ノバンディさんのマイ★ベストレストラン 2016

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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2016年ベストレストランでは、独自色が強くて、かつ料理の味が優れているお店を選びました。

マイ★ベストレストラン

1位

趙楊 (新橋、内幸町、汐留 / 中華料理、四川料理、火鍋)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.3
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2016/10訪問 2017/01/03

種々の旨味と四川香辛料が織り成す奥深い世界

一度行ってみたかった四川料理のお店。
茸の会にありがたくお誘いいただいての訪問。
通常のコースメニューではなく、茸を食材に使用したコースを幹事様がお店と相談して仕立てて下さった。
こちらのお店では、このように事前にお店の方とコース内容を相談するのが良いとのこと。
確かに、四川料理といっても実に幅が広いのでコースで何を出していただきたいかを
事前にお店側に伝えておくのは理に適っているな、と思う。
メニューの中から食べたいものを選ぶスタイルならそこまでする必要はないかもしれないけれど、
完全お任せコースで、しかもそれなりに高額なコースなら、やっぱり好みのものが出てくると嬉しい。

今回、茸の会ということで、自分的には好きな食材だったので喜び勇んで訪問。
しかも、行ってみて分かったのだが、中国現地産の茸なので、生ではなく乾燥茸。
僕の好きな食材のツボ。
生は生で美味しいのだけれども、乾燥させることで深い味わいになるので美味しいのだ。

今回の茸のコース料理の方向性は、水で戻した茸の炒め物や煮物が、様々な茸の組み合わせと、
野菜や肉や魚介などの食材との組み合わせによって、様々な味わいで出てくるもの。
ひとつひとつの茸が個性的なのに、それが更に組み合わさるものだから、魅惑的な味わいになる。
こういう味、いままで経験したことないよ。
しかも、四川料理の要ともいえる辛味や痺れがところどころに程よく効いていて、
味がグッと引き締まっていて、旨い。
ただ辛いだけとか痺れるだけとかの四川料理とは全然違う。
辛さの中に旨味があるとか、痺れの中に旨味があるとかの四川料理とも全然違う。

僕は煮込み料理がとにかく好きなので、今回の料理はどれもツボ。
具はもちろんのこと、煮込みの煮汁まで、何から何まで美味しくて、全てを堪能させて頂いた。

何の迷いもなく★5.0です。
行く前までは、趙楊には一度行ってみたいと思っていただけなのだが、
一度行ってみたら、こんどは、何度でも行きたくなってしまった。

  • 秋のキノコ香る前菜
  • 車海老 老酒漬け
  • 13種の乾燥キノコ アガリスクとモリーユタケとトリュフ チョウザメ頭骨のスープ

もっと見る

2位

まき村 (大森海岸、大森、立会川 / 日本料理)

20回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥30,000~¥39,999 -

2023/12訪問 2024/03/17

ぶり大根革命

再訪。20回目。
飽きっぽい僕がもう彼是7年も通い続けている。
その理由は、まき村さんの料理の味の方向性が
僕の味覚のツボにドンピシャに合っているからなんだけど、
もうひとつ理由があって、それは、常に新しい驚きがあることだ。

この日の驚きは、ぶり大根。
普通のぶり大根じゃない。これは革命と言っていいほどの衝撃のぶり大根だった。

まず、ぶり。少し薄めにカットされたぶりは、
ぶりの旨みをタプタプに備えて、その表面には軽く焦げ目がつけられて、照り焼き風。
この焦げ目がとても素晴らしく、所謂メイラード反応がドンピシャにコントロールされており
この旨みがマックス。計算し尽くしたかのようなメイラード反応。ただただ凄い。
これ以上やっては苦味が出るし、これ以下ではぶり臭さが残る。その変化の丁度中間点。
こんな味が出せるのかよ、って言うくらいの衝撃度。

そして、これに寄り添うのが大根。
ぶりだけでも満足なので、ここに大根って不要だよなぁと最初思ったんだけど、
いやいやなんの、大根がこれまた素晴らしい出来栄え。
まき村さんならではのお出汁の旨さが光るし、大根臭さをまったく感じさせず、
それでいて大根の旨みをきっちりと感じる。

そしてだよ。この大根をぶりと一緒に頂くと、最高の旨みが生まれる。
ぶりに欲しかったのは、この大根の味。
大根に欲しかったのは、このぶりの味。
単独でも美味しいのに、合わさるともっと美味しくなる。

ぶり大根の革命。

再訪。19回目。

まき村さんと言えばやっぱり椀だ。
特に、しんじょうの椀はいつも素晴らしい出来栄え。
僕は、まき村さんのコースの中で最も好きな料理が、この椀。
毎回毎回楽しみでしょうがない。
期待度のハードルはかなり高いのに、毎回毎回それを遥かに超える椀が出てくる。

この日は、「松葉蟹しんじょうの椀」。

お出汁が身体に染み渡る。
淡く、円やかで、柔らかな旨み。淡いのに、全包囲網の旨み。
何かが突出するわけでもなく、すべてが円く収まった黄金バランス。
味覚を研ぎ澄ませる必要もないし、味覚を弱める必要もなく、
ただただ自分の味覚をお出汁の旨みに漂流させれば、
味覚は脱力状態になりお出汁に素晴らしく馴染んでくれる。

永遠に飲み続けていられる。

そして、この日の松葉蟹のしんじょうは、過去最高級の出来栄え。
旨みたっぷりの松葉蟹が淡いお出汁に対して程よいアクセントになり、
お椀の中に旨みの濃淡が生まれる。
このため、お出汁と蟹を往復することで、より双方の旨みをしっかりと感じられる。

この日も素晴らしかったです。
再訪。18回目。

書くことがなくなってきているので、今回は、まき村さんのご飯について。

まき村さんで使われているお米は、魚沼産の旧コシヒカリ。
農家さん限定生産の希少米。
粒は小さめ。旨み凝縮。香り凝縮。
粒が壊れない炊き加減とも相俟って、一粒一粒がしっかり。
それでいて、旨みがしっかり活性化。
咀嚼すると、お米ならではの旨みが強烈に広がる。
一般的なコシヒカリとは若干異なり、華やかさはあまりないけれど、
逆にそれだからこそ、鯛茶漬けにしたときに鯛やお出汁の味を邪魔しない。
また、炊き込みご飯にしたときも、具の旨みをお米がしっかりと受け止めてくれる。
なので、まき村さんのコースの食事メニューは毎々とても楽しみだ。

ちなみに、我が家でも旧コシヒカリを使用しているのだが、
農家さんが違うからか、炊き方が違うからか、どういう訳か、まき村さんと同じようにならない。
だから、まき村さんに通い続けている訳だけれど。
再訪。17回目。
7月某日。

これだけ通っていると、季節ごとの料理の違いや素材の違いが徐々に分かってくる。
僕の個人的な味覚のツボにズッポリ嵌るのは、7月かもしれない。
季節の変わり目なので、素材は淡い味わいから強い味わいへと変化する過程にあり、
その危ういバランスが調理によって綺麗に表現される。

素材の味わいの本質だけが残されて、
そこに淡いお出汁や軽く爽やかな酸味があの手この手で付加されて、
咀嚼する度に口内調理が為されることにより素材の味わいと強い味わいとが絡み合い、
お出汁や酸味とが更にそのカオス的な味わいを広げてくれる。

この日は、お造りがとても良かった。
素材も美味しかったのだが、醤油も美味しかった。
醤油が異様とも思えるほどに素材の良さを引き出していたので、尋ねてみたら、
お造り用の醤油を変えられたとのこと。
いつもはポン酢の方を使う僕が、この日は醤油の方ばっかり使っていた。

さて。
この日の出色の出来栄えの料理は、鮎ご飯。
一夜干しした鮎は、綺麗に水分が抜けており、水っぽくならず旨みが凝縮。
ご飯の方にもしっかりと鮎の旨みが移っており、味も香りもとても良い。
お米は、旧コシヒカリ。若干小粒でこちらも繊維質や旨みがギュッと凝縮しており、
水っぽくならず、鮎との相性が抜群にいい。
僕の自宅でも旧コシヒカリを使っているのだが、炊き込みご飯とかにすると
他の品種との違いが如実に分かるくらい更に美味しくなる。

この日も、幸せ。

再訪。16回目。

今回のハイライトは、最後の蟹ご飯。
蟹のお出汁がご飯全体を覆い尽くし、
蟹の身もこれでもかというくらいにたっぷりで、
それに追い討ちをかけるように蟹ミソ。
もう反則技www
この手の蟹ご飯は他のお店でもたまに出るけれど、蟹の臭みがどうしても残る。
ところが、まき村さんのこの蟹ご飯は、蟹の臭みなんて微塵も無い。
蟹の美味しいところだけ。とても綺麗でクリア。それでいて旨みたっぷり。
最高の調理技術。そして恐らくものすごい手間隙がかかっているはず。
高級食材をこれ見よがしにドーンと出せばそりゃ簡単だろうけれど、
まき村さんは、そこに更にひと手間もふた手間も、いやそれ以上の手間をかけて
最高の状態に仕上げてくださる。

ご飯、ピカピカ。しっかり粒が立って、最高に旨い。
蟹も旨いが、やっぱり、ご飯。ご飯が主役。
脇役の働きで、主役が最高に輝く。

こんな蟹ご飯を出してくれるお店は、恐らくまき村さんだけではないか。

何の迷いも無く★5です。
再訪。15回目。

僕の味覚が保守的になった訳ではないのだけれど、
まき村さんを訪れると、あぁこれこれ、やっぱりこれ、と思ってしまう。

何かの味が突出する訳でなく全体が綺麗にまとまり、
塩分に過不足がなくピタッといいところに合わせてくれて、
お出汁というか水分量を丁度いいところに留めてくれる。

だから、素材の味がビシッと決まる。
素材は高級だけれど、高級感を感じさせない。
素材の力で有無を言わせるのではなく、
調理の力で違う次元に連れて行ってくれる。

冬のまき村さんの素材は、冬らしい力強さがある。
それを、きっちりと形ある味に整形され、そこに力強さを凝縮させる。
そこに詰まった冬の旨みと甘みに、お出汁などの仄かな酸味が加わり、
全体が綺麗にまとまった味わいになる。
きっと僕は、まき村さんの酸味の使い方が好きなんだと思う。
特に、お出汁の仄かな酸味が。
再訪。14回目。

その季節季節の素材の味わいに合わせて季節季節の調理が為され、
常に何かしらの変化がある。

素材に対する丁寧なお仕事は常に一貫している。

しみじみと美味しい。

この素材に対して何故この調理なのか。
何故この味付けなのか。
何故この組合せなのか。
自分が素材になった気持ちになって、そんなことを考えながら頂いていると、
とても温かい気持ちなる。

温かな幸せ。

この日も、どの料理も美味しかった。
特に、鰹のお造りが素晴らしかった(思わず、写真撮り忘れ)。

再訪。13回目。
大森にある日本料理店。

訪れるたびに、まき村さんの味が好きになっていく。
「まき村さんの味」と言っても、明確な味があるわけではない。
まき村さんならではの、味の引き出し方、と言った表現の方が合っているかもしれない。
調理の始めに素材に対して何らかの一仕事が為されており、
料理として完成したときに、素材の良さが更にグイッと際立つ。
素材の潜在力が最大限引き出されているので、思わず嬉しくなってしまう。

例えば、とうもろこしのかき揚げ。
他店のものとは、一味も二味も違う。
予め綺麗に水分が抜かれて甘みが引き出された状態で油で揚げるので、
旨みが更に凝縮されている。
とうもろこしは元々水分が多い食材だが、予め綺麗に水分が抜かれているので、
かき揚げを咀嚼したときにブシューッと弾けたりせず、
咀嚼の圧力に合わせて旨みが綺麗に広がってくれる。
また、とうもろこしは元々糖度が高い食材だが、予め綺麗に甘みが引き出されているので、
かき揚げを咀嚼したときに、茹でとうもろこし的な甘みだけでなく、
より糖度の高い、焼きとうもろこし的な甘みが綺麗に広がってくれる。
このとうもろこしのかき揚げは、まき村さんの傑作品です。

