ノバンディさんのマイ★ベストレストラン 2012

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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今年は、昨年に引き続き、たくさんのフランス料理店に行きました。
僕がこれまで知らなかった料理の世界がありました。

ベスト10に挙げたレストランは、どのお店も、ものすごく手の込んだ仕事を為される料理を出されます。
その技巧によって様々な味が表現されており、多くの感動がそこにあります。

フランス料理は高い、というイメージがありましたが、
実際にいろいろ行っていろいろな料理を頂いてみて、決して高いだけではなく、高いのには理由がある、
というのが納得できるようになりました。むしろ、安いのではないか、と思えるようになりました。

多くの美味しい時間をありがとうございました。

今年のベストレストランは、フランス料理店の中から選んでみました。

マイ★ベストレストラン

1位

ラシェリール (白金高輪、白金台、広尾 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥5,000~¥5,999

2014/06訪問 2014/06/30

小さなお店で美味しいフレンチを温かな雰囲気で

再訪。今度はランチで。記念日で。
決してゴージャスではないが落ち着いた雰囲気の中で気持ち安らかなひとときを過ごせるお店。
なので、こちらを選んだ。

頂いたのは、ランチの3800円のコース(税サ別)。
アミューズ、前菜、スープ、メイン、デザート、飲み物という構成。
メインに魚料理を選び、その結果、
前菜はハモ、スープは魚介、メインは鮎という具合に魚介料理で攻めた。

結論的には、やはりこちらのお店は魚介料理がかなりいいという印象。
ハモは、決して身がだれることなくしっかりとした味わい。それでいてきちんとフレンチの味付け。
スープは、魚介の旨味たっぷり。これはかなり美味しい。そして添えられたホタテがそれを上回る美味しさ。
こういう2段攻撃はそうそうみられない。
そして、鮎も抜群の火入れ。表面がサクッと香ばしく、鮎の良さが活きている。
こんなに魚介を上手く操るフレンチのお店はなかなかないんじゃないかな。

ちなみに、ディナーはしっかりと手の込んだ調理法。ランチは比較的ライトでシンプルな調理法。
そんなメリハリがあるので、今度はランチ、今度はディナー、というように使い分けができる。

小さなお店ではあるが、何もかもが行き届いており、しかも奇を衒わない正統な個性がある。

■2012年3月-----
白金高輪駅から徒歩10分と、少々アクセスが微妙なこともあるのだろうか。
訪れた日は、お客は他に一組だけでかなり寂しげ。
しかし、料理もサービスも飛び切りに良かった。とても勿体無いと思う。

店内はこじんまりとしているが、白を基調として清潔感が溢れており、
ちょっとした記念日を落ち着いた雰囲気で和やかに過ごすには最適なのではないかと思う。

この日頂いたのは、6,800円のコース、グラス赤ワイン(1,600円)、グラス白ワイン(1,500円)。
なお、サービス料は10%。
この日の会計は10,000円ちょっと。
料理の美味しさとサービスの良さを考えると、とてもお得に感じた。

その料理だが、この日頂いた中で、骨付き仔羊のローストが最高に美味しかった。
同じような料理は他店でかなり頂いてきたが、それらの中でもダントツに美味しいと言える。
肉自体の質もいいのだが、何と言っても、火入れ。
かなり生っぽさを残す火入れ加減なのだが、この塩梅がかなり良く、
仔羊の肉の上手さを最大限に引き出した感じで、これ以上でもこれ以下でもない絶妙の火入れ。
これには思わず唸った。というか、言葉が出なかった、という表現が正しいかもしれない。
悶絶級の美味だった。

また、グリーンアスパラガスのサラダの、アスパラガスへの火入れも絶妙。
ソースが、他の野菜とアスパラガスとの仲を取り持つ感じで、皿全体が綺麗に纏まっている。

魚料理も、デセールも美味しく、最初から最後まで大満足。
コースを通しての盛り上がり感も心地よく、食後の爽快感も心地いい。

あ、それと、マダムの接客が颯爽としていて気持ちいい。
凛とした雰囲気の中に温かさがある。
それと、グラスワインをお任せしたのだが、そのセレクトがかなり良かった。
小さなお店なので接客はマダムお一人で。でもとてもきめ細かで温かなサービス。
こういう小規模店舗ならではの魅力。

いや~、ここ、かなりいいと思う。

  • 活〆ハモのグリエ
  • 鮎
  • 海の恵みのスープ 帆立貝添え

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2位

レフェルヴェソンス (表参道、乃木坂、広尾 / フレンチ)

2回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 ¥10,000~¥14,999

2017/06訪問 2017/06/24

個性と個性が寄り添う

再訪。11回目。
2年ぶり。改装後は初。
以前いらしてたスタッフの方々も殆ど変わり、内装もシックになった。

心機一転。
お店も私も。

ディナー利用。
ディナーコースと、ワインペアリングにて。

結論から言えば、今回も素晴らしかった。
いや、今までより更に素晴らしくなっていた。
以前から素材の旨みの引き出し方や、素材と素材の組み合わせ方が職人技だと感じていた。
ただ、その方向は今回更に進化しているように感じたのだ。

以前は、素材の旨みの本質以外を削ぎ落とし、調理方法により本質的な旨みを昇華させ、
調味料やソースによりそれを上手くまとめるイメージだった。
そこには、シェフはきっとこういう味を出したかったのだろうと
僕自身が想像できるような、計算し尽くされた味の広がりがあった。

