は昆布・鮪節・金目鯛潮汁)1杯目:函館メヌケ
15.花山椒鍋2杯目:勝浦金目鯛
16.花山椒鍋3杯目:イクラ乗せ〆雑炊
17.羽幌ボタン海老(握り)
18.油津本鮪大トロ(握り)
19.カワハギの肝を忍ばせた淡路アマテガレイ(握り)
20.岡山平貝(握り)
21.油津本鮪中トロ(握り)
22.東京湾スミイカ酢橘塩(握り)
23.出水鰺(握り)
24.室津鳥貝(握り)
25.ボタン海老の出汁スープ
26.浜名湖天然鰻蒲焼き花山椒ミニ丼
27.油津本鮪赤身ヅケ(握り)
28.函館ムラサキウニ(握り)
29.スタミナ太巻き
30.フルーツ盛り(石垣島パイナップル、宮崎マンゴー、愛媛ブラッドオレンジ、メキシコ産ライム)
31.うどん(白海老掻き揚げ、芋茎、壬生菜、木の芽、山形田舎うどん)

春といえば山菜の季節ですが東京で食べて美味しい山菜となると限られます。
(そもそも豊洲市場には入ってこない山菜のほうが多いと思います。)

調理技術によって美味しさが大きく左右される筍と花山椒。
これらは現地より東京で食べるほうが美味しいような気がしています。
実際に市場で高値となっているのは、東京で食べる価値があるという証左でしょう。
(初物の京都山城産花山椒は相変わらずバブル価格キロ10万円。)

そんな筍と花山椒がタッグを組んだ「花山椒鍋」や小柱と筍の炊き込みご飯も美味しいのですが、
同店らしさを感じた意欲作が自家製というメンマ。
塩が強くてジャンクな味わいなのですが、京都山城産筍の素材力の高さを上手く活かしていました。

もちろん山の食材だけでなく海の食材も旬の逸品が勢揃い。
鳥貝の肝や城下鰈の肝などモツの旨味も楽しませてくれるのが同店の特長でしょう。
いちおう鮨屋なのに「うな丼」や「うどん」まで美味しいです。
1,113文字★

01.鹿児島クエ(魚体19kg)カブトと鹿児島牛蒡の煮付け椀
02.聖護院蕪の切り干し ヒジキ 鹿児島空豆
03.和歌山新生姜甘酢漬け
04.群馬山独活 秋田蕗の薹味噌 富山滑川蛍烏賊
05.韓国産穴子骨煎餅
06.積丹沖サクラマス(魚体3.2kg)・茶ぶり海鼠・大根・蒟蒻の粕汁(石川「宗玄」の酒粕と京都の白味噌)
07.琵琶湖稚鮎有馬煮
08.青森菊芋素揚げ
09.明石の鯛(魚体2.2kg)皮霜造り
10.函館バフンウニ
11.福島コゴミ胡麻和え 韓国産煮穴子
12.徳島アイナメと函館バフンウニのウスイエンドウすり流し椀
13.萩本鮪大トロ(握り)
14.大原ヒラマサ(握り)魚体16kg
15.天草車海老カブト
16.天草車海老(握り)
17.京都山城タケノコ手巻き
18.萩本鮪中トロ(握り)
19.閖上白魚桜葉蒸し(握り)
20.積丹沖サクラマス(握り)
21.鳥羽アオリイカ(握り)
22.山口長門赤貝(握り)
23.明石の鯛(握り)
24.大阪湾小鰭(握り)
25.胆振毛蟹と浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
26.萩本鮪赤身ヅケ(握り)
27.濃厚ちらし(牛蒡、本鮪ヅケ、本鮪スジ、大トロ脂身の皮、炙り大トロ、サクラマス、対馬ノドグロ、赤貝ヒモ、カラスミ)
28.明石の鯛の真子と肝・鳴門ワカメのお椀(一番出汁)
29.日向夏・イスラエル産オア(オレンジ)・苫小牧フルーツトマト・ニュージーランド産ブルーベリーのゼリー寄せ
30.茨城大洗アンキモ塩味

本日の白眉は魚体2.2kgという明石の鯛の皮霜造り。
ネットリした皮ごと味わえて凄まじい旨味の強さでした、鯛が「魚の王様」と評されるのも頷けます。
地方を色々と巡ってもこれほど感動的な美味しさの魚にはまず出会えません。

天草の車海老は超巨大なサイズ(いつもはカブト全て食べ尽くす筆者がその硬さに負けたぐらい)。
タケノコだけを手巻きにするのは斬新な食べ方と思います。
一方で白魚は桜葉蒸しという古典的な技法を駆使して温故知新の精神も忘れていません。

そして同店で安定しているのが「お椀」の美味しさ。
クエのカブトと牛蒡のお椀、サクラマスと海鼠の粕汁、アイナメとウニのウスイエンドウすり流し椀、
明石の鯛のモツ煮(吸い地は一番出汁)と調子に乗って4杯もガブ飲みしておりました。

阿呆の三杯汁(馬鹿の三杯汁)という言葉がありますが、四杯まで飲めば逆に優秀なのではないかと、
『ドラクエ3』で遊び人がレベル20になれば賢者に転職できるような理論で自分たちを正当化。
握りも悪くないですし「濃厚ちらし」が感動的に美味しくて鮨屋としても面目躍如でしょう。
1,028文字★

01.富津天然トラフグの皮・浜中バフンウニ・松輪メヌケの煮凝り
02.宍道湖白魚と合馬タケノコ卵とじ
03.余市アンキモ燻製 厚岸牡蠣アヒージョ 琵琶湖イサザ飴煮
04.明石の鯛(魚体3.7kg)煮付け
05.岡山のれそれ(穴子の稚魚)小柴アオリイカ下足 千住葱 酢味噌
06.閖上赤貝ヒモ
07.噴火湾アンキモ
08.噴火湾バフンウニ
09.明石の鯛(魚体3.7kg)皮霜造り
10.富津天然トラフグごちゃ混ぜ
11.富津天然トラフグ唐揚げ(1個目)
12.琵琶湖ホンモロコ炭火焼き
13.富津天然トラフグ唐揚げ(2個目)
14.大分天然トラフグ白子炭火焼き・対馬ノドグロ・庄内ウルイの白味噌椀
15.羽幌ボタンエビ特大サイズ(握り)
16.境港本鮪大トロ(握り)
17.松輪メヌケ皮霜(握り)
18.小柴アオリイカ(握り)
19.函館ムラサキウニ(握り)
20.出水真鯵(握り)
21.佐世保鮃昆布〆(握り)
22.境港本鮪大トロ蛇腹(握り)
23.閖上赤貝
24.ボタンエビの殻スープ
25.浜名湖天然鰻手巻き
26.カラスミ餅・茨城娃々菜(白菜)・岩手アワビ茸・徳島椎茸・メヌケのお椀(吸い地は二番出汁)
27.フルーツ盛り(越後姫、せとか、エクアドル産バナナ)

肉でも魚でも、生で食べたほうが美味しい場合と、加熱して食べたほうが美味しい場合があります。
豊洲市場を経由した宍道湖産の白魚に関しては生で食べると泥臭さが少し気になってしまって、
桑名の現地で食べた地物白魚より劣ったのですが加熱して食べた宍道湖産の美味しさは桁違い。
ブランド産地「合馬」の筍も素晴らしくて珠玉の逸品となっていました。

生で食べるか加熱して食べるかで順位が入れ変わったのは明石の鯛(真鯛)と江戸前(富津)の天然トラフグ。
トラフグは「てっちり」にしたほうが感動的に美味しかったのに対して、
明石の鯛は煮付け(肝や真子入り)よりお造り(皮霜造り)の美味しさが圧倒的でした。
しかしこの価格帯で日本最高クラスの白身魚を食べ比べさせてくれるお店もまず他に無いでしょう。

同店は赤身(本鮪)より白身にこだわるので本鮪は腹二番。
一番は銀座など都心の高級店が持って行ってしまうのですが二番も悪くないです。
お椀に関しては二番出汁を使うほうが上手くいくときもあって、
カラスミ餅、娃々菜、キノコ、メヌケなど具沢山のときは二番出汁がピッタリ嵌まるように思いました。
3,648文字★

01.能登赤なまこ茶ぶり 小長井牡蠣昆布出汁
02.富津天然トラフグの皮・浜中バフンウニ・松輪メヌケの煮凝り冷製椀
03.宍道湖白魚 岡山のれそれ(穴子の稚魚) 小柴アオリイカ下足 千住葱 酢味噌
04.富津天然トラフグ(魚体4.8kg前日仕入れ)てっさ
05.噴火湾バフンウニ
06.富津天然トラフグ(魚体5.2kg熟成1週間)身皮
07.富津4.8kgトラフグ遠江
08.富津4.8kgトラフグてっぴ
09.富津5.2kgトラフグてっさ
10.大分天然トラフグ白子刺し 余市アンキモ
11.富津天然トラフグ唐揚げ(1個目)
12.富津天然トラフグ唐揚げ(2個目)
13.野菜無しのてっちり(富津4.8kgトラフグのみ、利尻昆布と真昆布の出汁で)
14.大分天然トラフグ白子ちり(先ほどのてっちり鍋で加熱)
15.大分天然トラフグ白子とじの富津4.8kgトラフグ雑炊
16.青森ブドウエビ(握り)
17.島根で獲れて境港で水揚げした本鮪腹二番トロ(握り)
18.松輪メヌケ皮霜(握り)
19.鴨川〆イワシ(握り)
20.函館ムラサキウニ(握り)
21.小柴アオリイカ(握り)
22.室津鳥貝(握り)
23.大船渡〆サバ(握り)
24.大分天然トラフグ白子炭火焼き・富津4.8kgトラフグ・姫路カラスミ熟成2ヵ月の白味噌椀
25.佐世保鮃昆布〆(握り)
26.境港本鮪腹二番赤身ヅケ(握り)
27.玉子焼き(車海老入りカステラタイプ)
28.浜名湖天然鰻(握り)
29.フルーツ盛り(愛知紅ほっぺ、鹿児島デコポン、エクアドル産バナナ)

お大尽さまが最高級の天然トラフグを食べたいと同店(4.04)にリクエストしたそうです。

白身魚の最高峰「天白(天然トラフグ)」に関しては、1年ぐらい前に瀬戸内エリア現地を訪れて、
「globe」KEIKOの実家と知られ西麻布の支店はミシュラン三つ星に輝く大分県臼杵市の山田屋(4.05)、
大分市の良の家(3.85)、東広島市西条のふく政(3.44)、上関(山口県)の田中旅館(3.60)など、
瀬戸内海で獲れた地物の最高級天然トラフグを食べ歩いておりました。

しかし「てっさ(刺身)」の美味しさに関しては、2018年12月に同店で食べた東京湾産が過去最高。
瀬戸内エリアで食べ歩いたのは2019年の1月と2月なので時期的な問題もあるのかも知れませんが、
同店が接待利用のお客さまに仕入れた豊洲でピンという東京湾産天然トラフグが圧倒的でした。

そんな過去の出来事もあって今回お大尽さまの予約に乗っかってみました。
最高級食材の天然トラフグをメインに据えたコースなのでお支払い金額は過去最高を記録しましたが、
フグ専門店を超えるようなレベルの充実した内容で大満足。
うなぎ専門店を遙かに超えるレベルの天然鰻を鮨屋ならでは「握り」で楽しめるというオマケ付き。

料理まずは茶ぶりにした赤なまこから感じる爽やかな海の香りとコリコリ食感に舌鼓。
小長井の牡蠣は昆布森(仙鳳趾)産のような濃厚クリーミーさは無いですが大粒で食べ応えあって、
アッサリした味わいながら昆布出汁で旨味を補完していました。

天然鰻だけでなく白魚に関しても市場で圧倒的No.1の評価を受けているブランド産地「宍道湖」。
時期によっては霞ヶ浦産白魚の4倍ぐらいの値段になることもあるという最高級ブランド。
しかし生で食べると(泥臭さのような)臭みとクセを少し感じてしまいました。

先月は三重県の食べログNo.1高評価「日の出(4.43)」で地物の白魚尽くしコースを楽しんだのですが、
獲れ立ての地物(桑名産)白魚はお刺身で食べても臭みが全く無くて美味しかったです。
こればかりは産地の「地の利」には敵わないのでしょう。

なお本日は諸事情により昼と夜のダブルヘッダーで同店の料理を楽しんだのですが、
夜には同じ宍道湖産の白魚を合馬産の筍と卵とじにしておりました。
加熱して臭みの消えた白魚は日の出で食べたどんな料理より美味しかったことを付け加えておきます。

そして主役の天然トラフグが満を持して登場。
豊洲市場から仕入れた同じ産地(江戸前富津産)の前日仕入れと1週間熟成の食べ比べ。
前掲ふく政では瀬戸内海で獲れた魚体3kgの天白をてっさ、日本海で獲れた魚体7~8kgの天白を唐揚げと、
サイズによって調理法を変えていましたが同じく5kg前後の天白を熟成期間の差で食べ比べるのは初めて。

てっさを食べ比べると熟成させた5.2kgのほうが身にネットリしたやわらかさを感じられて美味しい。
同店のてっさは専門店より厚切りカットにしており、
ネットリしたやわらかさとトラフグならではの弾力を併有する5.2kgのほうが気に入りました。
熟成させることによって旨味が引き出されているという面もあるのかも知れません。

とはいえ「てっさ」としての美味しさは2018年12月に食べた東京湾産に比べると見劣りして、
時期の問題なのか個体差なのか(産地は同じく江戸前)分かりませんが、
自然の食材ならではの難しさも感じてしまうところです。

それでも「てっちり」で味わった4.8kgのトラフグは素晴らしかったです。
利尻昆布と真昆布の出汁だけで(野菜も入れずに)てっちりにするという初めて出会った調理法。
ご主人曰く野菜を入れないほうが美味しくなるのではないかとのこと。

同店で食べたお椀の中でも「トラフグの潮汁」は最高傑作の1つと思っているのですが、
てっちりのこのスープはそれに通ずる美味しさで(調理法も似ているはずです)、
火を入れることで旨味の活性化したトラフグの身の美味しさも圧巻。

旨味があまりにも凄いので塩も醤油もポン酢も何も入れなくて美味しい。
高血圧症には塩が大敵と言われますが、こんな料理ばかり食べていれば健康的にグルメを楽しめそうです。
お金持ちのほうが長生きするのだろうなと痛感。

トラフグの身は火を入れたほうが旨味が活性化すると申し上げましたがそれは白子も同じで、
大分産(富津産ではないです)天然トラフグの白子をまずは刺身で味わったのですが旨味はそこそこ。
白子を生で味わうのであれば雲子(真鱈の白子)やアブラボウズの白子のほうが美味しいと思います。

てっちりと同じ鍋で白子を「白子ちり」にしたところ旨味大幅アップ。
更に感動的な美味しさだったのが炭火焼きにした白子を椀種に据えた白味噌椀。
(しかし椀妻に富津の天然トラフグと2ヶ月熟成させた姫路産ボラ子カラスミとは贅沢が過ぎます。)
炭火で表面がお餅のように変質した白子を口にすると、熱々クリーミーな旨味の塊が溢れてきて超絶。

〆の雑炊には細かく刻んだ白子を入れて、中のクリーミーなところだけで「白子とじ」にして完成。
港区でこのレベルの天然トラフグを楽しめばここまでの内容で50,000円は超えるでしょうか。
しかし同店は(一応)鮨店を名乗っているので〆雑炊の後に握り11貫と玉が出てきます。

キロ25,000円という幻食材「ブドウエビ」の握りは他店であれば1貫3,000円~5,000円と予想。
(1貫あたりの原価が1,500円ぐらいという狂ったお値段なので。)
魚体3.0kgというメヌケは皮霜にしてから握りに、酢〆を浅くして欲しいとリクエストした鰯も良いです。
(鰯は市場価格キロ1,000円と安いですが必ずしも高級食材に負けません。)

そして握りの白眉だったのが浜名湖産天然鰻(おそらく白焼き)の握り。
一部の心無い人たちは(鮨より鰻のほうが美味しいので)同店を「うな徳」と呼ぶそうですが、
鮨屋なのに天然鰻を500,000円分も仕入れ冷凍保存して(鰻が冬眠する)2月でも天然鰻を繰り出す同店。
(うな徳という呼称もあながち間違っていないような気がしてきました。)

関西風の地焼きでありながら天然鰻ならではの爽やかな脂がたっぷり乗って蕩ける食感、
口の中で鮮烈な旨味が爆発して、酢飯の酸味と旨味ともマリアージュする圧巻の逸品。
ジビエ(自然で育った食材)の天然鰻なので日によってブレもあるのですが本日は大当たり。

今月は食べログで全国No.1鮨店の評価を受ける日本橋蛎殻町すぎた(4.78)にも訪れましたが、
この握りは日本橋蛎殻町すぎたで食べたどの料理より感銘を受けました。
(握りの美味しさというより天然鰻の圧倒的なまでの美味しさによるものと思われます。)

天然鰻の握りは蒲田の初音鮨(4.52)でも食べましたが天然鰻に関してだけは同店のほうが遙かに上。
食べログうなぎ百名店はまだ17店しかスタンプラリーしていませんが、
今のところ同店より美味しい鰻専門店には出会えておりません(うな徳と呼びたくなる所以です)。
この天然鰻の握りと「てっちり」が本日のツートップで、次点が白味噌椀に入った炭火焼きの白子でした。
1,181文字★

01.萩アカエイ煮付け
02.アカエイの肝
03.昆布出汁を加えた厚岸生牡蠣、能登赤ナマコの茶ぶりと生
04.京都蕪、菜花、徳島サツマイモ、明石煮蛸、琵琶湖稚鮎と万願寺唐辛子
05.明石真鯛(魚体3.1kg)、大分カラスミ、青森エゾアワビ、浜中バフンウニ、御殿場本山葵
06.鳥取松葉蟹(焼き蟹)
07.合馬タケノコ北海道雲子京人参のお椀
08.カニ白子丼(カニミソで和えた松葉蟹+トラフグ白子)
09.野付ホタテ(握り)
10.氷見メジ(握り)
11.宍道湖白魚(握り)
12.下田本鮪トロ(握り)
13.出水スミイカ(握り)
14.大阪湾小鰭(握り)
15.下田本鮪中トロ(握り)
16.大分養殖カワハギ(握り)
17.下田本鮪赤身ヅケ(握り)
18.浜名湖天然鰻蒲焼き手巻き
19.羅臼マスノスケ(キングサーモン)と淀大根のお椀
20.巨大な太巻き(本鮪、カラスミ、アンキモ、バフンウニ、天然鰻)
21.フルーツ盛り(千葉検見川アイベリー、せとか、香川香緑キウイ)
22.淡路星鰈(握り)
23.星鰈の潮汁

軟骨ごと全て食べられるアカエイ(カスベ)の煮付けからスタート。
仕入れ値が安いことから大衆酒場でも出会うことのあるカスベですが、
同店は味付けの良さが光っており、周りでプルプル固まっている煮凝りまで絶品な美味しさ。

そしてマニアックなお客さんからリクエストされたという「エイの肝」。
酒と水で煮ただけとのことですが、裏漉ししたような滑らかさでカニミソを思わせる味わい。
魚のモツ料理も奥が深いものです。

カニミソ(本物)を和えた松葉蟹にトラフグの白子を乗せたゴージャス丼も登場。
濃厚クリーミーなトラフグの白子は例えて言えばペシャメルソースのよう。
この丼をライスコロッケに仕立てると、究極のカニクリームコロッケになるのではないか。
同席者がそんな閃きを熱く語っていました(ご主人がこのアイディアを採用するかは知りません)。

都心の高級鮨店に比べると評価の低い「握り」ですが、お米の炊き加減や酢の強さなど、
お客さんの好みに(可能な限り)合わせてくれるので安定しています。
器用さという点で都心の職人に後塵を拝するのは否めないのでしょうが、
この日はたまたま本鮪が大当たりなこともあって銀座の高級鮨店にも負けない満足度の高さ。

下田産の本鮪はトップブランド大間産と同じ値段だったという高級品。
それに見合うどころか、ほとんどの大間産より美味しいのではないかと思う質の良さ。
艶めかしい赤身を見るだけで美味しいことを確信できるレベルでした。

自然の食材なのでこういうアタリハズレはどうしても出てきます。
今回はそれが良いほうに働いてラッキー。
赤身より白身にこだわっている同店ではありますが、何度も通っているとこういうこともあります。
1,744文字★

01.高野豆腐
02.仙鳳趾牡蠣
03.徳島アカモク
04.スルメイカの塩辛、生スルメイカの肝和え
05.カラスミ食べ比べ(大分産、宮崎産、姫路産)
06.堀川牛蒡の鶏肉(鶏挽き肉、軟骨、木耳)詰め
07.利尻鮃(魚体2.4キロ)お造り
08.山城海老芋 カラスミ乗せ
09.余市アンキモ
10.(昆布とニンジンだけで炊いた)京人参
11.バフンウニ食べ比べ(釧路産、浜中産、北海道産)
12.五島列島ハガツオ(魚体3.2キロ)炭火焼き
13.佐渡鰹炭火焼き
14.淡路マナガツオ西京焼き
15.隠岐松葉蟹の脚
16.隠岐松葉蟹の胴体 カニミソ乗せ
17.セイコ蟹とバフンウニのミニ丼
18.氷見寒鰤(握り)
19.出水スミイカ(握り)
20.生雲子ミニ丼 カラスミ乗せ バフンウニと生雲子忍ばせ
21.利尻鮃(握り)
22.大間本鮪中トロ(握り)
23.香川観音寺赤貝(握り)
24.香川観音寺赤貝のヒモ(握り)
25.対馬ノドグロ昆布〆(握り)
26.大阪湾小鰭(握り)
27.松前本鮪大トロ(握り)
28.明石真鯛(握り)
29.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
30.大分養殖カワハギ(握り)
31.苫小牧小柱(軍艦)
32.浜名湖天然鰻蒲焼き(手巻き)
33.カラスミ・海老芋・京人参・黒豆の白味噌椀
34.デコポン・和歌山みかん・鳥取花御所柿・静岡メロンのジュレ仕立て
35.超巨大な太巻き(カラスミ、ブリ、大トロ)

歳末感謝セールということで、いつにも増してスペシャルな内容となっていました。
大きな笊(ざる)の上に産地や熟成期間の異なるボラ子カラスミがドッサリ乗っています。
ストレートに食べ比べ、海老芋に乗せて、生雲子丼に乗せて、お椀に入れて、太巻きに入れてと、
これでもかと超高級食材カラスミを堪能しておりました(都心で再現すると推定60,000円コース)。

スルメイカの食べ比べ(塩辛の美味しさが突き抜けていました)から始まって、
カラスミ食べ比べは、大分産(キロ12,000円、写真上)、宮崎産(キロ25,000円、写真左)、
姫路産(キロ50,000円、写真右)の3種類が登場。

市場では4倍もの価格差となっており、実際に高いほうが粒揃いで見た目も麗しいのですが、
しかし宮崎産カラスミが姫路産カラスミに負けない美味しさだったりと面白いです。
ご主人曰く過去に購入したキロ170,000円の超高級カラスミが不味くて落胆したこともあったのだそう。

バフンウニ食べ比べは、釧路産(写真左)、浜中産(写真右)、北海道産(写真上)の3種類。
釧路も浜中も北海道の地名ですが、それぞれ微妙に味わいが異なるのが興味深いです。
しかしカラスミとウニをこれだけ食べてしまうと尿酸値の上昇が心配になってきます。

カツオ食べ比べは、ハガツオ、カツオ(ホンガツオ)、マナガツオの3種類。
市場価格キロ1,000円と格安のハガツオですが、赤身系のサッパリした味わいが意外と美味しい。
キロ10,000円の佐渡産ホンガツオのほうが確かに美味しいのですが10倍の差までは感じないです。
一番美味しかったのはマナガツオで、脂ノリ良く火入れも抜群で圧巻の西京焼きとなっていました。

酢飯の下に生の雲子(真鱈の白子)とウニを忍ばせ、上にはドッサリの雲子とカラスミを乗せたミニ丼。
これが美味しさとしては本日の白眉かも知れません。
雲子だけでも安くない食材というのに、ウニとカラスミをどれだけ贅沢に使うのでしょうか。

握りでは大間産の本鮪(中トロ、赤身)と松前産の本鮪(大トロ)の食べ比べ。
キロ6,000円まで値上がりしているという出水のスミイカ、キロ5,000円の養殖カワハギ、
そして1つ1,500円の高級品が1,100円に値引きされていたというスペシャルな赤貝。
良質なタネを使用していることもあって握りも美味しかったです。

手巻きの天然鰻は鰻専門店で食べるより美味しいですし、何よりこれだけ楽しんでこの安さ。
都心に在る鮨店のほうが握る技術は高いですが同店はおつまみの美味しさが別格ですし、
コストパフォーマンスや予約の取りやすさなど総合的に評価すると最高の1軒となっています。
1,143文字★

01.勝浦クロムツ煮付け
02.出水スミイカゲソ
03.琵琶湖氷魚とボラ子カラスミ
04.お造り(浜中バフンウニ、氷見寒鰤、佐渡アラ)
05.琵琶湖活きホンモロコ天ぷら
06.鹿児島天降川天然スッポン唐揚げ
07.山形鶴岡松葉蟹
08.天然スッポンのお椀
09.浜名湖天然鰻蒲焼き手巻き
10.横須賀天然カワハギ肝入り(握り)
11.北海道ムラサキウニ(握り)
12.出水スミイカ(握り)
13.大間本鮪(魚体160kg)大トロ(握り)
14.利尻ヒラメ昆布〆(握り)
15.出水アジ(握り)
16.東京湾サヨリ(握り)
17.北海道野付小柱(軍艦)
18.本鮪中トロ(握り)
19.金華〆サバ(握り)
20.富山白海老(握り)
21.勝浦クロムツ(握り)
22.本鮪赤身ヅケ(握り)
23.天然スッポンの内臓と海老芋のソテー
24.新潟ルレクチェ(洋梨)と愛媛紅まどんな

今冬は日本橋蛎殻町のすぎた(4.78)、銀座のさわ田(4.54)など食べログ高評価の鮨店も訪れましたが、
費用対効果という点を考慮すると同店がやはり一番のお気に入りとなっています。
すぎた、さわ田の親方に比べると鮨を握る手の動きの滑らかさが足りないようには感じてしまうのですが、
握りだけでなく「おつまみ」の美味しさでも全国トップクラスに楽しませてくれる同店。

半熟な仕上がりのカラスミは永遠に日本酒を飲み続けられそうな美味しさですし、
キロ6,500円という琵琶湖直送の活きホンモロコ(ツケ場で泳いでいました)、
他の鮨屋ではまず見ないスッポン尽くし料理など相変わらず素晴らしかったです。

お造りは超高級白身魚の本アラを含めドッサリと楽しめて、専門店を凌駕する鰻の焼きも出色。
先日は高知県の現地(本当に川の近く)で四万十川の天然鰻、下ノ加江川の天然鰻など食べましたが、
素材はともかく焼きの技術が拙くて残念に思うことが多かったです。
地方で天然鰻を食べ歩くことで同店の鰻って凄まじくレベル高いのだと再確認しております。

おつまみほど評価されていない同店の握りですが、タネは良いものを使っていますし、
お客さんの好みに合わせて酢飯の炊き加減などカスタマイズしてくれることもあって、
昔に比べれば一定水準以上の美味しさになっていると思います。

1箱50,000円のムラサキウニ、身厚なスミイカ(隠し包丁も入れてあって食べやすいです)、
脂ノリノリな冬の金華サバ、この価格帯にしては意外と良質な本鮪などに舌鼓。
冒頭で申し上げた、すぎた、さわ田では日本酒を飲んで握りを追加すると40,000円を遙かに超えます。
同店は20,000円台でお腹いっぱい飲み食い可能ということで費用対効果最高なのです。
1,261文字★

01.釧路トクビレ(ハッカク)有馬煮
02.愛知鱚(キス)南蛮漬け
03.青森スルメイカ10日干し肝和え
04.仙鳳趾生牡蠣
05.自家製松前漬け(スルメ、京人参、湯葉、数の子、松前昆布)
06.余市アンキモ、青森エゾアワビ、京都小蕪
07.境港松葉蟹
08.淡路マナガツオお造り、落石バフンウニ、庄内おばこサワラ(魚体2.4kg)藁焼き、源助だいこん(加賀野菜)煮物
09.広島ボラ白子トリュフオイルソテー、岡山ヤリイカ餅米詰め、3種類(赤、白、黄色)の蕪
10.京都山城海老芋と京都壬生菜の香住セイコ蟹餡かけ
11.ミニ丼(大船渡イクラ、落石バフンウニ、姫路生カラスミ)
12.大間本鮪中トロ(握り)
13.銚子金目鯛(握り)
14.仙崎メジ藁焼き(握り)
15.対馬赤ムツ昆布〆(握り)
16.大間本鮪大トロ(握り)
17.庄内おばこサワラ(握り)
18.宮城松島ハゼ昆布〆(握り)
19.鹿児島出水スミイカ(握り)
20.天草小鰭(握り)
21.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
22.浜名湖天然鰻蒲焼き手巻き
23.鹿児島天降川天然スッポン(魚体1.7kg)唐揚げ
24.鹿児島天降川天然スッポンと魚沼お餅とネギのお椀
25.鹿児島天降川天然スッポン内臓トリュフオイルソテー
26.ボラの沢庵丼(ボラ子カラスミ、雲子、本鮪大トロ、鰤、アンキモ)
27.ルレクチェ(洋梨)、新潟村松栗、獅子柚子のマーマレード、安納芋と栗の金団、和歌山賢太郎みかん

近年のスルメイカ不漁が影響しているのか久しぶりに登場となった塩辛(10日干し)。
10日も干しているので身は硬く変質しているのですが、
噛み締めるたびに口の中に強烈な旨味が溢れてきて相変わらずの美味しさ。

初めて仕入れたという「庄内おばこサワラ」は、船上で活〆神経抜きの処理を施しているそう。
そのため賞味期限が延びて1週間ぐらい熟成させることも可能。
魚に春と書いて「鰆」という漢字になりますが、庄内のサワラ漁は9月に始まり10月~11月が旬。
確かに冬の鰆のほうが脂ノリ良いので濃厚嗜好な人間には冬のほうが旬と思えます。

持ち込んだトリュフオイルを有効活用して貰ったボラの白子も相変わらず美味しい。
卵巣(カラスミ)に比べると精巣(白子)の市場価格は遙かに安いようですが、
トリュフと組み合わせたボラの白子は雲子(鱈の白子)より美味しいかも知れません。

握りでは前回のホンモロコ酢〆に続いて、ハゼの昆布〆という新たな試みが面白かったです。
ハゼの肝が出なかった点だけは残念でしょうか。
(昆布〆にするには時間を要するので、鮮度命の肝は同時に出せないのかも知れません。)

本日の白眉な美味しさだったのはボラの沢庵(カラスミのこと)などドッサリ盛られた海鮮丼。
カラスミ、アンキモ、白子、更にミニ丼のときはウニ、イクラ。
冬の味覚は尿酸値が急上昇しそうな食材が多くて通風の恐怖が襲ってくるのですが、
こういう不健康そうな料理ほど美味しいので困ったものです。
1,458文字★

01.明石真蛸
02.氷見鰹炭火焼き
03.氷見鰹ハランボ
04.富津スミイカのミミとゲソ一夜干し 1日塩したスミイカの肝と余市アンキモのペーストを塗して
05.高知ウツボ炭火焼き
06.酔蟹(香住セイコ蟹)
07.姫路ボラ白子バターソテー 滋賀日野菜 京都聖護院蕪のすり流し椀
08.お造り(淡路平目、余市バフンウニ、京都聖護院蕪の煮物)
09.大船渡イクラと境港松葉蟹カニミソ和えミニ丼
10.三厩本鮪中トロ(握り)
11.明石真鯛(握り)
12.佐渡寒鰤(握り)
13.琵琶湖〆ホンモロコ(握り)
14.千倉〆鯖の腹(握り)
15.天草小鰭(握り)
16.浜名湖天然鰻蒲焼き手巻き
17.千倉〆鯖(握り)
18.大間ホタテガイ(握り)
19.富津スミイカ(握り)
20.境港松葉蟹と三厩本鮪トロ炙り手巻き
21.三厩本鮪赤身ヅケ(握り)
22.千倉真鯖の船場汁
23.これで勘弁太巻き(ウニ、イクラ、アンキモ、カラスミ、タコ、大トロ、ブリ、サバ)
24.フルーツ盛り(初物とちおとめ、和歌山黒あま柿、福岡秋王柿)

高知県(といっても高知市と四万十市ぐらいですが)を巡ってきたので同店で復習。
キロ10,000円を超えるという超高級な氷見の鰹。
高知の鰹は豊洲に入ってこないようで(現地で消費してしまうのでしょうか)、
都内高級店では勝浦、気仙沼、氷見などの鰹に出会います。

高知で食べた鰹も悪くないですが、やはり日本全国から選抜された豊洲のほうが美味しい。
ハランボ(腹皮)は同じ氷見の鰹から取ったようですがこちらも現地を超える美味しさ。
美味しさの理由は以下3つの条件が揃っているからだと思います。
1.豊洲市場の素材力、2.料理人の火入れ技術、3.出来たてを提供できる小規模個人経営。
後ろ2つの条件を満たすお店は高知県でも探してみたいところ。

そして高知県では唐揚げ、天ぷらなどの「揚げ物」で出会うことが多かったウツボ。
骨の硬さが凶悪なので炭火焼きは食べにくいという弱点を有します。
しかし皮目のゼラチン質な美味しさは揚げ物より焼き物のほうが際立つような印象。

ご主人曰く鯖は11月と12月の始めが良いとのことですが、千倉(千葉県)の鯖は脂ノリ抜群。
特に船場汁(鯖のアラと大根のお吸い物)の美味しさが同店ならでは。
なお高知県で何度も食べた「清水サバ」に関しては豊洲市場にも入荷があるそうです。

おそらく初めて食べた食材「ボラの白子」はトラフグの白子を思い出すクリーミーさで秀逸。
バターでソテーすることで脂や旨味を補完しているのかも知れませんが、
言われなければトラフグの白子と思っていたことでしょう。

初めて食べた調理法としては酢〆にしたホンモロコのフワッとした食感も面白かったです。
握りのタネとして小鰭より美味しいぐらいではないかと思ったのですが、
あまりに手間がかかるので今回限りで封印するとのこと。

スルメイカの肝に比べると旨味の弱いスミイカの肝にはアンキモを加えて旨味を補完。
しかし余市産のアンキモはそのまま食べたほうが満足度高くなったかも知れません。
色々な挑戦をするのが同店の長所であり短所でもあるのです。

お椀の美味しさ、鰻の美味しさ、クレイジーな太巻きの美味しさ、フルーツの美味しさ。
この辺りはいつも通りでした。
高知県では意外と地物のドラゴンフルーツ(空港にて1玉900円で購入)が美味しくて、
いつか同店でも国産ドラゴンフルーツを食べてみたいものです。
1,281文字★

01.丹波篠山黒枝豆
02.明石の鯛とパプリカのムース
03.酔っ払い海老(羽幌ボタン海老)
04.釧路サンマ有馬煮、余市アンキモ、栃木カンピョウ
05.仙鳳趾牡蠣と信州松茸のソテー
06.お造り(城下鰈、浜中バフンウニ、岩手松茸)
07.京都海老芋と岩手松茸
08.余市ブリ、岩手松茸、京都白菜(しろな)のお椀
09.山口アワビと標津イクラのミニ丼
10.大間本鮪トロ(握り)
11.釧路〆サンマ(握り)
12.苫小牧アオヤギ(握り)
13.岩手松茸ご飯
14.鵡川〆シシャモ(握り)
15.苫小牧ホッキ貝(握り)
16.富山白海老と浜中バフンウニ(握り)
17.天草小鰭(握り)
18.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
19.出水スミイカ(握り)
20.小川原湖天然鰻蒲焼き手巻き
21.年忘れの恵方巻き(アンキモ、炙りトロ、サンマ、アンキモ、黒枝豆)
22.城下鰈の潮汁
23.フルーツ盛り(小布施栗、長野パープル、シャインマスカット、ニュージーランド産オレンジ)

台風19号(ハギビス)によって荒川は河川敷のグラウンドまで水没していましたが、
氾濫も決壊も無かったので予約していた通り食べに行ってきました。
(台風の翌日というのに堤防で夜釣りを楽しむ人を多数見ましたが大丈夫なのでしょうか。)

食材は台風当日の朝に豊洲まで仕入れに行ったそうですが松茸だけは大暴落(誰も買わないので)。
そのため本日の料理は松茸の使用率がいつもより高かったです。
魚は通常の倍値となっていたようでお店としては大変だった模様。

最初の黒枝豆は茹で過ぎに思ったのですが、明石の鯛のアラも無駄にしないパプリカムースは好印象。
そしてスマッシュヒットだったのが大振りなボタン海老を使った「酔っ払い海老」。
漬けダレには紹興酒や「純芋」という芋焼酎(薬味にネギや花山椒など)を使ったそうですが、
これが絶妙な味わいで蕩けるやわらかさのボタン海老を昇華させていました。

いよいよ登場してきた仙鳳趾の生牡蠣はなかなかクリーミー、これからの季節の楽しみです。
スペシャル白身魚の城下鰈も旨味強くて抜群に美味しい。
細かく刻んだ松茸やバフンウニを巻いても楽しめるという高級オプション付き。

ブリは藁焼きで出すのがマンネリ化しているとのことで今回は炭火焼きをお椀に投入。
香ばしく焼き上げたブリの脂や旨味が溶け込んだ汁も美味しいです。
(ブリ単体で楽しむのであれば、やはり藁焼きで食べるのが一番とは思います。)

シシャモを酢〆にして握りのタネにしたり、握りの途中に松茸ご飯が出てくるなど相変わらず破天荒。
手巻きにした小河原湖の天然鰻も脂ノリ良く素晴らしい美味しさ。
鰻の専門店でも味わえない感動体験(うを徳ではなく「うな徳」に改名しても良いぐらいです)。

余市のアンキモや本鮪の炙りトロなど巻き込んだ、大砲のような太巻きも唯一無二の美味しさ。
小布施の栗の渋皮煮など水菓子まで素晴らしかったです。
超大型台風が直撃した翌日ということで、どうなるかと心配もあったのですが杞憂でした。
1,053文字★

01.明石の鯛の潮汁
02.長崎バテイラ(シッタカ)
03.京小芋
04.丹波黒枝豆
05.佐賀ワタリガニ 村尾蟹
06.佐賀ワタリガニ 蒸し蟹
07.千葉勝浦鮑・徳島海老芋・信州松茸のお椀
08.お造り(明石の鯛、鯛の皮、釧路バフウンウニ)
09.気仙沼カツオ炭火焼き
10.宮城松島1.2kg巨大穴子炭火焼き
11.余市鰤藁焼きミニ丼
12.八郎潟天然鰻蒲焼きミニ丼
13.塩釜本鮪大トロ(握り)
14.高知宿毛シマアジ(握り)
15.利尻平目(握り)
16.出水スミイカ(握り)
17.塩釜本鮪中トロ(握り)
18.出水鰺(握り)
19.利尻平目昆布〆(握り)
20.明石煮蛸(握り)
21.塩釜本鮪赤身ヅケ(握り)
22.富山白海老イクラ手巻き
23.太巻き(トロ、穴子、アワビ、イクラ、バフンウニ)
24.加賀蓮根のすりおろしと北海道トウモロコシを佐賀鱚で巻いたお椀
25.三色丼(ネギトロ、根室鰯タタキ、対馬穴子タタキ)
26.フルーツ盛り(洋梨「オーロラ」、黄金桃、山城無花果)

人間とは飽きやすい生き物です。
毎月通いたいと思う飲食店の条件の1つとして「こんなことやるの!?」という驚きが求められます。
それを体現している希有なお店が同店。

トロと穴子とアワビとイクラとバフンウニを、海苔と酢飯の上にテンコ盛りにして太巻きを作成したり、
鰯と穴子を叩いてネギトロと三色丼にしたりと、他店では味わえない驚きがあります。
そもそも高級食材をこんな使い方するお店はまず無いでしょう。

今月は九州某県の食べログNo.1鮨店で40,000円ぐらい散財してきましたが、
九州前にこだわる地方の鮨店より全国から食材を集める東京のほうが素材力は高いと思います。
熊本県、鹿児島県、宮崎県で食べたどの鯛も圧倒する明石の鯛。
どの鰤をも凌駕する余市産鰤の藁焼き(しかも高級鮨店では禁忌とされるニンニクを味付けに使用)。

プレミアム高級焼酎の村尾(これは客側で持ち込み)を酔っ払い蟹にしたり、
お椀で高級食材の松茸とアワビを共演させても海老芋のほうが美味しかったりと。
他店では体験不可能な感動が同店にはあるのです(しかも九州某県の鮨店より遙かに安い)。

(追記)

長崎産のバテイラ(シッタカ)はキロ1,700円、臭みやクセ無く肝まで食べられる、ツブ貝のような味わい。
高知宿毛産のシマアジは1尾36,000円。
養殖のシマアジは2,000円台だが天然は希少なため10数倍の高値になるとのこと。
971文字★

01.秋の味覚のお椀(北海道上富良野松茸、愛知銀杏、山形菊の花、千葉八街落花生)
02.勝浦メガイアワビ 群馬トロナス
03.羽幌ボタン海老素麺 桑名小柱
04.気仙沼カツオ藁焼き
05.お造り(利尻平目、利尻バフンウニ)
06.余市あん肝スモーク、原価1万円を超える愛知天然車海老入り玉子焼き
07.長良川天然鮎炭火焼きと北海道上富良野松茸のお椀
08.霞ヶ浦天然鰻(魚体650g)蒲焼きミニ丼
09.浜名湖ドウマンガニと標津イクラのミニ丼
10.大阪湾イワシ(握り)
11.積丹ムラサキウニ(握り)
12.京都伊根メイチダイ(握り)
13.塩釜本鮪中トロ(握り)
14.塩釜本鮪大トロ(握り)
15.利尻平目(握り)
16.気仙沼カツオ藁焼き(握り)
17.船橋〆サバ(握り)
18.釧路秋刀魚(握り)
19.塩釜本鮪赤身ヅケ(握り)
20.九州天然スッポン内臓ソテー
21.九州天然スッポン唐揚げ
22.九州天然スッポンと新潟魚沼丸餅のお椀
23.フルーツ盛り(瀬戸ジャイアンツ、石川ルビーロマン、山城無花果コンポートのジュレ)

まず1品目から松茸、銀杏、菊花、落花生が渾然一体となったお椀の美味しさに唸ります。
鮨店でありながら都心の高級日本料理店よりハイセンスなお椀。
2品目では脇役のはずのナスが主役のアワビより美味しくて相変わらず何かおかしいです。

ボタン海老の殻で出汁を取ったという「ボタン海老素麺」にも驚きました。
クレイジーなのは1尾970円という愛知産天然車海老10尾と1個230円の卵7個で作った玉子焼き。
こういう趣味で作っているような異常な料理を楽しめるのも同店の魅力です。

美味しさという点で白眉と思ったのはスモーク仕立ての余市アンキモ。
アンキモ、天然鰻、スッポン、ナスの美味しさは全国でもトップクラスではないでしょうか。
またこの価格帯の飲食店にしては良質なウニを仕入れているのも魅力の1つ。

最後は1房18,000円という超高級フルーツ「ルビーロマン」。
ご主人の趣味や矜持で仕入れている最高級品をおまかせコースでリーズナブルに楽しめる稀有なお店。
年初に比べると酢飯が酸味強めで硬めな炊き加減となっており、酢飯も良くなってきています。
(あとは握りの技術が進化すれば鬼に金棒なのでしょう。)
1,148文字★

01.明石真蛸(3.5kg)、京都丸おくら、大徳寺麩
02.長良川鮎番茶煮、尾花沢スイカ、四万十川ゴリと伏見甘長唐辛子有馬煮
03.勝浦メガイアワビ、賀茂茄子
04.お造り(能登アラ、淡路星鰈、噴火湾バフンウニ、加賀太胡瓜昆布〆)
05.宍道湖産天然鰻(600g)とブータン産松茸のお茶漬け
06.車海老入り玉子焼き
07.宍道湖産天然鰻の骨煎餅
08.霞ヶ浦産天然鰻(700g)蒲焼きミニ丼
09.下田本鮪大トロ(握り)
10.羽幌ボタン海老(握り)
11.城下鰈(握り)
12.下田本鮪赤身(握り)
13.能登アラ(握り)
14.陸前高田エゾイシカゲガイ(握り)
15.淡路星鰈(握り)
16.奥尻ムラサキウニ
17.東京湾小鰭
18.下田本鮪赤身ヅケ
19.夏バテ予防巻き(赤身、トロ、富山白海老、余市アンキモ、胡瓜)
20.車海老入り玉子焼き(2回目)
21.これで勘弁丼(カツオ藁焼き大蒜醤油、宇和島トコブシ、イクラ)
22.フルーツパフェ(瀬戸ジャイアンツ、タイ産ドリアン、沖縄タダオゴールド、和歌山桃、メキシコ産マンゴー)

この日は市場のお盆休み明けと重なってしまい仕入れに苦労したとおっしゃるご主人。
丸おくらなど一部の食材はデパート(高島屋)で購入したそうです。
それでもクオリティの高い充実の内容で流石でした。

いつもはアワビよりナスの美味しさが光る同店ですが、この日は勝浦産というメガイアワビも良かったです。
ナス以外に大徳寺麩、ゴリと有馬煮にした甘長唐辛子など脇役も素晴らしい。
車海老入りの玉子焼きもこの日はかなり良い出来だと思いました。

そして鰻の専門店も羨む天然鰻の食べ比べ。
宍道湖産の天然鰻は白焼きにして、ブータン産の松茸を細かく刻み、出汁で「お茶漬け」にしていました。
鰻屋でも鮨屋でもここまでハイセンスな鰻料理が出てくることはまず無いでしょう。

なお天然鰻は炭火で35分から40分ぐらいかけて焼き上げているそうです。
先日は東名高速の三ヶ日ICすぐ近くに在る食べログうなぎ百名店「加茂(3.77)」に行きましたが、
そこでは6分という短時間で一気に焼き上げていました。
回転も重視しないといけない鰻の専門店ではなかなか難しいかも知れない長時間じっくり焼き上げた鰻。
しかも原価率を無視したような安さで天然鰻を楽しめるお店も唯一無二でしょう。

そして高級鮨店では一般的に禁忌となっているニンニクも普通に使用します。
フルーツパフェには更に臭いが問題となりそうなドリアン入り。
鮨屋でフルーツパフェというのがそもそも狂っているのですが、ドリアンまで楽しめる異端の鮨店。
賛否両論あるでしょうが肯定派の人間はヘビーリピーターと化すことが多いです。
01.愛知鰯 伏見唐辛子・万願寺唐辛子・じゃこ山椒
02.明石真蛸(3.5キロ)
03.群馬トロナス
04.東京湾小柴ギンポ天ぷら 素麺南京
05.明石真蛸桜煮と真蛸卵のお椀(吸い地は二番出汁)
06.銚子カツオ藁焼き
07.お造り(淡路星鰈、礼文島バフンウニ、栃木干瓢)
08.森伊蔵に漬けた羽幌ボタン海老の酔蝦
09.宇和島クロアワビステーキ 肝ソース、京都鹿ヶ谷かぼちゃ、北海道スーパーフルーツトマト
10.山形だだちゃ豆
11.佐渡本鮪大トロ(握り)
12.淡路マナガツオ(握り)
13.勝浦カツオ藁焼き(握り)
14.能登アラ(握り)
15.宍道湖天然鰻蒲焼きミニ丼
16.佐渡本鮪中トロ(握り)
17.奥尻ムラサキウニと礼文島バフンウニのダブルウニ(握り)
18.横須賀走水マコガレイ(握り)
19.対馬ノドグロ炭火焼き(手巻き)
20.大阪湾鰯(握り)
21.式根島黒ムツ(握り)
22.岩手エゾイシカゲガイ(握り)
23.天草小鰭(握り)
24.出水春子鯛(握り)
25.佐渡本鮪赤身ヅケ(握り)
26.淡路星鰈の潮汁
27.青森舌平目ムニエル松茸乗せ
28.宍道湖天然鰻の潮汁
29.山梨春日居桃ゼリー

土用の丑の日ということで、国内最高級宍道湖産天然鰻(キロ2.6万円、ミニ丼の1切れで原価1,900円)、
今が旬の高級食材アワビ(クロアワビ)やウニ(ムラサキウニとバフンウニ)など、
日本全国の味覚を堪能したのですが、本日のツートップと思ったのはトロナスと鹿ヶ谷かぼちゃ。

夏になると同店ではいつもアワビよりナスのほうが美味しいと評していましたが、
この日はアワビにナスではなく鹿ヶ谷かぼちゃを添えてきました(主役に昇格したのかナスは単品で登場)。
そして鹿ヶ谷かぼちゃのほうがアワビより美味しいという相変わらずの奇跡体験。

確かに鹿ヶ谷かぼちゃも1個1,400円という高級野菜ではあるのですが、
しかし野菜をここまで美味しく調理するお店は唯一無二と思います。
鰻(白焼き)、鼈(お椀)、アンキモ、野菜の美味しさで同店を凌駕するお店にはまだ出会えません。

果物にもこだわっている同店。
最近ではマンネリが気になって、そのままではなく少し手を加えて出してくるのですが、
ほとんど液体なぐらいトロトロに固めたゼリーを纏わせた桃も美味しかったです。
2,125文字★

01.琵琶湖鮎有馬煮
02.余市アンキモ 四万十川ゴリ 北海道ホワイトアスパラガス 会津フキ味噌
03.青森メバル煮付け
04.お造り(淡路星鰈3kg、昆布森バフンウニ)
05.信州篠ノ井タラの芽天ぷら
06.信州篠ノ井コシアブラ天ぷら
07.大間サクラマス・金沢タケノコ・賀茂茄子の奈良花山椒しゃぶしゃぶ
08.奈良花山椒雑炊
09.佐渡4.8kg巨大マハタ(握り)
10.那智勝浦本鮪10日熟成トロ(握り)
11.鹿児島出水アジ(握り)
12.能登〆イワシ(握り)
13.北海道ボタンエビ(握り)
14.気仙沼真子鰈(握り)
15.大間サクラマス(握り)
16.児島湾天然鰻蒲焼きミニ丼
17.淡路〆サバ(握り)
18.丹後舞鶴鳥貝(握り)
19.丹後舞鶴鳥貝のヒモ(握り)
20.丹後舞鶴鳥貝の肝(握り)
21.那智勝浦本鮪10日熟成赤身ヅケ(握り)
22.函館ムラサキウニ(握り)
23.普賢岳養殖スッポン漬け焼き
24.普賢岳養殖スッポンお椀
25.淡路星鰈潮汁
26.マンダリンオレンジ・マンゴー・ラズベリーのシロップ煮

5月最初(つまり令和時代最初)の外食は恒例の東向島うを徳。
余市のアンキモは食べログ4.80を超える某高級鮨店で食べたアンキモを上回る美味しさ。
同店に初めて訪れた平成26年7月某日も夏でありながらアンキモが異常に美味しかったことを思い出します。

淡路の星鰈(魚体3kg)はキロ18,000円という超高級白身魚。
もちろん抜群に美味しいのですが(この日は潮汁まで堪能)、キロ2,000円のメバルも負けていません。
旬の時期であれば(お値段的に約10倍差の)大衆魚が高級魚に匹敵することもあります。

本日のスペシャル食材は信州篠ノ井から直送された朝採れタラの芽&コシアブラ。
ご主人もネーミングに迷ったようで黒板に何度か消した跡が残っていましたが、
最終的には「スーパーたらの芽」と名付けたようです。

岐阜県高山市の某店も同じタイミングで高山市内のタラの芽・コシアブラがピークと告知していましたが、
長野県や岐阜県ではG.W.終盤の今頃がタラの芽・コシアブラの最盛期となるようです。
山形県肘折温泉の某旅館に聞いたところまだ雪が積もっているそうで山菜のシーズンはもう少し先。
同じ日本でも気温(標高)によって山菜の芽吹くタイミングが異なるのでしょう。
高山某店はG.W.明け標高1,000m、最終的には標高1,500mの山に入ることで、6月上旬まで山菜を楽しめます。

山菜を採ってくださる方が高齢で、今年で最後になるかも知れない、同店のタラの芽とコシアブラ。
都内でもスーパーマーケットに行くと山形産(栽培物でしょうか)タラの芽を販売しているのですが、
この朝採れ直送という天然タラの芽は別次元なぐらいに太くて立派です。

茨城県No.1高評価店でスカンポ(イタドリ)、ギシギシ、ノビル、ナズナの天ぷらを食べる機会がありましたが、
やはりタラの芽やコシアブラのほうが旨味が強くて、酸味や苦味もほとんど無く食べやすいです。
東京で食べられる山菜としてはトップクラスかも知れません。

春の味覚としては1箱18,000円という奈良産の花山椒も冷凍してくれていました。
東北産の花山椒は半値ぐらいになるのですが、やはり奈良産のほうがクオリティ高いそうです。
鮪節と羅臼昆布の出汁で「花山椒しゃぶしゃぶ」に(鮨屋なのに〆雑炊まで作ってくれます)。

花山椒鍋発祥店ではサクラマスをしゃぶしゃぶしていたという故事から今回はサクラマスを使用。
握りでも生の切り身を使用していましたが、冷凍庫に48時間置くことで寄生虫対策済み。
しかし時期的にはまだ走りのはずの賀茂茄子が蕩ける美味しさで一番だったりします。
同店はアワビよりナス、サクラマスよりナスのほうが美味しいと思ってしまう不思議なお店。

握りでは本鮪を10日熟成するなど新たな試みもありました。
市場から仕入れた食材の中では本日のスペシャルという鳥貝。
他のお店ではおそらく出していないであろう「鳥貝の肝の握り」が白眉な美味しさ。

児島湾の天然鰻は相変わらず鰻専門店を凌駕(前回の児島湾より良かったです)。
そしてアンキモ、天然鰻と並んで、スッポンの美味しさも突き抜けていました。
普賢岳の養殖スッポンを日本酒、薄口醤油、ネギ、丸餅だけでシンプルに仕上げたお椀が絶品。
魚の照り焼きのタレで「漬け焼き」にしたというスッポンも非凡な美味しさ。

年初にはスッポンを求めて本場の安心院(大分県)まで足を伸ばしましたが、
汁物の美味しさに関しては「やまさ旅館(4.14)」を遙かに超える満足度の高さ。
(やまさ旅館では肝焼きと唐揚げが超絶な美味しさでした。)

水菓子は最近マンネリ化しているとのことで今回は「シロップ煮」で登場。
シロップにラズベリーの酸味とミントの爽やかさが効いていて美味しい。
そのまま食べても美味しいハイレベルな果物を揃えている同店ですが手を加えても美味。
夏に向けてカキ氷など色々なスイーツを思案しているようで今後はデザートの進化も楽しみです。

898文字★

01.明石煮蛸 宮城雪菜の花
02.山形ハマボウフウ 天草車海老旨煮 四万十ゴリと切干大根有馬煮 福岡ガンソク
03.明石桜鯛とソラマメの煮凝り 滑川ホタルイカ 北海道フキノトウ蕗味噌
04.長崎ノドグロのエラ煎餅
05.山形紫アスパラガス「甘えん坊」天ぷら 奈良花山椒天ツユ
06.お造り(愛知フキ、岩手ミンク鯨赤身、明石桜鯛、函館バフンウニ)
07.明石桜鯛の真子と肝煮
08.釧路バフンウニと噴火湾毛蟹のミニ丼
09.長岡京タケノコ・ウスイマメ・お揚げの炊き込みご飯 児島湾天然鰻蒲焼き 奈良花山椒
10.山口仙崎本鮪中トロ(握り)
11.伊勢ホウボウ(握り)
12.青森サツキマス(握り)
13.鹿児島シマアジ(握り)
14.山口仙崎本鮪赤身(握り)
15.関アジ(握り)
16.福岡シロイカ(握り)
17.小柴スミイカ(握り)
18.長崎ノドグロ・長岡京タケノコ・鯛白子・奈良花山椒のお椀
19.山口仙崎本鮪大トロ(握り)
20.サクラマスの皮炙り(握り)
21.長崎穴子(握り)
22.桑名バカガイと小柱の手巻き
23.養殖沢蟹唐揚げ
24.奈良白胡瓜
25.宮崎マンゴー、愛媛ブラッドオレンジ

同店の海老料理で記憶に残る美味しさなのが、おせちの定番アイテムだった「車海老の旨煮」。
(他にはボタンエビの塩辛やボタンエビの握りも美味しかったです。)
今回は何と原価1尾1,300円の特大車海老で再現してくれました。

明石の桜鯛(桜の咲く時期の真鯛を「桜鯛」と呼びます)は魚体3.3キロ。
産卵前でお腹の白子を楽しめるのですが、身は冬のほうが美味しいような気もします。
明石の桜鯛の真子や肝といった内臓類を楽しめたのは貴重な経験でした。
(白子は明石の桜鯛とは異なる個体の白子とのこと。)

與兵衛の赤酢が品切れ状態となっているようで今回も薄い色合いの赤酢を使用。
お米の炊き加減を以前よりやわらかくしたようですが、
個人的には硬めな炊き加減のほうが美味しいと思います(ご主人も同意見の模様)。
炊き加減の好みは人それぞれなので、お店としても判断の難しいところなのでしょう。
1,512文字★

01.函館メヌケのアラ汁
02.長崎小長井牡蠣(生牡蠣)
03.釧路ニシン叩き
04.京都物集女タケノコ 伊勢アオリイカゲソ 木の芽味噌和え
05.伊勢イシダイお造り
06.香川ホワイトアスパラ 富山滑川ホタルイカ 京都大徳寺麩 黄身酢
07.お造り(淡路星鰈、函館バフンウニ)、四万十ゴリ有馬煮
08.銚子ミンク鯨ウネス
09.天草天然スッポン唐揚げ
10.京都物集女タケノコ・うすいえんどう・木の芽 炊き込みご飯
11.九州鯛の白子・京都菜の花・函館メヌケ・京都花山椒・京都物集女タケノコ お椀
12.伊勢イシダイ(握り)
13.山形〆サワラ(握り)
14.銚子本鮪トロ(握り)
15.愛知平貝(握り)
16.静岡稲取金目鯛(握り)
17.淡路星鰈(握り)
18.和歌山アジ(握り)
19.銚子本鮪赤身ヅケ(握り)
20.船橋鳥貝(握り)
21.岡山児島湾天然鰻バーガー
22.天草天然スッポン内臓ソテー
23.伊勢イシダイ潮汁
24.淡路星鰈潮汁
25.伊勢イシダイと淡路星鰈の皮煎餅
26.愛媛ブラッドオレンジ、宮崎マンゴー

まずは函館産メヌケのアラを使ったお椀からスタート、いつもの銚子産メヌケより脂ノリ良くて美味しい。
ご主人曰く銚子産より函館産のほうがお値段高いそうです。
寒い海で育つ魚のほうが身に脂も乗るのでしょう(同じく深海魚アンコウの肝も北海道余市が最高級品)。

昆布森(仙鳳趾)ほど濃厚ではありませんが、今の時期であれば昆布森以上に総合力が高い小長井の牡蠣。
そして4月の旬魚としてリクエストした鰊(ニシン)が意外なヒット。
最初は鰯(イワシ)のなめろうかと思ったぐらい身を細かくカットして包丁で叩いていたのですが、
生姜と醤油で味付けした鰊の叩きは、鰯とはまた異なる風味と脂ノリの良さを感じられて素晴らしいです。
こんなに美味しいのにキロ700円という破格の安さ。

一方でご主人がブログでぼやいていた通り京都産の花山椒はいよいよキロ210,000円まで高騰。
サフラン、松茸、白トリュフに並ぶ超高級スパイスといった存在になってしまいました。
確かに香りや食感が素晴らしくて、料理を引き立てるのですが、鰊の300倍のお値段とは驚きです。

同じくリクエストしたイシダイはキロ3,200円(魚体は約1kg)とまずまずの高級魚。
東の海で獲れるイシダイに比べて西の海で獲れるイシダイは磯臭さが無いそうですが、
確かに大洗(茨城県)で食べた地物イシダイのような臭み無くて、伊勢産のほうが圧倒的に美味しい。
コリコリした食感と脂ノリの良さ、旨味の強さを楽しめてお値段以上の価値があると思います。

鰈の最高級品である星鰈はキロ12,000円(魚体は約2.5kg)。
イシダイより上品な味わいで文句無しに美味しいのですがお値段は約4倍となります。
キロ700円の鰊、キロ3,200円のイシダイ、キロ12,000円の星鰈。
市場価格は違えどそれぞれに良さがあって、魚の世界も奥が深いのだと再確認。

本日の握りは米酢かと思うぐらい薄い色合いの赤酢を使っており温度が高め。
この酢飯であればタネに対して、もう少し小さめな酢飯で握ったほうが良いような気もしました。
一方で福岡県の照寿司(4.27)インスパイアな「天然鰻バーガー」は白眉な逸品。
照寿司の3倍美味しいという声も聞こえてきました。

二次会はイシダイと星鰈の潮汁の食べ比べ。
お造りと異なりアラの部位を使うので、これは上品な味わいの星鰈のほうが総合力は上でしょうか。
「阿呆の三杯汁」という言葉もありますが、本日は4杯のお椀を堪能して大満足。
1,031文字★

01.山形コゴミ、蓬麩、フキ味噌、新ごぼう、若ごぼう(葉ごぼう)、タケノコ
02.滑川ホタルイカ、新潟ノカンゾウ芥子酢味噌
03.お造り(明石の鯛3.5kg、函館バフンウニ)
04.青森下北サクラマス炭火焼き・播州赤穂白魚・合馬タケノコ・岩手ワカメ お椀
05.余市アンキモ、明石タコ
06.長崎車海老真薯・タケノコ・ワラビ・コシアブラ お椀
07.明石の鯛飯タケノコご飯
08.噴火湾バフンウニ・庫津居山松葉蟹ミニ丼
09.塩釜本鮪トロ(握り)
10.北海道ボタンエビ(握り)
11.舞鶴〆サバ(握り)
12.愛知平貝(握り)
13.竹岡サヨリ(握り)
14.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
15.佐島カワハギ(握り)
16.閖上赤貝(握り)
17.出水スミイカ(握り)
18.出水アジ(握り)
19.塩釜本鮪トロ(握り)2回目
20.熊本トラフグ白子ミニ天丼
21.水菓子(屋久島たんかん、神奈川湘南ゴールド)

山菜やホタルイカなど春を感じる食材が増えてきました。
今月はアンコウ鍋で有名な茨城県の大洗でドブ汁を食べる機会があったのですが、
やはり国内最高級ブランド余市産のアンキモを扱う同店のほうが美味しい。
脂ノリの良さ、やわらか蕩ける食感、複雑濃厚な旨味の強さ、全ての面で別格なアンキモ。
アンキモと一緒に登場した明石(東の佐島と並ぶ二大ブランド産地)のタコも素晴らしかったです。

贅沢にも活きの車海老を叩いて真薯にしたお椀には春の山菜が満載。
(個人的に同店で食べた車海老で一番美味しかったのは「おせち」の定番だった車海老の旨煮。)
明石の鯛の鯛飯とタケノコご飯が合体(明石産の鯛も合馬産の筍も最高級ブランド産地)。
お造りのウニより2ランク上という最高級ウニを松葉蟹と組み合わせてミニ丼にもしていました。

相変わらず丼の美味しさと組み合わせのセンスの良さが光ります。
もっともこの日は赤酢の酢飯を使った握りも良かったです。
酢飯を包み込むぐらい大振りな愛知産平貝は、同店で食べた平貝で過去最高クラスに美味しい。

前回は時間が足りずに仕方なくトラフグの白子を炭火焼きでなく天ぷら(天丼)にしていましたが、
これが意外と他のお客さんにも好評だったようで再登場となりました。
(雲子はともかくトラフグの白子を天丼で楽しめるお店なんて他にまず無いでしょう。)
熱いので火傷に注意するよう言われましたが、火傷に注意する鮨屋も他にまず無いでしょう。
2,381文字★

01.北海道美瑛アンデスレッド(南米原産のジャガイモ)ポテトフライ
02.青森下北サクラマス アラ水煮
03.千葉勝浦メヌケ煮付け
04.京都春菊とアワビタケ胡麻和え、鳴門金時(サツマイモ)、琵琶湖氷魚(鮎の稚魚)とカニミソ
05.昆布森バフンウニ、明石の鯛2.6kgお造り、鯛皮湯引き、山形ノビル
06.琵琶湖活きホンモロコ炭火焼き
07.余市アンキモ、萩アンキモ燻製、秋田フキノトウ味噌
08.明石の鯛の肝
09.長崎小長井生牡蠣
10.熊本タケノコと青森下北サクラマスとウルイ・コゴミ・ワラビ・木の芽など山菜のお椀
11.明石の鯛の潮汁を出汁にした津居山松葉蟹(ズワイガニ)炊き込みご飯 根室雲子焼き乗せ
12.山口下関トラフグ白子ミニ天丼
13.熊本タケノコご飯
14.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
15.塩釜本鮪大トロ(握り)
16.鹿児島出水アジ(握り)
17.鹿児島出水スミイカ(握り)
18.塩釜本鮪中トロ(握り)
19.青森下北サクラマス(握り)
20.佐島サヨリ(握り)
21.岡山タイラギ(握り)平貝
22.佐島真鯛(握り)
23.塩釜本鮪赤身(握り)
24.愛知子持ちシャコ(握り)
25.アンキモ・ウニ・トラフグ白子・明石の鯛カブト・スミイカゲソ・氷魚・菜花・大黒本しめじのパエージャ
26.愛媛黄金柑、佐賀はまさき(カクテルオレンジ)、鹿児島たまたまエクセレント(金柑)

フライドポテトにアラの水煮といった、高級鮨店とは思えないジャンキーなメニューからスタート。
しかし昆布と酒と塩でシンプルに煮込んだサクラマスのアラは塩梅の良い味付けで旨味も抜群。
サクラマスのアラもメヌケも食べにくいので高級飲食店では敬遠されやすいですが美味しさは間違い無いです。

琵琶湖の氷魚(鮎の稚魚)にはカニミソを合わせていました。
シラスを太くしたようなアッサリした味わいの氷魚と、コッテリ濃厚なカニミソとは相性が良いと思います。
こういう食材の組み合わせにセンスを感じられるのも同店の特長でしょう。

明石の鯛は過去に食べたベストコンディションな明石の鯛に比べると少し水っぽさを感じてしまったのですが、
佐島の鯛と食べ比べてみると、やはり明石の鯛のほうが旨味が強いように思います。
(そういえば明石と佐島はマダコの二大ブランド産地でもあります。)

刺し盛りには茹でた野蒜(のびる)も添えられていて春の訪れを感じられます。
こういう季節感は日本料理店で重視されるところでしょう(なお同店は日本料理店ではなく鮨店です)。
余市と萩のアンキモ食べ比べにはフキノトウ味噌が添えられて「春のアンキモ」といった装いに。

キロ6,500円ということで「活き」になると仕入れ値も跳ね上がるホンモロコ。
活きたまま串打ちされて炭火焼きに。
やはり活きのほうが美味しいと思います(個人的には天ぷらでも味わってみたいところ)。

春を感じると言えば本日のお椀は「春の山菜」テンコ盛り。
タケノコ、ウルイ、コゴミ、ワラビ、木の芽などドッサリと入っています。
山菜の素材力だけでシンプルに勝負すると産地で食べる朝採れの山菜には敵わないのでしょうが、
同店はお椀にすることで地方で食べる山菜には無い魅力を感じられます。
これだけ具を入れるとお椀に雑味が出そうなものですが、一番出汁の吸い地が何とも純な味わいで美味しい。

そしてここからは鬼のような炭水化物祭りのスタート。
「ヤマザキ 春のパンまつり」ならぬ「ウヲトク 春のコメまつり」でしょうか。
雲子を乗せた蟹の炊き込みご飯、天丼(トラフグ白子)、タケノコご飯、鰻丼(天然鰻)、
握り10貫、最後のトドメはパエージャ(何度も申し上げますが同店は鮨屋です)。

カウンターの他のお客さんは握りの前に満腹となってしまって、
鮨屋なのに鮨を食べないで(テイクアウトして)帰るという異常事態。
しかしご飯ものが本当にどれも美味しいです。

鮨屋なのに握りよりご飯ものに感動するのもどうかと思いますが、
高級食材「明石の鯛」の潮汁を出汁に、高級食材「松葉蟹(スワイガニ)」を合わせた炊き込みご飯。
鱈の白子まで乗っていてどれだけゴージャスなのでしょうか。

時間が足りず炭火焼きではなく天ぷらになったというトラフグの白子も衣と油と火入れで白子が昇華。
ご飯が白米ではなく酢飯なので同席者の1人は白米のほうが良いと申しておりましたが、
個人的には天ぷらの脂っ濃さと酢飯の酸味は相性が良いように思いました。

タケノコご飯はタケノコを刻まないでドカーンと酢飯の上にタケノコを乗せています。
このほうがタケノコのシャキッとコリッとした食感を楽しめて好印象。
タケノコご飯というよりタケノコ乗せご飯と表現したほうが正しいでしょうか。

天然鰻は旬の時期に比べると旨味など劣るとしても皮をパリッとさせる焼きの技術は良し。
握りも最高級ブランド「出水のアジ」を大振りカットしたものは美味しかったです。
そして同店で通算3回目となるパエージャは過去最高に具が贅沢。
アンキモ、ウニ、トラフグ白子と入って、豊田屋(平井)の「通風鍋」を超える「通風パエージャ」に。

