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マイフォロアーさんとの晴れての蕎麦屋呑み
満足度の高い昼の限定メニュー。慌ただしい中でも見事なオペレーションに感心
定期的に通いたいと思いながら、3年近く間が空いてしまった。
実は少し前に昼にブラっと寄った際に満杯で入れなかったため、2.3日前に電話を入れて席を確保した上で向かう。
土曜日の昼、開店時刻の12時に到着。
私にはアクリル板の仕切りが幾つか置かれた、7席のカウンターの中央の席が用意されていた。
予約の際の名前に記憶が有ったのか、ご主人の汐見さんは私の顔を覚えていてくれて、すぐに'お久しぶりですね'の声が掛けられた。
スタッフは汐見さんと男女1人ずつの助手に、客席担当の女性1名の4人体制。
この日は予約で満杯では無いようだったが、飛び込みの客も開店早々に続々と入店して、一気に慌ただしい様相となった。
ほとんどの客のお目当は「昼の限定メニュー」である。
以前は「日替わり」も有ったが、現在は7種類に限定されている。
メインとなる料理は'天ぷら・お造り・鴨・かき揚げ・すき焼き・親子煮・角煮'で、これに副菜の小鉢が幾つかとご飯、さらに'十割せいろ'とデザートまで付いて1,450~1,980円(税込み)というお手頃値段。
前回選んだ「鴨御膳」は、工夫された鴨料理2品に鴨そぼろご飯、さらに副菜類のバラエティに富んだ内容が印象に残っている。
今回は「選べる天御膳」:1,980円にして、2種の天ぷら(天然車海老or帆立)は海老を選択。
その前にまずは「生ビール」をもらう。
お通しには「鴨皮の南蛮漬」が出されたが、細やかな仕事で味も良い。
大勢の客が一時に入店し、中には時間限定で受け入れた客も居るようで、カウンター内の忙しさに拍車がかかる。
それぞれの'御膳'の内容は複雑で手間もかかるが、ご主人はじめスタッフの無駄のない動きで卒なくこなしていく姿は、見ていて気持ちが良い。
私は急がないのでビールのグラスを傾けつつのんびり構えていたが、そんな中でもご主人は「新筍の木の芽焼」という、気の利いた一品料理をサービスで出してくれた。
御膳の他に何か頼もうと思いながら忙しそうなので断念していたが、その気持ちを察するかのような気遣いが嬉しい。
皮付きのまま蒸し焼きにしてカットし、醤油を塗ってこんがり焼いて刻んだ木の芽が塗されており、味も食感も申し分ない。
酒の追加は'こだわりの日本酒'のラインアップから福井の「梵」を一合。
すっきりした飲み口ながら、奥行きのある味わいが実に良い。
そうこうしているうちに私への御膳の準備が整い、まずは角盆で最初の設えが登場。
目を引くのが小鉢で、この日は「自家製豆腐」「和風ミネストローネ」「とろろ汁」「たたき牛蒡」が乗っている。
豆腐は大豆の甘味が濃く、とろろ汁の加減も良く、漬物代わりの牛蒡の酸味と歯応えも良いアクセントとなっている。
面白かったのは新キャベツとベーコン・トマトが入ったミネストローネで、和風出汁がベースのため、全く違和感のない仕上がりに感心。
天ぷらは以前から若い女性の職人が担当しており、カウンターの場合は揚げ立てが一品ごと供される。
車海老としし唐・新玉ねぎ・茄子、さらに最後に車海老が再登場。
全て塩で食べるが海老は中央をレアに仕上げた精妙な揚げ上がりで、大分腕を上げたようだ。
土鍋で炊かれたご飯が小振りの茶碗で付くが、蕎麦も出るので要らないのではと思われるが、上手な炊きあがりでしっかり存在感を示している。
とろろ汁をかけるにも丁度良く、美味しく頂いた。
ここまででもかなりの充実ぶりだが、〆は真打の「十割そば」である。
盆上がある程度片付いたタイミングで、ご主人より蕎麦が盛られた腰高の笊が手渡された。