しかし今回頂いてみて感じたのは、
確かに、素材の旨みの本質以外を削ぎ落とし、
調理方法により本質的な旨みを昇華させるというベースのところは変わっていないけれども、
調味料やソースや他の素材とを掛け合わせることにより
更に味を昇華させるような広がりがあるというイメージ。

今回は初夏ということもあって爽やかな酸味を意識したコースの流れで一貫しており、
また若くて味も食感も柔らかな食材が手に入るためできるだけその素材を活かしながら、
味の強弱の変化もあり、コースの流れ方がとても綺麗。
以前のディナーコースに感じていた一貫性の無さはきれいに無くなり、
素晴らしいコースに仕上がっていた。

生江シェフはまた新しい境地に達したのではないかと感じた。

今回のコースの内容:

(1)ハロー〜
鳩、伊勢海老、ルバーブと日本酒
(2)アップルパイのように #28〜
毛蟹、茴香、虎杖
(3)ユニゾン〜
上り鰹と春菊、白味噌、グレープフルーツと生姜、しょっつるのツメ
(4)定点〜
蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ
(5)市井の山居〜
あいなめの乳清ポシェと山菜たち、山椒ラヴィゴット、マッシュルーム&ブラックオリーブ
(6)マイグレーション〜
とうもろこしの冷たいスープと発酵乳、モーレネグロ
(7)おばあちゃんの味〜
ちいさな茶碗蒸し、栄螺、二十日大根の糠漬け
(8)森のむこうに/狩りの記憶〜
夏鹿のロティとムール貝、茗荷、茄子、大葉、青梅
(9)西と東と〜
チーズたち あるいは お野菜たち
(10)陽だまりの縁側〜
”ビワ・マンジェ”と甘酒のムース、抹茶ケック、品川萩の花のアイス
(11)木陰の涼~
メロン、ヨーグルト、アカシアの花
(12)ミニャルディーズ & お薄

これらの中で特に素晴らしかったのは、(5)のあいなめ料理、(10)のデセール、(4)定番の蕪料理。

(5)のあいなめの料理は、あいなめを予め乳清で茹でることにより柔らかい食感になり、
あいなめ特有の魚臭さが抜け、独特な酸味が付加される。
これが、滋味溢れる山菜と素晴らしく合うのだ。
山菜はその種類や部位によって滋味が異なるから、一口一口味が微妙に異なり、
更にそこにソースや山椒などの味が加わり素晴らしいセッションに。
これまでレフェルヴェソンスで頂いてきた料理の中でも1位2位を競うような料理だ。

(10)のデセールは、ビワ特有の甘みと微かな酸味と、甘酒の発酵系の酸味と、
アイスクリームの甘みと仄かな苦味とが、寄り添いながら新たな甘みや酸味を作り上げていく。
このデセールは、凄いよ。こんなデセールを出すフレンチレストランが他にあるだろうか。

(4)定番の蕪料理も、以前と比べて更にパワーアップ。
初夏の蕪は、若々しく元気一杯。
辛味が綺麗に甘みに変化し、蕪の水分をたっぷりと含んでパツンパツン。
口の中に蕪の甘みが元気良く広がる。

また、その他の料理も素晴らしかった。
(1)アミューズブッシュは、えんどう豆の泡が、鳩のジュレや伊勢海老を上手く包み込む。
また、一口ごとに違った味わいが楽しめる。
最初にこれが出ることで、自分の味覚がいきなり活性化する。

(2)定番のパイは、今回は毛蟹、茴香(ういきょう)、虎杖(いたどり)。
この、茴香(ういきょう)、虎杖(いたどり)の2つの山菜が素晴らしい働き。
この時期ならではの、滋味溢れる味わい。

(3)上り鰹の料理。鰹の刺身が単なる鰹の刺身に終わらず、また、
春菊や白味噌などと合わさっているにもかかわらず和食にならず、
綺麗なフレンチとして仕上げられていることに驚く。
上り鰹の特有の酸味が、他の酸味と合わせることで変化。とても上手い。

(7)ちいさな茶碗蒸しは、コースの中では小休止的な位置づけではあるが、
この出汁の旨味で自分の味覚が綺麗にリセットされて、原点に戻る感じ。
次の肉料理に向けて、自分の味覚の準備が整う。

(8)夏鹿のロティは、肉汁をたっぷりと含み、また柔らかく、素晴らしい味わい。
鹿って、大抵は身が硬くなって、ときとして繊維質が口の中に残りパサパサになってしまうが、
この夏鹿のロティは全然そんなことなくて、瑞々しさがある。
これに合わせる茗荷、茄子、大葉、青梅は、完全に和の食材だけれども、
鹿肉と合っており、鹿肉の滋味をもう一段上の滋味に引き上げてくれる。
これも素晴らしい一皿だった。

(9)チーズの盛り合わせも、チーズの状態がとても良く、4つそれぞれの個性も光る。

ペアリングで出していただいたワインのセレクトも素晴らしく、
特に(5)のあいなめの料理で出して頂いたワインは料理とのバランスが素晴らしかった。

振り返ってみて。
今回のディナーは、過去最高のフレンチディナー。
料理だけではここまで感じなかったし、ワインだけでもここまで感じることはないだろう。
また、ワインをペアリングにしていなければ、ここまで感じることもなかっただろう。
料理の個性とワインの個性とがペアとなり丁度ぴったり寄り添うことで、
お互いの個性が花開き、活きる。
マリアージュとはこういうことを言うのだろう。