味付けを失敗して塩が強くなってしまったとのことですが十分に美味しいです。
(明石の鯛のカブトを入れており、少し小骨が障る点だけは気になるでしょうか。)
スペイン料理の専門店でもここまで贅沢なパエージャを再現するのは困難でしょう。
使っている食材の原価の高さが異常でした。

フライドポテトで始まりパエージャで〆て春の山菜が美味しいお店(ついでに果物も抜群に美味しい)。
鮨屋として認識しているお客さんが果たしてどれだけいるのか分かりませんが、
とにかく美味しいお店なのは間違い無いと思います。
1,349文字★

01.境港ブリなど粕汁
02.能登赤ナマコ
03.大分どんこ椎茸と京都壬生菜の胡麻和え
04.佐島トラフグ唐揚げ
05.琵琶湖ホンモロコ炭火焼き
06.余市アンキモ、昆布森牡蠣時雨煮、中国搾菜
07.佐島トラフグてっさとてっぴ
08.熊本トラフグ白子焼き
09.鹿児島タケノコと宍道湖白魚のお椀
10.厚岸牡蠣ソテー 北海道大福豆 菜の花
11.銚子ノドグロと鹿児島タケノコと木の芽の炊き込みご飯
12.境港ブリ(握り)
13.富津スミイカ(握り)
14.青森ヒラメ(握り)
15.舞鶴本鮪大トロ(握り)
16.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
17.函館バフンウニ軍艦
18.淡路島サヨリ(握り)
19.余市アンキモ(握り)
20.舞鶴本鮪中トロ(握り)
21.有明小鰭(握り)
22.岩手アワビ(握り)
23.境港ズワイガニと函館バフンウニの巻き寿司
24.羅臼雲子と黒トリュフペーストのホイル焼きミニ丼
24.酢飯おこげ カラスミ ヒラメ餡かけ
25.千葉アイベリー、佐賀デコポン

本日まずはブリと色々な野菜の入った粕汁からスタート、寒い日なので身体が暖まります。
そして暖まるだけでなくお椀の美味しさもトップクラス。
今月は九州で食べログ4.00~4.30ぐらいの高評価店を何軒も回ってきましたが、
日本料理の花形と言われるお椀で同店を超える感動は無かったです。

トラフグは先月の接待用「スペシャル」トラフグに比べると見劣りしました。
先月のトラフグは大分県の臼杵現地で食べた山田屋(3.75)のトラフグすら凌駕していました。
もちろん大分流の食べ方は大分でしか楽しめませんが、
それを差し引いてもトラフグのクオリティが圧倒的に凄かったです。
トラフグの世界も資本主義なのだと痛感しました。

そして今月九州現地でも食べたタケノコ。
春の代名詞と言える山菜ですが、九州では蕗の薹なども既に楽しめます。
同店では銚子の立派なサイズのノドグロと鹿児島のタケノコと木の芽で炊き込みご飯にしていましたが、
トウモロコシのような甘みとコクを感じるタケノコが何とも素晴らしいです。
適度な歯応えを残した食感も理想的で、今月食べたタケノコで圧倒的にNo.1の美味しさ。

そして冷凍ではなく生で仕入れた浜名湖産天然鰻を炭火で蒲焼きに。
鰻の美味しさは相変わらず全国でも最高クラスだと思います。
日進月歩で向上している焼きの上手さ、タレの深み、今の時期でも生の天然物を入手する仕入れ力。
「うな徳」として全国No.1の鰻店になったと言っても過言では無いでしょう。

握りでは国内最高級ブランド産地の北海道余市産アンキモが気に入りました。
本鮪は美味しさが資本主義なので銀座の超高級鮨店のほうがやはり美味しいです。
(同店でも銀座で仕入れるクラスの本鮪を仕入れた特別なときなどには美味しいです。)
天然鰻の握り、アンキモの握りなど、江戸前として異端なタネにホームランが隠れていることがあります。

予算不足で「さくらももいちご」は買えず苺はアイベリーになったそうですが、
このアイベリーが美味しくて同店は野菜や果物でも感動を与えてくれます。
タケノコ、天然鰻、アンキモ、アイベリーが今回の四天王でしょうか。
1,120文字★

01.釧路ナメタガレイ煮付け
02.聖護院蕪と明石甘鯛の潮汁
03.昆布森牡蠣 余市アンキモ 青森長芋
04.竹岡太刀魚とカラスミのミニ丼
05.刺し盛り(明石の鯛、利尻バフンウニ)
06.氷見ブリ藁焼き
07.岩手松茸と氷見ブリの炊き込みご飯
08.津居山セイコガニと海老芋と慈姑のお椀
09.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
10.明石の鯛昆布〆(握り)
11.大間本鮪中トロ(握り)
12.氷見ブリ藁焼き(握り)
13.熊本トラフグ白子とイタリア産黒トリュフと羅臼生雲子のミニ丼
14.青森ホタテガイ(握り)
15.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
16.岩手蒸し鮑(握り)
17.新潟松葉蟹とイクラとカラスミのミニ丼
18.お雑煮(お餅、カラスミ、甘鯛、比内地鶏)
19.フルーツ盛り(新潟越後姫、愛媛せとか)

本日は子持ちナメタガレイの煮付けからスタートしたのですがこれが絶品。
北海道産ということで鮮度の問題からお造りでは提供出来ないようですが、
星鰈、松皮鰈など、最高級の鰈のお造りにも負けない感動がありました。
同店の煮付け技術の高さもその美味しさに寄与しているのでしょう。

諸事情で仕入れたものの余ってしまった、キロ12,000円、太刀魚の最高級ブランド竹岡産。
炭火で焼き上げた太刀魚から漂ってくるその香りだけで美味しいことを確信できるレベル。
鮨屋なのに火入れがフレンチのように上手いご主人の技術も太刀魚を昇華させているのでしょう。

太刀魚カラスミ丼、鰻丼、ダブル白子丼、イクラ蟹カラスミ丼と鮨屋なのに丼もの4連発。
更に冷凍保存していた松茸を年内に使ってしまおうと氷見のブリと炊き込みご飯に。
この炊き込みご飯のブリと松茸が意外なほど相性良くて驚きました。

先月は「キノコ王国」長野県で名残りの松茸やバカマツタケを楽しむ機会がありましたが、
氷見のブリとの相性の良さもあるのか同店の炊き込みご飯のほうが満足度高かったです。
ご飯やわらかめなことが多かった長野県と異なり、硬めの炊き加減なのも筆者の好みにストライク。

鮨屋ですが本日は諸事情あって、握りは6貫だけで丼もの4発と炊き込みご飯、更にお雑煮の登場。
甘鯛の潮汁がベースとなっているようですが、お椀の美味しい同店だけあってお雑煮もハイレベル。
セイコガニと海老芋と慈姑のお椀は慈姑が「お芋」のような食感となっていて新たな発見でした。

食べログで「行った」のカウントが始まって2年になりますが今回で32回目の訪問。
それ以前も合わせると通算68回目(おせちや折詰を除く)の訪問となりましたが、
未だに飽きずに楽しめるお店というのも希有な存在ではないでしょうか。
1,651文字★

01.海老芋のポテトサラダ
02.対馬穴子白焼き 京都白菜(しろな)
03.青森ヒラメお造り
04.氷見メジお造り
05.羅臼助子 京都サツマイモ 京人参
06.津居山セイコガニと海老芋のお椀
07.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
08.銚子金目鯛皮霜(握り)
09.竹岡サヨリ(握り)
10.大間本鮪大トロ(握り)
11.熊本トラフグ白子とイタリア産黒トリュフと羅臼生雲子のミニ丼
12.天草小鰭(握り)
13.青森ヒラメ(握り)
14.落石バフンウニ軍艦
15.新潟松葉蟹とイクラの「カニイクラ」ミニ丼
16.大間本鮪中トロ(握り)
17.鹿児島春子鯛皮霜(握り)
18.苫小牧青柳(握り)
19.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
20.羽幌ボタン海老の頭
21.羽幌ボタン海老(握り)
22.大間本鮪赤身ヅケ(握り)2貫目
23.氷見メジ藁焼き(握り)
24.対馬穴子骨煎餅
25.穴子の肝とヒラメの肝とメジの肝のモツ煮
26.八戸〆サバ
27.羽幌ボタン海老の卵軍艦
28.対馬煮穴子(握り)
29.フルーツ盛り(新潟ルレクチェ、鹿児島大将輝)だいまさき、デコポンの一種

まず1品目はキロ4,500円まで値上がりしているという高級京野菜の海老芋を贅沢にもポテトサラダに。
制作に2時間もかかってしまったという力作のようですが、海老芋以外の具材として、
加賀蓮根、比内地鶏、ベーコン、牛タン、タマネギ、キュウリを使用しています。

里芋に近い海老芋のポテトサラダということで粘度あってネットリ濃厚。
食感の対比として歯応えのある野菜や肉を混ぜ合わせているのが心憎い演出。
高級和食店ならではの意欲的なポテトサラダでした、前回のポテトサラダより美味しかったです。

対馬の穴子は丸で仕入れたものを目の前で捌いてくれました。
白焼き、煮穴子の握り、骨煎餅、肝煮といった調理法で楽しむ穴子尽くし。
千駄木の乃池(3.59)ほどフワトロ食感ではないですが総合力は同店に軍配。

お造りのヒラメとメジはどちらともレベル高かったです。
白身魚にこだわってピンのものを仕入れる同店でも日によってある程度のブレはあるのですが、
この日のヒラメは水っぽさ無く旨味濃厚で素晴らしかったです。
丸から仕入れてお店で捌いた氷見のメジ(マグロの幼魚)も大間の本鮪よりは淡いですが旨味濃厚。

本日の白眉という声が他3人からも挙がった「トラフグ白子と黒トリュフと生の雲子」のミニ丼。
生の雲子(鱈の白子)を底に忍ばせ、酢飯、オリーブオイル漬けにした黒トリュフのペースト、
炭火で焼き上げたトラフグの焼き白子を重ねていくという豪華絢爛な三段重ね。

黒トリュフのペーストが香り高くて白子の美味しさを更に昇華させています。
銀座しのはら(4.89)でもアルバ産の白トリュフを雲子に合わせていましたが、
そのときは白トリュフこそ素晴らしいものの雲子の旨味が弱くてバランスが取れていませんでした。
この丼は各食材がいずれもハイレベルでバランスが取れており、ばっちりマリアージュして最高の美味に。
「うな徳」と呼ばれるほどの天然鰻もそうですが同店の丼の美味しさは全国トップクラスと思います。

握りでは金目鯛、小鰭、ヒラメ、中トロ、春子鯛、ボタン海老、煮穴子が良かったです。
皮霜にした金目鯛や春子鯛は蕩ける美味しさ、大振りな小鰭は食べ応えあって酢加減もバッチリ。
大間の本鮪の中トロはフワフワやわらかネットリした食感で大トロより遙かに美味しい。
同店で食べた中トロで過去最高レベルかも知れません。

そして同店では初めて出してくれたボタン海老の頭。
鮮度がよほど良いときでないと頭は出せないそうですが、確かに臭みなど無くて純なミソなど楽しめます。
それだけフレッシュなボタン海老なので身を握りにすれば当然美味しい。
超大振りなので食べ応え抜群です。
軍艦巻きに乗せた卵も先日食べたベルーガキャヴィアより美味しいぐらいでボタン海老尽くしを堪能。
1,826文字★

01.東京湾天然トラフグ煮凝り
02.青森イタヤガイと出雲椎茸と京都壬生菜と柚子のお浸し
03.天然トラフグ白子の茶碗蒸し
04.東京湾天然トラフグお造りと皮刺し
05.利尻ヒラメ肝刺し
06.余市アンキモ燻製 シャリ煎餅 聖護院蕪
07.刺し盛り(昆布森バフンウニ、落石バフンウニ、利尻ヒラメ)
08.東京湾天然トラフグ唐揚げ
09.津居山セイコ蟹と京都海老芋と慈姑とチョロギのお椀
10.イカスミパエージャ
11.新潟松葉蟹カニミソ丼
12.山口赤貝ヒモ(握り)
13.山口赤貝(握り)
14.八郎潟天然鰻蒲焼き丼
15.愛知平貝(握り)
16.対馬カツオ藁焼き(握り)
17.利尻ヒラメ(握り)
18.氷見寒ブリ(握り)
19.富津スミイカ(握り)
20.三厩本鮪中トロ(握り)
21.淡路〆サバ(握り)
22.竹岡サヨリ(握り)
23.出水アジ(握り)
24.三厩本鮪大トロ炙り(握り)
25.有明小鰭(握り)
26.三厩本鮪赤身ヅケ(握り)
27.来てくれてありがとう太巻き
28.フルーツ盛り(新潟ルレクチェ、熊本太秋柿)

本日は接待ご利用のお客様がいらっしゃるということで特別にピンの天然トラフグ(魚体3.5kg)を仕入れ。
たまたま運良く同席となった筆者もその恩恵を受けておりました。
しかし最後に食べた超贅沢な太巻きのネーミングが「来てくれてありがとう巻き」。
お店に何があったかはお察しください。

そのような事情もあって本日の5.0満点クラス1品目は東京湾の天然トラフグのお造り。
同店のフグは厚切りで供されることが多いのですが、身厚なトラフグから凄まじい旨味を感じました。
煮凝り、白子の茶碗蒸し、皮、唐揚げと最高級のトラフグを堪能するフグ尽くし。

本日の5.0満点クラス2品目は余市のアンキモの燻製。
国内最高級ブランドの余市産アンキモは国産アンキモの中でも蕩けるやわらかさで別格なのですが、
この日の余市産は「良い日のほうの余市産」だと思います。
蕩けるやわらかさのアンキモに、カリカリ食感の「シャリ煎餅」を合わせることで食感の対比に妙味あり。
何度訪れても飽きないよう随所に創意工夫が見られます。

本日の5.0満点クラス3品目は八郎潟天然鰻の蒲焼き。
タレの味は変えていないそうですが、蒲焼きを始めた頃(以前は白焼きオンリー)より美味しくなっています。
当初は白焼きより蒲焼きの味が落ちたので、わざわざ蒲焼きを出さないでもとこっそり思っていたのですが、
今ではどの鰻専門店で食べる蒲焼きより美味しくなっています。

かぶと、つぐみ庵、魚政、友栄、田代、尾花と食べログの鰻ジャンル全国TOP10のうち6軒には行きましたが、
個人的には同店の鰻が突き抜けて一番美味しいと思っております。
炭火の火入れ技術が日進月歩で向上していって蒲焼きもここまで進化したのでしょうか。

技術が日進月歩で向上していると言えば同店の酢飯も数年前より格段に進歩しています。
かつての酢飯は下町の大衆鮨店の野暮ったい酢飯という印象を拭えないレベルだったのですが、
お客さんたちのそういう身勝手な酷評にも真摯に向き合って酢飯を向上させてきています。
現在では酢飯の美味しさが洗練されてきていますし、ほどけ具合もなかなか良くなってきました。

都心の20,000円を超える高級鮨店ほどタネとのマリアージュを感じる域にはまだ達していないのですが、
握りだけでも4.0ぐらいの評価というレベルまで上げてきているのは恐れ入ります。
同店はお椀、鰻、一品料理などに5.0満点の全国トップクラスの逸品が登場する異端の鮨屋。
これで本業(のはず)の酢飯までレベルアップすれば鬼に金棒でしょう。

異端の鮨屋なのでこの日はパエージャ鍋でスペイン料理のイカスミパエージャを作っていました。
クエとアサリの出汁にイカスミを加えてお米(日本米)を炊き、
具材は丹波しめじ、エリンギ、パプリカ、レモン、シロイカ、そして何と松葉蟹まで。

諸事情もあって大砲のような太さで巻いてくれた「来てくれてありがとう巻き」には、
サヨリ、アジ、サバ、小鰭、寒ブリ、本鮪赤身、本鮪中トロ、松葉蟹がドッサリ入っています。
同じものを銀座で注文したら1本が万単位となりそうな弩級戦艦クラスの巻物。
こういう遊び心のある料理まで美味しく楽しめる、都内でも唯一無二の存在ではないでしょうか。
1,387文字★

01.余市アンキモ燻製、明石タコ番茶煮
02.昆布森牡蠣
03.兵庫津居山セコ蟹
04.打倒!豊田屋 通風丼(イタリア産黒トリュフ、生雲子、カラスミ、イクラ)
05.羽幌ボタン海老
06.利尻ヒラメお造り、京人参燻製、トルコ産松茸・じゃこ・穴子・牛蒡・万願寺唐辛子の山椒炊き
07.秋田にかほズワイガニ・トラフグ白子焼き・聖護院大根・京人参のお椀
08.ズワイガニ蟹味噌和え昆布森バフンウニ丼
09.那智勝浦本鮪中トロ(握り)
10.利尻ヒラメ(握り)
11.八郎潟天然鰻蒲焼き丼
12.山口赤貝(握り)
13.能登初物ブリ(握り)
14.淡路〆サバ(握り)
15.那智勝浦本鮪大トロ(握り)
16.福岡白イカ(握り)
17.那智勝浦本鮪大トロ炙り手巻き
18.子持ちシャコ太巻き
19.トルコ産松茸ご飯
20.フルーツ盛り(香川さぬきゴールド、熊本太秋柿、信州シャインマスカット)

11月に入ってズワイガニ漁も解禁となったようで、本日は雄も雌も用意されていました。
国内最高級アンキモ余市産、佐島と双璧をなす国内最高級タコ明石産、国内最高級牡蠣昆布森産。
まずはトップブランド食材の共演に日本酒が進んでいきます。

ズワイガニは兵庫津居山の雌(セコ蟹)から楽しんでいきます。
身は雄のほうがと言いますが十分美味しいですし、シャクシャク食感の外子、
そしてコッテリ濃厚な内子の美味しさに舌鼓。

本日の白眉と思った「通風丼」は豊田屋(平井)の「通風鍋」のように、
生の雲子(鱈の白子)、カラスミ、イクラといったプリン体の含有量が多い食材をトリプル使用。
そこにイタリア産の黒トリュフがプラスされるのですが、
通風食材とトリュフの蠱惑的な香りが意外なほど相性良くて美味しさを昇華させます。
黒トリュフ、雲子、カラスミ、イクラ、酢飯のマリアージュに唸っておりました。

羽幌のボタン海老は過去最高記録を更新する巨大サイズ。
こんなに大きなボタン海老があるのかと驚愕しました。
大味とはならず美味しさが大きさに比例しており、これもまた素晴らしかったです。

お造りと握りで楽しんだ利尻のヒラメも旨味強烈で良いです。
ヒラメには「いぶりがっこ」のような風味の燻製京人参も添えられていたのですが、
同席者はヒラメ以上と評価するほどこちらも美味。
漬物の絶妙な塩梅や薫香の素晴らしさに同店の高い調理センスを感じます。

冬の味覚の王様であろう雄のズワイガニは、こちらも冬の味覚の王様トラフグ白子とお椀に。
吸い地は本枯節、鮪節、利尻昆布。
カニや白子以外に大根、人参、三つ葉も入って具沢山なのですが雑味を感じないバランスの良さ。
同店のお椀の美味しさは全国でもトップクラスと思います。

丼で蟹味噌と和えたズワイガニの身を味わいましたが、こちらも超感動級の美味しさ。
専門店より美味しい鰻も相変わらず。
本日の3種類の丼は他店ではまず味わえない国内トップクラスの丼ではないでしょうか。

握りのタネでは初物という能登のブリが突き抜けていました。
脂ノリノリながら軽やかで、本鮪の大トロ以上とも思う美味しさ。
キロ6,000円と国産より遙かにリーズナブルなトルコ産松茸を「松茸ご飯」で堪能。
現地で食べる朝採れ国産松茸と比べてはいけないのでしょうがコストパフォーマンスは良かったです。
2,221文字★

01.栃木独活きんぴら
02.ポテトサラダ
03.仙鳳趾牡蠣時雨煮、琵琶湖ホンモロコ有馬煮、琵琶湖ゴリ有馬煮
04.山口萩アンキモ、余市アンキモ、北海道助子
05.横須賀ボラカラスミ、京都海老芋
06.対馬カツオ炭火焼き
07.金目鯛カブト煮付け
08.お造り(青森ヒラメ、根室バフンウニ、栃木独活酢味噌和え)
09.山口萩甘鯛と信州松茸の土瓶蒸し
10.八郎潟天然鰻蒲焼きミニ丼
11.大間本鮪トロ(握り)
12.余市ブリ藁焼き(握り)
13.淡路〆サバ(握り)
14.カワハギの肝入りヒラメ(握り)
15.搾菜、生姜
16.対馬カツオ藁焼き(握り)
17.伊豆大島黒ムツ7日熟成(握り)
18.大間本鮪中トロ(握り)
19.淡路鰺(握り)
20.有明小鰭(握り)
21.大間本鮪赤身(握り)
22.釧路浜中バフンウニ(握り)
23.北海道ボタン海老(握り)
24.太巻き(トロ、カツオ、アンキモ、イクラ、ハマグリなど)
25.やぶれかぶれ丼(スミイカ、トロ、ハマグリ、イクラ、カツオ藁焼き、カツオ中落ち)
26.フルーツ盛り(信州翠峰、和歌山黒あま、鳥取輝太郎)
27.バースデーケーキ(LE PATISSIER T.IIMURAのシャンティ ショコラ)
28.ブレンドコーヒー

独活のきんぴらで独活の爽やかな香りを楽しんだ後は、うを徳史上2回目というポテトサラダ。
北海道のジャガイモをベースに、茨城の飯沼栗、鳥取の輝太郎(柿)、紅玉(林檎)、無花果、
とんぶり、胡瓜、玉葱、イタリアのサラミを混ぜ合わせていて何とも具沢山。

味付けにはバター、牛乳、酢、塩胡椒、マヨネーズ、出汁醤油などを使用。
スイートポテトやポタージュを思い出すポテトサラダといった味わいでしょうか。
とんぶりを入れることで粘りが出るようで、ネットリトロトロした食感。
店主の評価は「微妙」とのことで、確かに前回のポテトサラダのほうが全体のバランス良かったですが、
ここが鮨屋ということを忘れてしまうほどハイレベルなポテトサラダに舌鼓。

ここからは日本酒を蒸発させる酒肴が続きます。
琵琶湖のゴリやホンモロコの有馬煮は、佃煮より淡い味付けで淡水魚を丸ごと楽しめて好印象。
1時間半かけてやわらかく仕上げたホンモロコなので頭や骨の硬さがあまり気になりません。
そして国内で最もクリーミーな牡蠣であろう仙鳳趾産も味付けの良さで素材が昇華。
生で食べるときに比べるとクリーミー感は落ちますが、時雨煮にしたことで味が締まっています。

国産アンキモの贅沢な食べ比べ。
キロ6,000円の山口萩産アンキモもテリーヌのようで美味しいのですが、
その3倍を超えるお値段のキロ19,000円北海道余市産アンキモ。
箸で掴むだけで違いが分かってしまう、プルルンとした官能的やわらかさに驚愕。

この脂ノリの良さが余市産のアンキモを国内最高級ブランドに押し上げているのでしょう。
テリーヌのように固まっている萩産と食べ比べると、ムースのように蕩ける余市産の凄みがよく分かります。
余市産のアンキモが何故国内最高級品なのか身を以て体感。

横須賀産ボラのカラスミは仕込んだばかりで未完成品。
生に近いだけにネットリした食感を楽しめる点は良いのですが、「完成品」の旨味の強さにはまだ及びません。
それより超絶に美味しかったのが海老芋を揚げた付け合わせ。
同店ではアワビより茄子、カラスミより海老芋が美味しかったりするのだから面白いです。
野菜がここまで美味しい鮨屋を他に知りません。

今年最後という信州の松茸は、豊洲市場にも3本しかなかったという超希少品。
外国産の松茸とは漂う香りの気品が全然違います(これは産地というより輸送の時間の問題かも知れません)。
甘鯛と一緒に「松茸の土瓶蒸し」にして秋の味覚を名残惜しんでおりました。

八郎潟の天然鰻は今年食べた鰻で最も身厚かも知れません。
炭火で身をフワフワに焼き上げてあって、相変わらず鰻専門店の蒲焼きより美味しい。
野菜と鰻の美味しさで同店に敵う鮨屋はまだ見つかっていません。

本日は銀座にも負けないマグロ(大間の本鮪)を仕入れたと豪語する店主。
その言葉通り本日のトロは身のネットリ感がいつにも増して凄まじく別格の美味しさ。
マグロとウニほど美味しさが資本主義な食材も他に無いかも知れません。

そのウニ(バフンウニ)も、握りで登場した釧路浜中産は、お造りで登場した根室産の倍のお値段とのこと。
甘み、濃厚さ、蕩け具合を比べると、やはり浜中産のほうが別次元なレベルで格上。
根室産ですら普通のレストランで扱うウニと比べれば桁違いに美味しいのですが、
ウニの世界は本当に美味しさとお値段が比例していくので恐ろしいです。

バースデープレゼントということで登場した超巨大なボタン海老も蕩ける美味しさ。
もう同店のスペシャリテとなってしまっている太巻きは更に太さを増して超豪華食材の共演に。
前述の「銀座」級トロ、皮がやわらかで卵黄濃厚なイクラ(サロマ湖産)、超大粒のハマグリなど絶品。

店主がやぶれかぶれになって出してきた海鮮丼も驚愕の美味しさ。
太巻きと海鮮丼に関しては(色々な意味で)同店に敵う鮨屋はまだ見つかっていません。
バースデーケーキ、ブレンドコーヒーなど最後は喫茶店のように〆て本日も大満足。

1,635文字★

01.熊本川辺川子持ち鮎有馬煮
02.群馬コンニャク刺し
03.余市アンキモ、昆布森牡蠣時雨煮
04.長野香茸と子持ち鮎バターソテー
05.お造り(淡路マツカワガレイ2.8kgエンガワ付き、根室バフンウニ)
06.マツカワガレイ肝刺し
07.気仙沼カツオ藁焼き、茨城ザーサイ昆布出汁漬け
08.カツオ中落ち
09.長野松茸 岩手天然しめじ 北海道雲子 茶碗蒸し
10.長野松茸 鵡川ししゃも 菊の花 お椀
11.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
12.戸井本鮪中トロ(握り)
13.土佐清水シマアジ(握り)
14.気仙沼カツオ藁焼き(握り)
15.淡路マツカワガレイ 和歌山カワハギ肝(握り)
16.羅臼ブリ藁焼き(握り)
17.愛知シャコ(握り)
18.戸井本鮪赤身(握り)
19.天草小鰭(握り)
20.戸井本鮪炙り大トロ(握り)
21.富津スミイカ(握り)
22.サロマ湖イクラ手巻き
23.マツカワガレイ潮汁
24.Yさんへ豊洲からの贈りもの巻き(ボタン海老、イクラ、炙りトロ、どんこ、シャコ)
25.フルーツ盛り(静岡クラウンメロン、岡山瀬戸ジャイアンツ、唐津ビオレソリエス)

築地市場から豊洲市場へ移転となって初めてのうを徳。
扱う食材のクオリティに変化は無いですが、場内を5km以上も歩くハメになった店主は疲弊しておりました。
これからは車に積める折りたたみ式自転車での移動も検討しているそう。

さて料理は卵を蓄えて丸々と肥えた、子持ち鮎の有馬煮からスタート。
入手困難という弾力感の強い群馬産コンニャクは酢味噌と合わせてお刺身で。
前回より濃厚さ劣るも国内最高級余市産アンキモ、ネットリした昆布森産牡蠣の時雨煮で日本酒が蒸発します。

本日は希少な香茸(前年は市場に入荷が無かったそう)、松茸、天然しめじ、どんこ旨煮でキノコ尽くし。
香茸は(1品目にも出てきた有馬煮の)子持ち鮎とバターソテーにしておりましたが、
肉厚で香りと食感の良い香茸はもちろん、火が入って旨味の活性化した鮎も素晴らしい美味しさへと昇華。
鮎の卵や身が香茸とマリアージュしてやわらかく蕩けます。

お造りは鰈の王様とも呼ばれるマツカワガレイ、これにバフンウニや天然山葵を巻いて食べても至福。
肝刺しは少し苦味があって仔牛のレバ刺しのようにアッサリ傾向。
魚の肝はやはりアンコウやカワハギのほうが良いのかも知れませんが貴重な体験。

茶碗蒸しは松茸、天然しめじ、雲子と具沢山で何とも豪華。
松茸は鵡川の本ししゃもと菊の花のお椀にも入っていましたが、このお椀が前半戦の白眉と思いました。
吸い地は鰹節、鮪節、昆布の一番出汁とのことですが絶妙。

キロ2,800円という本ししゃもは塩を振って炭火で香ばしく焼き上げてあります。
この本ししゃもがお椀のツユを吸って尋常ではない美味しさに昇華。
吸い口というより椀種かと思うほどドッサリ入った松茸の存在感も凄まじいです。
そして「うな徳」と呼ばれるだけあって天然鰻の蒲焼き丼も専門店を凌駕する美味しさ。

鮨屋なので握りも楽しめます。
包丁を入れた感触では今年一番という、戸井の本鮪の中トロ。
炭火で炙って火を入れることで黒毛和牛の特上カルビのように脂が蕩ける大トロ。
これらトロ系が本日のツートップでしょうか。

同席者にはカワハギの肝を挟んだマツカワの握りが高評価。
ブリ特有のクセを少し感じましたが藁焼きにしたブリもキラリと光ります。
手巻きにしたサロマ湖のイクラは皮のやわらかさが官能的。

マツカワガレイの潮汁で同店のお椀の素晴らしさを再確認した後は、
同店のスペシャリテとなりつつあるのか超贅沢な極太巻きがドカーンと登場。
超大振りなボタンエビの蕩ける食感が、トロ、イクラ、どんこ、シャコなど色々な食材とマリアージュ。
これはもう5.0満点といった圧倒的な美味しさ。
海鮮丼と巻物の美味しさは都心の高級鮨店を凌駕することもあるのです。
1,412文字★

01.宿毛シマアジ3.2キロ アラ煮 自家製ポン酢
02.京都小芋、青森アピオス(アメリカほど芋)、丹波黒枝豆
03.仙鳳趾牡蠣
04.熊本球磨川子持ち鮎有馬煮、釧路秋刀魚有馬煮
05.厚岸牡蠣と万願寺とうがらし有馬煮
06.余市アンキモ、茨城栗渋皮煮
07.鹿児島天降川天然スッポン唐揚げ
08.お造り(明石の鯛、利尻ムラサキウニ)
09.宮城黒鮑ステーキ 北海道松茸と京都大黒本しめじのソテー乗せ
10.淡路鱧と北海道松茸のお椀
11.宍道湖天然鰻1.2キロ蒲焼きミニ丼
12.戸井本鮪大トロ(握り)
13.宿毛シマアジ(握り)
14.大分姫島車海老(握り)
15.千葉富津マコガレイ(握り)
16.式根島赤イカ(握り)
17.岩手陸前高田エゾイシカゲ貝(握り)
18.明石の鯛(握り)
19.淡路〆鯖(握り)
20.戸井本鮪赤身ヅケ(握り)
21.ウニイクラ手巻き
22.釧路秋刀魚塩焼き
23.仙台松島シャコ唐揚げ
24.Yさんに食べさせたかった巻き(本鮪トロ、アンキモ、ウニ、イクラ、アワビの肝など)
25.フルーツ盛り(長野洋梨「オーロラ」、栃木白無花果、長野葡萄「甲斐路」、岡山シャインマスカット)

まずは3.2キロものシマアジのアラ煮がドカーンと登場。
丹波の黒枝豆は理想より茹で過ぎでしょうか、仙鳳趾の牡蠣は冬よりアッサリしていますがクリーミー。
有馬煮にした秋刀魚や厚岸の牡蠣がキラリと光る美味しさ。

本日の白眉とも思ったのがアンキモと栗。
「海のケーキ」と表現したくなるほど濃厚でコッテリとしており、フワフワ蕩ける食感も堪りません。
栗の渋皮煮は時間が足りず店主は納得していないようでしたがホクホク感と栗の旨味が素晴らしいです。
同店の秋のスペシャリテと言えるのではないでしょうか。

スープにするなら養殖(特に最高級の服部中村)、身の美味しさなら天然と言われるスッポンですが、
今回はブツ切りにした天然スッポンを唐揚げにしてくれました。
骨周りの身から鮮烈な旨味の強さを感じられて、生ビールのアテに最高と思います。

高級品であろう国産(北海道産)の松茸を高級食材のアワビと合わせる高級食材の共演。
クロアワビのステーキは個人的にはもっと火を入れたいところですが、
大黒本しめじとソテーにした松茸の美味しさには目を見張ります。

そして明日からお店を閉めて京都に行くからと、ドサドサ松茸をぶち込んできた「ハモタケ」椀。
吸い地は鮪節と利尻昆布、都心の超高級和食店でもなかなか味わえない絶妙なお椀の美味しさ。
お椀に浸した松茸のシコシコとした食感や爽やかな香りも堪りません。
外国産の松茸とは一線を画する国産ならではの爽やかさでしょうか。

国内最高級ブランド宍道湖産の天然鰻、鮨屋なので握りも楽しんだ後は「二次会」へ。
丸々と肥え太った釧路産の秋刀魚は炭火で塩焼きに、生の活きシャコは唐揚げに。
そして最後は同店の新たな名物となりつつある超贅沢な太巻き。

本鮪トロ、アンキモ、ウニ、イクラ、アワビの肝など高級食材をテンコ盛りにして酢飯と海苔で巻きます。
コッテリと脂が乗って濃厚で蕩ける食材ばかりですが、それだけに食材同士の相性良し。
アワビの肝を入れることで生臭くならないか心配だったのですが杞憂。
銀座であれば一本で何万円になるのか恐ろしくなりますが、スペシャリテ級の美味しさでした。

2,704文字★

高級鮨店(高級レストランであれば鮨に限らないですが)では味覚だけでなく「五感」を重視。
美味しくなることが分かっていても臭いが強いからとニンニクを使いません。
ネギやショウガなどで何とか代用して、嗅覚を邪魔しないよう配慮することが多いです。

その中で高級鮨店の価格帯でありながら、ニンニクはおろか、ドリアン、パクチーまで扱う同店。
本日は上野アメ横で購入したというパクチーがドッサリ用意されていました。
(築地市場ではパクチーの取り扱いが無かったようです。)
繊細な日本料理を繰り出しながら、美食のためには臭いの強烈な食材の使用も厭わない、まさに異端のお鮨屋さん。
色々な部分で賛否両論あるのですが波長の合う人には唯一無二の至高のレストランとなるでしょう。

01.京都山城「無花果」黒胡麻和え
02.釧路「新秋刀魚」有馬煮
03.宮城ホヤ 能登岩モズク
04.愛知芝海老とパクチーの掻き揚げ
05.お造り(明石の鯛、利尻バフンウニ、明石の鯛の鱗と鰓の唐揚げ)
06.勝浦黒アワビ 愛媛絹かわなす 青森長芋
07.広島松茸と長良川郡上天然鮎の炊き込みご飯
08.根室キンキ煮付け
09.東京湾穴子と広島松茸のお椀
10.宍道湖天然鰻900g蒲焼き丼
11.式根島タカベ(握り)
12.大間本鮪大トロ(握り)
13.青森天然帆立貝(握り)
14.明石の鯛(握り)
15.大間本鮪中トロ(握り)
16.青森ムラサキウニ(握り)
17.松輪〆真鯖(握り)
18.岩手陸前高田蝦夷石蔭貝(握り)
19.天草小鰭新子2枚づけ(握り)
20.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
21.穴パク巻き(東京湾穴子とパクチーの手巻き)
22.パクチーチャーハン(愛知芝海老と霞ヶ浦天然鰻とパクチーの掻き揚げ酢飯チャーハン)
23.フルーツ盛り(韓国ゴールドメロン「チャメ」、福岡無花果「とよみつひめ」、長野パープル、岡山瀬戸ジャイアン)

まずはトロトロになるまで煮詰めた無花果を黒胡麻和えで。
最初の1品にしては甘みが強めですが味付けのセンスは抜群です。
同じ無花果でもブランドの「とよみつひめ」はそのまま最後の水菓子で出して、
おそらくノーブランドで甘みが弱かったのであろうこの無花果は黒胡麻和えにして甘みを補完。
こういう使い分けの上手さも素晴らしいです。

釧路の新秋刀魚は丸々と肥えていて脂ノリノリ。
ホロホロ骨までやわらかくなっていますが、蕩ける脂肪分や内臓のホロ苦さが堪りません。
秋の魚の美味しさに秋の到来を感じます。

ドッサリ4束も用意されていたパクチー(原価おそらく800円)。
芝海老と掻き揚げになって登場しました、味付けはゲランドの塩、ヒマラヤのブラックソルト、スイートチリソース。
スイートチリソースは流石に市販品ですが鮨屋でパクチーとスイートチリソースは国内唯一かも知れません。

鮨屋でありながら油で揚げる技術も何故かハイレベルな同店。
カラリと揚がった掻き揚げが美味しいです、特にヒマラヤのブラックソルトとの相性が抜群。
揚げることでパクチーの香りも控え目になっています。

本日はお盆明けということで築地への入荷が少なく仕入れ値も超インフレだったようですが、
それでも明石の鯛、バフンウニ、ムラサキウニ、松茸など高級食材を揃えているのが同店の矜持。
そして食材を活かす調理技術の高さも同店の魅力。
相変わらずナスが蕩けて美味しいです、それこそ主役であろう高級食材アワビを凌駕するレベル。

先日は三つ星フレンチのカンテサンスでナスとムラサキウニを味わう機会に恵まれましたが、
個人的には同店の蕩けるナスのほうが桁違いに美味しいと思いました。
「五感」という点で同店がミシュランに載ることは無いのでしょうが、
味覚だけに限れば食べログ4.80の三つ星フレンチすら児戯に思える美味しさ。

走りの松茸と名残の鮎は炊き込みご飯に。
ご主人1人で調理しているので鮎の骨の除去処理などスタッフの多い高級日本料理店に劣る部分もあるのですが、
食べにくさを超越した「美味しさ」では絶品との評価になります。

都心の日本料理店であればこの炊き込みご飯が〆で最後に水菓子が出て2万円近くとなっても不思議無いですが、
こちらは鮨店なのでコースはまだまだ中盤戦、肝も添えられたキンキの煮付け、お椀と汁物2連発。
国産の松茸は超高級品なので普通はお椀の吸い口として香り付けに使うぐらいと思いますが、
同店では椀種かと思うぐらいドッサリと国産松茸が入っていて驚愕します。
椀種の穴子は骨切りして炭火で炙ってあってこちらも美味(吸い地は鮪節と利尻昆布、汁が相変わらず超絶な美味)。

炊き込みご飯を食べた後なのに、国内最高級キロ3.2万円の宍道湖産天然鰻(魚体900g)蒲焼き丼、そして握りへ。
先日は東銀座の鮨 弁慶 海でタカベの握りを初めて食べましたが同店でも登場。
サーモンのようにコッテリ感あって蕩ける身なので、濃厚嗜好な人間には満足度の高いタネだと思います。

握りの後は蕩ける煮穴子とパクチーを手巻きにした「穴パク巻き」。
パクチー好きの筆者としては定番の「穴きゅう巻き」より気に入りました。
僅かに泥臭さを感じる穴子と香りの強いパクチーは相性良いのではないでしょうか。

そして同店はエスニック料理店でも中華料理店でもないのにパクチーチャーハンまで登場。
炊き込みご飯、鰻丼、握りと食べた後なのにパクチーチャーハンまで登場。
しかしこのパクチーチャーハン美味しいです、鮨屋ならでは、酢飯をチャーハンにしています。

序盤の芝海老とパクチーの掻き揚げに霞ヶ浦の天然鰻を加えて芝海老と鰻とパクチーの掻き揚げに。
その掻き揚げをベースに酢飯を加えて炒めてチャーハンに。
パラパラまではいかないのですがベッショリとはせず炒め加減良好。
そして掻き揚げになった鰻の濃厚オイリーな旨味が意外とチャーハンにマッチ。
チャーハンに天然鰻を入れる飲食店も他に無いでしょうが、「足し算」のようなこの料理も気に入りました。

引き算の料理と言われる和食だけでなく、中華やフレンチのような足し算の料理でも楽しめるのが同店の凄み。
某フレンチでは足し算一辺倒のように感じてしまって満足度イマイチだったりしたのですが、
繊細な京料理から強烈な臭いのパクチー料理まで幅広く楽しめる同店は毎月通っても飽きること無く満足度高いです。
水菓子は素材力の高い果物を4種類、シンプルにそのまま味わってフィニッシュ。
1,426文字★

01.塩水毛豆(群馬枝豆、白髪ネギ、生姜、実山椒)
02.京都鹿ケ谷かぼちゃ、与論島石川小芋、琵琶湖稚鮎有馬煮、余市アンキモ
03.勝浦黒アワビ、高野豆腐、万願寺シシトウ、独活、ジャコ、生姜
04.四万十川鮎のお椀
05.お造り(明石の鯛、礼文島バフンウニ)
06.宍道湖天然鰻白焼き丼
07.土佐赤モツ煮付け
08.佐渡本鮪大トロ(握り)
09.根室〆鰯(握り)
10.東京湾富津マコガレイ(握り)
11.愛知子持ちシャコ(握り)
12.佐渡本鮪中トロ(握り)
13.淡路〆胡麻鯖(握り)
14.式根島赤イカ(握り)
15.行徳コハダ(握り)
16.佐渡本鮪赤身ヅケ(握り)
17.明石の鯛の潮汁
18.勝浦黒アワビ(握り)
19.贅沢太巻き(渡り蟹、アンキモ、炙りトロ、ムラサキウニ、どんこ椎茸、干瓢、八町きゅうり)
20.フルーツ盛り(沖縄ゴールドバレル、岡山シャインマスカット、宮崎マンゴー)

酷暑の夏ということで塩水毛豆から爽やかにスタート。
京野菜の鹿ケ谷かぼちゃ、沖縄の小芋など野菜もさりげなく美味しいです。
冬に比べると値段は安くなるようですが、冬のアンキモにも負けない濃厚クリーミーな余市産アンキモ。
たまり醤油で濃厚に味付けてあって酒肴に最高でした。

四万十川の天然鮎は炭火で塩焼きにした後、鮪節と利尻昆布でお椀仕立てに。
鮎って繊細な魚なので、シンプルに塩焼きで味わう場合、岐阜県(郡上)や滋賀県(琵琶湖)など、
産地で食べる獲れ立ての塩焼きに比べると東京で食べる塩焼きはどうしても見劣りします。

都内の高級和食店では可能な限り鮮度を維持しようと市場を通さず相対で仕入れているぐらいです。
しかし同店では築地から仕入れた鮎でもお椀仕立てにすることで旨味を補完。
産地では味わえない調理技術の高さで「東京の鮎」を昇華させていました。
お椀の美味しさに秀でた同店ならではの鮎と思います。

鮨屋なのに都内の超高級和食店よりお椀の美味しい同店ですが鰻も個人的には日本一と思っています。
国内最高級ブランド宍道湖産の天然鰻を白焼きに。
この丼(ご飯は酢飯)1杯で原価5,000円を超えそうな圧倒的な破壊力。
パリッと焼き上げた皮、脂が乗ってフワフワ蕩ける身のマリアージュが堪りません。
飲食店の原価率を考えると鰻の専門店ではこの1杯で15,000円となるのではないでしょうか。

土佐では赤ムツ(ノドグロ)を赤モツと呼ぶそうで、「赤モツ」のタグが付いたノドグロを煮付けに。
先日は銚子で関東ならではの真っ黒な煮付けを食べて来ましたが、
修業先が京都の割烹である同店の煮付けは関東の一般的な煮付けより味付けが上品。
もちろん関東の真っ黒な煮汁も好きなのですが、この煮汁はそのまま飲める美味しさで秀逸です。

特別にリクエストした「贅沢太巻き」はアンキモ、ムラサキウニなどプリン体たっぷり。
しかし濃厚で蕩ける食材が酢飯や海苔とマリアージュして圧巻の美味しさ。
原価の高さから他店ではまず見ることの無い、この贅沢な太巻きも同店のスペシャリテかも知れません。
お椀、鰻だけでなく、鮨屋としての魅力もあるのです。

デザートには1個7,000円ぐらいという、おそらく国内最高級であろうパイナップルなど、
相変わらず豪華なフルーツ盛りが登場してきて本日も大満足。
特に鮎のお椀の美味しさは同店で過去に食べてきた鮎の中でも最高クラスでした。
1,247文字★

01.賀茂茄子 千石豆 ジャコ 勝浦メガイアワビ 山椒炊き
02.気仙沼渡り蟹 魔王蟹(魔王で漬けた酔っ払い蟹)
03.愛知メヒカリ南蛮漬け 京都万願寺唐辛子 淡路島新タマネギ
04.余市アンキモ 福岡シロイカ
05.函館ムラサキウニ(お造り)
06.式根島タカベ一夜干し
07.淡路星鰈2.4kg(お造り)
08.七尾鳥貝の肝
09.那智勝浦カツオ藁焼き
10.アラの潮汁 広島太田川鮎 秋田ジュン菜 岩手浜防風
11.淡路胡麻鯖 棒寿司
12.岡山児島湾天然鰻 蒲焼き丼
13.能登アラ(握り)
14.鹿児島〆鯵(握り)
15.境港本鮪大トロ(握り)
16.七尾鳥貝(握り)
17.那智勝浦カツオ藁焼き(握り)
18.境港本鮪中トロ(握り)
19.対馬イサキ(握り)
20.行徳コハダ(握り)
21.境港本鮪赤身(握り)
22.愛知子持ちシャコ(握り)
23.日高バフンウニ手巻き
24.もったいない巻き(超巨大な海鮮太巻き)
25.フルーツ盛り(夕張メロン、宮崎マンゴー、台湾ライチ)

白身魚にこだわる「うを徳」のツートップは星鰈とアラ(クエとは似て非なる超高級魚のアラ)。
更にムラサキウニとバフンウニの食べ比べ、客側で持ち込んだ焼酎「魔王」で漬けた酔蟹、
高級食材をお腹いっぱいになるまで堪能しておりました。

まずは賀茂茄子やメガイアワビを山椒炊きにした逸品から登場。
貝類の王様アワビはもちろん美味しいのですが、トロリ蕩けてクリーミーな賀茂茄子が超絶。
アワビよりナスのほうが美味しいことが多い不思議なお鮨屋さんです。

魔王蟹(魔王で漬けた酔っ払い蟹)は魔王、紹興酒、醤油、塩、ネギ、生姜、実山椒で漬けて5日目。
韓国料理のカンジャンケジャンを思い出すような装いで、
トゥルントゥルンした身や、濃厚な味噌や内子をジュルジュルと貪っていました。

冬に比べると脂が少し落ちますがキロ10,000円と冬の半額ぐらいのアンキモ。
銀座ではこのボリュームで4,000円前後は取られそうなムラサキウニ。
最高級の鰈として築地市場では恐ろしい高値となる星鰈。
こういう高級食材は値段相応にきっちり美味しいです。

一方で夏らしく冷製で楽しむメヒカリの南蛮漬け、一夜干しにして旨味を凝縮させたタカベなど、
高級食材ほど値の張らない食材も調理技術のおかげで感動的に美味しい。
必ずしも高級食材頼りではないのが同店の魅力の1つでしょう。

胡麻鯖は超身厚な棒寿司となっていましたが、握りで食べるより鯖をダイレクトに感じられて好印象。
ムラサキウニの6分の1のお値段だったというバフンウニを手巻きで味わいましたが、
このバフンウニでも十分に濃厚で美味しいです。

前回より赤酢の比率を増やしたようですが、タネを厚切りにしている握りも安定の美味しさ。
握りが日進月歩で美味しくなっているようにも思います。
カツオ、炙りトロ、中トロ、赤身、鳥貝の肝を巻き込んだ「もったいない巻き」でフィニッシュ。
1,309文字★

01.福岡赤そら豆
02.京都賀茂茄子と大原メガイアワビのお椀
03.桑名ハマグリ天ぷら
04.余市アンキモ 鳴門ワカメ 沖縄クビレズタ(海ぶどう)
05.淡路マゴチ3.2kg(お造り)
06.淡路マコガレイ(お造り)
07.喜界島ドウマンガニ(蒸し)
08.式根島黒ムツ炭火焼き
09.能登七尾鳥貝の肝
10.黒ムツのアラ煮付け 奈良花山椒(塩漬け)
11.勝浦カツオ藁焼き 加賀太きゅうり
12.駿河湾桜海老かき揚げと花山椒のお椀
13.宍道湖天然鰻と茨城涸沼天然鰻のダブル蒲焼き丼
14.那智勝浦本鮪大トロ(握り)
15.滑川ホタルイカ(握り)
16.鹿児島出水春子鯛(握り)
17.能登七尾鳥貝(握り)
18.那智勝浦本鮪中トロ(握り)
19.東京湾マコガレイ(握り)
20.葉山アオリイカ(握り)
21.天草コハダ(握り)
22.函館バフンウニ手巻き
23.那智勝浦本鮪赤身ヅケ(握り)
24.ネギトロ太巻き
25.フルーツ盛り(宮崎マンゴー「太陽のタマゴ」、山形さくらんぼ「紅秀峰」、台湾グリーンライチ、徳島フルーツマト「珊瑚樹」)

珍しい赤そら豆からスタートして、まずは都内の日本料理店でも最高クラスと思うお椀に舌鼓。
賀茂茄子を活かすため二番出汁を使っているようですが相変わらず滋味溢れる美味しさ。
吸い口は木の芽、アワビの肝も乗り、賀茂茄子は揚げてから田楽にしたりと凝っています。

キロ3,000円という桑名のハマグリは桑名現地でもまず見ない超巨大サイズ。
土曜日だからサービス価格となっていたようで、本来はキロ5,000円ぐらいとなるようです。
絶妙な火入れで天ぷらとなっていてハマグリを噛み締めるたびに旨味が溢れてきます。

余市のアンキモは季節が外れているからか、キロ10,000円まで値下がりしたようですがクオリティ高し。
築地で一番大きいという3.2kgのマゴチ、そのマゴチと同じぐらいのお値段というマコガレイ。
白身魚にこだわる同店だけあって白身のお造りの美味しさが都内の超高級店クラス。

そして1匹10,000円ぐらいという鹿児島喜界島産のドウマンガニ(ノコギリガザミ)。
希少なので「幻の蟹」とも呼ばれているとか。
大きい蟹なので大味かと予想したのですが栗のように甘い身が意外と美味しくて、
雄なので内子や外子は楽しめませんが、上海蟹を思い出すような濃厚なミソも良いです。

本日の白眉とも思った黒ムツの炭火焼きは、フレンチでいえばミキュイな火入れ。
脂の乗った黒ムツが口の中で蕩けて超絶に美味しいです。
三ツ星フレンチのカンテサンスで食べた魚料理より遥かに気に入りました。

宍道湖の天然鰻(650g)はキロ2.5万円。
茨城の涸沼の天然鰻とダブル蒲焼き丼となっていました(大きいほうが宍道湖産)。
どちらも美味しいですが最高級の宍道湖産にやはり軍配でしょうか。

タネを厚切りにする握りも今回はかなり良かったです。
また赤酢に戻す予定だそうで、握りに関しては試行錯誤の途中といったところですが、
いずれは鮨も抜かりなく美味しい万能なお店へと進化していくのかも知れません。
1,543文字★

01.静岡鯛の白子と真子のお椀 奈良花山椒
02.青森アンキモたまり醤油煮 群馬安中トロナス
03.刺し盛り(淡路星鰈1.7kg、北海道昆布森バフンウニ、愛知フキ)
04.愛知メヒカリ一夜干し
05.富山滑川ホタルイカ 秋田コゴミ胡麻和え
06.京都甘長獅子唐
07.愛知鳥貝の肝
08.大間大目マス(時鮭)4.9kgと星鰈の肝や胃袋のソテー
09.大目マス炭火焼き 筍と木耳と菊芋の花山椒炊き
10.駿河湾桜海老天ぷら
11.花山椒鍋1杯目(対馬ノドグロ、天津小湊キンメ、鳴門ワカメ)
12.花山椒鍋2杯目(大目マス、ワカメ)
13.花山椒鍋3杯目(但馬牛、物集女タケノコ、ワカメ)
14.岡山児島湾天然鰻 蒲焼き丼
15.加賀太きゅうり
16.塩釜本鮪中トロ(握り)
17.淡路甘手鰈(握り)
18.愛知鳥貝(握り)
19.屋久島カツオ藁焼き(握り)
20.福岡白イカ(握り)
21.青森サクラマス(握り)
22.淡路〆鯖(握り)
23.塩釜本鮪大トロ炙り(握り)
24.北海道苫小牧アオヤギ(握り)
25.船橋コハダ(握り)
26.色々鉄火太巻き
27.愛知子持ち蝦蛄丼
28.フルーツ盛り(佐賀唐津デコポン、宮崎マンゴー、徳島フルーツマト珊瑚樹)

本日は一品目から白眉な逸品。
出汁で煮込んだ静岡産の鯛の白子と真子は、モツで出汁が濁って味噌汁のようなヴィジュアル。
かつて京味(新橋)で食べた鯛の白子を超える美味しさで唸りました。
前回のモツ煮込み仕立ての明石の鯛の白子より美味しいです。

たまり醤油煮の青森産アンキモは超ヒットだった前々回の余市産に比べるとアッサリ系。
お値段は余市産の半額(キロ8,000円)ということで資本主義なのですが、
この時期にもアンキモを味わえて至福、トロナスもその名の通り蕩けます。

そして鯛の白子や真子に次ぐ逸品だったのが1.7kg級という淡路島産の星鰈。
築地では最高級の値が付く星鰈。
お値段が高いからと毎回必ず美味しいわけではないのですが今回は白身から感じる旨味が段違い。

唐揚げで出会うことが多いメヒカリですが、今回は一夜干しで登場。
この個体は脂ノリノリなので確かに唐揚げにするより焼いたほうが美味しいのかも知れません。
頭ごと骨ごとバリバリいけて魚の旨味を全身で堪能。

スマッシュヒットだったのが秋田産コゴミの胡麻和え。
濃厚クリーミーな胡麻和えにすることでコゴミの美味しさが最大限に引き出されていました。
丸々と肥えた滑川産ホタルイカもそろそろ名残りの時期でしょうか。

目の前で捌かれていく丸の4.9kg級大目マス(時知らずや時鮭とも呼ばれる白鮭)。
先ほどの星鰈の肝と一緒に肝や胃袋をソテーに。
少し苦味やモッタリした食感はありますが、焼いたレバーとして宇ち多゛(立石)に負けない美味。
こういうモツを楽しめる点も同店の魅力と言えるでしょう。

大目マスの身は炭火でレアーに火入れ。
シットリした大目マスも美味しいのですが、付け合わせも異常な美味しさ。
花山椒と炊いた筍と木耳と菊芋がトロトロやわらかくて官能的でした。

すっかり4月の定番となった花山椒鍋も3杯堪能。
同店は4月と12月が特に人気の月となっているようです。
ミニ丼ではなく丼サイズでドッサリ供される岡山児島湾産天然鰻も別格の美味しさ。

そして酢飯は白い酢の比率を上げたようで酸味強めな青空(銀座)インスパイアでしょうか。
「ザブトン」と言って出されたように、牛肉のようなヴィジュアルと化した塩釜産本鮪の大トロ炙りなど、
この酢飯は意外に鮪と相性が良いように思いました。
2,619文字★

01.ポテトサラダ
02.滑川ホタルイカ
03.能登カサゴ煮付け 京都花山椒
04.浜名湖稚鮎天ぷら
05.勝浦カツオ炭火焼き
06.舞鶴甘鯛塩焼き
07.花山椒鍋1杯目(京都塚原白子筍、鳴門若布、焼津黒ムツ)
08.花山椒鍋2杯目(京都塚原白子筍、鳴門若布、対馬ノドグロ)
09.花山椒鍋3杯目(京都塚原白子筍、鳴門若布、北海道牛肉)
10.明石の鯛モツ煮込み仕立て白味噌椀
11.青森サクラマス(握り)
12.下関トラフグ白子ミニ丼
13.壱岐本鮪大トロ(握り)
14.大分城下鰈(握り)
15.岡山平貝(握り)
16.壱岐本鮪中トロ(握り)
17.大間ムラサキウニ(握り)
18.明石の鯛 ポン酢(握り)
19.浜名湖天然鰻 白焼きミニ丼
20.愛知鳥貝(握り)
21.伊勢鳥羽アオリイカ酢〆(握り)
22.焼津黒ムツ(握り)
23.壱岐本鮪赤身ヅケ(握り)
24.天草コハダ(握り)
25.船橋コハダ(握り)
26.鳴門トコブシ(握り)
27.日高バフンウニ手巻き
28.干瓢巻き
29.鳥貝の肝
30.対馬炙り穴子炙り鳥貝丼
31.明石の鯛の潮汁 花山椒
32.明石の鯛のカブト煮付け 花山椒
33.明石の鯛のエラ唐揚げ
34.フルーツ盛り(愛媛黄金柑、宮崎マンゴー、沖縄アテモヤ)

お客さんには初めて出すというポテトサラダ(リクエストアイテム)は、新じゃが、新たまねぎ、
ブロッコリー、ニンジン、パプリカ、キュウリのピクルス、玉子、ペンネ、リンゴ、バナナ、
日向夏、干し芋、カシューナッツと色々な食材が使われていて濃厚ネットリな仕上がり。

これだけ色々な食材が入るポテサラって一般的には雑味が出たり纏まりが無かったりするのですが、
流石の同店だけあってスッキリと纏まって一体感ある美味しさとなっていました。
ニンジンやパプリカは炙ってからドレッシングで下味を付けたりと良い仕事しています。
「高級割烹のポテトサラダ」といった趣きでしょうか。

ブログで初物はキロ8万円とぼやいていた花山椒ですが、本日は更に値上がりしてキロ8.5万円。
全国各地でバブルが起きて超高級ハーブとなってしまった花山椒。
その花山椒が散らされた何とも贅沢なカサゴの煮付け、脂ノリの良い身やネットリした皮に舌鼓。

丸々と肥えたホタルイカ、サクッとフワッと丸ごと楽しめる稚鮎(浜名湖の初物だそうです)。
フレンチのポワレのように皮をパリッと焼き上げたカツオ、レアーな火入れの甘鯛。
「引き算の料理」と言われる和食の技法で季節の食材を引き立てています。

今の季節ならではの「花山椒鍋」を3杯。
1杯目は鮪節と昆布の出汁に、花山椒、京都塚原の白子筍、鳴門の若布、焼津の黒ムツ。
相変わらず出汁がハイレベルで脂ノリ抜群な黒ムツも美味しい。
そしてトウモロコシのような甘みや風味を感じる、国内最高級の白子筍も超絶な逸品。
今の時期は筍によく出会いますが、この白子筍の美味しさは突き抜けていました。

2杯目は出汁にアラ汁も加えて黒ムツから赤ムツ(ノドグロ)にチェンジ。
このノドグロが異常なぐらい脂ノリ凄まじく、口の中で蕩けてアブラー(脂を愛する人)歓喜。
3杯目は牛肉で汁が濁りますが、こういう動物性の旨味も爽やかな花山椒鍋に合うのです。

ポテサラに続いてのリクエストアイテム「煮込み」。
明石の鯛の白子、卵、胃袋、肝などを京人参や蒟蒻と白味噌椀に。
確かに大衆酒場の煮込みってモツ、蒟蒻、人参が入っていたりしますが、
「高級割烹の煮込み」といった味わいに再構築されていて何とも面白かったです。

ミニ丼は天然トラフグの白子と天然ウナギの白焼き。
どちらも超高級食材で都心であればこの2杯で1万円ぐらい取られても文句を言えません。
「海のマシュマロ」の如きフワフワ感と濃厚クリーミーさを感じる名残りの白子。
パリッと火を入れた皮の旨味と蕩ける身が堪らない走りの天然鰻。
都心の超高級割烹でもなかなか出会えない逸品ではないでしょうか。

握りでは脂ノリ抜群のサクラマス、身厚で牡蠣のような食感にも思える鳥貝、
赤身の旨味が圧巻の本鮪など光っていましたが白眉は大間(青森)のムラサキウニ。
2万円クラスの鮨さいとうで扱うレベルのウニすら超えて、
3~4万円クラスのすきやばし次郎で扱うレベルのウニではないでしょうか。

手巻きで日高のバフンウニも登場。
ドッサリと盛られた超良質なウニの食べ比べに唸っておりました。
花山椒、トラフグの白子、天然鰻だけでも原価は凄まじく高いでしょうに、
相変わらず他店が真似したら即刻倒産してしまいそうな原価率の高さです。

築地市場より千住市場のほうが良いものが手に入るという干瓢の巻き物もきっちり美味しい。
握りは都心の高級鮨店に比べると物足りない部分も否めないのですが、
巻き物や丼の美味しさは高級鮨店を凌駕することがあります。

二次会はヤケクソのようにドッサリ盛られた鳥貝の肝からスタート。
このボリュームを銀座で求めたら1万円は覚悟しないといけないのではないでしょうか。
大量の「海のレバーパースト」で日本酒が進んでいきます。
後述のカブト煮にドッサリ盛られた花山椒を転用した「花山椒+鳥貝の肝」も絶品。

そして明石の鯛の潮汁、明石の鯛のカブト煮付け、明石の鯛のエラの唐揚げと、
真鯛の最高級ブランド「明石の鯛」を骨の髄までむしゃぶり尽くしていきます。
こういうモツラー(モツを愛する人)歓喜アイテムがドッサリ出てくるのも同店の魅力。
しかしキロ8.5万円の花山椒をこんなに貪ってしまって良いのでしょうか。

最後はマンゴーにアテモヤと南国フルーツが登場。
ブログで紹介された前回のアテモヤに比べると今回は甘さ控えめだったようですが、
チェリモヤよりライチ寄りの食感なアテモヤが新発見。
マンゴーも高級品なのでしょう、濃厚さが普通のマンゴーとは桁違いでした。

お椀ではなく丼で出された潮汁、皿ではなく大皿でドカーンと出されたカブト煮を貪っていたら、
いつの間にか滞在時間6時間となって過去最長記録を更新でしょうか。
2017年1月からの食べログの仕様変更後の更新で20回目。
それ以前も合わせると何十回か分かりませんが、通うほど待遇が良くなっていくのかも知れません。
1,592文字★

01.昆布森牡蠣ソテー 安曇野クレソン
02.佐島トラフグ皮の煮凝り
03.安曇野ニワトコ天ぷら
04.魚沼フキノトウ天ぷら
05.琵琶湖稚鮎天ぷら
07.滑川ホタルイカ
08.琵琶湖氷魚
09.京都山城菜の花 辛子酢味噌和え
10.兵庫柴崎アラ(お造り)静岡花ワサビ
11.愛知鳥貝の肝
12.余市アンキモ たまり醤油煮
13.天草アオサ酢の物
14.枕崎カツオ 安曇野清流レタス
15.兵庫柴崎アラの潮汁
16.佐島トラフグ合馬タケノコ信州ノカンゾウのお椀
17.春のミニ丼(秋田ズワイガニ、噴火湾ウニ、京都山城菜の花)
18.ドリア(佐島トラフグ白子と酢飯を混ぜてリゾット風に)
19.壱岐本鮪大トロ(握り)
20.兵庫柴崎アラ(握り)
21.愛知鳥貝(握り)
22.壱岐本鮪中トロ(握り)
23.明石の鯛 昆布〆(握り)
24.勝浦〆鯖(握り)
25.壱岐本鮪赤身ヅケ(握り)
26.浜名湖天然鰻 白焼きミニ丼
27.壱岐本鮪大トロ炙り手巻き
28.銚子キンメ 歯舞昆布うどん 山形ネギ
29.銚子キンメ カブト煮付け
30.フルーツ盛り(福島会津あんぽ柿、愛知紅ほっぺ、沖縄ピーチパイン)

接骨木(ニワトコ)、蕗の薹(フキノトウ)、野萱草(ノカンゾウ)、清流レタス。
地方の名店で味わう採れ立ての山菜には敵わないとしても春の訪れを感じるラインナップ。
山菜特有のクセやホロ苦さも春の風物詩ではないでしょうか。

昆布森の牡蠣は冬に比べると濃厚さやクリーミーさに劣るもソテーすることで生には無い魅力を発現。
トラフグの皮がたっぷり入った煮凝りは、かねます(勝どき)で(立ち飲みなのに)1,300円も支払った、
「ふぐ白子にこごり」より良い味しています、トラフグの皮がギッシリ詰まっている点も素晴らしい。

ニワトコ、フキノトウ、稚鮎と天ぷらが3連発で出てきましたが白眉だったのが稚鮎の天ぷら。
やわらかくてフワフワ食感の稚鮎が口の中で溶けて消えていって旨味だけが残ります。
稚鮎より小さな氷魚(鮎の稚魚)も楽しんで鮎の成長過程を食で堪能。
ホタルイカ(新物とは思えないほど巨大サイズ)、菜の花もまた春の風物詩といった美味しさ。

都心の超高級店クラスの白身魚を仕入れる同店だけあって「アラ(クエではなく魚のアラ)」のお造りも絶品。
今の季節ならではの鳥貝の肝も極上のレバーペーストのような濃厚な旨味と特有の風味が堪りません。
そして最初は味噌漬けなのかと思ったほど濃厚だったアンキモ。
たまり醤油で煮込んでいるとのことですが圧巻の美味しさでした。
サッパリとポン酢で登場することも多いアンキモですが、コッテリ嗜好の筆者は断然こちらのほうが好み。

汁だけ味わうアラの潮汁、タケノコやノカンゾウもドッサリ入って春を感じるトラフグのお椀(出汁は鮪節)。
超高級魚のアラもトラフグも汁物で味わえるというこの幸せ。
都心の高級日本料理店でも同店ほど満足度の高い汁物には出会えないでいます。

今回は「ドリア」とのことでトラフグの白子と酢飯をグチャ混ぜに合わせることに。
この食べ方のほうが白子の濃厚クリーミーさが引き立って、ご飯との一体感も増します。
見た目は汚くなるかも知れませんが味を重視するなら新しい発見でした。

早くも登場してきた天然鰻(冷凍ではなく生です)。
白焼きは身厚ながら脂ノリ良く蕩ける美味しさ、皮のパリッと感と旨味も超絶。
秋口の旬の天然鰻にも勝るとも劣らないレベルの高さで驚愕しました。

酢飯が切れたとのことで最後の〆は銚子のキンメを乗せた昆布うどん。
出汁は昆布と鰹節、盛りガツオもドッサリで、鮨屋なのに「うどん」を楽しんでいました。
割烹なのか鰻屋なのかうどん屋なのかよく分かりませんが、とにかく美味しいお店なのは確かです。
1,719文字★

01.琵琶湖氷魚(鮎の稚魚)
02.宮崎油津本鮪血合いと明石の鯛の肝と胃袋 ガーリックソテー
03.仙鳳趾牡蠣
04.氷見メジ藁焼き 京都菜の花酢味噌和え
05.択捉島花咲蟹 蟹味噌
06.択捉島花咲蟹 腹、ふんどし
07.択捉島花咲蟹 爪、脚
08.お造り(明石の鯛、噴火湾バフンウニ)
09.琵琶湖ホンモロコ有馬煮
10.琵琶湖ホンモロコ炭火焼
11.明石の鯛 カブト煮
12.大間アンコウ どぶ汁
13.京都淀大根 宍道湖白魚
14.勝浦メヌケと京都長岡京タケノコのお椀
15.福岡天然トラフグ白子 ミニ丼
16.北海道増毛ボタン海老の頭
17.気仙沼マカジキ(握り)
18.北海道増毛ボタン海老(握り)
19.宮崎油津本鮪中トロ(握り)
20.愛知平貝(握り)
21.宮崎油津本鮪大トロ(握り)
22.明石の鯛(握り)
23.小柴ヒラメ昆布〆(握り)
24.宮崎油津本鮪赤身(握り)
25.氷見メジ藁焼き(握り)
26.浜名湖天然鰻 蒲焼き丼
27.勝浦メヌケ炭火焼(握り)
28.ウニイカ丼(噴火湾バフンウニ、三重アオリイカ)
29.勝浦メヌケ潮汁
30.フルーツ盛り(徳島ももいちご、愛媛タロッコオレンジ、唐津はまさき)

つけ場には捌かれている途中の明石の鯛2.8キロと勝浦のメヌケ4.7キロが転がっていました。
本日のツートップとも言える、これらの美味しさが特に突き抜けていました。
活きホンモロコも仕入れるなど相変わらずの素材力の高さ。

まずは去年は入荷が無かったという琵琶湖の氷魚(鮎の稚魚)からスタート。
本鮪の血合い、明石の鯛の肝と胃袋のガーリックソテーはモツラー歓喜の美味しさ。
メヌケの肝も食べましたが肝に関しては明石の鯛のほうが遥かに良かったです。
明石の鯛の「胃袋」のコリクニュ食感も官能的でモツラー大満足。

仙鳳趾の牡蠣は濃厚クリーミーだった12月の頃に比べるとアッサリ傾向。
メジも良いときに比べると旨味アッサリでしょうか。
日本には四季があるので食材の濃淡も季節によって移り変わります。

択捉島の花咲蟹は1.6キロ。
このサイズになると(ズワイガニよりは安価も)タラバガニ級のお値段となるそうです。
蟹味噌はズワイガニや毛蟹より旨味薄めですが、身の美味しさは十分に満足できるレベル。

本日の白眉「明石の鯛」。
今の時期は産卵前で身に栄養を蓄えているのでしょう、凄まじい旨味を有しており唸ります。
これが4月頃になると白子を楽しめるようになってきますが身の美味しさは落ちていきます。