良く見ると細かな粒子も見られるが、千切れることも無く綺麗に揃っており、香り・歯触り・のど越しのいずれにも秀でた出来栄えである。
つゆは濃い目だが、和食割烹らしく出汁の深みがより強く感じられる仕上がり。
薬味は当初から盆に乗っているが、葱が乾くことも無く山葵の効きも良かった。
鉄瓶で出される蕎麦湯は別仕立てはあるが、揺すらずに上澄みを注げばドロドロ感も無く、すっきりと〆られた。
セットにはデザートも付き「蕎麦茶プリン」が出された。
甘さ控えめで滑らかな舌触りに、散らされた煎った蕎麦の実のアクセントが好ましい。
期待通りの、快適な時間を過ごすことが出来た。
お手軽なランチであっても、決して手間暇を惜しまない丁寧な仕事ぶりが貫かれている。
雰囲気はざわざわしていたが、ご主人はじめスタッフの落ち着いた仕事ぶりから、忙しなさを感じさせないのは立派。
名店「松下」の店舗を引き継ぎ、親方の松下利市さんから全幅の信頼を置かれた汐見さんの力量を再確認。
隣席の常連さんと思しき方は、この状況でも一人で悠然とコースを楽しんでいた。
昼でもこういった使い方をしてみたい気もするが、やはりゆっくりするには夜が良いだろう。
近いうちにディナーで再訪して、より穏やかな雰囲気の中で心行くまでご主人の技を堪能してみたい。
昼のメニューも充実して魅力がアップ
早稲田にオフィスの在る友人からランチのお誘いを受け、相談のうえ便の良いこちらを選択。
前回は夜に訪れてなかなか満足度の高い時間を過ごしたが、最近はランチメニューの幅が広がったことを耳にしており、一度昼にも訪れたいと思っていた。
念のため12時に、カウンター2席を予約して臨む。
つい最近一週間ほど休業して内装が手直しされたことも聞いていたが、店頭には師匠の「松下利市」氏より贈られた新装開店の祝花が置かれている。
定刻通りに入店すると、カウンターは我々の2席以外は全て塞がっており、テーブルも予約を含め何組かの先客の姿が見える。
私の顔を覚えていてくれたご主人に歓待される。
まずはこの暑さなので「生ビール」をもらい喉を潤す。
お通しとして「鴨皮のおろしポン酢」という、気の利いたものが出てきた。
お昼のメニューは'御膳'と呼ばれるミニコース的なものが数種類用意されており、他に追加できる単品料理も結構な品数が並んでいる。
'御膳'の内容はもり又はかけ蕎麦に、メインの一品・小鉢・季節のご飯・香の物・甘味がセットされている。
その中でも一番人気の「日替わり御膳」については、月初に1か月分の献立がHPで発表されるが、これは眺めるだけでも垂涎もののラインナップで、限定10食のため人気が高いようだ。
そのため電話での取り置きも受け付けており、この日も我々が入店した時点ですでに'完売'のシールが貼られている。
ちょっと迷ったが私は「鴨御膳」を、友人は「すき焼き御膳」を選択したが、いずれも1,890円と言う価格。
さらに色々と食べたかったので、単品で「天ぷら盛り合わせ」を追加注文。
「鴨御膳」はメインの皿が「鴨ロースと鴨ハム」で、ジューシーにローストされ幅広にスライスされた抱き身3切と、腿肉などを円筒形に成型した自家製ハムの輪切り2つが軽く炙られて、たっぷりの薄切りの長葱の上に盛られ、醤油味のタレが掛かっている。
鴨の旨味が凝縮されて食べ応え十分。さらに葱の辛味が少ないことにも感心。
小鉢は「焼き茄子」で、丸ごと焼いてから丁寧に皮をむきカットされた茄子を醤油で和え、糸がき鰹と生姜・茗荷などの薬味が乗っている。茄子本来の滋味が感じられる。
小鉢のもう一つは「自家製豆腐」で、卓上の塩を少量振って食べるが、豆の甘味が強く味が濃い。
ご飯は「鴨そぼろと牛蒡の炊き込みごはん」で、鴨の出汁と牛蒡の香りと食感を生かして、薄味で炊き上げられている。
香の物は「胡瓜の印籠漬け」で、胡瓜の芯に人参などの細切りが射込むというひと手間がゆかしい。