再訪。10回目。ランチで。
今回も、「おでかけ」(7800円、サ別)を選択。
それとワインを2杯。

春の蕪。個人的に難しいのではないかと思っていたが、凄かった。
いつもより若干堅めに仕上げられた蕪の奥の方に、その蕪の存在感を知らしめるエグミ。
普通、このエグミが残るのは失敗作にも思えるのだが、じっくり火入れした蕪の旨味がたっぷりと
その周りに存在するため、そのエグミはすっかり和らげられて制圧されている。これはすごい。

あと、ホロホロ鶏の低温調理。流石です。
他店で良く見かける食材も、レフェルだとこんな味に昇華するのかと驚いた。

ただ、今回、春をイメージさせるために全体的に味に淡さや華やかさが施され、
ちょっとやりすぎのような印象もあり。特に、フォアグラのナチュレル。
そういうこともあって、逆にシンプルな蕪の料理が際立った。

■2015年2月-----
再訪。9回目。
前回からおよそ2年空いてしまった。
前回訪問時の印象が諸事情あってあまり良くなかったのが最大の要因なのだが、
久々に訪れてみて、やっぱりレフェルヴェソンスはいい、と思った。

ランチで利用。ディナーコースから数品がセレクトされる「おでかけ」(7800円、サ別)を今回も選択。

この日は、定番のフォアグラのナチュレルが、進化を遂げていて最高に美味しかった。
以前はこのフォアグラのナチュレルは、冷たくそして塩がきつかったが、
これが少し温かくなり、そして塩の代わりに酸味や甘味などがある他の食材と組み合わせるようになり、
これにより新たな味わいを作り出す方向に変化。これが大変素晴らしかった。

また、スペシャリテの蕪も、以前は味付けをいろいろトライしていた感があったが、
どうやらしっくりくるスタイルを確立されたようで、この日は味がバッチシ決まっていた。

そしてそして、やはりメインの鴨のロティ。最高に美味しい。
鴨の質もさることながら、それを活かしきる調理技術が素晴らしいです。

この日は、ワインのセレクトも完璧。すごく良かった。

スタッフはかなり入れ替わり、以前のような尖がり感は若干薄れてしまったが、
手厚いサービスは以前と同様に引き継がれているので安心感がある。

また訪問を再開しようと思う。

■2012年12月-----
再訪。ディナーにて。
料理は変わらず美味しいが、
ワインのセレクトはもうちょっと何とかならないのかと思う。
日本のワインを織り交ぜて面白いものをチョイスしてくれるのだが、
正直言って、日本のワインもここまできたかという面白さはあるけれど、料理に合っていないと思う。

■2012年9月-----
これほどまでに、
素材の味の特質、温度、塩分、酸味、
複数の食材が合わさったときに訪れる変化、時間の経過による変化、
を、きっちりと計算し尽くした料理が他にあっただろうか。
素材の選び方から、皿の上の分量、素材と素材・素材とソースの割合、
素材の調理法、素材の火入れ加減、素材の温度に至るまで、
ありとあらゆる調理方法を駆使して、見事なまでの完成度で一皿一皿がやってくる。
もちろん、きっちりとした「意図」が料理に表現されているので、
頂いていてその「意図」が分かりやすく伝わってくる。

例えば。
他店だと、時折考えることがある。
この皿の上に乗った食材を、どういう組み合わせで、どういう分量で頂いたら最も美味しいのだろうか、と。
この付け合わせを主役の食材とどう組み合わせたら最も美味しいのだろうか、と。
結果、ある一口は美味しかったり、ある一口はイマイチだったり。
そんなブレを感じざるを得ないことが多々ある。
しかし、こちらのお店の料理の驚くべきところは、
その皿の上に乗っている食材は、どう組み合わせても、どのような割合で組み合わせても、
幅広いストライクゾーンの中でいろいろな変化を見せるだけで、決して外さないのだ。
だから、口に入れるたびに新しい味わいがあるし、新しい発見がある。
これは、明らかに「意図」しなければ成しえない味だ。

その最たる例が、フォアグラの料理。
ベースとなるフォアグラの美味しさは折り紙つきだが、
それに加えられる岩塩の濃度の違いや、付け合せの野菜たちの違いによって、様々な味の顔を覗かせる。

ディナーは、お任せのコースのみ。
きちんと山場が訪れるような構成、大波小波がある構成。
ビジュアル的にもよく目で楽しめる。
それでいて味を犠牲にしていないところが凄い。

ランチは、ディナーのポーション少なめコースと、幾つかをピックアップしたショートコースが用意され、
ディナー時と同じクオリティで提供されている。かなり格安なので、コストパフォーマンスは抜群にいい。

接客陣の充実度は大変素晴らしく、至れり尽くせり。
ソムリエも、料理にきっちり合わせたワインをセレクトしてくれる。
何も言わないと特に昼は料理に合わせてリーズナブルな価格帯のものが出てくるので、
もし所望であればランク上の価格帯のものをと言えば対応してくれる。

なお、料理は、店名の「レフェルヴェソンス(泡)」にちなんだ泡系のものが多いと思われがちだが、
実際は一部だけであって、殆どはしっかりとストレートな感じ。
例えば、「岩手短角牛サーロインのロティとそのジュ」は、
2011年に私が他店も含めて頂いた全ての料理の中で最も感銘を受けた料理なのだが、
素材の味を力強く感じされるものであった。
岩手の短角牛のロティに、土臭さを感じさせるごぼうのピュレが敷かれており、
一見ミスマッチな印象なのだが、実際に頂いてみると、
ごぼうが却って短角牛の素晴らしさをより際立たせ、
またそこに岩手の生産者の方々の素朴さと繊細さと底力を感じさせる。
そして、ごぼうのピュレは東北の豊かな土壌をイメージさせ、
また赤軸ほうれん草は深く豊かな森をイメージさせ、
陸前高田産の椎茸から溢れ出てくるジュースから熱いハートをイメージさせる。
そんな、素晴らしい一皿であった。