活きモロコは有馬煮と炭火焼で楽しみましたが、炭火焼の美味しさが鮮烈でした。
ご主人の修業先である京都の割烹やましたでも名物料理となっているモロコの炭火焼。
修業先譲りの美味しさなのかも知れません。

明石の鯛はカブト煮でも味わいましたが、目玉や頬肉などモツ的な部位が堪らない美味しさ。
京都の割烹で修業経験を持つご主人の味付けセンスも光ります。
居酒屋で出てくるようなカブト煮とは奥行きや複雑さが全然違うのです。

アンコウは「どぶ汁」に、淀大根を白魚と合わせ玉子とじに、そしてメヌケとタケノコのお椀まで登場。
鮨屋とは思えないほど日本料理を楽しめてそのレベルも高いです。
お椀の吸い地の美味しさは都心の高級日本料理店でも敵うお店がどれだけあるか。
下町仕様なのかドッサリ椀種や椀妻が入っている点も筆者の好みにストライク。

天然のトラフグ白子の丼、天然の鰻の蒲焼き丼、ウニイカ丼。
都心で食べようと思ったら3種類の丼だけで1万円を超える値段となりそうです。
今の時期なので冷凍物ではあるのですが、関東風に蒸しを入れたのかと思うほど蕩ける天然鰻。
地焼きでこれだけ美味しい鰻を味わえる鰻専門店も都内に何軒あるのでしょうか。

明石の鯛に次ぐヒットだったメヌケはアブラ乗り凄まじくアブラー(脂を愛する人)歓喜。
潮汁にはアブラが浮きまくっていますが魚の油なので豚の背脂とは違って全然軽いです。
タロッコオレンジ(ブラッドオレンジ)、「はまさき」など高級オレンジも美味しくて最後まで満足。
965文字★

01.氷見クエのカブト蒸し
02.愛媛蒸し鮑 徳島赤蓮根
03.氷見クエの炭火焼き
04.お造り(淡路ヒラメ、釧路バフンウニ)
05.京都湯葉
06.鳥取境港松葉蟹
07.富山スルメイカ5日干し塩辛
08.鹿児島タケノコと宍道湖白魚のお椀
09.土佐メジ(握り)
10.舞鶴ブリ藁焼き(握り)
11.氷見クエ(握り)
12.浜名湖天然鰻(握り)
13.萩本鮪大トロ(握り)
14.和歌山カワハギ(握り)
15.萩本鮪中トロ(握り)
16.小柴スミイカ(握り)
17.岡山平貝(握り)
18.今年もよろしく丼(ブリ藁焼き、メジ藁焼き、本鮪、ウニ、イクラ、トラフグ白子)
19.フルーツ盛り(紅まどんな、せとか、金柑バルサミコ酢、丹波黒豆、玉子焼き)

お付き合いで氷見のクエ38キロサイズの半身19キロ(キロ9,000円)を仕入れたとのこと。
その恩恵を受けてか1品目から大皿にドカーンとクエのカブト蒸しが乗って出てきました。
2時間ぐらい蒸したそうですが、トロトロのゼラチン質の部分(特に目玉の周りなど)が堪りません。

半身のもう一方は食べログ4.30を超える銀座の超高級鮨店が仕入れたそうで、
超高級鮨店の3分の1ぐらいの値段で味わえるというのも、下町東向島の鮨店ならではの魅力でしょう。
白身魚とは思えないぐらい脂ノリが良くて握りのタネにしても良いですし、
パリッと皮を炭火で焼き上げて、身の部分はレアーに火を入れた焼き物で味わってもまた良し。

鮑はムッチリした蒸し加減が好印象。
松葉蟹も旨味がメチャクチャ強くて、無口になってひたすら身をほじくり出してしまいます。
スルメイカ不漁のため久しぶりの登場となった塩辛もセミドライな食感が相変わらず素晴らしいです。

そして1月というのにもう登場してきたタケノコも絶品(お椀の吸い地の美味しさも含めて)。
鹿児島産のタケノコで1箱1万円だったそうです。
ブランドの福岡合馬産は1箱1.5万円とのこと。

握りでは本鮪の大トロかと思うほど脂ノリ良くコッテリと美味しかったメジが白眉。
同店は鰻屋ではないと思うのですが、100尾仕入れて一部を冷凍してあるという天然鰻も握りで登場。
恒例の海鮮丼も相変わらずの鬼仕様でした、最後は黒豆や金柑も登場して「おせち」の余韻に浸ります。
631文字★

一の重
紅白かまぼこ、柚子釜イクラ、リンゴとレーズンとドライフィグ入り芋きんとん、子持ち昆布、数の子、
黒豆、栗の渋皮煮、山芋このこ、トラフグの白子、バフンウニ、キャビア乗せ赤ピーマンのムース
二の重
鹿児島黒ムツ、銚子金目鯛
三の重
慈姑、人参、菜の花、堀川牛蒡の鶏肉詰め、独活、生姜、八つ頭、車海老の旨煮、
穴子の昆布巻き、鮭の昆布巻き、牡蠣、キクラゲ、ゴリ有馬煮
四の重
山葵、対馬本鮪藁焼き、小肌、新湊〆鯖、平目龍皮巻き、蟹、鮑、オカヒジキ
五の重
メロウ西京焼き、ブリ照り焼き、子持ち鮎甘露煮、ちしゃとう、紅花隠元(花豆)、胡桃入り干し柿、
天然鰻、ナマコ、バチコ、カラスミ

2018年度(受け取り2017年大晦日、つまり今回)でおせちの制作も終了となるようです。
最後のおせちということもあってか65件も受注したそう。
調理から盛り付けまで全てご主人1人でこなすというのに信じられない受注件数です。

それでもどの料理も相変わらず素晴らしい味付けで大満足の内容。
お店のスペシャリテとも言える定番メニューがズラリ並びます。
今回は赤ピーマンのムースにキャビア(オシェトラ)を乗せたりとサプライズも。
仕入れ先がグレードアップした本鮪の藁焼きは蕩ける美味しさで前年よりレベルアップしている部分も。
相変わらず大晦日から食べてしまいましたが、最後ということで正月三が日までゆっくり楽しみたいところです。
2,033文字★

01.岩手ミンククジラ畝須と羅臼雲子のお椀
02.大分白川甘鯛の皮煎餅
03.仙鳳趾牡蠣バターソテー
04.白川甘鯛のカブト焼き
05.霞ヶ浦白魚の天ぷら
06.大阪富田林海老芋 香住セイコガニ餡かけ
07.お造り(白川甘鯛、函館と釧路のバフンウニのジョイント)
08.新潟村上松葉ガニの身と味噌を合わせた酢飯 海苔で巻いて
09.和歌山カワハギお造り 肝和えポン酢
10.函館ハッカクお造り
11.松葉ガニの甲羅酒
12.函館バフンウニ海苔巻き入り松輪鯖棒寿司
13.茨城搾菜
14.大間本鮪大トロ(握り)
15.船橋アジ(握り)
16.函館ハッカク(握り)
17.大間本鮪中トロ(握り)
18.宮城気仙沼クロアワビ(握り)
19.霞ヶ浦天然鰻蒲焼き(握り)
20.鹿児島出水春子鯛(握り)
21.和歌山カワハギ(握り)
22.船橋サヨリ(握り)
23.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
24.海の生クリーム丼(雲子、トラフグ白子、牡蠣、追加でバフンウニも)
25.大間本鮪ネギトロ超太巻き
26.千葉アイベリー、岡山紫苑

まずは鰹節と鮪節のダブル節が効いた畝須(ミンククジラ)と雲子(鱈の白子)のお椀からスタート。
火が入って旨味が活性化した雲子と、比良山荘(滋賀県)で食べた猪のバラ肉にも劣らない畝須が堪りません。
出汁も相変わらず鮨屋とは思えないレベルの高さで素晴らしいです。

甘鯛の最高峰「白川」は皮煎餅、カブト焼き、お造りで満喫。
お造りも白身魚として超ハイレベルですが、カブト焼きで味わう骨周りの旨味と上品な白身との交わりに感嘆。
濃厚クリーミーな仙鳳趾の牡蠣は贅沢にもバターソテーにしてしまいましたが当たり前のように美味しい。

意外なスマッシュヒットだったのがデフォルトで天ツユに浸っている白魚の天ぷら。
掻き揚げではないので1尾ごとバラバラに分かれており、適度にツユを吸った白魚の独特な食感に舌鼓。
ツユ自体のハイレベルな美味しさもキーポイントなのでしょうが組み合わせの妙味を感じました。

冬の味覚の王様とも言える「蟹」は香住のセイコガニ(雌)と村上の松葉ガニ(雄)の共演。
セイコガニは前回同様に餡かけとなって海老芋の上に。
この食べ方だと外子まで全て美味しく味わえて、何度食べても飽きることなく感動。

お風呂上りの松葉ガニは身をほぐして蟹味噌と一緒に酢飯に合わせていきます。
初音鮨(蒲田)では毛蟹で同じように酢飯と合わせて握っていましたが、同店ではフワリと海苔で巻いて提供。
握るよりフワリと巻いたほうが蟹酢飯がやわらかくて食感に優れているのか、
毛蟹より冬の松葉ガニのほうが格上だからか、これは初音鮨で食べた毛蟹の握りより美味しい。

和歌山のカワハギは大衆酒場で扱うようなカワハギとは魚体の大きさが桁違いです。
築地でも最大サイズのものを仕入れてきたのでしょう。
天然なのに肝の大きさも凄まじいです。
そしてカワハギの身が大味とはならず凡百のカワハギとは桁違いに旨味が強烈。
自家製のポン酢(適度な酸味で美味しいのです)、肝と合わせればこれはもうカワハギ刺しの最高峰。

ハッカク(トクビレ)のお造りは凄まじい脂ノリ。
淡泊なカワハギとは正反対のような存在ですが爽やかなポン酢とバッチリ合ってこれも堪りません。
松葉ガニの甲羅酒で一息ついて握りタイムへ突入。

まずはリクエストしていた鯖の棒寿司。
リクエストの斜め上を出してくる同店は、何と函館のバフンウニをまず海苔巻(生雲丹巻き)にして、
その生雲丹巻きに酢飯と松輪の鯖をサンドするという何とも贅沢な「鯖の棒寿司」を提供。

ウニとサバの組み合わせなんて初めての食体験ですが意外とアリ。
修業先の割烹やました(京都)もこういう意表を突いた組み合わせが得意技なのです。
身厚な松輪のサバ自体も脂ノリ良くて素材として素晴らしい。

本日の握りはガリではなくザーサイを添えて、このザーサイもさりげなく美味しいのです。
握りはタネを厚切り、酢飯は硬め、赤酢を少なくするなど現代的嗜好に合わせて色々試験中のようです。
タネが大きいことの恩恵を受けてか今回のアジは良かったです。

握りの後は「海の生クリーム丼」とでも表現したら良いのでしょうか。
トラフグの白子とタラの白子の「ダブル白子」に牡蠣まで乗せたクリーミーで真っ白な丼が登場。
こんな真っ白な海鮮丼を他のお店で見ることがあるのでしょうか(色々な意味で)。
途中からはバフンウニまで乗ってきてプリン体のオールスター。

大間の本鮪(昔に比べると鮪の仕入先もレベルアップ)を贅沢に使ったネギトロ超太巻きをガブリ。
銀座の鮨屋であればこれ1本でいくら取られるのか恐怖を覚えます。
最後は水物で〆て大晦日のおせち(今年でおせちの制作は終了となるようです)を楽しみに退店。
2,007文字★

01.京都淀大根と八幡浜白川甘鯛のお椀
02.能登アオナマコ茶ぶり
03.氷見寒鰤藁焼き 京都春菊
04.京都海老芋と兵庫津居山セイコガニのお椀
05.お造り(明石の鯛の松皮造り、函館バフンウニ)
06.山口仙崎鰹炭火タタキ 京都淀大根
07.青森めぬけ 九十九里蛤
08.浜名湖天然鰻蒲焼きミニ丼
09.パエリア
10.岡山平貝(握り)
11.大間本鮪中トロ(握り)
12.羅臼生雲子ミニ丼
13.天草コハダ(握り)
14.和歌山カワハギと肝(握り)
15.金華鯖(握り)
16.閖上赤貝(握り)
17.大間本鮪赤身(握り)
18.岡山子持ち蝦蛄(握り)
19.牡蠣鉄火丼(仙鳳趾牡蠣、大間本鮪大トロ炭火炙り)
20.水物(福岡スーパーあまおう、愛媛スペシャル紅マドンナ)
21.芝海老入り玉子焼き

鮨屋なのにパエリアをリクエストするという無茶な要求も通るぐらいには常連になったかも知れないうを徳。
(食べログの過去レビューを振り返る限り50回以上は訪れています。)
この日のためにわざわざ合羽橋でパエージャ(パエリア)鍋を買ってきてくれたようです。
最高級スパイスのサフランは客側で持ち込んでのパエリア会。

寒くなってきたということで1品目はお椀からスタート。
キロ2万円の最高級甘鯛「白川」が椀種で、大根というより蕪のような印象を受ける淀大根が椀妻。
お出汁も相変わらず美味しくてお椀として楽しめますし、白川が日本酒の肴にもなります。
茶ぶりしてやわらかくなったアオナマコは酒肴に最適。

いよいよ登場してきたブリの最高級ブランド「氷見」産。
前回の北海道産の倍の仕入れ値となるようですが確かに脂ノリ良く安定の美味しさ。
そして意外なヒットだったのが茹でただけという春菊。
特有のえぐみ無く甘みすら感じる素材力の高さで野菜にも唸ります。

海老芋とセイコガニのお椀は餡かけのようにトロリとしていますが「餡」に溶け込んだ内子や外子が堪りません。
お造りは明石の鯛(2.2キロ)の松皮造りと函館のバフンウニ。
両者とも2万円を超える高級飲食店でなければ出会えないレベルで流石の仕入れ力。

本日の意外なホームランだったのが炭火でタタキにしたカツオ。
ポワレのようにパリッと焼き上げた皮とネットリした肉質の身とのマリアージュが超絶な美味しさ。
食べログ最高評価の鮨屋やミシュラン三ツ星の日本料理店でもカツオを食べましたが、
このカツオは過去最高とも思える素晴らしさでした。

以前からリクエストしていた「めぬけ」が手に入ったようで、出汁で煮魚にして蛤と合わせての登場。
脂ノリの凄い身はもちろんトロトロとしたゼラチン質の皮が堪りません。
今回は時間切れで味わえなかった「めぬけのアラ」もいつか楽しんでみたいものです。

そして鰻屋より美味しい天然鰻の鰻丼(蒲焼き赤酢飯ミニ丼)から炭水化物5連発のスタート。
アメリカ産オマール海老、比内地鶏、スルメイカ、アラ、甘鯛などの出汁でお米に強力な旨味が加わっており、
サフランで彩りと香りを加えて、具材にオマール海老、比内地鶏、スルメイカ、浅蜊、マッシュルーム、酢橘。
原価率の問題もあってスペイン料理店でもここまで美味しいパエリアには出会えないでしょう。
パエリア鍋にこびりついた米粒まで貪っていきます。

寒くなってきて濃厚さを増してきた雲子(鱈の白子)は生のままミニ丼に。
鮪の仕入れ先もグレードアップしている同店。
今回も炭水化物5連発の中で提供するというハンデがありましたが、握りもきっちり美味しいです。
タネが大振りで酢飯とのバランスが良いのもあるのでしょうか。

モツラーでアブラーな筆者にとって平貝、赤貝のような貝(貝は食感がモツに似ているのです)、
カラスミのような食感の子を持つ(つまりモツのような)シャコ、酢飯との間に肝を挟んだカワハギ、
脂質15%以上がブランド条件の金華鯖、大振りで脂ノリの良いコハダは好みにドンピシャなタネ。
そういう部分も満足度を引き上げます。

大間の本鮪の大トロは炭火で炙って、仙鳳趾の濃厚クリーミーな牡蠣(生)とともに「牡蠣鉄火丼」に。
炭水化物5連発でも食欲が全く衰えないぐらいどれも美味しくて余裕で完食。
準備しておいた酢飯は全部無くなってしまったそうです。

水物はスーパーあまおう、スペシャル紅マドンナとカリスマ生産者が作ったもののようです(実際に美味しい)。
芝海老入りのフワリとカステラのような玉で〆て本日も破格の安さ(絶対額は高いですが相対的には激安です)。
先月は比良山荘徳山鮓かたつむりなど地方の名店を巡ってきましたが、
築地経由で全国から美味しい食材を集める同店もまた地方には無い東京ならではの魅力があることを再認識。
1,476文字★

01.青森アカマンボウ(万鯛)バジルソース 青森ムール貝 カシューナッツ 胡桃
02.能登アオナマコ茶ぶり
03.仙鳳趾牡蠣
04.琵琶湖ホンモロコ天ぷら
05.駿河湾桜海老(生)
06.駿河湾桜海老天ぷら
07.山口仙崎戻り過ぎた鰹(生)
08.お造り(愛媛八幡浜縞鯵、浜中バフンウニ、栃木干瓢)
09.宍道湖天然鰻蒲焼き丼
10.北海道鰤藁焼き
11.大間本鮪大トロ(握り)
12.宍道湖天然鰻骨煎餅
13.大間本鮪赤身(握り)
14.苫小牧小柱(握り)
15.銚子炙り金目鯛(握り)
16.根室〆鰯(握り)
17.三重尾鷲ボラ子カラスミ(握り)
18.兵庫松葉蟹と京都海老芋のお椀
19.大間本鮪中トロ(握り)
20.淡路〆鯵(握り)
21.東京湾小肌(握り)
22.お歳暮ちらし(本鮪、トロ炙り、ブリ藁焼き、カラスミ、イクラ、平貝、ミル貝、どんこ、干瓢)
23.京都海老芋と京都小芋と宮城気仙沼松茸と愛媛鮑の白味噌椀
24.フルーツ盛り(山梨石和柿、福岡とよみつひめ、茨城シルクスイート)

まずは同店でも初めて扱うという青森県太平洋側沖で獲れたアカマンボウ(万鯛)。
身は赤いですが分類上は白身魚、今回の魚体は26kg(キロ3,000円)となります。
流石に丸ごと仕入れるのではなく柵での仕入れとのこと。

ご主人曰くキハダマグロに似ているとの説明、旨味が弱いからとカルパッチョ仕立てでの提供。
確かに見た目はマグロの赤身のブツのようですし食べてみても言われなければマグロにしか思いません。
アッサリしたマグロのような旨味があって、キハダと言われれば筆者は絶対にそれを信じてしまいます。
マグロ屋によく売れる魚だそうでイミテーションとして重宝されるのでしょう。

続いては茶ぶりにしてポン酢、大根おろし、柚子と合わせた青ナマコ、酢橘を搾った仙鳳趾の生牡蠣。
冬の味覚の代名詞といった美味しさで日本酒を蒸発させていきます。
走りの時期はアッサリ傾向だった昆布森(仙鳳趾)の牡蠣も今は濃厚クリーミーとなっていて本領発揮。

琵琶湖の固有種ホンモロコはリクエストして天ぷらにして貰いました。
淡水魚では鮎に次いで美味しいと言われるモロコですが、確かに稚鮎の天ぷらには少し劣るも抜群の美味。
春と秋が旬の桜海老は生でその風味をダイレクトに味わった後は天ぷらで丸ごと味わいます。
生も美味しいのですがヒゲが少し障るので天ぷらのほうがやはり好み。

季節はもう11月ですが、戻り鰹ならぬ「戻り過ぎた鰹」をお造りで。
脂ノリが凄くてネットリした肉質も良いです、今年ミシュラン三ツ星店で食べた鰹を遥かに圧倒します。
お造り盛り合わせには干瓢の高級品も登場。
一部に「うな徳」とも呼ばれる同店ですが、本日の天然鰻は宍道湖産で魚体800g(キロ2.5万円)。

今年は鰤が豊漁のようで価格は氷見の寒鰤には負けるも美味しさは負けないという北海道の鰤を藁焼きで。
レアーな火入れで中心がピンク色、脂ノリが良いのですがアッサリした脂でくどさは無いです。
旨味も強くてかなりレベルの高い鰤ではないでしょうか。

お椀では松葉蟹も登場して冬の訪れを感じます。
鮪節と利尻昆布の吸い地に松葉蟹の旨味が溶け込んで超絶に美味しい。
個人的には食べログ4.91の松川、4.79の銀座しのはら、4.73の京味のお椀より高評価。
お歳暮代わりと鬼のように原価の高そうな爆盛りちらしを貪って本日も大満足。
1,566文字★

01.岩手秋刀魚 ルーマニア産ポルチーニ茸 岩手しめじ 岩手舞茸 魚沼エリンギ
02.大阪湾鯔子の唐墨でサンドした自家製牛乳胡麻豆腐
03.明石煮蛸 昆布森牡蠣燻製
04.羅臼雲子の出汁仕立て
05.関サバ味噌煮
06.お造り(鹿児島笛鯛、北海道浜中バフンウニ)
07.藁焼き食べ比べ(青森メジ、北海道日高ブリ)
08.霞ヶ浦天然鰻 関東風蒲焼き酢飯丼
09.プリン体アラモー丼(カラスミ、バフンウニ、岩手イクラ)
10.淡路ヒラメ(握り)
11.淡路ヒラメ 岩手松茸(握り)
12.鹿児島出水鯵(握り)
13.ブリ藁焼き(握り)
14.大間本鮪トロ(握り)2貫
15.閖上赤貝(握り)
16.天草天然スッポンのスープ
17.天草天然スッポンの甲羅
18.天草コハダ(握り)
19.大間本鮪赤身(握り)
20.メジ藁焼き(握り)
21.岡山蝦蛄(握り)
22.色々ちらし(海老芋、カラスミ、イクラ、助子、牡蠣、本鮪、金目鯛、メジ藁焼き)
23.笛鯛の潮汁
24.和歌山紀の川黒甘柿、茨城友部栗の渋皮煮

カウンターには大阪湾の鯔(ボラ)子の唐墨(カラスミ)が鎮座していました。
熟成段階はまだ若くてクリーミーに蕩ける食感ですが旨味しっかりで美味しいです。
このカラスミが本日の主役でしょうか。

まずは自家製の牛乳入り胡麻豆腐(以前は突き出しとして出していたとか)をカラスミでサンド。
ミルキーで濃厚かつトロッと滑らかな胡麻豆腐だけでも非凡な美味しさなのですが、
そこにカラスミの塩味と濃厚な旨味が加わって更にパワーアップ。

1尾1,000円を超えるという秋刀魚にはルーマニア産のポルチーニ茸など秋のキノコを合わせていました。
前回の秋刀魚と栗の組み合わせより相性の良さを感じられて好印象。
松茸(キロ25万円まで高騰したそうです)の代わりにリクエストしたポルチーニも松茸より美味しい。

先日よねさん(亀戸)で食べてまだ旨味の弱かった雲子(鱈の白子)ですが、
こちらの雲子も旬の時期に比べるとアッサリしていて旨味に物足りなさ。
しかし出汁で仕立てることで白子の旨味の弱さを補完しており調理技術がキラリと光ります。
この出汁のレベルの高さは京都の割烹で修業経験を持つ同店ならではでしょう。

時期的には名残りという鹿児島の笛鯛は2キロもの。
お造りと潮汁で頂いたのですが、脂がノッていて真鯛より味が濃いように感じます。
同席者はブリのようだと評していました。
とはいえブリより弾力のある歯応えで独特です。

霞ヶ浦の天然鰻はあまにりも身が厚くて火が通りにくいので蒸して関東風にしたとのこと。
やや大味な感は否めないのですがパリッと焼き上がった皮の美味しさは素晴らしかったです。

赤酢の酢飯の底にカラスミを敷いて、酢飯の上にバフンウニ、イクラを乗せた「プリン体アラモー丼」。
プリン体を過剰摂取してしまいそうな魚卵のオールスターですがこれが抜群に美味しい。
握りの技術では都心の高級鮨店に後塵を拝しているような印象の同店ですが、
酢飯自体の美味しさは高級鮨店に負けないので海鮮丼の美味しさは5.0満点クラスなのです。

握りでは大振り身厚な岡山の蝦蛄が白眉でした。
途中で緑茶の代わりに出された天然スッポンのスープがハイレベル。
同店はスッポンの美味しさも一流店クラスという印象です。

最後はヤケクソになったのか、大皿に酢飯を盛って巨大な海老芋をドンと乗せ、
カラスミ、イクラ、助子、牡蠣、本鮪、金目鯛、メジ藁焼きをテンコ盛りにした「ちらし」に。
素揚げにしたような海老芋からして超絶に美味しいですし、魚介はどれも高級鮨店のレベル。
ここまでボリュームとクオリティを兼ね備えたお店も唯一無二と思います。
2,292文字★

2017年8月末にトイレを和式から洋式にリニューアルしたようで、
カウンターにある尾州の木曾檜の一枚板とトイレに関しては都心の高級店にも負けないレベルに。
仕入れている食材は相変わらずの凄まじさ。

秋口で天然鰻の旬だからか、児島湾、八郎潟、宍道湖と3種類の天然鰻を仕入れていました。
かぶと(池袋)の先代が天然鰻2種類と養殖鰻の食べ比べが出来る店なんて他にないと豪語してましたが、
同店では天然鰻を3種類という圧巻の仕入れ。

食べ方も児島湾は有馬煮(佃煮)、八郎潟は蒲焼きにして松茸ご飯の上に乗せ、
宍道湖は初音鮨(蒲田)インスパイアなのか白焼きを握りにするなどバリエーション豊富。
松茸の芳醇な香りと鰻の香ばしさが合うのかは微妙なところだったのですが、
これだけの食体験を楽しめるお店は唯一無二かも知れません(松茸の高騰もあって原価率78%とか)。

食べた料理は以下の通り。

01.丹波黒枝豆
02.児島湾天然鰻有馬煮
03.岩手松茸 菊の花 水菜 茹で落花生
04.根室秋刀魚有馬煮 愛媛中山栗渋皮煮
05.大間本鮪 青森帆立 壬生菜 酢味噌和え
06.琵琶湖稚鮎塩焼き、琵琶湖本モロコ塩焼き
07.大原姫鮑唐揚げ
08.姫鮑の肝ポン酢
09.お造り(愛媛八幡浜白川甘鯛、北海道浜中ムラサキウニ)
10.壱岐メジ藁焼き
11.八郎潟天然鰻蒲焼き 松茸ご飯
12.松茸ご飯おこげリゾット
13.岩手松茸と徳島海老芋のお椀
14.宍道湖天然鰻の握り
15.愛媛八幡浜白川甘鯛潮汁
16.仙鳳趾生牡蠣
17.宍道湖天然鰻骨煎餅
18.壱岐メジ藁巻き(握り)
19.函館ブリ藁焼き(握り)
20.大間本鮪大トロ(握り)
21.出水スミイカ(握り)
22.大間本鮪中トロ(握り)
23.神津島タカベ(握り)
24.大間本鮪赤身ヅケ(握り)
25.車海老入り玉子焼き
26.ヤケクソちらし(大間本鮪、ウニ、イクラ、イカ、愛知平貝、対馬穴子)
27.球磨川天然スッポン鍋
28.スッポン雑炊
29.愛媛八幡浜白川甘鯛の鱗付き皮煎餅
30.フルーツ盛り(山形洋梨、鳥取新甘泉梨、長野ピオーネ)

1品目の枝豆は自分の理想よりやわらかくて火を入れ過ぎにも思ったのですが、
続けて登場した天然鰻の有馬煮は鰻から感じる鮮烈な旨味に驚きました。
青ウナギで有名な児島湾産ブランド天然鰻を有馬煮(佃煮)にするのは暴挙にも思ったのですが、
穴子の佃煮ではまず出ないであろう強力な個性があって唸ります。
カブト(頭)も入っていたので骨に気を付けながら貪り尽くしました。

キロ12万円まで高騰して同店の利益率を圧迫しているという秋の味覚の(値段的に)王様「松茸」。
菊の花、水菜、茹で落花生とお浸しのように仕上げていましたが、
松茸の香りと出汁の旨味と優しい味わいのバランスが良くて絶品。
鮨屋のおつまみの域を超えた高級割烹の味といったところでしょうか。

そして秋の味覚の代表格「秋刀魚」と「栗」を合わせたという意欲作。
大振りな中山栗の渋皮煮はホロホロやわらかくて単品で味わえば5.0満点級と思ったのですが、
栗の甘い香りが秋刀魚の生臭さとは合わないように思いました。
色々な調理法に意欲的に取り組む同店ですが、全て上手くはいきません。

白身魚にこだわる同店ですが、本日のお造りはキロ2万円という愛媛八幡浜の白川甘鯛。
甘鯛の中でも最高級と珍重される白い甘鯛。
お造りも悪くないのですが真価を発揮したのは潮汁と思いました。
星鰈、明石の鯛、クエ、トラフグなどともまた違う独特の風味があって超高級魚の面目躍如。

お椀はこの時期に同店で定番となっている松茸&海老芋も出てきました。
松茸のときは鰹節を使わず昆布と鮪節の合わせ出汁。
こちらのお椀も白川甘鯛の潮汁に負けず劣らずな逸品で、個人的には松川京味のお椀より好みです。

漁獲制限もあってか今年は初めて食べるメジの藁焼き、良いときよりは旨味がアッサリ傾向。
コッテリ嗜好な筆者が気に入ったのは仙鳳趾の生牡蠣。
目隠しして食べたら白子と間違えてしまいそうなほど濃厚クリーミーで驚きました。

秋の味覚の意欲的組み合わせ第2弾は「天然鰻」と「松茸」を合わせた蒲焼き乗せ松茸ご飯。
これも別々に食べたほうが美味しそうな気がしますが鰻も松茸ご飯も美味しいです。
国内最高級ブランドの宍道湖産天然鰻(キロ2万円)は白焼きを酢飯と合わせて握りに。

3種類の天然鰻を食べ比べて一番美味しかったのはこの「握り」でした。
かつて初音鮨で食べた琵琶湖産天然鰻の握りを超えます。
鮨屋として握りだけで比べると初音鮨のほうがまだまだ格上と思うのですが、
天然鰻の白焼きに関しては池袋かぶと以上とも思うぐらい同店は焼きが上手いのです。
その差が握りの美味しさに出たのでしょう。

宍道湖産天然鰻の握りが素晴らし過ぎたからか、この日の他の握りはどうも霞んでしまいました。
握りよりインパクトが大きかったのが「ちらし」。
他店で食べたら一体いくら取られるのか恐怖を覚えるレベルで高級食材がテンコ盛り。

そして意外なヒットだったのが天然スッポンのスッポン鍋。
お椀のときのスッポンより濃い味付けなのが筆者の嗜好と合ったのか、
同店で過去に食べたスッポン料理の中でもトップクラスに良かったです。
松茸ご飯、握り、ちらしと貪ってきたのに最後はスッポン雑炊まで楽しんで本日も大満足。
2,119文字★

01 山形だだちゃ豆
02 昆布森牡蠣 熊本ズッキーニ 徳島フルーツトマト 明石の鯛ふりかけ
03 琵琶湖ビワマス 鱒子ミニ丼
04 奥尻島ムラサキウニ 明石の鯛煮凝り 長崎天然スッポン入り玉子豆腐
05 伊勢マダカアワビ、マダカアワビの肝、千葉大原クロアワビ、明石の鯛ふりかけ入りだし巻き卵
06 郡上八幡長良川天然鮎有馬煮
07 明石星鰈3.1キロ 内臓(肝、心臓、胃袋、腸)ソテー
08 明石星鰈 皮煎餅
09 焼津スマガツオ藁焼き
10 お造り(明石星鰈、星鰈エンガワ、積丹バフンウニ)、京都蕪
11 車海老入り玉子焼き、干瓢
12 白子入りスマガツオの味噌汁
13 大間本鮪大トロ(握り)
14 東京湾ホウボウ(握り)
15 淡路島〆ゴマサバ(握り)
16 大間本鮪中トロ(握り)
17 根室〆鰯(握り)
18 岩手石景貝(握り)
19 明石星鰈(握り)
20 岡山子持ち蝦蛄(握り)
21 東京湾シンコ(握り)
22 岩手初物イクラミニ丼
23 大間本鮪赤身ヅケ(握り)
24 大分姫島天然車海老フライ、琵琶湖ビワマスフライ、舞鶴アジフライ
25 東京湾穴子と中国産松茸のお椀、白米
26 山梨桃、北海道おつきさま(クリームスイカ)

前回は新潟の茶豆からスタートしましたが、今回は山形のだだちゃ豆からスタート。
まだ夏というのに登場した昆布森の生牡蠣はクリーミーではあるものの旬の時季に比べるとアッサリ。
ズッキーニやフルーツトマトといった野菜の美味しさのほうが感動的かも知れません。

明石の鯛の潮汁の身をほぐして「ふりかけ」に、汁は冷ましてジュレ状(煮凝り)に。
アラから取った身ということで「ふりかけ」は骨が障る部分もあるのですが、
高級鮨店とは思えないレベルで食材を無駄にしない姿勢には好感を持てます。

煮凝り、天然スッポン入り玉子豆腐、ムラサキウニを合わせた料理は例えれば「スッポンのパテ」。
玉子豆腐の中には天然スッポンの身がギッシリ詰まっていてパテのような肉感。
ウニ、ジュレ、玉子豆腐の滑らかな食感がマリアージュする様相はまるでフレンチのようです。
ここは本当に鮨屋なのでしょうか。

琵琶湖ビワマスの鱒子と初物という岩手イクラのミニ丼食べ比べ。
そして何とも贅沢な食べ比べの、伊勢のマタ(マダカアワビ)と大原のクロアワビ。
マタがキロ2万円、クロがキロ1.5万円という貝類の世界タイトルマッチ。
ともに3時間ぐらい蒸してムッチリやわらかくなっており、
クロアワビでも王様クラスの美味しさなのですが同席者はマタに軍配を上げていました。

お盆で築地が休場となるため高級食材を処分セール価格で仕入れることもある今の時期。
鮑の王様「伊勢のマタ」以外にも、初物という大間の本鮪、3.1キロと巨大な星鰈、などなど逸材揃い。
ご主人が3.1キロもの星鰈を捌くと、お腹から出てきた肝の大きさからして規格外。

まずは肝、心臓、胃袋、腸といった星鰈の内臓をソテーにして貰ったのですが、
スッポンの内臓ソテーより純にも思う旨味の強さがあって、モツラー歓喜な美味しさ。
星鰈の皮もリクエストして油で揚げて煎餅にして貰ったのですが旨味強烈で意外なヒット。

内臓や皮が美味しいのですから、お造りで食べた身も当たり前のように美味しい。
バフンウニを巻いて星鰈の雲丹巻きなんて贅沢もしながら星鰈の魅力を色々な形で堪能。
東では珍しいスマガツオの藁焼きは、カツオの藁焼きより脂が乗っていて美味しいかも知れません。
スマガツオのアラを出汁にしてスマガツオの白子も入れた味噌汁もまた最高。

大間の本鮪は冬の旬の時季に比べると旨味アッサリという印象でしたが、
超厚切りにカットした赤身ヅケの握りは酢飯をネットリした赤身が包んで何とも美味しい。
ご主人が大間の鮪より美味しいと一押しの鰯は、凄まじい脂ノリでトロより蕩けました。
岡山の子持ち蝦蛄は以前に食べた北海道の子持ち蝦蛄より旨味の強さに劣るも、
カラスミを思わせる蝦蛄の子の味わいや食感はやはり魅力的。

そして握りが終わった後は「二次会」としてミックスフライ定食の登場。
洋食屋の海老フライではまず使わない、大分姫島の天然車海老を海老フライに。
サーモンフライのサーモンは、まさかの琵琶湖にしか生息しない固有種ビワマス(高級魚)を使用。

前回アジフライを食べてみたいとリクエストした記憶はあるのですが、
まさか高級鮨店のプライドを賭けたミックスフライが出てくるとは想定外でした。
握りを食べた後なのに、白米、お椀(穴子と松茸)も登場して定食仕様。
他店でこのミックスフライ定食を再現させたらいくら取られるか恐ろしくなってきます。

フライですが洋食の経験もあるご主人だけに火入れバッチリ。
車海老は中心まで温かく火を入れながらやわらかく、ビワマスのサーモンフライもパサつきとは無縁。
アジフライもジュワッと良質な脂が口の中で蕩け、人生の中でも過去最高クラスの美味しさ。
これ以上のアジフライはどこに行けば出会えるのでしょうか。
本日も6時間の長丁場でしたが唯一無二の食体験でした。
2,513文字★

01 新潟茶豆
02 琵琶湖ビワマス水煮
03 東京湾大黒埠頭穴子と千葉牛蒡の有馬煮
04 島根高津川鮎有馬煮
05 神戸鰯有馬煮
06 周防赤貝のヒモと苫小牧青柳小柱と九条ネギ 仏産マスタード入り酢味噌和え
07 千葉大原メガイアワビ(蒸し鮑)、熊本焼き茄子揚げ煮
08 お造り(明石鱸、礼文バフンウニ)
09 淡路島舌平目と京都万願寺唐辛子入り鱸の潮汁
10 石巻天然鰻(海鰻)白焼き丼
11 伊豆稲取金目鯛(握り)
12 式根島赤烏賊(握り)
13 佐渡ヶ島本鮪中トロ(握り)
14 関イサキ(握り)
15 淡路島〆ゴマサバ(握り)
16 佐渡ヶ島本鮪大トロ(握り)
17 淡路島鯵(握り)
18 愛知平貝(握り)
19 周防赤貝(握り)
20 佐渡ヶ島本鮪赤身(握り)
21 琵琶湖ビワマス 鱒寿司
22 金目鯛の白子とイサキの白子の冷製パスタ
23 炙りキンメと焼き茄子のフェットゥッチーネ
24 タイ産ドリアン、宮崎マンゴー、北海道でんすけすいか、静岡クラウンメロン

茶豆で軽めにスタートした後は琵琶湖のみに生息する固有種「ビワマス」の登場。
缶詰の水煮のようにビワマスのアラやカブトを圧力鍋で骨ごと食べられるまで煮込んだようですが、
ビワマスならではの香りの良さや骨周りならではの旨味の強さがあって缶詰の水煮とは次元の異なる美味しさ。

有馬煮(実山椒を活用)3連発で東京湾の穴子、高津川の鮎、神戸の鰯。
骨切りしたという穴子は牛蒡や実山椒と炊いてあって野趣と爽やかさが同席するような素晴らしい味わい。
鮎、鰯は圧力鍋を使っていないですが骨ごと全て食べられてしまいます。
肝ごと骨ごと丸ごと味わう鮎や脂ノリの良い鰯も非凡な美味しさ。

赤貝のヒモや小柱はフランスのマスタードを使った酢味噌和えにしていました。
大原のメガイアワビには熊本の焼き茄子(そういうブランド名だそうです)の揚げ煮を添えて。
2時間蒸したという鮑も貝類の王様級の美味しさなのですが感動が大きかったのはトロリ蕩ける茄子のほう。
油や出汁の旨味をパンパンに吸って、トロリ蕩ける官能的な食感が堪りません。
今が茄子の旬ということもあるのでしょうが野菜で感動を与えてくれる稀有な鮨屋。

お造りは鱸(すずき)とバフンウニ。
ウニ巻きにしても美味しいとのご主人の助言で半分は「スズキのウニ巻き」にしたのですが、
淡泊かつ繊細な旨味を持つ白身魚と濃厚な雲丹の組み合わせに舌鼓。
今が旬の鱸は高級な鰈の半値以下でも負けない美味しさを有しています。

その鱸を潮汁にして、これまた今が旬の舌平目とコラボレーション。
天ぷらのように揚げた舌平目と万願寺唐辛子が入っていたのですが、
フワッとした身から鮮烈な旨味を感じる舌平目が旬の時季ならではの素晴らしさ。
万願寺唐辛子も辛味は無いものの旨味が強く、椀妻として役不足なぐらいの存在感(吸い口は木の芽でした)。

そして一部で「うな徳」と呼ばれるほど同店のスペシャリテとなっている天然鰻。
本日は石巻の海鰻を白焼きにしていましたが「かなりの当たり」。
パリパリの皮は少しだけ硬さが気になって百点満点ではないですが強烈な旨味と心地良い食感を感じて、
脂の乗った身が皮より美味しいのではないかと思うほどレベル高くて口の中で蕩けながら旨味爆発。

いつもは赤酢のシャリを鰻丼のご飯にしているのですが今回は夏で暑いので白い酢飯。
養殖鰻より脂がアッサリしながら旨味鮮烈な絶品天然鰻と、鮨屋ならではの炊き加減と酢加減が最高な酢飯。
この組み合わせは鰻専門店でもまず出会えない同店ならではの超絶鰻丼。

そしてまだお腹に余裕のある状態で握りに突入したからか、今回の握りは光るものが多かったです。
伊豆稲取産2.5キロもの金目鯛はご主人も絶賛するほどの「逸材」。
脂のノリが凄くて口の中で蕩けるのですが甘みと旨味も強くて、これが酢飯と抜群に合います。
ネタが圧倒的だからか鮨屋としてスキルが上がっているからか。
食べログ4.80の2万円鮨店で食べた金目鯛を遥かに上回って4.5~5.0級。

佐渡ヶ島の大トロは冬の本鮪に比べると旨味アッサリもネットリした肉質が官能的でシャリと絡みます。
生姜醤油を煮切りにした、今が旬の鯵も感動クラスの逸品。
肉厚なうえに表面積も広いモンスター級の赤貝は過去に出会った赤貝で最大サイズ。
自分が大振りカットで食べ応えのあるものが好きということもあってこの赤貝も気に入りました。
特大サイズでも大味にはならず、一口で食べると口の中に風味と旨味が広がって恍惚。

序盤にアラとカブトを「水煮」で楽しんだビワマスですが身は「鱒寿司(押し寿司)」で登場。
酢〆してありますが中心はレアーで、蕩ける食感が官能的で香りも相変わらず良いです。
駅弁の鱒寿司とはもう別次元の存在でしょう。

前々回はうどん、前回はそば、今回は何とパスタが登場。
金目鯛とイサキのダブル白子が入った冷製パスタはラーメンとも呼べそうな仕上げ。
麺はアルデンテより少し硬いぐらいで、やわらかな白子と相性バッチリ。
食べログ4.50の2万円イタリアンで出てきたパスタにも負けないぐらいの存在感。

フェットゥッチーネはパスタとして一体感に物足りなさあるも具の炙りキンメとナスが異常に美味しいです。
握りのときは生で味わった金目鯛、炙って火を通すことで活性化された旨味のようなものを感じます。
都心の超高級店でもまず出会えないであろう今回の金目鯛は主役級の美味しさでした。

最後は冷凍ドリアン、マンゴー、スイカ、メロンといった王様のような果物たちのフルーツ盛り。
鮨屋では臭いの強い食材が禁忌となることが多くニンニクすら使わないというお店も多いですが、
臭い食材の代名詞ドリアンまで出てくるまさに異端のお鮨屋さん。

そんなお店ゆえ好き嫌いが激しく分かれますが、合う人には最高のお店となるのです。
2017年7月4日からは1階の座敷が椅子席のテーブル席に。
8月末にはトイレも洋式に改装するようで、日進月歩で進化しているお店でもあります。
1,511文字★

01 余市アンキモ、沖縄久米島海ぶどう
02 佐島蛸スモーク、茨城ザーサイ浅漬け
03 淡路星鰈潮汁
04 東京湾えぼ鯛塩焼き
05 大原蒸しアワビ、山口萩たまげなす
06 秋田ジュン菜、胡麻豆腐
07 四万十川手長海老素揚げ
08 高知鏡川スッポン唐揚げ
09 京都伏見黒枝豆
10 淡路星鰈エンガワ付お造り、岩手バフンウニ
11 淡路星鰈の肝刺し
12 鏡川スッポン内臓ソテー
13 鏡川スッポンお椀
14 岡山児島湾天然鰻蒲焼き丼
15 淡路ゴマサバ(握り)
16 那智勝浦本鮪中トロ(握り)
17 青森アラ(握り)
18 宮城気仙沼ホタテ(握り)
19 淡路〆アジ(握り)
20 那智勝浦本鮪大トロ(握り)
21 東京湾〆イワシ(握り)
22 能登アズキハタ(握り)
23 那智勝浦本鮪赤身ヅケ(握り)
24 有明コハダ(握り)
25 勝浦カツオ丼
26 厚岸煮牡蠣丼
27 ゴマフグ白子入りアズキハタの潮汁そば
28 五島列島イサキ茶漬け
29 青森メバル煮付け
30 山梨貴陽プラム、宮崎マンゴー、鳥取スイカ

本日は余市のアンキモと沖縄の海ぶどうからスタート。
冬のアンキモに比べると値段が3分の1ぐらいに下がっているそうですが、
美味しさは変わらないので夏のアンキモのほうがお得なのかも知れません。
海ぶどうは塩分の強さこそ気になるも独特のプチプチ食感が面白い。

佐島の蛸はスモークにしたとのことで、少しドライな独特の食感に魅力。
単体で食べても悪くないですが添えられたザーサイと一緒に食べると化けます。
国産のザーサイというのもまた貴重体験。

白身魚にこだわるうを徳、本日の白身魚は淡路島3.1キロもの星鰈。
ご主人曰く今年一番の星鰈とのことでお造りで良し、
肝刺しは少し苦味あるも仔牛のレバ刺しのような味わい。
柚子、酢橘、出汁を合わせた自家製のポン酢醤油も光ります。

星鰈の潮汁には目玉やヒレが入っており、そのゼラチン質のネットリ感、
お造りのときより強烈なアラならではの旨味に舌鼓。
本日も馬鹿の三杯汁を厭わず汁ものを飲みまくっておりましたが同店のお椀は本当にハイレベル。

東京湾のえぼ鯛は骨を処理して炭火で塩焼きに。
フックラした身とパリッとした皮を同時に味わえて何とも美味しい。
仕入れ値は安いようですが高級食材と遜色ない美味しさと思います。

とはいえ高級食材もやはり美味しい。
本日のメインの1つという大原の蒸しアワビ。
ムチっとした官能的食感で、噛み締めると貝類の王様とひれ伏したくなる圧巻の旨味。

同店で食べたアワビで過去最高の美味しさでした。
添えられた萩の「たまげなす」の揚げ煮も口の中で蕩けて絶品。
ヌメヌメプリプリとした食感がこれまた官能的なジュン菜も過去最高。
高級魚介から野菜まで都心の超高級和食店すら凌駕する感動を得られます。

四万十川の手長海老(川海老)は居酒屋の川海老とはサイズも味も別次元。
同じく高知の鏡川のスッポンは唐揚げ、内臓ソテー、お椀で堪能。
養殖スッポンはスープが美味しくて天然スッポンは身が美味しいと聞きますが、
確かに唐揚げの美味しさは過去最高クラスと言っても過言ではないほど鮮烈。

一部で「うな徳」と呼ばれるぐらい鰻が専門店クラスに美味しいお店なので鰻丼も相変わらず超絶。
本職は鮨屋なので握りも美味しいです。
握りの後はカツオ丼、牡蠣丼、更にはアズキハタの潮汁をベースにゴマフグの白子まで入れた蕎麦。
出汁の茶漬けまで出てきて鮨屋なのか何屋なのか分からなくなってきますが、
最後の水菓子まで全てが美味しいので本日も大満腹大満足です。
1,754文字★

01 塩釜本鮪ヅケ、下北鮟肝スモーク
02 厚岸牡蠣
03 青森天然ホヤ、加賀太きゅうり
04 浜名湖銀宝天ぷら
05 秋田アラお造り、舞鶴鳥貝の肝
06 銀宝の骨煎餅
07 枕崎カツオ藁焼き
08 琵琶湖稚鮎有馬煮
09 賀茂茄子のお椀
10 平貝とジュン菜とズイキの酢味噌和え
11 アラの潮汁
12 鳥貝のヒモ
13 関イサキ(握り)
14 出水〆鯵(握り)
15 塩釜本鮪大トロ(握り)
16 舞鶴鳥貝(握り)
17 塩釜本鮪中トロ(握り)
18 愛知ミル貝(握り)
19 出水シマアジ(握り)
20 千葉大原黒ムツ(握り)
21 宍道湖産天然鰻蒲焼き丼
22 塩釜本鮪赤身ヅケ(握り)2貫
23 枕崎カツオ藁焼き(握り)
24 岩手ブドウ海老(握り)
25 千葉竹岡赤ムツ(握り)
26 子安穴子(握り)
27 釧路バフンウニ太巻き
28 コシアブラとウドの天ぷらフルーツトマト稲庭うどん
29 台湾グリーンライチ、ワシントンさくらんぼ、宮崎マンゴー、花山椒アイスクリーム

本日は幻の高級魚アラ(マハタ属のクエの別名ではなくアラ属のアラ)を入荷とのこと。
日本国内の天然鰻で最高級ブランド宍道湖産(キロ2.3万円)も仕入れており、
海と川の最高級食材の共演となっていました。

まずは本鮪のヅケ、鮟肝のスモーク、厚岸の生牡蠣を肴に日本酒を開けます。
爽やかな牡蠣も良いですが薫香の効いたアンキモが特に光っていました。
ハイペースで日本酒が蒸発していきます。

そして日本酒の肴として更に素晴らしいと思った青森の天然ホヤ。
大衆酒場で食べるホヤは臭みやクセが気になることもありますが、
このホヤはそういう嫌な臭みがなく、独特の風味や甘味があって絶品でした。
添えられた加賀野菜の加賀太きゅうりもさりげなく美味しい。

銀宝の天ぷらと骨煎餅は生の花山椒と合わせた前回のほうが良かったです。
今回は冷凍の花山椒だったので、どうしても風味や食感に劣ります。
食材には旬があるのでこればかりは巡り合わせもあるのでしょう。

そして本日のメインであろうアラのお造り、鳥貝の肝も添えられて。
力強い白身の身ももちろん美味しいのですが味という点で最高だったのは潮汁。
アラのアラを使ったアラ汁(潮汁)ですが骨周りから強烈な旨味が溢れ出ていました。
3回連続で食べている鳥貝の肝は相変わらず濃厚なる美味。

カツオの藁焼きは淡路島のタマネギとカツオブシに合わせるカツオonカツオ。
同店のスペシャリテと思うメジの藁焼きと比べるとカツオは少し劣るのですが、
マグロの幼魚の乱獲でメジが手に入らなくなった現在では仕方ないでしょう。

琵琶湖の稚鮎、大将曰く煮たのは失敗で天ぷらにすれば良かったとのことですが、
実山椒が効いて上品な佃煮の如き稚鮎の濃い味は酒の肴としてかなり活躍しました。
トロリ蕩ける賀茂茄子、平貝と合わせたジュン菜、ズイキなど野菜も非凡な美味しさ。

握りでは最初に出てきた関イサキの美味しさに驚愕。
関サバ、関アジは絶滅寸前なぐらいに獲れなくなっているとのことですが、
このイサキも関ブランドとしてメジャーになっておかしくない美味しさ。
脂ノリ良く身が蕩けて、イサキがこんなに美味しいとは思いませんでした。

他にも黒ムツ、赤ムツ(ノドグロ)と脂の多い「ムツ」が共演。
濃厚系を好む我々の嗜好に合わせてか心憎い演出をしてきます。
珍しいブドウ海老は仕入れ値で1尾800円という高級品。

宍道湖産の天然鰻は皮がもう少しパリッと焼き上がっていたほうが好みですが、
流石の美味しさで大盛りにした丼のご飯もすぐに消失。
高級鮨店なのにウニがこぼれる太巻きなどクレイジーなことをやっていたらシャリが空に。

コシアブラとウドを天ぷらにして、フルーツトマトも合わせた稲庭うどんまで登場。
高級鮨店で〆が稲庭うどんになるお店もまず無いとは思いますが、
ツユが美味しくて稲庭うどんの茹で加減も良くこれもまた非凡なる美味しさ。

水菓子のマンゴー、ライチといった南国フルーツも素晴らしい甘さで満足。
山椒のアイスクリームを参考にしたという花山椒のアイスクリームまで堪能。
卵黄を多用しておりこれもまた濃厚なる美味でした。
1,608文字★

01 明石煮蛸と滑川蛍烏賊と秋田片栗の花 酢味噌和え
02 花山椒で炊いた琵琶湖稚鮎
03 茨城鹿島焼き蛤
04 北海道とら豆
05 琵琶湖稚鮎天ぷら
06 信州コシアブラ天ぷら
07 浜名湖銀宝天ぷら
08 銀宝の肝天ぷら、稚鮎天ぷら
09 宮城渡り蟹 花山椒酔蟹
10 銀宝の骨煎餅
11 愛知白ズイキ酢の物
12 大分城下鰈2.1キロもの お造り
13 釧路バフンウニ
14 鳥貝の肝と城下鰈の肝
15 花山椒しゃぶしゃぶ1杯目 天津小湊金目鯛
16 花山椒しゃぶしゃぶ2杯目 浅草松喜北海道牛
17 花山椒しゃぶしゃぶ3杯目 雑炊
18 芝海老入り玉子焼き
19 鹿児島鰹藁焼き生姜醤油(握り)
20 出水鯵(握り)
21 下田本鮪中トロ(握り)
22 大分城下鰈(握り)
23 有明コハダ(握り)
24 下田本鮪大トロ(握り)
25 鹿児島鰹藁焼きニンニク醤油(握り)
26 下田本鮪赤身(握り)
27 愛知鳥貝(握り)
28 釧路バフンウニ(酢飯の上に)
29 琵琶湖天然鰻 花山椒蒲焼き丼
30 城下鰈の潮汁
31 徳島トマト、静岡メロン

今年は花山椒の値段が2倍に跳ね上がったようでキロ10万円ぐらいまで急騰。
飲食店からの需要が高まって花山椒バブルとなっているようです。
そんな中で花山椒をリクエストしてしまって再度の花山椒会。
相変わらず2万円を払っても安いと思える内容となっていました。

まずは片栗の花、とら豆など珍しい食材との出会い。
甘くてホクホクしたとら豆の美味しさにしみじみと唸ります。
白ズイキもそうですが口直し的存在であろう野菜類まできっちり美味しい。

序盤戦は鮨屋なのに天ぷら屋かと思うほどの天ぷらの連続。
琵琶湖の稚鮎は肝の苦味が爽やかで養殖の鮎とは丸ごと味わう美味しさが別格。
山菜で一番美味しいと言われるコシアブラも独特の風味が堪りません。

天ぷらネタとしては幻とも言われる銀宝(キロ6,500円らしいです)。
活きの状態から捌きたてを揚げて、生の花山椒(今回は福島産)を散らしてくれます。
白身魚でありながら力強い味わいの銀宝自体も美味しいですし、
爽やかで香り高い花山椒と合わせてもまた至極の美味。
この時期だけしか味わえない究極のコラボではないでしょうか。

銀宝の小さな肝も天ぷらにして貰いましたが、こちらは苦味が強めで身には劣りました。
意外に美味しかったのが銀宝の骨煎餅。
サクサクと口当たり軽やかながら骨周りから感じる旨味が強烈。
銀宝をここまで楽しみ尽くせるお店も他になかなか無いでしょう。

白身魚にこだわるうを徳だけあって城下鰈も超ハイレベル。
同じくハイレベルで甘くて濃厚なウニを城下鰈で巻いて食べるなんて贅沢も楽しんでいました。
潮汁から感じるアラの骨周りの旨味も超絶。
肝は鳥貝の肝と合わせて前回同様に楽しみましたが濃厚な旨味に恍惚となります。

本日のメインであろう花山椒鍋。
金目鯛、甘鯛の骨から取った潮汁に鰹節と昆布も加えた出汁がベース。
このスープが鬼のように美味しくて更に花山椒までハーブとして加わるという鬼に金棒。

京都大原の筍、ウルイなどと一緒に1杯目は金目鯛、2杯目は牛肉で楽しんでおりました。
牛肉を入れると灰汁が出てしまうので至高の味わいはやはり1杯目でしょうか。
しゃぶしゃぶのようにレアーな火入れの金目鯛も蕩ける美味しさですし、
この花山椒鍋より美味しい鍋もなかなか無いでしょう。

キロ1.8万円の琵琶湖天然鰻だけは皮がガチガチになってしまっていてイマイチでしたが、
これはジビエの天然鰻なだけに炭火では火を通しにくい魚体に当たってしまったみたいです。
当たりの日には鰻専門店を遥かに超越する鰻に出会えるのですが、博打要素もあるのが同店。
通うたびに色々な面白さがあるので2万円でも毎月のように通ってしまいます。
1,698文字★

01 明石煮蛸、余市鮟肝
02 岩手真牡蠣
03 宮城渡り蟹 花山椒酔蟹
04 琵琶湖ホンモロコ、鵡川ししゃも
05 静岡イタドリ天ぷら
06 信州タラの芽天ぷら
07 駿河湾桜海老と花山椒 天ぷら
08 鳥貝の肝と鰈の肝
09 大分城下鰈お造りエンガワ付き
10 城下鰈 皮煎餅
11 三重尾鷲鰆藁焼き
12 天草天然鰻 鰻丼
13 花山椒しゃぶしゃぶ1杯目 対馬ノドグロ
14 花山椒しゃぶしゃぶ2杯目 日本橋日山の山形牛
15 花山椒しゃぶしゃぶ3杯目 銚子金目鯛
16 花山椒しゃぶしゃぶ4杯目 雑炊
17 天然鰻骨煎餅
18 徳島亀の手
19 鳥貝のヒモ
20 伊豆本鮪大トロ(握り)
21 香川観音寺赤貝(握り)
22 赤貝のヒモ(握り)
23 伊豆本鮪中トロ(握り)
24 出水〆春子鯛(握り)
25 淡路島〆鯵(握り)
26 舞鶴〆鯖(握り)
27 愛知鳥貝(握り)
28 伊豆本鮪赤身(握り)
29 釧路バフンウニ(握り)
30 酔蟹の漬け汁 冷や汁ご飯
31 痛風丼(イクラ、鰆藁焼き、鮟肝、芝海老)
32 城下鰈の潮汁
33 宮崎マンゴー、佐賀デコポン

1品目から最高級ブランドの蛸と鮟肝が出てきて日本酒が進みます。
牡蠣は真牡蠣でありながら岩牡蠣のようなサイズで驚愕。
大味というほどでもなくて、これまた日本酒の肴にピッタリ。

渡り蟹の酔っ払い蟹は、作(三重県の日本酒)、萬膳(鹿児島の焼酎)、
紹興酒8年もの、湯浅醤油、花山椒で漬け込んでいるそう。
ネットリした内子、カニミソ、そして身も堪りません。

鵡川の本ししゃもは煮物で登場しましたが、ししゃもは煮ても美味しいです。
頭ごと骨ごと味わえる小魚ならではの味わい。
佃煮ほどではないですが塩分濃い目でお酒が進みます。

春の天ぷら3連発。
山菜のイタドリは強い酸味とえぐみがあって独特な味わい。
味という点ではタラの芽のほうが圧倒的に美味しいです。
大きくて食べ応えあり、ホッコリとした食感の中に独特の旨味。
スーパーの惣菜コーナーで売っているタラの芽とは別次元過ぎる美味しさ。

同じく春の代名詞である桜海老は花山椒と一緒に掻き揚げに。
こちらもスーパーの掻き揚げとは天と地の差があります。
サクサクと軽やかながら海老特有の強烈な旨味。
油にはビールのほうが合うと日本酒から生ビールへとチェンジ。

モツ好きとしては本日のスペシャリテとも思った鳥貝の肝と鰈の肝。
鰈の肝に鳥貝の肝を和えているという肝&肝で超濃厚な逸品なのですが、
何も加えなくても素材の味だけで旨味が凄いです。
器まで舐め尽くしたくなるほどの美味しさとはこのことでしょうか。

本日は珍しいことにお造りが城下鰈だけ。
白身魚にこだわる同店だけあって勿論美味しくて、皮も揚げて貰いました。
藁焼き(鰆)、天然鰻(天草産)も相変わらずのスペシャリテ級。

そして本日のメインであろう「花山椒しゃぶしゃぶ」。
具材は日本橋日山の山形牛、銚子の金目鯛、対馬のノドグロ。
京都塚原の白子筍やフキも花山椒鍋で煮込まれて春のオールスターでしょうか。
鍋の4杯目に雑炊まで食べて普通の飲食店であればこれで終了ですが同店は鮨屋。

骨煎餅、亀の手、鳥貝のヒモと握りの前に酒肴3連発。
どれも美味しいですが本日はやはり鳥貝の美味しさが光ります。
身は握りでも味わいましたが、肝もヒモも身も全てが素晴らしい。

今ではすっかりレベルアップした握りもしっかり美味しい。
大振りな赤貝、酢〆しながらも蕩ける春子鯛、安定の本鮪はもちろん、
連休前で安売りだったというウニは某3.5万鮨店で使うウニと同じもの。

鰻丼、雑炊に加えて握りまで食べたというのに、
酔っ払い蟹の漬け汁をお米と合わせて冷や汁ご飯にして貰いました。
(韓国料理店ではカンジャンケジャンの後料理として汁と米を合せます。)

お酒がかなり強くて米からアルコールを感じるレベルでしたが、
尖った味でこれはこれで面白いかも知れません。
プリン体食材満載の「痛風丼」まで貪って潮汁、デザートと本日も暴飲暴食で堪能。
1,801文字★

鮨屋なのに鮨が弱点と言われていましたが今回の握りは良かったです。
鼈(スッポン)と鰊(ニシン)をリクエストしての訪問。
この日食べた料理は以下の通り。

01 琵琶湖ビワヒガイ、四万十川ゴリ
02 オホーツク毛蟹 セリとカニミソ和え
03 スッポンの内臓ソテー
04 服部中村養鼈場スッポンの肝刺し
05 天降川2.7キロもの天然スッポン唐揚げ
06 静岡メヒカリ一夜干し
07 合馬タケノコ
08 能登アオナマコ コノワタ和え+おかわり
09 タケノコとスッポンの炊き込みご飯
10 スッポンのお椀
11 淡路2.5キロものヒラメ 肝刺し
12 滑川ホタルイカ
13 対馬本鮪大トロ(握り)
14 三河一色産養殖鰻 鰻丼
15 淡路2.5キロものヒラメ(握り)2貫
16 屋久島カツオ(握り)
17 大分赤貝(握り)
18 鴨川〆サバ(握り)
19 対馬本鮪中トロ(握り)
20 船橋コハダ(握り)
21 対馬本鮪大トロ(握り)2貫目
22 対馬本鮪赤身ヅケ(握り)
23 滑川ホタルイカ2回目
24 稚内ニシン塩焼き
25 下北桜鱒ムニエル 京都菜花酢味噌和え
26 ヒラメ茶漬け
27 桜鱒カマの味噌汁
28 栃木やよいひめ、唐津でこぽん
29 羅臼バフンウニ 三河平貝 磯辺巻き

まずは骨ごと頭ごと食べられてしまうビワヒガイやゴリが美味しい。
川魚としては鮎やホンモロコのほうが格上とは思いますが穏やかで良い味付け。
毛蟹とセリの組み合わせの妙にも舌鼓。

今回はスッポンを事前にリクエストしていたのですが、
服部中村養鼈場の養殖スッポンと天降川の天然スッポンの食べ比べとなりました。
天降川の天然スッポンは2.7キロという超特大サイズ。
捌かれた後の亀頭の大きさを見ただけで驚愕しました。
服部中村養鼈場の養殖スッポンは天然スッポンより高値という国内最高ブランド。

養殖の肝は刺身、それ以外の内臓はソテー(天然は養殖より生食リスクが高いので)。
そして天然の身は唐揚げ、養殖はお椀(養殖はスープにすると特に美味しいらしい)。
更に合馬のタケノコと合わせて「タケノコとスッポンの炊き込みご飯」に。

合馬(北九州市)の筍は今や京都塚原の白子筍を超える国内一の市場評価とのこと。
えぐみ無く繊細な味わいに春の訪れを感じます。
メヒカリの一夜干し、コノワタ和えのナマコ(しかもおかわり付き)。
タケコノご飯まで食べて都心の和食店であればこれで万超えコースが終了するでしょう。

しかしこれで序盤戦が終わっただけなのが同店の特別コース。
2.5キロものという淡路のヒラメを捌いて、まずは肝刺しをポン酢で楽しみます。
今回の肝は苦味が強くてイマイチだったのですが、
続いて出てきた滑川のホタルイカはそのサイズの大きさに驚きます。

時間が無かったようで目が付いたままでしたが、目ごと食べても美味しい。
握りを食べた後におかわりまで登場しました。
鮨屋なのに何故か鰻屋より美味しい地焼きの鰻丼(三河一色産)も堪能。

そしていつもは終盤戦でおまけのように出される握りが中盤戦で登場。
ネタが厚切りになったことで仕入れ力に優れる同店のネタが活きたのか。
握りの技術が上がってきているのか、今回の握りは4.0を超えるぐらい美味しかったです。

白身のヒラメはネタでシャリが隠れるぐらい厚切り。
同店のシャリは存在感が強くマグロとは合っても白身にはイマイチなことが多かったですが、
今回は厚切りで表面積も広いヒラメの存在感の強さと合って美味しい。
サバにコハダといった光り物の酢〆も適切で、どうしてしまったのでしょうか。
いつもは握りより丼や巻き物の評価が高くなるのですが握りで満足。

握りの後はリクエストしていたニシン(今が旬なのです)を塩焼きで出してくれました。
キロ800円ということで同店で扱う魚にしては安いのですが美味しい。
もっと高級魚であろう桜鱒のムニエルより美味しいと思ったぐらいです。

さくらももいちごを超えそうなスーパーやよいひめ(カリスマ生産者の苺)、
甘くてジューシーなでこぽん、そして何故かデザートの後なのに雲丹と平貝。
平貝の磯辺は2万を超える鮨屋でも食べたことがありますが、
同店はそこに高級なバフンウニまでドカ盛りで超越してきます。
2万円を超えても安いと思える稀有なお店。
1,974文字★

前回は3.8キロもの「明石の鯛」が最高級和食店でも出会えない凄まじさでしたが、
この日の5.2キロもの「クエ(五島列島産)」も甲乙つけがたい素晴らしさ。
銚子産という2.9キロもの「金目鯛」も立派で相変わらずの仕入れ力。

この日食べた料理は以下の通り。

01 小柴スミイカゲソ木の芽味噌和え、伊勢トコブシ
02 福岡トラフグ煮付け
03 能登赤ナマコ
04 筑波ワラビ、和歌山うすい豆
05 蓬麩蕗味噌乗せ、京都菜の花酢味噌和え
06 三河トラフグ白子酒蒸し
07 防風、花わさび
08 五島列島クエ5.2キロ お造り
09 羅臼バフンウニ
10 対馬ブリ藁焼き
11 銚子金目鯛2.9キロ 炭火炙り
12 金目鯛 鱗の唐揚げ
13 徳島タケノコと羅臼助子のお椀
14 クエのカブト酒蒸し
15 クエ鍋(クエ、白子、筍、豆腐、白菜)
16 クエ鍋の〆雑炊
17 クエの肝と胃袋
18 金目鯛の肝刺し
19 クエの腸のソテー
20 淡路ヒラメ(握り)
21 壱岐本鮪大トロ(握り)
22 小柴スミイカ(握り)
23 岡山平貝(握り)
24 宍道湖白魚(握り)
25 伊勢ホウボウ昆布〆(握り)
26 壱岐本鮪中トロ(握り)
27 鴨川〆サバ(握り)
28 大分赤貝(握り)
29 対馬ブリ藁焼き(握り)
30 赤貝ひも(握り)
31 船橋小肌(握り)×2
32 壱岐本鮪赤身ヅケ(握り)
33 鹿児島養殖鰻白焼き丼
34 金目鯛の潮汁
35 ばらちらし
36 唐津浜崎みかん、愛知パーフェクトトマト

木の芽味噌の緑色を纏ったスミイカのゲソから超絶な美味しさ。
トラフグは煮付けになっていて驚愕。
てっさ、てっちり以外で食べることってまず無かったのですが、
ミシュラン三ツ星まき村で食べたトラフグより美味しいぐらいで更に驚愕。
赤ナマコまで出てきて日本酒がグイグイ進んでいきます。

適度に歯応えを残したワラビ、うすい豆は出汁の旨味も加わって何とも美味しい。
インド料理やタイ料理のようにスパイスやハーブで別次元の美味しさになる野菜も良いですが、
日本料理ならではの出汁で引き立つ野菜も良いものです。
この量で原価2,000円というトラフグの白子も反則的な美味しさでした。

そして本日の主役であろうクエのお造り。
厚切りでブリブリと弾力があるのですが、真鯛より脂があって独特の風味。
白身なので明石の鯛に通ずる部分もあるのですが、クエならではの旨味もまた格別。

クエはカブトを酒蒸し、身をお造りと鍋にして、肝と胃袋は湯引きのポン酢おろし、
腸はソテーで登場して、まさに「クエ尽くし」となっておりました。
本日一番の発見だったのがクエの腸のソテー。
牛のコプチャンやシマチョウを思い出すような凄まじい脂が流れ出ており、
脂から感じる強烈な旨味に恍惚となって高級魚の「ホルモン焼き」に舌鼓。

炭火でレアーに炙られた金目鯛もメチャクチャ美味しいです。
同席者によれば鱗の唐揚げを乗せて塩を加えても最高だったとのこと。
肝刺しは苦味があってモツに関してはクエのほうが良かったですが、
身の美味しさは負けないぐらい素晴らしかったです。

吸い口の木の芽の香りが素晴らしい筍と助子のお椀。
走りの筍も美味しいですが、お椀の出汁と水分を含んだ助子が最高。
助子の一番美味しい食べ方かも知れません。

握りでは桜の葉で香り付けした白魚が白眉。
今月は山さき(神楽坂)で白魚のフリッターを食べたり、
花むら(向島)で白魚の天ぷらを食べましたが次元の違う美味しさ。
同店は鮨屋なので握りで感動することもたまにあります。

