10回
2018/01 訪問
実に華やか。
武澤さんが加わって、華やかさが加速した見た目。
やはり、くろぎに、もう一人腕の立つ存在だけで華のある男が加わり、むしろ、料理に向いてでもキラキラした目で作るその姿は、黒木さんだけでない二枚看板の強みと、まだ、ちゃわんぶにいた武澤さんがここにいる不思議さが入り混じるのが正直な感覚。
黒木さん、岡部さんのご両名が中心的な存在の時は楽しい美味しいくろぎだったけど、楽しい、美味しいに少し落ち着きというか、また少し違う筋の通り方が新しき要素として包括された気がする。
僕の中では武澤さんというもう一人の輝く星が来て、引力を持つというこの雰囲気も圧倒的に華々しく感じられる。
まさにオールスターキャスト的な…。
ヒーローものでいうと、アイアンマンとキャプテンアメリカ、マイティソーが一緒にいるアベンジャーズ的なそんな華やかさ(笑)
そんなくろぎ、特徴的なのは以前と変わってきたのは客層が実に富裕層に絞られてきているという事かも知れない。
勝手にやらせていただいているが、冷静になって考えると、僕などはお呼びでない雰囲気の中、華やかな料理をパクパクといただいている自分に気づく。
厨房には表にこそ出てこないものの、まだ沢山の京味の出身者がいて、まさに継ぐ者としてその力を示してきているようでもある。
日本料理ど真ん中、凄味のある料理。これこそくろぎである。
このハレの日の料理、右に出るものなし。
2019/02/05 更新
2017/12 訪問
比べるもののない料理
こんな料理どこでも味わえない。
くろぎという料理屋、一言では言い尽くせない。
飽くまで和食の正統でブレのない堂々とした直球ど真ん中。
まさにこれぞ王道!と言える日本料理が繰り出されるが、これがどこかで食べた味ではなく、一段も二段も旨いのだ。完成度が高く、見た目も味も華やぎ方が圧倒的に違う。
カウンターの中で、指示を出したり、客と会話したりする黒木と言う男の見事な集中力。
常連からすると黒木純氏は、「ちっとも懲りない派手な若手」でもある。
まさに鮮やかに見事な包丁捌きで料理をする大将黒木純を中心に超一流のどこの店でもトップを張れる料理人達がキビキビと動き、
常連客と見事なほど親密な関係性を作り、段取り素晴らしく次々と実に旨い派手で華やいだ、凄味さえ感じる料理が繰り出されてくる。
僕はもう10年にはなるか?毎月の席をいただきお伺いしているが、客層はもう、振り切っていて、明らかに富裕層の人たちばかり。
※私とごく少数の人を除く。
僕はなんとか、友人と会食の席を維持しており、首の皮一枚で繋がっている、下の客である(笑)
すでに平均客単価55,000/人を超えて、比肩するものの無い最高級店を目指して突き進む。
たまに友人に席を譲って欲しいと請われ、昨年中、「どうしても!」と断りきれなかった関係の友人に渡した席は二回。
1回目に譲った友人の感想は「和食の堂々直球ど真ん中!こんな料理の迫力を見たのは初めてです!」と言われて大感謝され、その後、その知人も常連になったと聞く。
もうひと席は一人当たり70,000を軽く超えての会計だったらしいけど、評価はさすが、「圧倒的に楽しく、圧倒的に華やかで、圧倒的に美味しいかった!本当に素晴らしい席をありがとう!」と言われた。
やはり、ここまでくればスーパープレミアムシート。
それでも、およそ一年近くも席は予約で埋まり、ミシュランなどには全くの掲載拒否。
そういえば、あのフランスのレストランガイドブック、ゴエミヨに掲載されているが、写真が載ってない。
「えーっ!そんな本に載ってましたか?知りませんでしたー。評価本などには一切掲載拒否ですし、見もしません、知りません。この方針は京味の大将に右に倣えです。」
…とシンプルに言い放つが、京味系で最大のメンバーを抱え、派手さと謙虚さとを併せ持つ料理界の新たなカリスマ。
料理とビジネスの天才。
料理だけに限らず、メンバー、演出も含めて、料理屋をここまで磨き上げ、格も上げて来たのはこの恐るべき才能を持ったこの黒木純氏のなせる技ではないか。
何よりこの席を埋め切るだけの顧客を従えて来たのは圧倒的な事業戦略である!