こういう料理を頂くと、ただ繊細だとか、ビジュアル重視だとか、面白い組み合わせだとか、
そういう論評はまったく軽々しいと思えてしまう。

これまで確か7回訪問させて頂いたのだが、これからも訪問させて頂くつもり。

なお、壁側に3名仕様のボックス席があり、一度接待で利用したのだが、大変良かった。
コの字型の真ん中が主賓席。もてなされている感じがハンパないと思う。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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3位

エディション・コウジ シモムラ (六本木一丁目、神谷町、六本木 / フレンチ、イノベーティブ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2012/04訪問 2012/10/28

素材を活かした端整な旨みの力強さ

素材の質も素晴らしいが、
それに一工夫が施されていて、その一工夫がビシッと効いている。

素材そのものを捏ね繰り回したりせず、
できるだけその良さをストレートに活かそうとされていると思われ、
ソースは必要最低限の少量。

比較的ドライな方向の料理なので、その皿の主役となる素材から染み出してくる旨みと、
これに対して一工夫を施している食材からの付加的な旨みとが、
水分という媒体を介することなく直接的に混ざり合うので、
端整であり繊細でありながらも力強い旨みが重なり合い、うねりとなる。

その最たるものが、「カダイフを纏った的鯛の軽やかなフリット」である。
他店のカダイフのフリットとは、次元が全く異なっている。
こちらのお店のカダイフはまるで蜘蛛の糸のように極細でサクサクという食感が素晴らしく、
カダイフに包まれた的鯛の美味しさと相俟って、言葉にならない美味しさが訪れる。
繊細なカダイフを壊して中の的鯛の美味しさを堪能しているその様は、
まるで、傷つけてはいけないものを傷つけながら大切なものを我が物にしているかのような、
そんな錯覚さえも覚えるものであり、軽い罪悪感と優越感から本能を揺さぶられているような気になる。
いや~、これは凄いと思う。

そして、「生雲丹とビーツのコンソメジュレのコンビネーション」は、
他店の雲丹のコンソメジュレがけとは、これも次元が全く異なるもの。
生雲丹のおいしさ、コンソメジュレの美味しさもさることながら、
ビーツなどの他の素材が間に入ることによって、
それぞれの美味しさが思いも寄らぬ方向に昇華して新しい美味しさが作り上げられている。
全体のバランスが、非常に見事だ。

そして、フォアグラのソテーに竹の子とホタルイカを合わせるという大胆な発想の
「竹の子 ホタルイカ フランス産フォアグラのソテー」も、
よくあるフォアグラの味を格段に昇華させてまったく異なる次元に持っていく。

そして、「ベジュータ(最高ランク)のイベリコ豚」では、シンプルに焼き上げたイベリコ豚の味そのもので勝負。
しかし、それだけに終わらず、そこに添えられたほんの少しのソースと、ほんの少しの付け合せの野菜が、
このイベリコ豚の味の幅を更に広げる役目を果たす。
この計算尽くのバランスは実に見事。

デザート、小菓子、ハーブティーに至るまで、全く隙が無い。

今回頂いたのは、9450円のコース(サ別)。
アミューズ、前菜1、前菜2、お肉料理、お魚料理、デザート、カフェ、小菓子、の構成。
これにワイン2杯で、会計は1.5万円弱。
この充実した内容でこの価格は非常に安いと思う。

店内は、明るく、白く、ゴージャスな感じで、デート等にも良さそう。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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4位

フロリレージュ (外苑前、表参道、乃木坂 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥8,000~¥9,999

2013/12訪問 2018/03/21

ひたむきな挑戦と温かなもてなしと

再訪。

■2013年11月-----
再訪。
今回は久々にかなり良かった。ハズレがなかった。
特に山鳩のローストが良かった。
ただ、山鳩に添えられた長人参のローストは香りが強く山鳩の味わいを邪魔する。
ビジュアル的にはいいんだけれども、どうも必然性を感じない。
かなり良かったこの日でも、料理にそんな危うさを感じた。

だんだんとフロリの方向性と僕のツボとの間に距離を感じ始めている。
今のフロリの方向性は、色彩や立体感といったビジュアルやいろいろな仕掛けで楽しませるもの。
また、個々のパーツパーツは素材もいいし火入れもいいし美味しい。
ただ、全体的なまとまり感はなくなってしまったなぁという印象。
ソースなどの組み合わせの妙、というものが殆ど感じられなくなってしまった。

■2013年9月-----
再訪。
豚にビーツのソース。全然合わない。フロリでは時々こういうことがある。
ビーツのソースはビビッドな赤で確かに色彩的には映える。
しかし、ビジュアルが重視されて、味は二の次になってはいないか。

■2013年7月-----
再訪。
この日も、チャレンジングな料理が提供される。鼈(すっぽん)。
僕自身この料理をどう解釈していいか分からないのだけれども、
確かに挑戦されていらっしゃるのは分かるが、まだまだ延びシロがあるのではないかと思う。
鮎の料理にしても同じ。昨年は同じような料理を小さめの鮎で頂いたが、今回はかなり大きめのもので。
これも挑戦。しかし、これは逆に延びシロが広がってしまった感。