専門店を凌駕するレベルで毎回のように感動しているのが鰻。
天然鰻は冬眠している時期なので鹿児島産の養殖鰻を白焼きにしていましたが、
地焼きなのに蒸しを入れた鰻のようにやわらかく皮もパリパリ。
都内の鰻屋でこのレベルの白焼きを出せるお店が何軒あるでしょうか。

醤油ベースの金目鯛の潮汁(昆布は真昆布を使用)には金目鯛の目玉入り。
クエのカブトを食べたときも目玉が何とも美味しかったですが、
金目鯛のほうが目玉が大きくて、その食べ応えに満足度が高くなります。

干瓢、ガリ、小肌、穴子、鮪、白子、菜の花、ブリ藁焼き、トコブシ入りの「ばらちらし」。
それぞれの食材を別々に食べても美味しいですし、一緒に食べれば渾然一体の味わい。
鰻丼と海鮮丼の美味しさは都内最高クラスかも知れません。

水菓子は甘くてジューシーなミカンと希少なパーフェクトトマト。
ミシュラン店を凌駕するレベルの食材を扱う高級店でありながら、
お腹がパンパンになるまで貪れるという奇跡体験アンビリバボー。
1,797文字★

本日のうを徳も大物を仕入れていました。
カウンターに鎮座するウラジオストク産2.4キロものタラバガニはまだ生きています。
仕入れ値1尾3万円という3.8キロもの「明石の鯛」も厨房で存在感を放っていました。
この日食べた料理は以下の通り。

01 琵琶湖ホンモロコ甘露煮、京都菜花酢味噌和え
02 大分マナガツオお造り
03 ウラジオストク産タラバガニ2.4キロ 焼きタラバ
04 明石の鯛3.8キロ 肝刺し
05 明石の鯛 松皮造り
06 焼きタラバ2脚目
07 明石の鯛 鱗の唐揚げ
08 函館ムラサキウニ
09 伊豆花わさび
10 タラバガニのヘソ
11 タラバガニ鍋1杯目(菜花、エノキ、豆腐)
12 タラバガニ鍋2杯目(椎茸、白菜、蟹味噌)
13 タラバガニ鍋 蟹味噌入り炊き込みご飯
14 明石の鯛の潮汁
15 明石の鯛 アラ煮
16 タラバガニ 甲羅酒
17 松輪サヨリ(握り)
18 出水春子鯛(握り)
19 宿毛シマアジ(握り)
20 船橋コハダ(握り)
21 壱岐本鮪中トロ(握り)
22 明石の鯛 エラの唐揚げ
23 壱岐本鮪赤身(握り)
24 明石の鯛(握り)
25 愛知平貝(握り)
26 愛知本ミル貝(握り)
27 富津スミイカ(握り)
28 京都海老芋と噴火湾毛蟹のお椀
29 壱岐本鮪大トロと羅臼雲子の手巻き
30 イクラと牡蠣とコノワタ丼
31 宮崎日向夏、愛媛せとか、宮崎金柑

ジャブの如き1品目のホンモロコと菜花から良い味しています。
大分産という大きくて立派なマナガツオは何とお造りでの提供。
足が早いのでお造りで見ることの少ないマナガツオ。
マカジキを思い出すようなトロっと脂の乗った身質で清々しいです。

活きタラバガニは目の前でライブ解体されていきます。
炭火でレアーに火入れした焼きタラバでまずは先制パンチ。
松葉蟹の上品で繊細な味わいに比べると大味とはいえ美味しい。
特に「ヘソ」の筋肉質な身が最上でした。

タラバガニは炭火焼きだけでなく鍋にもなります。
二番出汁とタラバガニから出た出汁の効いたダブルスープが良き味。
さりげなく椎茸などの野菜まで美味しいです。
残り汁で作った炊き込みご飯はまるで「タラバガニリゾット」のよう。

そして5.0満点を超えるぐらいに素晴らしかった3.8キロもの明石の鯛。
これだけ大きいと大味にならないか心配だったのですが杞憂。
松皮造りで出された身はブリブリと弾力がありながら鮮烈な旨味。
関東の鯛は寝かせることが多いですが、この日の鯛は〆たばかり。
素材として最上の鯛は九州のように寝かせないで食べても抜群に美味しい。

また捨てるところがほとんど無いのが鯛の良いところ。
肝も刺身で食べたのですが、仔牛のレバ刺しを思い出すようなアッサリした味わい。
アッサリと言っても肝なので濃厚な旨味があってモツ好きには堪りません。

更に鱗とエラは唐揚げに、鱗だけで生ビールがガンガン進みます。
アラはうを徳のスペシャリテ「潮汁」となって至高の美味しさ。
頭部は「アラ煮」で骨や皮までむしゃぶり尽くします。
目玉の周りのゼラチン質が最高に美味しくて恍惚となりました。

この日は超高級鮨屋が仕入れるレベルのムラサキウニ(1箱3万5千円)も出ましたが、
ウニが霞んでしまうぐらい明石の鯛が圧倒的な存在感。
超高級和食店の京味や松川でもこのレベルの鯛はまず出せないでしょう。

〆の握りも美味しいのですが新たな発見だったのが「大トロと白子の手巻き」。
例えばネギとトロでネギトロ、沢庵とトロでトロタクなど、
鮪のトロと合わせる食材は通常サッパリしたものが多いと思います。

濃厚な大トロと濃厚な雲子(鱈の白子)を合わせるのはどうかと思いましたが、
これが意外と喧嘩せずに組み合わせの妙を感じられる素晴らしい美味しさ。
握りでは都心の高級鮨店を凌駕するほどの満足度とまではいかないですが、
丼と巻き物の美味しさに関しては都内の鮨店でもトップクラスではないでしょうか。

一番出汁の海老芋と毛蟹のお椀。
日本料理の花形と言われるお椀の美味しさもやはり全国トップクラス。
具材がゴロゴロ入っているので食べ応えまであって最上の味わいという異常なお椀。
1箱6,000円超えという金柑など、こだわりの水菓子も相変わらずのレベルの高さ。
8,028文字(日記を含めると91,879文字)★

<摘要>

東武伊勢崎線の「東向島」駅より歩くこと4~5分。
向島百花園の近く、「百花園前」バス停からは歩いてすぐ。
地域密着型の下町のお鮨屋さんです。

1964年創業の老舗で店主は三代目(鮨屋になってからは二代目)。
食材マニアの店主は築地(→豊洲)に週3、千住に週1で通います。
修業先が京都の割烹やましたということもあって、
「京料理と江戸前にぎりのおまかせ」がお店の主力商品。
アラカルト利用も可能なのですが、おまかせのほうがお得です。

初訪問時は5,000円のおまかせもあったのですが、
現在は7,500円~、事前予約で20,000円までの特別コースも可能。
下町のお鮨屋さんとしては高級店の部類に入ります。

しかしお店が持ち家で賃借料が無く、食材マニアの店主の矜持、
お店を切り盛りするのが実質店主1人だけということもあって、
値段に対するコストパフォーマンスの高さはおそらく東京No.1。

おまかせではお酒に合う料理がちょこちょこ出てきて、
お酒を飲んだ後にお鮨で〆て最後に水菓子というスタイル。
飲める人のほうが楽しめるお店でしょう。

前述の通り実質1人で切り盛りしているので提供速度は遅いです。
2~3時間の滞在は覚悟、特別コースのときは毎回5時間コース。
アラカルト注文でも提供は遅いらしいです。

老舗だけあって風情のあるお店なのですが古い建物で換気に脆弱性。
魚を捌いた直後など店内が生臭いことも。
雰囲気重視の、特に女性には嫌がられる面が色々とあります。
デートや接待で利用するのにはあまり向いていないでしょう。
純粋に食と向き合いたい人が行くべきお店と思います。

お店の先代は銀座の奈可田(閉店)出身。
先代から習ったという握りのシャリはイマイチに思っていたのですが、
今はシャリを変えて、火力も炭火に変更するなど日進月歩で進化中。

かつては鮨屋として3.5級、和食店として4.5級という評価でしたが、
現在は鮨屋として4.0級、和食店や鰻店として5.0級。
日本料理の花形であるお椀の美味しさが最高級の和食店クラス。
フレンチのポワレのように皮をパリッと焼き上げた天然鰻は、
他のどのお店でも味わえない日本一とも思う美味しさ。

飲食店には一見客でも常連客でも同じ満足度になるお店と、
常連のほうが満足度が高くなるお店がありますが、うを徳は後者。
お客さんの好みに合わせてカスタマイズする能力が高いお店なのです。

そのため何度も通うことで満足度が上がっていきました。
店主の引き出しの多さから何度通っても毎回新しい発見があります。
鮨屋とは思えないほど野菜や果物にもこだわっていて、
コンソメやムースなど洋食まで楽しめる変なお店。

鮨屋によっては禁忌となるニンニク、高級店は捨てることが多いモツ、
挙句の果てにドリアンまで扱うという異端のお鮨屋さん。
賛否両論あって万人ウケする高級店では無いのですが、
合う人には最高のお店で、何度も通うことで至高のお店となります。
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2017年の初レビューも東向島うを徳の特別仕様おせち。
おせちというより「おつまみ」のような構成ですが随所で和の技術が光ります。
相変わらず鮨屋のレベルを超越したハイクオリティおせち。

一の重は、黒豆、数の子、子持ち昆布、栗渋皮と林檎入り芋金団、蒲鉾、
トラフグ白子、赤ピーマンのムース、煮凝り、カラスミ、ソロバン、
玉子焼き、柚子釜いくら、チーズ入り干し柿、ばちこ。

二の重は、蒸し鮑、車海老旨煮、天然鰻、バイ貝、松茸、京人参、菜花、
独活、慈姑、金柑、八頭、海老芋、落花生、牛蒡、堀川牛蒡詰め物、ガリ。

三の重は、ミニトマト、蟹、本鮪の赤身とトロの藁焼き、〆鯖、小肌、
ヒラメ昆布〆、ヒラメ龍飛巻き、海藻、スダチ、本山葵。

四の重は、メロウ、鰆、小女子胡桃、子持ち鮎甘露煮、穴子昆布巻、鮭昆布巻。

五の重は、金目鯛、マナガツオ、色々な魚のアラ、セロリ、キクラゲ。

更に酒の肴にピッタリなオマケ付き。

うを徳のスペシャリテとも思う、赤ピーマンのムース、カラスミ、藁焼き、
ヒラメの龍飛巻きといった料理はお店で食べるとき同様に美味しい。
特に藁焼きは本鮪のトロを炙ったようで、お店でも見たことのない正月モード。

おせちでしか食べたことのない昆布巻も毎年素晴らしいです。
今年は鮭だけでなく穴子も昆布で巻いていましたが両者の相性抜群。
穴子と昆布がこんなに合うとは驚きました。

同じくおせち限定の柚子釜いくら、車海老旨煮、メロウなども新年の楽しみ。
大手デパートがお歳暮で扱うイクラが冷蔵庫にあったので食べ比べてみましたが、
柚子が香ってまろやかな味付けの柚子釜いくらのほうが遥かに格上。

松茸はもちろん、ミニトマト、セロリ、独活(ウド)など野菜も非凡な美味しさ。
慈姑(クワイ)など縁起物まで美味しくて確かな実力を感じます。
次(2018年分)が最後のおせちとのことで再来年からはおせち難民となりそうです。
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01 鹿児島サツマイモ焼き芋
02 石川源助大根 京人参 羅臼鱈子
03 氷見メジ
04 氷見カツオ
05 富山新湊松葉蟹 脚
06 氷見寒ブリ藁焼き
07 富山新湊松葉蟹 胴体
08 松島牡蠣
09 昆布森牡蠣
10 富山新湊松葉蟹 爪
11 明石ヒラメお造り 肝とエンガワ付き
12 北海道浜中バフンウニ
13 アナゴの肝
14 愛媛トコブシ
15 富山新湊松葉蟹 カニミソ甲羅焼き
16 富山新湊松葉蟹 甲羅酒
17 山口松茸と松葉蟹真丈のお椀
18 トラフグ白子白味噌椀
19 琵琶湖天然鰻蒲焼きミニ丼
20 余市アンキモ 羅臼雲子 出雲椎茸 カラスミ
21 舞鶴鯵(握り)
22 松輪〆鯖(握り)
23 氷見カツオ(握り)
24 氷見メジ(握り)
25 大間本鮪中トロ(握り)2貫
26 ヤケクソ丼(銚子金目鯛、筋子西京漬、生雲子、鰹)
27 明石ヒラメ潮汁
28 岩手メロン 山形ゴールドラ・フランス 新潟越後姫

炭火でこんがり焼いた「焼き芋」が1品目という変則的なスタートでしたが、
芋から蜜が溢れるがごとき糖度の高さでメチャクチャ美味しいです。
外側の皮は炭火で黒焦げですが、香ばしくて焼き芋のレベルを上げていました。

お椀で加賀野菜、京野菜とジャブを打ってきた後は主役級の魚介のオンパレード。
氷見産3連発はメジ、カツオ、寒ブリ。
刺身でストレートに味わうメジ、生姜醤油で漬けにしたカツオに唸り、
藁焼きにして大蒜醤油で味付けした寒ブリで相変わらずノックアウトされます。

蟹の値段が高騰していると聞きますが、新湊の松葉蟹が生きたまま1匹ドーンと登場。
ベキベキと解体されて炭火で焼き蟹となっていきます。
ほじくり出して食べる上品な身の味わいも流石の美味しさですが、
超絶な美味しさだったのは何といっても甲羅焼きにされたカニミソ。
自分がモツ好きなこともあってこの濃厚な旨味には魅了されました。

牡蠣の食べ比べは松島と昆布森。
この日の昆布森は何故かクリーミーさに欠けてアッサリ系。
アッサリ爽やかながら旨味が鮮烈な松島のほうに軍配。

2.7キロものという巨大なヒラメですが大味にはならず力強い旨味。
肉厚にカットされたお造り、エンガワ、肝刺しと都心の超高級店でも味わえない美味しさ。
12月の謝恩セールということでバフンウニも高級品を仕入れているようです。
こちらも都心の超高級鮨店で扱うレベルの逸品でしょう。

お椀が連続で登場。
まずは名残りの松茸と、超巨大な松葉蟹真丈のお椀。
松葉蟹の使用量が尋常ではなくて圧倒されます、お椀の美味しさも相変わらず。

そして白子の「王様」とも思うトラフグの白子を白味噌椀で。
この日は雲子(鱈の白子)も加熱、生と2種類楽しんでいずれも美味しかったですが、
トラフグの白子のほうが旨味やクリーミーさが一段上という印象。

琵琶湖の天然鰻は少し大味にも思ったのですが、その美味しさは相変わらず。
アンキモ、椎茸、雲子、カラスミのプリン体アラモードでお酒を蒸発させ、
一応お鮨屋さんなので握りも提供されていきます。

握りですが今日は少し硬めのシャリが口の中でほどけて良かったです。
鯵、鯖、カツオ、メジ、更に大間の本鮪の中トロが2貫。
鮨屋としても十分に楽しめるレベルになってきています。

そして本日の白眉とも思った金目鯛、筋子西京漬、生の雲子、鰹のヤケクソ丼。
炙った厚切り金目鯛がかなり良いです。
西京味噌がガツンと主張する筋子も味こそ濃いのですが酢飯との相性最強。
一部は酒肴としてビールに合わせて良し、酢飯と合わせて良し。
何とも汎用性が高く美味しい丼で大満足。

うを徳のスペシャリテとも思う潮汁(この日の吸い地は利尻昆布)。
異常なまでにこだわるフルーツ盛りも相変わらずどれも感動級に美味しい。
来年の予約も3月まで3ヶ月連続で入れてしまいました。
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今月2回目の訪問、寒くなってきましたが食材の豊富な季節。
蟹の内子、外子、カニミソ、牡蠣、ヒラメの肝、ウニ、アンキモ、
アナゴの肝、カラスミ、筋子、白子などプリン体の豪華共演。
更には鳥羽産の伊勢海老を玉子焼きにしてしまうという暴挙。

01 香住セイコガニ酔蟹
02 香住松葉蟹カニミソ和え
03 松葉蟹の甲羅酒
04 能登アオナマコ茶ぶり
05 釧路牡蠣
06 山口トコブシ
07 聖護院かぶ
08 鳥羽伊勢海老の身と海老味噌入り玉子焼き
09 氷見の鰤の藁焼き
10 明石ヒラメお造りと肝刺し
11 釧路バフンウニ
12 余市アンキモ
13 対馬アナゴの肝
14 大阪湾カラスミと京都海老芋
15 若狭ぐじと山口長門松茸のお椀
16 児島湾1.7キロ天然鰻蒲焼き丼
17 対馬本鮪脳天(握り)
18 富山白海老(握り)
19 東京湾小柴スミイカ(握り)
20 青森ヒラメ昆布〆(握り)
21 小柴小肌(握り)
22 岩手筋子西京漬(握り)
23 明石ヒラメ潮汁
24 対馬本鮪大トロ(握り)
25 ミンク鯨鹿の子(握り)
26 宮古〆鯖(握り)
27 対馬本鮪中トロ(握り)
28 羅臼生雲子丼
29 愛媛紅マドンナ
30 和歌山黒あま
31 山形ラ・フランス

まずはズワイガニのメスとオスの共演。
紹興酒、萬膳(芋焼酎)、実山椒、生姜、ネギで漬け込んだという、
セイコガニの内子やカニミソのトロッと濃厚な美味しさが堪りません。
松葉蟹は身の旨味が強くてこれもまた良し。

茶ぶりにしてやわらかくなったナマコ、生の牡蠣はスダチで爽やかに。
トコブシ、聖護院かぶもやわらかくて間違いない美味しさ。
酒肴にもピッタリなので日本酒が進んでしまいます。

そして伊勢海老をすり身にしてしまったという玉子焼き。
砂糖を多めに入れてフワッと焼き上げているようですが、
こちらもカステラのような食感と伊勢海老の旨味が堪りません。
伊勢海老が勿体無いですが確かに美味しい玉子焼きで驚愕。

氷見のブリは豪快カットでニンニク醤油と合わせて藁焼きに。
中心に少しだけ冷たい部分がありましたが超絶な美味しさ。
高級な鮨屋では臭いの強さから禁忌ともなるニンニクですが、
このパンチ力のある美味しさは素晴らしいです。

白身魚にこだわるうを徳だけあってヒラメのお造りも鮮烈かつ強烈な旨味。
肝はホルモン焼き専門店のレバーでも敵わない美味しさで、
ウニもまた2万円以下のコースとは思えないクオリティの高さ。

キロ2万円という余市のアンキモ、穴子の肝と肝尽くし。
揚げた海老芋にはカラスミが乗っての登場。
少し生臭さは出てしまいますが面白い組み合わせで、
一緒に食べても別々に食べても美味しかったです。

お椀は二番だしと甘鯛(ぐじ)を吸い地にした松茸とぐじのお椀。
そして真昆布とヒラメの潮汁。
相変わらず鮨屋とは思えないお椀へのこだわりです。

そしてそろそろシーズンの終わりそうな天然鰻は児島湾1.7キロもの。
凄い身厚なのですが意外なことにフワッと身がやわらかく、
ポワレのようにカリッと焼き上げた皮も超絶な美味しさ。
鰻専門店でも味わえないスペシャルな鰻丼です。

握りも本鮪の脳天、白海老、筋子の西京漬け、ミンク鯨の鹿の子など、
面白いネタから定番のネタまで色々と楽しめました。
どうしても後半戦となってしまいますが鮨屋としてもレベルアップ中。

握りの後には生の雲子(鱈の白子)丼で恍惚となって、
最後の水菓子はこれまた非凡な3種類のフルーツ。
特に名人が育てたというラ・フランスは香りも食感も素晴らしいです。
洋梨の中でも別次元な美味しさで本日も〆まで抜かりなく楽しめました。
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過去訪問分の写真とレビューは下記リンク先の日記に移行
2017年おせちの写真とレビュー
https://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/146572/
2016年12月の写真とレビュー
https://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/146242/
2016年11月の写真とレビュー
https://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/145758/
https://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/145360/
2016年10月の写真とレビュー
https://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/144487/
2016年9月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/143510/
2016年8月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/142813/
2016年7月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/141905/
2016年5月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/140715/
2016年4月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/139922/
2016年3月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/138478/
2016年2月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/136856/
2016年1月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/136161/
2016年おせちの写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/135740/
2015年12月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/135739/
2015年11月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/135303/
2015年10月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/134251/
2015年9月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/132723/
2015年8月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/131987/
2015年7月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/131033/
2015年6月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/130119/
2015年5月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/129061/
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/128281/
2015年4月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/127513/
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/127514/
2015年3月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/126434/
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/125217/
2015年2月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/124930/
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/124181/
2015年1月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/123836/
おせちと折詰の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/123456/
2014年12月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/122554/
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/121953/
2014年11月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/121820/
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/121322/
2014年10月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/120722/
2014年9月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/118632/
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/118141/
2014年8月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/117445/
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/116959/
2014年7月の写真とレビュー
http://tabelog.com/rvwr/giblets/diarydtl/115730/
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2014年7月初投稿、2014年8~12月更新、2015年1~12月更新
2016年1~5月更新、7~12月更新、2017年1月更新

  • 2021.4 桜鯛(明石の鯛)
  • 2020.10 太巻き(大トロ炙り、うに、いくら、鯖、搾菜)
  • 2020.10 余市松皮鰈潮汁

もっと見る

2位

柚木元 (飯田、桜町 / 日本料理)

11回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥50,000~¥59,999

2024/04訪問 2024/05/06

【★5.0】食べログGOLDアワード初受賞おめでとうございます!【1500-11】

2,230文字★

東京から長野県に来ております。

2024年の食べログアワードが発表されてから3ヶ月ぐらい過ぎてしまいましたが、
今更ながらGOLDアワード初受賞おめでとうございます。
(そして「BEST REGIONAL RESTAURANTS」も初受賞という悲願のダブル初受賞。)

同店がGOLDに昇格して筆者のGOLD店への訪問軒数が20軒に達したのですが、
(同店で11回を稼いでいることもあってGOLD店への訪問回数は通算72回に)
GOLD店で同店を超える満足感を得られるお店もまずございません。

今春は神楽坂石かわ(4.38)や京都の木山(4.37)といった、
いずれも食べログSilverアワード受賞店で牛肉を使用した花山椒鍋を食べたのですが、
信州遠山郷で獲れた最高品質のツキノワグマを扱える同店の花山椒鍋はやはり格別。

ジビエは冷凍技術の発達した現代に於いては1年を通じて楽しめる食材になっていますし、
春ならではの山菜、信州新町で生産者がこだわり抜いて育てたサフォーク種の経産マトン、
地元飯田市産の上位5%というぶっといアスパラガスなど唯一無二な食体験に大感動。

01.コシアブラ飯蒸し(焼いたコシアブラ、蒸したもち米)
02.天然岩魚(いわな)煎餅 叩き木の芽
03.春の八寸
03-1.野蒜の松前漬け風
03-2.稚鮎(天龍鮎)唐揚げ酢味噌添え
03-3.甘草と新玉葱を巻いた信州サーモン桜チップスモーク 桜の花びら塩漬け乗せ
03-4.山菜おからを詰めた「塩いか(長野県の郷土料理)」
03-5.そば寿司 炊いた野蕗
03-6.山独活きんぴら
03-7.タラの芽南蛮仕立て 紹興酒に漬けてから素揚げした沢蟹
04.空豆のお椀(昆布出汁で炊いた空豆鞘の擂り流し、空豆の葛豆腐)
05.鯉腹身の薄造り(醤油、酢橘、山椒オイルで味付け、あしらひに蕗)
06.春のおやき(千代幻豚バラ肉と行者ニンニク入り)
07.飯田産2色のアスパラガス蒸し焼き 大鹿村産山塩添え
08.焼き胡麻豆腐(自家製胡麻豆腐)蕗の薹味噌(白味噌ベース)
09.信州新町産3歳経産サフォーク種マトン背ロース藁焼き 付け合わせのマリネ(クレソン、ウルイ、エシャロット)
10.東寺湯葉 叩きわらび乗せ
11.トマト最中(フルーツトマト、安曇野産茎わさび甘酢漬け入りクリームチーズ、甘酢ジュレ)
12.花山椒鍋とお食事
12-1.熊タン花山椒鍋
12-2.熊ロース天然三つ葉鍋
12-3.熊雲呑花山椒鍋
12-4.熊バラ花山椒すき焼き
12-5.グリーンアスパラガスご飯(東御市の謙太郎米を使用)
12-6.香の物(春キャベツ)
12-7.スープ(鍋の残り汁を玉子とじに)
12-8.熱い焙じ茶
13.紅ほっぺ(いちご)と甘酒のスムージー 自家製蕗の薹入りどら焼き

まずは揚げ焼きにしたような山菜の女王「コシアブラ」に舌鼓を打ちます。
東北地方や中国地方の山菜料理店でコシアブラチャーハンを食べたことがあるのですが、
コシアブラは油やお米との親和性が高いのです。

贅沢にも天然の岩魚をプレスした煎餅、春ならではの山菜八寸も良いです。
山菜は苦味やえぐみの出やすい食材なので人によって好みの分かれるところですが、
それを何とも食べやすく下処理しており洗練された美味しさとなっていました。

天然ではなくて地元飯田市で栽培しているホワイト及びグリーンのアスパラガスですが、
上位5%の太さという個体を厳選しており、地元ならでは瑞々しさが素晴らしいです。
フレンチで食べるホワイトアスパラガスはロワール産やオランダ産などの外国産が主流、
グリーンアスパラガスは北海道JETFARM(通称ハセパラ)が最高ブランドと化していますが、
輸送によってどうしても水分が抜けてしまうので同店は市内という地の利にこだわります。

アスパラガスを岐阜県の某イタリアン百名店は炭火焼きにしていましたが、
炭によって苦味が出てしまう面もあって良し悪し。
同店は敢えて炭火を使わず蒸し焼きにしていました。
このほうがクリアーな美味しさを楽しめて良いように思います。

出産後も食肉として出荷できるよう手当した、生産者が利益度外視でこだわり抜いたマトン。
国産の羊肉は外国産に比べて臭みや癖が穏やかであることが多く、
ラムやホゲットでは軽やかに過ぎて物足りなさを覚えることもあります。
国産の羊はマトンを食べてこそ本領発揮という気がしています。

レアー感を残す火入れながら脂身が舌に障らず火入れの上手さがフレンチ顔負け。
羊は脂の融点が高いので凡店がレアーに焼くと脂が障るケースが散見されます。
これだけ美味しい羊は全国のフレンチを巡ってもまず出会えません。

融点の高い羊に対して融点の極めて低いツキノワグマ。
ご主人がロース肉を箸で摘まむと、常温で融点に達しており脂が滴っていました。
富山県のレヴォ(4.53)はツキノワグマの赤身肉だけを使用。
それはそれで美味しかったですが、ジビエの魅力はやはり脂身でしょう。

ツキノワグマの野趣と花山椒の香りが何とも良く合います。
花山椒鍋という食べ方が活きるのは家畜の牛肉よりジビエの熊肉であることを確信。
春の「熊花山椒鍋」、夏の「月とすっぽん鍋」、秋の「熊キノコ鍋」、冬の「熊白湯鍋」。
どの季節も魅力ありますが同店で一番気に入っている鍋は春の熊花山椒鍋。
2,166文字★

東京から長野県に来ております。

2023年はニュースになるぐらいの松茸不作年。
ご主人も同店(4.53)の跡を継いで以来、こんな不作なのは初めてとおっしゃるレベル。
(都内某店で伺った話では豊洲に入ってくる松茸が岩手産ばかりで信州産は皆無とのこと。)
そんな危機的状況の中でも信州の朝採れ特級松茸や雑キノコ各種など、
最高クラスの食材がズラリ揃えられており圧巻でした。

01.前菜盛り合わせ
01-1.子持ち天龍鮎タレ焼きと自家製栗の渋皮煮
01-2.天然舞茸の南蛮仕立て
01-3.クロカワ(老茸)お浸し おろし醤油で
01-4.アミタケ 胡麻油と塩でレバ刺し風
01-5.あけび(1日半水にさらした皮の唐揚げと裏漉し果肉)
01-6.ショウゲンジと信州牛の炊いたん
01-7.コロ(ミニサイズ)松茸の味噌漬け
02.松茸の土瓶蒸し(吸い地は昆布と鱧)
03.焼き松茸 大鹿村の山塩で
04.子持ち天龍鮎の藁炙り卵和え(藁で炙った身、骨の唐揚げ、卵は軽く火を入れ味噌だまりで)
05.松茸ペシャメルソースおやき
06.松茸フライ 自家製ソースで
07.アカヤマドリタケ・オオイチョウタケ・綿内れんこん・里芋・棗を詰めた信州ぎたろう軍鶏のロースト
08.菊梅(天然なめこ入り)
09.干し香茸の玉子焼き
10.最中(自生ポポーのクリーム、フィンガーライム、和梨入り)
11.お食事
11-1.秋熊ロースと天然ノコ(松茸、ハナイクチ、ヌメリスギタケモドキ)すき焼き
11-2.冬熊ロースと天然キノコ(ハナイクチ、ヌメリスギタケモドキ、アミタケ、ハタケシメジ、ヌメリイクチ、ナラタケ)鍋
11-3.松茸ご飯
11-4.香の物(きゅうりの芥子漬け)
11-5.鍋の〆雑炊
12.自家製栗粉餅とシャインマスカット

まずは前菜盛り合わせで里山の秋の味覚を堪能。
森のレバ刺しとも呼ばれるアミタケを胡麻油と塩でレバ刺し風に仕立てるなど、
各種キノコに応じて調理法を変えておりバリエーション豊富。
コロ松茸の味噌漬け、これが特に美味しくて前菜の白眉、松茸の狂宴の始まりです。

土瓶に狂ったようなボリュームの松茸がドッサリ乗っており驚愕。
こんな土瓶蒸しを都心で求めると一体いくら取られるのか恐ろしくなってきます。
しかも松茸は足の早いキノコなので都心でこのクオリティに出会うことは不可能。
産地の朝採れ特級品を、産地でランチに食べる、しかも招福樓(3.96)仕込みの技術で。
こんな条件の良いお店が果たして他にあるでしょうか。

キノコ不作に備えて天龍鮎(トップブランド養殖鮎)の料理も色々と考案したようで、
藁で炙った身に真子を和えるという、子持ち天龍鮎ならではの美味しさにも舌鼓。
松茸以外の料理もさりげなくハイレベルなのが同店。

コンセプトは天龍鮎と同じ(つまり不作に備えて)であろう信州ぎたろう軍鶏。
都心の食べログGOLD店もスペシャリテに用い『美味しんぼ』でも紹介されたブランド地鶏。
マリネして、夏キノコなど詰めて、中抜きの1羽を丸ごとロースト。
抜いたレバーはペーストにしてお皿に添えてあります。

ローストチキンは胸肉がパサつきやすいのであまり好んで食べない料理ですが、
同店は下処理でマリネしているからか、火入れが上手いからか胸肉もシットリ食感で美味しい。
ソリレス(腿肉)や皮の旨味が特に凄まじくてブランド地鶏の面目躍如。
松茸の鍋とご飯が待っているというのに4人で1羽をペロリと完食。

メインの松茸はシンプルな焼き物で味わうこと1本半(焼き物だけで1人あたり1本半です)。
中華の焼き小籠包のような「おやき」の中にも松茸とペシャメルソース。
前年に究極と評した松茸フライは今年は傘だけでなく蕾(つぼみ)も。
(とはいえフライで食べて最高に美味しいのは傘のほうで蕾はやはり焼き物に向いています。)

お口直しの「菊梅(きくうめ)」はご主人の修業先である招福楼に於ける秋の定番料理。
同店のポリシーとしてフレッシュは使わず干してから使う香茸、
ご主人のお父様の庭に自生していたポポーを使った最中など挟んで〆のお食事。

秋と冬のツキノワグマ及び天然キノコを使った鍋料理2種類。
すき焼きには秋に獲れたフレッシュなツキノワグマのロース。
すき焼きよりアッサリした鍋には冬に獲って冷凍しておいたツキノワグマのロース。

同じロースでも秋のほうが赤身比率が高くて、ジビエならでは肉にも季節感が表われています。
あくまで主役はキノコで熊の役割は鍋の出汁ゆえロースの火入れがいつもより強め。
松茸と熊のすき焼きをおかずに松茸ご飯を食べるという狂った宴を腹パンになるまで堪能。

松茸、ツキノワグマ、信州ぎたろう軍鶏、天龍鮎、ブランド食材を貪っていましたが、
それでも夜にはお腹が空いてきたのでカロリーは低いのでしょう。
(一般的にカロリーが高いほど美味しいですが、高級食材は例外的にヘルシーなのに美味しい。)

都心で同じ内容を求めれば数十万円の散財となること確定的。
しかも里山の食材は足が早いので都心で食べても高いだけでクオリティは下がるという二重苦。
松茸は東京に運ばせるよりも自分が産地に移動して食べるほうが合理的なのです。
2,008文字★

東京から長野県に来ております。

スコア4.51まで上昇して長野県の食べログNo.1の座に君臨している同店。
悲願の食べログGOLDには今年も届かなかったようですが、
GOLD店のいくつかを凌駕する超ハイスコアを叩き出しています。

そんな同店に於いて特に評判となっているのが松茸の季節とジビエの季節。
2月の今回はもちろんジビエを目当てに訪れたのですが、
仔熊やコガモ(鴨の仔ではなくてコガモという種)の素材力の高さに目を見張りました。

ツキノワグマの仔熊を食べられるお店なんて同店と柳家(4.47)ぐらいしか知りません。
全国屈指であろう食材の凄まじさ。
それに加えて修業時代は松川(4.63)の弟分だったというご主人の調理技術も全国屈指。
食材も技術も全国屈指だからこその食べログ4.51なのでしょう。

01.熊の脳味噌ムニエル 綿内れんこんグリル 大葉
02.熊スネ肉のお椀仕立て
03.鹿の心臓ユッケ 葱 鶉の卵黄
04.猪バラ肉と紅玉(りんご)のおやき
05.コガモ そのガラと片栗粉のソース 蕪の酢漬け
06.自家製コンニャク白和え
07.熊の腕肉焼き 熊の腕肉ハンバーグ 柚餅子ソース 香茸ポテト
08.猪バラ肉の黒酢仕立て
09.地物野菜と果物の盛り合わせ
10.熊ロースと葱の熊白湯鍋
11.マガモと芹の炊き込みご飯、香の物(白菜)、止め椀(熊白湯鍋の残り汁と葱)
12.熊ホルモンうどん
13.熊ヒレカツと熊頭肉キーマカレーライス
14.プリン(親田高原の鶏卵を使用)
15.地元檸檬農家のメイヤーレモンジェラート 地元檸檬農家のスイートレモネード果肉

ツキノワグマの仔熊を(胃袋など一部を除いて)丸で仕入れており、
白子に見立てた「脳味噌」のムニエルからコースが始まります。
ちなみに胃袋は漢方薬の素材、掌は中華料理の高級乾貨となります。
和食で使うよりもそちらのほうがパフォーマンスを発揮するのだと思います。
(お金さえ出せば手に入るのでしょうけどコストには見合わないかと。)

お餅のように見えたスネ肉は8割ぐらいが脂身といった比率。
食べてみると「お麩」のような食感で、ジビエならでは脂が軽やかで甘みも感じます。
ツキノワグマが山肉の王様などと評される理由はこの甘みにあるのかも知れません。

ユッケの心臓は安全性を担保するため解凍品ですが現代は冷凍技術が発達。
生(非冷凍)で食べる牛や豚のハツ(心臓)より美味しいぐらいで、
ジビエの鹿だからでしょうか力強いような旨味も感じられます。

コガモとマガモを食べ比べたのですが野趣の強いマガモに対してコガモは癖など皆無。
一方で旨味の強さに関しては負けておらず、総合力ではマガモ以上かも知れません。
和食でシンプルに味わうのであれば同店のコガモ。
フレンチのサルミソースで味わうのであれば水戸オオツ(4.15)のマガモ。
筆者が5.0満点と評価する東西のNo.1鴨料理となります。

そして脳味噌やスネ以上に仔熊のポテンシャルの高さが発揮されていたのが腕肉。
半分以上は脂身でジビエならではの弾力感も有していますが、
噛み締めるごとに凄まじい旨味が溢れ出てきて驚愕。

ツキノワグマは弾力が強いので他店で食べて美味しいと思うのは薄切りカットばかり。
厚切りカットでも食べやすくて美味しいのは「仔熊」という若さの恩恵かも知れません。
こんな熊肉を都内で食べた経験は未だ無いです。
産地かつ猟師との強力なパイプを持つ、ほんの一握りのお店でしか味わえないでしょう。

もちろん薄切りカットのロースも抜群に美味しかったです。
いつにも増して良質だったような気がします。
特に熊白湯スープが清湯を思わせるようなクリアー感ながら旨味鮮烈。
これは今回のスープの出汁に仔熊を使っていたからでしょう。

地物の野菜と果物は、新玉葱、菜花、牛蒡、蕪、紅芯大根、黄人参、金時人参、紫大根、
ラディッシュ、ヤーコン、ほうれん草、エシャロット、花わさび、切り干し紅芯大根の漬物、
芽キャベツ、カリフラワー、菊芋チップス、なかののきらめき(ピンク色のりんご)、
ゴールドキウイ、八朔、金柑ライム、計20種類ぐらいを1皿で楽しめます。

〆は津山(岡山県)のB級グルメ「ホルモンうどん」を思わせる熊ホルモンうどん。
牛のシャトーブリアンより遙かに希少であろう熊ヒレのヒレカツ。
ホルモンまで甘い(砂糖の甘さではありません)ツキノワグマ。

そして本日の白眉とも言える熊ヒレカツ。
赤身メインな肉質ながら筋肉質で、揚げているのにホロホロ解けてパサつかず美味しい。
とんかつ百名店でヒレカツを食べ歩いてもこれを超えるイメージが沸きません。
希少なジビエを楽しめて(ここが一番重要なポイントですが)凄まじく美味しい。
珍味だけにあらず美味、これが筆者5.0満点評価の理由となります。
2,785文字★

東京から長野県に来ております。

2020年の松茸生産量(収穫量)を調べると、岩手県と長野県の2県で全国の88%を占め、
岡山県を含めた3県で92%(つまり残り44都道府県を合わせても全国の8%に過ぎない)。
それなのに松茸の最高ブランド産地とされているのが丹波(京都府)。

京都府の全国シェアは僅か0.6%(2020年度)となっており、
特クラスの丹波産を求めるとなると、あまりに希少で数十万円を超える高値に。
そこまで高い松茸を食べたことは未だ無いのですが、
(豊洲市場経由で仕入れた丹波産であれば食べたことはあります)
何とか手の届く同店(4.47)で信州の特クラスを堪能しておりました。

おそらく信州の朝採れ特クラスも丹波に負けず劣らず日本最高峰のはず。
何故なら同店を経験した弊害で、都内で松茸を食べても全く感動を覚えなくなったからです。
ミシュラン三つ星で岩手産松茸を食べても同店と比べてしまうと「月と鼈」。

都内で同じ内容を求めれば20万円、或いはボリュームが同じでもクオリティに劣るでしょう。
それだけ松茸は足の早い食材でもあるのです。
絶対額こそ高いですがこの地でしか味わえないであろう唯一無二な価値。
(ちなみに松茸の季節は予約1年待ちとなってしまうそう。)

01.前菜盛り合わせ
01-1.おしょうにん(老茸)おろし和え
01-2.長野産綿内れんこん(焼き物)
01-3.オオスズメバチ幼虫(甘く炊いて)
01-4.姫松茸の味噌漬け
01-5.キュウリと塩いか胡麻酢和え
01-6.信州伝統野菜下栗芋(じゃがいも)素揚げ 天龍鮎アンチョビ うるかバター パセリ
01-7.灰汁を抜いたアケビ皮の唐揚げ アケビ果肉の裏漉しソース
02.松茸の土瓶蒸し(吸い地は鱧の骨だけ)
03.鯉の腹身の薄造り 大葉オイル 酢橘 やたら
04.松茸ホワイトソースおやき
05.子持ち天龍鮎タレ焼き 地物栗渋皮煮
06.焼き松茸 大鹿村の山塩で
07.松茸フライ 山塩 or 自家製ウスターソース
08.チチタケにゅうめん
09.干し香茸入り玉子焼き 干し香茸と戻し汁のソース
10.清水牧場産羊のチーズのフォンデュ(天然舞茸、信州新町産サフォークのハツ、ミニ人参とその葉っぱ、ラスク)
11.お口直し(無花果の白味噌仕立て)
12.ツキノワグマのロース肉と天然雑キノコの鍋
13.お食事
13-1.松茸と銀杏の炊き込みご飯
13-2.天然ホンシメジと銀杏の炊き込みご飯
13-3.香の物(ハヤトウリ糠漬け、キュウリ芥子漬け)
13-4.松茸の信州牛巻き
13-5.鍋の〆雑炊
14.売木村産ヤギのフレッシュチーズ(レアチーズ)と洋梨(オーロラ)

まずはキノコや地物の食材を色々と盛り込んだ前菜。
老茸やアケビの皮は苦味の強い食材と知られますが調理で上手く緩和しています。
オオスズメバチの幼虫も昆虫食文化の根付いた信州ならではでしょう。
(何度も通っている筆者の特別仕様であって一見さんには出さないと思うのでご安心を。)

吸い地が鱧の骨だけという土瓶蒸しは蓋を開けると松茸ギッシリ。
こんなに松茸を入れる土瓶蒸し他店で見たことないです(通常の3倍を超えています)。
銀座で同じ土瓶蒸しを求めるとアラカルト何万円となるのでしょうか。

焼き松茸を食べるときによく分かるのですが、松茸からは「甘露」といった甘い汁が出ます。
そんな松茸の甘み、旨味、香りが吸い地に加わるのでベースは鱧の骨だけで十分。
朝採れならではシャキシャキシコシコ歯応えの強い松茸に舌鼓。

鯉の薄造りは小骨が障らないよう腹身だけ使用。
「やたら」という夏野菜を刻んだ北信州の薬味(例えれば山形県のだし)と合わせています。
古い文献では真鯛と並ぶご馳走とされている鯉。
カルパッチョのような仕立てで食べるこの鯉の美味しさ明石の鯛に匹敵しており感動クラス。
養殖だからこそ稚鮎サイズなのに子持ちの鮎など楽しんで、いよいよ主役の焼き松茸。

焼き松茸に使用するのは傘の開いていない「つぼみ」状態の松茸。
それを半分ぐらいにカットして先端だけを焼きます(軸のほうは炊き込みご飯などに使用)。
炭火の七輪に乗せて、奉書紙で覆い、霧吹きしながら蒸し焼きにしていきます。

大鹿村の山塩だけでダイレクトに味わう松茸は、香りと歯応えのバランスが何とも秀逸。
9月に福井県のミシュラン二つ星で岩手産の焼き松茸を食べましたが別次元。
お皿に溢れ出た汁が「甘露」といった甘さになっているのにも驚かされます。

今の季節は日本全国の高級和食で松茸を扱っていますが、
このように松茸の甘さまで楽しめるお店が果たしてどれだけあるでしょうか。
香りだけでなく甘みも楽しめるのが本場の朝採れ特クラス。

そして美味しさという点では焼き松茸を凌駕していた松茸フライ。
ご主人は「分かりやすい美味しさ」とおっしゃっていましたが、
香りマニアで脂舌な筆者にとって油脂添加した天然キノコは最高のご馳走。

傘の開いた松茸も使っていますが、傘が開いたほうが香りは強かったりします。
(その代わり香りがどんどん抜けてしまって賞味期限は短いです。)
衣の中に閉じ込めた香り、油脂添加された旨味が口の中で爆発。
OMAKASE経由で食べログGOLDやSILVERの高級天ぷらを巡ってみましたが、
それより遙かに感動を覚える圧倒的5.0満点な揚げ物。

栃木県民が松茸より珍重するチチタケ(チタケ)。
ちたけそばが栃木県の郷土料理となっていますが同店はにゅうめんを使用。
香りと旨味の爆弾だった松茸の後なので口直しに良いです。

チーズフォンデュには羊のチーズ(最後のデザートはヤギのチーズ)。
希少な地物サフォーク(羊)のハツを入れるなどマニアック。
ジンギスカン店で食べる輸入羊のハツは臭みが凄かったりするのですが、
このハツは臭みとは無縁で「肉」かと思うぐらい食べ応えに富んでいます。

鍋に使う雑キノコは、アミタケ、ムラサキアブラシメジ、ハタケシメジ、クリフウセンタケ、
ジコボウ(ハナイグチ)など、ヌメリがあって鍋料理との親和性が高いです。
吸い地は昆布、そこに熊とキノコの旨味が溶け込んでいきます。

ツキノワグマのロース肉は前年に獲れたものをマイナス60℃で冷凍保存しているのですが、
フレッシュな熊肉との違いはもう分からないレベルで美味しい。
松茸(キノコの王様)だけでなく山肉の王様も堪能。

あまりのボリュームに同席者のギブアップが続出して炊き込みご飯の一部はテイクアウト。
「香り松茸、味湿地」なんて例えがあるように、
天然ホンシメジの美味しさが松茸に負けず劣らずでした。
おかずに松茸の信州牛巻きまで登場してまさに「松茸の狂宴」。
2,582文字★

東京から長野県に来ております。

食べログSILVERかつ日本料理 EAST 百名店に選出されている同店(4.48)。
ほとんどGOLDと変わらない評価を既に受けているのですが、
ツキノワグマやイノシシなどジビエにサフォーク種のマトン(内臓部位を含む)、
春の山菜といったマニアックな食材を楽しめて筆者の満足度はGOLD店を遙かに凌駕。

農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」第12回(令和3年度)で、
ブロンズ賞に輝いたオーナー料理人の萩原貴幸氏が指揮を執ります。
松茸(秋)やジビエ(冬)のほうが人気ですが春の料理も年々レベルアップ。
同じ週に食べログGOLDにもお邪魔したのですが筆者の軍配は圧倒的に同店。

01.春の前菜盛り合わせ
01-1.沢蟹紹興酒漬け揚げ
01-2.コゴミ胡桃和え
01-3.野蒜酢味噌和え
01-4.山独活きんぴら
01-5.天然芹芥子和え
01-6.タラの芽南蛮漬け
01-7.蓬豆腐
02.筍の玉締め椀
03.稚鯉腹身の薄造り(大鹿村の山塩、合わせ醤油、酢橘、山椒オイル)ツクシ ウルイ
04.おやき(千代幻豚白肉、行者ニンニク、軽井沢アトリエ・ド・フロマージュのカチョカヴァロ)
05.岩魚の春巻き(骨を焼き上げお米に混ぜフックラ焼いた身と「岩魚の飯蒸し」にしてウコギと春巻きに)
06.信州新町産サフォーク種マトン肩ロース マイヤーレモンのチャトゥニ 金柑ライム クレソン 独活
07.サフォーク種マトンのタン 菜の花ソース
08.ワラビの信田巻き
09.サフォーク種マトンのハツ塩マリネ 原木椎茸 タラの芽 自家製マスタード 酢橘
10.トマト最中(地物フルーツトマト、安曇野産花山葵クリームチーズ、花山葵ジュレ)
11.猪バラ肉の黒酢餡掛け
12.緑と白の地物アスパラガス 黄身酢 熊味噌(ツキノワグマのスネ肉)
13.自家製の焼き胡麻豆腐 蕗味噌(蕗の薹と白味噌)
14.草鍋(ツキノワグマのロース肉、天然三つ葉、天然芹、筍、採れ立ての木の芽と花山椒)
15.炊き込みご飯(駿河湾産桜海老、筍、木の芽)香の物(春キャベツ)
16.猪白湯ラーメン(猪チャーシュー、地粉麺)
17.蕗の薹ティラミスのタルト(蕗の薹ペースト、マスカルポーネ、西京味噌)

海の無い長野県に位置するので桜海老など海産物に関しては地物では無いですが、
ほとんどの食材が長野県産となっておりテロワールに強くこだわっています。
前菜は山菜の個性に合わせて味付けを変えてあって繊細。
よくある田舎臭い里山料理店の山菜とは味付けの上手さが決定的に違います。

筍のお椀は真薯ではなく(葛粉と卵で)玉締めに。
孟宗竹が採れる北限が飯田市なので県内の他の和食店も飯田産の筍を使うのですが、
どちらかと言えばアッサリした味わいという印象の飯田産筍。
(北九州合馬産や京都塚原産の白子筍のようなコーン感を覚えません。)

ストレートにお椀にすると(県内某和食店がそうでした)アッサリに過ぎる。
真薯にすると白身魚の主張が強くて筍が立たない。
ということで玉締め椀という食べ方が飯田産筍の最適解かも知れません。
筍ならではの食感と風味を楽しめて葛粉と卵で旨味も補完されており素晴らしかったです。

腹身だけ薄造りにすることで小骨が全く障らない鯉も絶品。
GOLDに輝く比良山荘(4.51)で食べた鯉の生刺しに匹敵するクオリティ。
筆者の主観では比良山荘は調理技術より素材に凄味を覚えるお店。
同店は調理技術も素材もどちらとも凄まじいので筆者の評価GOLD超え。

おやき(長野県の郷土料理)2年前の春はクレソンでしたが今回は行者ニンニク。
同じ4月でも時期によって使用する山菜が異なります。
こういう一期一会な味わいもまた里山料理の魅力でしょう。

春巻きの岩魚は過去に食べた岩魚で最高の美味しさ。
淡水魚で美味しいのは鮎やモロコと思っていましたが鯉や岩魚で感動を得られるのが同店。
おそらく素材が特別なのでしょう。

そして信州新町産サフォーク種の何とマトンが登場。
都内でも門前仲町の「ひつじの新町や(3.31)」で信州新町産サフォークを食べられますが、
ホゲット(ラムとマトンの間の成育段階)であってマトンは初体験。

一般的にマトンは臭いので避けられますが国産羊は外国産より癖や臭みが少ないイメージ。
ゆえにラムやホゲットではアッサリし過ぎているのでマトンのほうが良いのかも知れません。
大人になった羊の深い旨味を楽しめながら癖や臭み無くて美味しい。
しかもタンやハツといったモツに分類される部位まで出してくるのが流石です。

口直しにワラビの信田巻きやトマトの最中が出てきましたが口直しまで美味しい。
ワラビの火入れや味付けに徹底的にこだわる同店ならではの洗練された味わい。
里山の食材を農林水産省が表彰するレベルの料理人が調理する。
この二刀流で楽しめるお店って全国的に見ても希少だと思います。

スペシャリテの1つと思っている「酢豚(猪だけど)」が相変わらずの感動的な美味しさ。
そして地物飯田産という緑と白のアスパラガスは朝採れという地の利で超ジューシー。
県内の他の和食店でも飯田産のアスパラガスを使っていたので質が良いのでしょう。

今月は西麻布の食べログSILVER蒼(4.47)でもアスパラガスを食べたのですが、
ロワール産のホワイトアスパラを白神山地の軟水で茹で上げジューシー感を補完していました。
補完せずともフライパンで焼き上げてこのジューシーさは産地の強み。
オランデーズソースならぬ黄身酢、そして熊味噌という味変アイテムも同店ならでは。

今月は福岡県の食べログSILVERまつ山(4.35)で「のざき牛」の花山椒鍋、
都内の食べログBRONZEでハクビシン花山椒鍋を食べる機会に恵まれたのですが、
やはり遠山郷の最高品質のツキノワグマを楽しめる同店の花山椒鍋(草鍋)が白眉。

東京の東側に住む者としては同店へのアクセス極めて困難なのですが、
わざわざ訪れる価値を十二分に感じられる唯一無二なお店。
飯田にリニアの駅が誕生するであろう近未来は都内からのアクセス容易になるのですが、
そうなると予約がもう取れなくなりそうな圧倒的存在。
1,235文字★

(注)春の蔵出しレビュー

01.春の先付け
01-1.若い蓬(よもぎ)とたたみいわしの揚げ物
01-2.蕗(ふき)の田舎煮
01-3.野蒜(のびる)酢味噌和え
01-4.山独活(やまうど)きんぴら
01-5.タラの芽南蛮漬け
01-6.新玉葱豆腐と土筆(つくし)のお浸し
02.地物アスパラガスのすり流し椀 自家製胡麻豆腐
03.ノドグロ焼き物 長芋 ポン酢ゼリー 地物おこぎ(うこぎ)お浸し 穂紫蘇
04.春のおやき 自生クレソン 佐久BOSQUESO(ボスケソ)カチョカバッロ 千代幻豚
05.沢蟹(酔っ払い蟹にしてから素揚げ) 天然アマゴ6日熟成 天然アマゴ揚げ焼き
06.天然アマゴの内臓
07.アナグマ 猪ベーコン 地物アスパラガス ワラビ 葉玉葱 スナップエンドウ 自生セリ ハールレモネ 昆布塩
08.油揚げで巻いて出汁でサッと煮た「蕗の信太巻」
09.猪の黒酢仕立て 地物エシャロット
10.山葵とトマトの最中(山葵の茎、クリームチーズ、フルーツトマト)
11.伊勢海老の筍蒸し(筍をおろして山芋と合わせて筍蒸しに) 山菜餡 蕗の薹の花の素揚げ
12.熊白湯スープの草鍋(ツキノワグマのロース、ウルイ、甘草、のらぼう菜、コゴミ、ワラビ、野ミツバ、行者にんにく、花山椒付き木の芽)
13.草鍋2杯目(行者にんにく、のらぼう菜、ワラビ入り)
14.草鍋3杯目(花山椒付き木の芽の新芽入り)
15.ビーフンのように細い手打ちの二八蕎麦 ミョウガタケ 本山葵 コシアブラ天ぷら
16.自家製五平餅(上部:木の芽味噌、下部:胡桃味噌) 熊蕎麦湯
17.マイヤーレモンのアイスクリーム 旭松食品のおからパウダーで作ったパウンドケーキ

佐久市のチーズ工房「BOSQUESO(ボスケソ)」のカチョカバッロ。
東証2部上場企業である旭松食品(登記上の本店は飯田市)のおからパウダー。
南信州菓子工房のドライフルーツ(パウンドケーキに使用)。
長野県唯一のウイスキー蒸溜所「マルス信州蒸溜所」岩井トラディション(パウンドケーキに使用)。

山菜やジビエはもちろん上記の通り長野県ならではの地物食材にこだわりながら、
ノドグロや伊勢海老といった海産物も(海無し県ですが)仕入れて料理の幅を広げ、
新入社員に釣りの名人がいて沢蟹や天然アマゴなど川の恵みも自家調達するようになりました。

夏の天然鮎飯、秋の朝採れ松茸、冬のジビエといった全国最強レベルのスペシャリテと比べてしまうと、
春はまだそこまで圧倒的なスペシャリテがまだ無いようにも思ってしまうのですが、
お椀は春が一番好きですし、新作の「おやき」も春が一番かも知れません。

ツキノワグマも山菜も花山椒も楽しめる「草鍋」は春ならではの味わい。
花山椒鍋にはツキノワグマの脂身が相性最高ではないかと思います。
10月からはGoToトラベル東京も対象に、松茸を求めて久しぶりに飯田市まで足を伸ばしたいものです。
2,526文字★

東京から長野県に来ております。

春夏秋冬、一通り訪れて、一番満足度の高かった冬(ジビエシーズン)の柚木元(4.39)。
2018冬の林檎を食べて育った鴉(からす)はマニアック過ぎて賛否両論だったようですが、
今年は柿を食べて育った(というか食い荒らしたというか)アナグマなどの新作を楽しめました。

2018年(前年)と被る料理が多く、現在は豚コレラ被害で地物のイノシシを使っていない影響もあるのか、
同店における最高満足回だった前回に比べると見劣りしたのですが相変わらずハイレベルな内容。
春の山菜、夏の川魚、秋の茸、冬の獣肉といった山間部のご馳走を好む人であれば、
長野県(同店)は定期巡回必至でしょう(こういう山の食材に都内ではなかなか出会えません)。

01.中国茶(ジャスミンパール)
02.冬の先付け
02-1.信州高山村産アナグマ太もも肉の煮込み 赤からし水菜 牛蒡 鶉卵
02-2.熊のタン(舌)と舞茸の炒めもの 乾燥春菊 柚子釜
02-3.熊のシロモツ 辛味大根
03.新潟産仔猪のすり流し椀 自家製胡麻豆腐 人参 オータムポエム(菜の花)
04.信州遠山郷(標高1,000メートル)鹿ロース刺し3種類(フレッシュ、みそだまりヅケ、脱水シートでドライに)親田辛味大根 大鹿村の山塩
05.仔猪の黒酢餡かけ
06.仔猪スペアリブ 赤カブ漬物 地物ピンクフィンガーライム
07.岐阜産コガモと真鴨 ネギソース カリフラワー ミニ人参 イエロータナップ(黄色カブ)
08.コガモと真鴨のモツ盛り合わせ(首、ボンジリ、血抜きしていないハツ、レバー、砂肝)
09.山のカキフライ(熊の脳味噌フライ)自家製タルタルソース
10.アナグマのバラ肉しゃぶしゃぶ 煎り酒
11.仔猪バラ肉と紅玉りんごの「おやき」
12.昆布〆にした長芋 イワナ卵の塩漬け 梅酢
13.熊鍋(出汁は熊の頭骨と昆布)ロース肉 バラ肉 九条葱 芹 頭蓋骨から剥がした頬肉などツキノワグマの「カシラ」
14.鍋の〆に熊雑炊(ロース、バラ、中にほぐした頭肉)、香の物(自家製ナスしば漬け、カブ、長芋)
15.アナグマのロースすき焼き丼 なべちゃん葱
16.地物蕎麦粉100%セルフ蕎麦掻 みたらし風の蜜
17.ルレクチェ(洋梨)Kidoワイナリーのナイヤガラゼリー

県北に比べれば温暖な飯田市ですが、まずは中国茶(ジャスミンパール)で暖を取ります。
そして同店で初めて食べるアナグマは柿を食べて育ったという地物。
アナグマは個体によって臭みやクセが激しいこともあるのですが、このアナグマは臭み穏やか。

旨味という点ではもっと強烈なアナグマもあるので物足りなさも感じたのですが、
太ももを食べるのは(おそらく)初めてなので「角煮」のようなアナグマ肉は新たな発見でした。
あえてカリカリにさせた熊タンなど、先付けからアナグマとツキノワグマの共演。

前年より満足度のアップした料理を挙げると、すり流し椀、鹿刺し、熊鍋の3点となるのですが、
(マイナス60℃で冷凍するとはいえ)菌の少ない標高1,000メート付近の鹿は食べ比べに妙味。
みそだまり(味噌の発酵熟成中に味噌から分離した液体)でヅケにした鹿刺しが特に気に入りました。

素材という点では前年のほうが好印象も、食べ方としては妙味を感じた今年の仔猪スペアリブ
あしらいの赤カブ漬物と一緒に食べると漬物のサッパリ感と発酵の旨味が「脂身」を引き立てます。
フィンガーライムで酸味を加えてサッパリさせるより、こちらのほうが自然に感じました。

そもそも仔猪の脂身はアッサリ(しかし旨味濃厚)しているので無理にサッパリさせる必要は無いのです。
なお同店における「仔猪」と瓜坊より育った状態のようで、瓜坊特有の縞は消えている個体が多いとのこと。
スペシャリテの酢豚(仔猪の黒酢餡かけ)は満場一致で絶賛(ただ前年のほうが更に凄かったような印象)。

コガモ(真鴨の子どもではなくコガモという種類の鴨)と真鴨は岐阜県で獲れたもの。
前年の超感動級には及ばなかったですがコガモの美味しさは相変わらず。
鴨好きな人であれば長野県までわざわざ食べに訪れて損は無いと思います。

肉の圧倒的な美味しさに比べると臭みやクセで足を引っ張ったモツ類。
モツの好きな筆者ですが臭みやクセの強いモツは苦手だったりします。
しかし臭みやクセは無く旨味だけ凄まじい真鴨のモツにも何度か出会っており、
このあたりは家禽と異なるジビエならではの個体差が激しく出てしまうところかも知れません。

圧倒的なインパクトだったのが熊鍋の出汁として鍋でグツグツ煮込まれていたツキノワグマの頭蓋骨。
ロースやバラ(と野菜)を入れる前に引き上げたのですが、頬から後頭部にかけてまだ肉が付いています。
その「カシラ」肉も箸で剥がして食べていきます。
(人によっては残酷だグロテスクだと忌み嫌うシーンかも知れません。)

山の王様といった体躯のツキノワグマですが頭は意外と小さいようで、
また牙や歯を観察すると黒く虫歯になっているのも興味深いところ。
(歯磨きせず甘いものを食べていると虫歯になるのは人間も熊も変わらないのでしょう。)

なお頭は鍋の出汁としていたので美味しさという点で光っていたのはロースやバラ。
薄切り仕様で提供するようになって更にレベルアップしているような印象。
同席者の1人はロースより更に薄いスライスのバラも気に入っていたようでした。
(美味しさという点ではロースのほうが上と思います。)

〆のご飯は熊雑炊とアナグマすき焼き丼。
しかし春の桜海老と筍と花山椒ご飯、夏の鮎飯、秋の松茸ご飯・香茸ご飯・舞茸ご飯の3連発に比べると、
冬のご飯ものは他の季節よりインパクト(と美味しさ)に欠けるようにも思います。

ジビエご飯で過去最高と思ったのは徳山鮓(4.41)の熊出汁雑炊なのですが、
いつかそれを超えるジビエ飯が登場することを願っております。
山菜は花山椒を含め4月中旬がオススメとのことで来春にも期待。
(今年は出会えなかったゴトウムシも期待しております。)

3,756文字★

東京から長野県に来ております。

超大型の台風19号(ハギビス)によって壊滅的な被害を受けた長野県北部(同店の在る飯田市は南部)。
中央線も中央自動車道も通行止めとなって長野県へのアクセスには迂回を要する緊急事態でしたが、
今や南信州全域の「とりこ(キノコ採り名人)」さんにネットワークを張っている柚木元(4.39)。

台風直後でも特級品の朝採れ松茸(都内だといくらになるか恐怖を感じるレベル)をはじめ、
香茸、舞茸、本しめじ、更にクロカワ(老茸)、ブナハリタケといった所謂「雑キノコ」まで、
キノコ王国と呼ばれる信州の名に恥じない数多の天然キノコを揃えていました。

松茸は傘の開いたもののほうが胞子が飛んで香りが強くなるため、
状態によって料理の向き不向きがあるとのことで、贅沢にも松茸を色々な料理で食べ比べ。
更には活きのオオスズメバチといったマニアックな食材まで登場(10月は蜂の旬でもあるのです)。

国産食材の最高級品であろう松茸をメインに据えて同店におけるお支払い額の最高値を更新しましたが、
都内で同じような松茸の食べ比べを楽しんだ場合のお支払いは桁が更に1つ上がるでしょう。
絶対額こそ高いのですが相対的に考えればリーズナブルに最高品質の松茸を味わっておりました。

01.蕪の菊花仕立て 天然スッポン含め煮
02.八寸
02-1.ヌメリスギタケモドキ 春菊ソース
02-2.ショウゲンジと信州牛の炊き合わせ
02-3.クロカワ(老茸)おろし和え
02-4.天然白舞茸の南蛮漬け
02-5.マコモタケのキンピラ
02-6.ナラタケのマリネ
02-7.ニンギョウタケの白和え
02-8.ムラサキアンズタケの胡麻浸し
02-9.1日半水にさらして灰汁抜きしたアケビの皮の唐揚げと裏漉ししたアケビの果肉
03.活きオオスズメバチ素揚げ
04.炊いたオオスズメバチ食べ比べ(幼虫、成虫になりかけ、成虫)
05.子持ち天竜鮎タレ焼き
06.松茸土瓶蒸し(出汁は丸ごとの鱧と昆布)
07.焼き松茸(朝採れ傘の開いていない特級品を炭火で)
08.本しめじ天ぷら
09.松茸の「おやき」(酢橘を搾ったベシャメルソース系のクリームと松茸と銀杏入り)
10.ブナハリタケと天然なめこソテー ホタテガイ 地物フィンガーライム
11.千代幻豚バラ肉の山椒炊き クリタケ添え
12.アカヤマドリと自家製胡麻豆腐のフリット アカヤマドリのソース
13.箸休め(地物無花果の白味噌仕立て)
14.香茸の玉子焼 香茸ソース
15.熊茸鍋(ツキノワグマのロース肉、ヌメリスギタケモドキ、シモフリシメジ、ハナイグチ、ヌメリイグチ、クリフウセンタケ、ムキタケ、イグチ)
16.香茸ご飯
17.舞茸ご飯
18.松茸ご飯
19.止め椀(熊茸鍋)、香の物(梅干し、松茸)
20.デザート盛り(地物葡萄3種類とナイアガラワイン100%ゼリー、自家製滑らかプリン、栗アイスの最中)

天然スッポンの出汁で含め煮にしたという1品目の「蕪」から絶妙な美味しさ。
招福樓(4.40)仕込みの調理技術は流石です。
そして「雑キノコ」と一括りにされてしまう様々な天然キノコを活かした八寸の登場。

ちなみにヌメリスギタケは毒キノコでヌメリスギタケモドキは食べられるキノコなのですが、
見た目も似ているキノコということで保健所に持ち込んで確認したのだそう。
素人が採取した天然キノコはリスク大なのでプロのお店で味わうのが一番と思います。
また東京の市場に入るのは松茸など有名キノコのみ、こういう雑キノコの味わいは正に現地ならでは。

そしてクロカワ、ニンギョウタケなどを口にすると天然キノコならではの「苦味」を楽しめます。
松茸のような万人ウケする人気キノコはまろやかで何とも食べやすいのですが、
苦味の強い雑キノコは尖った味わいを好む玄人向けの料理という気もしました。

しかしどのキノコを食べても下処理が上手くて同店の調理技術の高さを再確認。
例えばキノコを茹でた場合、しっかり水切りしないと水っぽさがその食感を阻害することもあるのですが、
同店のキノコは本当にどれも丁寧に処理されていてそういう悪印象を全く持たないです。

キノコを自家調達するお店に比べると、どうしても仕入れコストがアップしてお値段に跳ね返るのですが、
同店は調理に専念することで丁寧な仕事を施せてキノコの美味しさを引き出します。
東京から高い交通費を払ってわざわざ訪れるのであれば「地方の高級店」のほうが間違いは無いです。

マニア垂涎「高級昆虫食」のオオスズメバチですが素揚げは殻(皮)の硬さが口に障りました。
地方の某フレンチではキイロスズメバチをカリッと揚げてフリットにしていましたが、
しっかり揚げたほうが食べやすくなる反面、素材の旨味は抜けてしまうという難しさ。

やわらかな幼虫のほうが食べやすさという点では間違い無いです。
蜂の子に関しては今のところ岐阜県高山市の「料理旅館こまくさ(3.04)」がマイベスト。
山間部で珍重されてきた昆虫食に関しては今後も掘り下げていきたいところです。

子持ち天竜鮎(東京の龍吟なども扱うブランド養殖鮎)の火入れはいつも通り良かったです。
ヒレに塩を塗さないので焦げないよう30分~40分も時間をかけて焼き上げているのですが、
やはり頭ごと骨ごとヒレごと全て食べられる鮎が一番と思います(タレ味も乙なものです)。

そして美味しさという点で本日の白眉とも思った「松茸の土瓶蒸し」。
鱧を丸ごと(昆布と)出汁にしているようで、実は出汁に物凄くお金をかけている土瓶蒸し。
個人的に鱧は身の美味しさより出汁にしたときの美味しさのほうに感動することが多いのですが、
その鱧出汁の美味しさと朝採れ鮮度最高な松茸が放つ蠱惑的な香りとの組み合わせは至福でした。

続いての「焼き松茸」には朝採れ傘の開いていない特級品を使用。
その断面も見せて貰ったのですが、ギュッと詰まっていて東京で出会う松茸とはモノが違います。
シンプルな炭火焼きが松茸を味わう最上の調理法かについては疑問が残るところではありますが、
(今秋に食べて一番美味しかった松茸の調理法は「すき焼き」でした。)
この松茸の素材力がいかに凄まじいかについてはよく分かりました。

雑キノコの中で一番のスマッッシュヒットだったのがブナハリタケ。
松茸や香茸とはまた異なる独特の香り、雑キノコならではの苦味など尖った味わいを楽しめます。
食べやすいキノコではないので苦手に思う人や食べられない人も多いのでしょうけど、
好きな人はこのブナハリタケかなりハマると思います。

今回はジビエの猪ではなく地元の銘柄豚「千代幻豚」の登場。
しかし国内最高峰とも思う圧倒的な美味しさだった仔猪に比べると凡庸でしょうか。
岩手県の岩中豚、静岡県のセレ豚など国産ブランド豚は他県もレベル高いのです。

一方でジビエのツキノワグマ(ロース肉)を使用した熊茸鍋は同店で食べた熊鍋で過去最高。
ヌメヌメした食感の天然キノコを多用しておりスープとの親和性が高いですし、
昆布ベースに熊とキノコの旨味が溶け込んだスープ自体の美味しさも素晴らしかったです。

〆の御食事は松茸ご飯、舞茸ご飯、香茸ご飯の天然キノコご飯3連発。
夏の鮎ご飯はお米より鮎のほうが多いような異常比率で繰り出してきた同店。
秋のキノコご飯(松茸、舞茸、香茸、全て)もお米よりキノコのほうが多いような異常比率。
お漬物にまで松茸(商品価値に劣る小振りな松茸の有効活用)を出してくるというクレイジーさ。

そして小振りな松茸を使っているお漬物ですら都内で食べる松茸より香り高いという異常事態。
都内の10,000円クラスの日本料理店で出会う松茸はこのサイズの輸入品だったりします。
松茸の名産地の1つ「信州」現地の高級店は本当にもう別世界。