お相手の「すき焼き御膳」は、ぐつぐつと煮立った状態の小鍋がメイン。
添えられているのは、大分のブランド卵の「蘭王」とのこと。
一口もらったが、甘さ鹹さのバランスの良い'割り下'は、白米に掛けて余さず平らげたいほど。
天ぷらは専門の若い女性職人により一品ごと出され、全て塩で食べさせる。
内容はグリーンアスパラ・ヤングコーン・オクラ・茄子、それに海老3尾で揚げの技術は上々、中でも極太のアスパラが印象的。
海老の強めの火通りだけがやや残念。
途中でご主人から'宜しかったら召し上がって下さい'と言って出されたのは「鯛兜の酒蒸し」。
実は予約客用に取り置きしておいた日替わりのメインの一皿が、急にキャンセルになったとのことで、有難く頂戴することにする。
やや深めの角皿には、結構な大きさの半割の鯛の頭が鎮座し、それが穏やかな味わいのポン酢醤油に浸り白髪葱が天盛りされている。
鱗など一切なく丁寧に下処理されており旨味が濃く、2人で骨も鰭も目玉の周囲もしゃぶりつくすように平らげてしまった。
次々と繰り出される美味いものを前に、グラスは程なく空き生ビールをもう一杯追加。
蕎麦は'季節限定'の3種の「冷やかけ」も用意されており、加算すればこちらに変更可能とのことで、当然ながらこちらでお願いする。
私が選んだのは「トマト蕎麦」で、軽く煮びたしされてカットされたトマトが乗る蕎麦だが、こちらについてもご主人から、新たに考案して近々出す予定の'蛤入り'を勧められたため同意。
驚くほど柔らかく火が通された大粒の蛤が2個乗っており、つゆにもこの旨味が溶け込んで、上品かつ奥深い味わいを見せている。
蕎麦は微粉を十割で端正に打ち上げた、相変わらずの出来栄え。
数滴たらされた胡麻油と刻んだ大葉がアクセントとなり、完成度の高い作品に仕上がっていた。
お相手が選んだのは「がごめ昆布とろみ蕎麦」。
体に良い成分がたっぷり含まれ、一口味見させてもらったが、飲んだ後には好適といった感じ。
最後に「南瓜のスイーツ」が登場。
南瓜を裏ごしして練り上げたシンプルさだが、自然の味を生かす控えめな甘さと、散らされた蕎麦の実の歯触りが印象的。
盛りだくさんの内容の、充実したランチを堪能。
昼にしては少々贅沢をし過ぎた思いは有るが、かなりの満足度で気分は上々。
こちらにはかつて和食の名店「松下」が在り、その後を弟子の汐見さんが蕎麦も出す和食割烹としてオープンさせた経緯は以前に述べた通り。
ご主人はまだ若いが「松下」で身に着けた技術を土台に、才気を感じさせる繊細な仕事ぶりとセンスの良さが随所に発揮されており、これからの飛躍も大いに期待される。
スタッフも若者ばかりだが、活気あふれる雰囲気は好感。
和食割烹と蕎麦との融合は、私にとっては真に喜ばしいスタイル。
これからも定期的に通うことは確実な、信頼のおける一軒である。
こちらの本領は夜にあることを実感
開店早々に一度昼に寄ってみて、かつてこの場所に在った和食の名店「松下」と、2階に在った「松庵」の仕事が引き継がれていることを確認。
是非一度、夜にゆっくりと伺いたいと思っていた。
友人の勤め先がこの近くなので、事前に予約して2人で訪れる。
開店の6時から間もない頃に入店したが、すでに「松下」時代からの常連さんと思しき方々で、多くの席が埋まっている。
厨房内には、ご主人の汐見さんの他に2人の助手、それになんと御大の松下利市さんの姿も見える。
予め5,500円のコースを頼み、席も仕事ぶりが眺められるカウンター席をお願いしておいた。
まず「先付」として、小さな蓋つきの器で「玉ねぎのスープ」が出された。
新玉ねぎの甘さを生かした和風ポタージュといった趣で、この後への期待が高まる。
「生ビール」で喉を潤すうちに、順次料理が出される。
「前菜」:花豆煮・鯛の子のゼリー寄せ・飯蒸し風のかやくご飯の粽・ヤブカンゾウのお浸しの4種盛り。