■2012年12月-----
再訪。
この日の主役は、イノシシ肉。
脂身や赤身の熟成感がとても素晴らしく、悶絶。
また、これまでこちらのお店でなかなかいい魚介料理に出会うことがなかったのだが、
この日は、ブリ料理も、白子料理も、アナゴ料理も非常に良かった。

■2012年10月-----
再訪。
この日はなんと鹿のレバーの入荷があり、
同行者4名全員、何の迷いも無く鹿のレバーを注文。(笑)
いや~、凄かった。文句無く★5.0
これがランチ4,200円なんてありえない。

■2012年8月-----
「普段使いのお店を訪れる」ことをモットーとしていた僕が
まさかお洒落なフランス料理店に通い詰めることになろうとは思ってもみなかった。

見た目の格好良さやお洒落とか、権威や人の評判とか、デートに使えるお店のストックとか、
そんなのに全然興味がない僕にとって、これまでフランス料理店に行く必然性がひとつも無かったのだ。

ところが、とある切っ掛けでこちらのお店を訪れる機会があって、料理を頂いてみて、
それ以来すっかりファンになってしまい、もう何度も訪問させて頂いている。

それは、僕の価値観と非常に合致していると感じることがたくさんあるからであり、
訪れるたびにいつも感銘を受けるからだ。

その価値観の合致は僕の勝手な想像なのかもしれないけれども、
訪れるたびに確信に変わりつつある。

僕の、こちらのお店の料理に対する印象はこうだ:

 ・食材の持ち味を大切にしていらっしゃる。
 火入れ、食材の組み合わせ、ソースとの組み合わせ、などなどに様々な工夫を凝らし、
 その素材の持ち味を色々な角度から引き出していく。
 「ああ、この食材はこんな顔も見せるのか」といつも驚かされる。

 ・このような工夫は、こちらのお店の得意素材であるフォアグラやチョコレートだけでなく、
 肉、魚介、そして野菜に至るまで、様々な食材に対して繰り広げられる。

 ・また、お皿の上に乗った食材は、単に飾りに留まっているものはなく、
 どれも料理全体の味を高める上で、何かの意味や効果をもたらすものになっている。

この3つのポイントが、僕にとってはツボそのものであり、
一つの皿の上に乗った全ての食材は、その火入れと、その組み合わせと、そのポーションに、
何らかの必然性を感じるものであり、
皿に乗った全ての食材が共同作業で「料理」を作り上げているところがツボそのものなのだ。
そこにはシェフの全ての食材とその持ち味を大切にするという思いが込められているような気がする。

ただ、料理は必ずしも完全完成形ではなく、即興セッション的な危うさが感じられるところもあると思う。

しかしながら、シェフは季節によって変わっていく食材や食材の持ち味に合わせて調理を様々に変えていらっしゃり、
単に「大切にする」という表現では言い尽くせない思いで、常に新しい挑戦をされていらっしゃるのだと思う。

一方のサービス陣は、こうした料理を全く押し付けることなくユーモアを交えながらお客に提供される。
このホスピタリティには温かさを感じる。
料理とお店とお客を愛していらっしゃるんだろうな、と思う。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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5位

メゾン エメ・ヴィベール (恵比寿、広尾、代官山 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2013/05訪問 2013/09/16

言うことありません

再訪。ランチで。
7350円のプリフィックスコース。(サ10%別)

前回も良かったが、今回も良かった。
料理はクラシック路線ではあるが、盛り付けデザインはモダンで、味にはポップな要素も付加されており、
クラシックとモダンのちょうど境目を自由に楽しんでいる印象。
特に僕が凄いと思っているのが、温度への配慮。
温かくすべきものは温かく、ぬるくすべきものはぬるく、冷たくすべきものは冷たく。
それらが上手くコントロールされている上、コースを通しての温度の強弱が上手くバランスされている。

■2012年12月-----
恵比寿に新しくできたグランメゾン。
麹町の「エメ・ヴィべール」も良いと思ったが、こちらも。
何と言っても、店内がゴージャス。
麹町のお店もゴージャスだったが、こちらも負けず劣らず。

ランチで訪れた。
店内に外から温かな光が差し込み、そして窓全面に黄色い銀杏景色が見え、かなり良い雰囲気。
内装もとにかくゴージャス。
テーブル間隔もしっかりとられており、ゆったり。
クロスも、ナプキンも、カトラリーもビシッと完璧。
こういうところに女性を誘ったりしたら、そりゃイチコロじゃないかな。

とにかく、嫌味がない。
成金趣味じゃないし、煌びやか過ぎないし、威圧感もない。
クラシックな重たい雰囲気もない。
そして、客層がいい感じ。

デートにも、記念日にもとてもいいんじゃないかと思う。
いや、特に結婚記念日とか、そういうシーンだろう。
僕が知っているフランス料理店の中でも、そういう用途に向いている度ではダントツではないかと思う。

ランチは、4200円、7350円のプリフィックスコース。(サ10%別)
7,350円の方を頂いた。
ちなみに、この雰囲気のお店で4,200円のコースを提供されていること自体が驚き。
ランチは1回転しかしないはず。
お店の面積とスタッフの数を考えると、とてもこれでは元を取れないだろうに。

さて、7350円のコース。
構成は、アミューズ、前菜、スープ、魚料理、グラニテ、肉料理、一口デザート、
デザート、小菓子、カフェと、かなり豪華な内容。これも元が取れるんだろうか。

料理は、もう完璧としか言いようがなく、
クラシックでありながら、モダンな要素を少し散りばめ、完璧に纏め上げられている。
食材のクオリティも良く、火入れも良いし、ソースも言うことなしで、ひとつひとつの皿の完成度が非常に高い。
ひとつひとつの食材が大切にされ、ソースとの相性も大切にされている。
最初から最後まで、何一つ力が抜かれることなく、全速力でコースを走り抜ける感じ。
全ての皿が完璧なのだ。