また例えば、鮎ごはん。
鮎は一夜干しにされ(更に少し発酵され)、鮎の旨みを凝縮して更に別の旨みも生じさせ、
それを土鍋でご飯と共に炊き上げられて、最高においしい鮎ごはん。
長時間炊き上げても、鮎から味が全然抜けていない。
いや、ご飯にいい出汁が沢山移っているだろうけど、
それを全く感じさせないほど鮎に旨みが残っている。
しかも、水分がいい感じに抜けていてご飯のお供にピッタリ。
茶漬けにしても美味。更に鮎の出汁が出てくる。

今回、6月下旬の訪問。
蒸し暑くなる季節に合わせて、身体が欲する淡い酸味でコース全体を一貫して微調整。
こうしたさりげない一仕事で、料理が更においしく感じられる。

再訪。12回目。

今回の出色の一品は、虎河豚の白子のみぞれ椀。
白子がキュッと凝縮してほわほわな仕上がり。
どうやったらこんな食感に仕上がるのか。
そしてどうやったらこんな幸せな味わいになるのか。
見た目はとてもシンプルな料理だけれど
この味を出すために様々な手間がかかっていることは容易に想像がつく。
ミシュラン3つ星に相応しい料理だ。

今回のコースは、訪問12回の中で過去最高レベルだった。

再訪。11回目。
大森にある日本料理店。

今回の出色の一品は、「墨烏賊のおかき揚げ」。
まき村の揚げ物は、種の素材の本質的な味わいを
ピンポイントでぐいっと引き出してくれるところに凄さがある。
墨烏賊の甘みが存分に引き出されるちょうどいい火の通り具合。
小さな一口サイズだから揚げ加減は難しい筈だが。
そして心地よい弾力と共におかきの衣のさくっとした食感も心地いい。
そして咀嚼するたびに香るおかきの衣。

こうした味わいは、揚げることで墨烏賊の水分が綺麗に抜き、
更にドライな衣をまとわせることで、
食べる人の唾液を存分に引き出させ、衣や墨烏賊に染み込ませ、
食味を一体化させる意図に依るもの。

見事な逸品。
再訪。10回目。
大森にある日本料理店。

こちらのお店の魅力のひとつは、椀の素晴らしさ。
この日のお出汁も見事だった。
吸い込まれ、引き込まれるような味わい。
だけど、それに抵抗する必要はなく、ただただ身を委ねて、
そのお出汁の中に漂っていたい。そのお出汁と自分が一体化したい。
なんて優しいお出汁なんだろう。

再訪。9回目。
大森にある日本料理店。

今回は比較的オーソドックスな内容。
その中にあって、ホタテ真薯(しんじょ)お椀が突出して素晴らしかった。
ホタテ真薯も素晴らしかったが、特にお出汁が素晴らしかった。
ホタテの味わいをいろいろな方向から引き出し、
それらを足し合わせて組み合わせて、重厚な旨みを見事に作り上げたお椀。

再訪。8回目。
大森にある日本料理店。

今回は2月訪問ということで、メイン食材はトラフグ。
あの手この手でトラフグのいろいろな部位を楽しむことができた。
特に今回は、トラフグのお出汁をたっぷりと楽しむことができた。

再訪。7回目。
時期的に松茸は難しいかと思っていたが、
2018年は松茸が豊作だったとのことで、
コースに松茸をところどころ組み込んで下さった。

この日の主役は、最後の松茸ご飯。
素晴らしく美味しい。
松茸の味と香りが十二分に引き出され、
それが移ったご飯はぴかぴかでとても良い状態。
水分が上手くコントロールされているから、
松茸の香りがご飯の香りと共に立ち上り、
松茸の旨みもご飯の表面に綺麗に乗っかってくれる。

再訪。6回目。

出来ることなら一生お付き合いしたいお店。
ご主人の調理技巧の引き出しを、すべて受け止めたい。
季節を変えれば味も変わる。その変化を、ご主人の調理技法と共に、すべて受け止めたい。
そのくらい、僕の味覚のツボにズッポリ嵌まった料理が毎回出てくる。
ご主人の意図が、僕の中でストンと落ちてくるくらいに分かり易いのだ。
それと、自分の味覚の現在の能力と将来の可能性を最大限に引き出してくれる。
この歳になると、自分の味覚の限界をときに感じてしまうのだけれど、
ご主人の料理を頂いていると、限界を感じるどころか、眠りかけていた味覚が覚醒されるし、
更に言えば、今までに思ってもみなかった味覚が新たに生まれてくるのだ。
この歳で、だよ。

この日は、アワビのお椀に唸った。
アワビって、美味しい食材なので基本的にどう調理しても美味しくなるけれど、
料理の仕方によって美味しさの振れ幅は大きく変わる。
この日のアワビの椀は、美味しさが最大限に振れた出色の出来栄え。
少し濁りを出したお出汁が、アワビの身とお出汁とを調和させる。
アワビはアワビ、お出汁はお出汁、といった感じです独立させない。
同じ椀に中に入っているんだもの、やはり一体化させたい、という意図が伝わってくるような料理だった。
見事です。

この日のコース内容:
(1)鱧落とし
(2)とうもろこしのかき揚げ
(3)アワビのお椀
(4)カサゴのお造り
(5)ヤリイカ、マグロのお造り
(6)サザエのつぼ焼き、ウニ乗せ
(7)焼き鮎の鮨
(8)焼き甘鯛、ホワイトアスパラのすり流し
(9)ローストビーフ
(10)穴子ご飯
(11)和風ブランマンジェ
再訪。5回目。
改めてながら、まき村さんの凄さを再認識させられた。
素晴らしい料理だった。

まき村さんの料理は各々の素材の本質部分をきちんと見極められ、
それを(それらを)足し合わせたり掛け合わせたりする料理。
もう少し分かりやすく言うと、
各々の素材の本質部分がクッキリと浮かび上がるように下拵えされ、
そういった素材と素材や、素材と調味料を上手く重ね合わせて、
旨みと旨みを重ね合わせて幅や奥行きを出したり、
旨みと旨みとを掛け合わせることによって新たな旨みを作り出したり。
そんな、計算づくの料理。必然性に満ち溢れた料理。

素晴らしいです。

この日の料理は、とらふぐ中心の組み立て。
とらふぐで強めのアクセントを出しながら、
その間を、弱めのアクセントで埋めていきながらも、
その間間の料理もしっかりとした内容で全く落胆させず、
結果的に、コースを通して強弱をつけながら全く淀みの無い流れ。

久々に唸りました。
参りました、という感じ。

この日の内容は、こんな感じ。
(1)白和え
(2)とらふぐの白子のお椀
(3)とらふぐのお造り、あん肝ポン酢
(4)まぐろのお造り
(5)ぶりの照り焼きと大根
(6)八寸(3種)
(7)とらふぐの唐揚げ
(8)若竹煮
(9)鯛茶漬け、香の物
(10)水菓子

(1)白和えは、お豆などの旬の食材が使用されており、
各々の食材の個性を感じながら、
白和え用のソースで全体に味わいの一貫性を感じる。
この料理だけでも相当な手間がかかっている筈だ。

(2)お椀(とらふぐの白子使用)は、圧巻のお味。
2品目でこんな力強い椀を持ってこられたことで、
気持ちがグイッと引き寄せられた。
白子も美味しいが、少し濁りを入れたお出汁であるがゆえに、
白子と絶妙に馴染んで、全体に一体感がある。
からすみのコクと塩分で、白子とお出汁の一体感が更に増す。
このからすみの使い方は絶妙だ。

(3)とらふぐのお造りは、とらふぐ自体の味わいもとてもいい。
更に、あん肝ポン酢が更にいい。
まき村さんのポン酢って、もともと素晴らしいけれど、
とらふぐのような食材で更にその威力が発揮される。
そこに、更にあん肝が加わり、味わい的に更に格上げ。
というか、このあん肝ポン酢だけで、最高のお酒のアテになる。
やばいゎ、これ。

(4)まぐろのお造りは、まぐろの綺麗な酸味がきちんと感じられる品。
鮨屋で出される高級マグロも良いけれど、こうしてツマミとして、
その素材の魅力を存分に楽しめる形で出されるのも、すごくいい。

(5)ぶりの照り焼きのぶりは、少し薄めにスライスされており、
照り焼きのタレがぶりの身の全体に充分に染み渡り、
ぶり臭さを全く感じさせない上品な味わい。
脂の状態も丁度いい塩梅に落ち着いている。
そこに、ぶりとの相性の良い大根。
これも小振りで、大根の青臭さを全く感じさせず、甘く蕩ける味わい。

(6)八寸(3種)は、圧巻。
これこそ、まき村さんの技巧をギュッと凝縮したかのような出来栄え。
(6-1)数の子にイクラの組み合わせはよくあるけれど、
そこにマッシュポテトを組み合わせるなんて。
これが、炭水化物の甘さを加えると共に、
イクラの卵臭さを綺麗に吸い取ってくれる効果があり、全体が綺麗にまとまる。
(6-2)また、車海老の刺身にかけられた梅肉のジュレは、酸味と醤油の加減が絶妙で、
車海老の刺身にドンピシャの味わいで馴染んでくれる。これはすごいです。
(6-3)また、タラコを茹でたものにお出汁のジュレがかかり、
タラコのツブツブの間にそのジュレが入り込み、
タラコのツブツブの舌触りの悪さや、卵臭さを綺麗に覆い隠してくれる。
そしてクラッシュアーモンドが、ジュレのぐじゅぐじゅな食感に対する意識を
硬い食感の方に向かせてくれて、程よい効果。
そして、菜の花の落ち着いた味わいが加わり、全体がシットリとした味わいに。

(7)とらふぐの唐揚げは、圧巻。とらふぐも美味しいが、唐揚げ粉がやばい。
いや、日本料理店で、コースのメインが唐揚げというのもすごく大胆な構成だけれど、
この唐揚げなら納得も納得。素晴らしい逸品です。

(8)若竹煮は、唐揚げの油っこさを綺麗に洗い流してくれる。
筍はとても柔らかく、そしてココナッツのような甘い香りが漂い、上質。
お出汁はスッキリ。とても綺麗。それを吸ったワカメも素晴らしく美味しい。

(9)鯛茶漬けは、まき村さんの定番中の定番。
久々に頂いたが、やっぱりこの鯛茶漬けは美味しい。

(10)水菓子は、シンプルに果物中心ではあるものの、
ソースやジュレで若干の味の変化がつけられ、コースの締めとして綺麗にフィニッシュ。

いや~、大満足。

この日は、2名利用で、
お酒少々とコース料理で、50,000円ちょっと。
約25,000円/人で、このレベルの日本料理を毎回確実に頂けるのであれば、
他店と比べてとてもお安く感じてしまう。
再訪。4回目。
初のカウンター席。2名利用。
個室はアットホーム感あり、カウンターは特別感あり。

18,000円のコースに松茸追加でプラス2,000円。
これに、ビール・日本酒代と、税サをプラスして会計は1人26,000円ほど。

この日のコース内容はこんな感じ。
(1)茄子といくら
(2)蒸し鮑とボタン海老
(3)松茸の茶碗蒸し
(4)お造り(剣先イカ、しめ鯖、平目、鮪)
(5)松茸コロッケ、サヨリ、栗
(6)牡蠣の味噌焼き
(7)牛のすき焼き風
(8)松茸ご飯、食事
(9)シャインマスカット、洋梨

いつもに比べて、品数少なめ。
その分、1皿の量は多め、そして食材は高級。
やはりなんと言っても松茸でしょう。
今年の松茸は近年稀にみる不作で、
この日も良いものを手に入れるのが困難だった模様。
そんな中、山形産の貴重な松茸をふんだんに使って下さった。
(3)松茸の茶碗蒸し:薄くスライスされた松茸が香る香る。しかも華やかに。
もちろん素材も良いのだろうが、松茸の香りを引き出す調理技術が大変素晴らしい。
(5)松茸コロッケ:コロッケの中に軽く忍ばせた松茸が香る香る。
コロッケの中のジャガイモがふんわりとしており、
そんなエアー感のある食感の中に松茸の香りがふわ〜って広がる。
これはかなりの傑作です。
(8)松茸ご飯:何か変化をつけたりしていない、
真っ直ぐな松茸ご飯。王道の味。王道の香り。
こういう真っ向勝負の松茸ご飯が、きっちりと美味しい。
まき村の調理技術の真髄をみた印象。