どこまで行くのか、年明けの武澤氏を迎える件を含め、今後の黒木氏の采配に注目が集まる。
そして、僕の財布は軽くなり、もうそろそろ黒木の常連席からも振り落とされそうな…。
磨き続けるとは価値を高めることだしね。凄いなー、黒木純氏。
凄まじい価値向上の戦略も彼の才能。
ある意味このプロセスをこの段階まで見てこれたのはどんなビジネス本を読むより勉強になったとも言える。
黒木氏、とんでもないところまで行ってしまったなぁー。
2017/12/16 更新
2017/11 訪問
参りました。やはり凄い!
くろぎにはいくら行っても飽きる事がない。
全3回夜、昼、夜とレビューを書かなかったけど、
今回行っていろんな事を書きたくなったので、改めて書きます。
今日は青菜と油揚げの煮浸しから始まった。
温かい煮浸しは寒くなり始めたこの時期に粋な一品目の計らい。ゆずをあしらい。
二品目はなんと、半乾きのカラスミである。
「仕込み始めのカラスミです。」
熟成手前のコクはありながらカラスミになりきっていないカラスミが旨い。香ばしい焼きが決め手になった他の料理。
三品目は香箱蟹であーる。
毎年くろぎで楽しみにしていたシーズンの到来。
「旨いー!」唸りながら季節の訪れを存分に堪能する。
今日は車だからと甲羅酒を断る僕に
臨機応変に「蟹出汁温めてー!」と厨房に声をかけて
特別に蟹出汁の甲羅盃が完成。「くぅー!熱っ!旨っ!」
定番の焼き胡麻豆腐。
柔らかく仕上げた胡麻豆腐を熱く焼き付けた陶板の上でジュージューさせながら出してくる。
「どうぞ、お箸でひっくり返して食べて下さい!はい、どうぞー(笑)」番頭の岡部さんがカウンターの客を巻き込みながら食が進んで行く。くろぎステージで熟練の絡み技を魅せる岡部さんはまさにくろぎの顔的存在。
テキトーな事を言いながらくろぎ愛に満ちている。
エビ、ウニ、極上の白子を同じようにとろける鯛出汁のジュレで出してくる。うーむ、見事。とろける白子が舌に絡みつき、ジュレの出汁の香りが絡む。
ノドグロと蕪の椀は出汁の旨味にノドグロがほぐれて出汁に力添えをする。ほうれん草のえぐみも素材のえぐみそのものを味わえて旨い。くろぎの派手な料理はノドグロのポーションがでかい。
そしてセイコガニのよっは払い蟹。
「ちょっと遊びで漬けてみましたー。」
日本酒の古酒で蟹を漬け込み、
ジュレ状になった蟹の身がなんとも言い難い旨さ。
目が回るほどの旨さである。
秋の葉っぱを色鮮やかに飾り付けた八寸。
そして、お造りへと流れて行く。
そして今日は蟹のシーズン到来とあって蟹づくし。
鍋で蟹しゃぶを作り振る舞ってくる。
どれも味の輪郭もキリッとして出汁はしっかりと利き、
パワフルな食材の力を引き出していて実に旨い。
おまけにやはりオーラのある黒木さんの魅力は無駄口叩いていてもハンパない。
ご飯は二釜。
三つ葉と蟹のご飯と、
ハラスとイクラかけご飯。
どれをとっても素晴らしい。
「いや、参った!参りましたよっ!
間違いなくスゲーって!」
そして最後は火照った身体を冷やしてくれる葛切りで締める。
車を運転する僕は遠慮するがアイスクリームをきな粉に乗せ、イケムをかけていただく贅沢な締めくくりも、
もはやくろぎの定番となった。
くろぎの料理はハレの日料理。
お腹ははち切れんばかりに膨れ、
満足感は100%を超えメーターを振り切る。
こう聞かせると「まあ、まだ、ギリギリ30代なので
こういう感じでやらせて下さいよー(笑)
40越えたら落ち着いてきますって…。」との事。
確かに黒木さんなら変化し続ける事にコミットしているとはおもうが、興味が比較的華やかな方向にある傾向がある男なので、「40越えたら…。」のコメントは
興味の対象が40越えたらどうなっているか?
という話ではある。
それにしても、厨房には腕の立つ料理人がゴロゴロいるし、こんな人材不足の時代にここまでメンバーが集まってくるのは黒木さんの場の作り方が良いのだと思う。
僕はくろぎには育てるという風土感覚より、
集まってくる感覚を持っている。
ある程度料理に道を決めて実力がある若手が集まり、
ベンチャーのインキュベーションセンターのような役割も果たして行くのだろうか。
向上心を受け止める、また、掻き立てる場がある。
やはり、経営者としていろいろなタイプがあるが、
黒木さんのケースもかなり見ていて楽しい。
まあ、そういうテクニカルな話ではなく魅力の話なのではあるが…。
厨房がいつも楽しげだし、活気がある割烹である。
やはり、くろぎは華やかで、パワフルなはっきりとした料理が特徴。それにしても旨いものは旨い。
年明けにどんな世界観に変化して行くのか?