どれにも丁寧な仕事が認められる。
「季節の一品」:旬物の京都産の「焼き筍」が登場。
心地よい歯応えと適度なえぐみに、この季節ならではの口福感を堪能。
「そばがき椀」:大ぶりの椀には、団子状に形作ったそばがきと、抹茶風味の魚の真丈が置かれ、出汁は鴨の旨味を加えたそばつゆ仕立てになっている。
ブロッコリーと花人参が色を、花山椒が香りを添えている。
「お造り」:真鯛・鮪中トロ・赤貝の3点盛りで、いずれも美味しい。
包丁技も冴えており、つまものや山葵もきちんとしている。
「魚料理」:鰆の西京焼きで、味加減・焼き加減ともに良好で、皮の部分には結構脂がのっている。
添えは花山葵の醤油漬け。
「天ぷら」:内容はまず「海老」からで、その後山形産の山菜3種(タラの芽・蕗の薹・コシアブラ)、最後にもう一回海老という流れで、一品ごと揚げ立てが出される。
目の前の水槽で元気よく泳ぎ回る「稚鮎」が目に入り、一尾ずつ追加で揚げてもらった。
若い女性の助手が担当するが、きちんとした仕事振り。
全て塩で食べさせるが、海老には甘みがあり、稚鮎のほろ苦さも楽しく、薄衣の山菜もそれぞれの旨みが生きている。
酒は、山口の「東洋美人」、次いで山形の「惣邑」をもらう。
料理の美味さと相まって、快適な時間が流れた。
蕎麦はせいろ・かけで選べるが、2人とも「せいろ」を選択。
端正に打たれており、香りは十分。
十割のためか、やや千切れたものも目に付いたが、食感ものど越しもまずまず。
つゆは雑味の無いすっきりとした仕上がり。
食後の甘味は、よもぎ餅を使った小振りの「柏餅」と「抹茶羊羹」の2種盛り。
手作り感のある、しみじみとした味わい。
バラエティと季節感に富んだ料理は、概ね満足。
値段的にもこの内容ならば、良心的に思う。
今回は古くからのお馴染みさんの来訪があったため、久々に松下さんが店に出られていた由。
もちろん仕事は汐見さんの主導で運ばれるが、要所で松下さんがアドバイスする光景も見られた。
何よりお元気そうな様子を拝見できて、何ともラッキーな日に当たったようだ。
最後に松下さん自らシェーカーを振ってサービスする特製カクテル(ウオッカベースに、ブドウの甲斐路の手絞りのジュースを合わせたもの)のご相伴にあずかり、これにはいたく感激。
まだ若いご主人は、なかなかの腕前と見受ける。
温かみのある雰囲気も好ましく、カウンターの居心地は快適。
これからも私にとっては大事な店になることを確信した。
(新規に24枚の写真を追加掲載)
≪2015年6月のレビュー≫
早稲田の鶴巻町に、新しい蕎麦屋が誕生したという情報が飛び込んできた。
開店は6月22日というから、一週間も経っていない。
場所を調べたら、何とかつて和食の名店「松下」が在った場所である。
「松下」は和食割烹の世界では高名で、また指導者としても知られる「松下利市」氏が主人であった店。
また2階には、弟子が研鑽の成果を発揮する「松庵」という蕎麦屋が設けられており、こちらには私は昼夜ともに、何度か足を運んだことがあった。
しかし2年ほど前、松下氏ご本人の膝の具合が悪化して立ち仕事が困難になり、1階の「松下」共々「松庵」も閉店してしまい、実に残念に思っていた。
新店はかつての店とは何らかの関連は有るものと思い、日曜日の昼に、ランチ営業をやっていることを確認の上、勇んで訪れてみた。
我が家からはバス一本で行ける場所に在り、ゆっくり出来そうな1時半過ぎに入店。
この時間でも評判を耳にしてか、近所の方と思われる数名の先客が居る状況。
カウンターの端の席を選ぶが、まず驚いたことは、テレビや雑誌などで何度か拝見したことの有る松下氏ご本人が、厨房内に立たれている。
後で話を伺ったら、膝の状態は大分良くなられたそうだ。
御大と並んで立ち働いている若者が、現在のこちらのご主人で、以前は「松庵」を任せられていた方とのこと。