松茸ご飯はお漬物より更に凄い香りと食感を楽しめて、これが「本物の松茸」かと身震いしました。
こんな松茸を食べてしまうともう味覚も嗅覚も贅沢になり過ぎて昔には戻れなくなります。
同店で松茸ご飯を食べた後に都内のミシュラン三つ星店で岩手産の松茸ご飯を食べたのですが、
全く美味しいと思えなくなってしまっていて弊害すら感じてしまいました。

食べログ四国No.1日本料理店でも地物の松茸ご飯を食べましたがそれも同店に比べれば児戯。
もう松茸ご飯は同店でしか食べられなくなってしまうのではないかと思ってしまうほど圧倒的でした。
今後は東京の日本料理店で、もう松茸はコースに入れないでくれと、逆指名することになりそうです。
〆は地物の葡萄(シャインマスカット、安芸クイーン、長野パープルの3種類)に栗などの秋スイーツ。

今までは東京で松茸を食べてもコストパフォーマンスの悪さばかり目立ってしまって、
どちらかと言えば香茸、舞茸、その他の雑キノコのほうを筆者は好んでいたのですが、
産地で食べた「本物の松茸」は確かに国産キノコで王様クラスに美味しいキノコなのだと実感。
松茸が高級食材となっている理由も少しは分かったような気がしました。
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東京から長野県に旅行で来ております。

信州の地物高級食材をお腹パンパンになるまで楽しめる飯田市の「柚木元(4.36)」。
春は熊花山椒鍋、秋は熊キノコ鍋、夏は熊スッポン鍋(通称:月と鼈鍋)がスペシャリテ。
7月の今回は月と鼈鍋をメインに川魚を色々とリクエストしてみました。

根羽川の天然鮎、天竜鮎(ブランド養殖鮎)、長野県の長和町で養殖しているチョウザメ、
三河湾(矢作川河口)の天然海鰻、長良川の天然川鰻、千曲川の天然スッポン。
リクエストに応えて信州の川の恵みをこれでもかと揃えてくれました。
(三河湾は愛知県で長良川は岐阜県というのはご愛嬌です。)

それに加えてツキノワグマのシロモツとロース、イノシシのバラ肉、アカヤマドリタケなど、
マイナス60℃の冷凍庫のおかげで秋や冬の味覚も楽しめました。
地物にこだわりながら、全国から食材を集める都内の高級飲食店にも負けない素材力の高さ。
長野県の食はこんなにも魅力的なのだと教えてくれる唯一無二の存在です。

01.根羽川天然鮎のにゅうめん 鮎のだし粉 鮎の肝(1時間低温で焼いたもの)
02.長和町チョウザメ5キロ雄 昆布〆お造り 大鹿村の山塩
03.チョウザメとアカヤマドリタケのソテー アカヤマドリタケのソース
04.チョウザメの肝刺し 味噌だまり
05.天竜鮎(ブランド養殖鮎)塩焼き
06.千曲川天然スッポン春巻き
07.口直し(裏庭で採れたスグリ)
08.地物モロヘイヤお浸し
09.長良川天然川鰻400g蒲焼き 三河湾(矢作川河口)天然海鰻400g蒲焼き 糯米
10.天竜鮎お造り
11.天竜鮎の肝刺しと苦玉(胆嚢)
12.地物朝採れゴールドラッシュ(トウモロコシ)生搾り
13.ツキノワグマのシロモツと地物ネマガリタケの塩炒め
14.千曲川天然スッポンの肝と白子の藁スモーク
15.猪バラ肉の黒酢餡かけ
16.口直し(北海道美国バフンウニ ゴールドキウイ 蓴菜 土佐酢ジュレ)
17.村沢牛リブロース 地物丸なす 自家製胡麻餡
18.月と鼈鍋
19.口直し(木苺と桑の実)
20.根羽川天然鮎の炊き込みご飯
21.香の物(間引きキュウリの芥子漬け)
22.止め椀(月と鼈鍋の出汁で作った玉子スープ)
23.地物さくらんぼ(佐藤錦、紅秀峰)
24.自家製水羊羹、竜峡小梅焼酎漬け、無花果のアイスクリーム

まずは根羽川(長野県下伊那郡)の天然鮎からスタート。
品評会で日本一と評される郡上(岐阜県)の和良鮎に比べると肝の苦味が気になる鮎。
内臓を抜いた鮎を煮出して、そのスープに鮎の魚醤を加え「にゅうめん」に。

薬味は煮出した残りの鮎を「だし粉」にしたもの。
そして取り除いた肝を1時間低温で焼いて、こちらも薬味にします。
上品な味わいの鮎スープ、苦味の強烈な肝など、根羽川の鮎を丸ごと楽しんでおりました。
(しかし根羽川の天然鮎がその真価を発揮したのは〆の炊き込みご飯でしょう。)

長和町の名水「黒耀の水」で養殖しているというチョウザメ。
杉ケ瀬ヤナ(3.72)を運営する岐阜県郡上市の料理旅館清竜も敷地で養殖していましたが、
8年~10年ぐらい育てないと雌からキャヴィアは採れないと聞きます。
今回は雄の身を何と刺身(昆布〆)で提供(入手困難となっている大鹿村の山塩も登場)。

見た目からは海に泳ぐ白身魚のお造りに思えます。
実際に食べてみても、クエやハタの刺身と言われると、そう信じてしまうかも知れない味わい。
川魚特有のクセや臭みは殆ど無くて新たな発見でした。

チョウザメのソテーにはアカヤマドリタケ(ポルチーニ茸に似ています)を添えています。
今年の初物を冷凍保存していたとのことですが主役のチョウザメより美味しい。
アカヤマドリタケを和の出汁で煮詰めたというソースも濃厚で良かったです。

そしてチョウザメの「レバ刺し」まで登場。
馬のレバ刺しのようなコリコリ感は無くてやわらかく、食感は牛のレバ刺し寄りでしょうか。
家畜のレバ刺しほどの濃厚な旨味は感じなかったのですが貴重な体験。

鮎の世界では養殖より天然が珍重されますが、しかし龍吟(移転前4.27)なども仕入れているという、
ブランド養殖鮎の「天竜鮎(天竜川の天然鮎ではなく、あくまでブランド名です)」が登場。
スッポンの世界でも天然より服部中村養鼈場の養殖物のほうが市場評価は上で最高級品となっていますし、
レフェルヴェソンス(4.62)の鮎も和歌山県で半養殖しているものでした。

そのように養殖技術の進化によって天然を凌駕しうる川魚たち(鼈が魚かはご愛嬌です)。
活きで仕入れ壺の中で泳いでいた天竜鮎を掴んで、口から尾に向けて鉄串を刺して串打ち。
お部屋(今回は「すぎ」の間と「ひのき」の間を使用)から見える庭で炭火焼きにしていきます。

先ほどの根羽川天然鮎ほど肝に苦味無くて頭ごと骨ごと丸ごと美味しい。
郡上の和良鮎(天然鮎の最高峰)には及ばないとしても十分に楽しめました。
天然スッポンの身と煮凝りを使用した春巻きも、煮凝りから溢れ出るジュースが良い仕事しています。
(しかし千曲川の天然スッポンがその真価を発揮したのはメインの月と鼈鍋でしょう。)

裏庭で採れたというスグリや地物のモロヘイヤお浸し(これも出汁がハイレベル)で口直し。
400gというなかなか大きな天然鰻(通常の養殖鰻は250gぐらい)を鮎同様に炭火で焼いていきます。
長良川の川鰻と三河湾(矢作川河口)の海鰻で食べ比べという何とも贅沢な競演。

鰻の火入れに関して筆者は皮目をポワレのようにカリッと焼き上げる東向島うを徳(4.17)がNo.1評価で、
それに池袋かぶと(4.54)など鰻の専門店が続いていくという印象なのですが、
焼きに関しては専門店の鰻に比べると少し見劣りするでしょうか(あくまで同店は日本料理店です)。
それでも川と海の天然鰻食べ比べは興味深かったです(個人的には海のほうが身と皮の一体感あって好み)。

天竜鮎はお造りでも堪能。
人数分は揃わなかったのですが肝と苦玉(胆嚢)も楽しめました。
鮎は肝が珍重される魚だけあって、ボリュームこそ無いですが美味しさはチョウザメ以上。
胆嚢はスッポンの胆嚢を思い出すような苦さで強烈でした。

スマッシュヒットだったのが朝採れの地物ゴールドラッシュ(トウモロコシ)生搾り。
少しお塩を加えて調整はしているのですが、生搾りでここまで甘くて濃厚な美味しさとは驚きました。
この段階で下手なフレンチや洋食のコーンスープよりレベル高いです。

そして初めて出会うツキノワグマのシロモツ。
足の早い内臓だけに状態の良いときでないと入手できないという超希少部位。
一部は牛のシマチョウ(大腸)のような見た目だったり内臓脂肪も付いていたりと面白いです。

実際に食べてみても牛のシロモツより旨味が強くて脂もアッサリしているような気がします。
ここまで川魚尽くしで進んできましたが、やはりこういう濃厚な美味しさは川魚には無い魅力。
自分はモツラーでアブラーなのだと思い知らされます。
(地物というネマガリタケは6月に山形県で食べた月山筍よりえぐみがあるような印象。)

天然スッポンの肝と白子は藁でスモーク。
鶏や豚の燻製レバーほどボソボソせず食べやすいスッポンの肝。
白子はもうスモークチーズのような感覚かも知れません。

そして同店のスペシャリテと勝手に思っている猪バラ肉の黒酢餡かけを今回もリクエスト。
下処理の段階で炊いてある猪バラ肉の、肉はホロホロほどけ、脂身はトロトロ蕩けます。
豚バラ肉のような脂身の重たさは無くて軽やか。
「酢豚」の最高峰といった料理でしょうか。

贅沢にもウニで口直しをした後は、長野県の誇る個人ブランド牛「村沢牛」のリブロース。
畳の上で育てるなど人間より大切に扱われるそうです。
胡麻豆腐を作る途中の「自家製胡麻餡」で、地物丸なすとリブロースを堪能。
(脂がアッサリしながら旨味はしっかり感じられて美味しい牛肉でした。)

いよいよメインの月と鼈鍋。
比良山荘(4.57)の冬のスペシャリテを月鍋と呼ぶように、こちらもツキノワグマ肉を使用。
そしてネーミングの通り鼈(千曲川の天然スッポン)も使用。

これでもかと大量にスッポンを煮込んであって、そこにツキノワグマのロースを投入していきます。
今回は鍋に天然スッポン3匹、春巻きを合わせると4匹6.3kgもの天然スッポンを使用。
6人で訪れたのですが1人あたり1kg以上の天然スッポンを使うとかブッ飛んでいます。
(ネット通販でもスッポン1kgで10,000円を超えます。)

今年からツキノワグマを例年より薄切りにしたそうですがこの変化は大歓迎。
熊肉はどうしても野生動物ならではの弾力や歯応えの強さがあるので、
薄くしたほうが食べやすくて他の食材とも調和しやすいと思います。

スッポンだけで鍋にしても美味しそうなのに「山肉の王様」ツキノワグマまでプラス。
個人的には春の熊花山椒鍋や冬に食べた熊キノコ鍋より気に入りました。
何より凄いのがスッポンのボリューム。
食べても食べてもスッポンが減らず、肉やエンペラを貪り食らっておりました。

〆のご飯は月と鼈鍋の残り汁で雑炊と予想してたのですが、同店の発想はその上をいきます。
根羽川の天然鮎(内臓は抜いてあります)を12尾も投入した炊き込みご飯が登場。
過去に色々なお店で鮎ご飯や鮎雑炊を食べてきましたが、
ここまで鮎の比率が高い「鮎ご飯」には初めて出会いました。

鮎ご飯を食べると普通は鮎の欠片で風味を楽しみながらご飯を食べるイメージなのですが、
このご飯はもう鮎の身をそのまま食べているような錯覚に襲われます。
そして内臓を抜いてある根羽川の天然鮎の身が上品ながら何とも美味しい。
にゅうめん、塩焼き、お造りなどで鮎を食べましたが、この炊き込みご飯の美味しさがダントツNo.1評価。

鮎、特に天然鮎は高級品で、6,800円の鮎フルコースでも小さな天然鮎5尾ぐらいの使用量。
月と鼈鍋に天然スッポン3匹をぶち込むのもクレイジーでしたが、この鮎ご飯もブッ飛んでいます。
香の物(間引きキュウリの芥子漬け)や止め椀(月と鼈鍋の出汁で作った玉子スープ)も美味しくて、
凄まじいボリュームの天然スッポンと天然鮎を何とか完食。

別腹だとフルセットで登場したスイーツも相変わらずレベル高いです。
招福樓(4.45)や松川(4.75)よりは固めてあるという自家製水羊羹も美味しいですし、
無花果の美味しさが凝縮されているようなアイスクリーム(シャーベットのような食感もあります)も非凡。

世間一般で高級食材と知られる天然スッポンや天然鮎をお腹パンパンになるまで暴食。
最高級品はキロ25,000円を超える天然鰻、ジビエの最高級品「山肉の王様」ツキノワグマなど、
高級食材でお腹いっぱいになるという都心の高級飲食店ではまず不可能な奇跡体験。
(都内の日本料理店はお米でボリュームを誤魔化すところばかりです。)

お酒を飲むと40,000円ぐらいになってしまいますが、それでも安いと思える圧巻の内容。
都心で同じような飲み食いをすると桁が1つ違ってきそうですし、
そもそも東京では手に入らない唯一無二の食材も多いです。

リニア未開通の現在において東京から飯田市へのアクセスは不便な部分が多いのですが、
それでも定期的にわざわざ通いたいお店なのは、都内では絶対に味わえないこのブッ飛んだコース内容ゆえ。
松茸の季節は一体いくらになるか恐ろしくなりますが再訪は必至でしょう。
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東京から長野県に旅行で来ております。

全国的に11月15日から翌年2月15日までが狩猟解禁期間として知られています。
11月後半の信州旅行といえば最大の目的はジビエ。
旅のフィナーレに訪れたのは「ジビエ懐石」で長野県2位の高評価店となっている柚木元(4.29)。

今年の4月に訪れたときは花山椒、コシアブラ、筍など春の山菜がメインとなるコース構成でしたが、
11月後半はフレッシュなジビエを多種多様に楽しめる「ジビエ尽くしコース」となっていました。
長野県を代表する高級日本料理店として冬は蟹など高級海産物も楽しめる同店ですが、
それは海無し県である長野県民のご馳走であって、県外からわざわざ訪れる人間の目的は「ジビエ」。

結論から申し上げると、ジビエで有名な岐阜県の柳家(4.68)、かたつむり(4.30)、
月鍋で有名な滋賀県の比良山荘(4.56)など全国トップクラスの名店に負けない満足度の高さ。
使っているジビエは全て信州遠山郷(長野県飯田市)で獲れた地物とのことですが、
信州産ジビエの中でもピンのものを集めているのでしょう、素材力からして凄まじくハイレベル。

そして同店は招福樓(4.46)出身ということで日本料理店としても全国屈指の実力店。
調理技術という点では前述の柳家、かたつむり、比良山荘を凌駕する面もあります。
ジビエと日本料理を融合させた「ジビエ懐石料理店」として唯一無二の存在となっているのです。

この旅で長野県のジビエを色々と食べ歩きましたが、同店のジビエの美味しさが突き抜けていました。
信州ジビエの圧倒的No.1(お値段も圧倒的No.1でしたが東京で同じ内容を求めると10万円コース)。
ジビエ好きであれば東京から4時間かけても、わざわざ訪れたいお店だと思います。

この日の「ジビエ尽くしコース」の内容は以下の通り

01.熊モツの前菜盛り合わせ(熊タン和風シチュー、熊の小腸、熊の脳味噌)
02.猪タン和風シチュー(熊タン和風シチューとジビエのタン食べ比べ)
03.胡麻豆腐と焼き蕪と葱のお椀 仔猪の擂り流し
04.本州鹿の鹿刺し
05.ハシブトガラス3種盛り(炊いた手羽、ローストした胸肉、揚げた腿肉)
06.仔鴨丸焼き
07.仔猪スペアリブ焼き
08.箸休め(黄柚子と蕪)
09.猪バラ肉と紅玉リンゴの「おやき」
10.熊の手足 醤油煮込み
11.猪バラ肉の黒酢餡かけ
12.焼いたルレクチェ 柿 ロマネスコ 湯葉のクリーム
13.熊茸鍋
14.オオスズメバチ 蜂の子と成虫
15.猪うどん
16.熊丼 香の物
17.デザート盛り合わせ(熟成蜂屋柿、自家製滑らかプリン、自家製苺アイス最中)

まずは銀座しのはら(4.89)の八寸を思い出すような装いで熊モツの前菜盛り合わせが登場。
食べログ全国1位の松川(4.91)もそうですが、招福樓出身ということで似通う部分もあるのでしょう。
しかし内容のマニアックさは同店がぶっちぎりだと思います。

熊のタン(舌)、小腸(白モツ)、脳味噌の熊モツ三種盛り合わせ。
80kgぐらいのまだ小さなツキノワグマ、前述の通り信州遠山郷で獲れた地物です。
先代から長野県で日本料理店を営む同店ならではの強力な仕入れルートがあるのでしょう。
ツキノワグマのモツをこれだけ楽しめるお店は初めてです。

熊のタンは酒粕と信州味噌で和風シチューに。
同じ調理法の「猪のタン」も出してくれて、ジビエのタンの食べ比べという貴重な体験。
タンシチューを食べ比べた限りでは熊タンのほうがやわらかいように感じました。
豚の祖先と言われる猪だけあって、タンも豚のように歯応えが強いのかも知れません。
また今回の熊タンの一部がタンモトのような部分だったということもあるのでしょう。

熊の小腸と脳味噌は素材の味を楽しめるようにと、調理法はシンプルに湯引きしただけ。
小腸は軽く塩で味付けして親田辛味大根を乗せています。
脳味噌は林檎入りのポン酢と水菜を添えて。

熊の小腸ですが砂糖不使用にもかかわらず甘みを感じます。
この甘みこそ熊ならではの特長なのかも知れません、丁寧な下処理のおかげかクセや臭み無し。
脳味噌は濃厚トロリとした食感で、前述かたつむりで食べた熊脳の天ぷらより遙かに美味しいです。

今回はシンプルな調理法で楽しみましたが、熊タンは塩焼きにしたり味噌漬けにしたりスモークにしたり、
小腸は煮込みにしたりモツ炒めにしたり、脳味噌はカツレツにしたり天ぷらにしても面白そうです。
食材としてかなり可能性を感じたので調理法次第では更に新しい世界が広がっていくかも知れません。

お椀は4月同様に胡麻豆腐と擂り流しのお椀なのですが、今回は「仔猪の擂り流し」という意欲作。
瓜坊よりは大きいのですがまだ成獣にはなっていない仔猪。
年間に2~3頭しか入ってこないという、これぐらいのサイズの猪が脂ノリ良くて一番美味しいとのこと。

前回のアスパラガスの擂り流しに比べると肉なのでどうしても食感の滑らかさには劣るように思うのですが、
これだけ美味しいジビエのお椀も他にまず無いと思います。
(前回のアスパラガスの擂り流し椀が5.0超感動級で素晴らし過ぎたのです。)
とはいえ仔猪のポテンシャルが最大限に発揮されたのは後述のスペアリブ焼き。

本州鹿の鹿刺し(ヒレ刺し)は獣特有の臭み無くネットリ滑らか食感。
この旅でタタキにした鹿、炭火で焼いた鹿、低温調理で火を入れた鹿など味わう機会がありましたが、
赤身メインな鹿肉の一番美味しい食べ方はやはり「ナマ」だと思います。
(ロースやバラなどの脂身は火を入れたほうが美味しいと思います。)

そして首チョンパされたハシブトガラスが紹介された後はハシブトガラス3種盛り。
手羽は炊いて、胸肉はローストして、腿肉は揚げてあって、部位ごとに調理法を変えてあります。
聞くところによればこの地方では昔からカラスが宴席で振る舞われるようなご馳走だったとのこと。

カラスの肉は全体的に脂が少ないようで、腿肉に至ってはメチャクチャ筋肉質で強力な歯応えを感じます。
クリスマスに食べる七面鳥の腿肉も鶏肉に比べるとかなり筋肉質ですがカラスはそれを遥かに超越。
凄い弾力感ある肉質でスジも多いので、歯が丈夫な人でないと完食は無理かも知れません。

しかし野鳥ジビエ料理に共通するレバーのような独特の風味を感じられて肉の旨味は濃厚。
個人的にはやわらかくて食べやすい胸肉のローストを一番美味しいと感じました。
手羽は鶏の手羽より皮が硬めで、やはり骨から肉を剥がすのに苦労します。

首都圏に在る某ジビエレストランでハシブトガラスよりハシボソガラスのほうが美味しいと聞きましたが、
その某ジビエレストランで食べたハシボソガラスより美味しいと思った今回のハシブトガラス。

ご主人によればハシボソガラスでなくとも山で育ったカラスであれば美味しいとの説明。
ジビエの美味しさって食べている餌にもかなり左右されるのです。
山里で美味しい林檎を食べて育った南信州のカラスはこの地のご馳走なのでしょう。

しかし次に食べた仔鴨の美味しさが5.0満点といった圧倒的な美味しさで、
筆者は早くもカラスより仔鴨のほうがご馳走と思ってしまいました。

仔鴨は首を落とした状態で丸のまま串打ちされており、その首の脂を皮に塗って炭火焼きにしています。
レアーに火を入れた仔鴨を真っ二つにカット。
その半身を豪快に貪っていくと、仔鴨ならではの蕩けるような肉質のやわらかさに恍惚となります。
(おかわりして結局1人で1羽食べてしまいました。)

同店のジビエは基本的にフレッシュさを優先しているのですが、仔鴨だけは例外的に1週間ぐらい熟成。
その熟成効果もあってか仔鴨でありながら東京のフレンチで食べた親鴨を凌駕する旨味の強さを有しています。
炭火の火入れもフレンチ顔負けで、この仔鴨は過去にフレンチで食べたどの鴨料理をも超越。
これ以上美味しい鴨料理にこの先出会えるのか心配になってきます。

そして仔鴨と一緒に登場した仔猪のスペアリブも5.0満点の超絶な逸品。
前述の通り年間2~3頭しか入って来ないというベストなコンディションの仔猪のスペアリブ。
個人的に猪で一番美味しい部位はスペアリブと思っているのですが、
それだけ個体として素晴らしい仔猪のスペアリブということでその美味しさも別次元。

お肉より脂身の部分のほうが多いのですが、肉質やわらかで脂身は口にすると淡く溶けていきます。
家畜である豚のスペアリブの脂身に比べると何とも軽やか。
ブランド豚の岩中豚なども骨周りの脂身が圧倒的に美味しいのですが、
ジビエの猪の中でも年に2~3頭レベルのスーパー仔猪となるとブランド豚をも凌駕。

この家畜ではあり得ない「脂身の軽やかさ」こそジビエの真髄ではないかと筆者は思います。
軽やか爽やかな脂身でありながら鮮烈な旨味を有しており圧倒的な美味しさ。
過去に食べた猪のスペアリブの中でも最高クラスと断言できる逸品でした。

骨にこびり付いている薄皮もベリベリ剥がしていって可能な限り猪のスペアリブを堪能。
この仔鴨と仔猪の大皿には春菊ペーストと長芋も添えられているのですが、
招福楼出身だけあってこういう味変アイテムもさりげなくハイレベルで抜かり無し。

黄色い柚子に柚子の果汁で漬け込んだ蕪を合体させた「箸休め」。
柚子の皮と柚子果汁を含んだ蕪とが一体化しており爽やかサッパリながら美味しい。
箸休めの料理まで感動的に美味しくて同店のコースに(良い意味で)休む場所なんてありません。

長野県の郷土料理である「おやき」もジビエ仕様で具材には猪バラ肉と紅玉りんごを使用しています。
小籠包のような「おやき」の生地は、ご主人同様に長野県出身である奥さまのご実家のおやき生地。
口にすると本当に小籠包のように猪の爽やかな脂ジュースが溢れ出てきます。
中華料理の点心でもこれだけ美味しいものにはまず出会えないでしょう。

そして本日のコースで使用する食材で、圧倒的に最高級品と思われる、ツキノワグマの手足の煮込みが登場。
中華料理では乾貨になった「熊の掌」が最高級食材として名高いです。
現地ではヒグマの掌は中級品でツキノワグマが最高級品というランク付けとも聞きます。

そんなツキノワグマの掌、都内のレストランであれば仕入れ値35,000円とのこと。
都内で同じものを食べようと思うと、本当にこの手足だけで10万円を超えてしまいそうです。
トロプルな熊の手足の煮込みに齧り付いて指の骨までしゃぶっていきます。

醤油と味醂で味付けした和風「熊の掌」ですが、熊由来なのか甘みを感じるのが面白いです。
中華料理のように乾貨から戻してトロトロに仕上げる熊の掌が最高の美味なのでしょうが、
手足の食感を残すこちらの煮込みも十分な美味しさ、何より希少な熊の掌を味わえる食体験に感謝。

前回の4月にも食べて超感動クラスに美味しかった猪バラ肉の黒酢餡かけ。
「酢豚」や「角煮」の最高峰に位置づけられそうな料理ですが、冬の今回は前回よりもボリュームアップ。
口にすると「おやき」のとき以上に脂と肉汁が溢れてきて恍惚となりました。

マイナス60℃の冷凍庫を導入している同店では通年ジビエ料理を提供することが可能なので、
この「猪バラ肉の黒酢餡かけ」はもう同店のスペシャリテに認定したいと思います。
アブラー(脂を愛する人)であれば死ぬまでに一度は食べたい逸品。

地物の焼いたルレクチェ、柿、ロマネスコを湯葉クリームでサッパリ楽しんだ後は、
4月の「熊花山椒鍋」とはまた趣きの異なる11月の「熊茸鍋」の登場。
具材は熊ロース肉、熊バラ肉、シモシメジ、天然ナメタケ、セリ、ネギなど。
熊の骨からスープが濁るまで出汁を取った「熊白湯スープ」に信州味噌を加えて味を調えます。

お恥ずかしながらこの頃にはもう満腹近くなってきてしまったのですが、
それでも熊のロースやバラの脂身が素晴らしかったです。
仔猪のスペアリブもそうでしたが、ジビエの脂身って融点が低いのか、本当に軽やかで食べやすいのです。
この熊の脂身の美味しさは他の動物ではまず味わえない独特の美味しさ。

サービスでオオスズメバチの蜂の子(と成虫)も少し試せました。
クロスズメバチより高級品と言われる最高級の蜂の子。
蜂の子の旬である10月ぐらいには漬け込んだものではなくフレッシュな生を唐揚げなどで楽しめるようで、
10月にも信州最高の蜂の子を求めて同店を訪れたくなります。

鍋の残ったスープに脂身たっぷりな猪バラ肉とうどんを入れて〆の猪うどんに。
熊肉を「牛丼」のように甘辛く煮込んだ「熊丼」など同店オリジナルのジビエ料理がこれでもかと登場。
筆者は人並み以上には食べるつもりでいましたがギブアップするぐらい繰り出されるジビエ料理に驚愕。
東京で食べるジビエ料理って少量でも高額なお値段を取られるのです。
ジビエの産地である信州現地ならではの異次元体験。

甘いものは別腹ということで最後のデザートは盛り合わせで出して貰いました。
蜂屋柿という渋柿を常温で熟成させた柿スイーツ、自家製の滑らか濃厚なプリン、自家製の苺アイスの最中。
スイーツまでどれもが都内の食べログ4.00クラス洋菓子店顔負けの美味しさ。

料理だけで3万円を超えても安いと感じられる圧巻の内容で、信州ジビエの素晴らしさを身を以て体感。
ご主人の「ジビエ懐石」は年々進化を遂げているようで来年はまたコース構成も変わるのでしょう。
季節を変えて年度を変えて東京からでもわざわざ通いたいジビエ最高峰の1軒。
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東京から長野県に旅行で来ております。

長野県飯田市出身、滋賀県の招福樓でキャリアを積んだ、オーナー料理人の萩原貴幸氏。
招福樓(4.47)といえば今を時めく食べログ全国1位の松川(4.95)、
全国4位の銀座しのはら(4.81)の修業先として知られる、明治元年創業の老舗料亭。

松川、銀座しのはらと年齢の近い後輩でありながら食べログのスコアは未だ4.20の同店。
筆者は招福樓には未訪ながら東京で松川と銀座しのはらに訪れたことはあるのですが、
結論から申し上げると同店の満足度は松川、銀座しのはら以上。

そうなった理由として同店は招福樓仕込みの調理技術の高さだけでなく、
信州の恵みである地物食材が強力なサポートとなっていることが挙げられると思います。
ジビエ肉や春の山菜など東京の市場には入ってこないレア食材を何とも美味に調理。
もちろん松川や銀座しのはらも相対取引で地方から素晴らしい食材を仕入れているのですが、
地の利という点で長野県飯田市に在る同店には流石に劣るでしょう。

信州の山奥に在って、名古屋から車で2時間弱、東京からは4~5時間。
(最寄り飯田駅のJR飯田線は単線なので電車でのアクセスも大変です。)
大都市からの地の利は悪くて、食べログのスコアも伸びていないのでしょうが、
2027年開通予定のリニアモーターカー停車駅の1つは飯田市内に予定されています。
いずれは東京から1時間ぐらいで通える超人気店となるのかも知れません。

都内在住の筆者ですが今回は旅行の途中に名古屋から車で同店へ。
2年ぐらい前に建てたという新館、現在は倉庫、託児所、結納の場などに使われている旧館、
そして40席ぐらいの離れ(花れ)、駐車場20台、コインパーキングもある大規模な店舗。

新館「けやきの間」に通されましたが、それこそ松川の個室よりゴージャスな和の空間。
7部屋の個室を有しており、最大で貸し切り90名まで対応可能とのこと。
厨房では7人の料理人が腕を奮っているそうです。

飲み物はビールからスタート、生ビールはサッポロ黒ラベル、瓶ビールはサッポロラガー(赤星)中瓶。
都内の大衆酒場では定番となっている赤星ですが高級な日本料理店では珍しいと思います。
ビールの後は料理に合わせてオススメの地酒(全て長野県の日本酒)をお願いしました。

水尾 一味 辛口純米
鼎 純米吟醸生酒
大信州 超辛口純米吟醸
大信州 超辛口純米吟醸生

料理は4~5月の短い期間にしか味わえない花山椒と熊肉のコラボレーション「熊花山椒鍋」がメイン。
この日のおまかせコース(おそらく20,000円ぐらい)で出てきた料理は以下の通り。

01.山菜盛り合わせ7種類(内容は後述)
02.自家製胡麻豆腐 地物アスパラガス笹掻き アスパラガスの擂り流し椀
03.国産馬肉の馬刺し おたぐり 行者ニンニク醤油 生姜醤油
04.泰阜村(地物)焼き筍
05.天ぷら盛り合わせ(天竜川の活き稚鮎、タラの芽、コシアブラ、アマドコロ)
06.章姫(アキヒメ)イチゴ最中
07.猪ハツ 野蒜(ノビル) 行者ニンニク 信州牛シャトーブリアン
08.沖縄パッションフルーツ豆乳クリームチーズ フルーツトマト 雁足(ガンソク、コゴミに似た山菜)
09.熊花山椒鍋(熊ロース肉、熊バラ肉、京都花山椒)
10.猪バラ肉 黒酢餡かけ
11.駿河湾桜海老と地物筍と地物木の芽の炊き込みご飯 春キャベツ浅漬け 梅干し 熊出汁の玉子スープ
12.自家製ピスタチオアイス 自家製わらび餅

まずは春の山菜が7つの器に盛られて登場。
黄色の器は山独活のきんぴら、木の芽を添えてあります、枇杷の器は花わさび、
緑の小さい器はタラの芽の南蛮漬け、栄螺の器は蕗の薹味噌、
大きいサイズの葉っぱの器は野蒜(ノビル)の酢味噌和え、赤い縁取りの器はわらびの納豆和え、
そして桜の器は長ひじき、空豆、一度炊いた椎茸を乾燥させてパウダー状にして上からふりかけ。

春を感じる地物の山菜の競演も素晴らしいのですが、5.0級の超感動クラスだったのがお椀。
椀種に自家製という胡麻豆腐、これは片栗粉を付けて揚げてあります。
椀妻と吸い地は地物のアスパラガス、椀妻は細く笹掻きにしてあって、吸い地は擂り流し。

まず胡麻豆腐がメチャクチャ美味しい。
日本料理店のお椀で椀種を美味しいと思う場合、椀種に高級魚介が使われていることが多いのですが、
ベジタリアン仕様とも思える揚げ胡麻豆腐がこんなに美味しいとは驚愕しました。

アスパラガスの擂り流しも出汁の使い方が上手いのか鮮烈な美味しさ。
それこそ松川、銀座しのはらで味わったお椀を遥かに超えるレベルの高さで気に入りました。
招福樓で磨いたのであろう調理技術は本物のようです。

信州は青森、会津、熊本と並んで日本の馬肉の四大聖地として知られていますが、
国産馬肉ロースの赤身刺し、そして信州の郷土料理「おたぐり(馬の腸のモツ煮込み)」が登場。
実は今回お店の常連様のお誘いで訪れたのですが、筆者がモツ好きなことを伝えてくれていたようです。

味付けは行者ニンニク醤油と生姜醤油。
信州の馬肉は味噌味というイメージでしたが、生姜醤油とは熊本を思い出します。
ロースからは赤身肉ならではの旨味の強さを感じられて好印象。
熊本の霜降り馬刺しとはまた趣きの異なる美味しさです。
おたぐりは臭みやクセが少なくて、高級和食店ならではの上品な仕上がり。

地元の泰阜(やすおか)村で獲れた筍はフレッシュの状態で軽く湯掻いてから焼き上げています。
木の芽との相性も良くて、これまた春ならではの味わいでしょう。

器から跳ね上がって飛び出るほど元気に泳いでいる天竜川の稚鮎。
タラの芽、コシアブラ、アマドコロといった山菜と天ぷら盛り合わせになって登場。
筆者の理想よりは苦味が強いように思いましたが、丸ごと味わう稚鮎の美味しさは鉄板。
「山菜の女王」と言われるコシアブラなど山菜の天ぷらも春のお楽しみ。

銀座しのはらでは、フォアグラとマンゴーの最中が出てきましたが、同店はイチゴ最中。
章姫(アキヒメ)イチゴの白和えをパリッとした最中で挟んでいます。
筆者は濃厚嗜好なので最中に関してはフォアグラ入りの銀座しのはらのほうが好みでしたが、
豆腐とイチゴのアッサリした組み合わせも口直しに良いと思います。

近くで獲れたという猪のハツ(心臓)が塊でドーンと紹介されます。
コンディションの良いとき(冬の狩猟期間でしょうか)に獲れたものを冷凍保存。
こういう内臓を好むマニアックなお客さんが来たときに出しているようです。

4月ということで花山椒はフレッシュなのですがジビエはオフシーズン。
熊花山椒鍋の熊肉も猪の心臓と同じく冷凍なのですが、ホシザキ製マイナス60℃の冷凍庫を導入。
マイナス18℃ぐらいの家庭用の冷凍庫とは温度が全然違うのです。
この超低温によってジビエのクオリティを出来る限り維持。

さて猪のハツですが、野蒜、行者ニンニクと炒めものに、味付けは醤油、味醂、柚子。
同席者に内臓がダメな人もいて、ハツの代わりに信州牛のシャトーブリアンを提供。
モツを好む我々にもシャトーブリアンを1カット出してくれました。

ジビエの内臓ということもあってか火入れミディアムで、
都内のモツ焼きの名店で味わうレアーな火入れの豚ハツほどの妙味は感じなかったのですが、
野生動物の猪ならではの力強さのようなものを感じられるのは新たな発見。
シャトーブリアンは牛の最高級部位だけあって間違いの無い美味しさ。

メインの熊花山椒鍋の前に口直しのスイーツ。
沖縄産パッションフルーツを器にして、コゴミに似た雁足(ガンソク)という山菜を添えています。
器の中身はパッションフルーツ豆乳クリームチーズとフルーツトマト。

三つ星フレンチのカンテサンスでも同じようにパッションフルーツを器にスイーツが出てきましたが、
パッションフルーツにサワークリーム、グレープフルーツのグラニテを合わせたカンテサンスより、
豆乳クリームチーズやフルーツトマトとの組み合わせのほうが個人的には好み。
食材を組み合わせるセンスの高さは三つ星フレンチにも負けません。

そしてメインの「熊花山椒鍋」が登場、熊はヒグマではなくツキノワグマ。
出汁は熊の骨から取っているそうですが、比良山荘(滋賀県)の月鍋を思い出すような甘みを感じます。
味醂を少し入れているとのこと(蜂蜜は入れていないようです)。

地物の花山椒はタイミングが合わなかったようで、花山椒は京都産を市場から仕入れ。
キロ12~13万円の高値だったそうで花山椒バブル凄まじいです。

前述のとおりマイナス60℃で冷凍保存していた熊肉はロースとバラを使用。
しかしロースもバラも真っ白な脂身ばかり。
大衆的なジビエ料理店で出てくる熊ロースは弾力の強い赤身肉であることが多いですが、
ロースとバラが逆じゃないかと思ったほど凄まじい脂ノリで驚きました。
よく見るとバラのほうはベーコンのような形状です。

脂身の苦手な人は見ただけで卒倒しそうな真っ白な熊肉ですが心配ご無用。
ジビエの熊の脂身って常温でも融点に達してサラサラ溶けるぐらいアッサリしているのです。
滋賀県の比良山荘、徳山鮓、岐阜県の柳家かたつむりなど、ジビエの名店で扱う熊肉は脂身メイン。
このジビエならではのアッサリ溶ける脂身こそ「山肉の王様」と呼ばれるツキノワグマの真骨頂なのです。

熊肉の最高峰と名高い比良山荘に比べるとロースもバラも厚切り。
ロースとバラを比べるとバラのほうが薄くスライスされています。
そしてロースは2頭の熊を使っているそうです(同席者は食べて個体が違うと断定していました)。

1杯目はロース、2杯目はバラ、3杯目はロースとバラ。
脂身にジビエの熊特有の弾力というか歯応えがあって飲み込むのに苦労しましたが、
霜降り和牛では味わえない軽やかさと旨味の鮮烈さがあって美味しい。

都内では花山椒鍋に霜降り和牛を合わせて食べることが多いですが、
やはり軽やかなツキノワグマのほうが花山椒鍋との親和性が高いと思います。
個人的には比良山荘のような薄いスライスのほうがもっと美味しくなるようにも思いました。

そして感動の大きさではツキノワグマ以上とも思った猪バラ肉の黒酢餡かけ。
猪のバラ肉を炊いてから揚げて外側はサックリ、内側はホロホロやわらかに仕上げているのですが、
鮮烈かつ軽やかな猪の脂身が口の中を駆け巡ってメチャクチャ美味しいです。
「酢豚」のような黒酢餡も猪バラ肉とバッチリ合います(猪が家畜化したのが豚ですし)。

筆者はモツ好きですが、猪に関してはハツよりバラ肉に感動しました。
やはり四つ足ジビエは脂身にこそ真価があると思います。
筆者の数少ないジビエ経験では熊も鹿も猪も脂身の部分が一番美味しかったです。

本日のメインは「熊花山椒鍋」だったのですが、メインを超えて5.0級と思ったのが炊き込みご飯。
駿河湾の桜海老、地物の筍、地物の木の芽の炊き込みご飯。
使っている木の芽は花山椒と木の芽の中間ぐらいとのことですが、この花山椒未満の木の芽の香りが鮮烈。
それこそキロ13万円近いという京都産花山椒より香り高いぐらいです。

お米も地物、ブランドは無いのですが美味しいお米、炊き加減が絶妙です。
熊出汁のタケノコ炊き込みご飯、サッと揚げたという桜海老の旨味も加わって春のオールスター揃い踏み。
都内の日本料理店で炊き込みご飯が最高クラスに美味しい晴山(三田)のご飯より美味しいかも知れません。
これもまた地物食材の強力なサポートが美味しさを昇華させているのでしょう。
「おこげ」の部分は少し硬めな食感でまた良し、何とも素晴らしい炊き込みご飯でした。

〆スイーツはいずれも自家製というピスタチオアイスとわらび餅の組み合わせ。
プルプル食感が官能的なわらび餅に黄な粉ではなくピスタチオアイス。
黄な粉もピスタチオアイスも同じ豆ということでピスタチオアイスを採用しているようですが、
個人的には古典的な黄な粉とわらび餅の組み合わせより好印象。

イチゴは白和えに、パッションフルーツには豆乳クリームチーズ、わらび餅にはピスタチオアイス。
こういう組み合わせの妙味にも同店の魅力があると思います。
招福樓出身ならではの調理技術、食材を組み合わせるセンスの高さ、都内では味わえない信州の地物食材。
わざわざ同店に訪れたくなる理由がこれだけあります。

同席者によれば朝採れの松茸の美味しさも他店とは異次元なのだそう。
(信州の松茸は東京の築地市場でも丹波に次ぐ高値で取引されるブランドです。)
松茸であれば9月最終週あたりが間違い無いとのことで、
いつか産地ならではの松茸も味わってみたいものです。

  • 2023.10 焼き松茸
  • 2023.2 コガモ そのガラと片栗粉のソース 蕪の酢漬け
  • 2023.2 猪バラ肉の黒酢仕立て

もっと見る

3位

宇ち多゛ (京成立石、青砥 / もつ焼き、居酒屋)

7回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 3.9
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.4 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 3.9
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.4 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥1,000~¥1,999 ¥1,000~¥1,999

2021/10訪問 2021/10/13

【★5.0】10人中8人は苦手でも残り2人にとっては究極の美味【0111-7】

2,679文字★

10月に入って緊急事態宣言が解除され、長きに渡り飲兵衛を苦しめた禁酒法が緩和されました。
しかも都内の新型コロナウイルス新規感染者数はピーク時の100分の1まで減少。
ウィズコロナの時代となって自粛を余儀なくされてきたモツ活を再開する絶好のタイミング。

再開第1弾に訪れたのはキングオブ大衆酒場とも評される同店(3.77)。
しかし考えることは誰しも同じなのか、平日14時45分に訪れたところ30人を超える過酷な行列。
コロナ前より行列が伸びているような印象で約1時間も待つ羽目に。
店内では黙食が推進されておりペチャクチャ大声で喋っていると注意されるようになりました。

席に着いてまず注文するのは梅割り(200円)、寶焼酎25度を梅シロップで割ったという凶器。
そういえば先日フレンチでワインペアリング(11,858円)を楽しんだのですが、
アルコール19.5度のシェリー酒に二酸化炭素を加えてスパークリング化。
強いお酒の口当たりをまろやかに変えていましたが同店の梅割りも発想は同じでしょう。
同店の梅割りはシェリーより凶悪で、この日も飲み過ぎたオッチャンが地面に倒れ込んでいました。

いつものようにタン生ハツ生(生と言っても軽く湯掻いてあります)、
東京五大煮込みとも呼ばれる豚のモツ煮込みなど注文するのですが全て1皿200円(内税)。
フレンチでコース料理にペアリングなんて楽しむとサービス料だけで2,500円を超えますが、
同店は2,500円あれば腹が膨れるまで豚モツを貪れてベロベロになるまで酔えます。

この日食べたモツの中でツートップと思ったのがレバボイルとアブラ多いのタレ。
脂が乗って白く変色したレバー(白レバー)は「豚のフォアグラ」といったところでしょうか。
レバ刺しで楽しめた時代もありましたが規制の厳しくなった現在は火を通しての提供。
しかし本日のレバボイルは偶々なのかネットリ感を残す絶妙な火入れで超絶な美味しさ。

都心に在るロブション系の某百名店フレンチはコース料理で14,520円も取るのに、
オプション料金として1,815円を更に支払わないと出てこないフォアグラ。
同じ月にフォアグラもレバボイルも食べたので比較してみたのですが、
臭みを感じて閉口したロブション系のフォアグラより同店のレバボイルのほうが美味しいです。
1,815円のフォアグラを200円のレバボイルが上回ってしまうのがモツ焼き屋の面白さ。

フォアグラの最高峰と謳われるメゾンミトー社のフォアグラなら分かりませんが、
下町最高品質の豚レバーは凡庸なクオリティのフォアグラなんて軽く凌駕します。
ソースペリグー(トリュフソース)やバルサミコ酢とは楽しめませんが、
豚レバーの素材力が圧倒的なのでチープな醤油とお酢で食べても感動的に美味しい。

フレンチではペアリングとしてフォアグラに貴腐ワインを出してきたりしますが、
豚の白レバー(フォアグラ)に貴腐ワインを思わせる梅シロップがマリアージュ。
ケミカルな梅割りを初めて飲んだときは「こんなの人が飲むものじゃない」と言ってたのに、
今では(冗談でも)貴腐ワインに例えるのだから慣れとは恐ろしいものです。

同店で料理にペアリングさせるお酒は梅割りオンリー。
お新香など一部を除いて料理は全て豚モツなので梅割りを飲んでおけば間違いないです。
かつてはビールを注文することもありましたが安く酔える梅割りで十分な身体になりました。

そしてツートップのもう1つがアブラ多いのタレ。
アブラ(同店のアブラはカシラアブラ)なんて食べられる人がそもそも少数派なのに、
多いの(同店ではカシラアブラの脂身比率を指定可能)で注文する人は更に少ないです。

しかし生存本能に訴えるようなガツンとくる旨味の強さが堪りません。
10人中8人ぐらいは脂身ばかりなこの部位を苦手に感じると思うのですが、
喜んで食べることが可能な残り2人にとっては究極の美味。
濃厚な味わいのタレ焼きにしてコッテリ感を更に増すほうが筆者のオススメ。

これだけ美味しい豚モツですが世界的にも歴史的にも何故か評価が低いです。
豚が禁忌のムスリムはモツ以前に豚を食べることが不可能。
ブラジルの国民食とされるフェイジョアーダは黒豆と豚モツの煮込み料理ですが、
黒人奴隷が主人の食べない豚モツを活用したことがルーツなんて言われます。

タイ料理で豚モツを多用するのは北部の貧しい地域。
仏教や生類憐れみの令などの影響か、明治時代まで表向き肉食が禁忌とされてきた我が国も、
モツが庶民のご馳走になってからの歴史は浅いと思います。
(猪を山鯨と呼んだり鹿を紅葉と呼んで食べていたとしても。)

イスラム圏においては宗教的理由となるのでどうしようもないですが、
豚モツが避けられた理由の1つとして昔は流通が良くなかったことも影響していると考えます。
熟成可能(長期熟成で生ハムにすることも可能)な肉に比べてモツは鮮度が命。
どうしても足が早くて臭みなど出やすいです。

しかし流通の発達した現代においては朝挽きの豚モツを当たり前のように食べられます。
過去の歴史的経緯もあって不当に低く評価されている豚モツを安く仕入れて、
大衆文化として発達したのが東京のモツ焼き屋ではないでしょうか。
フレンチなど高級レストランが扱わないので最高品質の豚モツが下町に流れてきます。
東京には日本全国から豚が集まってくるので、屠場で選抜されたその美味しさは高級食材以上。

もちろん安さと美味しさの代償はいくつかあって、まずメニューが代わり映えしないです。
料理を撮影しても数年前の姿と全く同じ。
ハイペースで通うと飽きますし(なお同店には毎日通う常連さんもいらっしゃいます)、
尿酸値やコレステロールの数値が悪化するという弊害もあるかも知れません。

そしてフレンチを巡っていると記念日を祝う女の子に良く遭遇したのですが、
同店を記念日に利用したら(一部マニアを除いて)もう会ってくれなくなると思います。
フレンチで求められるのは美味しさだけにあらず、雰囲気や非日常感も重視されるのです。

ある意味では下町の非日常感を楽しめる同店ですが基本的には普段使いのお店。
安さと美味しさに特化しており、その美味しさに関しては3万円のフレンチすら凌駕。
もっとも同店を美味しいと楽しめるのは、ブランド意識や既存の価値観に舌が左右されない、
一部の食にマニアックな人間に限られるのかも知れません。
472文字★

梅割り(200円)
煮込みにアブラ入れて(200円)
ハツ生(200円)
ハツ生お酢(200円)
タン赤いの(200円)
テッポウにハツ入れてお酢(200円)
レバボイル(200円)
レバタレ(200円)
シロ塩(200円)
シロタレよく焼き(200円)
ガツ塩(200円)
カシラ塩若焼き(200円)
アブラ多いの塩(200円)
アブラ多いのタレ(200円)
ナンコツタレ(200円)

相変わらす平日の13時台(開店前)から大行列している同店(3.77)。
おでん二毛作(3.57)で1時間ぐらい飲んでから15時過ぎに訪れたところ入店待ちは5名のみ。
ホネやツルは味わえませんが少し時間をズラしたほうが待たずに入れます。

コンプライアンス遵守の姿勢からレバーは「よく焼き」のみ提供(ボイルはあります)となり、
若焼き注文する機会が無くなってしまったのですが、尋ねたところレバー以外は若焼き可能とのこと。
本日はカシラを若焼きで楽しんでおりました。
いつも通りどのモツもクオリティ高くて、千べろ酒場の最高峰という評価に揺るぎなし。
591文字★

梅割り(200円)
煮込みアブラ入れて(200円)
テッポウにアブラ少ないの入れて(200円)
ハツ生(200円)
タン赤いの(200円)
レバ塩(200円)
シロタレ(200円)
アブラ多いのタレ(200円)

コブクロ、テッポウ、タンは生(ボイル済みです)でしか提供されないので、
語尾に「生」と付けなくても自動的に生が出てきます。
テッポウ(コブクロも)は2本ではなく1本+別の部位というルールのようで、
コブクロとの組み合わせが通称「シンキ」、今回はコブクロ売り切れだったのでアブラ生とセットに。

久しぶりのアブラ生ですが、茹でて常温となっている状態でも脂が固まっておらず美味しい。
豚のカシラアブラは脂肪ではなくコラーゲンとも聞きます。
融点がバラ肉の脂身や背脂より低いのかも知れません。

そういえばレバーの生がオッケーだった時代は「レバ生お塩」が同店での定番でした。
タン生お塩は可能なのでしょうか。
しかし「タン塩」と注文するとタンの塩焼きをリクエストしていると思われてしまうかも知れません。

タンの焼き物は提供していない同店。
初心者あるあるで「タン塩よく焼き」とか注文して「タン焼けない」と冷たくあしらわれるのも同店の定番。
いつか「タン赤いのよく焼き素焼きお酢」とか分かっている風に注文して、
「タン焼けない」とバッサリ切り捨てられてみたいものです。
384文字★

梅割り(200円)
煮込みアブラ入れて(200円)
テッポウ生ハツ生入れて(200円)
ハツ生(200円)
タン生(200円)
レバボイル(200円)
アブラ多いの塩(200円)
アブラ多いのタレ(200円)
ハツ塩(200円)
ガツ塩(200円)
レバタレ(200円)

これはモツ焼き屋の宿命なのですが、その日によってクオリティにブレが生じることが多いです。
前回はレアーな火入れで官能的だったタン生が今回はしっかり火が入って弾力ある硬めの食感に。
アブラ「多いの」で注文したのに肉が多めに入っていたりと微妙な差異が生じます。
(なおアブラ多いのはおかわりしたら脂身ばかりの串が出てきました。)

こういう違いを楽しめるようになったらモツ上級者なのでしょうか。
今回はハツが特に良質でした。
相変わらずの千べろ価格でコストパフォーマンス突き抜けています。
582文字★

梅割り(200円)
煮込みハツモトのところ(200円)
煮込みアブラのところ(200円)
テッポウ生ハツ入れて(200円)
ハツ生(200円)
タン生(200円)
レバボイル(200円)
アブラ多いの素焼き(200円)
アブラ多いのタレ(200円)
アブラ多いの味噌(200円)
レバ塩(200円)
カシラ塩(200円)
ガツ素焼き(200円)
シロタレよく焼き(200円)

平日16時ぐらいには並びも少なくなるのですが、この日は16時40分にタンとハツが売り切れに。
シンキ(テッポウ生とコブクロ生のセット)を注文するもコブクロが売り切れており、
コブクロの代わりにハツを入れてテッポウ生(ボイル済みです)を楽しんでいました。

規制前は本当に生で楽しめたレバーも、今では完全なボイルでの提供に。
しかし扱う豚レバーのクオリティが最上位クラスなのが同店。
ボイルされたレバーでも下手なフレンチのレバーパテより美味しくて感動があります。

煮込みはデフォルト注文でも色々な部位が入って美味しいのですが、特定部位のリクエストも可能。
クニュクニュ食感を好むのであればハツモト、脂っ濃いのが好きであればアブラのところ。
これだけ自分好みに我儘に注文できて煮込み1皿200円。
「東京五大煮込み」と呼ばれるだけあって同店の煮込みはコストパフォーマンス最強です。
554文字★

梅割り(200円)
煮込み(200円)
ハツ生(200円)
ガツ生(200円)
タン赤いのお酢(200円)
アブラ多いの塩(200円)
アブラ多いのタレ(200円)
アブラ少ないのタレ(200円)
レバタレ(200円)
カシラタレ(200円)
シロよく焼き塩(200円)
ナンコツよく焼きタレ(200円)

開店時間が14時30分からとなっておりました。
13時50分にお店の前に行ったのですが鬼の行列&開店まであと40分。
少し時間を潰して15時過ぎから並ぶことにしました。

モツ焼き屋でありながらラーメン屋レベルに回転が早いので、20分ぐらいの待ちですんなり入店。
16時ぐらいには行列も10人以下となっていました。
開店から1時間半が経つことで、開店前から鬼のように並びまくっていたお客さんが捌けていき、
(普通のサラリーマンは来れない)平日16時ぐらいが一番の狙い目なのかも知れません。

モツは相変わらず1串100円とは思えないほどボリューミー&ハイクオリティ。
生や若焼きが不可能となってしばらく注文していなかったレバーですが火が通っていてもプリプリ美味しい。
レバー自体のクオリティが凄まじいのでしょう。
飲んで食べてガチの千べろ価格、モツラーにとってコスパ最強店の座は揺るぎません。
5,040文字★

規制強化によりレバーは「よく焼き」だけに。
茹でたレバーも新メニューとして登場したのですが火入れは強め。
レバ生やレバを若焼きで楽しめた時代に比べると楽しみは減りました。

とはいえシロ、アブラ、ガツなどの美味しさはトップクラス。
深みのあるタレもモツの美味しさを引き立てます。
不健康極まりない「アブラタレ」の中毒的な美味しさが堪りません。

ハツ生、タン生(いずれもボイル)の火入れは以前と同じように思います。
依然として都内のモツ焼き屋でも最上位クラスの満足度。
昼間から行列に並ぶのは過酷ですが、それだけの価値は感じられるお店です。
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13:30 宇ち多゛の行列に並ぶ
14:00 宇ち多゛(ギリギリ1巡目で入店)
14:30 栄寿司
15:00 炭火焼鳥中村屋
16:00 鳥房→ギブアップ

立石ツアー1軒目、久しぶりに口開けから宇ち多゛に。
ホネは無理でしたがツルを味わえたのは嬉しいところ。

初訪問時1皿170円だったのがこの10年で1皿200円に。
皿勘定の都合で1皿の3倍の値段となるビール大瓶は、
特にコストパフォーマンスが低下してしまっています。

この日もお酒は梅割り(200円)。
単体で飲むと寶焼酎の主張が強くて美味しくはないのですが、
モツと合わせるとこのケミカルな味が何故か美味しい。
これほど組み合わせの妙を感じるお酒も無いです。
下町の叡智でしょうか。

1串100円になってしまいましたが、どのモツも美味しい。
同席者にはガツ塩も好評でした。
焼いて美味しいガツって意外と少ないのです。
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マイレビュアー様と新年初営業日から宇ち入りしてきました。
この日は毎年御年賀のタオルを頂けます。
宇ち多゛ファンには垂涎の記念品かも知れません。

14時開店なのに13時前から1巡目満席となる大行列。
まだお店の前に並べないからと線路沿いに異様な行列が出来ていました。
ホネ(箸)は聞くまでもなく売り切れ。
ツル塩を久しぶりに味わえたのは良かったです。

翌日はフレンチでジビエ料理を食べていたりもしましたが、
1串90円でも1万円を超える高級フレンチより美味しい。
モツ好きな人間にとってはそう思えるはずです。
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立石に平日の昼2時から行列する酒場あり。
下町の酒都とも呼ばれる立石を代表する1軒であり、
東京の大衆酒場を代表する1軒でもある宇ち多゛です。

料理のメニューは3種類しか書かれていないのですが、
店内はバラエティ溢れる注文が飛び交います。

メニューに「もつ焼き」と書いてありますが、
実際にそう注文しても無視されます。
(たまに早口で説明してくれるときもあります。)
常連になればなるほど細かい注文が出来て楽しいお店なのです。
モツ初心者では注文の仕方を覚えるだけでも大変だと思います。

20代半ばに初めてこのお店を訪問しようと思った頃は、
平日昼から大の大人が行列する異様な光景に二の足を踏んでいました。
思い切って入ってみれば2串170円(当時)で美味しいモツを楽しめ、
注文も他の人の注文を真似れば何とかなります。

人生の大先輩からも色々とお言葉を頂けて、
慣れればどんどん居心地の良いお店になっていきます。
昭和の雰囲気溢れる雑多なお店なので、
万人受けするお店ではないとも思います。

お店の立地は京成線の立石駅から徒歩1~2分。
京成立石駅南側に隣接する立石仲見世に入ってすぐ。
常時行列しているのですぐに分かります。

店内はカウンターやテーブル合わせて40席ほど。
席のスペースは狭く、満員のなか肩を寄せ合って飲むことになります。
知らない人と会話する率が最も高かった酒場でもあります。

入口は2つありますが表口(魚屋側)に並ぶのが基本のように思います。
どちらに並んでも店員さんが仕切ってくれますが、
裏口(栄寿司側)に並ぼうとすると表に回るよう言われたこともありました。

平日昼間から常時行列していますが回転は早いので行列は苦になりません。
押上まるいで行列している人を見ると酔狂かと思いますが、
こちらは客の平均滞在時間が30分程度なのでそれほど待ちません。

厨房の焼き台は炭火。
14時の開店時間には常連客が常連席をキープしています。
本来は常連向けのお店なので、一見さんはお邪魔する気持ちを持つべきでしょう。
席は店員さんの指定した席に座ることになります。

飲み物は梅割(180円)を注文。
宝酒造の寶焼酎25度を梅シロップで割った下町ドリンク。
グラスのサイズからすると90mlぐらいでしょうか。
安い焼酎のストレートに梅シロップを数滴垂らしただけという、
アルコール度数25度のハードな飲み物。
危険な飲み物なのでチェイサー代わりに烏龍茶を頼む人もいます。

初訪問当時は百年の孤独や鳥飼といったブランド焼酎に傾倒していた頃でした。
こんなもの飲めるかと瓶ビール(540円)を飲んでいました。
生ビールがあれば…などと思っていました。

現在宇ち多゛では梅割ばかり飲んでいます。
慣れとは恐ろしいものです。
脂っ濃いモツと梅割は相性が良く、ハマると中毒になっていくのです。

しかも1杯180円という驚異的廉価。
5杯半までという制限はありますが(人によってもっと少ない数で制限となります)、
これを5杯も飲んだら常人は足もとがふらつきます。
昼間から夢の世界へトリップできます。

酒だけでなく料理も1皿180円なので千べろ可能な酒場です。
モツも美味しいので千べろ酒場としては最強の1軒と思います。
徒歩圏に住む自分は交通費ゼロなので本当に千円で気持ち良くなれます。
お店には千葉や神奈川から遠路遥々訪れる客も多数。
(このお店は知らない人とよく話すので、どこから来たのかよく聞くのです。)
飲み代より高い交通費をかけてもやって来るファンも多数います。

ちなみにお会計は皿勘定で180の倍数となるのが基本。
皿を重ねるのはレストランではマナー違反となりますが、
こちらでは逆に皿を重ねるのがマナーとなります。

料理まずはレバタレ若焼き(2串180円)。
メニューにはモツ焼きとしか書いていませんが、
常連客は当然のように部位指定、味指定、焼き方指定をして注文します。

部位ですがモツ焼きはシロ、レバ、ハツ、ガツ、カシラ、アブラ、ナンコツ、ツルの8種。
タン、テッポウ、コブクロもありますがこちらは生(ボイル)だけで焼けません。
逆にカシラとツルに生はなく、ツルは希少品で早い時間に売り切れます。
初心者はよく「タン塩」とか注文して「タンは焼けない」と冷たくあしらわれます。
その他にも「新規」や「箸」といった特殊注文もあります。

またアブラ少ないの、多いの、タン赤いの、など更に細かい指定も可能です。
自分の好みにあったチョイスが出来るので通えば通うほどハマっていくのです。
一見さんからすると何て長い注文の仕方かと、面倒臭いと思うかも知れませんが、
常連になるとこのシステムは凄くありがたいのです。

味はタレ、塩、味噌、素焼きの4種類で好みでお酢を加える人もいます。
味噌は煮込みの味噌と同じ味です。
素焼きは醤油がかかり、人によっては素焼きお酢で酢醤油にします。
塩焼きにお酢をかけてサッパリ頂くというのも乙です。

焼き方は若焼き、よく焼きで焼き加減を好みで調整。
何も言わなければ普通に焼いてくれます。
個人的にレバーは若焼きが一番だと思います。
シロやアブラはタレのよく焼きでこんがり焼けたのも好きなのです。

注文してすぐにレバタレ若焼きが到着。
常時満員で40人近いお客さんの注文を捌きながらこの早さは凄いです。
(若焼き以外のものも提供スピードは早いのです。)
しかも串のサイズは90円でありながら大きく、
さらに炭火で焼いてこれだけ早いのだから驚きです。

満員でありながらのこの早さに慣れてしまうと、他店で不満を感じてしまいます。
お店の回転の早さの一因は提供スピードの早さにもあります。
この早さはモツ焼き屋の規範となって欲しいぐらいです。

レバーを口にすると表面は温かく中は冷たいです。
焼き方にうるさい人は中もほんのり温かいのがレアだと言うかも知れませんが、
1串90円でこのクオリティの高さは日本でもトップクラスでしょう。
まずモツの質が90円とは思えない良質さ。
1串100円以上ならもっと美味しいモツ焼きも存在しますが、
この安さでこの味は驚きです。
タレも香ばしくて深い味、自分好みのタレの味でモツ焼きにもピッタリです。

今日のレバーは当たりのようです。
長く通えば分かりますが、宇ち多゛ほどの名店でも日によってモツの質はバラツキます。
モツ焼き屋は同じお店でも日によって質が変わるので評価も難しいのです。
土曜日のモツは金曜日に屠蓄したモツなので土曜日はお勧めできません。
平日昼に訪問してこそ真価を味わえるお店だと思います。

ツルタレも注文しますが平日の3時半で早くも売り切れ。
ツルとは豚のペニスの部分でゲテモノのように思われるかも知れませんが、
これが独特の弾力ある美味で人気の逸品なのです。
早い時間にしか味わえない希少品です。

煮込み(180円)を注文します。
煮込みにも細かい指定は可能で、フワを入れて貰ったりと人によって様々。
煮込みには14時の開店と同時に売り切れるホネという希少品もあります。
豚のアゴの部分で大きめの骨に肉がビッチリついています。
値段の倍以上の価値ある食べ応えある一品です。
これは注文すると個数分の箸が配られることになります。
そのため「箸」と注文する人もいるのです。
なお「新規」はテッポウ生とコブクロ生のセット。
これも早い時間に売り切れます。

煮込みですが180円とは思えないボリュームです。
味噌の味がドライで薄いようにも感じるのですが、
よく煮込まれた豚モツはトロミがついておりなかなか美味。
東京五大煮込みとも呼ばれますが、味は5店のうち4位と思います。
ただしコストパフォーマンスは1位です。
煮込みに梅割り3杯で720円、少食でお酒に弱い人ならそれでも十分でしょう。

タン赤いのお酢(180円)も注文します。
タンは生しかないので焼き方を指定する必要はありません。
これも早い時間に売り切れる人気商品です。
こちらは串に刺さっていません。
おそらく塊で茹でた豚タンをスライスして、
それをさらに切り分けているのでしょう。
爪楊枝がついてくるので、楊枝で刺して頂きます。
赤いのは少しレアな部位で血が滴ります。

タン生に続いてはハツ生(2串180円)。
こちらはお酢はかけずに頂きます。
かつてはレバ生お酢orレバ生お塩が定番でしたが、
レバ刺しへの風当たりの強くなった現在は生で一番好きなのはハツです。
軽くボイルしてありますが生と遜色ない美味しさだと思います。
プリプリのハツはアッサリしながら旨味あり。
アッサリしている部位なのでお酢は不要で醤油だけで美味しいです。

梅割り3つに料理4品でお会計1,260円。
お通し代も席料も無く、座って飲めてこの安さ。
昭和の雰囲気漂う店内は飲兵衛のテーマパーク。
モツは美味しく量もあり、酒はほとんどストレートの焼酎。
日本でも唯一無二の名酒場だと思います。
平日2時から行列する酒場なんて他にあるのでしょうか。

ぞんざいな接客だったり雑多な雰囲気だったりするので、
人によって合う合わないは大きいとも思います。
合う人には最高の大衆酒場であり、モツ焼き屋としてもレベルは高いです。
可能であれば平日昼2時から毎日通って常連になりたい、
そう思わせる魅力たっぷりの酒場なのです。
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2012年9月初投稿、2013年1月更新、2015年1月、3月更新、2016年1月更新

  • 2020.2 タン赤いの(200円)
  • 2020.2 梅割り(200円)
  • 2020.2 アブラ多いの塩(200円)

もっと見る

4位

もつ焼 まるい (押上、とうきょうスカイツリー、本所吾妻橋 / 牛料理、もつ焼き)

3回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2018/04訪問 2019/01/14

【★5.0】牛も豚も鶏も(昔は馬も)【0040-3】

681文字★

グレープハイ(450円)ルビーorホワイト
レモンハイ(380円)

お通し(ジャガイモの煮付けと青菜)
黒タン刺(880円)2人前
牛にこみ(580円)
なんこつホイル焼(600円)
白(450円)3人前
黒タンカルビ焼(700円)2人前
一元豚バラ(100g 600円)
一元豚ロース(100g 750円)
鳥皮ガーリック煮トマト入(500円)2人前
仔牛ローストビーフ(850円)2人前
牛レバスライス焼(780円)

馬肉はハイパーインフレーションな値上がりによって高嶺の花となってしまいましたが、
まるい(3.78)は牛、豚、鶏を楽しむだけでも満足度5.0満点クラス。
良質なお肉をここまで豊富かつ廉価に楽しめるお店を他に知りません。

仔牛のローストビーフは仔牛のウチモモ肉を使っているとのこと。
炭火で肉塊を炙っているので中心はレアーな火入れ。
仔牛なのでアッサリとした旨味ですが、それゆえボリュームあってもペロリといけます。

鳥皮ガーリック煮は醤油と酒で味付けして手羽先も入れているそう。
串焼き(焼鳥)や揚げ物(皮煎餅)のようなパリパリ食感の鶏皮も美味しいですが、
プルプルとコラーゲン的な美味しさを楽しめるこのガーリック煮も秀逸。
鶏皮の煮込みでは立石の鳥房(3.59)と同店が下町のツートップでしょうか。

希少な「一元豚」はお値段の少し安いバラ肉のほうが気に入りました。
もっとも同店の豚メニューでNo.1なのは「白」、豚のシロとテッポウの炭火焼きです。
特製のニンニクダレで味付けた白は後を引く美味しさで3人前でも足りないぐらい。
1,108文字★

鳥インフル(エンザ)によって仏産の鴨やフォアグラが手に入らなくなっていますが、
押上のまるいでは馬がインフレ(ーション)していて食べるのが困難となっていました。

2012年4月には100g900円だった馬ステーキが現在100g3,000円に。
850円だった馬刺は1,800円に値上がりしていて驚愕。
仔牛のローストビーフは5年前と同じ1人前850円という安さだったので、
馬肉の仕入れ価格が純粋に急騰してしまったのでしょう。

レバ刺しが禁止され、馬は異常に高騰、にもかかわらず平日17時から満席(しかも狭い)。
10年前のように毎週訪れるほどの魅力はなくなってしまったのですが、
相変わらず出てくる肉やモツのクオリティは高くて値段もまだまだ安いです。

ポテトサラダ(お通し)
黒タン刺(780円)
牛にこみ(480円)
白(450円)
黒毛和牛ステーキ(150g1,200円)
ほほ肉ガーリック煮(480円)
牛レバスライス焼き(780円)
仔牛ローストビーフ(1人前850円)
地鶏皮(380円)
豚こにく焼き(400円)

家庭的なポテサラはともかく、1品目の黒タンから質量を兼ね備えた逸品。
焼肉屋に行ってもまず出会えない良質な黒タン(黒毛和牛のタン)。
これが厚切り4枚(1人前)で780円なのは流石まるい。

続いては煮込みで牛の腸、白で豚の腸の強烈な旨味を堪能。
まるいのスペシャリテとも思う白は湯通しした豚のシロとテッポウを炭火焼きに。
適度に脂が落ちることで意外とアッサリした口当たり。
かつては1人で4人前をペロリと平らげたことを思い出しました。

黒毛和牛ステーキは150g1,200円、つまり1g8円。
大手チェーンのいきなりステーキでは立ち食いでアンガス牛が1g8円。
まるいは黒毛和牛でこの値段というのが驚異的です。

ほほ肉ガーリック煮には何故か手羽先やその骨も入っていました。
下町の個人店ならではの不可思議な構成ではありますが、
黒毛和牛ステーキより美味しいとも思う頬肉と大量のニンニクに舌鼓。