その他、頂いた中では、(2)蒸し鮑とボタン海老が特に秀逸。
酸味を効かせたジュレの、少し強めの酸味の具合が蒸し鮑とボタン海老に
素晴らしくマッチしている。

全体を通して、魚介の質の高さも光る。
日本料理店では、やっぱり質の高い魚介を頂きたいし、
それを最高の技術で更に美味しくしたものを頂きたい。
まき村ではそれを叶えてくれる。

まき村では毎回料理は変わるけれど、
日本料理店はこうあって欲しいよね、といつも思えるので幸せ感がいっぱい。
訪れる度に自分が料理にしっくり馴染んでいく印象。
また訪問します。次回は河豚の季節。
再訪。3回目。
定期的に訪れるお店となった。
幾つか理由があるが、最大の理由は、
素材の個性をとても大切にされ全て計算づくでその個性を引き出してまとめ上げられる職人技が、
(違う分野ではあるが)僕の職人気質を大いに揺り動かしてくれるから。
もっと触れたい。もっと感じたい。この意図をもっと知りたい。そんな気にさせられるのだ。

今回の料理も、そんな方向。
素材の良さそのものを大上段に振りかざすのではなく、
素材のその季節季節の良さを綺麗に引き出されていらっしゃる。
そんなところに感銘を受けるのだ。

頂いたのは
「夜懐石」(18,000円)
それと、日本酒「天青」(700円)、「五凛」(1,200円)
これに、サービス料10%と消費税8%がついて会計は23,641円。

内容は以下の通り。
(1)先付
・酢の物(赤ピーマン、南瓜、長芋、オクラ、ワカメ、ジュン菜)
・胡麻クリーム和え(椎茸、蓮、インゲン、きゅうり)
・トウモロコシ手毬揚げ
(2)千枚アワビの薄口仕立て
(3)活け鱧 焼き霜造り
(4)お造り(気仙沼カツオ、舞鶴剣先イカ)
(5)蒸しアワビ 生ウニ 鮑の肝 出汁ジュレ
(6)江戸前羽田沖穴子 炙り寿司
(7)銚子金目鯛 炙り寿司
(8)広島マナガツオ 漬け焼き
(9)佐賀牛ザブトンのローストビーフ 焼き茄子
(10)長良川鮎 炊き込みご飯 赤出汁 香の物
(11)クリームチーズのムース マンゴー ワインゼリー

これらの中で、特に良かったのは、終盤の(8)、(9)、(10)。
序盤から中盤にかけては、初夏の暑さを忘れさせてくれる料理が流れる。
とても落ち着いた味わい。それでいてスッキリとした味わい。
しかし単調ではなく、あの手この手で楽しませてくれる。
ただそろそろ盛り上がりが欲しいなと思っていた頃の終盤に大きな山場が訪れる。
それが(8)、(9)、(10)。

(8)広島マナガツオ 漬け焼き:
マナガツオの旨味を少しも残さず全部含ませたかのような完璧な仕上がり。
マナガツオ特有のぱさつき感は漬けにすることで上手く回避。
マナガツオの魅力が存分に楽しめる。こんなに美味しいマナガツオは初めてだ。

(9)佐賀牛ザブトンのローストビーフ 焼き茄子:
ローストビーフを出す日本料理店が最近増えたが、その中でもこれはズバ抜けて美味しい。
ロースの旨味と脂の旨味が綺麗に重なり、
更に平面状に入ったサシの効果により口の中で綺麗に解ける。
そこに出汁の旨味と薄口の醤油の旨味ととろみの甘みが加わり、
ローストビーフ自体の旨味を更に広げる。そして、和芥子が全体をビシッと引き締める。
そして、下に敷かれた焼き茄子の滋味が加わり大人の味わいのローストビーフに。
これがあることで、ローストビーフが日本料理として成り立っている。
最高に旨いです。

(10)長良川鮎 炊き込みご飯:
鮎の若い旨味が全体を包み込む炊き込みご飯。
軽く炙った鮎の香りもほんのりと全体を包み込む。
幸せになれる鮎ご飯だ。
おこげも最高に美味しい。

いや~、今回も美味しかった。大満足。
再訪。2回目。
前回も良かったが、今回は更に良かった。
何もかもが完璧で、感銘を受けた。
素材の良さを活かす技巧が素晴らしい。
そしてその素材を組み合わせる技巧が素晴らしい。
前者だけでも美味しいのだと思うけれど、
後者のように、洗練された良いものと良いものを意図的に合わせて、
突き抜けるような旨みが生み出されると、
もう参りましたと言うしかない。

今回頂いたもの。
(1)さより昆布〆梅肉和え
(2)フォアグラゼリー、厚焼き卵、河豚のにこごり、牡蠣の海苔巻き、空豆、小梅
(3)鹿児島の車海老と卵豆腐の椀
(4)豊後水道天然トラフグ
(5)長崎壱岐の本鮪
(6)山口甘鯛若狭焼き、タラの芽の天ぷら
(7)八寸(根室産バフンウニと生湯葉の出汁ジュレ、噴火湾産甘海老と芋茎梅肉添え、アオリイカのおかき揚げ、法蓮草ともやしの共和え、冬茹椎茸の白和え、浅蜊と蕗の薹のマリネ)
(8)豊後水道天然トラフグの焼き白子
(9)宮崎牛A5サーロインすきしゃぶ仕立て
(10)鯛茶漬(淡路の真鯛)
(11)せとか、苺、マンゴーのワインゼリーとヨーグルトムース

これらの中で、突出していると思ったのは、(6)と(8)と(10)の3品。

(6)「山口甘鯛若狭焼き、タラの芽の天ぷら」は、まず甘鯛の若狭焼きが実に見事。
衣の香ばしさ、皮の凝縮された旨み、身にたっぷりと包含された旨みがギリギリのラインで美味しさを蓄えている。
そしてそこに添えられるタラの芽の天ぷらの滋味が、甘鯛の若狭焼きをビシッと引き締める。
この味は初めてだわ。

(8)「豊後水道天然トラフグの焼き白子」は、まき村にしては珍しく1点集中での美味しさの追求。
余計な味は加えず、トラフグの白子そのものの味を最大限引き出す。
シンプルではあるが、そこには素材を大切にされるまき村の技術が凝縮。旨みも凝縮。

(10)「鯛茶漬け」は、さすが看板料理とあって、素晴らしい美味しさ。
個人的にこの日一番と感じた料理。
他店だと、鯛を茶漬けにしても美味しくなるわけじゃないのになっていつも思うんだけど、
まき村の鯛茶漬けは、鯛を茶漬けにすることで鯛が更に美味しくなって、
しかもご飯も出汁も更に美味しくなって素晴らしい相乗効果があり、
鯛を茶漬けにする必然性を感じるもの。
前回も美味しかったけれど、今回はそれを遥かに凌駕。

いや〜。最初から最後まで、様々な技巧が凝らされ、素材が活き活きと輝いている。
お酒代まで入れて約23,000円とそれなりの価格帯ではあるが、
素材の良さと調理にかける手間を考えると喜んでお支払いできる。
見た目に手間をかけるのではなく、調理に手間をかけているところが好き。

大森海岸駅の近く。大森駅からでも徒歩圏内の場所にある日本料理店。
後で知ったことだが(あんまり興味ないので)、ここはミシュラン三ツ星。

頂いたのは、「夜懐石」16,000円(税サ別)。
それと、日本酒「獺祭スパークリング」、「加賀鳶」。
これで21,000円ちょっと。この手の日本料理店の中では安めな方。

全体を通して、各々の食材の味の本質だけを残し、その良さを最大限に引き出されている印象。
余計なものは削ぎ落とされ、旨さだけが残り、それを必要最低限の出汁や調味料で調理される。
一品一品の調理がとても丁寧。手抜きと思われるものは一切なし。
むしろ、これでもかと言うくらいに技を凝らして完璧とも思える味を作り出される。
しかも、微塵のぶれもない、計算し尽くされた味の組み立て。
シンプルに見える料理でさえも、きっちりと一手間二手間三手間かけられている。

いや~、僕の味覚のツボにズッポシ嵌りました。
ドンピシャ。
こういう、奇を衒わず、正統派の技巧を凝らして素材の味を引き出すお店は大好き。

この日の料理と寸評:
・柿の胡麻和え
  拍子切りされた野菜の中に、拍子切りされた柿が混ぜ込まれ、野菜の味の組み立ての中に、
  柿の甘味が加えられ、胡桃ダレで全体が纏め上げられている。非常に面白い味の組み立て。
・車海老の椀
  感じるか感じないかのギリギリの線のお出汁。美味い。好きな傾向のお出汁。
  車海老のしんじょうは、車海老のけばけばしさは抑えられ大人しい味わい。出汁に馴染む。
・お造り(鮪、クエ)
  大間の鮪は、赤身特有の仄かな酸味があり、さすが貫禄の味。
  クエも、まだ脂が乗り切っていない分、逆に旨味が強調され、深い深い味わい。
・松葉蟹
  ぷりっぷりのはちきれそうな蟹身。元気いっぱいに育ち、かつ栄養たっぷりの蟹だ。
  ただ、ちょっと温度が低く、正直、温度はもう少し高めの方が好み。
  脚の身よりも、脚の根元の身の方が美味。
・鰆の幽庵焼き、茸のディップ、イカの塩辛
  鰆の幽庵焼きは、もう完璧。これ以上はないと断言できそうな、凝縮された鰆の旨味がすごい。
  こんなに美味しい鰆の幽庵焼きは初めてだ。
  茸のディップも悶絶もの。どうやったらこんな味が引き出せるのか。こんな味は初めて。
  イカの塩辛も、今までに味わったことのない味わい。
・帆立の煎餅揚げ、里芋の揚げ出し
  僕個人的には、本日の最高の逸品。ホタテに煎餅をまぶして衣にして揚げたこの品は、
  煎餅の香ばしさとホタテの甘みが見事に融合。そして、里芋も揚げることによって
  表面に衣的なものが出来上がり、この香ばしさと里芋の甘みが見事に融合。
  そう、ホタテと里芋という別々の素材を使いながらも味を似せてその対比を楽しませる。
・松坂牛のシャトーブリアン
  素材への火入れが完璧。表面には水分が綺麗に抜けた薄い焼き目。これが全体をガード。
  中は、たっぷりと生っぽい赤身。中まで火を通しつつ、表面にきっちりと焼き目。
  普通なら中まで硬くなってしまいそうだが、全然そうじゃない。
・真鯛の茶漬
  ただ、ただ、旨い。ご飯も美味しいけれど、お出汁も美味しい。鯛も美味しい。
  他店だと、ご飯と出汁と鯛とがバラバラの味わいになってしまっている鯛茶漬けによく出会うが、
  ここ「まき村」は、各々が完璧で、かつ全体がちょうどいい塩梅に馴染む。
・越後姫とラ・フランス
  昔懐かしい露地栽培のイチゴの味を彷彿とさせる味わい。
  ラ・フランスのサッパリとした味わいも心地いい。

いや~、良かった。美味しかった。

僕の舌は、高級店に行っても、どこがどう美味しいのかサッパリ分からないような馬鹿舌なので、
最近はこの手のちゃんとした日本料理店に行くことは滅多になくなってしまったが、
今回ここ「まき村」を訪れてみて、あぁやっぱり高級日本料理店はいいなぁと思えた。
また行きます。

  • ぶり大根
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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3位

信濃屋 (多治見 / うどん、ラーメン)

1回

  • 昼の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2016/11訪問 2016/11/22

すべてが異次元

再訪。3回目。
平日の昼間に訪れたら、席に結構余裕あり。
木曜・金曜・土曜の昼のみの営業なので、やはり狙い目は木曜・金曜だね。

「ころかけ」は安定の美味しさ。つゆと麺との一体感やバランスが見事。
「うどん」は個人的にはつゆの味が際立ちすぎる感じがする。

「支那そば」は前々回に頂いたときよりも遥かに美味しくて悶絶。
麺の茹で加減が非常に良くて、硬さを残しながらもしなやかさもあり、
独特のたまり醤油をベースとしたスープとの一体感やバランスが見事。

次回からは、「ころかけ」と「支那そば」の組み合わせでいきたい。

■2016年1月-----
再訪。
お店が開くのは11:30となっているが、正確には、
お店の中に入れてもらえるのが11:00、
お店の中で待っている間に注文し、
料理の提供開始がぴったり11:30。