最後のカプチーノは、絵も描いてくれるし、飲み終わった後にゆっくりしていると新しいもう一杯を持ってきてくれた。
どこまでサービスが行き届いているのだろう。

お店の雰囲気、料理の完成度、サービス、コストパフォーマンス、どれを取ってみてもほぼ完璧で、
こういうお店は他に無いんじゃなかろうかと思う。
本当に経営が成り立つんだろうかと本気で心配。

  • アミューズ
  • アナゴと帆立貝のテリーヌ
  • あたたかい春キャベツのヴルーテ

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6位

エメ・ヴィベール (麹町、半蔵門、市ケ谷 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2011/12訪問 2012/10/29

クラシックもいいなぁ、と思えた貫禄のフレンチ

山手線のど真ん中という好立地で、
お城のようなゴージャスな雰囲気で、
美味しいフランス料理を頂けて、
接客も至れり尽くせりで、
ディナーコースが10,500円(サ別)って何かの間違いじゃないかと思えるほどの、充実度。

しかも、このディナーコースの構成は、
アミューズ、前菜、魚料理、グラニテ、肉料理、フロマージュ、アヴァンデセール、デセール、小菓子、お茶
という凄まじさ。

コストパフォーマンスがいいお店って、料理にどこか妥協点があったりするものだけれど、
こちらのお店の料理は手抜き一切なしの正統派クラシック直球勝負。
素材も、火入れも、ソースも、塩分も申し分ない。
クラシックではあるのだけれども、古めかしさを一切感じさせない軽やかさもある。
でも、ベースがしっかりしているので、「やっぱりクラッシックっていいなぁ」と思わせる。

最初、お店のWebサイトとかを見てると、なんとなく「これがフレンチだ!」というような圧迫感を感じていたのだが、
実際に頂いてみると、そんなことは全然無くて、料理がこちら側の味覚に歩み寄ってくれているような感じ。
最初お城のようなゴージャスな雰囲気のお店に僕なんかが行っちゃっていいのだろうかと緊張していたのだが、
料理の方から僕に歩み寄ってくれた感じがして、徐々に緊張の糸も解れて、存分に料理を楽しむことができた。
もちろん、接客の方々の至れり尽くせりのサービスのお陰もあると思う。

頂いた主な料理は、
前菜:「ランド産鴨のフォワグラのポワレ トリュフ風味のソース」
魚料理:「真鱈のコンフィと白子のムーニエールとやわらか~いキャベツ ハーブの香り」
肉料理:「ペルドロー(山ウズラ)のロティ シ ンプルなジュ」
デセール:「クリオロ種68%ショコラのクリームとマロ ンムース マカダミアナッツのパルフェ」

いえね、前菜で、鴨のフォアグラが出てきた時点でもうノックアウトという感じで。
美味しいのなんのって。味覚のつぼのド真ん中。
トリュフ風味のソースも完璧で。

魚料理の白子のムニエルも、美味しいのなんのって。これも味覚のつぼのド真ん中。
やわらかいキャベツも程良いアクセント。
また、ソースも非常に良く、白子のムニエルと真鱈のコンフィとキャベツとが一皿の上で馴染んで調和。
いや~、ソースって大事だわ~。

肉料理の山ウズラが、この日最高に美味しかった。
山ウズラの滋味溢れる味わいと、シンプルなソースが見事にマッチ。
このソースとて、シンプルといえどもこれまた滋味溢れるもの。
スプーンで必死になって浚いました。(苦笑)

これだけたっぷりと頂くと、最後のデセールのショコラはさすがに重たかったけれど、
これまた味わい深いもので、しっかりと堪能させていただいた。

コースでは、こうした料理の合間合間にグラニテ、アヴァンデセールなどを挟み込んで小休止と盛り上がりを演出し、
デセール後もフロマージュや小菓子やカフェで、食後の余韻に浸る時間を十分に与えてくれる。

そして、食後は庭に出て、ちょっとしたお散歩。
そして、戻ってきて、再びカフェのお代わり。

いや~、本当に本当に至れり尽くせり。

それでいて、この価格。
脱帽です。

  • ランド産鴨のフォワグラのポワレ トリュフ風味のソース
  • 真鱈のコンフィと白子のムーニエールとやわらか~いキャベツ ハーブの香り
  • ペルドロー(山ウズラ)のロティ シンプルなジュ

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7位

ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ (祐天寺、中目黒 / ジビエ料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2012/12訪問 2012/12/30

季節差、個体差、熟成差

再訪。
今回は事前にコースをお願いした。
いろいろなお肉を織り交ぜたお任せのコース。
生ハムがすごい。グリルがすごい。青首鴨がすごい。
肉そのものを非常にシンプルな味付けでストレートに味わうことができるので、
肉そのものの味で勝負という感じなのだが、それに耐えうる凄い品質の肉。
肉自体が美味しいのだろうけど、更に熟成度が最高にいい状態で提供されていると思う。
前回も美味しいと思ったが、今回の美味しさはとても素晴らしかった。
評価を★4.0→4.5に上げた。

■2012年2月-----
ジビエの季節が終わる前に、ということで晩冬に訪問。
時期的に滑り込みセーフな感じだったので、ジビエの種類は少なかった。

ただ、こちらのお店の売りは、ジビエだけではなく、熟成肉。
ジビエ崇拝者ではない私にとっては、実は熟成肉の方が楽しみだった・・・。(笑)