規制前の時代はレバ刺しとして提供されていたレバスライス焼き。
現在はかなり強めに火を入れての提供になってしまいましたが、
それでもレバーに甘みとコクを感じて良質なのがよく分かります。

ローストビーフは焼きムラがあったり、地鶏の皮は火入れがレアー過ぎたりと、
オヤジの火入れ技術は達人クラスの焼き師に比べれば劣るでしょう。
それでも圧倒的な食材力と、格安と言われる大手チェーンすら凌駕する安さ。
最後の地鶏皮と豚こにくが出るまで4時間待ちましたが、やはりまるいは素晴らしいです。
4,451文字★

白が380円から450円に値上がり。
黒毛和牛ステーキ(1,200円)、黒毛和牛カルビ焼(1,300円)、
新しいメニューも増えていました。

赤身派のまるいだけあって黒毛和牛ステーキは赤身メインのお肉。
次回は黒毛和牛カルビ焼も試してみたいと思います。
レバーは相変わらずウェルダンに近い火入れで、
かつてレバ刺しの聖地と讃えられていた頃の面影は無し。

ただ馬刺し、黒タン、白などは相変わらず素晴らしい。
レバ刺しを楽しめた頃には及ばないまでも、
現在も何度も再訪したいお肉の聖地とも思うお店です。
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食べログのレビュアー様ら6人でのオフ会で利用しました。

料理が出てこないことで有名な押上のまるい。
土曜日に団体利用するのは無謀だったのかも知れません。

同店で料理を注文してから出てくるまでの最長記録は2時間半でしたが、
今回はローストビーフの到着が注文から5時間20分後と大幅に記録更新。
6時間にも及ぶ超長時間のオフ会となりました。

お通し(野菜と油揚げのお浸しのようなもの)
馬刺(900円)3人前
黒タン刺(680円)5人前
牛レバたれ焼き(800円)2人前
牛にこみ(380円)2人前
白(380円)4人前
ガツ刺(480円)2人前
ほほ肉ガーリック煮(480円)2人前
なんこつホイル焼き(600円)2人前
馬ステーキ(100g900円)300g
仔牛ステーキアボカド(100g850円)300g
地鶏すきみ焼き(400円)3人前
ささみ刺(500円)2人前
仔牛ローストビーフ(1人前850円)4人前

お会計6人で39,848円、1人あたり約6,641円。
6時間滞在してこの値段なのでお店はあまり儲からないでしょう。
ずっと床に座りっぱなしだったので疲れました。
土曜日は過酷です。

※平日であればこんなに時間はかかりません
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2012年最後の外食はマイベストレストランまるいでした。
この日(12月29日)はまるいも年内最終営業日。

レバーは親仔とも売り切れで、他にも色々と無いものがありました。
仔牛の肉は余っているということで仔牛ローストビーフ(2人前1,700円)、
最後にはお店定番の仔牛サンドイッチ(500円)をテイクアウト。
仔牛の肉は牛肉よりアッサリ淡白な面もありますが、これはこれで美味しいです。

意外と牛タンが残っていて黒タン刺し(680円)、黒タンカルビ焼き(700円)を2人前ずつ。
黒牛のタンがこの値段でこの量出てくるお店が他にあるのでしょうか。
タンカルビはおそらくスジの部分なのでしょうが、独特の食感と脂が美味しいです。

白、馬刺、ほほ肉ガーリック煮といつものメニューも忘れずに。
どの料理も量・質を兼ね備えリーズナブル。
相変わらず提供速度は遅く店内も狭いですが、年内最後の外食に相応しい内容でした。

飲み物は最近定番となっているグレープハイ(400円)。
有名高級青菓店と同じ仕入先という良質グレープフルーツが丸ごと1個出てきます。
生搾りグレープフルーツ果汁の瑞々しさが極上のグレープハイ。
肉はもちろん、さりげなく飲み物もハイレベルです。
3人で行って合わせて1万円程度、安いです満足です。
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2012年6月末は牛レバ刺し規制直前&スカイツリー開業で鬼畜のごとき行列。
現在(2012年8月)は少し落ち着いたようですが、人気店に変わりはありません。

親仔牛レバーはかつてはレバ刺し、少し前はタタキでしたが、現在は中まで火を通して提供しています。
商品名も牛レバスライス焼(780円)となり、値上がりしたうえに味が落ちました。
悲しいことですが、美味しいものではなくなってしまいました。

レバ刺し好きの聖地とも言えるお店だったのですが、
おかしな法律のせいでその魅力は失われてしまいました。
大変残念です。

レバーの魅力は事実上失われてしまいましたが、
それでも他のメニューは安くて美味しく最高の1軒であることに変わりはありません。
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スカイツリー開業に沸く押上。
しかしモツ好き人間にとって押上のランドマークと言えばここまるい

かつてはレバ刺しが代名詞のお店でしたが、
規制強化により2012年3月現在はタタキとなっております。
今後はタタキすら出せなくなるかも知れませんが。

とはいえレバー以外のメニューも素晴らしく、
牛、豚、鶏、馬と様々な肉の美味さを堪能できます。

京成線の押上駅改札口からお店まで徒歩で10分近くも歩きます。
店内は狭く、満員が常態なのでギュウギュウ詰め。

料理は大将1人で切り盛りしているところに注文が殺到するので、
1時間待ち2時間待ちは覚悟しなければなりません。

しかしそれらの弱点を凌駕する素晴らしさがこのお店にはあるのです。

リーマンショック前は毎週のように通っていました。
その頃は親牛、仔牛、馬のレバ刺しを食べては悶絶しておりました。

このお店の超厚切りレバ刺しは他に類を見ない別格の素晴らしさでした。
毎週レバーを貪っては生きる糧としておりました。
自分がモツ好き人間になるのを決定づけた思い出のお店でもあります。

お店の立地は京成線・東武線・浅草線・半蔵門線の押上駅から徒歩10分。
押上駅B2出口を出て右手、四ツ目通り沿いを錦糸町方面に直進。
朝日信用金庫を超えたら右折、直進して公園が見えたら左折、
右手に公園を見ながら細い道を進むと左手にお店が見えてきます。

お店はカウンター8席、6人テーブル1卓の狭い1階と、
民家のリビングとしか思えない2階にちゃぶ台3卓20席程度。
寒い時期や雨でなければ店外に席も作られます。
店外まで合わせると40人近くは入れるのでしょうか。

店内は狭いです。
しかも人気店なので満員です。
1階のテーブルも2階も相席になることが多いです。
肩を寄せ合う雑多な雰囲気が嫌いな人には向かないお店です。

また30人以上のお客さんの料理を大将1人で切り盛りするので、
料理の提供スピードは最悪クラスです。
炭火でじっくり料理するので時間がかかるのは当たり前なのですが。
自分は最長で2時間半待ったこともあります。

それらはもう覚悟のうえで入店。
飲み物まずは生ビール大(750円)を注文。

このお店は飲み物の注文すら時間がかかることがあるので、
大きめのドリンクで水分を確保します。

毎週通っていた頃は焼酎をボトルキープしておりました。
ボトルならドリンクオーダーが一度だけで済むので。

女将さんからお通しを渡されます。
本日はおからでした、日によって変わります。

料理は親牛と仔牛のレバ刺し(タタキ)に黒タン刺し、馬刺しと注文。
今日はカウンターなので、大将と会話しながら料理を楽しみます。

刺身類はこのお店の中では一番提供スピードが早いです。
馬刺し(850円)はヒレとロースの赤身部分が厚切りで大量に出てきました。

熊本の霜降り馬刺しと違って脂のとろける旨味はありませんが、
柔らかくヘルシーなこの馬刺しも素晴らしいです。

しかも厚切り、食べ応え抜群かつ美味。
東京でこの質この量の馬刺しにはなかなか出会えません。

続いて黒タン刺し(680円)、黒牛のタンです。
4切れしかありませんが、素晴らしい旨味。
悶絶する美味さです。

冷蔵庫からレバーを取り出す大将。
でかい、なんて大きなレバー。

巨大なレバーの塊から1人前の分量を切り分け、
炭火の上に敷かれた網の上でレバーに火を通します。

このお店の焼き物はこの網の上で焼かれます。
網の面積は広くないので、一度に沢山の料理は捌けません。

大将曰く、美味しい料理に時間がかかるのは当たり前とのこと。
こういうコンセプトなので、時間に余裕があるときに来るお店ですね。

親牛レバー(680円)仔牛レバー(680)と皿に盛られてやってきました。
超厚切りの、あり得ない量です。

ガッツリと食べるレバー。
素晴らしい、火が通っていても素晴らしいレバー。
胡麻油と塩で食べると、もう最高です。

このお店の塩はフランス産の粒の大きな塩。
この塩がまたレバーの美味さを引き立てますね。

焼き物が出来上がるまでレバーや馬刺しで凌ぎ、
いよいよシロ(380円)が焼けてきました。

いわゆるシロとテッポウの部分が炭火で焼かれ、
お店特製のニンニクダレがかかっています。
ネギ入りだと100円アップとなります。

このシロが後を引く美味さ。
個人的には埼玉屋の上シロ、のんきのシロタレより好きなシロです。
まるいに来たら必ず注文する逸品です。

続いてナンコツホイル焼き(500円)。
ミンチ状のナンコツとタマネギがホイルの中で焼かれ、
仕上げにかけられた日本酒で蒸し焼きとなっています。

これは優しい味でリリーフに良いですね。
挽き肉のような形状となったナンコツの食感も面白いです。
レンゲでホイルの中のスープまで飲み干します。

煮物料理からは、ほほ肉ガーリック煮(480円)を注文。
醤油ベースで煮込まれた柔らかいホホ肉に、にんにくがドッサリ。
カットにんにく、すりおろしにんにくと肉の上にかかっていて強力です。
にんにく臭くなるのを覚悟してオーダーするメニューです。

豚こにく焼き(380円)も焼けてきました。
大将にどの部位か聞いても内緒とのことで教えてくれません。
豚1頭から1個しかとれないのだとか。
独特のネットリとした食感で、塩味が美味しいです。

最後に馬ステーキを100g(900円)をお願いします。
馬刺し用の馬肉をタタキ程度に炙り、お店特製のニンニクダレで。
焼き物のなかでは比較的提供スピードの早いメニュー。

個人的には馬刺しよりステーキのほうが好きです。
馬肉にかかっているニンニクダレがたまりません。

本日は地鶏すきみ焼きが売り切れで鶏は楽しめませんでしたが、
牛、豚、馬と肉の素晴らしさを堪能できました。

肉好きな人にとっては楽園のようなお店ではないでしょうか。
質と量を兼ね備えながら値段も非常にリーズナブルです。

帰り道は聳え立つスカイツリーを眺めながら押上駅へ。
最高の気分で、今日も大満足です。

※写真の一部は一緒に行った友人による撮影です。
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2012年4月初投稿、2012年5月、8月、2013年1月更新、2014年3月、12月更新

  • 2018.4 仔牛ローストビーフ(850円)2人前
  • 2018.4 一元豚ロース(100g 750円)
  • 2018.4 なんこつホイル焼(600円)

もっと見る

5位

豚小家 (小岩、京成小岩 / 豚料理、もつ焼き、居酒屋)

13回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2024/01訪問 2024/01/18

【★5.0】アブラ天国【0018-13】

514文字★

お通し(330円、内税)半熟煮玉子
もつ刺し 5点盛り(1,430円)りんげる、がつ、はらみ、たん、はつ
れば(88円)
あぶら(110円)
きくあぶら(110円)
しろ(143円)
てっぽう(176円)
ゆでぶた(858円)ニンニク醤油
とろ玉 白角煮(858円)
黒豚カルビのガーリックバター焼き(858円)
ればーたつた揚げ(528円)
ナンコツ唐揚げ(528円)

時代の流れなのか同店(3.64)の注文方法がタブレットに変わっていました。
口頭注文ならではの細かいリクエストが伝わらないのではないか。
そんな不安が頭をよぎりましたが杞憂でした(いつも通りに出てきました)。

同じ料理ばかり食べてしまうので変化は楽しめませんが安定の美味しさ。
88円を堅持するレバー串だけで他店400円ぐらいのレバテキを凌駕する満足感。
久しぶりに注文した黒豚カルビの脂ノリがいつもより良いような気もしました。

今回もアブラー(脂を愛する人)向き料理のオンパレード。
スコア4.00を超えるような高級店は淡麗アッッサリした料理が主体となりますが、
そういう高級店では絶対に出てこないような脂っ濃さにこそ価値のあるアブラ天国。
881文字★

お通し(330円、内税)半熟煮玉子
もつ刺し 5点盛り(1,430円)りんげる、がつ、はらみ、たん、はつ
ればー(88円)
あぶら(110円)
きくあぶら(110円)
しろ(143円)
てっぽう(176円)
茹でぶた(858円)
とろ玉白角煮(858円)
ればーたつた揚げ(528円)
鉄板 明太ガーリック焼きめし(704円)

コンビニのローソンが「悪魔のおにぎり」なんて商品をヒットさせていたようですが、
同店(3.70)の料理も例えれば「悪魔の豚料理」と言えるでしょう。
モツ、脂身、ニンニク、高級レストランでは禁忌となる三大要素を重ね合わせています。

筆者が最近通っている和食店は鰹節に頼らない美味しさを志向しているのですが、
そういう美味しさとは対極に位置するであろう濃厚旨味爆弾。
高級レストランしか美味しいと感じられない人には受け止めきれないヘビーな一撃。

例えば脂身たっぷり岩中豚の厚切りバラ肉をドカーンと盛り付けた「茹でぶた」。
このヴィジュアルに怯む人のほうが多いようですが好きな人はニンニクダレまで掛けちゃう。
1人で1皿をペロリと食べられるような人が同店の常連と化していきます。

先日は都心の某高級焼鳥店で黒さつま鶏(鹿児島県の地鶏)の皮を食べたのですが、
おそらく下処理の段階でボイル、脂を落として蕩けるような食感に仕上げていました。
しかし地鶏の皮なんて筆者からすれば脂が軽やかなのでそんな脂抜き処理は蛇足。

地鶏の皮はストレートに焼き上げるほうが美味しいと思います。
むしろそんな処理をしては同店のシロに近い味わいとなってしまって、
(シロは適切に下処理しないと臭みが出てしまう部位なので蕩ける食感への変質は合理的)
同じような美味しさなのにシロより3倍も高いという悲しい結末を迎えることになります。

下町の小岩にしては酒が高いと批判される同店ですが都心に比べれば破格の安さ。
ガブガブ飲んでバクバク食べても2人で1万円を切りました。
控え目に飲んでも1人で1万円を軽く超えてしまう都心に行くのが馬鹿らしくなってきます。
2,253文字★

若者の食べログ離れなんて話を聞きます。
スコアやランキングよりInstagramの写真を参考にお店を選ぶそうですが然(さ)もありなん。
食べログを支える高所得レビュアー様は、どちらかと言えば成人式より還暦のほうに近い年齢層。
高級レストランのオフ会に参加すると食べログ歴10年の筆者が最年少ということも珍しくないです。

人間40歳を超えると「カルビの脂が食べられなくなった」なんて言い出しますし、
そもそも親子以上に年齢が離れて味覚の好みが同じなんてあり得ないでしょう。
高所得の皆さんが好む高級レストランばかり高評価となっても若者の参考にはなりません。
(だからこそ食べログも百名店なんてシステムを導入しているのではないかと思料。)

カルビの脂について言及しましたが脂身を苦手に思う人は少なくないようで、
例えば高級フレンチに於いて脂身は禁忌となっているのか、
ヴィアンド(メインの肉料理)に豚肉を使ってもバラ(カルビ)を使うのは基本的に避けます。
脂身より赤身肉のほうが火入れの妙味を味わえるという理由もあるかも知れません。

レフェルヴェソンス(4.55)今帰仁アグーのロースとカブリ
カンテサンス(4.52)花悠仔豚の後ろ足
レストランオオツ(4.14)花悠仔豚の骨付きロースとバラ
セララバアド(3.87)セレ豚の肩ロース
ラ ターブル ドゥ ジョエル ロブション(3.78)梅山豚のロース
ジョンティ アッシュ(3.77)金華豚の肩ロース
ロドラント ミノルナキジン(3.73)ガルシアポークの肩ロース
ル ゼフィール(コートドール出身)キントア仔豚のヒレ

以上1万円を超えるコースでヴィアンドに豚肉を使っていた例を挙げてみましたが、
バラ肉はレストランオオツぐらいで、しかも骨付きロースのほうが主役という扱い。
仔豚なので親豚より脂身がアッサリしており脇役なら使えるという判断でしょう。
(それでも苦手なお客さんは食べないのでバラだけ我々のテーブルに回ってきたことあります。)

しかし脂身が好きな人にとって最高に美味しい部位と言えばバラ肉。
フレンチなど高級レストランはバラ以外を使うので安くなっているのかも知れません。
同店(3.74)はそこに目を付けて岩中豚のバラ肉を大量に仕入れているのではないでしょうか。

バラ肉の串焼き、つくね(バラ肉だけを使用した生つくね)、白角煮(バラ肉の白醤油煮)、
茹でブタ(茹でたバラ肉)、ギョーザ、酢豚、唐揚げ、これら全て岩中豚。
例示したヴィアンドには入っていませんが脂身の美味しさに定評あるブランドで、
フレンチ百名店の参宮橋キノシタ(3.76)が自家製ベーコンに岩中豚を使用。
ビストロ百名店の東銀座IBAIA(3.73)がバスク風ローストに岩中豚を使用。

同店の岩中豚で筆者が最も気に入っている食べ方が「茹でブタ(748円、内税)」。
ラーメン二郎のアタマを岩中豚に置き換えたような料理なのですが、
若者すら怯むレベルの脂身たっぷりな構成でこれを食べられる人間は限られます。

そして味付けにネギポン酢orにんにく醤油を選べるのですが筆者は絶対に後者。
ネギとポン酢でアッサリ食べるなんて発想は無くてコッテリに特化させます。
脂身は高級レストランに於いて禁忌と申し上げましたが、
この大蒜(にんにく)もまた臭いの強さから高級レストランでは禁忌。
ダブルで禁忌を冒している神をも恐れぬ料理なのです。

脂身たっぷりで大蒜臭いという10人中8人は避けそうな料理ですが、
10人中2人ぐらいは存在するであろうマニアにとっては究極の美味。
ファンタジーの世界で例えれば禁呪を思わせる圧倒的かつ破壊的な旨味の強さを楽しめます。

フレンチのシェフだって再現しようと思えばそれは容易なのでしょうけど、
何十人とお客さんが訪れてマニアックなメニューも書ける同店とは異なり、
1日数組のお客さんしか相手にしないフレンチでは絶対に出せません。
だからこそ下町の大衆料理が食べログGOLDのフレンチを上回るという逆転現象が起こります。

和食は引き算の料理、フレンチは足し算の料理、なんて言われますが同店は超足し算。
こちらは岩中豚では無いのですが「黒豚カルビのガーリックバター焼き(748円)」は、
禁忌のカルビと禁忌の大蒜にバター(脂身に油脂)まで加えるという暴力的な足し算。

しかし脂身が好きな人間にとって黒豚の脂身は岩中豚の脂身よりアッサリしているので、
バターでコッテリ感を増すほうが丁度良くなるという狂気の世界。
脂身だけでなくモツの美味しさにも魅力あるお店なのですが、
あまりにも長くなってきたのでまた別の機会に書きたいと思います。

なお本日食べた料理は以下の通り

チャージ(330円)煮玉子
もつ刺し 5点盛り(1,320円)りんげる、がつ、はらみ、たん、はつ
ればー(88円)
はつ(88円)
あぶら(110円)
きくあぶら(110円)
はらみ(110円)
かしら(110円)
しろ(132円)
てっぽう(165円)
うずら巻き(220円)
とろ玉白角煮(748円)
茹でブタ にんにく醤油(748円)
鉄板ちーずとんぺい焼き(748円)
黒豚カルビのガーリックバター焼き(748円)
岩中豚の唐揚げ(638円)
豚喉なんこつの唐揚げ カレー味(528円)
れば竜田揚げ(528円)
鉄板明太モッツァレラチーズガーリック焼きめし(748円)
703文字★

チャージ(300円)半熟煮玉子
りんげる刺し(480円)
れば 塩(80円)
てっぽう 塩(150円)
しろ タレ(120円)
喉なんこつ 塩(150円)
あぶら タレ(100円)
きくあぶら タレ(100円)
岩中豚の旨辛よだれ豚(780円)夏季限定メニュー
鉄板バリ辛ガーリックバター焼きめし(580円)夏季限定メニュー

(注)表示価格は外税です

壁を見ると新メニュー「岩中豚のサムギョプサル(1,380円)」を見つけたのですが、
夏季限定メニュー「岩中豚の旨辛よだれ豚(780円)」も気になったのでこちらを注文。
イメージとしては「茹で豚」を口水鶏(よだれ鶏)のような麻辣味にして、
細く刻んだネギやキュウリでサッパリと味わう料理。

茹で豚(例えればラーメン二郎のアタマ)はバラ肉の脂身を重いと感じる人も多いので、
こういう風に野菜たっぷりピリ辛味のほうが食べやすいのかも知れません。
(濃厚コッテリ好きな人は大蒜醤油の茹で豚が一番と思います。)

りんげる刺しは単品で注文すると胡麻油とポン酢のような味付けがデフォルトとなってしまうので、
刺し盛りのときのように胡麻油と塩を別添えリクエスト。
この胡麻油塩をレバー串に転用しても「レバテキ」のように楽しめてオススメです。

夏季恒例のバリ辛ガーリックバター焼きめしは遠慮無く結構な辛さなのですが、
(同店には地獄巻きレベル6という一般人には拷問レベルに辛い料理もあるのです)
辛味のおかがで穏やかになった大蒜の風味やお米の美味しさを楽しめて〆までレベル高し。
コロナ禍でも19時半ぐらいには満席となって予約の無いお客さんを断っていました。
469文字★

チャージ(300円)半熟煮玉子
もつ刺し5点盛り(1,200円)はつ、たん、はらみ、りんげる、がつ
とろ玉白角煮(680円)
茹で豚 ニンニク醤油(680円)
豚喉ナンコツ唐揚げカレー味(480円)
れば 塩(80円)
レバーたつた揚げ(480円)
はらみ 塩(120円)
かしら 塩(120円)
てっぽう 塩(150円)
しろ タレ(120円)
ちれ 塩(100円)
あぶら タレ(100円)
きくあぶら タレ(100円)
うずら巻き タレ(200円)
黒豚カルビのガーリックバター焼き(680円)
岩中豚唐揚げ(580円)
鉄板明太モッツァレラチーズガーリック焼きめし(680円)

(注)表示価格は外税です

食べログのスコア4.50を超えるレストラン(日本全国に62軒)15軒には行ってみましたが、
高級レストランとは方向性の異なる、脂の旨味や内臓の旨味に特長ある同店。
コッテリした料理が多く野菜は無きに等しく(料理写真は茶色ばかり)、
絶対に万人ウケはしないのですが、好きな人にとっては高級レストランを超える満足感。
1,069文字★

チャージ料(300円)半熟煮玉子
りんげる刺し(480円)湯引きした産道
れば 塩(80円)
豚喉ナンコツ唐揚げカレー味(480円)
てっぽう 塩(150円)
しろ タレ(120円)
あぶら タレ(100円)
きくあぶら タレ(100円)
茹で豚 ニンニク醤油(680円)
なすと大葉の肉巻き天ぷら(580円)
鉄板明太モッツァレラチーズガーリック焼きめし(680円)

(注)表示価格は外税です

新たな食との出会いを求めて日本全国を巡っているのですが、
やきとん(もつ焼き)に関して東京のレベルの高さは日本一と確信しております。
地方を巡れば巡るほどその確信が深まってきています。

大消費地である東京(の芝浦食肉市場)には日本全国から優秀な豚が集まってきますし、
特に東側の下町エリアでは駅ごとに老舗の名店が幅を利かせており新興店との争いも激しいです。
(例えば小岩駅も北口の大竹や南口の一力などの老舗が根強い支持を受けています。)
そして捨て値で仕入れることが可能な豚モツは安さも異常。
(競争原理が働いていることもあって下町であれば1串100円台に収まっています。)

先日は高知県の繁華街で人気となっている大串モツ焼き店を訪れてみたのですが、
同店のような大串レバーが280円という値付けでした(同店は驚愕の80円です)。
(江戸川区とはいえ一応)東京23区内に在りながら地方都市の3分の1未満という超絶安値。

そして値段以上に圧倒的な差を感じたのが火入れの技術。
表面が黒焦げになるぐらいウェルダンだった高知某店に対し同店レバーの何と美しいこと。
モツ刺しを食べるときの味変アイテム「胡麻油塩」を転用してレバ刺し風の味付けにすれば、
80円とは思えないほど完成度の高いレバーを楽しめて東京の凄まじさを痛感します。

岩中豚、黒豚、アグー豚といった日本全国から選抜した豚の中でも特に脂身の美味しさが素晴らしい岩中豚、
未だ同店を超えるモノに出会えていないテッポウなどを楽しんで本日も大満足。
そして豚とは全く関係無いのですが、ジャンキーな鉄板焼きめしの美味しさも非凡でした。

東京では無理して松茸ご飯を食べるよりも、こういうジャンク飯のほうが満足度が高くなります。
(塩と脂と米の組み合わせという人間の本能に訴求する美味しさなのです。)
カシラアブラ、キクアブラ、岩中豚バラ肉の脂身、ジャンク飯などヘルシー志向とは対極の料理ですが、
脂っ濃くてコッテリした美味しさを好む人にとって、同店はまさにシャングリラ(桃源郷)。
480文字★

チャージ(300円)半熟煮玉子
もつ刺し5点盛り(1,200円)はつ、たん、はらみ、りんげる、がつ
れば(80円)
しろ(120円)
てっぽう(150円)
豚喉ナンコツ唐揚げカレー味(480円)
茹で豚(680円)
あぶら(100円)
きくあぶら(100円)
シャキねぎ盛り(280円)
鉄板バリ辛ガーリックバター焼きめし(580円)

※表示価格は外税です

80円なのにプリプリのレバーが巨大串で登場してくる同店。
かつてのようにレアーな焼き加減は不可能となりましたが、可能な限りで若焼きリクエスト。
レバーを串から外して、刺し盛りのネギと胡麻油塩を転用することにより「レバテキ」風にも楽しめます。
「シャキねぎ盛り(280円)」もメニューにあるのでネギを増し増しにするのも良し。

岩中豚の脂身たっぷりバラ肉の「茹で豚」もお気に入りメニュー。
ブランド和牛として名高い松阪牛の霜降り肉より個人的には美味しいのではないかと思っています。
(もっとも松阪牛もピンキリあるのかも知れません。)
こちらも680円ということでコスパ満点ではないでしょうか。
331文字★

チャージ(300円)半熟煮玉子
茹で豚(680円)
岩中豚の鉄板特製ギョーザ(480円)
れば(80円)
あぶら(100円)
きくあぶら(100円)
かしら(120円)
たん(150円)
てっぽう(150円)
まるしろ(200円)
自家製とんつくね(2個 380円)
鉄板バリ辛ガーリックバター焼きめし(580円)

※表示価格は外税です

夏メニューの「鉄板バリ辛ガーリックバター焼きめし」には地獄巻きの唐辛子を転用しているようです。
レベル6の辛さになると筆者では耐えられなくなるぐらい辛い地獄巻き。
鉄板バリ辛ガーリックバター焼きめしも予想外に辛かったです。
しかしバターでマイルドになりますし、お米との相性も良くて、夏の〆に良いかも知れません。
378文字★

チャージ(300円)半熟煮玉子
とろ玉白角煮(680円)
れば(80円)
もつ刺し5点盛り(1,200円)はつ、たん、りんげる、てっぽう、がつ
はらみのタタキ(580円)
レバーたつた揚げ(480円)
茹で豚(680円)
はらみユッケ(580円)
豚喉ナンコツ唐揚げ カレー味(480円)
しろ(120円)
てっぽう(150円)
あぶら(100円)
かしら(120円)
たん(150円)
はつ(80円)
鉄板明太モッツァレラチーズガーリック焼きめし(680円)
岩中豚唐揚げ(580円)
鉄板カレーチーズガーリック焼きめし(680円)

※表示価格は外税です

定期更新。
卓上の七味を「豚喉ナンコツ唐揚げ カレー味」にかけてもスパイス感が増して良いです。
〆の鉄板焼きめしはジャンキーな味なのですが、タレをかけて鉄板でパリッと焦げたお米が美味。
425文字★

お通しの半熟煮玉子(チャージ1人300円)
れば(80円)
はつ(80円)
あぶら(100円)
きくあぶら(100円)
しろ(120円)
かしら(120円)
てっぽう(150円)
豚喉ナンコツ唐揚げカレー味(480円)
茹で豚(680円)
黒豚カルビのガーリックバター焼き(680円)
もつ刺し3点盛り(900円)はつ、たん、りんげる

80円のレバーを限界数(この日は4人だったので8本)まで注文して、胡麻油塩と一緒にレバテキ風に。
料理に比べるとお酒は安くないのですがシャリキンボトル(凍らせた金宮焼酎のボトル)を入れて、
「レバテキ」とホッピーを合わせて楽しんでいました。

岩中豚バラ肉の脂身が蕩ける茹で豚、同店のスペシャリテと思うテッポウ、真空低温調理のモツ刺しなど、
お腹いっぱいになるまで飲んで食べて1人3,000円チョットは相変わらず驚愕のコストパフォーマンス。
特に健啖家なモツラーに評価の高くなるお店ではないでしょうか。
719文字★

半熟煮玉子(お通し)
れば(80円)
はつ(80円)
あぶら(100円)
きくあぶら(100円)
しろ(120円)
はらみ(120円)
かしら(120円)
たん(150円)
てっぽう(150円)
地獄巻き(180円)
うずら巻き(200円)
ポテトサラダ(380円)
もつ煮込み(480円)
レバーたつた揚げ(480円)
豚喉ナンコツ唐揚げカレー味(480円)
茹で豚(680円)
とろ玉白角煮(680円)
黒豚カルビのガーリックバター焼き(680円)
鉄板明太モッツァレラチーズガーリック焼きめし(680円)
もつ刺し3点盛り(900円)はつ、たん、りんげる

今月は1串200円もする黒豚のやきとん、アグー豚のやきとん、1串150円の上州豚のやきとんを食べましたが、
1串80円~150円の同店のやきとんのほうが安くてボリュームあって美味しいです。
コストパフォーマンスまで含めた総合力の高さは圧倒的。

美味しさという点でNo.1と思うやきとんは「てっぽう(豚の直腸)」。
表面はカリッと焼き上げながらフワッとやわらかく、口の中に流れてくる脂の旨味が堪りません。
今まで食べ歩いた中では全国No.1のテッポウ。

茹で豚(岩中豚のバラ肉)、あぶら(カシラアブラ)、きくあぶらを同時に注文してみたのですが、
これら脂っ濃いトリオが勢揃いしたときの破壊力はアブラー(脂を愛する人)歓喜。
「ラーメン二郎」の豚より遥かに良質な脂身を楽しめる茹で豚、蕩けるやわらかさのカシラアブラ、
クニュクニュフワフワした独特の食感のキクアブラ(腸周りの内臓脂肪)。
それぞれに特長があって堪りません、モツラーやアブラーな人にとって同店は桃源郷。
572文字★

黒ホッピー(450円)
半熟煮玉子(お通し)
もつ刺し3点盛り(900円)ハツ、タン、リンゲル
れば(80円)
きくあぶら(100円)
てっぽう(150円)
まるしろ(200円)
まるてっぽう(280円)
茹で豚(680円)
豚喉ナンコツ唐揚げカレー味(480円)

中野の久遠の空が2017年8月17日にリニューアルオープン(再開)したり、
新小岩の彩波が2017年12月13日にリニューアルオープン(移転)したりと激動の2017年だったモツ業界。
その中で味、値段、雰囲気、サービスなど総合力でNo.1評価と思うのは2017年も小岩の豚小家

提供速度が遅かったのも今は昔の話で今回もスムーズに料理が出てきました。
相変わらずボリュームとクオリティを兼ね備えていて、その美味しさは高級レストランをも凌駕。
高級レストラン(特に日本料理店)では豚モツは扱わないですが、
プリプリのレバーや脂の乗ったテッポウ、複雑な旨味を持つ内臓脂肪など好きな人には堪らない美味しさ。

日常の延長線ぐらいのお支払いで非日常な美味しさを楽しめるのは、粉もの、エスニック、そしてモツぐらい。
数ヶ月~数年も予約の日を待って数万円をお支払う高級飲食店も勿論美味しいのですが、
当日予約でも数時間待てば味わえる豚モツのほうが筆者にはありがたい存在です。
11,381文字★

数量限定で、ちれ(100円)、のどぶえ(150円)、きくあぶら(100円)、
まるしろ(200円)、まるてっぽう(280円)が新メニューに。

おばこ(新小岩)に匹敵する巨大なキクアブラ。
厚木のシロコロホルモンよりフワフワで圧倒的に美味しいマルテッポウ。
チレは同じ味が巨大串で続くので2人で1串をシェアで良いかもです。
秋元屋系のチレのように網脂と交互に「網脂間」にするほうが好き。
キクアブラは「よく焼き」で更に美味しくなりそうな予感も。

定番のお通し(半熟煮卵)、茹で豚、80円とは思えない巨大レバー、
ナンコツ揚げ、レバーたつた、モツ刺し(低温調理)5点盛り。
ビールで乾杯してキンミヤのボトル2本空けて黒ホッピーも飲んで、
1人あたり3,000円少々なのは相変わらず最強のコストパフォーマンス。

食べログ活動の一環で松川や京味など最高級店にも行きましたが、
モツ好きであれば1回の食事に5万円など遣わなくとも、
3,000円で大満足となってしまいます。
___________________________________

豚の生食が禁止されてモツ焼き屋にとっては受難の時代となりましたが、
こちら豚小家ではタン刺しとハツ刺しを真空低温調理に。
生に近い滑らかな食感を維持しておりアイディアに感服。

レバ刺しは真空低温調理でもボソボソしてしまうということで、
ハラミ刺し(580円)、ハラミユッケ(680円)が代わりに登場。
もちろん真空低温調理した豚のハラミです。

レバ刺し、レバテキ、レバニラ炒めなどはメニューから消えましたが、
刺身用のレバーがレバー串に回るようになってレバー串の美味しさはアップ。
1串80円とは思えない圧巻の量と圧倒的な美味しさに。
ればーたつた揚げも特別仕様で感動級の美味しさに。

コンプライアンスによってまるい(押上)、埼玉屋(東十条)は満足度が下がりましたが、
豚小家だけは規制前と変わらぬ魅力を放っており驚愕しました。
土曜日に予約無しで訪問したら入店待ちが7組と凄いことになっていましたが、
それも納得の美味しさと安さでモツ焼き界におけるトップクラスの名店。
___________________________________

食べログのレビュアー様ら4人でのオフ会で利用しました。
豚小家→いなかむらと小岩の定番ハシゴ。
食べた料理は以下の通り。

お通しの半熟煮玉子
もつ刺し5点盛り(1,200円)
→レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
茹で豚(680円)
れば塩若焼き(80円)
はつ塩若焼き(80円)
たん塩若焼き(150円)
かしら塩若焼き(120円)
てっぽう塩(150円)
あぶらタレ(100円)
しろタレ(120円)
地獄巻レベル6(280円)
キャベツ盛り(200円)
銘柄豚三種盛り(880円)
→黒豚、イベリコ豚、岩中豚
うずら巻き(200円)
豚喉ナンコツ唐揚げカレー味(480円)

岩中豚のバラ肉を買ってみたい…。
ネットの通販サイトを見てみると、
100g400円ぐらいはするようでした。
こちらの茹で豚は680円でありえない重量感。

地獄巻レベル6は以前より小さくなったような。
上に乗る唐辛子がもっと凶悪だったように思います。

とはいえオペレーションの早さは安定、
満席でも料理の提供はストレスフリー。
モツの質も高いレベルで安定。
最強店への道を突き進む豚小家。

4人でお会計11,080円、1人あたり2,770円。
2時間テーブル席で飲み食いしてこの安さ。
___________________________________

食べログのレビュアー様ら4人でのオフ会で利用しました。
中2日でまたしても豚小家オフ会。

お通しの半熟煮玉子
もつ刺し5点盛り(1,200円)
→レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
れば塩若焼き(1串80円)
かしら塩若焼き(1串120円)
あぶらタレ(1串100円)
しろタレ(1串120円)
てっぽう塩(1串150円)
茹で豚(680円)
とろ玉白角煮(680円)
黒豚カルビのガーリックバター焼き(680円)

4人でお会計8,990円、1人あたり約2,247円。
お店に申し訳ないぐらいの安さ。
岩中豚に黒豚、丁寧に下処理したモツ。
これだけ味わってこの値段で済むお店は他にあるのか。
___________________________________

食べログのレビュアー様ら4人でのオフ会(二次会)で利用。

タイ料理店インターの後はお店の目の前にある豚小家へ。
全国クラスの名店が向かい合っている小岩おそるべし。

お通しの半熟煮玉子
もつ刺し5点盛り(1,200円)
→レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
れば塩若焼き(1串80円)
かしら塩若焼き(1串120円)
しろタレ(1串120円)
てっぽう塩(1串150円)
茹で豚(680円)

4人でお会計7,410円、1人あたり約1,852円。
いくら二次会とはいえ飲んで食べて1,000円台。
この値段ではありえない美味しさ。
個人的には1万円超のレストランより好みの味。

かつてはオペレーションに難のあった同店ですが、
改善されたのか前回同様に提供がスムーズでした。
名店への道を着々と歩んでいる小岩の顔。
豚好きモツ好きにとっては楽園のようなお店です。
___________________________________

岩中豚の旨塩鍋(大鍋2,900円)を注文。
季節限定の鍋メニュー。
これでもかと岩中豚のスライスが大量投入。
岩中豚の肉団子も巨大サイズで流石は豚小家。
なお鍋は2月いっぱいで提供終了となるようです。
___________________________________

食べログのレビュアー様ら3人でのオフ会で利用。

お通しの半熟煮玉子
もつ刺し5点盛り(1,200円)
→レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
はつ塩若焼き(1串80円)
かしら塩若焼き(1串120円)
れば塩若焼き(1串80円)
茹で豚(680円)
あぶらタレ(1串100円)
しろタレ(1串120円)
てっぽう塩(1串150円)

スーパードライ中瓶やシャリキンホッピーを飲んで、
3人でお会計7,910円、1人あたり約2,636円。

オペレーションが課題と言われる同店ですが、
この日は全ての料理が出るまで1時間半弱。
開店と同時に入店したこともあるのですが、
予想外の早さに食べるのが追いつかなかったです。

別の日に訪問した友人もスピードアップを感じており、
最近はオペレーションが改善されつつあるのでしょうか。
安定してこの提供スピードなら、もう完全無欠。

今回はシロ、テッポウが一部冷めてしまったのですが、
冷めると味は格段に落ちるように感じました。
やはり焼き立てアツアツを食べてこそでしょう。
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食べログのレビュアー様ら4人でのオフ会で利用。

お通しの半熟煮玉子
おしんこ盛り(380円)
もつ刺し5点盛り(1,200円)
→レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
茹で豚にんにく醤油(680円)
黒豚カルビのネギ塩焼き(680円)
豚喉ナンコツ唐揚(480円)
ればー塩若焼き(1串80円)×2
はつ塩若焼き(1串80円)×2
はらみ塩若焼き(1串120円)×2
しろタレ(1串120円)×2
あぶらタレ(1串100円)×2
てっぽう塩(1串150円)×4

キンミヤのシャリキンボトルを2本空け、
4人でお会計11,520円、1人あたり2,880円。

今日は串のレバーが良かったです。
1串80円とはとても思えないクオリティと重量感。
胡麻油と塩で食べるとレバテキみたいでした。

シロとテッポウは相変わらず素晴らしい下処理。
岩中豚に黒豚も銘柄豚の名に恥じない旨味。
しかも銘柄豚を使用しながら破格の安さ。
これだけ飲んで食べて3,000円いかないのは凄いです。
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食べログのレビュアー様ら8人でのオフ会で利用。
熊本のレビュアーさんが上京されるということで、
お招きして中1日でまたしても豚小家オフ会。
食べた料理は以下の通り。

お通しの半熟煮玉子
キャベツ盛り(200円)
シャキネギ盛り(280円)
ピリ辛キュウリ(280円)
もつ刺し5点盛り(1,200円)×2
→レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
茹で豚にんにく醤油(680円)×2
豚喉ナンコツ唐揚(480円)×2
ればー塩若焼き(1串80円)×4
はつ塩若焼き(1串80円)×4
はらみ塩若焼き(1串120円)×4
しろタレ(1串120円)×4
てっぽう塩(1串150円)×4
あぶらタレ(1串100円)×2
地獄巻レベル6(1串280円)×2

生ビール、ホッピー、ハイボールなどで飲んで食べて、
お会計21,470円、1人あたり約2,683円。

今回特に良かったのはシロ。
とろとろに蕩ける食感でタレと見事にマッチ。
レバー、ハツ、テッポウも一昨日より良質でした。
モツだけでなく精肉の岩中豚まで一昨日より美味しい。

一昨日のオフ会より今回のほうが遥かに美味しかったです。
同じ週の訪問で同じメニューでありながら、
クオリティに波があるのもモツ焼き屋の宿命でしょうか。

毎回このクオリティであることを保証できないのですが、
2,000円台で飲んで食べてこの美味しさは別次元。

小岩ではタイ料理店も同じくクオリティが安定しないのですが、
大当たりのときは5.0を超えるような凄まじい美味しさですし、
そもそも安いので外れてもご愛嬌と思えてしまいます。
遠方から遥々いらっしゃる方には運試しとなってしまいますが。
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食べログのレビュアー様ら5人でのオフ会で利用。

お通しの半熟煮玉子
キャベツ盛り(200円)
シャキネギ盛り(280円)
もつ刺し5点盛り(1,200円)レバ、タン、ハツ、ガツ、リンゲル
茹で豚にんにく醤油(680円)
黒豚カルビのガーリックバター焼き(680円)
豚喉ナンコツ唐揚(480円)
ればー塩若焼き(1串80円)×5
はつ塩若焼き(1串80円)×5
しろタレ(1串120円)×5
てっぽう塩(1串150円)×5
あぶらタレ(1串100円)×2

お会計14,110円、1人あたり2,822円。

前回訪問に比べるとレバーとテッポウがダウン。
タン刺しはアップといった印象。
モツは同じお店でも日によって質が安定しないのです。
とはいえ飲んで食べて2,000円台はやはり破格。
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食べログのレビュアー様ら6人でのオフ会で利用。

お通しの半熟煮玉子
もつ刺し5点盛り(1,200円)×2 レバ、タン、ハツ、ガツ、リンゲル
茹で豚にんにく醤油(680円)×2
ればーたつた揚げ(480円)
手造り黒豚ギョーザ(480円)
ポテトサラダ(380円)
ピリ辛キュウリ(280円)
おしんこ盛り(380円)
山芋千切り(380円)
ればー塩の若焼き(1串80円)4串
はつ塩の若焼き(1串80円)4串
たん塩の若焼き(1串150円)3串
はらみ塩の若焼き(1串120円)3串
しろタレ(1串120円)3串
てっぽう塩(1串150円)3串
あぶらタレ(1串100円)2串
地獄巻レベル6(1串280円)2串

以上を肴にシャリキンボトルを2本入れてホッピーで割り、
6人でお会計18,310円、1人あたり約3,051円。
料理は控えめに注文したつもりでしたが、やっぱり凄い量です。
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食べログのレビュアー様ら8人でのオフ会で利用。
注文した料理は以下の通り。

お通しの半熟煮卵
ピリ辛キュウリ(280円)×2
ポテトサラダ(380円)×2
たん塩若焼き(1串120円)4串
はらみ塩若焼き(1串120円)4串
はつ塩若焼き(1串80円)8串
もつ刺し5点盛り(1,200円)×2 レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
茹で豚(680円)にんにく醤油×2
ればーたつた揚げ(480円)×2
ればー塩若焼き(1串80円)8串
しろタレ(1串120円)4串
てっぽう塩(1串150円)4串
うずら巻タレ(1串200円)4串
あぶらタレ(1串100円)2串
地獄巻レベル6(1串280円)2串

以上の料理に瓶ビール、ホッピー、金宮ボトル、あらごし梅酒などを飲み、
お会計8人で24,490円、1人あたり約3,060円。
2軒目はもちろんタイ料理店いなかむらへ移動です。
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食べログのレビュアー様ら5人でオフ会を開催

お通しの半熟煮卵
ピリ辛きゅうり(280円)
ポテトサラダ(380円)
ればー竜田揚げ(480円)
茹で豚にんにく醤油(680円)
もつ刺し5点盛り(1,200円)レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
れば塩若焼き(1串80円)
はつ塩若焼き(1串80円)
はらみ塩若焼き(1串120円)
あぶらタレ(1串100円)
しろタレ(1串120円)
てっぽう塩(1串150円)

以上の料理とビール、ホッピー、烏龍茶などを楽しみお会計11,860円。
今回はお酒をあまり飲まなかったこともあって1人あたり2,372円でした。
伝票を撮影してチェックしたところ、お通しの半熟煮卵は無料。
串は大串でモツ自体も良質、茹で豚の豚肉はブランド岩中豚。
この価格帯の飲食店としては日本最強クラスと思っています。
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2013年6月1日(土)、移転先でリニューアルオープン。

新しいお店の場所は小岩駅北口から徒歩4~5分。
源八船頭くうと同じ通りにお店はあります。
旧店舗はカウンター6席にテーブル8席の小さなお店でしたが、
新店舗はカウンター6席、テーブル12席、座敷20席と規模拡大。
店員も3人増員されていました。

値段や串の大きさは旧店舗から据え置き。
冷蔵庫が大きくなったため瓶ビール(500円)が新メニューとして追加。
アサヒスーパードライの中瓶で500円となります。

料理の質は旧店舗と変わらずでした。
この日はシロタレが特に秀逸。
店舗は大きくなりましたが、料理の質や値段を維持していって欲しいものです。
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2013年5月に移転前最後のオフ会を2回開催。

5名参加のとき

お通しの半熟煮卵
ピリ辛きゅうり(280円)
ポテトサラダ(380円)
新玉ねぎポン酢(380円)
もつ刺し5点盛り(1,200円)レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
ればー竜田揚げ(480円)
れば塩若焼き(1串80円)
はつ塩若焼き(1串80円)
はらみ塩若焼き(1串120円)
たん塩若焼き(1串150円)
あぶらタレ(1串100円)
しろタレ(1串120円)
てっぽう塩(1串150円)

6名参加のとき

お通しの半熟煮卵
ピリ辛きゅうり(280円)
ポテトサラダ(380円)
もつ刺し3点盛り(1,200円)レバ、ハツ、タン
ればー竜田揚げ(480円)
茹で豚(680円)
れば塩若焼き(1串80円)
はつ塩若焼き(1串80円)
はらみ塩若焼き(1串120円)
あぶらタレ(1串100円)
てっぽう塩(1串150円)

いずれもお会計は3,000円未満。
2回とも二次会にタイ料理店いなかむらを訪問するという、
小岩黄金コースを堪能しておりました。
食べログレビュアー諸氏の胃袋は化け物です。
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食べログのレビュアー様ら4人でのオフ会で利用しました。
料理は以下を注文。

お通しの半熟煮卵
ピリ辛きゅうり(280円)
ポテトサラダ(380円)
もつ刺し5点盛り(1,200円)レバ、ハツ、タン、ガツ、リンゲル
ればー竜田揚げ(480円)
茹で豚(680円)
れば塩若焼き(1串80円)
はつ塩若焼き(1串80円)
はらみ塩若焼き(1串120円)
たん塩若焼き(1串150円)
てっぽう塩(1串150円)

はつ、はらみ、てっぽうはおかわり。
こちらの串の真価は塩の若焼きにあると思います。
大串でありながら味も素晴らしく、コストパフォーマンスは最強。

この日はホッピー、赤霧島、耶馬美人などを飲んで4人で14,420円。
1人3,605円でお腹いっぱい美味しいモツを堪能できます。
6月1日(土)に移転しますが、移転後もこの満足度を維持して欲しいです。
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旧タイトル:モツと岩中豚の隠れた名店

2013年6月1日(土)よりお店の場所が変わります。
移転先の住所は江戸川区西小岩1-27-9シャストインビル
現在は14席のキャパですが30席程度まで増えるようです。
移転前の休業等については現時点では未定とのこと。

満席で入れないことも多いお店なのでキャパ増加は嬉しいところ。
拡大路線に走って質が落ちる飲食店も多いですが、こちらはどうなるか。
今後に期待したいと思います。
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東京江戸川区の小岩には、豚料理が美味しい隠れ家的名店があります。
路地裏の目立たない場所にありながら満員で入れないこともあるお店。

大振りの焼きとん串で満足。
岩中(いわちゅう)豚や黒豚を使った豚料理に恍惚。
さらにレバ刺しやタン刺しと、モツ刺しを楽しむこともできます。
小岩の名店豚小家です。

お店の立地はJR総武線の小岩駅から徒歩3分ほど。
小岩駅北口を下りて左手(大黒屋が見えます)を線路沿いに進み、
東京スター銀行が見えたら右折(銀行の向こうにはサイゼリヤ)。
直進すると左手にモツ焼き大竹も見えますが、それをスルーしてさらに直進。
「味居屋」で左折すれば豚小家の赤い看板が見えてきます。

同じ小岩駅でも京成線の京成小岩駅からは徒歩で20分ほどかかるので、
京成小岩駅から歩くのはお勧めできません。

店内はカウンター6席に、2人用テーブル1卓と6人用テーブル1卓の小さなお店。
モツ焼き屋と違ってデートにも利用できそうな雰囲気のお店。
カップル客や女性客が多いのもこのお店の特色です。
一般的にモツ焼きを扱うお店はオヤジの憩いの場となっています。

ゆっくりとできるお店なのですが、席数が少ないので満員のときは入れず泣くことに。
23時過ぎに行って、満員で入れないことも何度もありました。

座るとドリンクオーダーを聞かれるので、まずは白ホッピー(400円)。
このお店は焼酎にこだわっていてメニューにブランド焼酎も色々あるのですが、
ホッピーが美味しいのでホッピーを注文することが多いです。

ナカはシャリキン(シャーベット状の金宮焼酎)。
グラスも凍ってギンギンに冷えています。
そこに冷えたホッピー(ソト)を注げば、キンキンに冷えた美味しいホッピー完成。

飲み物と同時にお通しの半熟煮卵が出てきます。
この半熟煮卵がさりげなく激うまです。
とろっとした半熟の黄身に、味の染みた白身、そして薬味のネギ少々。
シンプルイズベストと評価したいほど単純だが美味いのです。
このお通しの美味さからして、お店に期待が持てます。
お通しの煮卵を肴にシャリキンホッピーを飲むだけで既に良い感じになっています。

料理のオーダー、まずはモツ刺しから。
単品でも注文できますが、3点盛り(900円)か5点盛り(1,200円)で注文することが多いです。

レバ、ハツ、タン、テッポウ、ガツ、コブクロ、リンゲル、コラーゲン、
8種類のモツ刺しから好きな3点(5点)を選ぶことができます。
レバ、ハツ、タン以外はボイルしてあり、コラーゲンとはカシラアブラの部分です。

本日はレバ、ハツ、タンの3点で注文。
刺身のタレとして胡麻油塩が出されます。
頼めば醤油やポン酢も出して貰えますが、胡麻油塩だけで十分美味いです。
薬味としてネギの他におろしニンニクもついているので、ニンニク醤油というのも良いでしょう。

胡麻油に塩で食すレバ刺し、ハツ刺し、タン刺し。
どれも美味しいです、臭みは少なくモツの旨味を感じるハイレベルな刺身。
シャキッとしたネギと合わせてもまた美味しいです。
煮卵とモツ刺しだけで、もうお店に来た価値あります。
しかし豚料理も美味しいのが、この豚小家

続いては、茹で豚(680円)をニンニク醤油で。
温野菜(キャベツとモヤシ)の上に、厚切りの岩中豚バラ肉が乗っています。
味はニンニク醤油かネギポン酢を選べ、トッピングが変わります。

今回はニンニク醤油で頼んだのでガーリックチップが上に乗っています。
ネギポン酢の場合はネギが乗っているところにポン酢をかけることになります。

ニンニク醤油をかけてお肉を食せば、その美味しさに唸ります。
ブランド豚岩中豚のこってりしたバラ肉が茹でられたことで少しさっぱりしており、
その肉の旨味と良質な脂とニンニク醤油がマッチしてとても美味しいです。
岩中豚を使ったメニューでは、とろ玉白角煮(680円)もおすすめです。

岩中豚だけでなく黒豚も扱っているこのお店。
黒豚カルビのガーリックバター焼き(680円)も注文。

ジュージュー焼けた鉄板の上で黒豚が焼けており、
ニンニクの入ったタレにバターが乗っています。
黒豚カルビにバターまで乗って、脂っ濃くて健康には悪そうですが美味しいのは確かです。

そしてこのお店にきたらモツ焼きも必食です。
焼きとん串はモツだけでなく精肉も扱っており、どれも大振り。
銘柄豚の3種盛り(880円、黒豚、岩中豚、イベリコ豚の3種)が人気のようですが、
レバーやテッポウといったモツの部位も秀逸です。

80円のレバー串、これが大振りというかそれを超えた巨大なサイズ。
普通のモツ焼き屋の倍以上のサイズなのに1串80円という不思議なメニュー。
若焼きで食べれば味もGOOD、塩でもタレでも美味しいです。

そしてテッポウ串(1串150円)。
レバーよりサイズは小さいし値段も倍近いですが、これは凄く美味しいです。
塩で頼むと胡麻油を上にかけてくれ、これがお気に入りです。
カリッとジューシーでシロモツの旨味を感じるテッポウにノックアウトされます。
一緒に行った友人は埼玉屋の上シロより豚小家のテッポウのほうが上と評しておりました。

岩中豚も串で食べようかと、岩中豚ゴマネギ塩串(1串280円)も注文。
美味しいのではありますが、このお店だったら茹で豚のほうがお気に入りではあります。

モツ焼き屋としては、同じく岩中豚を扱う東十条埼玉屋よりは、
焼きの技術もタレの美味しさもまだ劣るようには思いますが、
このお店の串の大振りなところは結構気に入っています。

それにこのお店はモツ焼き屋というより豚料理専門店と表現すべきと思います。
総合的に見て非常にレベルの高いお店なのは間違いありません。

その他にも、揚げ物メニューではレバー竜田揚げが一押しです。
刺身でも食べられる新鮮なレバーを油で揚げて、半生ぐらいになっている素晴らしい竜田揚げ。

〆に鉄板で焼いた焼きめしを食しても良し。
地獄巻きという青唐辛子に豚肉を巻いた危険メニューもあるので、
辛さに耐えられるなら試してみるのも面白いです。

様々な形で豚の美味しさを堪能できる隠れ家的名店。
岩中豚の茹で豚、テッポウ串、レバー竜田揚げは必食。
お店が小さいので満員にだけは注意です。
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料理寸評、【】内は標準点3.0に対しての料理の評価点

【5.0】茹で豚にんにく醤油
…脂たっぷり岩中豚のバラ肉を茹でた逸品。
マイレビュアー様たちによれば脂が強過ぎて常人では食べきれないとのこと。
そういう方にはネギポン酢で食べることをお勧めします。
コッテリした料理が好きな人には最高に美味しいです。
【5.0】てっぽう塩
…大きめカットのテッポウは外カリ中トロッ。
塩だと上に胡麻油もかかって、それが美味。
今のところ日本最強のテッポウと思っています。
【5.0】れば塩
…80円でこの量はありえません、質より量ですが圧倒的量。
若焼きでお願いすれば味も悪くありません。
【4.5】もつ刺し5点盛り
…レバ・ハツ・タン・ガツ・リンゲルを指名するのが定番。
西大島こん平には劣るもハイレベルなモツ刺したち。
【4.5】レバーたつた揚げ
…レバ刺し用のレバーを何と竜田揚げに。
レアに火の入った角切りレバーは刺身とは違った味わい。
【4.5】はつ塩…80円なのにこの量と質は出色、こちらも若焼きがお勧め。
【4.2】はらみ塩…若焼きがお勧め、ジューシーで凄まじい肉感。
【4.0】うずら巻タレ…薄切りの豚肉、ホクホクのうずら卵、タレが渾然一体。
【4.0】しろタレ…人によっては堀切のんき名物シロタレ以上とも言う一品。
【4.0】たん塩…若焼きがお勧め、分厚くジューシー。
【3.8】黒豚カルビガーリックバター焼き…不健康そうでも間違いなく美味しい。
【3.8】お通しの半熟煮卵…さりげなく美味しい。
【3.8】とろ玉白角煮…岩中豚のしっとりした角煮、スープと一緒に。
【3.5】あぶらタレ…立石ミツワ名物アブラタレに匹敵する質と量。
【3.5】鉄板とんとろガーリック焼きめし…細かくカットされた豚トロが良いアクセント。
【3.5】鉄板カレーチーズガーリック焼きめし…カレーとチーズは焼きめしに合います。
【3.4】銘柄豚の三種盛り…黒豚、岩中豚、イベリコ豚の食べ比べ。
【3.4】なんこつ塩…気管の部分、骨っぽさはなく柔らかい。
【3.3】こぶくろ塩…コリコリとした食感で悪くない。
【3.3】ザルしゃぶ…同じ茹でるなら「茹で豚」ぐらい厚切りのほうが好き。
【3.2】岩中豚の唐揚…鶏の唐揚があるなら豚の唐揚があっても良いと思う。
【3.0】地獄巻ノーマル…青唐辛子を豚肉で巻いたスパイシーな串で辛い。
【3.0】旬野菜の肉巻き3種盛り…ズッキーニ、トマト、梅しその3種、ズッキーニが一番。
【2.9】ゴマしそとんつくね…肉のパサつきが気になる。
【2.8】豚もものりめんたいチーズ…モモ肉のパサつきが好みではない。
【1.5】地獄巻レベル3…この辛さになると拷問に感じてきます。
【1.0】地獄巻レベル6…この辛さは常人では食べられません。
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2011年12月初投稿、2012年3月、7月、9月、11月更新、
2013年4月、5月、6月、8月、12月更新、2014年2月、5月、6月、11月更新
2015年2月~4月更新、11月更新、2016年6月更新

  • 2024.1 黒豚カルビのガーリックバター焼き(858円)
  • 2022.10 茹でぶた(858円)
  • 2021.10 岩中豚の唐揚げ(638円)

もっと見る

6位

バーン・タム (新大久保、東新宿、大久保 / タイ料理、カレー)

2回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 2.5
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2018/05訪問 2018/05/25

【1060-2】タレと火入れが別次元

798文字★

テレビで紹介されて混雑していると聞き、足が遠のいていたのですが久しぶりの再訪。
日によって美味しさが大きく変動する「サイコロ」のようなギャンブル料理人タムさん。
今回はアタリだったようで食べた料理どれも美味しかったです。

サッポロ生ビール 黒ラベル 中ジョッキ(490円)
エビスビール中瓶(750円)

ヤムマクアパオ(1,280円)焼いた茄子と海鮮のサラダ
コームーヤーン(1,200円)豚トロ炙り焼き
ネームクルック(1,480円)酸っぱい生ソーセージと揚げ米のサラダ
プーニムパッポンカリー(1,500円)ソフトシェルクラブのイエローカレー炒め卵とじ
カイヨーマーガパオ(1,200円)ピータンと鶏挽き肉のホーリーバジル炒め
ナムトックムー(1,280円)酸味や煎り米を効かせた豚肉のハーブ和え
カオマンガイ(1,280円)タイ版の海南鶏飯

※表示価格はおそらく内税です

1品目のヤムマクアパオのタレの美味しさがまず異次元。
タイ料理店は50軒ぐらいしか経験ないですが、タムさんのタレの美味しさは本当に突き抜けています。
ナンプラーをベースにしているのですがナンプラーの尖りは感じないでタレがまろやかに調和。
不思議とコクもあってハーブと絡み合うことで食材が最大限に昇華。

海老や烏賊の火入れも絶妙、蕩ける食感の茄子も堪りません。
タイ人の料理人ってウェルダンな火入れが多いのですが、タムさんはフレンチのような火の入れ方。
使っている食材は安くても料理の美味しさは3万円を超える高級店でも出会えない格別の味わい。

注文した料理は全て過去に食べたことがあるものですが、味付けは訪れるたびに微妙に変わっています。
レシピではなく感覚や勘で味付けをしているからなのでしょうか。
そのあたりがギャンブル料理となってしまう一因なのでしょうが1回4,000円のギャンブルなら安いものです。
4,332文字★

11人で利用、食べた料理は以下の通り。

ヤムマクアパオ(茄子サラダ)
コームーヤーン(豚トロ炙り焼き)
ラープムーイサーン(イサーン風豚挽き肉和え)
カイヨーマーガパオ(ピータンのバジル炒め)
ネームクルック(タイソーセージと揚げ米のサラダ)
タップワーン(イサーン風レバー和え)
チューシークン(海老のレッドカレーソース)
トムセップ(イサーン風モツ鍋)
ヤムホイナンロム(牡蠣サラダ)
カオマンガイ(チキンライス)
ヤムレップムーナーン(鶏足サラダ)
パイナップル

連日満席でタムさん過労状態の模様。
タムさん1人で回すにはキャパシティが広すぎるのかも知れません。
しかも限界までお客さんを詰め込んでいます。

サービスでヤムレップムーナンが出てきた頃には店内も落ち着いていたのですが、
その味が本日一番だったと評する参加者もいました。
台風の影響もあるのかこの日の食材はイマイチなものが多かったです。

思い起こせばまだお客さんの少なかったオープン2日目の料理が一番キレていました。
食べログのスコアが上がるほど料理のクオリティが下がっていくジレンマ。
とはいえこの日はタイ料理のプロたちがメンバーとして集まっていたおかげで、
タムさんの調理の秘密(プロたちは厨房でタムさんを手伝っていました)も少し判明。

調理手順をかなり簡素化しながら真面目に作っているタイ料理より美味しい。
そんな不条理なことが起きてしまうのもタムさんが天才ゆえでしょうか。
過労でいつ飛ぶのか段々と不安になってきましたが唯一無二の料理を味わえるお店です。
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5人で利用、食べた料理は以下の通り。

コームーヤーン(豚トロ炙り焼き)
ヤムパクチー(パクチーサラダ)
カームーパロートート(豚足の揚げ物)
ヤムタクライ(レモングラスサラダ)
カイヨーマーガパオ(ピータンのバジル炒め)
チューシークン(海老のレッドカレーソース)
カオマンガイ(チキンライス)

今回も大当たりというほどの凄味は無かったですがハイレベルな美味しさ。
最初の豚トロに塗されたスパイスから非凡でイサーンのタレの出来も良し。
ヤムパクチーはパクチーをフライドガーリックと味塩で味付け。
こんなシンプルな装いでも美味しいのだからタムさん恐るべし。

カームーパロートートは1皿2,500円のボリュームメニュー。
豚足の塊を揚げて2種類のタレで楽しみます。
タレはシーユーダムベースの甘くてコクのあるものと、
ガピや腐乳でも入っているのか発酵臭があってピンク色の辛いタレ。
ピンク色の辛いタレのほうが参加者の皆さんには好評だったようです。

ヤムタクライはレモングラスを刻みネギのように細かく刻んで。
海老や烏賊も入ってタレの味付けも良いです。
今日のタムさんの調子は悪くないと分かります。

カイヨーマーガパオとチューシークンは安定の美味しさ。
これらは毎回ハズレ無し。
注文必須のタムさんの「スペシャリテ」と思います。

カオマンガイはライスにカオニャオ(糯米)を使っているのか。
ご飯がモッチリかつベッショリしていて絶好調時に比べるとイマイチも、
凡百のタイ料理店のカオマンガイよりは遥かに美味しい。

カオマンガイのサービスとして出てきた挽き肉とカボチャのスープ。
このスープも滋味溢れる味わいで、やわらかいカボチャが引き立ちます。
食べた料理どれもハズレ無しでタイ料理店として都内で五指には入るでしょう。
タムさんが絶好調であれば日本一のタイ料理店ではないでしょうか。
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9人で利用、食べた料理は以下の通り。

お通しの川海老素揚げ
プラープラームック(半生イカサラダ)
ラープムーイサーン(イサーン風豚モツ和え)
カイヨーマーガパオ(ピータンのバジル炒め)
チューチープラー(揚げ魚のレッドカレーソース)
カオマンガイ(チキンライス)
バミーナーム(タイラーメン)

お通しの川海老はタイ料理の要素は特に無くて居酒屋レベル。
タムさんの凄味を感じたのは得意のサラダ系料理から。

プラープラームックはナムプリックパオをベースにレモングラス、
パクチー、赤唐辛子がガンガン効いていて凶暴ながら美味しい。
甘辛酸っぱい味付けがスルメイカとよく合います。
口の周りが痺れるほど辛いのですがタイ料理ならではの美味しさ。

ラープムーのレバーには臭みを感じて前回に比べると劣るも、
この複雑な味付けに一流料理人ならではのセンスを感じます。
カイヨーマーガパオは鉄板の美味しさ。

今回はチューチークンではなくチューチープラーにしてみましたが、
ココナッツとバイマックルーが加わった濃厚なレッドカレーが極上。
ベースとなる魚はティラピアでそれ自体は不味い魚なのですが、
カレーと合わせることで美味しい魚に化けていました。
インドベンガルのカレーを思い出すような魚の活かし方。

カオマンガイは今回はハズレでした、特にライスがイマイチ。
博打的タイ料理なのでこういう日もあります。

バミーナームは日本人の理想より麺がやわらかめでスープもぬるいのですが、
淡麗ながら滋味のような旨味を感じるスープやパクチーで麺が昇華。
トッピングは鶏モモ肉に豚トロ肉、空芯菜と日本のラーメン屋には無い構成。
下手なラーメン屋で〆ラーするより気持ちよく帰れます。
___________________________________

サヘラ(堀切菖蒲園)→いなかむら(小岩)→サイフォン(金町)→
サイフォン(小岩)→インター(小岩)→サイフォン(小岩)→
バーンリムパー(新宿御苑前)→バーンタム(新大久保)

知る限りこの5年で7回お店を移籍している流浪の料理人タムさん。
訪れるたびに料理に激しい落差があって安定感は無いのですが、
好調時の料理は異次元の美味しさというタイ料理の鬼才。

遂にバーンタム(タムの家)をオープンさせて独立したようです。
フォロワーさんから開店情報をキャッチして急いで訪問。
お店からすぐいなくなるので「幻の料理人」とも呼ばれています。
行けるときに行っておかないと後悔することになるのです。

新大久保駅からも東新宿駅からも徒歩7~8分。
セントラルビル韓国料理専門商街という地下1階レストラン街にお店。
階段を下りてお店に向かうことになります。

店内はテーブル席で22席、テーブルが大きくて席の配置はゆったり。
ただトイレは凄く狭いのでその点は留意が必要でしょう。
飲み物はジンロのボトル(3,000円)を烏龍茶割りで入れていました。

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点。
表示価格は内税です。

【3.5】ガイヤーン(1,280円)味付ローストチキン タイ風

タムさんがお勧めと言うので注文。
骨付きの鶏モモ肉にスパイスを塗ってロースト。
ブツ切りにしてイサーン(タイ東北地方)風のタレを添えます。

鶏肉からは鶏臭さを感じてしまって素材としてはかなりイマイチ。
タムさんが絶好調のときはスパイスで鶏臭さが消えるので、
本日はテンションMAXでは無いようですがタレは相変わらず素晴らしい。

タムさんの名声を支える要素の1つがこのタレの尋常でない美味しさ。
複雑玄妙な味わいで他のタイ料理店では出会えないオンリーワンの味。
なおタムさんのお勧め料理がハズレたことは過去何度もありました。
日本人とタイ人の感覚の違いもあるのでしょう。

【3.6】ゴーヤの肉詰めスープ(サービス)

ピーマンの肉詰めならぬゴーヤの肉詰め。
確かにピーマンも苦味のある野菜なので置き換えも可能でしょうか。
じっくり煮込まれたのかゴーヤはやわらかくて苦味皆無。
詰められたスパイス入りの挽き肉は火入れが良いのかフワフワやわらか。

ゴーヤも挽き肉もやわらかくて一体感がありました。
スープの味付けが濃いのが少し気になったのですが美味しい。
野菜の肉詰めでここまで美味しい料理にはなかなか出会えません。

【4.5】カイヨーマーガパオ(1,200円)ピータンのバジル炒め

メニューには無いのですがリクエスト注文。
タムさんの数多くあるスペシャリテの1つと思うピータンガパオ。
衣を付けて揚げたピータンを鶏挽き肉とホーリーバジル炒めにしています。

このバジル炒めの味付けが今回も絶妙で素晴らしい。
ピータンの衣がソースを吸うことでピータンが驚きの美味しさに昇華。
揚げたホーリーバジルも香り立って完璧です。
松花皮蛋を使った絶好調時(5.0)には及ばないとしても超感動級の美味しさ。

【4.5】タプワーン(1,200円)レバーの和え物

タムさんの数多くあるスペシャリテの1つでギャンブルメニュー。
絶妙な火入れでトロリとなったレバーをカオクワ(煎り米)、
バイマックルーなど香草と合わせてイサーンの味に。
タムさんの名声を支える要素の1つに食材の火入れの上手さもあります。

日によってはレバーが臭くてダメなときがあるのですが今日はアタリ。
臭みの無いレバーが火入れと味付けで異次元の美味しさに昇華。
暑いからかタムさんの気分か今回は酸味とコクの強い味付け。
訪れるたびに味付けが違うのですが毎回概ね美味しいです。