頂いたのは、
「ころかけ」(冷たい方)(660円)
「うどん」(温かい方)(660円)
2つ頼んだら、この順番で出てきた。
前回も「ころかけ」「支那そば」の順番で出てきたので、冷→温の順番がデフォルトなのだろう。

さて、今回も楽しみにしていた「ころかけ」。
やはり、美味しい。唯一無二。前回の印象とほぼ同様。
ただ、季節的なものなのか、麺のセクシー度が下がっているように感じた。★4.7

そして、こちらも楽しみにしていた「うどん」。
単純に「ころかけ」の温かいバージョンなんだね。つゆも同じ、麺も同じ。
でも、「ころかけ」とは味わいが全く異なると言っていい。
麺のセクシー度はさらに下がって伊勢うどんに近くなり、小麦粉の味と香りが高まる。
つゆも、落ち着いた味わい重視の印象から、香りが立つ華やかな印象に。★4.5

個人的には、やっぱり「ころかけ」の方が好みかな。
ころ(香露)の味わいがくっきりと強調されるので。
ただ、前回の麺で温かい「うどん」を頂いてみたかったな、という気もするが。

というわけで、また行く予定。

■2014年10月-----
以前からいろいろと評判を聞いていたので一度は訪れてみたいと思っていた。
ところが、これが結構ハードルが高い。
開いているのは週の4日で、しかもお昼だけ、しかも数量限定の売り切れ仕舞い。
今回、無理繰りのスケジュール立てをして、訪問。
お店が開く時間は11:30とのことだが少し早く開くこともあるとのことで少し前に到着して、
1回転目にぎりぎり滑り込んだ。(ただ、お店に入ってから結構待ちましたが)。

店内は、民家そのもの?と思えるような造りで、特に奥の座敷や横の小上がりの座敷はまさにそんな感じ。
しかしながら、歴史を感じさせる建物、歴史を感じさせる雰囲気で、僕は好き。

頂いたのは、
「ころかけ」(660円)
「支那そば」(880円)

なんと言っても、「ころかけ」。
冷たい麺に冷たいつゆ。
写真や文字でいろいろ事前情報は入っていたものの、
人づての情報からイメージしていたものと実際とは全然違っていて、いい意味ですべてが異次元。
麺は柔らかいのにしっかりとその存在があり、その存在があるのに何もかも受け止めてくれる柔らかな弾力。
柔らかいうどんというと、伊勢うどんを思い浮かべるがそれとも明らかに異なる。
舌触りの滑らかさ、テンピュールの枕のような弾力、人間味溢れるくれくねとした波打ち。

その麺の魅力を最大限に引き出すのが、つゆ。たまり醤油に鰹節のダシが使われているとのこと。
見た目は黒いが、醤油の尖った味も酸味も塩味もなく、大人しく馴染みに馴染みまくっていて、
麺との相性は抜群にいい。それに身体にスッと入っていく。
パッと散らされた胡麻の香りがつゆに綺麗に乗っかる。ベースのつゆの味がいい証拠だ。
刻みねぎと生姜も同様。綺麗につゆの味に乗っかってくれる。

唯一無二。
この「ころかけ」の味は、ここ信濃屋でしか出せないのではないかと思う。
もちろん、この味を更に味わい深くしているのは、このお店の雰囲気もあると思う。
それに、こんなに人気店なのに、ものすごく腰の低い接客も、「ころかけ」のイメージに合っている。
そんないろいろな要素が噛み合って、今の「ころかけ」の味が出来上がっていると思う。★4.9

一方、「支那そば」。
麺は、タイ料理で言う「パッタイ」という平打ちの米麺に似ている。
しかし、しっかりとした弾力がある点で異なっており、これも独特の食感。
温かいつゆは、これも独特のたまり醤油がほどよく効いていて、見た目以上に優しい味。
「支那そば」には油脂分が入っており、その分、コクがある。
これもやはり、唯一無二。★4.0

いや~、こんなすごい食文化があったのか、という驚き。
未食の「うどん」は温かいバージョンなので、次回はこれだな。

ちなみにメニューに書かれている文字ですが、
「うどん」、「ころかけ」、「支那そば」で合ってますか?>詳しい人

  • ころかけ
  • ころかけ
  • うどん

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4位

比良山荘 (大津市その他 / 日本料理、オーベルジュ)

2回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 ¥15,000~¥19,999

2017/08訪問 2018/06/21

「鮎まんぷく膳」は美味しすぎるライトコース

再訪。3回目。
過去2回は同じく鮎の季節。
今回も鮎を頂きに訪れた。

こちらで鮎を頂くなら、
「鮎食べ」コース(15,000円、20,000円+税サ)
もしくは「鮎まんぷく膳」(6,500円+税サ)。

過去頂いた「鮎食べ」はそれなりにボリュームあり。
今回、昼間に別の店(「なかひがし」)で和食コースをガッツリ頂く予定だったので、
こちらでは軽く「鮎まんぷく膳」で。
なお、「鮎まんぷく膳」は、テーブル席にて。

結論から言っちゃうと、いや~、「なかひがし」よりも遥かに美味しかった。
これなら、「なかひがし」は安いコースにして、
ここ「比良山荘」では「鮎食べ」にして、「比良山荘」の比重を高くした方がよかった。

「鮎まんぷく膳」の構成は、以下。
(1)冷菜(茄子、いたどり、無花果)
(2)鯉の洗い
(3)鮎の塩焼き(2回に分けて5匹)
(4)食事(鯉こく、とうもろこしご飯、香の物)
(5)デザート(柚子シャーベット)

(1)冷菜は、丁寧な仕上がり。
熱を加えた後に一旦落ち着かせて味が馴染み、お出汁と共に身体にスッと入ってくる。

(2)鯉の洗いは、貫禄のお味。
「なかひがし」でも鯉の洗いが出てきたが、明らかにクオリティが違う。
鯉自体に旨みがたっぷりあり、咀嚼すると旨みが広がる。

(3)鮎の塩焼きは、過去2回の鮎とは若干味が落ちているが、
今年頂いた鮎の中ではダントツに美味しい。
鮎自体も美味しいが、口に入れたときにフワッと香る焼き加減がとても素晴らしい。
また、塩もまさに丁度いい塩梅。

(4)食事は、鯉こくがやはり圧巻。美味しい。
ただ、とうもろこしご飯は、ちょっと凡庸。

(5)柚子シャーベットは、締めとして充分なクオリティ。

いや~、こういう美味しいものを少量頂いちゃうと、
食欲に火がついちゃって不完全燃焼になってしまう。
贅沢な悩み。

鮎自体は合計5匹頂けるので「鮎食べ」の7匹に比べて価格面では満足。
鮎の塩焼きを中心に頂きたいなら、この「鮎まんぷく膳」でもいいのだろうけれど、
やっぱりもうちょっとお腹を満たしたい。
鮎5匹のままでいいのでもう少し料理を追加してくれる10,000円くらいのコースを
作ってくれると嬉しいのだけれど。

再訪。
昨年こちらで頂いた鮎料理に感動し、また訪れたいと思っていた。
今年は無理かなと諦めていたところ幸運にも一緒に行って下さる方が現れて晴れて行けることとなった。
前回は旅行途中で余呉方面からぐるっと回って訪れたためえらく遠い印象だったが、
今回は京都駅からのアプローチ。意外と近かった。京都からだと余裕の日帰り圏内じゃん。

さて、今回も「鮎食べ」コース。

前回は8月訪問。今回は7月初旬ということで、鮎は少し小振りで身の旨さは少し淡白。
でも、鮎の内臓の味がふわっと言う感じに広がって、美味。
繊細な身の旨さと、この香る内臓の旨さのバランスが、鮎1匹1匹毎に違っていて、
頂くたびにウ~ンと唸った。鮎の命を大切に大切に頂こうという、真摯な気持ちになれる。
火入れ加減、塩加減、鮎の味、どれをとっても完璧。きっと鮎も幸せだろう。

鯉の洗い。こんな旨い鯉の洗いはなかなかお目にかかれない。

熊肉のスッポンスープ。いやはや、マジですかという旨さ。
熊肉の油がスッポンの出汁と合わさると、すんごい旨みが生まれるね。

いや~、大満足。
コースを通して、ひとつもハズレがないから、満足度が更に高くなるし、
コストパフォーマンスも良くなる。

また行けるといいな。

■2015年8月-----
鮎料理はそれほど多くの経験があるわけではないけれど、
行く先々でがっかりすることが結構多い。
しかしながら、こちらで頂いた「鮎食べ」(15,000円+税サ)という鮎尽くしのコースは、
そんなガッカリ感を綺麗に一掃してくれるほどの衝撃があった。

一般に鮎料理では、あの川の鮎がいいよとか、あの川の鮎はもうダメだとか、よく聞くんだけれども、
鮎料理のお店をいろいろ訪れているうちに「本当にそうなのかな」という疑念が湧いてきていたところ。
でも、こちらのお店を訪れて「鮎食べ」のコースでこれでもかというくらいに琵琶湖の鮎を頂いてみて、
そういうコダワリなんて全く不要だったって思い知らされた。

僕の中での結論は、「琵琶湖の鮎で充分だったんだよ」。
そして、「むしろ、料理人の腕の問題なんだよ」。

3重にも渡る鮎の塩焼きは、どれも調理方法はシンプルな塩焼きで全く同じなんだけれども、
一瞬でしか味わうことができない美味しさの感動ではなく、
それを3度も繰り返し楽しめることで初めて感じることができる本当の鮎の美味しさの感動。
これが、中途半端な調理技術であれば、わざわざ同じ調理方法の鮎を3度も出さないと思うんだよね。
それなのにわざわざ3度も同じ調理方法の鮎を出すというのは、自信の表れだろうし、
それによって何かを感じて欲しいというような何らかの意図があるものだっていうのが分かる。

鮎御飯も完璧。鮎の塩焼きの余韻に浸りながら、更なる鮎の美味しさを堪能。

また、鮎の塩焼きが始まるまでの前菜などの料理も、全く手抜きなしで完璧。

何の迷いもなく★5.0です。

  • 茄子、いたどり、無花果の冷菜
  • 鯉の洗い
  • 鮎の塩焼き(1回目)

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5位

徳山鮓 (余呉 / 郷土料理、オーベルジュ)

2回

  • 夜の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥10,000~¥14,999

2018/08訪問 2019/01/07

発酵ダイニング

再訪。3回目。
言わずと知れた徳山鮓。
琵琶湖の北、余呉湖のほとりにある発酵料理のお店。
いや、そう言ってしまうと郷土色の強いマニアックなお店と思われてしまいそうなので、
発酵ダイニングと言った方がいいかもしれない。

料理は、名物の鮒鮨(ふなずし)を筆頭にして発酵料理がいくつか出てくるが、いずれも非常にマイルドに仕上げられているし、
コースを通してそんなに発酵料理尽くしという訳でもない。
むしろ、余呉湖周辺の食材をふんだんに使ったお洒落ダイニング的なイメージ。
滋賀県の琵琶湖の北の辺り。正確には、余呉湖の畔。
発酵食で有名なお店。滋賀県で最も有名な飲食店のひとつといっても過言ではない。

再訪。
ランチで。

ランチは8,000円から(税別)。
今回は、折角ここまで訪れるので10,000円(税別)のコースを予約した。

さばの熟れ鮓や、鮒鮓や、漬物や、鮒鮓の飯(いい)のアイスなど、
コースの中で発酵食の比率は高いけれど、発酵食だけが並ぶわけではない。
いや、むしろ、余呉湖周辺の食材をふんだんに使った郷土料理のお店と捉えるべきであって、
その郷土料理として豊富な発酵食が織り交ぜられると捉えるべきなんだと思う。

食材はとても良質。そして、じっくり丁寧に調理されている。
味付けの方向性は、食材の個性を最大限に発揮させるもの。
塩も醤油も弱め。でも、時折、ぐいっとくる感じでアクセント的に強い味も一部施される。
特に、発酵系の料理は塩分強め。でも、発酵されているので酸味もあり、味わいは複雑。

料理はどれも、熟成に次ぐ熟成。発酵に次ぐ発酵。
ゆっくり時間をかけてゆっくりと新しい味を醸し出し、元の食材だけでは決して出せない領域へ。
この、ひとつひとつの食材の味を大切にされ、きっちりと隠れた持ち味を引き出す仕事は、
丁寧に丁寧に気配りをしながら辛抱強く待っていなければならず、とても根気がいるもの。
熟成や発酵の職人技、とでも言えばいいのかな。そんな見事な料理の数々。