お店は、ジビエのお店ということでもっとマニアックな感じを想像していたが、
結構カジュアルな感じの内装で、テーブル間も席間も狭く、雰囲気はワイワイガヤガヤ。
意外だった。
じっくりと肉と向き合うというよりは、
登場する肉の派手さに狂喜乱舞する感じで宴会的なノリで肉をやっつける感じ。
(実は私、こういう肉には、じっくり向き合って静かに味わいたい派)

頂いたのは、4人で、こんな感じ。
・新潟産 尾長鴨
・クラシックな本州鹿のテリーヌ エピス風味
・岩手清流鶏白レバーのキャラメルプリン
・鹿のブータンノワール テリーヌ仕立て
・千葉県産の猪のクスクス カレー風味
・お通し イノシシ肉がびっしりのグラタン
・無農薬野菜 ハーブとグリーンサラダ
これにワインを何杯か飲んで一人会計は6,000台。安い。

この日の主役は、尾長鴨。
大陸から飛んできた鴨を網で捕獲したものらしい。
これを1羽で注文したのでどんなボリュームで出てくるのかと期待していたのだが、
実際出てきた皿には、ほんの少しの肉・・・。
まぁ、かなり美味しかったけど、この落胆気分の方が強く、ちゃんと楽しめばよかったなぁと後悔。

この日頂いた料理の中で、最も良かったのが、「鹿のブータンノワール」。
これは本当に良かったなぁ。
鹿肉の美味しさもさることながら、血の感じも凄く良かった。

また、鹿のテリーヌも良かった。

ただ、イノシシ肉の料理はいまひとつだったなぁ。

まぁ、そんな感じで、料理は良いものがあったり、そうでないものもあったり、玉石混交という感じ。
総じてレベルは高いけど。
季節ごとに味わいも変わるし、
個体ごとに味わいも変わるし、
熟成度合いによっても味わいも変わるのであろうから、
結局、訪れるタイミングによって、料理も違えば、調理方法も違えば、もちろん肉の個体も違ってしまう。
だから、訪れるタイミングによって肉の種類や味わいが変わってくるので、
そういうハプニング性を楽しみに訪れるのも良いのではないかと思う。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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8位

シェ・イノ (京橋、宝町、銀座一丁目 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥15,000~¥19,999

2012/03訪問 2012/10/21

重厚な迫力

料理の味の重厚さも勿論のこと、
技術と経験に裏打ちされた迫力が料理からビンビンに伝わってくる。
そんな重厚な迫力が、シェ・イノの料理にはあると思う。

一皿一皿きっちりと下拵えされ、食材と食材がきっちりと昇華し合い、
説得力をもったソースが食材と絡むことでその必然性を如何なく発揮する。
一皿のポーションは多いので、もし料理がこのような完成度でなければすぐに飽きてしまうものだが、
ここまで説得力があると、食材や、その食材の部分部分や、ソースの絡め具合によって、
軸足がぶれないで様々な味の変化が楽しめる。だから、皿の途中で、飽きない。
もちろん、ワインとの合わせによって、更に味のバリエーションが広がっていく。

特に素晴らしいと感じたのは、ソースだ。
最近のフランス料理店は、ソースを少なめで、かつ、非常に軽くしているお店が多いように思うが、
こちらのシェ・イノでは、しっかりとしたソースを、たっぷりと提供される。
あまりにも単純なソースだと食材との合わせが非常に難しいと思うが、
ここまで奥行きの深く、かつ食材とマッチするものだと、
これだけたっぷりのソースでももっと多くあってもいいと思える。
勿体無いので、ついついパンでソースを綺麗にさらってしまう。

ランチで訪問。
デギュスタシオンのコース(8,400円)を注文。
メインをマリアカラスに変更してもらった(追加3150円)。
これに、ワイン(1360円)、ワイン(1260円)。サービスは10%。
ざっと、15,000円くらい。

オマール海老のガトー仕立ては、かなり分厚く、しっかりとしたポーションで出てくる。
オマール海老の味が落ち着いて、そのしっとり感が非常によい。
野菜とも非常によく馴染んでいる。

エイは、肉厚な白身と若干酸味のあるソースとのバランスが非常に良かった。
フランス料理店で思わず唸ってしまった魚料理は、他にあまりない。

そして、こちらのお店のスペシャリテのマリアカラス。
いや、これ、文句なしに美味しいでしょ。
羊肉の質や火入れや、パイ包みにすることによって凝縮される肉汁が旨いのなんのって。
これに、フォアグラのねっとりとした旨みと、
パイ皮の炭水化物の糖分の本能に訴えかける旨みと、
赤ワインベースの重厚なソースが加わり、
羊肉は更に昇華していく。

ソースをさらうためのパンも、美味し。
バターも美味し。
泡がモリモリのカプチーノも美味し。

ただ。
最後のデザートワゴンから選べるデザートは、
それまでにこれだけたっぷりと頂くと少々重いし、
クラシックなスタイルなので元々重いので、
これは軽い選択肢があると嬉しいなぁと思う。

サービス陣は、付かず離れずで、心地よいサービスを提供してくれる。

いや~、料理も接客もお店の雰囲気もとてもよく、気持ちが華やかになる。

お店でずっと作り続けていらっしゃるこういう定番品は、生き残っているだけあって、
流石に美味しいですね。

  • オマール海老のガトー仕立て
  • エイ
  • マリアカラス

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9位

レストラン クレッセント (大門、御成門、芝公園 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 ¥10,000~¥14,999