第◯次くろぎ内閣の展開が楽しみ。
2017/11/15 更新
2017/05 訪問
筆舌に尽くしがたき大門くろぎ
圧倒的な力量を持っている。
くろぎの実力は凄まじかったのだ。
大門に移って来てからというもの
湯島の時とガラリと変わった黒木の料理。
戦略とは不思議なもので、大門に移って
単価戦略だけでなく、料理の戦略、接客のメンバー構成などがずいぶんと変わった。
もはや湯島の面影がないほどのレベルだ。
そして、客層もなぜか変わった。
以前からの常連客がほとんどの筈だけど、
一度めの来店と言うような雰囲気の客層はほとんど見かけなくなり、ほぼ100%が常連客っぽい。
それから、なぜか写真を撮る客がずいぶん減った。客層はグッと落ち着き雰囲気も良くなった。
席数が約半分に減少し、
その分、来れる回数が減ってしまったのは
仕方ないのかも知れない。
予約の難易度で行くと以前は一年は予約がとれなかったけど、大門に移ってからはもう一度逃すと一生予約が取れない店になってしまったと思える程の難易度になってしまった。
それにしても、移転しての最初の二カ月と比べて、スタッフの皆さんの作業動線も圧倒的に改善された。皆さんの身のこなしも美しい。
こうなってくると、自然とどれだけ黒木さんが
料理に情熱を掛けているかがわかってくる。
精魂注ぎ込んでいる!
とにかく、料理が素晴らしいのだ。
客扱いも大切にしてもらえるし、
器もずいぶん変わり、楽しく季節感も出て来た。とにかく、素晴らしいのだ。
大将の表情も明るく自信に満ち溢れ、
スタッフも俊敏にして心地良く、
客扱いも大事にしてくれ、
サービスも良く、気が回り、
料理も冴え渡り旬を押さえ、
器も素晴らしく季節も捉え、
一回ずつの楽しませるコースの料理の運びもハンパない!
重ねるほどに感動の度合いが増してきた。
この感動の度合い、
一つずつの料理が凄いのだけど、
コース全体でないとこの感動は言い表せない。筆舌に尽くしがたき「くろぎ」という割烹。
2017/05/25 更新
2017/04 訪問
圧巻!変幻自在、料理の鉄人
やはり、素晴らしいくろぎの料理。
どうしてもお連れしたい方が居て、結局、
二日連続で訪問した。
オープンからなぜか四回目というヘビーローテーションになってしまいました。
ただ、すごいことに一つも料理はかぶらず、
全て最上の味わい。しかも春を感じさせる料理はまさに日本料理のど真ん中。派手なハレの日料理は味わい、見た目共々、筆舌に尽くし難し。
他の今月初めて訪問した人とは全く違うメニューをそれをいとも簡単にしらっと出してくる。
そして昨日、ギャグで「ご飯三種類目お代わりー!」と言ったことを聞いていたのか…。
ご飯を四種類出してきた。凄まじいレベルのもの。中でも白御飯を使って出してきた通称「魯山人ご飯」は味わいも「さらどろっ」とした食感といい、素晴らしいセンスの一品でした。
全体を通してここまで料理のバリエーションを展開されるとあまりに圧巻で、さすがとしか言えません。
そしてこちらの「美味しい!」という言葉に嬉しそうな笑顔。
変幻自在なりまさに料理の鉄人。
2017/04/21 更新
2017/04 訪問
くろぎに通えて幸せ~。
毎月通っているくろぎ。
月に二回という時もあり。
三月の移転初月に引き続き
今月も訪問しました。
しかも、「これから行くけどいいー?」と。
どの時間にお客さんが回転するか知ってるので
その時に顔が売れている常連ならではの
ありがたい特権。
もちろん、ぼくより常連はたくさんいらっしゃるのですが、
胃袋がどん欲なことが加わらないと、二件目にくろぎなんて考えられないはず。
「軽く、ハーフコースでだしてくださーい。」との要望にも
快く対応してくださる。…ありがたい。
すこし違った角度からすぐ出せる料理を中心に出してくれて
改めて分かるくろぎの素晴らしさ。
こんなシンプルな料理をここまでド真ん中を突きながら
ここまでおいしい料理として出してくれる。
改めて素晴らしい。
うすい豆のお浸しもつけ出しによかったし、
「おいしいやつがあるんですけど、これ召し上がります?」