定番の鮒鮓は、熟成度合いがかなりマイルドな方向。
恐らく、鮒鮓が初めてな方でもあまり抵抗感なく頂けるのではないか。
僕は、もっともっと熟成感のある状態のものが好きだけれど。

今回頂いた熊肉は、大変素晴らしい味わい。
脂身と赤身のしゃぶしゃぶにお出汁が合わさると凄い領域の味わいに。
これがこの日のメインイベントだった。

料理のポーション的には非常に少ないけれども、ひとつひとつを大切に頂きたいと思わせるもので、
ゆっくりじっくり味わうにはこのくらいがちょうどいい。
それでも最後の熊鍋の雑炊でお腹はいっぱいになった。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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6位

慈久庵 (常陸太田市その他 / そば)

3回

  • 昼の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2018/01訪問 2018/01/31

やわらかな熟成感

再訪。4回目。
日曜訪問。10:30到着で3組め。
11:30開店だが、この日は11:05に開けて頂いた。
ただ、店内に入ってからが長い長い。
真冬は暖かい格好が必須。特に足元が冷えるので膝掛けがあるといいだろう。

さて。
今回は4人で訪問。
僕の裁量で、冷たい蕎麦と温かい蕎麦を各自1つづつ、の注文にした。
これで僕たちのテーブルには都合8食分の蕎麦が提供されることになった。
これが、配膳を後回しにされた直接的な原因かもしれない。汗

<冷たい蕎麦>
・「せいろそば」(1,100円)×2
・「鴨せいろ」(1,800円)×2
<温かい蕎麦>
・「葱天ぷらそば」(1,700円)×2
・「鴨なん」(1,800円)
・「山菜そば」(1,600円)
<その他>
・「そばがき」(1,500円)
・「超珍味・おひしょ 岩魚の卵添」(600円)
・梅のデザート(名前と価格失念)

僕は、いつものように、「せいろそば」と「葱天ぷらそば」。

今年の蕎麦は、これまでと比べるとちょっと弱くなっている。味わいも香りも。
蕎麦自体の方向性は、柔らかな円熟感があるもので変わっていないのだけれど、力強さが影を潜めた印象。
どことなく自信なさげで弱々しくて、張りもなくてくしゅくしゅという感じ。
時折感じる蕎麦殻の粉のジャリっという食感が、
不均一な大きさの蕎麦の実を挽かなければならなかったことを想像させる。
いや、もちろん蕎麦自体は美味しいのだけれど。

その蕎麦の弱さは、「葱天ぷらそば」で如実に表れる。
葱天の油分や味わいを蕎麦が受け止めきれず、お互いに個性を埋没させてしまう印象。
ここで蕎麦つゆが若干強めなことに気付かされる。
過去これまでは、蕎麦と葱天とつゆが三位一体となって絶妙なバランスを保っていたのが、
今回の蕎麦ではそのバランスが崩れてしまったような印象を受けた。
いや、もちろん美味しいのだけれど。

最高の状態を知っているからこそ感じてしまうことなのかもしれないが。

とはいえ、常陸秋そばを焼き畑で自ら育て、更に天日干しして熟成させ、独特の打ち方をされて提供される蕎麦は、
他のどこにもない唯一無二の蕎麦だし、
ひとつの頂点に達している蕎麦だと思うので、
これからも通わせて頂きたいと思っている。
再訪。3回目。
日曜訪問。10:30到着で一番乗り。
日曜なのでお客さんが多いことを予想していたがこの日は少なめ。
開店時間が少し早まったこともあって、並んでいた人は全員テーブルへ。
並んだ順に配膳されるので、先頭に並ぶことは無駄にならない。

オーダーは、
「せいろそば」
「葱天ぷらそば」
「なっとうぶっかけ」
「そばがき」
「こんにゃく」

この日の「せいろそば」は、これまでのものよりも若干柔らかめな仕上がり。
水分量がほんの少し多めのように感じた。
その分、食感はしなやかで、口の中で穏やかに馴染む。
その後やってくるのは、円やかな熟成感。
くしゅくしゅっと縮れた麺と麺との隙間から、
蕎麦の円やかな旨味と香りが湧き上がる。
それをアシストするような辛汁も、また円やか。
この味わいは、やはりここ慈久庵ならでは。
こんな味わいの蕎麦を出すお店が、他にあるだろうか。

「葱天ぷらそば」は、この日の蕎麦が若干弱めの主張であったためか、
葱天とのバランスという観点では若干負けていた印象。
相変わらず旨いけどね。

「なっとうぶっかけ」は、蕎麦と納豆の個性がぶつかり合う。
もちろん、いい意味で。
蕎麦の味と香りが、納豆によってグイっと方向を曲げられて、
また違った側面を覗かせる印象。

「そばがき」は、とても柔らかで粘りのある仕上がり。
せいろそばでも感じた、円やかで円熟感のある旨味。

「こんにゃく」は、こんにゃく芋の個性を感じる味わい。かなり旨い。

総じて。
やはり、蕎麦の味を極めた、最高峰のひとつ。
ここでしか頂くことができない味がある。

再訪。
2月は蕎麦が熟成されて一番美味しくなると言われている季節。
そんな最高の季節の「慈久庵」の蕎麦を頂いてみたくて、
前日に近くの常陸太田市街に宿を取って万全の状態で訪問です。
ちなみに、開店1時間前の10時半に訪れて、この日は一番乗りでした。

頂いたのは、
「せいろそば」(1,100円)
「葱天ぷらそば」(1,700円)

結論から言うと、いや~素晴らしかった。マジで素晴らしかった。
前回約2年前の11月訪問時も美味しかったけれど(ちなみに、★4.8)、
今回はそれを遥かに凌駕するほどの出来栄えだった(もちろん、★5.0)。

まず、極細の粗挽き十割蕎麦「せいろそば」の旨さがすごい。
最高の玄蕎麦をきちんと熟成させ、そしてそれを粗挽きにすると、こんなにすごい味が出てくるのか。
他店の熟成粗挽き蕎麦でも最近は美味しいものが増えてきたけれど、
ここ「慈久庵」の熟成粗挽き蕎麦と比べたら子どもみたいなものだと思った。
そのくらい、この旨みが素晴らしい。
軽く噛んでもブワッと旨みが出てくるし、咀嚼すると更に旨みが増してくる。
これまで頂いてきた数多くの蕎麦と比べて、他に類を見ない性質の旨みなの。
この旨みを言葉で上手く表現できないのが口惜しい。

次に、「葱天ぷらそば」もすごい。頂きながら何度も何度も唸った。
旨みたっぷりの極細の粗挽き十割蕎麦が温かいつゆの中でほんのり緩んで、味が開花。
食感がゆるゆるであることで、口の中で簡単に潰れてくれるので旨みが一気に花開く感じ。
そしてそれを邪魔しない綺麗なお出汁のつゆとの相乗効果も抜群にいい。
更に、別添にされる葱の天ぷらを塩で頂いて、
葱の苦味をほんのりと口に含ませた状態で蕎麦を啜ると、もう最高の幸せが訪れる。
この葱の天ぷらは、かけそばの上に乗せてももちろん美味しいのだけれども、
そうすると葱の苦味が消えてしまうので、僕としては別添のまま別々に頂くのがよいと思う。
この組み合わせは衝撃的に旨いです。
ちなみに、ここ「慈久庵」のお弟子さんが常陸太田で開いた「塩町館」で、
先日「葱天ぷらそば」を頂いて大変美味しいと思ったのだが、
いやはや、さすがその師匠です、「慈久庵」の方が段違いに美味しいです。

いや~、「慈久庵」の最高の味を堪能。
「せいろそば」、「葱天ぷらそば」という組み合わせでの頼み方はおススメです。

■2013年11月-----
言わずと知れた「慈久庵」。
僕はかつて茨城北部に住んでいたことがあり、その当時からこちらのお店のことは存じ上げていた。
そのときは僕自身正直そこまで蕎麦に凝っていなかったので、訪れるモチベーションも上がらず、
結局行かずじまいになってしまった。今思えば非常に勿体無いことをしたなぁと思う。
思い立てば、いつでも気軽に行けたのだから。

で、その後、引っ越して、蕎麦に凝り始めて、やっとこさの訪問と相成った。

ところが、並んだよ、並んだ。2時間くらい?
開店時間に少し遅れただけで、2時間。やっぱり、当時勿体無いことをしたなと思ったよ。(苦笑)

それはともかく。

やはり、すごいね。慈久庵の蕎麦は。
粗挽きの十割。そば粉は、金砂郷産の常陸秋そば。
同じ粗挽きの十割でも、他店のものとはその香りや味わいが異なっている。
突き抜ける香り、突き抜ける甘みと熟成感。そして辛汁との一体感。
同じ常陸秋そばでも、他店のものとは全然違っているし、
同じ金砂郷産の常陸秋そばでも、他店のものとは全然違っている。
もっと言うなら、慈久庵と同じ蕎麦粉を使用ししている「塩町館」の蕎麦とも全然違う。
やはり、慈久庵の蕎麦は、慈久庵でしか食べられないと思う。

訪問時にいただいたものとその印象は下記の通り。
「せいろ」★4.8
「そばがき」★4.8
「野草の天ぷら」★3.7
「こんにゃく」★4.0
「蕎麦粉とトリュフのポタージュ」★3.5
「デザート」★3.2

折角訪れたのだからついいろいろ頼んでしまいがちになるけれど、
サクッと、せいろとそばがきだけで腹八分目で済ませた方が心地いいような気がする。

  • せいろそば
  • せいろそば
  • 葱天ぷらそば

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7位

炭焼 金竜山 (白金高輪、白金台、広尾 / 焼肉)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 2.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2016/12訪問 2017/01/03

赤身の旨味の中に脂身の旨味が浮かび上がるような味わい

都内屈指の焼肉店。
お誘いいただいて、訪問した。

僕自身の好みは(他の人も大抵そうだと思うが)、
 旨い赤身>旨い脂身>そこそこの赤身>>>>そこそこの脂身
サシが入っていても入っていなくても、赤身が美味しいのが大前提。
脂身は、赤身の美味しさをアシストするときに美味しいと感じる。
だから、やたらとサシが多い肉は赤身の旨味が油で覆われてしまうので、
これまでどちらかというとサシが多く入っている肉を敬遠してきた。

なので、ここ金竜山の肉はサシが多く入っているということで、
最初、自分の好みに合うかなとかなり心配していたのだが、それは全く心配無用であった。

というのも、確かにサシは多く入っているのだけれども、
脂身の油がサラッとしていて、それなのに旨く、
赤身は脂身の上をいく濃厚な旨味を有していたので、
脂身が赤身を決して阻害することなく、赤身の旨さをアシストする役目を果たしていたから。

例えるなら、
赤身の旨味の中に脂身の旨味が浮かび上がるような味わい。
普通、ここまでサシが多いと、脂身の旨味の中に赤身の旨味が漂い掻き消されてしまう。
ここ金竜山の肉はその逆だ。
この味わいは、僕の中ではかなり衝撃的だった。初めての味わい。
恐らくこれは、肉質そのものも良いのも要因なんだろうけれど、
それと並行して、肉のカットの上手さも要因なのではないかと思う。

この日、頂いたのは、
・上タン塩(3,200円)
・レバ(1,300円)
・カルビ(1,600円)
・ハラミ(2,500円)
・ヒレとシャトーブリアンの盛り合わせ(18,000円)
・中カルビ(2,300円)
・ロース(1,400円)
・タン焼きミソだれ(800円)

味わい的には、特に、皆さんが絶賛されているカルビが飛び抜けている。
カルビも、中カルビも、素晴らしい。特に中カルビのバランスは凄かった。

ハラミも、他店のハラミとは全然違う。
ハラミの味でありながら脂身がその味わいをアシスト。

シャートーブリアンは、この日の最高値のもので、
これは赤身比率が高く、僕の中では味覚のツボにズッポシ嵌った感じ。

上タン塩、ヒレ、ロースも、上質。
ビールがどんどん進んでしまう。

ただ、レバーは正直状態がいまひとつではあった。
質の良さ自体は感じられたが。

今回、かなり食べてかなり飲んだので、会計は約14,000円。
通常よりも恐らくお高め。
ヒレとシャトーブリアンの盛り合わせで総額がベースアップしたのが要因だが、
逆に味の満足度的にはこれで更に高くなったのも事実。