2012/12訪問 2014/06/07

澄んだ空間に染み渡る旨み

ディナーにて。個室利用。
料理は相変わらず美味しい。
この日頂いた中で最も感銘を受けたのが、「オマール海老と黒トリュフのサラダ仕立て」。
贅沢なオマール海老のボリューム。これにソースと黒トリュフの香りが乗り、非常に美味。
それと、日本で狩猟した真鴨。ジビエも美味し。

■2011年11月-----
ここクレッセントの料理には、他のフランス料理店の料理とは明らかに異なる印象を持っている。
非常に抽象的ではあるのだが、
澄んだ空間にすっと染み渡るような印象なのだ。

料理を口に含んだ瞬間に、それまで存在していた様々な味や様々な意識がさーっと引いていき、
味覚が新鮮な状態になり研ぎ澄まされ、料理を求める状態になり、
そこに料理から滲み出てくる様々な旨みがすーっと染み渡っていく。

料理は全体的に軽め。
野菜の旨みや魚介の旨みや肉の旨みのいいところのみを残し、それ以外を削ぎ落とす。
例えるなら、酒米の表面をたくさん削り落として米の中心部だけで作った純米大吟醸酒や、
蕎麦の実の表面をたくさん削り落として蕎麦の実の中心部だけで作った更科蕎麦のような旨み。

このように調理された食材が、皿の上にシンプルに配置される。
非常に美しい。
あまり手が入っていないかのように見える料理でも、
よくよく見ると、また、味わってみると、かなり手が入っていることが容易に分かる。

そして、食材の組み合わせ、ソースとの組み合わせに、必然性があるのだ。
いや~、本質だけの組み合わせでここまで相性の良さを見せつけられると、
思わず納得してしまい、思わず唸ってしまう。

アミューズからして、もはや他店とは次元が違うし、
前菜から、魚料理、肉料理、野菜料理、デザートに至るまでどの皿も非常に完成度が高い。
もちろん、小菓子もひとつひとつ全く手抜きが無い。
これで、ランチのコース12,600円(+サ10%)は、安いんじゃないかとも思えた。

一方お店の雰囲気は、凛とした感じで、ゴージャス。
畏まった会食でも、ちゃんとしたデートでも、そういう場面にピッタリなのではないかと思う。

接客も印象良く、満足。

最初、お店に入ったときは、重厚な雰囲気なので、重厚な料理が出てくるのかと思いきや、
モダンで可憐で繊細なフランス料理が出てきたので少々驚いた。

でも、上述の通り、かなり美味しいので、再訪したいと思っている。

  • トマトのコンプレッション
  • オマール海老と黒トリュフのサラダ仕立て
  • 甘鯛のポワレ

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10位

レストラン バカール (神泉、駒場東大前、渋谷 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2012/03訪問 2012/10/22

楽しいフレンチ

フランス料理店っていろいろあるけれど、ここバカールほど楽しいお店って他に無いんじゃないかと思う。

多種多様な野菜をふんだんに使ったバーニャカウダに度肝を抜かれ、
野菜のいろいろな食べ方の提案がありその美味しさに驚き、
お肉のグリルを中心としたメイン料理によってビストロ的な要素も加えられてワインを楽しめて、
可愛らしい小さなパンにキュンとして、
フレンチとご飯が融合するストウブで炊かれたご飯でお腹いっぱいになり、
デザートで思わずふぁーっと華やかな気持ちになる。

こうした一連のエンターテイメントを、更に盛り上げる接客の金山氏のマシンガンの如くのサービス。
最初から最後まで、盛り上げに盛り上げてくれる。
そして、お願いしたことを気持ちよく受け答えしてくれる、心地よいコミュニケーション。
そこには、一方的なサービスの押し売り感はない。そう、あくまでコミュニケーションなのだ。

こうした、エンターテイメント性ばかりが注目されがちだが、料理の方もしっかりとしている。

定番のバーニャカウダは、各々の野菜が、食べて心地よいサイズと太さにカットされている。
カニ味噌をベースにしたバーニャカウダソースが、この野菜に非常に合う。

また、とうもろこしの髭を食べさせる料理(?)も、ちゃんと若いとうもろこしを提供してくれている。
別のお店でこの手の料理を頂いたことがあるが、そこは大きなとうもろこしの髭で非常に硬いものであった。
つまり、ここバカールは、食べ方に合わせて野菜のセレクトがきちんとできている、ということだ。

肉料理は、比較的シンプルなものが多いが、肉質はかなりよく、素直に楽しめる。
肉そのものの味を楽しめるので、ワインがどんどん進んでしまう。

パンは、どれも小さなサイズのもの。
こうしたサイズのパンって、他店ではあまりいい印象が無いのだが、ここバカールではどれを選んでも美味しい。
こういうのって、実は凄いと思う。

ストウブで炊かれたご飯は、もうピカピカで、これ絶対に美味しいことが分かる。
これにフレンチのソースや料理が乗せられては、更に美味しくなることが予想され、食べずにいられなくなる。
みんな心の中で思っているはずだ。ダイエットは明日から、と。

いや~、最初から最後まで、凄い。
ちなみに、ドライアイスのスモークを使ったデザートなんて、フランス料理店で初めて見ましたよ。
2回の訪問で、2回とも同じやつ頼んじゃいました。(苦笑)

ワインのセレクトも、手頃な価格帯で揃えられおり、料理の価格帯とのバランスが非常によいと思う。
ついつい沢山飲んでも驚く会計にはならないから安心。

いや~、それにしても、予約の電話、繋がらないっすね。(苦笑)

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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