【5.0】チューシークン(1,400円)エビのココナツ風味甘辛炒め

タムさんの数多くあるスペシャリテの1つ。
宮廷料理のようなリッチな味わいでイサーン料理とは趣きが違うのですが、
フレンチシェフを父に持つタムさんはこういう料理も得意。

揚げた有頭海老をココナッツミルクと濃厚レッドカレーソースで味付け。
ソンブーン出身サワットシェフのプーパッポンカリーと並んで、
このカレーの美味しさはタイカレーの頂点と思います。

チューシークンは絶好調時と遜色ない満点クラスの超絶な美味しさ。
出てきた皿から料理がアッという間になくなりました。
お客さんが欠食児童のように貪ってしまうほど美味しいのです。

この日の料理だけで採点すると全体として4.5ぐらいの満足度でしたが、
4.50は食べログでTOP10に入る高級レストラン級の満足度ということ。
飲んで食べて3,000円程度の支払いで3万円の高級店にも負けない食の感動。
これぞ鬼才タムにしか出せないであろう異次元のタイ料理。
___________________________________
2016年8月初投稿、2016年8~10月更新

  • 2016.10 ヤムマクアパオ(茄子サラダ)
  • 2016.10 ネームクルック(タイソーセージと揚げ米のサラダ)
  • 2016.10 トムセップ(イサーン風モツ鍋)

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7位

鳥田中 (鐘ケ淵、東向島、八広 / 焼き鳥、鳥料理、日本料理)

6回

  • 夜の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2020/10訪問 2020/10/24

【★4.7】おまかせ5,000円で地鶏はもちろん岩手産の松茸まで【1384-6】

975文字★

おまかせコース(5,000円)

01.厚岸秋刀魚有馬煮
02.愛媛クエと岩手松茸の酒蒸し
03.黒さつま鶏と丸鶏の冷製鶏スープ 北海道アカウニ
04.京都海老芋 渡り蟹餡掛け
05.京都七谷鴨(窒息鴨)腿肉と胸肉の炭火焼き 山科唐辛子 千住葱 バルサミコ酢ソース
06.鶏スープの白味噌椀(鶉のつくね、トロナス、壬生菜の軸、赤ピーマン、柚子)
07.お造り(淡路カワハギ、脱水したカワハギの肝、江戸前アオリイカ)
08.京都七谷地鶏腿肉のネギ間
09.七谷地鶏の内臓湯引き(レバー、ハツ、砂肝、脾臓)
10.七谷地鶏胸肉ヅケ黄身醤油
11.つくね(七谷地鶏と七谷鴨腿肉のミンチ)
12.叩き盛り合わせ(七谷地鶏胸肉、七谷地鶏腿肉、七谷鴨ハツ)
13.黒さつま鶏ハツモト
14.口直し(蕪の糠漬け、胡瓜の糠漬け、大根の醤油漬け、大根のべったら漬け)
15.黒さつま鶏首皮
16.七谷地鶏のすき焼き
17.真菰筍山椒味噌田楽
18.黒さつま鶏レバー
19.冷製蒸し無花果 八丁味噌のアイス
20.田中農場(埼玉県深谷市)の卵のプリン

追加:広田湾産牡蠣だし鶏そば(900円)など

(注)表示価格は外税です

相変わらずコストパフォーマンス突き抜けたコース内容。
1品あたり250円(+税)なのに6時間炊いて実山椒と合わせた秋刀魚(今や高級魚)からスタート。
愛媛産のクエと岩手産の松茸をクエのアラ汁と酒蒸しにした料理には国産松茸をドッサリ使用。
ここは本当に都内なのかと思うほど、松茸の使い方が狂っています。

京野菜の海老芋(里芋の一種)は揚げてから渡り蟹の餡を掛けてコクをプラス。
先日は某地方都市に在る京味系の和食店で海老芋を食べるも油脂の物足りなさを感じてしまったのですが、
この海老芋は油で揚げた上に、濃厚な渡り蟹の餡まで加えることで、好みの味わいとなっていました。
なお同店(4.19)も京味での修業経験を持つと聞きます。

脱水することでクリーミー感を増したカワハギの肝、レアーに火を入れた地鶏の内臓、鴨のハツなど、
とにかくモツ好きで濃厚な味わいを好む筆者にストライクな美味しさが続いていきました。
仄かに八丁味噌の風味を感じるアイスクリームと無花果、濃厚トロトロ食感のプリンなど、
〆のスイーツまで美味しく堪能して本日も大満足。
1,075文字★

おまかせコース

01.愛知鱧・万願寺唐辛子・賀茂茄子の揚げ出し
02.刺し盛り(瀬戸内イサキ、真鯛、メイタガレイ、シマアジ)
03.京都七谷鴨ロースとハツのロースト
04.根室ムラサキウニ 鹿児島黒さつま鶏と丸鶏のコンソメジュレ掛け
05.鶏スープの煮凝りと島原養殖スッポンのお椀 スッポンの身とエンペラ入り玉子豆腐 エンペラ
06.七谷地鶏 振りそで
07.七谷地鶏の内臓湯引き(レバー、ハツ、砂肝、脾臓)
08.七谷地鶏胸肉の黄身醤油和え
09.つくね
10.漬け物盛り合わせ(胡瓜と蕪の糠漬け、大根醤油漬け、沢庵漬け)
11.七谷地鶏(腿肉と胸肉)タタキ かんずりソース
12.鹿児島黒さつま鶏 レバー
13.七谷地鶏と徳島クレソンのすき焼き
14.蒸し無花果と日本酒アイス
15.はつもと
16.ズッキーニ(上は白トリュフ塩、下は茗荷味噌)
追加:背肝
追加:袖もと
追加:はらみ
追加:ぼんぺた
追加:おたふく
追加:ソリレス
追加:担々麺 冷製(750円)
追加:親子丼(750円)
17.プリン

まずは夏の訪れを感じる旬の鱧からスタート。
刺し盛りは全て瀬戸内の天然物という、イサキ、真鯛、メイタガレイ、シマアジ。
これらは魚体が小さいので熟成させなかったとのことですが抜群に美味しい。
20,000円を超える日本料理店にも負けないクオリティと思います。

七谷鴨の火入れはフレンチ顔負けといったレベルの高さでハツ(心臓)も臭みやクセとは無縁。
良質なムラサキウニとコンソメジュレの組み合わせには、
フレンチの巨匠「北島亭(4.07)」のスペシャリテを思い出しました。

お椀の椀種はスッポンの身をほぐしてエンペラと合わせた玉子豆腐。
椀妻のエンペラはもちろん、玉子豆腐も小骨が障らず、フレンチやイタリアンのような食べやすさ。
いちおう焼鳥屋なのですが開始から1時間ぐらいは鶏が表に出てきませんでした。
(コンソメの出汁やお椀の吸い地に実は鶏を使っています。)

1時間ぐらい経ってからは七谷地鶏をガッツリと楽しめます。
同店(3.97)といえば丹波地鶏でしたが、京都の七谷地鶏、鹿児島の黒さつま鶏も併用。
この日は七谷地鶏メインでしたが丹波地鶏に匹敵する美味しさ。

いつの間にか予約困難となってしまって今や近くて(拙宅から約20分)遠いお店なのですが、
訪れるたびに料理がレベルアップしているような気がします。
ドリンクのランナップも充実してきているようで、
この日は十四代の純米吟醸と十四代の米焼酎を飲み比べていました。
1,035文字★

水炊きコース(5,000円+税)

01.千葉竹岡迷い天然トラフグお造り身皮巻き
02.千葉竹岡迷い天然トラフグ白子とコンソメ仕立てのアラ煮凝り
03.岩手三陸ホタテガイ唐揚げ、群馬嬬恋田芹掻き揚げ
04.千葉鴨川カワハギお造り肝乗せ
05.七谷鴨のロースト 鴨ハツ 千寿葱 酢橘
06.丹波地鶏の抱き身漬け 黄身醤油和え、湯引き盛り(丹波地鶏 肝砂肝心臓)
07.香の物(大根醤油漬け、大根べったら漬け、蕪糠漬け、胡瓜糠漬け)
08.丹波地鶏 手羽の唐揚げ
09.丹波地鶏 水炊き(手羽、モモ、ムネ、つくね、野菜)
10.丹波地鶏 はつもと串
11.丹波地鶏 レバー串
12.丹波地鶏 ソリレス串
13.丹波地鶏 水炊き〆雑炊
追加:丹波地鶏 皮串(220円)
追加:丹波地鶏 袖もと串(300円)
追加:丹波地鶏 おたふく串(300円)
追加:丹波地鶏 ぼんぺた串(220円)
14.プリン

5,000円のコースで先付に天白(天然トラフグ)を出してくるという狂った焼鳥店。
日本料理出身のキャリアを活かしているのでしょうか、カワハギの肝は脱水か何か仕事を施しています。
ギュッと旨味の凝縮された肝の美味しさはミシュラン三つ星店で食べたカワハギを遙かに凌駕。
都心であれば鴨ローストまで食べた時点で料理代金5,000円になりそうな気がします。

そこから同店の主力商品「丹波地鶏」が登場。
水炊きは丹波地鶏の手羽中をオーブンで焼いて焙煎してから白湯スープに仕上げており、
薄味で塩に頼らずとも濃厚な旨味を実現していました(なお筆者は塩も加えて楽しみました)。

おまかせコースに一本化したことで串焼きの火入れが更に丁寧になったようで、
ハツモト(ツナギ)は過去最高と思えるぐらい突き抜けた美味しさに。
(とはいえ袖もと、おたふくなど脂っ濃い串は焦げるぐらいもっとウェルダンに焼くほうが好み。)

拙宅からは電車で3駅ぐらいの割と近所に在る同店ですが、
華金でも閑古鳥の鳴いていた初訪問時(2018年5月)とは異なり今や予約必須の超人気店に。
キャンセルが出ても地元のお客さんに電話して席を譲ってしまうようになり、
現在フラッと入ることがほぼ不可能となってしまいました。

月に一度の電話予約デーはNTTの糞アナウンスをエンドレスに聞く羽目になりますし、
まさに(距離的には)近くても(訪問までのハードルが高いので)遠いお店。
機会があればまた訪れたいものです。
1,103文字★

お造り(長崎メイチダイ、横須賀真蛸、小柴真鯛)
京鴨のロースト
湯引き造り 丹波地鶏ハツ、砂肝、レバー、胸肉の黄身和え盛り合わせ ニンニク醤油、胡麻油塩、泡醤油本わさび
あぶり叩き造り 丹波地鶏胸肉抱き身、もも肉盛り合わせ
丹波地鶏すき焼き
高坂鶏すき焼き
香の物(大根、胡瓜、蕪)
高坂鶏ササミ昆布〆と白レバー
ソリ(300円)丹波地鶏 もも関節筋肉
袖もと(300円)丹波地鶏 胸のたもと
海老芋の唐揚げ 祖父江の銀杏
はつもと(300円)丹波地鶏 はつと肝の繋ぎ
おたふく(300円)丹波地鶏 甲状腺、リードヴォー
せせり(250円)丹波地鶏 首小肉
ぼんぺた(220円)丹波地鶏 テールと鶏皮
えんがわ(220円)丹波地鶏 手羽先の先皮
丹波地鶏レバーのパテ(680円)バゲット、レーズンとマカデミアナッツのパンを添えて
つくね卵(380円)つくねと九条葱こだわり卵
肝(250円)丹波地鶏 レバー
はつ(220円)丹波地鶏 心臓
背肝(300円)丹波地鶏 腎臓
ネギ間(220円)丹波地鶏 スネ肉と長葱
鶏そば 濃厚白湯(680円)濃厚白湯スープと京都麺屋棣鄂平打ち麺
親子丼(750円)あぶり叩き用の丹波地鶏とこだわり卵
プリンと抹茶

お通し(500円)はお造り3種、京鴨のロースト、デザートのプリン。
メイチダイが宮崎県の40,000円クラス超高級鮨店で食べたメイチダイより美味しくて驚愕しました。
客単価8,000円以下の焼鳥屋でここまで良質な魚介に出会うのはほとんど奇跡体験です。

事前にリクエストしておいた「すき焼き」は丹波地鶏と高坂鶏(たかさかどり)の食べ比べ。
いずれも関東風の甘辛い割り下より淡い味付けとなっていてミディアムな火入れも理想的。
地鶏ではないのですが高坂鶏の美味しさもキラリと光っていました。

そしてオリーブイルでコンフィのように低温調理したという高坂鶏の白レバー。
規制強化の時代となって色々なお店で低温調理レバーに出会うようになりましたが、
凡店の低温調理レバーはボソボソ感が酷くてわざわざ食べたいと思えません。

しかし同店の白レバーはテリーヌの如き官能的な舌触りで、
臭み無く白レバーの濃厚な味わいだけを楽しめて素晴らしかったです。
入荷数が少ないのでレギュラーメニュー化は難しそうですがまた食べたい逸品。

親子丼、鶏そばなど〆メニューを含め、全体的に前回よりレベルアップしているような印象。
毎月1回の予約日には電話が殺到してNTTの糞アナウンスを何度も聞く羽目になる予約困難店ですが、
その人気に驕ることなく日進月歩で進化している優良店。
992文字★

お通し(500円)日本酒と黒豆、白湯鶏スープ 白味噌仕立て、銚子4.5kgメジお造り とろろ添え
湯引盛合せ(胸肉昆布〆、レバー、ハツ、砂肝)
胸肉黄身醤油和え
叩き盛合せ(胸肉、腿肉)
京鴨ハツ湯引(ハツモトに近い部位)
スモーク盛合せ(550円)レバー、ハツ、砂肝、カマンベール
京鴨笹身
レバー(200円)
香の物(大根、キュウリ、蕪)
せせり(200円)
長芋
ボンペタ(200円)
金針菜
ソリレス(240円)
ハツ元(300円)
そで元(300円)
背肝(300円)腎臓
ハツ(220円)
おたふく(250円)胸腺
えん側(200円)手羽の皮
皮(200円)
ハラミ(220円)
手羽先(300円)
〆鶏そば醤油白湯(650円)
〆鶏あご片口煮干しそば(650円)
親子丼(700円)
鶏そぼろ丼(650円)
日本一こだわり卵のプリン

(注)表示価格は外税です

年明けということでお通しも正月バージョンでしょうか。
少量の日本酒とやわらかな黒豆、蓮根もちと海老芋の入った白味噌椀からスタート。
クロマグロのメジは脂ノリ良くて焼鳥屋で扱う魚介とは思えないレベルの高さ。

丸で仕入れてお店で捌く丹波地鶏が同店の主力商品と思うのですが、
これからは京鴨も仕入れるようで、先行して入手したというハツとササミを試してみました。
軽く湯引きしたハツ刺しはハツモトに近い部位ということで食感に妙味あります。
丹波地鶏のハツにも負けない美味しさで気に入りました。

お店で生肉から燻したというスモーク盛りもレアーな火入れで個性的な美味しさ。
いつもは林檎のチップで燻しているようですが本日は桜のチップ。
丹波地鶏のレアーなスモークを楽しめるお店も他になかなか無いと思います。

焼き台の炭火を紀州備長炭に変えたそうで焼鳥もパワーアップ。
丹波地鶏の大振り串焼きが200円台という下町価格。
前回は品切れで今回初めて食べた「そで元」は脂身なのですがサッパリしています。
イメージとしては胸肉の脂身だけを上品に味わえるような味わい。

8ヶ月前は食べログのスコアも無く華金でも余裕で入れたのですが今やスコア4.03に。
予約必須な近くて遠いお店になってしまいましたがチャンスがあればまた訪れたいものです。
日本酒もプレミアムなものをお手頃価格で楽しめます(掲載写真をご参照ください)。
3,200文字★

東武伊勢崎線の鐘ヶ淵駅(墨田区)というマイナーな場所に凄い焼鳥屋が隠れていました。
扱う鶏は市場を通さずに産地から直送している京都の丹波地鶏。
丸のまま仕入れてお店で捌くので、絶対数こそ少ないですが希少部位の取り扱い豊富。

地鶏ならではの軽やかな脂を楽しめる、ボンペタ、えん側、はつもと、おたふく、せぎも。
モツラー(希少部位の独特な食感を好む人)でアブラー(脂を愛する人)な人間には垂涎のラインナップ。
丹波地鶏の焼鳥でありながら1串200円以下という価格設定もコストパフォーマンス凄まじいです。

そして湯引きにしたレバー、ハツ、砂肝、タタキにしたモモ肉、ムネ肉(ムネ肉はユッケ風でも)など。
焼鳥以外のサイドメニューも圧巻の美味しさ。
丹波地鶏の素材力を火入れと味付けの絶妙な塩梅で最大限に引き上げています。

お通し代として400円を徴収されるのですが、鱧、山菜、漬物、デザートと4品を出す大盤振る舞い。
素材力、火入れ、味付けと、三拍子揃っているお店なのですが、何とお値段まで安いです。
まさに下町ならではの「奇跡の焼鳥屋」と呼べそうな素晴らしいお店です。

店内は厨房を囲むL字カウンターに10席、奥の座敷に最大8名、焼き台の火力は炭火です。
北区の赤羽から通っているというご兄弟はいずれも日本料理出身。
御年80というお母さまと家族経営で切り盛りしています(赤羽から鐘ヶ淵というのも不思議です)。
卓上の爪楊枝は既成品ではなく削ったと思われるお手製、山葵もお店で磨り下ろしているので美味。
食器にもこだわりを感じられて、赤提灯系の大衆焼鳥とは一線を画していました(価格は大衆的です)。

アサヒスーパードライ 生(480円)
キリンラガー 中ビン(550円)
サッポロ黒ラベル 中ビン(550円)
酎ハイ(380円)金宮ハイボール

お通し(400円)天草鱧焼霜 土佐酢ゼリー、庄内産赤みず油炒め、自家製漬物、食後にアールグレイのゼリー
湯引きお造り 大(650円)レバー、ハツ、砂肝、胸★
叩きお造り 大(650円)もも正肉、胸肉★★
和牛と地鶏はらみの味噌煮込み(600円)
ポテトサラダ(450円)
地鶏のリエット(600円)もも正肉の白ワイン煮肉寄せ
~焼鳥~
レバー(180円)
はつ(180円)★★
せせり(180円)★
皮(180円)★
つくね(180円)★
ハラミ(200円)
もも(180円)
ボンペタ(180円)★★
えん側(200円)★
はつもと(200円)★
おたふく(200円)★★
せぎも(200円)★

※表示価格は外税です、末尾★がオススメ!

まずお通しに骨切りした鱧の焼き霜が出てきます、日本料理出身のご兄弟の矜持でしょうか。
土佐酢の酸味こそ筆者の理想より強めなのですが小骨の障らない鱧の骨切り良し。
鱧の下には湯剥きしたミニトマト、空豆、茄子、独活、茗荷など隠れていて「夏」を感じる装い。

油炒めにしたという山形県の山菜「赤みず」も独特の食感が素晴らしい。
自家製の漬物は大根、蕪、胡瓜、特に大根の漬物が美味しかったです。
鳥のお店なのに日本料理で先制パンチを放ってきます。

「湯引き」は刺身のようなレバー、ハツ、砂肝を、甘醤油、胡麻油塩、大蒜醤油で。
臭みなく濃厚さや甘みを感じられてプリップリのレバーが超絶な美味しさ。
ムネ肉の湯引きは黄身醤油と合わせてユッケ風となっていました。

そして「叩き」では丹波地鶏のモモとムネの旨味をダイレクトに味わえて感激しました。
皮目の火入れ良し、タレの味付けも理想的で、丹波地鶏の素材が最大限に引き出されています。
これだけ美味しい鶏刺しは滅多に出会えません、比内地鶏の刺身より美味しいと思ったぐらい。

和牛と地鶏はらみの味噌煮込みは、八丁味噌ベースなので甘めですが嫌な甘さは無し。
クタクタに煮込んだ丹波地鶏のハラミが和牛の白モツと同じような食感となっていて新たな発見。

ポテトサラダは兵庫の日本一こだわり卵の半熟味玉、丹波地鶏のそぼろ、アメーラトマト、クレソン添え。
丹波地鶏を捌いているときに出る「肉カス」を上手く活用したそぼろ。
ポテサラ自体はオーソドックスなタイプで少しパサついて凡庸に思ったのですが、
そぼろ、味玉、甘くて美味しいアメーラトマトなどトッピングが450円に見合う価値。

リエットはマスタード、アメーラトマト、バゲット、マカデミアナッツとレーズンのパン添え。
ホロホロと解けてシットリ食感の丹波地鶏モモのリエットがなかなか美味しいです。
もっともダイレクトな旨味が凄まじかった「叩き」には見劣りするでしょうか。

そして炭火で火入れ良く焼き上げた「焼鳥」。
レバーだけは何故か湯引きのときと異なり臭みや苦味があって残念だったのですが、
血管(ここがハツモトとなります)付きのハツは大振りジューシーで桁違いに美味しい。
湯引きのハツも脂付きで良かったのですが、焼鳥は次元が違います、これはもう5.0満点クラスのハツ。

せせり(首肉)は身厚で歯応えあって良いです、180円で丹波地鶏がこのボリュームとは驚き。
皮も最高峰と思う「比内地鶏の皮」には素材力で少し負けるのですが比内地鶏はお値段の高さも桁違い。
180円で楽しめる皮としては最高ランクに美味しいのではないでしょうか。

つくねにはムネ肉も使っているのか僅かにパサつくのですが大部分はフワフワでジューシー。
パサつきの代償として肉感は強くなっているので、この方向性も正しいと思います。
大葉も入っているでしょうか、このつくねも180円とは思えないレベルの高さ。

ハラミは丹波地鶏にしては意外とアッサリした旨味という印象でしたが独特の歯応えは魅力的。
モモはミディアム以上に火を入れているようで、叩きとの差別化は図れているのですが、
叩きのときの圧倒的に美味しいモモと比べてしまうと少し残念に思ってしまいました。

ボンペタはボンジリと尻のあたりの部位の混成串のようです。
中骨を抜いているのに表面積の広いボンジリから感じる脂の旨味が圧巻。
比内地鶏のみさき(雌のボンジリ)すら凌駕しているのではないでしょうか。
アブラー(脂を愛する人)であれば必ず食べて欲しい逸品。

えん側は手羽先の先の「皮の部分」を骨から剥がした部位だそうです。
「皮」と似ているのですが、こちらのほうがコラーゲン的なプリプリ食感を楽しめて魅力的。
はつもとは、レバー寄りかハツ寄りかで言えばハツ寄りで、これも間違い無い美味しさ。

そしてアブラーな筆者には本日の白眉とも思った「おたふく(胸腺)」。
牛の胸腺もフォアグラのように凄まじい脂ノリのことがありますが、
こちらも牛のコプチャンの脂や豚のキクアブラを思い出すような内臓脂肪の塊。
地鶏だからか牛や豚の内臓脂肪より脂が軽やかで、一方で旨味は鮮烈なので素晴らしいです。

せぎも(腎臓)はお店によってはクセが強いことがありますが、丹波地鶏の同店はクセとは無縁でピュア。
プリプリと脂も付いていて、内臓特有の旨味の強さを純に楽しめて、これも秀逸な逸品。
レバーがハズレの日でも背肝があれば十分です。

この日は袖もと(200円)が品切れ、この部位も脂身だそうで激しく気になります。
丹波地鶏を丸で仕入れており、特定部位だけを仕入れているわけではないので、
どうしても日によって出会える部位が変わるのでしょうが、どの部位も概ね値段を遥かに超える美味しさ。

食後にはブランマンジェのような濃厚でクリーミーなムースを乗せたアールグレイのゼリーと玄米茶。
上にはコアントローに漬けた杏子も乗っていて手が込んでいます。
これでお通し代400円とは信じられません。
気になるメニューがまだありますし、これは再訪必至でしょう。

  • 2019.9 肝(250円)丹波地鶏 レバー
  • 2019.9 はつ(220円)丹波地鶏 心臓
  • 2019.9 丹波地鶏レバーのパテ(680円)バゲット、レーズンとマカデミアナッツのパンを添えて

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8位

彩波 (新小岩 / 居酒屋、ホルモン、もつ焼き)

9回

  • 夜の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2020/08訪問 2020/08/08

【★4.4】鶏馬刺し4点盛り【1308-9】

清水Aburi(現清水HONTEN)出身。
修業先同様に上州豚とことんの各種内臓を扱う他に、鶏刺し、合鴨、牛ハラミ、牛タン、馬タン刺し、
和牛ハツ、和牛ホルモン、鶏の白レバー、桜姫鶏レバーなど肉や内臓をこれでもかと楽しめる「肉酒場」。
美味しいだけでなく下町仕様のガッツリとしたボリュームも兼ね備えていて、
肉好き、モツ好き、生好き、大食いな人にとっては天国のようなお店。

【おすすめメニュー】

鶏刺し四点盛り(1,980円)モモ肉たたき、ムネ肉たたき、ささ身たたき、白レバー
九州産馬タン刺し(750円)
炙り牛タンの刺身(780円)
たん(150円)
チレ(150円)
ピートロ(150円)
網レバー串(180円)
上州豚の絶品レバーフライ(600円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)肉+肉の鬼ジャンクフード
桜姫鶏レバーのレアレア炙り(550円)
上州豚のレバテキ(600円)
新鮮和牛ハツのグリル モツ焼き屋の赤ワインソース(680円)
牛ハラミのみそ漬け焼き(800円)
835文字★

タコオクラ(お通し)
超お得!鶏馬刺し4点盛り!(1,980円)鶏モモ肉たたき、鶏ムネ肉たたき、霜降り馬シンタマ、炙り馬レバー刺し
炙り馬タン刺し(730円)

チレ(160円)
はらみ(160円)
ピートロ(160円)
網レバー串(200円)
網ハツ串(200円)

桜姫鶏レバーのレアレア炙り(550円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)
自家製チャーシューの炙り(680円)
上州豚ロースとナスのネギダレ炒め(800円)
牛中落ちカルビのタタキおろしポン酢(750円)
ゴルゴンゾーラリゾット(850円)

本場鹿児島県の鶏刺しと比べても見劣りしないぐらい良質な鶏刺しを楽しめた同店(3.46)ですが、
ササミと白レバーがメニューから消えて、代わりに馬のシンタマとレバーが新しく加わりました。
それに伴ってメニュー名も「超お得!鶏馬刺し4点盛り!」へとチェンジ。

しかし20数年前から本場熊本県で馬刺しを食べ続けてきた身としては、
シンタマ悪くないのですが鶏刺しほどの感動は得られないですし、
レバーに至っては、水っぽさ、苦味、臭みが気になってしまうという残念な結果でした。

馬タンは変わらず美味しかったので、鶏モモ、鶏ムネ、馬タン、桜姫鶏レバーのレアレア炙り。
これら4点を単品で注文してスターターメニューとするのが同店の定番となりそうです。
ご主人が修業先から受け継いでいるスペシャリテ「上州豚のモツ焼き」は相変わらずの美味しさ。

鶏刺しが「鶏馬刺し」となることで同店の弱体化を感じてしまったのですが、
一方で「フライドチキンのチリコンがけ」はチリコン増量で何故か強化されておりました。
ボリューム更に凄いことになっています。

チーズタッカルビより遙かに美味しい調理法と思うのですが他で見たことは未だ無いです。
「下町のチーズタッカルビ」とでも表現したくなる隠れた逸品。
肉+肉の鬼ジャンクフードなので各人の好みは激しく分かれるところでしょう。
678文字★

お得!鶏刺し四点盛り(1,980円)
九州産馬タン刺(780円)
チレ(160円)
しろ(160円)
ピートロ(160円)
網レバー串(200円)
牛ロースのレアカツ(750円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)
新鮮和牛ハツのグリル モツ焼き屋の赤ワインソース(750円)

先月は鶏刺しの本場である鹿児島県で、現地ならではの鶏刺しをハシゴしまくってきましたが、
その経験を踏まえても同店の鶏刺しはやはり凄いと思います。

九州は海外かと思うほど物価が安いのでコストパフォーマンスだけは及びませんが、
白レバ刺しの臭みが穏やかになって以前より内容の充実度アップ。

鹿児島県の鶏刺しは安くて美味しいと言っても「モモ肉のタタキ」がメインで、
同店のようにモモ、ムネ、ササミ、白レバーと楽しめるバリエーションの豊富さには欠けます。
そういった点も考慮すると本場より満足度が高いかも知れない鶏刺し。
味変アイテムに、胡麻油塩、九州の甘い醤油、ワサビ、ニンニク、生姜と出てきて抜かりなし。

牛タン刺しだけはメニューから消えてしまって喪失感を否めなかったのですが馬タン刺しは健在。
アイディアメニューの「フライドチキンのチリコンがけ」は肉好き人間の垂涎アイテム。
その名の通りレアーに揚げた牛ロースカツも意外なヒット。

ご主人が有名モツ焼き出身なだけに、チレ、シロ、網レバーなど上州豚のモツ焼きもハイレベル。
新小岩の駅から遠いことだけはマイナスポイントかも知れませんが、
肉まみれになって楽しみたいときはトップクラスにオススメできるお店でしょう。
598文字★

生ビール ジョッキ(480円)サッポロ黒ラベル
ホッピー(450円、中身200円)
トマッピー(480円、中身250円)

豚肉と大根の煮物(お通し)
桜姫鶏レバーのレアレア炙り(550円)
鶏刺し四点盛り(1,980円)モモ肉たたき、ムネ肉たたき、ささ身たたき、白レバー
九州産馬タン刺し(750円)
馬刺しユッケ(650円)
炙り牛タンの刺身(780円)
チレ(150円)
ピートロ(150円)
網レバー串(180円)
新鮮和牛ハツのグリル モツ焼き屋の赤ワインソース(680円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)肉+肉の鬼ジャンクフード
白子のゴルゴンゾーラグラタン(750円)

本日のオススメ(日替わりメニュー)は、真ダラの白子ポンズ(680円)、自家製アン肝ポンズ(550円)、
広島産カキの天ぷら(700円)、手羽先の香味揚げ(650円)、厚切りネギ塩牛タン(800円)、
白子のゴルゴンゾーラグラタン(750円)、カキとキノコのクリームリゾット(900円)。

白子、アンキモ、牡蠣など魚介メニューもモツラーが好みそうな食材を取り揃えています。
この日は「白子のゴルゴンゾーラグラタン」を注文したのですが、
グラタンというよりゴルゴンゾーラソースの白子といった感じでユルユルな仕上がり。
青カビチーズの独特な風味と雲子(鱈の白子)の組み合わせも悪くないと思います。
597文字★

タコオクラ(お通し)
鶏刺し四点盛り(1,980円)モモ肉たたき、ムネ肉たたき、ささ身たたき、白レバー
九州産馬タン刺し(750円)
炙り牛タンの刺身(780円)
自家製ポテトサラダ(450円)
自家製もつ煮込み(480円)
たん(150円)
チレ(150円)
ピートロ(150円)
網レバー串(180円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)肉+肉の鬼ジャンクフード
桜姫鶏レバーのレアレア炙り(550円)
新鮮和牛ハツのグリル モツ焼き屋の赤ワインソース(680円)
合鴨の柚庵焼き(750円)

自家製ポテトサラダには上州豚ベーコン、いぶりがっこが入っています。
ジャガイモよりベーコンといぶりがっこの存在のほうがが目立ってしまうのですが、
肉の旨味といぶりがっこの食感が加わったポテトサラダも悪くないです。

新メニュー(祝レギュラーメニュー化)の「新鮮和牛ハツのグリル モツ焼き屋の赤ワインソース」。
ソースに使っているのは肉専用黒ワイン(赤ワイン)のCARNIVOR(カーニヴォ)。
素材として抜群に良い和牛のハツが赤ワインソースで更に昇華しているような印象。

九州の甘い醤油や胡麻油塩で楽しむ生肉など食材の素材力が光る同店ですが、
赤ワインソースをかけた牛ハツ、チリコンカンをかけたフライドチキンなど、
組み合わせによって昇華する肉料理の美味しさにも魅力を感じます。
564文字★

生ビール(ジョッキ480円)
吉田蔵 大吟醸(1合700円)
タコオクラ(お通し)
九州産馬タン刺し(750円)
炙り牛タンの刺身(780円)
たん(150円)
チレ(150円)
ピートロ(150円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)肉+肉の鬼ジャンクフード
桜姫鶏レバーのレアレア炙り(550円)
牛ハツのグリル 赤ワインソース(780円)

「本日のオススメ」というメニュー表が新しく加わっていました。
日本酒のラインナップが増えたようです。
そしてメニューの先頭に表示されていた「牛ハツのグリル 赤ワインソース(780円)」を試してみました。

レアーに火を入れた牛ハツをフレンチテイストに味わうのですが、
このハツが下手な牛ステーキよりジューシーで美味しい。
新鮮和牛ハツの炙り焼き(680円)というメニューもあるのですが、こちらのほうが気に入りました。
100円高くなっても赤ワインソースがハツの美味しさを抜群に引き立てて差額以上の価値。

その他の定番メニューも相変わらずハイレベル。
馬タンと牛タンのタン刺し(牛タンは炙りですが)食べ比べは至福のひと時。
今回の串焼きの中では脂肪分がフワフワしていたピートロが過去最高の美味しさ。
フライドチキンのチリコンがけなどジャンキーなメニューも外せません。
525文字★

鶏の手羽先(お通し)
鶏刺し四点盛り(1,980円)モモ肉たたき、ムネ肉たたき、ささ身たたき、白レバー
九州産馬タン刺し(750円)
自家製もつ煮込み(480円)
明太子チーズオムレツ(500円)
チレ(150円)
ピートロ(150円)
網レバー串(180円)
上州豚の絶品レバーフライ(600円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)肉+肉の鬼ジャンクフード
桜姫鶏レバーのレアレア炙り(550円)
和牛ホルモンのピリ辛オーブン焼き(750円)
ゴルゴンゾーラリゾット(850円)
和風カルボナーラ(850円)
牛トロ丼(980円)

炭水化物系のメニューもいつか試してみましたが、同店の魅力はやはりモツ系、生肉系でしょうか。
もちろんゴルゴンゾーラリゾットや和風カルボナーラも並のファミレス以上には美味しいです。
個人的に炭水化物系では牛トロ丼が一番美味しいと思うのですが牛トロフレークの量は少なめ。

初めて注文した明太子チーズオムレツは、明太子こそイミテーションのような不思議なプチプチ感でしたが、
トロトロした玉子の火入れやトロリとしたチーズの食感は秀逸。
上州豚の串焼きでは、この日はチレのコンディションが特に良かったです。
660文字★

豚の白角煮(お通し)
鶏刺し四点盛り(1,980円)モモ肉たたき、ムネ肉たたき、ささ身たたき、白レバー
九州産馬タン刺し(750円)
自家製もつ煮込み(480円)
たん(150円)
チレ(150円)
ピートロ(150円)
網レバー串(180円)
アンチョビガーリックポテト(550円)
上州豚の絶品レバーフライ(600円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)肉+肉の鬼ジャンクフード
桜姫鶏レバーのレアレア炙り(550円)
上州豚のレバテキ(600円)
大山地鶏のもも炭火焼き(650円)
合鴨の柚庵焼き(750円)
牛ハラミのみそ漬け焼き(800円)
和牛ホルモンのピリ辛オーブン焼き(750円)

今回は4人での利用ということで焼酎の一升瓶(1,800ml)ボトルを注文。
黒霧島の一升瓶ボトルが3,800円、中々は6,000円とのことでした。
お通しがタコオクラから豚の角煮(白角煮)に変わっていてまさに肉尽くしな内容。

煮込みは牛センマイ、豚シロが入った牛豚ミックスで、他に大根も入って味噌ベースのスープ。
アンチョビガーリックポテトはアンチョビとガーリックで臭いが強烈なフライドポテト。
塩がかなり強いのが気になりましたが方向性としては嫌いじゃないです。

上州豚のレバテキ、大山地鶏のもも炭火焼きは表面が少し黒く焦げていて焼きが粗かったですが、
素材の良さをダイレクトに感じられて想定通りにきっちり美味しい。
年明けあたりからメニューが少し変わるかも知れないとのことでした、今後も楽しみです。
1,340文字★

タコオクラ(お通し)
鶏刺し四点盛り(1,980円)モモ肉たたき、ムネ肉たたき、ささ身たたき、白レバー
九州産馬タン刺し(750円)
炙り牛タンの刺身(780円)
チレ(150円)
ピートロ(150円)
網レバー串(180円)
上州豚の絶品レバーフライ(600円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)肉+肉の鬼ジャンクフード
桜姫鶏レバーのレアレア炙り(550円)
上州豚ハラミとアボカドのわさび醤油あえ(680円)
新鮮和牛ハツの炙り焼き(680円)
合鴨の柚庵焼き(750円)
上州豚タンの焼きカレー(700円)

移転後の新メニューなど試してみたく間をあけず再訪。
肉刺しメニューの中から牛タンと馬タンを注文してみたところこれが大当たり。
まず移転後の新メニューである炙り牛タン刺しは、値段から和牛のタンでは無いと思うのですが、
タンモトのやわらかい部分だけを使用しているのかネットリ滑らかで下手な和牛のタンを凌駕する満足感。

移転前からの定番メニューだった馬タン刺しもコッテリと脂がノッていてやわらかく、
牛とはまた違う良さがあって食べ比べながら楽しむのも乙なものです。
タン刺し(牛は炙りですが)の食べ比べが可能な大衆酒場も他になかなか無いと思います。

前回同様に「肉+肉の鬼ジャンクフード」フライドチキンのチリコンがけもスマッシュヒット。
同席者は本日の料理の中で一番気に入ったと言っていたほどです。
この組み合わせをよくぞ思いついたというアイディア作。

刺し盛りの白レバーは前回同様あまり良くなかったのですが桜姫鶏のレバーは絶品でした。
臭みや苦味とは無縁の純な旨味があってプルプルした食感も官能的。
そして上州豚のレバーはフライで楽しんでいたのですが(メニューにはレバテキもあります)、
肉厚にカットされたレバーフライがお皿にドカ盛りとなっていて驚愕。
上州豚ということもあってかレバーのクオリティも高いですし、まさに質と量を兼ね備えたモンスター。

ハラミをアボカドと山葵醤油で和える料理は久遠の空(中野)を思い出すような創作系モツ料理。
柚庵焼きにした合鴨もレアーな火入れで、少し味が濃い目でしたが鶏刺しのモモより更に美味しい。
他店であれば倍の値段になってもおかしくないぐらいのボリュームがあって味も抜群。
和牛のハツも「赤身肉のステーキ」のようで、アッサリながら旨味しっかりでレベル高し。

最後は厚切りバゲットが4枚付いてくる上州豚タンの焼きカレー。
ナス、タマネギ、パプリカなど野菜がゴロゴロと入っていてボリューミー。
サイコロカットのタンもシットリやわらかくてカレーと調和しています。
カレー自体は昔懐かしの味といったイメージですが、カレーを纏ったタンの美味しさは鮮烈。

どの料理もボリュームが凄まじくて、しかも美味しいというガッツリ楽しみたい人には天国のようなお店。
下町の名店の理想像を地で行くような新時代のスーパーもつ焼き店。
駅から遠く、食べログのスコアは出ていないにもかかわらず、平日月曜日から満員御礼。
モツが好き、生が好き、健啖家な人には最高の1軒かも知れません。

評価上方修正4.6→4.7
2,202文字★

清水Aburi(現清水HONTEN)出身のご主人が肉刺し、やきとん、もつ料理などを楽しませてくれる彩波(イロハ)。
肉刺しは鶏、牛、馬を扱い、やきとんは「上州豚とことん」という銘柄モツを使用。
最寄りの新小岩駅から10分ぐらい離れた立地にもかかわらず人気で、このたび移転オープンしました。

店内は厨房前の直線カウンターに8席、4人テーブル3卓、奥の座敷は掘りごたつ式で6人テーブル4卓(計44席)。
焼き台の火力は炭火となります。
トイレは男女共用ですが2017年と書いてあるピカピカの洋式で、
この手のモツ焼き屋にしてはかなり綺麗な店内で女子利用も宴会利用も可能でしょう。
小岩の豚小家と同様に、安くて、美味しくて、使い勝手も良いという新時代のスーパーモツ焼き。

移転前の食べログクーポンによるドリンク無料や100円の日替わりサービスメニューは廃止されたようで、
圧倒的だったコストパフォーマンスは低下してしまったのですが雰囲気や使い勝手は格段に向上。
スタッフ(ご主人含め4人とも日本人に見えました)も増員されて更なる名店へと飛躍できるでしょうか。

飲み物は生ビール(ジョッキ480円)を注文、ジョッキにはサッポロ黒ラベルと書いてありました。
ホッピーは450円(中身200円)、チューハイ350円。
本日の日本酒の入荷を尋ねると佐賀県の東一の純米吟醸が1合600円とのことで日本酒も楽しんでいました。

食べた料理は以下の通り。

タコオクラ(お通し)
鶏刺し四点盛り(1,980円)モモ肉たたき、ムネ肉たたき、ささ身たたき、白レバー
本日のおまかせ5本盛り合わせ(650円)かしら、はつ、たん、てっぽう、レバー
チレ(150円)
ピートロ(150円)
網レバー串(180円)
フライドチキンのチリコンがけ(750円)肉+肉の鬼ジャンクフード
牛ハラミのみそ漬け焼き(800円)
和牛ホルモンのピリ辛オーブン焼き(750円)
牛トロ丼(980円)

お通しの存在は同店唯一のマイナスポイントですが、タコワサビのようなタコにオクラを合わせています。
大手チェーン居酒屋の枝豆やキャベツだけで集金するお通しより格段に良いです。
コリコリクニュクニュのタコとネバネバのオクラに組み合わせの妙味も感じられます。

移転前から同店のスペシャリテとも言える存在だった鶏刺し四点盛り。
これだけボリュームがあって1,980円というお値段の安さも嬉しいところ。
今回は白レバーだけクセと苦みを感じてしまってイマイチでしたが他は相変わらずのレベルの高さ。
胡麻油塩、九州の甘い醤油(これが肉刺しにバッチリ合うのです)、山葵、生姜、大蒜で好みの味に。

やきとんはチレ、大串のピートロ、網脂を巻いたレバーが相変わらずのお気に入り。
上州豚とことんのモツということで仕入れ先は芝浦ではないのでしょう(芝浦は銘柄指定不可です)。
某店で聞いた話では契約金など仕入れにコストがかかるようで串の値段も150円と高め。
おまかせにすると1串あたり130円となりますが、好みの串をアラカルトで楽しんだほうが満足度は向上。

移転前からのメニューですが今回初めて注文したフライドチキンのチリコンがけ。
メニューに「肉+肉の鬼ジャンクフード」と書いてありましたがこれは気に入りました。
ソースは市販のタコスかも知れませんが、クミンが強烈に効いていて蕩けるチーズもかかっています。
片栗粉が混じって竜田揚げのようにも思える鶏の唐揚げとチリコンカーンがジャンキーながら相性抜群。
唐揚げ自体も良い出来なのですが、挽き肉と合わせて肉々しくなることで更に美味しくなっている印象。

牛ハラミは値段からして外国産牛なのでしょうが、味噌で締まったハラミの赤身から旨味をしっかり感じます。
えん家(池袋)のジューシーなハラミぽん酢とはまた方向性の違う美味しさでこれも良し。
大振りカットで食べ応えありますし、レアーな火入れでハラミがやわらかく食べやすいです。

和牛ホルモンのピリ辛オーブン焼きは、鉄板一面が全て和牛のコプチャンでアブラー(脂を愛する人)歓喜。
同店の修業先の清水(の4号店)では2,960円も取る鉄板ホルモン焼がキャベツばかりで怒りを覚えましたが、
こちらはホルモンオンリーという潔さでモツラーかつアブラーな筆者のストライクゾーンど真ん中。
色々な面で清水を守破離していると言ってしまって良いのではないでしょうか。

〆にはメニューに「絶品!!」とこれだけ太い文字で記載されていた牛トロ丼。
円らくグループなどでも見る和牛の冷凍フレークをアツアツのご飯に乗せてご飯の余熱で溶かします。
フレークにかける醤油も先ほどの肉刺しの醤油とは変えていて、肉と醤油の相性も考えているのでしょう。
最初のタコオクラ以外は〆のご飯まで肉尽くしでしたが大満足。

以前より徒歩2分ぐらい駅に近い場所に移転しましたが、それでも駅から10分近い僻地。
にもかかわらず18時半には予約の無いお客さんは入店を断られていて地元の根強い支持を感じました。
肉刺しやモツが好きな人間であれば、駅からわざわざ歩いてでも訪れる価値のある名店です。

地元補正+0.3

  • 2020.8 フライドチキンのチリコンがけ(750円)
  • 2020.8 超お得!鶏馬刺し4点盛り!(1,980円)
  • 2020.8 網ハツ串(1串200円)

もっと見る

9位

わいん食堂 Chez とし (新小岩 / ダイニングバー、ワインバー)

16回

  • 夜の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2023/12訪問 2024/01/05

【★4.8】アンキモのハチミツ漬け!【1327-16】

1,385文字★

お通し(330円)アンキモのハチミツ漬け
ラ・フランスと生ハムのサラダ(1,500円)
フォンドヴォーと赤ワインで煮た牛もつ煮込み(1,600円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(1,650円)
なすとラム肉ボロネーゼのグラタン
白子グラタン
苺のフィヤンティーヌ(1,800円)
チョコレート盛り合わせ(栗チョコ、かりんとうチョコ、さつまいもホワイトチョコ)

胡桃とレーズン入りバゲットに甘いアンキモと奈良漬けを乗せたお通し。
クミンと玉葱入りのキャロットラペも添えて。
オリーブオイルでビタビタに浸したキャロットラペだけで330円でもおかしくないのに、
凄まじくボリューミーなアンキモパンのほうが主役というクレイジーな構成。

余市産や寿都産といった国産アンキモはキロ2万円ともなってしまうので、
おそらくチャイナ産の捨て値アンキモを使っているのでしょう。
素材としては国産より遙かに劣り、苦味や臭みなど気になってしまうチャイナ産。

そこで同店(3.50)はもう割り切ってハチミツに漬け込んでしまっているのでしょう。
漬け込むことでアンキモが締まって、甘みや旨味が増し、臭みも目立たなくなります。
もちろんスイーツのような甘さとなってしまうので良し悪しあるのですが、
チャイナ産のアンキモの使い方としては最適解とも思う超絶技巧。
濃厚コッテリした味わいを好むのであればオススメしたい逸品。

ラ・フランス(洋梨)と手切りの生ハムを合わせたサラダ。
適度な歯応えを残しながらも十分に甘いラ・フランスが生ハムを引き立てます。
サラダ仕立てということでミニトマトやトレビスなども入っているのですが、
甘くて旨味も強いミニトマトが意外な好素材。

個人的には食べログGOLDペレグリーノ(4.59)の生ハムより好み。
ペレグリーノの生ハムは機械を使ってフワフワ極薄にカットしており、
都心の脂を嫌悪するマダムでも食べられてしまうような淡麗系。
同店は下町ならでは脂身の旨味ガツンな濃厚系なのです。

フォンドヴォーと赤ワインで煮た牛もつ煮込み(1,600円)の甘くて濃厚な味わいも良いです。
隠し味にチョコレートでも使っているのかと思ったのですが、
ご主人曰く八丁味噌とのことで、それが分からなかったぐらい複雑玄妙な味わい。

グラタンは前年に食べたときよりバランス重視といった構成。
雲子(真鱈の白子)グラタンには海老芋ではなくて筍とスティックセニョールを合わせ、
ラムグラタンには茄子や湯葉が入っており意外に軽やか。

濃厚コッテリ嗜好なので前年のほうが良かったですが、
マクドナルドのグラコロに入っているようなホワイトソースとは桁違いな美味しさ。
洋食百名店でグラタンを食べても同店を超えることがありません。

ついでに「絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(1,650円)」もピザ百名店殺し。
生地だけであれば専門店のほうが圧倒的に美味しいのでしょうけど、
トッピングまで含めた総合力で同店より美味しいピザに未だ出会えず。

苺のフィヤンティーヌ(1,800円)はボリボリ硬い砂糖菓子を主体に、
たっぷりの苺や生クリームをサンドして、バニラアイスと苺シャーベットを添えた意欲作。
年末に話題となった高島屋のケーキより苺が多いぐらいで下町のパワーを感じました。
561文字★

お通し(330円)つくね入り里芋コロッケ
生ハム(1,430円)
天使の海老グリル(1,850円)
ホタルイカと湯葉の木の芽ソースチーズ焼き(1,700円)
ポークスペアリブ赤ワイン煮込み(5,000円)
スノーホワイトチェリバレー鴨ロース肉ステーキ(5,900円)
アイスクリーム2種(780円)ラムレーズン、アールグレイ
チョコレート盛り合わせ

春の風物詩といえば高級店に於いては「花山椒」となっている昨今ですが、
2023年は100gあたり20,000円を超えており高騰に歯止めがかかりません。
コッテリ濃厚な味わいを好む者であれば同店(3.44)木の芽ソースのほうがオススメ。

以前はノレソレ(穴子の稚魚)に合わせていたそうですが高騰によってホタルイカに。
チーズ焼きということで「グラタン」のような調理となっています。
一般的にグラタンはマカロニなどで嵩増しされますが同店は湯葉なので嵩増し感なし。

ピスタチオ入りの木の芽ソース。
超濃厚な味わいですが山椒の爽やかな香りとマリアージュ。
白子グラタン、牡蠣グラタン、オニオングラタンスープ、ボロネーゼゴルゴンゾーラ、
4つのグラタンに次ぐ5つ目のグラタンとして同店に於ける必食アイテム。
超濃厚料理ながら春を感じられてホタルイカを昇華させています。
1,897文字★

お通し(300円、内税)お麩のフレンチトースト、生ハムのムース、カリフラワーのピクルス
生ハム フランス産ジャンボン・ド・バイヨンヌ(1,320円)
ずわいがにとアボカドのサラダ(1,980円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(1,430円)
オニオングラタンスープ(1,850円)
白子グラタン(1,750円)
じゃが芋とボロネーゼのゴルゴンゾーラチーズ焼き(1,550円)
牡蠣グラタン カレー風味のサバイヨンソースでスフレ仕立てに(1,600円)

白子グラタンと牡蠣グラタンを予約して同店(3.47)へ。
オニオングラタンスープ、じゃが芋とボロネーゼのゴルゴンゾーラチーズ焼きも注文して、
まさかのグラタン4連発という奇行に走っていました。
同店のグラタンはそれだけ美味しいのです。

まずお通しにお麩のフレンチトーストが出てくるところからシェフの高いセンスを感じます。
流行りのパンケーキのように甘くてフワフワ&ジューシーなお麩。
単体でそのまま食べても、生ハムのムースと合わせて甘じょっぱく食べても美味しい。
この生ハムのムースだけを食べてもワインの良い肴になります。

付け合わせのカリフラワーは素材の歯応えを残す絶妙な火入れ。
華やかな味わいのピクルスとなっており、これまた非凡な美味しさで驚愕。
300円でここまで手の込んだ料理を出すお店なんて他にあるのでしょうか。

生ハムは以前より塩分の少ないものに変えたそうですが安定の美味しさ。
食べログではマシーンで極薄切りにしたフワフワの生ハムが持て囃されていますが、
こういう脂の旨味と適度な厚み(歯応え)を楽しめる生ハムのほうが筆者好み。

ずわいがにとアボカドのサラダはセロリやキュウリも入っているようで爽やか。
今回も濃厚な料理ばかりオーダーしているのですが、その中で唯一の癒やしといった存在。
尤もアボカドが入っているだけあって淡麗な料理とまでは言えないでしょう。

そしてピザとグラタンを合わせて5品も貪るという濃厚特化な狂宴の始まり。
同店は1品のボリュームが多いこともあって隣のお客さんは2品だけ食べて帰りました。
淡麗な料理を出すお店ばかりハイスコアとなる食べログの潮流とは真逆でしょう。
しかしコッテリ濃厚な料理を好むマイノリティにとってはパラダイス。

4種類のグラタン(1つはスープですけど)それぞれ方向性が異なっており、
ピザにはマスカルポーネ、ボロネーゼにはゴルゴンゾーラと、チーズを使い分けていますし、
飽きずに食べ進められるのもシェフのセンスの非凡さゆえ。

オニオングラタンスープが白子グラタンや牡蠣グラタンより高い1,850円でしたが、
金額に見合うだけスープに力を入れているようで超濃厚な味わい。
シャリアピンソースでも飲んでいるかのような凄まじさで、
トッピングのチーズやパンと合わせてもスープの美味しさが昇華。

白子グラタンは前回も食べましたが12月に入って雲子自体の脂ノリが増しているような印象。
牡蠣グラタンはカレー風味のサバイヨンソースでスフレ仕立てに。
グラタンというより牡蠣入りのスフレパンケーキなイメージですが、
超大粒な真牡蠣と玉葱だけが入ったシンプル構成ながら全体のバランスが良いです。

同じ月に洋食百名店で2,320円の牡蠣グラタンを食べるもマカロニで嵩増し。
スプーンでグラタンを掬ってもなかなか牡蠣に当たらなかったのですが、
同店のほうが安くて、牡蠣が大きくて、牡蠣が多くて、味も美味しいという圧勝。

ちなみに同じ月に学芸大学のビストロでも白子グラタンを食べているのですが同店の圧勝。
同店より美味しい(濃厚系の)グラタンなんてあるのでしょうか。
淡麗系のグラタンであれば高級フレンチで食べられるのですが、
マイノリティ向けの濃厚特化型グラタンはそもそも出会える機会すら少ないです。

最後はじゃが芋とボロネーゼのゴルゴンゾーラチーズ焼き。
メニュー名を見て流石にジャガイモで嵩増しされているのだろうと予想したのですが、
挽き肉(ボロネーゼ)ドッサリでジャガイモ少量というこれまた狂った構成。
トマト味のボロネーゼと癖の強いゴルゴンゾーラが相性良くて、
4種類のグラタンどれも百名店のグラタンを遙かに凌駕していると思います。

一般的に濃厚な料理とカテゴライズされるグラタンを更に濃厚に特化させた超濃厚グラタン。
これを受け入れられる人のほうが世の中には少ないのかも知れませんが、
コッテリ濃厚な料理を好む者にとって同店は日本最高クラスのビストロ(わいん食堂)。
1,043文字★

お通し(300円、内税)あん肝テリーヌ、ミョウガ甘酢漬け、レーズンパン
生ハムプロシュート(1,320円)
ソフトシェルシュリンプから揚げ(980円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(1,430円)
カプレーゼと生ハム(1,450円)
白子グラタン(1,750円)
オーストラリア産ラムスペアリブのグリル(4,730円)
苺のパートフィロ包み焼き(1,550円)
チョコレート小菓子の盛り合わせ

2022年1月に発生したASF(アフリカ豚熱)の影響でイタリアの生ハムが禁輸となって、
フランス産に切り替えたそうですが相変わらず美味しい。
以前に比べると塩が少し直線的になったようにも思うのですが十分楽しめました。

「カプレーゼと生ハム」は、小型球形のモッツァレラ、カットしたトマト、葉物野菜、
そこに緑色のドレッシングと生ハムを合わせてサラダ仕立てに。
予想していたカプレーゼとは全く異なる装いでシェフ独自のセンスを感じます。

そもそもチャージ(お通し)がアンキモ、ミョウガ、レーズンパンという和洋折衷。
スペシャリテの1つと評している「絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ」は、
果物のマンゴーにエスニックなスイートチリソースまで組み合わせています。
こういう「足し算」の上手さと独自性の高さが同店(3.50)の特長。

足し算の上手さが如実に表われているツートップがピザとグラタン。
まだ走りで旨味の乏しい雲子(真鱈の白子)に旨味濃厚なホワイトソースを加えて、
50,000円クラスの高級店で食べる雲子より美味しく昇華させているのだから驚嘆します。

新メニューであろうソフトシェルシュリンプは殻ごと丸ごと味わえる点が良し。
ヴィアンド(メインの肉料理)として何度も注文しているラムスペアリブは、
火入れの妙味こそ高級フレンチに及ばずもボリュームと付け合わせの美味しさに目を見張ります。

ジューシーに焼き上げたパプリカの火入れには妙味を覚えますし、
ブイヨンの旨味を吸い込んだかのようなゴボウも絶品。
野菜よりモツを好む筆者がここまで野菜を評価するお店は珍しいのです。

デゼール「苺のパートフィロ包み焼き」は周囲に生クリームとフレッシュな苺をトッピング。
パリパリに焼き上げたパートフィロの中は熱い苺とカスタード。
温度差を活かすような組み合わせが面白くて、お通しからデセールまで全てに満足。
リクエストすれば牡蠣もグラタン化してくれるようで再訪を誓っています。
1,242文字★

お通し(300円、内税)炙り〆鯖と青パパイヤサラダ
生ハムプロシュート(1,320円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(1,430円)
フォアグラテリーヌ(2,200円)
伊万里牛たたき
白子と海老芋グラタン(1,550円)
えぞ鹿もも肉ステーキ ロッシーニ風(6,800円)
紅玉アップルパイ(1,850円)

コロナ禍で暫く休業しており(ワイン飲めない人お断りのお店です)、
約1年振りの再訪となりましたがコッテリ嗜好の人には天国であると再確認しました。
ボリュームが凄いので健啖家な人ほど評価が高くなるとも思います。

生ハム(イタリアのプロシュート)は脂身たっぷり付いておりコッテリ。
フルーティーなオリーブオイルとの相性も良いです。
(日によっては黒無花果と合わせて提供していることもあります。)

お通しにゴイドゥードゥやソムタムを思わせる青パパイヤサラダが出たのですが、
エスニックな要素を料理に取り入れているのも同店(3.40)ならでは。
それが活きているのが「絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ」。

薄焼きのピザ生地に、ズワイガニの解し身、マンゴー、マスカルポーネチーズ、
そしてスイートチリソースという組み合わせで甘辛しょっぱい複雑な味わいが良いです。
食べログのピザ百名店を巡っても生地のほうが前面に押し出されているお店が多くて、
イマイチ満足のいくお店に出会えていないのですがこのピザは筆者の理想を体現しています。
百名店には選ばれていませんがピザ百名店を超えるピザを味わえる隠れた名店。

更に「白子と海老芋グラタン」も洋食百名店で食べたグラタンを遙かに超える逸品。
グラタン皿に白子(雲子)、揚げた海老芋、しめじ、チーズ、ホワイトソースという組み合わせ。
まずマカロニで嵩増しをしていないところが良いです。

また海老芋(里芋の一種である京野菜)を揚げているのもポイント高いです。
芋の世界で一番美味しいとも評される海老芋ですが油脂添加することで旨味が引き立ちます。
生のままオーブンで焼いても良いはずなのに一手間を加えているところにセンスを感じます。

トドメは和風出汁のような旨味も感じるホワイトソースの圧倒的な美味しさ。
2020年3月に食べたホタルイカのオーブン焼き(木の芽ソース)も傑作でしたが、
同店のグラタンは隠れたスペシャリテかも知れません(レギュラーメニューには無いです)。

この1年で食べログのフレンチ百名店を30軒ぐらい巡ってみたのですが、
費用対効果を考えれば同店を超える満足感を得られるお店なんて1軒だけでした。
ワインをガブガブ飲んで料理をお腹いっぱい貪って1万円チョット。

ヴィアンドだけ火入れもソースも高級フレンチに比べると物足りずそこだけ弱点なのですが、
(ワンオペだったりシェフがコワモテだったりするのも賛否あると思いますが)
個人的にはビストロ百名店、洋食百名店、ピザ百名店、どれに選ばれても不思議無し。
1,296文字★

お通し(300円)生麩と鰻のベニエ
生ハム プロシュート(1,200円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(1,300円)
生カキアヒージョ(1,100円)
バゲット(280円)
うさぎもも肉コンフィ(3,000円)
紅玉キャラメリゼのパートフィロ包み(2,000円)
ドライフィグ入りホワイトチョコ&トリュフチョコ&干し芋チョコ

(注)表示価格は外税です

この日のアミューズ(お通し)もシェフのセンスが溢れていました。
生麩をスモークサーモンで巻いてベニエ(ドーナツのような揚げ物)にするという組み合わせの妙味。
もう1つのベニエには鰻が入っており、都心であればこの1皿で500円~1,000円ぐらいとなりそうです。

下町新小岩の路地裏にひっそり佇むビストロだけあって(地代家賃安いのか)コストパフォーマンス良好。
グラスワインを注文すれば大きめなグラスにドバドバと注いでくれて、
同店のグラスワイン2杯で他店の3.5杯ぐらいという体感(それで700円~1,000円というお値打ち価格)。

コロナ禍でテイクアウトグルメを購入する機会が増えて、
銀座のデパ地下でクラテッロ・ディ・ジベッロやハモンイベリコ・デ・ベジョータなど、
世界の高級ブランド生ハムも試してみたのですが個人的には同店の生ハムがマイベスト。
シットリ食感と脂ノリが理想的で、シェフの原木管理やカットも上手いのでしょうか。

同店のスペシャリテと思う「絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ」には本日も感動。
ピザと言えば普通は原価の安い小麦粉の生地が主役となるのですが、
これは生地が薄くて完璧に脇役で、マンゴー、ズワイ蟹肉、マスカルポーネチーズが主役。
ドッサリと盛られた3種類のトッピングがスイートチリソースでマリアージュして究極的な美味しさに。
同店(3.40)のこのピザとカマルプール(3.80)のゴルゴンゾーラクルチャは専門店のピザを凌駕します。

メインにはフランス産のラパン(家うさぎ)をチョイス。
骨格の構造が異なりますし筋肉質な食感ですが、味わいとしては鶏モモ肉に似ていると思います。
しかしラパンならではの風味と旨味を感じられて一般的な骨付き鶏モモ肉のコンフィより美味しい。
先日は香川県でご当地グルメの骨付鶏を食べてみましたが同店のほうがハイレベル。
ドッサリ盛られたラタトゥイユやグリル野菜など付け合わせの豪快さも同店ならでは。

デザートに注文した「紅玉キャラメリゼのパートフィロ包み」はクリームまで全て自家製。
パリパリしたパートフィロの中に焼きリンゴやレーズンが入っておりアップルパイ感覚。
付け合わせのココナッツアイスクリーム、生クリーム、ゴルゴンゾーラクリームで好みに調整しましたが
独特の香りで好みの分かれるゴルゴンゾーラを生クリームに仕立てるなど挑戦的でした。

アミューズ、ピッツァ、デザートとシェフの組み合わせのセンスを感じられて本日も大満足。
お腹いっぱい食べてワインをガブガブ飲んでこの安さというのもまた嬉しいところ。
下町のビストロとしては最高峰の1軒と思います。
1,008文字★

お通し(300円)牡蠣南蛮漬け 洋風カレー風味
生ハム プロシュート(1,200円)
ホタルイカのオーブン焼き 木の芽ソース(1,600円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(1,100円)
茹で上げホワイトアスパラガス オランデーズソース(1,400円)
ホタルイカのアヒージョ(1,100円)
牛舌と筍のステーキ(6,400円)
和牛イチボ肉とフォアグラのロッシーニ(7,000円)
からすみとちりめんじゃこのリングイネ(1,500円)
グリーンカレー素麺(1,200円)
無花果ホワイトチョコ&干し芋チョコレート

(注)表示価格は外税です

お通し代300円と明記されるようになりましたが、300円でも安く感じられるレベルに美味しい。
大粒の牡蠣がカレー風味な味付け(適度に酸味も効いています)とバッチリ合います。
マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ、生ハムも相変わらず秀逸、同店の必食アイテムでしょう。

そして本日の白眉だった「ホタルイカのオーブン焼き 木の芽ソース」。
蛍烏賊、ジャガイモ、ヤングコーン、スティックセニョールに木の芽ソースとチーズをかけて、
グラタンのようにオーブンで焼き上げているのですが感動的な美味しさ。

細かく刻んだ木の芽(山椒の若芽)入りのクリーム系ソースが濃厚コッテリな味わいで抜群に美味しい。
爽やかに香る山椒の存在によってコッテリ一辺倒とはなっておらず複雑玄妙。
蛍烏賊の美味しさを昇華させておりました。

ボイル、生、沖漬けなど、蛍烏賊はシンプルに味わうほうが美味しい食材と思っていましたが、
洋風に味付けてここまで感動的に美味しくなるとは新たな発見でした。
シェフ曰く初めて作った新メニューとのことですが春の定番料理になって欲しいものです。

今回は人数が多かったのでメインを2品も注文(ちなみに同店のメインは凄まじいボリューム)。
牛タンは輸入物と思いますがドカーンと塊で楽しめて「ステーキ」の名に恥じない食べ応え。
コストコで一本丸ごと買っても結構なお値段となる牛タン、同店の原価率の高さを実感します。

ロッシーニは大量の和牛イチボ肉(赤身肉)にフォアグラ2枚も乗っており超ボリューミー。
7,000円(+税)は一見すると高値ですが相対的には安いと思います。
〆のリングイネにもカラスミたっぷり乗っていますし、ボリュームを求める人にはやはり最高のビストロ。
586文字★

3種類のチーズのムースとレーズンと生ハムを挟んだ最中(お通し)
生ハム プロシュート(1,200円)
黒いちじくと生ハム(1,400円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(1,100円)
伊万里牛たたき
フォアグラのソテー トリュフ入り赤ワインソース 枝豆のリゾット
オーストラリア産ラムスペアリブのグリル(4,200円)
自家製アイスクリーム 二種盛り(600円)ピスタチオ、マロン
マロン入りチョコレート

(注)表示価格は外税です

本日のアミューズは「3種類のチーズのムースとレーズンと生ハムを挟んだ最中」。
ムースにすることでコッテリやわらかに楽しめるチーズが何ともワイン泥棒。
この日はイコノ スペシャル レッド ワイン(350mlデカンタ 1,600円)に加えて、
ボーグル(ボトル 5,800円)まで空けてしまいました。

生ハム、マンゴー&ずわいがにピザ、牛たたき、三種の神器の美味しさは相変わらず。
そしてリクエストしておいたフォアグラはトリュフ入りの赤ワインソースでソテーして、
枝豆のリゾットの上に乗せるというハイセンスな仕上がり。

牛たたきを食べてしまったのでメインはラムスペアリブにしましたが、
北海道産黒毛和牛のイチボステーキが350gで6,200円というのも破格の安さ。
某テレビ番組で見た山形牛のイチボは200gで10,000円を超えておりました。
508文字★

生ハム プロシュート(1,200円)
アンディーブ・ゴルゴンゾーラチーズサラダ リンゴ&クルミ入り(1,150円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(950円)
オーストラリア産 ラムチョップステーキ(2,400円)
牡蠣とソラマメの煮込み(お通し)
伊万里牛たたき(1,900円)

三種の神器(生ハム、マンゴー蟹ピザ、牛タタキ)を毎回注文してしまうので、
なかなか未食メニューを開拓できないのですが、今回はアンディーブ・ゴルゴンゾーラチーズサラダ初体験。
サイコロカットのゴルゴンゾーラチーズがゴロゴロ入っているので好き嫌いは分かれるでしょうが、
こういうクセのあるチーズが好きな人には美味しいサラダだと思います。
ゴルゴンゾーラと相性が良いとされるリンゴ、そしてクルミの食感が良い仕事していました。

ステーキソースのような味わいを感じる牡蠣とソラマメの煮込みはレギュラーメニューにして欲しいぐらい。
今月は茨城県で常陸牛のタタキを食べる機会がありましたが、
ボリューム、素材力、味付け、火入れ、ほぼ全ての面で同店のタタキのほうが上回っていました。
肉好きチーズ好きには天国なビストロと思います。
683文字★

生ハム プロシュート(1,200円)
子ヤリイカと海老のフリット(1,100円)
ふかひれコンソメ仕立て(3,600円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(950円)
アンキモ・鴨肉・レーズンバター(無料のお通し)
筍と牡蠣のソテー・トリュフソース(1,700円)
和牛テール 赤ワイン煮込み(6,400円)

(注)表示価格は外税です

プロシュートとマンゴー&ずわいがに薄焼きピザは同店のマストアイテム。
生ハムなんてどこで食べても大して変わらないという先入観が同店で打ち砕かれました。
適温でシットリ食感のプロシュートは口の中で脂が蕩けて複雑な旨味の強さも感じられます。
赤ワインとの相性最高で、ついついおかわり注文してしまいました。

マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ初体験の同席者はメニュー名の通り「絶妙」と唸って感動。
子ヤリイカと海老のフリットは素材力そこまで高くないですが、
ボリューミーなのでコストパフォーマンスは素晴らしいと思います。

コンソメ仕立てのフカヒレスープは小さいサイズですが丸ごとのフカヒレ入り。
ベーコンや色々な野菜が入っていて優しい味わいでした。
筍と牡蠣は素材力まあまあといったところなのですがトリュフソースが美味しい。
そして和牛テールに添えられていたズッキーニが蕩ける美味しさで意外なヒット。

外食とは思えないぐらい野菜をたっぷりと楽しめて、生ハムと蟹マンゴーピザは鉄板メニュー。
(もう1つの鉄板メニューだった「伊万里牛たたき」が無くなってしまったのは残念。)
メニュー全種制覇に向けて定期的に通いたいお店です。
1,041文字★

イコノ スペシャル レッド ワイン(350mlデカンタ 1,600円)
アボカドのディップ最中(無料のお通し)
黒いちじくと生ハム(850円)
カキのソテーとパンケーキ ゴルゴンゾーラソース(1,800円)
伊万里牛たたき(1,900円)

生ハム プロシュート(1,200円)
さばふぐから揚げ ケイジャンスパイス(900円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(950円)
グリーンカレー素麺(1,100円)
オーストラリア産 ラムチョップステーキ(2,400円)