実は正直、これまで高評価の焼肉店にはそれほど興味がなかったのだけれど、
素直に、ここ金竜山はいいなぁと思えた。また機会があれば行きたいお店。

  • 中カルビ
  • カルビ
  • ハラミ

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8位

活鰻の店 つぐみ庵 (駒込、田端、尾久 / うなぎ、焼き鳥)

9回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 -
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: -

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 -
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥8,000~¥9,999

2018/11訪問 2018/12/18

日本一美しい鰻重

再訪多数。
何度も通っていると、コースの流れが僕の好みに合うようになってきた。
鰻重に辿り着く前に、あまりお腹いっぱいにならないようにして欲しいし、
その前にやはり白焼きを頂きたいし、
その前にやはり肝焼きとヒレ焼きを楽しみたいし、
その前にやはりつくねと手羽先は外せないし、
それだと毎回同じ内容になってしまうから少し違うものも織り込んで欲しいし。
というような僕のわがままに寄り添うコースの流れ。

白焼きが素晴らしく美味しくなった。
以前は塩分が強すぎだと思っていたけれど、この日は塩なし。
塩がなくても美味しく頂ける焼き加減。
ふっくらとして、少しぶりっとして、皮の旨みと身の旨みのバランスが綺麗。

そして、相変わらず見事な鰻重。
小骨は丁寧に抜かれ、火でゆっくり焼かれ、
身が綺麗に収縮してパッツンパッツンに仕上がる。
そして、ツヤツヤしたタレ。
日本一美しい鰻重だ。
いや~、今回も、鰻とご飯とタレの相性が抜群に良かった。
やっぱ、鰻重の美味しさの本質はこの相性だよね。

つぐみ庵は、炭火ではなくてガスで焼いているから美味しくないとか言う人がいるけれど、
ガスの臭いが鰻にかからないようにうちわで扇いだらいいんじゃないの?
ガスだと、ガスが燃えるときに水蒸気が発生するので綺麗に焼けないと言う人がいるけれど、
その水蒸気が鰻にかからないようにうちわで扇いだらいいんじゃないの?
大将がうちわで風をコントロールする技は、見事です。

また電話予約を頑張ります。
再訪。14回目。
土曜の夜訪問。17時スタート。
2人で利用。

この日の内容:
(1)枝豆
(2)つまみ盛り合わせ
(3)焼き鳥:つくね
(4)焼き鳥:手羽先
(5)うなぎ:頭
(6)うなぎ:肝
(7)うなぎ:ひれ
(8)うなぎ:白焼き
(9)漬け物盛り合わせ
(10)豆腐
(11)うなぎ:うな重
(12)吸物
お酒は、ビール大瓶2本、日本酒3合。
会計は2人で29,800円。

この日の(11)うな重は、圧巻の出来栄え。
うなぎの質も素晴らしかったし、タレとの相性、ご飯との相性、
そして全体のバランスが完璧。他店の追随を許さない、貫禄がある。

この日のうなぎは、身はほくほくで、皮も美味しく、身と皮のバランスがとてもいい。
そのときそのときで、皮の方の旨みが突出したり、身のぶりぶり感が突出したり、
いろいろな個性があるのだけれど、この日のうなぎはこのバランスが完璧だった。

それにしても、このつぐみ庵のタレって、一体何なの?
甘すぎず、辛すぎず、突出するわけでもなく、うなぎと完璧にマッチしてくれる。
それに、ご飯と合わさっても、全く違和感がないんだよね。
ここまで旨いタレって、そうそう出会えないように思う。

また、ご飯もすごくいい。
炊いた直後のご飯の香りって、うな重には余計だと常々思っているのだけれど、
ここつぐみ庵のご飯は、この余計な香りが一切ない。だから、うなぎが引き立つ。

いや~、美味しかった。

タレの旨さは、(3)つくねでも発揮。
このタレはやばいよ。つくね自体も美味しいけれど、このタレは反則レベル。

そして、今回、久々に出てきた(9)漬け物の盛り合わせも素晴らしい出来栄え。
特に、きゅうりの糠漬けは、国宝級だよ。まじで。
こんな美味しいきゅうりの糠漬けは、いままで食べたことがない。
感動もの。

今回も、大満足でした。
再訪。13回目。
いつものように、日曜の夜訪問。17時スタート。
2人で利用。

この日の内容:
(1)つまみ盛り合わせ
(2)焼き鳥:つくね
(3)焼き鳥:砂肝、ヒレ
(4)焼き鳥:手羽先
(5)焼きネギ
(6)うなぎ:肝
(7)うなぎ:ひれ
(8)うなぎ:頭
(9)うなぎ:白焼き
(10)うなぎ:まむし丼
(11)うなぎ:うな重
(12)吸物
お酒は、ビール大瓶、日本酒3合。
会計は2人で23,000円ちょっと。

今回のコースの内容は、これまでで最も自分にしっくりきた。
お腹も腹八分目くらいの状態で、まむし丼、鰻重に入れたし。

(2)のつくねは、やっぱり美味しいね。ふわふわで丁寧な仕上がり。
これがこの日は1人2本(合計4本)も作って下さって感謝。
(4)手羽先は安定のハイクオリティな美味しさ。最高に美味しい。
(5)焼きネギは、泥つきのままホイルで巻いて蒸し焼きに。
ネギが甘くて美味。塩とも合うし、お酒とも合う。お陰でお酒が進む進む。
(6)肝(7)ひれは毎回出して下さる秀逸品。
(9)白焼きは、この日はうなぎの若干身が薄め。
その分、うなぎ臭さは全く無く、クリアな旨み。
(10)まむし丼は、今回も素晴らしい出来栄え。
(11)いな重も、完璧。ご飯、うなぎ、タレのバランスが見事。

冬は、脂が乗りながらも身がビシッと引き締まったうなぎのぶりぶりな食感を
楽しめる季節だが、今回のうなぎは期待していたほどのぶりぶり感はなく、
そういう点では少し残念だったかな。
毎回、うなぎの状態が良さそうな月を狙って訪問しているのだが、
それでも、ここ最近は、1年前までのうなぎとはだいぶ違っている。
もちろん今でも十分に美味しいのだけれど、
これまでの悶絶するようなうなぎの味を知ってしまうと、
最近のうなぎには少々物足りなさを感じてしまう。
この状況は、ここつぐみ庵だけでなく他のうなぎ屋でも同じだろうけど。

再訪。12回目。
満を持しての11月後半訪問。

養殖とはいえこちらの鰻は時期により差があり個体差がある。そこが面白いところ。
また、お店側も、敢えてその差が出るような調理方法を採っている。そこが面白いところ。
行くたびに違うので、通えば通うほど面白いお店。

今回の鰻は全体的に、皮の下の脂が弱めなのが特徴。皮自体も柔らかめ。
なので食感的には、身の方に力点が置かれる。皮はアシスト的なイメージ。
となると、あとは個体差と調理差で鰻自体の味の方向が変わる。

「白焼き」の鰻
身が薄め。身の脂分は少なめで、筋肉質も弱め。
そのため、いつもは強めの塩加減も今日は弱めで、焼きも弱めで。

「まむし丼」の鰻
身がぶりぶり。身の脂分は少なめで、筋肉質は強め。
そのため、身がぶりぶりで、更にそれが強調される。

「うな重」の鰻
身にぶりぶり感があるものの、筋肉質は弱め。
そのため、今日頂いた鰻の中ではバランス的には最も良かった。

それにしても、本日頂いた「まむし丼」は素晴らしかった。
実は僕、鰻に最も合うご飯は、タレがべったりかかっているものよりも白飯だと思うし、
更に贅沢を言えば白飯にタレがちょっとだけかかっていて
水分が少し飛んだ香ばしい状態のものが最も合うように思う。
なのでこの「まむし丼」は僕の好みにドンピシャだった。
本来なら、ご飯とご飯の間に鰻を挟んでしばらく蒸して馴染ませた方が美味しいらしいのだが、
見ただけで僕の好みに合いそうなことが分かるルックスだったので、
あっと言う間に平らげてしまった。汗

今日の「うな重」は、鰻のいつもの力強さはなかったものの、
逆に全体バランスの良さが光った。

ご主人や若旦那には、僕の好みは知り尽くされている気がする。
でも実は、今日の「まむし丼」の鰻みたいにぶりぶりな鰻はもちろん好きだけど、
今日の「うな重」の鰻みたいにバランスのいい鰻も実は好きなんですよ。笑

ちなみに、「まむし丼」は要予約。
こんな「まむし丼」を頂けるお店は都内にはないのではないか。
またこちらのお店を訪れる楽しみが増えてしまった。
再訪。11回目。
今回初めてお誘いにて。

鰻には厳しい時節ではあったが、それを技術でカバー。
今までとはまた違った旨みを上手く引き出されており、唸った。
これは凄い。

肝焼きやヒレ焼きを頂いた際に、皮の力強さがあまり感じられず、
また、白焼きを頂いた際にも、身の力強さもあまり感じられず、
正直、今日の鰻はあまり期待できないなと思っていたのだが、
ところがどっこい、鰻重の鰻は素晴らしく美味。
鰻の旨みをできるだけ落とさずに、身の中にギュッと封じ込める。
皮の面が、しっかりとこの旨みを受け止める。
ねっとりとした皮と、旨み水分を含んだ身とが一体化して絶妙なバランス。
皮にきちんとした存在感があるので、身の方がほろほろっとして皮の方に吸い寄せられて一体化。
すると、皮に旨みが幾つも重なって付加されたかのような錯覚に陥る。
結果、皮が素晴らしく旨くなる。
いや~、これまで頂いてきた鰻とは全く違った魅力。

流石です。


再訪。10回目。
今回も夜。のんびりムードが漂う。

気を遣って下さったのか、今回のコースは少し軽めで出てきた。
コースと、缶ビール1杯と日本酒1杯で10,000円。

今回のうな重のうなぎは、身が若々しくピチピチ。
脂は少なく、身がほっくりしているのにダレていないし硬すぎもせず。
若々しく綺麗な筋肉質。
つぐみ庵の真骨頂である皮のねっとりした舌触りと旨みはしっかり健在。
ただ、皮下脂肪は薄く、このため、皮の旨みは若干弱め。
これを、今回はタレが補ってくれた。
いつもはアシスト役のタレが、この日はうなぎの旨みと相まってダブル主役級に格上げ。
いや〜、鰻の旨みとタレの旨みとが上手く調和。

いつも出してくれるヒレ焼きは、今回は皮下脂肪の少ない皮だったので、
旨みが脂に邪魔されずに凝縮して素晴らしく美味。

また、これもいつも出してくれる肝焼きも、素晴らしく澄んだような味わいでいつも以上に美味。

そしてそして、個人的にズッポシとツボに嵌まったのが、ぬか漬け。
ぬか床は、なんと100年ものなんだとか。
ぬか床の菌の力がものすごい。
たった数時間の漬け込みできゅうり臭さは一切なくなり、中まで綺麗に漬かっている。
かといって嫌な酸味も一切なく、きゅうりの旨みがアップ。
また、若旦那作の玉ねぎのぬか漬けも素晴らしく美味しい。これはすごいよ。日本酒がグイグイ進んじゃう。
大量に出してくださったぬか漬けが、あっという間になくなった。

今回も、ゆっくりほっくりと堪能。
僕にとって、とても大切な時間と空間。
再訪。

今回の鰻は、前回から一転して淡い味わい。
淡い旨みが中心で、そこから濃い旨みがやってくる。
相変わらず、皮と皮の下の美味しさは格別。
そのためもあってか、頭に近い部分や真ん中部分よりも、尻尾部分が最も美味しかった。
うなぎ自体の味わいは前回前々回の方が良かったが、
今回のような淡い味わいをそのまま楽しめるのもこちらのお店の魅力だ。

うな重以外にも、白焼き、ひれ焼き、肝焼き、かしら焼きも出して頂き、
更に、鶏つくね、鶏手羽焼き、はまぐりの潮汁、ほうぼうのお造り、青柳のぬた。
お腹がはち切れそうになった。次回は少し量を減らしてもらおう。
ちなみに会計は、ビール、日本酒2合追加で13,000円くらい。