と聞いてくれて出してくれるのも本当に楽しい。
最後を鯛茶漬けで〆たのも
おひるの鯛茶漬けと違ってまた素晴らしい。
マグロのヅケを出してくれたのも。
実にうまくて感動的な旨さだった。
やはりくろぎ素晴らしい。
日本に暮らしてくろぎにも毎月行けて、
しかも大門に移転してくれて
あいてる時間かなと思って電話すると
ふらりと行けて。
最高です。
2017/04/14 更新
2017/03 訪問
湯島から大門へ。次の世界観へ羽ばたく
直球ど真ん中の和食。この路線は全く崩さずに、どのように日本料理の継承者は表現して行くのか。
今迄は小さくもくろぎの二重丸(ふたえまる)の紋を掲げていたが、この度は全く看板のないしかも料理屋ともわからない入りにくい出で立ち。
エレベーターを使い二階へと上がる。
カウンターながら広々とした席。
天井も、カウンター上の釣り天井も工芸品としての鑑賞したくなる造り。
なかなか、わかる人はわかる設えである。
盆も素晴らしい。なかなか、今迄のくろぎからは考えられないほどグレードを上げつつある感じ。
雲丹の蒸し飯から出てきた。うまい。
ホタルイカも深くも繊細な味わい。
そしてシグニチャーディッシュの一つ焼き胡麻豆腐が蕗の香りで、ふわりトロリと口の中で解けて行く感覚と、春の苦味が素晴らしい。
香ばしさはそのままで柔らかく、素晴らしいとろけ感。湯島の時より柔らかく粉感が少なくなった。
八寸の趣向は花見のシーズンに合ったお弁当箱。これも楽しい。
どれも繊細かつ力強いくろぎらしい仕上がりで、かつ、くろぎが表現したかった事、やりたかった事をやれるファシリティーが充実した。
楽しみに拍車がかかってきた。
反面、席数が湯島の時に比べても半減しているので、以前より絞り込んだ毎月席を取っている常連しか席の確保が難しくなった。
新しい店でオペレーションの連携がまだこれから構築して行くタイミングなので少し評価はこれからに期待。
2017/03/26 更新
いつも食べているとその凄さも当たり前になってしまうかもしれないけど、ここくろぎの料理やこの場の華やぎ感は筆舌に尽くしがたいハレの日料理です。友人の快気祝いを行ってその認識を改めて見直すことができました。
タラバや松葉ガニ、大ぶりのフグ、フグの白子、大間のまぐろ、近江牛、ウニ、キャビア、ウナギ、からすみ、数えても数えきらないほどのご馳走の数々。
それから、個別の顧客の状態事情まで理解したもてなしの動きと、絶妙な会話の進み具合、気遣い。
お客をいい気分にさせて、その場の主人公にさせてしまうその運び方。嫌味なく理解者である料理屋が常に人生に並走している感覚。
グルメの顧客層というよりは富裕所得層が長年通い詰める見事な割烹というドメインは京味無きあと、ここをおいて右に出るものは無いなと感じます。こちらの10席のカウンターを挟んで、経済界の著名な人物と席を同じくする事はしばしばあり、僕などのちょろっと出てきたチョロ坊は静かに皿を前にし心の中で「あ、あの1兆円企業のオーナーだわ。」とか「あの有名な2兆円企業の経営者だわ。」と認識しても静かに箸を運び、友人と黒木さんとの会話に集中する良い子に成り切ってその場を楽しんでます。笑笑
グルメの探索のための食べログの評価点はグルメ的な観点のみで書かれている評価で、長年ここを愛し、自分の居場所として通い詰める富裕層の皆さんは少数を除き食べログにレビューを書いていないのだろうなと思います。
隣に一人でそんな人が食べていて、黒木さんと話している僕の話で笑っていて、「あなた楽しいね。今度ご一緒にまたどうですか?」と言われた方と名刺交換したら、ある食品会社の創業家の会長だった事がある。
昨日も表には出ないあの会社の経営者が四人で美味しそうにご飯を食べながら黒木さんと話をし、女将が楽しそうに会話でフォローしていた。そんな場がくろぎを象徴する場ではないかなと感じます。
古くからの友人の快気祝い。くろぎを食べきれたー!と大喜びして、生きて帰ってきて良かったー!と言う友人と二人で想い出話に涙を浮かべながらうまい料理を食べていた。そんな夜でした。