若い主人を師匠がサポートする形で、以前の「松下」の店舗を利用して、新たな蕎麦屋を発足させたというのが実情のようだ。
まずはビール(一番搾り)を所望して、喉を潤しながらメニューに目を通す。
'お昼のお品書き'には「そば御膳」「鴨御膳」「天御膳」が並んでおり、他に土日の昼にはちょっとした一品料理も注文できるようだ。
初回なので「そば御膳」を選択したが、内容は次の通り。
「小えびのかき揚げ」:師匠の松下氏の手による、まるで小菓子のような揚げ上がり。
小さくカットされた海老と三つ葉が、薄衣でまとめられており、サクッとした食感で、素材の味もしっかりと感じられる。添えは茄子が一切れ。
塩も天つゆも付かないが、そのままで十分に美味い。
「小鉢」:これからが旬の冬瓜と椎茸が薄味で炊かれている、温かい煮物。
葛を引いた餡かけのスタイルで供され、小口切りのインゲンと茗荷が季節と爽やかさを演出。
「季節のご飯」:焼き鮭をほぐした混ぜご飯で、適度な塩味が心地よい。
量は程良く、あくまでも蕎麦がメインであることを示している。
これには香の物(胡瓜の醤油漬けと紫蘇の実入りのかくや漬け)が付いた。
「せいろそば」:茹で上げは店主が担当。
「松庵」同様に十割と思われ、多少繋がりの悪さも見られるが、香りも食感も良好。
つゆは濃い目だが、かえしと出汁のバランスの取れた、見事な仕上がり。
蕎麦湯は結構な粘度が添加されているが、つゆの美味さも有って、案外すっきりと〆られた。
「甘味」:色鮮やかな栗入りの芋羊羹で、やや時期外れの感は有るが、控えめな甘さが嬉しい。
値段は1,350円だが、随所に丁寧な仕事が感じられ、満足度は高かった。
夜のメニューも見させてもらったが、面白そうな料理が並んでおり、こちらにも大いに期待が持てる。
「松下」のご主人のお元気な姿を拝見できたことも合わせて、この地での蕎麦屋の復活を素直に慶びたい。
レビューアップは夜に再訪してからとも思ったが、取り急ぎ報告させていただいた。
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蓼喰人
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蓼喰人さんの他のお店の口コミ
店名 |
汐見
|
---|---|
受賞・選出歴 |
そば 百名店 2024 選出店
食べログ そば EAST 百名店 2024 選出店 |
ジャンル | そば、天ぷら、日本料理 |
予約・ お問い合わせ |
050-3033-4404 |
予約可否 |
完全予約制 |
住所 | |
交通手段 |
東西線早稲田駅1番出口より徒歩8分 早稲田駅(メトロ)から515m |
営業時間 |
|
予算 |
¥10,000~¥14,999 ¥8,000~¥9,999 |
予算(口コミ集計) |
¥10,000~¥14,999
¥10,000~¥14,999
|
支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
席数 |
26席 |
---|---|
個室 |
有 (4人可、8人可) ※個室は半個室です。格子戸が閉まります。 |
貸切 |
可 (20人以下可) |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 近隣にコインパーキング有 |
空間・設備 | オシャレな空間、落ち着いた空間、席が広い、カウンター席あり、ソファー席あり、車椅子で入店可 |
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり、ワインあり、カクテルあり、日本酒にこだわる |