今回は、いろいろあって、ご主人がノリノリ。お話が止まらない。笑
奥さま、息子さんともこれまで以上にお話ができて、
これまで以上に打ち解けられて、とても幸せな時間を過ごすことができた。

つぐみ庵は僕に幸せと仕事への活力を与えてくれる。

再訪。8回目。
今回のうなぎは、身がぶりぶり。
こちらのお店の生蒸し調理ではうなぎの身がぷりぷりに仕上がる。
そして、今回のうなぎは特に身がギュッと引き締まってしかも肉厚だったから、
更にぷりぷりになって「ぶりぶり」。
いや〜、マジで凄かった。
養殖と言えどもほぼ自然環境なのだそうで、だからこそ、季節感のあるうなぎに。
養殖でそれなりに餌は豊富なんだろうから、
しっかりと食べてしっかりと身に栄養を蓄えた冬のうなぎに。
しかも養殖ならではの安定の品質。
それが、こちらのお店の素晴らしく丁寧な調理により、素晴らしく美味に。

今回の白焼きは、そんな冬のうなぎの魅力満載の素晴らしい白焼き。
過去最高の、しかもぶっちぎりダントツの白焼きだった。

もちろん、うな重もとても素晴らしかった。
皮の旨味はそのままに、その上に身のぶりぶりな旨味が覆い被さり、
過去7回に全く体験したことがない味わいに。

毎回毎回違った味わいで楽しませてくれるつぐみ庵、最高。

再訪。7回目。

今回も素晴らしかった。
うなぎ自体は前回の方が良かったが(というか前回がずば抜けていた)、
淡く脂が乗り始めた感じの鰻の個性が綺麗に引き出されていた。
こういう季節季節の味わいの変化を楽しめるのも、こちらのお店の魅力。

それと、いつも思うことだが、ひれ焼きが抜群に美味しい。
ツマミの中でも、このひれ焼きが抜きん出ている。
ひれの皮の旨味と、カリッと焼かれたひれの香ばしさが、
ぐるんぐるんに巻かれたひれの間の空気と共に、口の中でぐるんぐるんに混ざり合い、
旨味と香ばしさが広がる。
旨いです。

■2016年8月-----
再訪。6回目。

初めてこちらを訪れたのは1年前。
当時は簡単に予約できたのに(スカスカだった)、今では土日は全然予約が取れない。
当時まさか自分自身が予約できなくて困ってしまうようになるとは思ってもみなかった。

さて、今回。
本日8月7日の鰻は最高の鰻だった。

身と皮の間の旨みがとにかくすごい。
身ももちろん旨いんだけれども、それ以上に身と皮の間の旨みがすごい。
ほんの少し香ばしさのある皮がその旨みをねっとりと纏い、他店では決して出せない味わい。

これがこちらのお店の味的な特徴なのだけれども、特筆すべきは全体のバランスの良さ。
他店でもできそうなことなんだけれども、実際にはいろいろな制約があってやれない。
でも、こちらのお店はそれをきちんとやられている。

今回、これまで6回の訪問の中でもダントツで美味しい鰻重だった。
ちなみに、過去5回の訪問のうち最も美味しかったのは、初めてこちらを訪れた1年前の7月中旬の鰻。
それから途中4度の鰻は初回の鰻には適わなくて、1年前と同じ7月中旬~下旬の鰻を頂きたいなと思っていた。
それが今回その時期に予約が取れなくて、仕方なく8月の本日になったのだけれど、
ご主人によると、8月に入って急激に鰻がいい状態になったとのことで、
いや~、結果的には、7月じゃなくて8月で良かった。

また行きます。

■2016年4月-----
再訪。5回目。
今回も、焼き鳥を中心にツマミも用意して頂いた。
途中で、青柳を細かく刻んだものが出てきちゃったものだから、
いつもの缶ビールに追加して、日本酒も頂いてしまった。
おかげで会計は初の1万円越え(苦笑)。牛肉も出てきたしね。

今回の鰻は、旨みがしっかりありながらも淡い方向性の旨味。
こちらで使われている鰻は養殖ものではあるが、
水温の影響を受けるため季節によって味が違ってくるとのこと。

■2016年3月-----
再訪。4回目。
今回も、焼き鳥を中心にツマミも用意して頂いた。

焼き鳥は、これまで頂いた中で今回が最も美味しかった。
つくね、ふわふわで旨い。
砂肝も、状態もいいし、火加減も丁度いい。
手羽先は、骨を抜いた状態で提供され、旨み十分。しかもジューシー。

そして、今回は、肝焼きとひれ焼きが出てきて、うま~い。
この肝やひれは、鰻とは別に仕入れるのではなく、今回捌いた鰻のものを使用とのこと。
当然、新鮮で状態がいい。肝も良かったが、ひれが非常に美味しかった。

そして、今回はいろいろな巡りあわせで、ご主人から白焼きもどうかというご提案があり、
喜んで二つ返事で「もちろん、頂きます」。
いや~、身がブリブリで旨かった。こちらのお店特有の皮の旨味も存分に堪能。

そして、鰻重。今回の鰻は、若干大振りのもの。肉厚でブリブリ。
あまりにも肉厚だったので、皮の旨味の印象は薄くなり、今回はこのブリブリを存分に堪能。
こちらのお店では蒸し時間が短めなので、こうした肉厚の鰻は蕩けることなく、
しっかりとその身の美味しさを楽しめる。だから、ブリブリの食感なのだ。
東京で、こんな食感の鰻を頂けるお店はなかなかない。

今回、前回と、日曜夜に利用させて頂いた。
きっちり予約時間に訪れて、他の客は誰もいない空間でゆっくりと鰻と向き合い、心ゆくまで堪能。
この間、他の客はお店に入ってこないので、まさに僕のためだけの特別な食事が楽しめる。
ご主人や奥様と会話しながら仕事の疲れを癒し、そして職人技で調理された美味しい鰻を頂いて、
月曜日からまた頑張ろうという気持ちにさせてくれる。
こんなお店は僕にとって唯一無二だし、こんな感じで日曜夜に利用させていただくのは
僕にとっては大変意味があることであり、
この時間は、既に僕の人生に必要な時間になりつつある。

■2015年11月-----
再訪。3回目。
今回は、焼き鳥を中心にツマミも用意して頂いた。
ただ、そこら辺の焼鳥屋よりは美味しいけれど、それなりに高くなるので、
総合的に考えると次回は鰻重だけでいいかな。

それと、今回「鰻の身が硬い」とご主人もちょっと言い訳っぽいことを仰っていて、
身の硬さはあまり感じなかったのだけれども、むしろ皮の下の旨味がズッポシ抜けている感じがした。
その部分の旨さがこちらのお店でなければ出せない味であり、
僕がこの鰻重を高く評価するポイントなんだけれど、
それがなくなってしまうと他店とあまり変わらなくなってしまうので、今回は少々残念。
ひょっとすると、脂が少ないということをご主人は仰りたかったのかな。
でもこれは個体差だからある程度しょうがないよね。
常に同じ味で安定することはありえない、というのは鰻屋の宿命だと思うし。

■2015年8月-----
再訪。
前回同様、素晴らしかった。
私のためだけに、鰻が捌かれ、蒸され、焼かれ、小骨も抜かれ、ベストな状態で提供される。
調理されているのは、誰かの鰻ではなく、私の鰻。

もう他の鰻屋に行く必要がないです。(好きだから実際には行っちゃうだろうけど)

ただ、前回の鰻の方が美味しかったかな。
鰻の皮の部分の旨味が若干控えめだった。

なお、ご主人は術後まだ本調子ではなく夜の開始は18時半までにとのこと。
というわけで、次回の予約は18時で入れました。

■2015年7月-----
駒込駅から徒歩少々。地図で見るとちょっと遠いようにも思えるが、
線路沿いからアプローチすれば意外と近いことに気付く。
そうしないで住宅街をくねくね曲がって行くと実際に遠いし迷っちゃうんだよね。

予約必須の鰻屋。
昼と夜、それぞれ基本的に1組限定。(最近そのようなスタイルになったようだ)
ちなみに、1名でも1組としてカウント。
丁寧に鰻を調理するのは大変な作業なので、
一度に多くのお客さんに提供できなくなったとのこと。
なお、お酒を飲まない(つまみを食べない)客同士ならば2組受け付ける場合もあるようだ。

頂いたのは、鰻重、ツマミを少し、それと缶ビール。
電話予約の際に、お酒を少し飲みたいのでツマミを少しだけお願いしておいた。

さて、鰻重。
完璧と言っていいと思う。
「尾花」や「友栄」の鰻重も美味しいと思ったけれど、遥かにその上を行く素晴らしい鰻重。
鰻自体の質は同等なのかもしれないが、鰻の旨さの引き出し方の技術が凄い。

これほどまでに鰻の皮が美味しいと思ったことはない。
それに身にぶよぶよ感がなくかといって過度な香ばしさもなく
全体がまんべんなく綺麗に脂と水分が削ぎ落とされて旨みだけが残っている。
それと特筆すべきは鰻の小骨が綺麗に取り除かれているために
表面が滑らかで焼きむらが一切ないこと。
この骨を抜く作業はすごく大変であることが容易に想像が付くし、
確かにこれを丁寧にやってたら昼夜各1組限定になってしまうのも容易に想像が付く。

ご主人は御年70。
商売の枠を超えた職人の世界。
丁度季節的にいい状態の鰻に切り替わったタイミングだったのでお客さんは運がいいよ、
と仰っていたが、いや、この職人技ならどの季節でも確実に旨い鰻重を頂けると思う。

というわけで、初めて鰻屋で次回の予約を入れました。

ちなみに、無理してお酒を飲んだり摘まみを頂く必要もないそうです。
ご主人はきっと、鰻の味を分かってくれる方に、
鰻を存分に味わえるコンディションで召し上がって欲しいのだと思います。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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9位

日本橋蛎殻町 すぎた (水天宮前、人形町、茅場町 / 寿司)

6回

  • 夜の点数: 4.9

    • [ 料理・味 4.9
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 ¥20,000~¥29,999

2018/03訪問 2018/04/10

自信みなぎる杉田さん

再訪。19回目。
今回、初めてランチにて。

お任せコースを少し変更し、つまみ少なめ、握り多め、にして頂いた。

結論から言うと、今回頂いた握りは、過去最高の出来栄えだった。
素晴らしかった。本当に素晴らしかった。

今回、すごいと思ったことが3つ。

その1。
鮨種の温度、シャリの温度が完璧。
温度の高低で違和感を感じることは一切なかった。
しかも、鮨種の一部は、表面温度と中の温度との差が敢えて出るようにして、
食感や味に変化をつけられるという離れ技。
これ、本当にすごいよ。

その2。
シャリの具合も完璧。
綺麗にハラハラと解けていく。
ご飯粒の硬さもとても良い。
1粒1粒を感じるか感じないか、ギリギリの線。
しかも、口の中で鮨種の中にご飯粒が1粒1粒が埋もれていく様が大変心地いい。
しかもだ。鮨をどの角度から頂いても、シャリが綺麗に解けて、鮨種に埋もれていってくれる。
これは本当に感動ものだよ。
実は僕は、鮨屋では、どの角度で頂くのがいいのか、また、
舌でどのようにシャリと鮨種を一体化させるのがいいのかを気にしているのだが、
この日のすぎたさんの鮨はそんなことに気を取られることなく、
どんなふうに頂いても同じ結果に行き着いてくれた。
すごいよ、まじで。

その3。
煮切りが最高に美味しい。鮨種やシャリにビシッと合っている。
これまでもすぎたさんの煮切りは美味しいと思っていたが、
この日はあまりにもベストマッチ。
逆に合い過ぎて、煮切りの方に意識が行ってしまうほど。
種に合わせて複数の煮切りを使い分けられ、それぞれが見事にピタッとはまっている。
ちなみに、煮詰めも旨いよ。

そんなこんなで、たくさん頂いて、どれも美味しかったが、敢えて言うならこの日のベスト3は以下。
(1)車海老
(2)金目鯛
(3)子持ちやりいか

(1)車海老。全ての鮨職人に、この車海老の握りの素晴らしさを体験して欲しいと思える品。
車海老の周りと中とで味と食感を変える技法を使用。
感動モノです。
(2)金目鯛。上述の、鮨種の外と中とで温度を変える技法を使用。
更に表面にはほんのり焙った香りまで。
これも感動モノです。
(3)子持ちやりいか。半ナマで生温かく、にゅるにゅるとした食感。
子持ちやりいかが一番美味しい火の通りと温度はこれだ、というところでビタ止め。
これも感動モノです。