(注)表示価格は外税です

お通しの最中はアボカドのディップ入り。
酸味を効かせてあってサワークリームのように感じます、生ハムも入っていました。
レシートをチェックしてもやはり無料の模様。

パルマ産の原木を削っているだけとのことですが相変わらず美味しい生ハム。
他店でもメニューにあれば生ハムを注文するようにしているのですが、
この生ハムより美味しいものには未だ出会えていません。

前回発見したマンゴー&ずわいがに薄焼きピザ、伊万里牛たたき、生ハムが同店の三種の神器。
メニューにあれば必ず注文したいです。
この日の白眉とも思う美味しさだったのがマンゴー&ずわいがに薄焼きピザでした。

イレギュラーメニューからは大粒な牡蠣をゴルゴンゾーラソースとパンケーキに。
ゴルゴンゾーラにしては穏やかな風味で、個人的にはもっとクセがあっても良いと思うのですが、
もっちりしたパンケーキと合ってなかなか美味しい。
付け合わせのスティックセニョール(茎ブロッコリー)の先端がカリカリ食感となっていて、
そこにゴルゴンゾーラソースが絡まると最高に美味でした。

サバフグは骨付きのまま2尾を揚げています。
プリッとしたサバフグの食感やケイジャンスパイスの風味が良好。
グリーンカレー素麺は鶏肉、栗、ヤングコーン、エノキなど具沢山。
ベースにフォンか出汁でも効かせているようで鮮烈な美味しさのグリーンカレー。
筆者の理想より塩が強いのが気になりましたが、温かい素麺と意外に合います。

本日の発見だったのがラムチョップ。
揚げてからステーキにするようで、店内が涙出るレベルに煙臭くなるのが難点ですが、
ラムチョップに付いた脂身が美味しくて気に入りました。
付け合わせには今しか楽しめない四方竹も使っていて、この四方竹の美味しさも光っていました。
スティックセニョールや四方竹といった野菜の美味しさも同店の魅力でしょう。
407文字★

イコノ スペシャル レッド ワイン(350mlデカンタ 1,600円)
数の子の松前風サラダ(無料のお通し)
黒いちじくと生ハム(850円)
絶妙!マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ(950円)
とちぎ和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み(4,600円)
自家製アイスクリーム 二種盛り(600円)ピスタチオ、ラズベリー

この日は「いちじくと生ハム」の無花果が「黒いちじく」となっていました。
フレッシュフルーツと同店の扱う生ハム(プロシュート)との組み合わせは相変わらず絶品。
赤ワインの肴として最高のアイテムです。

果物との組み合わせという点では「マンゴー&ずわいがに薄焼きピザ」も傑作。
マンゴー果肉、ズワイ蟹のほぐし身、マスカルポーネチーズ、味付けにスイートチリソース。
これらが薄焼きの生地の上でマリアージュして複雑かつ絶妙な美味しさとなっていました。
同店のスペシャリテの1つと言えそうな必食メニュー。
585文字★

コショネ ピノノワール ミディアムボディ(グラス 800円)
イコノ スペシャル レッド ワイン(350mlデカンタ 1,600円)

カボチャのペペロンチーノ(無料のお通し)
生ハム プロシュート(1,200円)
いちじくと生ハム(1,400円)
ずわいがにとアボカドのサラダ(1,400円)
甘海老から揚げ(800円)
うなぎ串かつベニエ(2本 1,200円)
北海道・未経産牛肉のたたき(1,800円)
北海道産鴨もも肉のコンフィ(2,800円)
伊万里牛リブロースステーキ450g(6,800円)

原木から削った生ハムが何故か異常に美味しい同店ですが、
それをフレッシュフルーツの無花果と合わせても絶妙な美味しさ。
この日はノーマルの生ハム、無花果と合わせた生ハムと、生ハムを心ゆくまで堪能。

タタキ用の伊万里牛が高騰してしまったようで、タタキの肉が北海道・未経産牛肉に。
伊万里牛より100円安いですが赤身比率のかなり高い肉質。
やはり霜降りな肉質の伊万里牛のタタキのほうが感動的に美味しいと思います。

伊万里牛でもリブロースは値上がりしていないようでメインのステーキは楽しめるのですが、
やはりタタキで食べる伊万里牛のあの蕩ける肉質には及ばないような印象。
メインではピンク色を残す火入れの「鴨もも肉のコンフィ」のほうがコストパフォーマンス良し。
593文字★

鰻のムースの最中(お通し)
生ハムプロシュート(1,200円)
伊万里牛たたき(1,900円)
炙り生うにとパンケーキ(2,300円)
スイーネロパロマイタリア産黒豚ソーセージ(950円)
マグレカナールのロースト(4,900円)

本日のお通しは鰻のムースの最中。
山葵は粗切り山葵ですが、コッテリした鰻の風味のムース、パリッとした最中が合います。
前回感動クラスに美味しかった生ハムも相変わらず良いです。
原木から削るだけなのにお店によって生ハムの美味しさがここまで変わるとは驚き。

そして生ハムに匹敵する秀逸な料理だったのが伊万里牛たたき。
ニンジンなどを細切りにした野菜サラダで底上げされているとはいえ牛肉ドッサリ。
霜降りの伊万里牛がコッテリと口の中で蕩けてアブラー(脂を愛する人)歓喜。

炙り生うにとパンケーキは創作的な料理。
高級鮨店のウニに比べるとウニ自体のクオリティはどうしても見劣りして苦味を感じたのですが、
パンケーキやベーコンとキャベツのクリームソースの甘みがウニの苦味と合います。

イタリア産の黒豚ソーセージには白い脂が入っていて、生肉っぽい滑らかさを感じました。
マグレカナールはミディアムぐらいの火入れ。
美味しいのですが生ハムや牛タタキに比べると感動クラスとまでは至らないでしょうか。
メインには伊万里牛のステーキもあるので気になっています。
823文字★

鴨の燻製(お通し)
生ハム プロシュート(1,200円)
うなぎのきも串ベニエ(2本 1,000円)
ゴルゴンゾーラ入りパテ(1,400円)
エスカルゴ ブルギニョン(900円)
オーストラリア産ラムスペアリブのグリル(3,800円)
ポルチーニ クリームソース リングイネ(1,400円)

前回はアンキモだったお通しですが今回は鴨の燻製。
もちろん自家製とのことで、市販品とは香りやジューシーさが桁違い。
ゴルゴンゾーラだけでなくフォアグラも入る「パテ」も前回同様にハイレベルでした。

そして本日の白眉だったのが「生ハム(プロシュート)」。
イタリアのパルマ産プロシュートを原木からお店で削っているとのことでしたが、
チーズのような風味と生肉のようなネットリ滑らかな食感が何とも官能的。
今まで食べてきた生ハムとは全く異なる圧巻の美味しさ。

うなぎの肝はベニエ(フランス語で揚げた生地という意味)に。
例えればアメリカンドッグのような生地に包んだような料理でしょうか。
サイゼリヤとは次元の異なるエスカルゴもそうですが、
こういうクニュクニュした食材を色々と楽しめる点もモツラーには垂涎。

メインにはラムのスペアリブをチョイス。
前回のバスク豚のLボーンステーキ同様に付け合わせの野菜もドッサリ盛られています。
あやめ雪かぶ、カリフローレ、バターナッツ(南瓜)、小なす、玉蜀黍、牛蒡。
グリーンマスタードも添えられて、ソースはバルサミコ酢ベース。

骨周りの旨味を楽しめるラムスペアリブが間違い無い美味しさなのですが、
下に敷かれていた、レンズ豆、枝豆、タマネギ、ニンジン、ベーコンの煮込みも非凡。
ブイヨンで煮込んでいるのか旨味の強さが凄まじかったです。

リングイネはもう少し硬めな茹で加減のほうが理想ですが安定の美味しさ。
まだまだ試していないメニュー多数。
掘り下げていきたい(暫定)葛飾区No.1ビストロ(ワイン食堂)です。
2,004文字★

店主は今は亡きSHIMPEI(品川区上大崎)松尾晋平シェフの一番弟子とのこと。
フレンチをベースにエスニックなどの要素も入った創作料理とワインを楽しめます。
下町新小岩らしく料理のボリュームはガッツリ。
都心の味と下町のボリュームを兼ね備えた、筆者にとって理想のビストロ(ワイン食堂)。

行列の出来る人気ホルモン焼き店「ホルモン平田」と同じ通りにひっそりとお店を構えます。
店先の貼り紙によれば、お子様連れ、未成年者、お酒を飲まれない方の入店お断り。
ワインを嗜む大人のための隠れ家レストランといった趣きでしょうか。

店内は厨房を囲むカウンターに9席のみ、店主1人で全て切り盛りしているようです。
テーブルの引き出しを開けると、箸、スプーン、ナイフ、フォークなど食器一式が揃っています。
このような女性のテンションを上げる演出もあってデート利用にも向いているのかも知れません。

飲み物はカバ チャレロ・パレリャーダ・マカベオ(ボトル 3,800円)からスタート。
肉料理にはデカンタ・ワイン(350ml)イコノ スペシャル・レッド・ワイン(1,600円)。
食後酒に蜂蜜酒ミートヤドヴィカ(グラス 1,100円)と楽しんでいました。

食べた料理は以下の通り、表示価格は外税です。

お通し(アンキモ、オリーブ、アーティチョーク)
甘海老から揚げ(800円)
パクチーと砂肝のサラダ(1,350円)
ゴルゴンゾーラチーズ薄焼きピザ(850円)
ゴルゴンゾーラ入りパテ(1,400円)
特大!フランス産ピエールさんのバスク豚 Lボーンステーキ(6,400円)
紅玉アップルパイとアイス(1,600円)

お通しにオリーブやアーティチョークと合わせたアンキモが出てきて意表を突かれました。
やわらかに固めてあって蕩けます、日本料理店顔負けのハイレベルなアンキモ。
ブラックペッパーを振っているのがワイン食堂らしさでしょうか。

種入りで大粒のオリーブ、小さい筍のような食感のアーティチョークなど野菜も美味しいです。
下町新小岩にアーティチョークを扱うお店があるというだけで驚き。
このセンス溢れるお通しからシェフの実力の高さを伺えます。

料理は甘海老の唐揚げから登場したのですが、築地で仕入れたという甘海老の大きさにウットリ。
火入れ良く頭も尻尾も丸ごとサックリ食べられてしまいます。
居酒屋で出てくるような甘海老の唐揚げとは次元が違うのではないでしょうか。

パクチーと砂肝のサラダには素揚げしたパクチーの根っこも盛り付けられています。
タイ料理店では根っこを捨てずに唐揚げにして出してくれたりもするのですが、
確かにこの部分は香り高くて捨てるには勿体無い部分。
シェフのエスニック料理に対する造詣の深さを感じます。

砂肝と蓮根も素揚げしてあって、パクチー以外にもキオッジャ(渦巻きビーツ)、紅芯大根、
セロリ、トマトなど色々な野菜を楽しめてしまいます。
珍しいキオッジャはカラフルな見た目だけでなく、甘みを感じるその味わいにも魅力。

ゴルゴンゾーラの薄焼きピザは青カビ部分が肉のように見えます。
そのまま味わってもゴルゴンゾーラのクセが大人の味わいとなってワインに合いますし、
沿えられた蜂蜜をかけてマイルドに味を変化させても食べやすくて美味しい。

ゴルゴンゾーラ続きでパテ(パテ・ド・カンパーニュ)も注文しましたが、
パテの中央にはフォアグラまで埋め込まれていてコッテリ蕩けるフォアグラが堪りません。
これはもう本格フレンチといったレベルの高さではないでしょうか。

メインの肉料理は骨付きで800~900gのボリュームというバスク豚のLボーンステーキ。
カボチャ、小ナス、トウモロコシ、リーキ(ポロ葱)、ニンニク、カブ、ゴボウ。
グリルもしくは素揚げにした野菜もドッサリ盛られて何ともボリューミー。

バスク豚はシットリした赤身肉にたっぷりの脂身が付いています。
この脂身に柚子胡椒を合わせると何とも至福。
野菜も抜かりなく美味、6,400円でも納得価格ではないでしょうか(都心ではもっと高くなりそうです)。

デザートのアップルパイはスライスした紅玉の間にモッチリしたパイ生地を挟むという、
ミルフィーユ仕立てのような構造となっています。
外側のよく火が入った部分はカリカリ、内側はモッチリで食感の対比にも魅力。
そして添えられたアイスクリームは自家製とのことでバニラビーンズたっぷり。

お通しのアンキモからデザートのアップルパイまで独創的でハイレベル。
下町新小岩にはラーメン、モツなど大衆価格の優良店は数多くあるのですが、
ビストロ系の優良店まで隠れていたとは新たな発見でした。
他にも気になるメニュー多数、今後も掘り下げていきたいと思います。

  • うさぎもも肉コンフィ(3,000円)
  • 2020.3 牛舌と筍のステーキ(6,400円)
  • 2020.3 和牛イチボ肉とフォアグラのロッシーニ(7,000円)

もっと見る

10位

光寿司 東向島店 (東向島、鐘ケ淵、八広 / 寿司)

23回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2023/10訪問 2023/10/22

【★4.5】良質な魚で腹パンになれる稀有な存在【1251-23】

803文字★

お通し(ツブ貝)
刺し盛り
刺身アラカルト(〆鯖、本鮪赤身、赤貝)
カラスミ西京漬け
あわびのキモ(450円)
江戸前あなご焼き(半皿 1,100円)
かぶと焼き(650円)カンパチ
いかげそ焼き(250円)
生牡蠣(1個 300円)
サザエ壺焼き(700円)
白子(750円)
きんき(900円)
フルーツ盛り合わせ(葡萄、シャインマスカット、柿)

本日の刺し盛りは、鰹、赤貝、真鯛、本鮪中トロ、ホッキ貝、イカソーメン、いくら、
あわび、真鯵、甘海老、本鮪赤身、ズワイ蟹爪、真蛸、玉子焼き、以上14種類。
種類はいつもより少なめですが中トロやあわびといった高級食材がドーンと乗っています。

冬(つまり鍋の季節)を迎えて余市産アンキモの市場価格がキロ2万円をオーバー。
この日のアンキモは500円と安かったですがチャイナ産の模様。
(夏は安いので余市産アンキモを1,200円で楽しめたようです。)
ご主人はアンキモよりも白子(真鱈の白子)を推していました。
走りの時期でありながら旨味濃厚クリーミー、同じ時期に某高級店で食べた白子を凌駕。

カラスミは自家製ではなくて既成品を仕入れているのですがネットリ甘くて美味しい。
サザエはお店側で身を取り出し肝は取り除いて細かくカット。
身を殻に戻して、出汁、三つ葉、鶉の卵で壺焼きにしており食べやすいです。

魚の美味しさは資本主義(特に東京はその傾向が強いです)。
イマイチな魚であれば安く腹パンになることも可能ですが、
高級店が扱うクオリティの魚で腹パンになるのは至難の業。
チョッピリ食べただけで都心の高級店は何万円も取ってきます。

同店(3.51)は高級店クラスの魚を下町価格で提供する「夢のお寿司屋さん」なので、
お腹いっぱいに良質な魚を貪ってもお財布に優しいのです。
あまりに魚ばかり食べ過ぎて、寿司屋なのに酢飯を食べずに終わるというオチ。
701文字★

お通し(170円、内税)鱧落とし梅肉ソース
刺し盛り大
いかげそ焼(170円)
かぶと焼(600円)
江戸前あなご焼(900円)
あわびのキモ(380円)
カラガキ(1ヶ 250円)
赤身と中トロお造り
毛蟹おつまみ
タイラギ磯辺焼き
焼き蛤
ノドグロ一夜干し(1,200円)
~握り~
特本鮪中トロ(440円)、天然車海老(300円)、白イカ(190円)、江戸前新子(190円)
北海つぶ貝(280円)、本みる貝(270円)、生とり貝(230円)、赤貝(230円)、穴子、
トロ鉄火巻き、特上ネギトロ巻き、北海ウニ軍艦
デザート(桃、梨、葡萄)

本日の刺し盛りは、真子鰈、ノドグロ、真鯵、本鮪中トロ、カンパチ、白イカ(ミミ付き)、
〆鯖(松輪の鯖)、ズワイガニ、カニ爪、本鮪赤身、タイラギ、赤貝(ヒモ付き)、
ボタン海老、本ミル貝、たらこ、玉子焼き、煮ホタテ、蒲鉾、計18種類。

どれも大衆店とは思えないレベルの高さですが白眉と思ったのは本鮪。
酸味が強くアッサリすると言われる夏の本鮪とは思えないレベルで濃厚コッテリ。
冷凍なのかは分かりませんがお支払い総額40,000円となった銀座の高級鮨店より美味しい。

ご主人が丸から捌いたノドグロの一夜干し、殻ごと焼き上げた蛤も光ります。
フレンチのような火入れの妙は無いですが素材の良さが格別。
市場価格が上がってしまって流石に値上がりを予定しているようですが、
とりあえず現状では銀座の4分の1ぐらいのお支払いで良質な魚と酒を楽しめる特異店。
ご主人がギターで「Hotel California」を歌ったりするので賛否はあると思います。
873文字★

お通し(170円、内税)姫サザエ
刺し盛り大
江戸前あなご焼(900円)
青森産アンコウ肝(800円)
カラガキ(1ヶ 200円)
竹岡産太刀魚塩焼き(600円)
別盛海鮮丼(2,530円)
~握り~
特本鮪中トロ(440円)、のどぐろ(200円)、本みる貝(270円)、北海ホッキ貝(250円)、鹿島ハマグリ(250円)
トロタク巻き
桃と葡萄

本日の刺し盛りは、ノドグロ炙り、ツブ貝、烏賊いくら、鱧湯引き梅肉、本鮪中トロ、
〆鯖、鰹タタキ、鳥貝、赤貝、ボタン海老、ミル貝、ズワイ蟹、蟹爪、平貝、本鮪赤身、
玉子焼き、真子鰈、真蛸、蒲鉾、計19種類(大盛りバージョンとなります)。

1人行動の多い筆者は刺し盛りを注文する機会に必ずしも恵まれてはいないのですが、
都内の居酒屋百名店、太平洋や日本海といった海沿いの地方都市、
どこで刺し盛りを食べても同店(3.45)を超える満足感を得ることがありません。

もちろんお金さえ出せば同店を超える刺し盛りを生み出すことは可能なのですが、
貧困層の筆者が美味しさとコストパフォーマンスのバランスを考慮して、
総合満足度を算出すると同店の刺し盛りが今のところ全国No.1ということになります。

ちなみに穴子(本日は江戸前)の仕入れ先は食べログ全国No.1のお店と同じ。
豊洲市場で杉田孝明氏によく会うそうですが、
高級店の扱う良質な食材を下町ならでは大衆価格で楽しめるのが同店の本質となります。

ブランド力などの底上げが無いので食べログでは評価されていませんが、
(どちらかと言えば下町の雑多な雰囲気がマイナスに作用しているような気がします)
本質を見抜ける人にとっては安くて美味しいパラダイス。

8月で禁漁を迎える礼文島の天然バフンウニ(刺し盛りではなく海鮮丼に入っていました)。
お支払い2万円を超えたSATOブリアンのバフンウニとは桁違いな美味しさ。
寿司屋のウニと焼肉屋のウニを比べるのもどうかとは思いますが、
魚の美味しさは資本主義という筆者の持論を覆す極めて例外的な存在なのです。
854文字★

お通し(170円、内税)煮つぶ貝
刺し盛り
自家製しおから(250円)
青森産アンコウ肝(800円)
白子ポン酢(少量なのでサービス)
カラガキ(1ヶ 250円)
ナメタガレイ煮付け
いかげそ焼(170円)
あわびの肝(380円)
生子ポン酢(400円)
白魚おつまみ
本まぐろ中とろ(1,320円)
本まぐろ赤身(660円)
かんぱち(550円)
~握り~
北海特上うに(420円)、天然車海老(300円)、煮はまぐり(270円)
特上ねぎとろ(3本 1,900円)

本日の刺し盛り(大盛りバージョン)は計18種類。
鰹のタタキ、鮑、北海つぶ貝、本まぐろ中とろ、帆立貝、かんぱち、〆鯖、真鯛、赤貝、細魚、
ずあいがに、かに爪、烏賊、本まぐろ赤身、竹岡産真蛸、ボタン海老、玉子焼き、蒲鉾。

その中で特に素晴らしかったのが本鮪(中トロも赤身も)とカンパチ。
年始で魚の品揃えが悪いと齢63のご主人が嘆いていましたが、
そういえば本鮪は初競りのご祝儀相場目当てに漁師が競って釣り上げている例外的存在。
水っぽさとは無縁でネットリした身質を楽しめて旨味も凄まじかったです。

カンパチはブリブリした弾力を身に残しながら旨味強くて何とも筆者好みな味わい。
都心でこの量と質の刺し盛りを求めるとそれだけで2万円は超えそうなイメージですが、
本日も飲んで食べてお会計1人あたり1万円を切る(2人で利用)のだから驚愕します。

前述の通り年始で魚が無くて、ノドグロ、甘鯛、太刀魚などは入荷無し。
ナメタガレイの煮付けを代役に食べたのですが真子(卵)も楽しめて悪くないです。
大振りサイズの白魚は生姜醤油やポン酢と合わせておつまみに。

珍しく遅い時間まで残っていたあわびの肝、柚子香る自家製の塩辛、国産のアンキモ、
雲子、海鼠、殻付きの生牡蠣など飲兵衛の好物をこれでもかと貪っていました。
ジョッキの生ビール(アサヒスーパードライ)が640円なのも居酒屋価格。
海鮮系の居酒屋と捉えれば筆者の知る限り究極的な存在。
1,169文字★

お通し(170円、内税)アスパラマヨネーズ
青森産アンコウ肝(800円)
刺し盛り
カラガキ(1ヶ 250円)
かぶと焼(600円)カンパチのカブトとカマ
塩辛(250円)
キンキ煮付け(950円)
いかげそ焼(170円)
海老真薯揚げ
~握り~
天然鮃(220円)、淡路釣り真鯵(180円)、北海いくら(220円→サービス)、
石垣貝(280円)、特本鮪中トロ(440円)、カンパチ(170円)、天然真鯛(200円)
柿と葡萄(サービス)

緊急事態宣言の発令中はずっと休業していた同店(3.46)。
2021年は10ヶ月のうち計2ヶ月ぐらいしか営業しておらず、
(原価率7割なのでお酒を出せないと儲けが出ないビジネスモデルなのです)
約1年振りの再訪となってしまいましたが相変わらずの充足感。

コロナ禍でも地魚を求め太平洋から日本海まで東奔西走していましたが、
そんなリスクを冒さずとも同店で魚を食べておけば十分です。
資本主義の原理で東京には日本全国から良質な魚が集まってくるので、
オールスターの魚介が地魚を圧倒してしまうという悲しい現実を味わえます。

もちろん例外も一部にはあって、鳴門(徳島県)や明石(兵庫県)といった、
渦潮が発生するぐらい激流となっている瀬戸内海の沿岸は地魚が異常に美味しいです。
東日本で地魚を食べて同店より感動を覚えたことは残念ながら未だ無いです。

本日の刺し盛りは計18種類。
カンパチ、鰹タタキ、天然真鯛、天然鮃、〆鯖、本鮪赤身、本鮪中トロ、イカ、
赤貝、本ミル貝、帆立貝、鮑、ボタン海老、ズワイ蟹、蟹爪、真蛸、蒲鉾、玉子焼き。

その中で特に素晴らしかったのが天然真鯛や天然鮃といった白身魚から感じる旨味の強さ。
都内で淡泊な白身魚を美味しいと思えるのは客単価2万円以上の高級店に限られるのですが、
原価率7割の同店はその法則を捻じ曲げていました。

北海道や青森のスルメイカが手に入ったときにしか作らないという自家製の塩辛。
スルメイカの肝がキーアイテムとなりますが(他のイカは肝が美味しくないです)、
西日本のスルメイカは肝が臭くて塩辛に使えないそう。

ちなみに磯の王者と謳われる石鯛は逆に東日本のほうが磯臭いと言われます。
同じ魚介でも生息する場所によって美味しさが全く変わるのだから不思議。
(だからこそ日本全国の食べ歩きが面白いのです。)

ほとんど白身魚を入れず海老たっぷりという真薯揚げなど酒肴を堪能。
都心のフレンチではビール小瓶が税サ込1,500円なんて別世界のお値段でしたが、
アサヒスーパードライ大瓶690円の同店は居酒屋感覚。
(いつの間にか内税表示に変わっていました。)
銀座の某百名店フレンチは水だけで3,000円も取られましたが同店はガブ飲みしても無問題。
838文字★

お通し(150円)たらこ旨煮
自家製いかの塩辛(200円)
なま子酢(300円)
あわびのキモ(350円)
国産あんきも(850円)
白子ポン酢
刺し盛り
いかげそ焼(150円)
~握り~
あわび、本鮪中トロ、天然縞鰺、ほうぼう、穴子
太巻きハーフ
蜆のお味噌汁(サービス)
柿と葡萄(サービス)

(注)表示価格は外税です

本日の刺し盛りは、天然縞鰺、真鯵、カツオ(腹身)、鮃、本鮪赤身、本鮪中トロ、スミイカ、真蛸、
赤貝、ホッキ貝、ツブ貝、煮ホタテ、ボタン海老、蟹爪、玉子焼き、蒲鉾、計16種類。

刺し盛りで光っていたのが天然縞鰺と脂ノリノリなカツオの腹身。
高いときはキロ7,000円ぐらいになってしまう天然の縞鰺ですが今は水揚げ量が多いため安いのだそう。
ちなみに養殖は1尾で2,000円ぐらい、天然と養殖の価格差が激しい魚の1つです。

たらこ、塩辛、なまこ、あわびの肝、アンキモ、雲子(真鱈の白子)。
塩分とプリン体の固まりといった肴ばかり堪能して日本酒が進みました。
隣のお客さんが注文していたので真似した太巻きは、干瓢、穴子、胡瓜、海老、蟹、桜でんぶ入り。

モツ焼きの宇ち多゛(3.78)と立ち食い寿司の栄寿司(3.75)。
立石(葛飾区)ではこの2軒のハシゴを「黄金コース」と呼ぶのですが、
東向島(墨田区)の黄金コースとして本日は鳥megu(3.25)と同店(3.47)をハシゴしてみました。

しかしモツ焼き数本と梅割りで千べろ可能な宇ち多゛と異なり鳥meguはおまかせコースで16品も出るお店。
串焼き10本と〆のご飯を食べた後に同店を訪れることになるため、
割と大食いな同行者が「胃袋に亀裂が走る」と途中でギブアップしてしまいました。

この「黄金コース」を再現できる人はごく一部の健啖家に限られるかも知れませんが、
鶏と魚をバランス良く楽しめてハイクオリティ超絶コストパフォーマンスな「東向島の黄金コース」。
胃袋に自信のある方はお試しあれ。
302文字★

お通し(150円)国産アンキモ
刺し盛り
本まぐろ中トロ刺し
いかげそ焼(150円)
あなご焼(900円)
別盛海鮮丼(2,350円)
ネギトロ巻
中トロ鉄火巻

(注)表示価格は外税です

本日の刺し盛りは、天然縞鰺、本まぐろ赤身、ホタテ貝、赤貝、戻り鰹、蟹爪、玉子焼き、スミイカ、
真鯵、鮃、本まぐろ中トロ、甘海老、本ミル貝、姫アワビ、ツブ貝、タコ、蒲鉾、計17種類。

中トロが久しぶりのヒットだったので単品(お刺身)おかわり。
ネギトロ巻と中トロ鉄火まで注文して「トロ尽くし」を楽しんでおりました。
10月31日(土)までPayPay30%還元のため今月はメチャクチャ忙しかったそうです。
482文字★

お通し(150円)鶏ササミと根ミツバのおかか醤油和え
刺し盛り
塩辛(250円)
国産あんきも(850円)
白子ポン酢
いかげそ焼(150円)
あなご焼(900円)
きんき煮付け(900円)
玉子焼(350円)
かぶと焼(550円)カンパチのカブトとカマ
別盛海鮮丼(2,350円)

(注)表示価格は外税です

本日の刺し盛りは、アワビ、本まぐろ中トロ、すみいか、鰹のタタキ、赤貝、
玉子焼き、カンパチ、〆鯖、車海老、タコ、カマボコ、イクラ、天然真鯛、
本まぐろ赤身、ツブ貝、蟹爪、計16種類盛りとなっていました。

2020年10月1日(木)から10月31日(土)まで。
墨田区とPayPayの共同企画で、対象店舗でPayPay払いすれば最大30%を還元中。
同店(3.46)も対象店舗となっており原価率7割のお店が還元率3割に。

もちろん1回のお支払いでの還元3,000円までという制限はあるのですが、
原価率7割の同店は飲んで食べても平均客単価5,000円という激安寿司店。
良質な魚介を豊洲市場の販売価格で外食可能という異常事態になっております。
1,073文字★

お通し(150円)あんきも
刺し盛り
自家製イカ塩辛(サービス)
あわびのキモ(少量のためサービス)
国産あんきも(850円)
白子ポン酢
本まぐろ赤身刺し(600円)
天然マコかれい刺し
秋刀魚刺し
戻りがつお刺し
生がき(1コ250円)本日は昆布森産
たちうお塩焼き(650円)本日も竹岡産
かぶと焼(550円)カンパチのカブトとカマ
いかげそ焼(150円)
酢の物(650円)海老、ホタテ、タコ、蟹、赤貝ひも、小鰭、若布、胡瓜
~握り~
車海老、赤貝、寒のトロ鯖、煮はまぐり、あなご、本まぐろ赤身、特本まぐろ中トロ、すみいか、いくら軍艦、ネギトロ巻き
フルーツ盛り(サービス)シャインマスカット、巨峰、梨

(注)表示価格は外税です

本日の刺し盛りは、蟹爪、本まぐろ赤身、ツブ貝、タコ、エゾイシカゲガイ、鰯、玉子焼き、
マコかれい、赤貝、天然シマアジ、車海老、すみいか、本まぐろ中トロ、寒のトロ鯖、ホッキ貝。
上記15種類のラインナップとなっておりました。
これほど安くて美味しい刺し盛りには、海に面した地方都市を訪れてもまだ出会えていません。

刺し盛りで食べて美味しかった赤身やマコは単品でも追加注文。
秋刀魚もオススメということで焼き物ではなくお刺身でお願いしたのですが、
薬味に細かく叩いた生ニンニクを添えてくるのが面白いところ。

高級鮨店では禁忌となっていることが多いニンニク(高級店では葱や生姜で代用)ですが、
鼻が馬鹿になろうが多少の口臭となろうが、少し癖のある食材を引き上げる力やはり凄まじいです。
秋刀魚と同じく癖の強い鰹(戻り鰹)でも同じ食べ方を試してみましたが相性の良さは鉄板。

初めて食べた「酢の物」は海老、ホタテ、タコ、蟹、赤貝ひも、小鰭、若布、胡瓜が入っており豪華。
高級和食店の繊細な酢〆に比べると粗さや酸の強さが少し気になりますが、
650円でこれだけ楽しめるコストパフォーマンスの高さは相変わらずでした。

そして銀座のオイスターバーでは小さめな粒でも800円ぐらいの高値となる生牡蠣。
同店どの産地となるかはその日の仕入れ次第、また小粒でもあるのですが250円という異常な安さ。
本日は昆布森産ということで濃厚クリーミーな味わいに唸っておりました。

もちろん銀座で1粒1,000円という高値になっていた仙鳳趾(昆布森)ほど特大サイズでは無いですが、
小粒ということで2粒を1つの殻に乗せてあって費用対効果を考えれば最高でした。
昆布森の生牡蠣を250円(+税)で出すお店を他にまだ知りません。
502文字★

アスパラガス(お通し)
刺し盛り
生牡蠣
竹岡太刀魚塩焼き
半養殖鮎塩焼き
真鯒(マゴチ)、真鯵
煮穴子、煮蛤
握り(新子2枚付け、穴子、雲丹)
細巻き(ネギトロ、海老マヨネーズ)
水菓子(葡萄、マスカット、桃)

本日の刺し盛りは、本鮪赤身、本鮪中トロ、真子鰈、鱸(スズキ)、〆鯖、ボタン海老、大阪湾鰯、
雲丹、鰹、スミイカ、真蛸、蟹爪、帆立、鳥貝、鮑、玉子焼き、計16種類。

高級鮨店も愛用する大阪湾の鰯(鰯臭さの無い鰯として重宝されています)を仕入れ、
太刀魚は最高ブランド産地と言われる竹岡(食べログ全国No.1鮨店も竹岡の太刀魚を使っています)。
下町の大衆的な価格で楽しめる街場寿司とは思えないぐらいブランド食材を楽しめるのも、
7割と豪語する原価率の高さゆえでしょう。

4月と5月は営業自粛、6月は自粛の反動か前年同月ぐらい売り上げがあったようですが、
新規感染者が200人や300人となった7月は客足が遠のいているようで本日は空いていました。
コロナ禍による逆風にも負けずに頑張って欲しいお店です。
本日も大阪湾の鰯や竹岡の太刀魚を楽しみ、お酒もガブガブ飲んだのに激安でした。
833文字★

お通し(150円)トコブシ煮付け
刺し盛り
あわびのキモ(350円)
いかげそ焼(150円)
国産あんこうの肝(900円)
かぶと焼(550円)カンパチのカブトとカマ
甘鯛の塩焼き
このわた(450円)
別盛海鮮丼(2,350円)
ホタルイカ沖漬け
カラ付カキ(1ヶ 200円)
メロン

本日の刺し盛りは、雲丹、平貝、本鮪赤身、鰹、真鯛、甘海老、蟹爪、玉子焼き、
烏賊、車海老、ホッキ貝、タコ、赤貝、本鮪中トロ、蛍烏賊、蒲鉾、計16種類。

先日は静岡県の沼津港まで魚を食べに行ったのですが同店のほうが安くて美味しいです。
わざわざ高速代とガソリン代と時間をかけて沼津まで足を伸ばしたのに、
そんな苦労を見事に全否定してくれる圧倒的な素材力。
(沼津にも鮪のテールシチューや鮭皮の串焼きといった面白い料理はありました。)

食べログの沼津市ランキング1位のお店では(運転があるので)お酒を飲まなかったのに、
お酒をガブガブ飲んだ同店のほうが安いという逆転現象。
冷酒「玉の光」が320ccで700円、都内の寿司屋とは思えないお酒の安さも同店の魅力。
しっかり果実感を楽しめる生グレープ(フルーツ)ハイが390円も居酒屋価格でしょう。

そして初めて注文した同店の海鮮丼は何と「別盛」可能。
吉野家で言う牛皿定食のように、一緒に食べるのを嫌がる人にも配慮しています。
煮帆立、煮蛤、蛍烏賊沖漬け、たらこ、イクラ、干瓢、沢庵漬けなど、
「おかず」向きなアイテムが加わっており、ご飯(酢飯)が進みます。
(ついでに刺し盛りには無かった細魚、生帆立、ツブ貝も入っていました。)

こちらも同店では初めて食べたであろう「甘鯛」は切り身を皮ごと丸ごと楽しめ絶品。
スコア4.35の某京料理店で食べた甘鯛ほど火入れに妙味は感じないですが、
(炭火焼きの某京料理店に対して同店の火力はあくまでガスなのです)
原価率7割の同店だからこそ高級食材の甘鯛を気軽に楽しめるという幸せ。
1,386文字★

お通し(150円)子持ちヤリイカ煮付け
刺し盛り
貝盛り(煮ホタテ、ツブ貝、本ミル貝)
国産あんこうの肝(650円)北海道産
白子ポン酢(750円)
いかげそ焼(150円)
タチウオ(800円)千葉竹岡産
かぶと焼(550円)カンパチのカブトとカマ
なま子酢(300円)
カラ付カキ(1ヶ 200円)
かにみそ(450円)
天ぷら盛り合わせ(海老、鯵、鱚、ナス、インゲン、カボチャ、サツマイモ)
メバル空揚(850円)
~握り~
本鮪中トロ、カンパチ、紅トロサーモン、スミイカ、トロ〆鯖、
ホッキ貝、ほたて貝、穴子、白子軍艦、鳥貝(鳥貝はサービス)

本日の刺し盛りは、細魚、蛍烏賊、鳥貝、雲丹、真鯛、カンパチ、スミイカ、
蟹、赤貝、甘海老、鮑、本鮪赤身、本鮪中トロ、トロ〆鯖、蛸、玉子焼き、計16種類。

地方に足を伸ばしたときは(海無し県を除いて)出来るだけ地魚を食べるようにしているのですが、
同店(3.47)より安くて美味しい刺し盛りに出会ったこと未だ無いです。

粗利3割(原価率7割)を豪語し、カード会社に手数料3.5%も払うと粗利26.5%になってしまうと、
クレジットカードの取り扱いに対応することは無さそうな同店。
(店舗側も無償で使えるペイペイだけ対応しておりキャッシュレス5%還元中。)

カード会社に義理は無いからそれよりお客さんに還元するとおっしゃる通り、
この安さとは思えないぐらい刺し盛りの魚介どれもハイレベル。
(激安をウリにする酒場の魚は値段こそ安いですが同店とクオリティが全然違います。)

ブリブリした食感を残すカンパチ、高級店クラスに旨味の強い真鯛など非凡な美味しさ。
走りの蛍烏賊(富山産)は食べやすいよう目と中骨を取り除いてあって仕事も丁寧です。
そして地方よりマグロ(同店は豊洲市場から本鮪を仕入れています)が圧倒的に美味しい。
良質な本鮪は資本主義の理論で東京(豊洲市場)に集まってくるのでしょう。

COVID-19によって都内(に限らず日本全国と思いますが)の飲食店はキャンセルが多発。
仕入れ先である豊洲市場も大ダメージを受けているようで流通業界の今後が心配になりますが、
とりあえず2020年2月末の現時点に於いて同店の魚介は相変わらず素晴らしかったです。

先日は西麻布の某高級割烹で日本酒に和らぎ水をお願いしたら水代として840円も取られましたが、
(ネット通販で四合瓶1,540円の日本酒を1合飲むと水代税サ合わせて2,400円という天上界)
同店はゲソのたっぷり盛られた「いかげそ焼」が150円という異常な安さ。

カマ1切れで西麻布なら550円取られそうな、カンパチのカブトとカマがドカーンと盛られ550円。
目玉周りのゼラチン質が口の中で蕩けて旨味が爆発していました。
フワフワやわらかくて脂ノリ抜群な千葉竹岡産(太刀魚の最高級ブランド産地)太刀魚も絶品。

立石の宇ち多゛を筆頭に下町エリアのモツ焼き屋、東向島のうを徳、光寿司(同店)、鐘ヶ淵の鳥田中、
千葉県佐倉市のプレゼンテスギなど良い意味で狂っている都内~郊外の優良店に慣れてしまうと、
地方の飲食店のほうが割高に思えてしまう逆転現象に悩まされることになります。
(地方の人がイメージする東京の飲食店は前述した西麻布の高級割烹なのでしょうけど。)
796文字★

お通し(150円)カニとタコとキュウリの酢の物
刺し盛り
かぶと焼(550円)カンパチのカブトとカマ
いかげそ焼(150円)
カラ付カキ(1ヶ 200円)
あわびのキモ(350円)
タチウオ(800円)
大海老塩焼(650円)
タイラギ磯辺焼き
マハタ、釣りアジ、スミイカ、本まぐろ中とろ(1,200円)、本まぐろ赤身(600円)
鱧湯引き 梅肉ソース(サービス)
フルーツ盛り(サービス)スイカ、巨峰、マスカット
~握り~
天然車海老(250円)
煮はまぐり(270円)
江戸前あなご(200円)
北海つぶ貝(250円)
本鮪赤身(190円)
本鮪中トロ(340円)
サッパリがつお(160円)
マハタ(200円)
特上北海うに(390円)
特上ネギトロ(1,750円)

本日の刺し盛りは、赤貝、ツブ貝、エゾイシカゲガイ、白イカ、タコ、
新子、カツオ、〆サバ、イワシ、マハタ、マコガレイ、シマエビ、
ウニ、カニ爪、本鮪赤身、本鮪中トロ、玉子焼き、計17種類。

刺し盛りで食べて特に美味しかったマハタ、赤身、中トロを追加注文。
同店は平均客単価5,000円ですがマグロの美味しさは地方で巡った平均客単価15,000円の鮨店を凌駕。
マグロは東京で食べるほうが美味しいような気がしています。

外国人観光客が居酒屋のお通しを巡ってトラブルになるという会話の流れから、
同店のお通しが150円ということが訪問11回目にして判明。
2019年3月から外税となって実質8%の値上がりとなりましたがそれでも安い。
地方に行っても同店ほど魚介が安くて美味しいお店はまず見つかりませんでした。

この日は飲んで食べて1人あたり10,000円を超えましたが、
30年を超えるお店の歴史の中でも10,000円を超えたのは20人ぐらいとのこと。
美味しい魚介でお腹いっぱい飲み食い出来る希有なお店です。
618文字★

カニとタコとキュウリの酢の物(お通し)
刺し盛り
かぶと焼(550円)カンパチ
いかげそ焼(150円)
北海あんこう肝(750円)
白子ポン酢(750円)
カラ付カキ(1ヶ 250円)
生子酢(300円)
目春唐揚げ(850円)
たいら貝
ホウボウ、釣りアジ、本まぐろ中とろ(1,200円)、本まぐろ赤身(600円)
本すみいか(1貫160円)
特中トロ(1貫390円)
天然車海老(1貫250円)
さより(1貫200円)
かんぱち(1貫140円)
あなご(1貫200円)
たらこ(1貫160円)
特上ネギトロ(1,750円)

本日の刺し盛りは、赤貝、ツブ貝、ホッキ貝、タコ、スミイカ、小鰭、〆サバ、ウニ、サヨリ、
ボタン海老、カニ爪、本鮪赤身、本鮪中トロ、ヒラメ、蒲鉾、玉子焼き、計16種類。

いつもは220ccで720円~900円の地酒を注文しており、寿司屋とは思えない安さだったのですが、
冷酒(玉の光 純米吟醸)は320ccの瓶で700円と更に安いことに今更ながら気付きました。
料理は原価率7割でアルコールもこの安さ、魚介居酒屋としては都内でも屈指の満足度の高さ。

最近は九州など地方にも遠征していますが物価の安い地方でも同店を超えるお店はなかなか無いです。
東向島にはうを徳(4.23)という全国でも屈指と思う魚介の名店が在りますが、
同店とうを徳を擁する東向島の魚介レベルの高さは全国レベルで凄いのだと実感。
603文字★

自家製いかの塩辛(お通し)
あなご焼(900円)
いかげそ焼(150円)
メバル空揚(850円)
カラ付カキ(250円)
白子ポン酢(750円)
玉子焼き(350円)
刺し盛り
本鮪中トロ、〆サバ、カツオ
本鮪赤身、シャコ、煮ホタテ
白子軍艦、中トロ鉄火、カワハギ握り、カツオ握り
ウニ軍艦
フルーツ盛り(オレンジ、キウイ、柿)

自家製というイカの塩辛は淡い味付けで美味しいです、単品(200円)でもおかわりしたほど。
しかし塩辛200円、ゲソ250円、生牡蠣250円と立ち飲み酒場より安いレベル。
クオリティは寿司屋のそれということでコストパフォーマンスの高さが異常です。

本日の刺し盛りは、ウニ、アジ、ツブ貝、アワビ、〆サバ、カツオ、本鮪中トロ、本鮪赤身、
カニ爪肉、玉子焼き、イカ、タコ、イワシ、車海老、肝付きカワハギの15点盛り。
本鮪、ウニ、アワビといった高級食材まで含まれていて圧巻の内容。
冬ということで肝の美味しいカワハギ、脂ノリまくりのカツオ(トロカツオ)も良かったです。

メバルは骨と身を切り分けて揚げてくれるので、骨煎餅を含め余すところなく堪能。
脂の乗ってきた穴子、アッサリながら鮮烈な旨味を感じる白子など冬の味覚に舌鼓。
ご主人はギターを弾き語り、厨房では二塁の守備の見本を披露したりと絶好調。
こういうノリを楽しめる人には下町最高クラスのお寿司屋さんだと思います。
1,103文字★

ツブ煮(お通し)
北海あんこう肝(750円)
自家製いかの塩辛(200円)
刺し盛り
たちうお塩焼(750円)竹岡産
かぶと焼(550円)カンパチ
カラ付カキ(1ヶ 250円)厚岸産
いかげそ焼(150円)
あなご焼(半皿 900円)
新さんま塩焼 大(400円)
白子ポン酢(750円)
玉子焼(350円)
寒さば(500円)、カンパチ(450円)、本鮪赤身(550円)、本鮪中トロ(1,100円)
本鮪中トロ(握り)
子持ちシャコ(握り)
エゾイシカゲ貝(握り)
江戸前あなご(1貫190円)
イクラ軍艦
特上ネギトロ(1,750円)
蛤のお吸い物(サービス)
フルーツ盛り(サービス)柿、ナガノパープル、シャインマスカット

本日の刺し盛りは、本鮪赤身、赤貝、ボタン海老、カニ爪肉、カツオ、アジ、玉子焼、子持ちシャコ、
ウニ、タコ、マツカワガレイ(エンガワ付)、イカ、本鮪中トロ、エゾイシカゲ貝、ツブ貝の15点盛り。

鰈の王様とも呼ばれる高級魚「マツカワ」まで入った豪華盛り。
本鮪は冷凍ものとは一線を画するフレッシュさと爽やかな風味を感じられて、
赤身はネットリした食感が素晴らしく、中トロは口の中でバターのように蕩けていきます。
客単価5,000円の大衆的なお鮨屋さんとは思えない凄まじい仕入れ力。

アンキモは北海道産でキロ10,000円以上。
この価格帯の鮨屋では中国産を使うのが原価的に当たり前なのですが、
中国産は(国産に比べると)不味いからとプライドで国産を仕入れています。

太刀魚もキロ4,500円の竹岡産(四国あたりの太刀魚はランクが落ちるようです)を提供。
スーパーで売っているような太刀魚とは身の厚さが全然違います。
脂ノリノリでフワフワな身の美味しさが堪りません。

厚岸産の生牡蠣は1個250円という異常な安さ。
仙鳳趾(昆布森)には劣るかも知れませんがクリーミーで美味しい。
都心であれば500円、あるいはもっと高値になるのではないでしょうか。

雲子(鱈の白子)も登場、走りということで旨味こそ弱めでしたが、ネットリ感は凄かったです。
自家製の柚子が効いた塩辛は200円の出血価格。
大サイズの秋刀魚は他店であれば650円以上となるでしょう。
ゲソ、カブトなども相変わらずコストパフォーマンス突き抜けていました。

中トロ、子持ちシャコ、エゾイシカゲ貝が特に良かったので握りでもリクエスト。
高級鮨店で扱うエゾイシカゲ貝よりは少しサイズが小さいかも知れませんが、
貝特有の臭み無く爽やかさと仄かな甘みを感じるエゾイシカゲ貝に舌鼓。
安くて美味しい下町の良心です。
605文字★

ツブ煮(お通し)
刺し盛り
生ホタルしょう油(450円)
コノワタ(450円)
いかげそ焼(150円)この日は白イカ
煮ほたて(300円)
銀ダラ照焼(650円)
あなご焼(850円)
紅トロサーモン(1貫90円)
マゴチ
ホタルイカ
中トロ巻き

この日の刺し盛りは、本鮪赤身、本鮪中トロ、ウニ、イサキ、サヨリ、マゴチ、カツオ、タコ、
ホタルイカ、白イカ、赤貝、鳥貝、ボタン海老、カニ爪肉、蒲鉾、玉子焼きの16点盛り。

前回の感動的に美味しかった本鮪とイサキに比べると、今回は凡庸に感じてしまいました。
どうしても日によって素材にブレが生じてしまうのでしょう。
今回はイサキよりマゴチのほうが良かったです。

もっとも同価格帯の他店の刺し盛りと比べれば相変わらずコストパフォーマンス突き抜けています。
凡店とは比べ物にならない高い次元でのブレということになります。
メニューの幅が狭いので短期間に再訪を重ねると飽きやすいという欠点もあるかも知れません。
(同じく東向島に在るうを徳では訪れるたびに出てくる料理をガラリと変えて飽きさせない工夫。)

初めて注文したコノワタ(ナマコの内臓)には鶉の卵の卵黄を添えて。
かなり塩が強いので、まさに酒のアテといったイメージでしょうか。
江戸前としては邪道ですが1貫90円の紅トロサーモン、1貫90円であれば値段以上の価値を感じます。
1,179文字★

イカとキュウリのタラコ和え(お通し)
刺し盛り
アワビの肝(350円)
大カラガキ(1ヶ 250円)
白海老の唐揚げ(サービス)
いかげそ焼(150円)
のどぐろ煮付け(1,200円)
かぶと焼(550円)カンパチのカブトとシマアジのカブト
あんきも(650円)
柳ガレイ一夜干し(450円)
天ぷら(1人前 1,000円)
天然いさき(1貫200円)
江戸前あなご(1貫190円)
特本鮪中トロ(1貫380円)
特上ねぎとろ(1,750円)
子持ちシャコ
中トロ巻き
フルーツ盛り(サービス)キウイ、オレンジ、チェリー、メロン、スイカ

食べログ3.58の鮨家 旬彩(小竹向原)、食べログ3.56の寿司幸(上野)など、
客単価5,000円ぐらいであろう食べログ高評価の鮨店にも何軒か巡って食べ比べてみましたが、
この価格帯の鮨屋としてはやはり同店が異常なレベルで突き抜けています。
(鮨は資本主義なので10,000円を惜しまない人はわざわざ同店でなくても良いと思います。)

この日の刺し盛りは、本鮪赤身、本鮪中トロ、ウニ、イサキ、シマアジ、アオリイカ、ホタルイカ、タコ、
トリ貝、赤貝(赤貝のヒモ付き)、カニ爪肉、ボタン海老、子持ちシャコ、玉子焼き、計14点盛り。
大トロのように脂が乗った本鮪の中トロが以前の倍盛りになっていたりと、
訪れるたびに刺し盛りが豪華になっているような気もします。

某店で食べたミナミマグロの中トロとは桁違いな美味しさの「大トロ級」に脂の乗った中トロ。
旬ということで白身から旨味をビンビン感じるイサキ。
カラスミのような卵の入った子持ちシャコなどが特に光っていました。
鮨屋として当たり前ですがカウンター禁煙なので煙に邪魔されることもありません。

生牡蠣は1粒のお値段が150円から250円にアップしていましたが大粒に。
他店であれば1粒500円~600円になっていてもおかしくありません。
脂ノリノリのノドグロの煮付けが1尾丸ごとで1,200円なのも嬉しいです。

天ぷらは、サツマイモ、レンコン、インゲン、ナス、海老、穴子、イカゲソ、メゴチ。
サクサク感の強い衣で、名店の天ぷらほどフワリ感は無いのですが、1,000円はお値打ちと思います。
そして揚げ物ではサービスで貰った白海老(唐揚げと思います)が光っていました。
食べログ3.55の某中華料理店で食べた白海老の紅麹揚げより美味しい。

刺し盛りで良かったイサキ、子持ちシャコを握りで。
隣のお客さん注文の「中トロ巻き」も試してみましたが、やはり同店のスペシャリテは「特上ねぎとろ」。
しかしこの価格帯とは思えないぐらい中トロが素晴らしかったです。
最後はサービスでフルーツ盛りまで堪能して本日も大満足。
726文字★

アスパラガス タラコマヨネーズ(お通し)
アワビの肝(350円)
生ホタルしょう油(450円)
地ホタルボイル(350円)
刺し盛り
いかげそ焼(150円)
タイラギ磯辺
かぶと焼(550円)シマアジのカブトとヒラマサのカマ
かにみそ(450円)
あんきも(650円)
かぶと焼(550円)カンパチ
生子ポン酢(350円)
あなご焼(850円)
干瓢(サービス)
筍と油揚げの煮物(サービス)
特本鮪中トロ(1貫380円)
タイラギ(握り)
カツオ(握り)
特上ねぎとろ(1,750円)

先着1名の限定アイテムであろうアワビの肝を初ゲット。
銀座であれば10倍を超える値段になりそうなぐらいアワビの肝が盛られていて、
これが350円とは相変わらずコストパフォーマンス最強です(モツラーにとっては)。

本日の刺し盛りは、天然シマアジ、天然ヒラマサ、本鮪赤身、本鮪中トロ、ウニ、真鯛、カツオ、
ツブ貝、鳥貝、赤貝、スミイカ、タコ、ズワイガニ爪肉、ボタン海老、玉子焼きの15点盛り。
訪れるたびに内容が豪華になっているような気がします。

シマアジ、ヒラマサ以外に平貝(タイラギ)も入荷しているとのことでタイラギの磯辺をお願いしました。
餅のようなムッチリした食感を楽しめて、例えれば「ヘルシーな餅」といった趣きでしょうか。
レモンを絞ってサッパリと味わうのもまた良し。

かぶと焼は定番のカンパチ以外に、シマアジのカブト、ヒラマサのカマも楽しませてくれます。
サービスで干瓢や筍と油揚げの煮物まで出てきて、常連になるほど満足度が向上。
近所にある「うを徳」もそうですが、何度も通ってこそ真価を発揮するのが下町の名店です。
1,237文字★

自家製梅酒ハイ(390円)
たけのこの煮物(お通し)
いかげそ焼(150円)
刺し盛り
生ホタルしょう油(450円)
かぶと焼(550円)真鯛
地ホタルボイル(350円)
カラガキ(1ヶ 150円)
毛ガニ 大(3,300円)
あなご焼(850円)
天然ひらめ(600円)
北海ウニ 特(850円)
本まぐろ赤身(550円)
かぶと焼(550円)カンパチ
特上ねぎとろ(1,750円)
ナマコ軍艦
釣りアジ(1貫190円)
江戸前あなご(1貫190円)
桑名の蛤のお吸い物(サービス)

鮨屋なのに自家製の梅酒ハイが390円という居酒屋のような価格設定。
氷入りとはいえ中ジョッキでの提供ですし、梅酒に漬け込んでいたのであろう梅も1個入っています。
このお店を知ると魚介がウリのチェーン居酒屋にはもう行けなくなってしまうかも知れません。

お通しの筍も下町にしては上品な味付け。
ゲソ、カブト(この日は真鯛とカンパチ、個人的には可食部の多いカンパチのほうが好き)と定番はもちろん、
今が旬のホタルイカを醤油漬けとボイルで注文。

近所のスーパーで特選品として扱われていた富山産の大粒ボイルホタルイカが1パック398円。
同店では目や中骨を丁寧に取り除いた大粒のボイルホタルイカが350円(量も大して変わりません)。
外食なのにスーパーより安くてスーパーより美味しいって、一体どういうことなのでしょうか。
醤油漬けのホタルイカも醤油の塩分が強すぎずホタルイカの味噌や官能的な食感に舌鼓。

本日の刺し盛りは、本鮪赤身、本鮪中トロ、北海ウニ、車海老、カツオ、アジ、サヨリ、
トリ貝、ツブ貝、ミル貝、赤貝、スミイカ、タコ、玉子焼きの14種類。
17種類だった前回より種類こそ少なくなっていますが原価の高そうな本鮪と雲丹が光ります。
本鮪の赤身と中トロは前回の1.5倍盛りとなっていて相変わらず圧巻の内容。

殻付きの生の牡蠣が1個150円、大きな毛蟹が1杯3,300円と、こちらもスーパーで買うより安そうな価格設定。
チュルンと純な旨味を感じる牡蠣は間違いない美味しさで150円を遥かに超える価値。
毛蟹は食べやすいよう包丁を入れてあって、蟹酢(土佐酢)も一緒に出してくれます。
カニミソもパンパンに詰まっていて堪りません。
他店で食べようと思うと1杯6,000円ぐらいにはなるのではないでしょうか。

同じく東向島に君臨する高級鮨店うを徳では雲丹を平目など白身魚で巻いて食べることが多く、
こちらでも同じ食べ方をしてみようと「北海ウニ 特」と「天然ひらめ」を注文してみたのですが、
平目がまさかの超厚切りで巻きにくいという嬉しい悲鳴。

他のお客さんの注文を真似してナマコを軍艦巻きで。
アンキモ、白子、カニミソ、ホタルイカ、牡蠣なども軍艦巻きにして貰うことは可能なのでしょうか。
スペシャリテ(と勝手に思っている)ネギトロ巻きで〆て本日も大満足。
1,221文字★

海老と胡瓜のマヨネーズ和え(お通し)
いかげそ焼(150円)
刺し盛り
かにみそ(450円)
かぶと焼(550円)カンパチ
キンキ煮付け
銀だら西京焼(650円)
ナマコ酢
本まぐろ 中とろ(1,100円)
平目エンガワ(サービス)
天然まだい
淡路釣りアジ(500円)
サーモン(300円)
かにマヨ巻(1,160円)
特上ねぎとろ(1,750円)
蜆の味噌汁

豚のモツ(モツ焼き屋)とは異なり、和牛の肉(焼肉屋)や魚介全般(鮨屋)って美味しさが資本主義です。
客単価30,000円の鮨屋に客単価5,000円の鮨屋が美味しさで敵うことはまずありません。
美味しい食材の入手には相応の対価(つまり大金)が必要となるのです。

それゆえ食べログで「寿司」ランキングを検索しても上位には平均予算2万円3万円のお店がズラリと並び、
平均予算1万円未満で食べログ4.00以上の鮨屋は日本全国を見渡しても0軒。
トップは築地の場内市場で日の出から大行列となっている寿司大の3.93(寿司ジャンル全国99位)です。

純粋に美味しさだけを追求すると何万円もの散財を覚悟しなければならない鮨の世界ですが、
そんなお店に頻繁に通えるのは一部の富裕層だけで一般人は記念日でもないと利用できません。
前述の寿司大も安さの代償としてディズニーランドより過酷な行列に並ぶ必要があります。
(しかもそんな地獄のような行列に並んだ割に筆者はイマイチという感想でした…。)

さて客単価5,000円でありながら客単価10,000円クラスに魚介のクオリティが高く(原価率7割)、
寿司大とは異なりフラッと訪れても並ぶことなく楽しめるのが同店。
大手チェーン居酒屋でも飲み放題付きコースで5,000円ぐらいになってしまうというのに、
こちらは普段使いの延長といった客単価なので満足度が非常に高いです。

この日の刺し盛りは、煮ホタテ、ホタテ、スミイカ、サヨリ、天然まだい(桜鯛)、アジ、とり貝、
ツブ貝、赤貝、カニ、タコ、カマボコ、玉子焼き、ボタン海老、マグロ中トロ、マグロ赤身。
更に今が旬のホタルイカも追加されて相変わらず驚愕の17点盛り。

ゲソとカブトも不変のコストパフォーマンス5.0満点。
450円のカニミソもタップリ、ナマコ酢もお店のHPでは300円となっており同店の珍味系はコスパ高いです。
キンキの煮付けも下町にしては薄味で居酒屋とは一線を画す美味しさ。

お隣のカップル客はボトルを入れていることもあってか1人あたり3,000円台のお支払いでした。
高級鮨店ばかりが高評価となる食べログですが、普段使いで美味しいお店のほうが庶民にはありがたい存在。
筆者には鮨さいとう日本橋蛎殻町すぎたより価値あるお店です。
(さいとう、すぎたは予約の電話すら繋がらない惨状ですし…。)
2,213文字★

浦霞(220cc 800円)
出羽桜(220cc 800円)
蟹と胡瓜と若布の酢の物(お通し)
あんきも(650円)
しらこポン酢(750円)
刺し盛り(3,000円)
いかげそ焼(150円→100円)
あなご焼(850円)
かぶと焼(550円)カンパチ
生とり貝(1貫160円)
江戸前あなご(1貫190円)
特上北海うに(1貫370円)
特本鮪中トロ(1貫380円)
特上ねぎとろ(1,750円)

初めて訪れた前回は鮨屋なのだから握りを注文すべしと特上寿司を食べてしまい、
いかげそ焼(150円!)、かぶと焼(550円!)といったモツラー垂涎の料理をスルーする羽目に。
前回の反省から今回は「おつまみ」中心に楽しんでみたのですが大正解。
原価率7割を誇る同店の魅力を余すところなく堪能できたのではないでしょうか。

お通しの酢の物に入る蟹はカニカマではなく本物の蟹。
アンキモは中国産ではなく国産、白子(雲子)もネットリ濃厚クリーミーで素材力が光っていました。
客単価5,000円のお店とは思えないほど魚介のクオリティが高いです。
ポン酢も高級店ほど穏やかな酸味ではないですが大衆店より上品な味わい。

そして驚愕だったのが3,000円で盛ってくれとリクエストした刺し盛り。
本鮪赤身、本鮪中トロ、カンパチ、車海老、玉子焼き、スミイカ、カツオ、シメサバ、エンガワ(ヒラメ)、
ツブ貝、ミル貝、ホタテ、トリ貝、赤貝、カニ、タコ、カマボコの17点盛り。

前回の刺し盛りも4.0級とは思いましたが、リピート効果なのか、雨で他にお客さんおらずサービスなのか、
3,000円の刺し盛りとしては5.0満点ではないかと思うほど凄まじいボリューム。
もちろんボリュームだけなら安い酒場でも盛りだけタップリの刺し盛りはありますが、
原価率7割を誇る同店の刺し盛りは10,000円クラスの高級店が扱うレベルの魚介。

マグロは本鮪の赤身と中トロをドカーンと厚切り、口の中で爽やかな本鮪のアブラが蕩けていきます。
貝が色々と盛られているのもモツラーな筆者の好みにストライク。
モツが好きな人って貝も好きなことが多いです(モツと貝は食感など通ずるものがあります)。

トリ貝はペラペラ薄いボイルしたものではなく「生とり貝」。
都心の超高級鮨店が扱う最高級のトリ貝には劣るとしても大衆鮨店で扱うタネとしては上物。
美味しかったので握りでも注文してしまいました。
カマボコも高級なカマボコだそう、出汁巻き風のジューシーな玉子焼き(自家製でしょう)も美味しい。

そして量が少ないから100円で良いやと出されたゲソわさ(いかげそ焼)。
お店によってはこれで500円ぐらい取るところもあるのではないでしょうか。
客単価10,000円クラスの魚介を扱うお店だけあってゲソも100円とは思えないほど抜群に美味しいのです。
これが100円とは何というコストパフォーマンスの高さでしょう。

季節の問題で前回より味は落ちていましたが穴子焼も爆盛り、旬の時期が今から楽しみになります。
そしてゲソと並ぶコストパフォーマンス最強アイテムがカブト(かぶと焼)。
本日はカンパチのカブトでしたが、カブト(半割り2切れ)にカマまで付いて(計3切れ)凄まじいボリューム。
お店によっては1切れで550円を取るところだってあるでしょうに何というコストパフォーマンスの高さ。

コストパフォーマンスだけでなく味も抜群に美味しいのがこのカンパチのカブト焼。
鱗を丁寧に取り除いてあってパリパリに焼き上げられた面の皮まで食べられてしまいます。
コラーゲンのようなネットリ食感と皮目のパリパリ食感が最高。
目玉の周りのゼラチン質やグジュグジュとやわらかい身、頬肉の弾力ある身など旨味が強烈。

食べやすく処理された刺身とは異なり手も口の周りもベトベトに汚れてしまいますが、
魚の真の美味しさはここにあるのではないかと思うほど旨味が複雑かつ鮮烈。
モツラーには味、ボリューム、コストパフォーマンスの高さで5.0満点のカブト焼。

〆に握りを食べて刺身で食べたときと比べてみると、やはり刺身で食べるほうが美味しく感じます。
鮨屋として評価すると点数はどうしても3点台半ば~後半ぐらいとなってしまうでしょうか。
しかし「魚河岸料理 ひかり寿司 東向島店」と看板にもあるように「魚河岸料理」として評価すれば4.5級。
原価率7割だけあって客単価5,000円のお店としては圧倒的に満足度が高いです。

もっとも握りではなく巻き物にスペシャリテ級の傑作がありました、それが「特上ねぎとろ」。
前回も握りより鉄火巻きが光っていたので試しにと注文してみたのですが大正解。
ラードで誤魔化さずとも脂ノリまくりなスーパーネギトロが海苔巻にギッシリ詰まっています。
口の中でネギトロの脂がネットリ蕩け、爽やかな酢飯と一体感ある超絶な美味しさに。

ゲソ、カブト、刺し盛りで飲んで特上ネギトロで〆る至福。
客単価5,000円の魚介系のお店で同店ほど満足度の高いお店は都内で他にあるのでしょうか。
握りの美味しさが大衆鮨店としては圧倒的な十条のかわなみ鮨とはまた方向性が違うのですが、
同店もまた大衆鮨店の最高峰と言える1軒でしょう。

評価上方修正3.7→4.5
2,037文字★

2017年現在で創業31年という東向島の地域密着型寿司店です。
屋号は修業先である浅草のひかり寿司(閉店)から暖簾分け(看板に東向島店と書いてあります)。
齢60に近いご主人が粗利3割(つまり原価率7割でしょうか)と豪語するほどリーズナブルなお店。

お店はご主人と奥さまの2人で切り盛り。
持ち家なので家賃の支払いは無く固定資産税(都市計画税も含めてでしょうか)10万円とのこと。
店舗兼住宅で小規模住宅地の特例を受けているとすると、逆算した土地の評価額は3,000万円強。
建物は木造の法定耐用年数を超えているので税法上はゼロに近い評価額でしょう。

1階2階合わせて80席の大箱ということで、賃貸であれば月30万円以上の支払いになるはずが年10万円。
家族経営ゆえ人件費も事実上ゼロのようなもの。
そう考えると粗利3割というのも現実味を帯びてきます。

■この日の飲食内容■

アサヒスーパードライ 瓶ビール 大(600円)
お通しの北海つぶ貝
刺し盛り(本鮪、天然すずき、淡路の釣りアジ、天然かんぱち、根性がつお)
特上寿司(2,150円)

計 4,800円

まず回らない寿司屋でありながら大瓶600円(内税か外税かは不明)が素晴らしいです。
生ビールは中ジョッキ540円、日本酒は220ccで八海山720円、浦霞800円、出羽桜800円。
真露の720mlボトル1,750円、富乃宝山の720mlボトル2,700円など下町の居酒屋価格。

ビールを注文するとお通しにツブ貝が1つ出されたのですが、これが大粒で非凡な一品。
爪楊枝を手前へ抜くとプリプリと肝付きのままのツブ貝が引き摺り出されて、
口の中に入れると淡い味付けと弾力のあるツブ貝の食感に舌鼓。

単品でアジのお造りを注文しようとしたのですが、好きなものを少しずつ盛ってあげるとのご提案。
カウンターのタネケースを見て、アジ、スズキ、カンパチと旬のものをリクエスト。
マグロ(本鮪との説明書き)がオススメなのかご主人がマグロ、更にカツオも盛ってくれました。
魚介の仕入れ先は千住市場ではなく全て築地市場から仕入れているそうです。

大根のつまがピローンと飛び出ていたりと下町仕様な盛り付けですが、
銀座の鮨屋で出されたとしたら卒倒しそうなほどボリュームがあって、本鮪に至っては超厚切り。
逆算するとお通しのツブ貝と合わせて2,000円ぐらいということになるはずですが、
そんな安さとは思えないぐらい魚介が良質で驚きました(粗利3割も納得)。

アジは普通に美味しいですし、カンパチは居酒屋レベルを軽く超えるクオリティの高さ。
ネットリした身質で旨味も強いカツオはミシュラン掲載店で食べたカツオより好みの味。
そして飛び抜けて凄かったのが本鮪とスズキでした(これらは個別に評価すると4.0級)。

マグロは世界的に高騰していて、大手チェーンスシローの薄切りインドまぐろでも7貫1,058円。
同店では推定2,000円以下の刺し盛りなのに本鮪の超厚切りが4カットもドーンと盛られています。
トロのように脂が乗っていて、口の中に入れるとトロッと蕩けて旨味も香りもインドとは別次元。
本当に2,000円以下の刺し盛りにこんなに入れてしまって良いのでしょうか。

味という点で白眉と思ったのがスズキ。
プリプリッと身に弾力がありながら、白身魚ならではの淡く力強い旨味をビンビン感じました。
凡店の水っぽいようなスズキとは別格で、同じく東向島のうを徳で食べたスズキを思い出したほど。

特上寿司は本鮪2貫、白いか、真鯛、海老、海老の頭、あわび中型、あなご、
北海うに軍艦、いくら軍艦、鉄火巻、手焼玉子、生姜(ガリ)という内容。

握りの酢飯は都心の高級鮨店の洗練された酢飯に比べると野暮ったさは否めないでしょうか。
山葵をしっかり入れて作る下町仕様の握りといったイメージ。
刺し盛りの本鮪と握りの本鮪を比べると、残念ながら刺身の本鮪のほうが美味しかったです。
(一方で都心の高級鮨店ではお造りで食べるより握りで食べるほうが美味しいのです。)

玉子焼きは出汁巻き風でツユがたっぷり詰まったジューシーなもの。
鉄火巻は酢飯にやはり弱さを感じるも、握りの本鮪より好印象。
穴子はツメをプラスチック容器から垂らすのが残念でしたがフワッとやわらかく、
同じく東向島のみよ志鮨で食べた穴子の握りより気に入りました。

食べログ活動で寿司ジャンル全国1位の高級鮨店、全国2位の高級鮨店と巡ってしまった弊害か。
同店の握りへの評価は低いのですが、客単価5,000円(ご主人曰く)で美味しい魚介を楽しめる点は感服。
刺し盛りを肴にお酒を楽しんで海鮮丼や巻き物で〆るという戦略もアリかも知れません。
80席の大箱ということで宴会にも使えるお店なので、東向島で知っておいて損は無い優良店でしょう。

  • 2023.10 刺し盛り
  • 2023.10 生牡蠣(1個 300円)
  • 2023.10 刺身アラカルト(〆鯖、本鮪赤身、赤貝)

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