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料理 | 野菜料理にこだわる、魚料理にこだわる、健康・美容メニューあり |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
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ロケーション | 隠れ家レストラン |
サービス | 2時間半以上の宴会可、お祝い・サプライズ可(バースデープレート)、ソムリエがいる |
お子様連れ |
子供可、ベビーカー入店可 |
ドレスコード | 香りの強すぎる香水・整髪料等をご使用のお客様は、ご入店いただけない場合がございます。 |
ホームページ | |
公式アカウント | |
オープン日 |
2015年6月22日 |
備考 |
キャンセルについて |
初投稿者 |
このレストランは食べログ店舗会員等に登録しているため、ユーザーの皆様は編集することができません。
店舗情報に誤りを発見された場合には、ご連絡をお願いいたします。お問い合わせフォーム
今回は定期的に'蕎麦屋で一杯'にお付き合い頂いている、マイフォロアーさんと一緒に訪店。
4月に寄った時はリーズナブルな昼のご膳を出しており、それ目当ての客でかなり混み合う状況に直面。
折角の美味い料理なのに、あまりゆっくり出来ないことを残念に思っていた。
その直後に昼もコースのみにして、予約客オンリーのスタイルに移行。
落ち着いて「蕎麦屋酒」が楽しめることを歓迎したが、それもつかの間に無粋な禁酒法が発令される事態に突入。
10月に入りやっとその闇から解放された平日の昼、都合を合わせて事前予約の上で向かう。
2人とも定時の12時より少し前に到着したが、ご主人の汐見さんはじめスタッフに温かく迎え入れられた。
奥の4人掛けのテーブルに通されたが、何とこの日は他に予約が入っておらず2人で貸し切り状態である。
予め5,000円(税込み)のコースを頼んでおいたが、卓上には我々のために認められた'店主よりご挨拶'が置かれており、この日のコース内容についても綴られている。
さらに使われる素材についての、細かな説明書きも別に添えられている。
まずは「生ビール」(現在は瓶ビールは無く、選択の余地のないスーパードライなのは致し方ない)をもらう。
それに先立って少量の「蕎麦湯」が、蓋つきの湯呑状の器で出された。
粉を溶かして多少の粘度が付けられているが、軽く塩胡椒が振られており、呑む前にお腹を落ち着かせるための嬉しいサービス。
コースの内容は次の通り。
「秋の吹き寄せ」:紅葉・薄・薊などがあしらわれた大皿の中央に、錦手の蓋物が置かれている。
開けて見ると素揚げにした海老芋・栗・銀杏に、ズワイ蟹がたっぷり入った餡が掛かっており、一片の柚子が色と香りを添えている。
カリッとした芋などの食感と、出汁が香り味も舌触りも優しい餡との取り合わせが好ましく、上々のスタートとなる。
「真牡蠣の酒蒸し」:最近注目の北海道'仙鳳趾'産の生でも食べられる牡蠣を、殻ごと贅沢に酒蒸しに。
火を入れても10㎝以上の大きさで、しっかり熱が加わっていながら硬くなっていない程よい仕上がり。
その分味は凝縮しており、塩と国産レモンで旨味を満喫、もちろん蒸汁も余さず頂く。
「そばがき椀」:朱塗りの大ぶりの椀を開けると、粗挽き粉を練り上げたそばがきに鴨の出汁の吸い地が張られ、別に柔らかい鴨ロースの薄切りと万願寺が添えられ、たっぷりの白髪ねぎが天盛りされている。
脂分はきつく無いが濃い旨味が感じられ、一方で塩気は控えめのためそばがきの甘味まで楽しめる。
「本日のお造り」は「ウメイロ」「ヒラスズキ」「サワラの炙り」の3種盛りが、青紅葉を添えた大皿で登場。