また予約電話頑張ります。
全然繋がらないけど。
再訪。18回目。
今回は僕の予約で。
友人をお誘いしての訪問。

前回訪問から3週間しか経っておらず、内容は前回とほぼ同じであったが、
クオリティ面では格段に上がっており、この日は大変素晴らしかった。
ここ数回の訪問の中でも抜きん出ていたように思う。

とりわけ、イワシの握りがスペシャル。
イワシがその温度を一切感じさせず(つまり、口の温度とほぼ同じ)、
もともとその旨みが上手く活性化された状態で口に中で違和感なく蕩けるものだから、素晴らしく味覚に馴染む。
前回もこのイワシの握りが一番だと思ったが、今回は更にその上を行っていた。

このイワシに代表されるように、今回のすぎたさんはネタの温度が素晴らしくピタリとハマっていた。
それと、前回、ネタが大きいなぁと感じた違和感も今回は全く感じなかった。(単に温度の違いなのかもしれないが)
こうなると、ネタとシャリが綺麗に一体化する、すぎたさんの鮨のいいところが全開。

マグロ中トロの仄かな酸味が脂分の上に乗りとても綺麗。
マグロ赤身のヅケの強めの酸味が、浸け汁とシャリの混じり合いの中で綺麗に開いて、赤身が大人の味に。

つまみも今回も素晴らしく、満足度が高い。

日本酒を半合×2つ頂いて、会計は26,100円。
つまみも鮨も美味しく頂いて、ほろ酔いになれて、
友人との会話も楽しくて、あっという間の3時間。

また行きたい。
予約電話を頑張らなくては。
再訪。17回目。
今回も別の方の予約の代打にて。

2名利用。
久々にお会いした、友人の弟さんと初めての差し飲み。
いろいろ話せて楽しかったな。

おまかせコースに、日本酒を少々。
つまみや鮨は追加せず、これで2人で51,500円。

コースの構成は、つまみ7品、鮨12貫、玉子焼き、蛤の潮汁。
品数は少なめだが、1品1品にボリュームあり結構お腹が膨れる。

つまみは、更にクオリティが上がり、酒肴として最適。
特に、イワシの巻物は相変わらず素晴らしい出来栄えで、
今回はいつも以上に美味しかった。

鮨は、いつになくデカネタになっていて少々びっくり。
もともとネタが分厚いのが特徴であったが、
今回は分厚いだけでなくサイズ的に大きい。
意図的にそうされていらっしゃるのだろうけれど。
ちょっと今回のは大きすぎるような気がする。
以前は口の中で上手く調理する感覚があったが、今ではただ混ぜ合わせるだけのような感覚。

今回頂いた中では、イワシの握りがビジュアル的にも味的にも秀逸。
特に、巻貝の柄を思わせるような見た目は、これまでの杉田さんにない方向性。
また、味的にも、イワシの握りとは思えないような異次元の領域に達している。

再訪。
今回は有り難く代打にての訪問。

お任せコースは、つまみとにぎりの比率もお任せで。途中でつまみを少しと、最後に干瓢巻きを追加。
日本酒をたくさん頂いたこともあってか、支払いは28,000円ほどに跳ね上がった。

この日の出来は、なかなか上々。
冬の、良いときのすぎたさんが復活した印象。

この日のつまみは味のバリエーションが豊富で、しかも魚介の質もなかなか良く、
更に細かな手仕事がビシッと決まっていた。
魚介の質の良さだけに頼らない、こうしたつまみを出されると、つい日本酒が進んでしまう。

そしてこの日は、鮨の方もとても良かった。
舎利の状態がとても良く、特に温度の点でネタとのバランスが良くなっていた。
いや、温度の点ではネタの温度が冷た過ぎていなくて、ネタの方が近づいてくれたような印象。
またいつもは温かすぎるのではないかと感じる車海老も温度が抑えられていて舎利の温度にピタッとハマっていた。

すぎたさんの鮨は、冬にこそ、他店にはない特徴が出てくる。
この方向性は、他店が目指す方向性と恐らく異なっているのだろうけれど、
決して奇をてらうことなく真っ直ぐに進まれているので、他店にはない個性がある。
この個性をこれからも楽しんでいきたいと思う。


再訪。
お任せコースで。
つまみと握りの比率は今回もお任せで。

今回のつまみの中では、ぶりの幽庵焼きが出色の出来栄えだった。
血合い?皮の下?の部分がゴリゴリっとした食感に焼けていて、味と食感に妙あり。

握りは、前回はネタとシャリのバランスが見事であったが、今回はバランスが若干崩れているように感じた(ほんの少し)。
季節柄ネタにたっぷりと脂が乗っているのに対してシャリが弱めなのだ。
酢の利かせ方?シャリの量?など要因は幾つかあるのだろうけれど。
以前の都寿司時代も、冬季にはよくこういうことがあった。脂が乗ったネタが続くことも要因かもしれない。

今回頂いた中では、こはだ、アジが秀逸だった。

ちなみに会計は、2人で訪問し、追加でつまみ1品、日本酒3合、ビールを頂いて46,000円ちょっと。

それと、これは余談だが、日本酒をいただく際に出して頂いたぐい呑がとても魅力的だったので
どこの焼き物かをお尋ねすると辻村唯さんの作品とのこと。
ちょうど日本橋三越で個展を開かれているとのことで、早速翌日に訪問し、同じようなぐい呑を買い求め自宅で使ってみた。
しかし、焼き物の出来栄えとしてはすぎたさんで使われているものの方が格段に良かった。
次回すぎたさんを訪問したときに、今回と同じぐい呑を出してもらおうと思う。
移転後、初めての訪問。ちょっと間が空いてしまった。
「お久しぶりですね」とご主人の笑顔。
「お久しぶりですね」と裏方の女将さんの笑顔。
移転後、お店がとても綺麗になり、
以前のような街なかの鮨屋といった感じの庶民的な雰囲気はなくなったけれど、
ご主人と女将さんの温かい雰囲気はそのままで、全然変わっていない。
杉田さんのお店はやっぱり杉田さんのお店。
とても居心地がいい。

私はいつもは、ツマミなしの鮨オンリーで握って頂くか、あるいは、
ツマミを少しだけ頂いて鮨をたっぷり握って頂くか、のどちらかにするのだが、
ツマミが格段に美味しくなっているという噂を耳にしたため、
今回はツマミをたっぷり組み入れたお任せで頂いた。

ツマミは、確かに格段に美味しくなっていた。
以前はツマミは正直なところ「あん肝」以外はあんまり魅力を感じなかったのだけれど、
今回頂いたツマミは、魚の質が全体的にかなり上がっていて、
こうなるとご主人のちょっとした一工夫だけで素晴らしく美味しくなる。

鮨の方は、シャリが素晴らしく良くなっていた。
2012年の初訪時のシャリの良さが戻ってきたという印象。
当時のシャリは本当に素晴らしかった。
その後いつの頃からか徐々にシャリのバランスが崩れ始め、
ネタとシャリとのバランスも崩れていた時期もあった。
しかし、今回頂いたシャリは素晴らしい塩梅。
完全に戻った、というより更に美味しくなった。
綺麗に口の中で解ける。
そしてその隙間隙間にネタの旨みとツメの旨みがスッと入り込んで、
シャリの甘みや酸味や旨みと渾然一体になる。
シャリの温度、ネタの温度のバランスもほぼほぼ完ぺき。
更に言えば、ネタによって微妙に温度を変えられているにもかかわらず、
シャリとの温度バランスがほぼほぼ完ぺきなのだ。

今回頂いた中では、コハダ、新子、アジがダントツの美味しさ。
特にやはりコハダ。杉田さんのコハダに対する情熱がギュッと凝縮した感じ。

ただ、他は、時期的にネタ自体が少々弱く感じた。
別の季節に訪れたなら、シャリが良くなっているので
これまでよりももっと上の味を楽しめるのではないかと思う。

頂いたもの:おまかせコース17,000円、追加で3貫、日本酒半合を2杯
支払い:23,000円くらい
滞在時間:3時間半(普段は2時間くらい)

なお、参考までに、移転前のお店「都寿司」時代の情報はこちら

  • 金目鯛
  • 子持ちやりいか
  • (説明なし)

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10位

クルワ・プリックタイ (新丸子、向河原、武蔵小杉 / タイ料理、カレー)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2016/11訪問 2016/12/03

深くて複雑な旨味がドスンとくるイサーン料理

新丸子駅、あるいは武蔵小杉駅から徒歩少々。
ちょっと歩く距離にあるが、十分徒歩圏内。
タイ料理店。イサーン地方の料理専門。
まだあまり知られていないお店だが、今、注目のお店だ。

頂いたのは、
・「ソムタムプーパラー(発酵魚と沢蟹の塩漬け入り 青パパイヤのサラダ)」(950円)
・「ラープムークアミー(チェンマイのラープ)」(1,000円)
・「タップワーン(茹で牛レバーのハーブ和え)」(1,000円)
・「パッパッルアンミッ(タイの炒めもの)」(900円)
・「トムセーブ(イサーンの酸っぱいモツ鍋)」(1,000円)
それと、サービスで、
・「ナムプリッガームー(ママ特製肉味噌)」
・「塩たまご」
それと、焼酎のウーロン茶割りを何杯も何杯も。

いや~、凄かった。素晴らしかった。
おのおのの素材の味がギュッと凝縮された感じで、
それをハーブやスパイスをふんだんに使って調理され、
その陰に隠れるように様々な発酵系の調味料・食材が混ぜ込まれ、
その結果、深くて複雑な旨味がドスンとくる。
特に、発酵系の調味料や食材の使い方は、この手の味が大好きな僕にとって悶絶もの。
そのおかげで、お酒が進んじゃって進んじゃって止まらない。

「ソムタムプーパラー(発酵魚と沢蟹の塩漬け入り 青パパイヤのサラダ)」★4.5
 見た目は普通の青いパパイヤサラダなんだけれど、味が全然違う。
 発酵魚の発酵味と沢蟹の塩漬けの発酵味が見事に合体して、これがドレッシングになる。
 青パパイヤなどの野菜に深い味わいを与える。凄いです。

・「ラープムークアミー(チェンマイのラープ)」(1,000円)★4.5
 下味が付いた豚肉がこれだけでも美味しいのに、コブミカンの葉などのハーブと
 スパイスによって更に味が昇華。

・「タップワーン(茹で牛レバーのハーブ和え)」(1,000円)★4.6
 レバーは茹でられているけれど、中の方は半生のような感じで柔らかく、レバーの風味抜群。
 もちろん、全く臭みは無く、レバーの味わい全開。
 これもハーブとスパイスが綺麗に効いていて、レバーの旨味と相俟って深くて複雑な味わいに。

・「パッパッルアンミッ(タイの炒めもの)」(900円)★4.2
 見た目は普通の野菜炒めなのだけれど、黄色い豆豉(トウチ)と共に炒められており、
 非常に味わい深い一品。
 黒い豆豉だと豆豉自体の味が強烈に過ぎて野菜の味を多い尽くしてしまうが、
 黄色の豆豉だと発酵味を付加するだけで野菜の旨味の引き出しをアシストするイメージ。

・「トムセーブ(イサーンの酸っぱいモツ鍋)」(1,000円)★4.7
 いや~、モツも美味しいし、スープも深くて美味しい。旨味たっぷり。
 そして、レモングラスの酸味は控えめで、ハーブたっぷりで華やか。

・「ナムプリッガームー(ママ特製肉味噌)」
 肉と味噌だけかと思いきや、野菜が意外と多めに練りこまれており、旨味が複雑。
 これはお酒が進むよ~。家に持って帰りたい。

・「塩たまご」
 何これ。こんなの食べたこと無いよ。
 白身の臭みが抜け、ざらざらとした食感と共に舌の上で細胞組織が崩壊していく感じ。

超おススメです。
僕もまた行きます。

  • ソムタムプーパラー(発酵魚と沢蟹の塩漬け入り 青パパイヤのサラダ)
  • ラープムークアミー(チェンマイのラープ)
  • タップワーン(茹で牛レバーサラダ)

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