「ウメイロ」は身の色合いが紅梅を思わせるためこう呼ばれているようで、漁獲量が少ないため主に産地で消費され市場に出回ることは稀のようだが、鱸の仲間の高級魚とのこと。
実際にも身に甘みがある上品な味わいで、実に美味い。
「ヒラスズキ」はこちらも鱸の仲間だが、ねっとりした食感で一般的なスズキよりも味が濃い。
「サワラ」は皮目を炙ることで、適度に水分が抜けて旨味が凝縮している。
出汁醤油も添えられているが、山葵と塩で食べる方がそれぞれの味と食感の違いがよく分かった。
「カマスの西京焼き」:旬のカマスだが、三枚におろして西京味噌に漬けられた身はかなりの幅と厚みで、それを畳み込むように成形されてこんがりと焼かれている。
淡白なイメージとは異なりしっかり脂が乗っており、味噌の加減も丁度良い。
添えは大粒の「落花生の塩茹」で、独特の歯触りと香りが面白い。
この後が「天ぷら」で、揚げ立てが一品ごと運ばれてくる。
「椎茸・帆立・茄子・海老」というラインナップで、天つゆは付かず塩のみで食べるが、中心をレアに仕上げた帆立や海老は甘味が引き立つ。
野菜のジューシーさも印象に残り、特に秋田産の分厚い椎茸が良かった。
酒についてが後になったが、充実の日本種の品揃えからまずは「田酒」を徳利で頼み猪口を付けてもらうが、その後はそれぞれ好みのものを半合単位のグラスで注文。
私は「加茂金秀」「醸し人九平次」をもらうが、いずれもすっきりした飲み口で美味しい。
その後にワインも欲しくなり「プレミアム 甲州」を頼むが、気に入ったのでもう一杯追加してしまった。
やはり料理が良いとおのずと酒が進むもので、テーブルの対角線に座ったお相手との会話も弾み、実に快適な時間が流れる。
そろそろ蕎麦の注文となり、コースには「せいろ」か「かけ」の蕎麦が含まれているが、オプションで他の種物に替えてもらうことも可能。
写真入りの紙片には面白そうなものが並んでおり、私は「きのこつけ」お相手は「きのこおろし」を選択。
さらに「自家製肉味噌そば」も試してみたくなり、2人で半分ずつに分けてもらえないかと訊いてみたところ、快く受けてくれた。
「きのこつけ」はシメジ・エノキ・舞茸などが煮込まれて、その旨味が加わったそばつゆに冷たい蕎麦を浸けて啜る。
蕎麦は店主自ら足を運んで選んだ'赤城産の十割'で、緑がかった色合いで香り高い。
細目に綺麗に揃っており、シャキッとした歯触りと喉越しの良さも兼ね備えた優れた仕事。
濃い目のつゆにも拮抗する、力強さも感じさせる。
「自家製肉味噌そば」は、茹で上げた蕎麦の上にそぼろ状の肉味噌が盛られ、温泉卵がトッピングされている。
肉味噌がそれほど濃くないので、蕎麦の風味も生きている。
温泉卵は「蘭王」というブランド卵で、黄身の色合いが美しく味も濃厚。
鉄瓶で出される蕎麦湯は手が加わっており、自然体では無くやや白濁が強い。
しかしそれぞれの器に注げば、素直に伸びて〆の満足感は得られた。
デザートの甘味は「ピオーネ大福」と「紅葉羊羹」の盛合せ。
甘酸っぱいピオーネが薄目の餡と餅に包まれており、瑞々しさが好ましい。
羊羹も紅葉の柄が、透けて見えるように工夫されている。
開店からまだ6年で汐見さんはまだ30代だが、名店「松下」の技を継承した料理の数々に加え、蕎麦の出来にも伸長が見られる。
盛り沢山の内容で、それぞれにきちんとした仕事が施されたコースは満足度が高い。
それと共に楽しむ酒も実に美味しかった。
お勘定は基本のコースに蕎麦にオプションを付け、酒を加えて一人1万円ちょっとは極めてリーズナブルに思う。
ご主人はじめ2人の男女スタッフの応対ぶりも好印象。
客入りは日によってバラツキがあるようだが、貸し切り状態だったのもラッキーだった。
これからも信頼のおける一軒として、私の蕎麦屋巡りの中核となるべき店。
以前のようなフランクな呑み会が催せるようになったら、是非多くの方とご一緒したい。