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昼の点数:4.5
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¥4,000~¥4,999 / 1人
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料理・味 4.5
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|サービス 3.5
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|雰囲気 3.7
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|CP 4.5
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|酒・ドリンク 4.0
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[ 料理・味4.5
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| サービス3.5
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| 雰囲気3.7
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| CP4.5
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| 酒・ドリンク4.0 ]
ストイックに、したたかに、感性を刺激する「三種せいろ」
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冷酒1合とお通し
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天ぷらは海老と野菜8点で、なかなかのボリューム
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山形県 越沢(こえさわ)三角そば
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埼玉県 三芳(みよし) 秋そば
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島根県 美郷(みさと) さひめそば
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蕎麦湯
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この日は13:50に完売の暖簾が掛かりました
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2024/04/09 更新
東十条駅南口から徒歩2〜3分。
お店の入り口に掛けられた「お願い」の看板には、
「店主・女将の2人の営業のため お時間のある方のみ お願い致します」と、記されている。
急がず、焦らず、のんびりと構えることにしよう。
この日は春爛漫のうららかな土曜日。
お店に着いたのが13時15分頃。待ち客の列は10人ほど。時間に余裕のある私は、用意した文庫本を開いて、しばし時を忘れようとする。昼の営業は14時30分まで。だから問題はないはず。と言い聞かせながら。が、一抹の不安は残る。
列の進行は眠ったようにゆるやか。食事を済ませた客が次々と出て行く。けれども、その人数の待ち客が招き入れられるわけではない。後で分かったことだが、客が去った席を片づける余裕が、女将さんにはないらしい。
13時50分。待ち客の列は、先頭に立つ私と、その後ろに並ぶ二人連れのみとなった。戸口から出てきた女将さんが三人に向かって、
「お客様方でお蕎麦が品切れになりますので、申し訳ありませんが、どなたかがお並びにいらっしゃいましたら、そのようにお伝えくださいますでしょうか」
と依頼した。拒む理由はない。「いいですよ」と同時にうなづく三人。女将さんは一礼し、入り口横に「蕎麦完売」の暖簾を掛けて店内に消えた。
どうやら私たちは蕎麦にありつけるようだ。安堵の空気が流れた。
その後も食事を終えた客たちが次々と去っていく。しかし私たちは呼ばれない。
女将さんが最後の三人を招き入れたのは、閉店時間が迫る14時20分過ぎだった。
店内には食事中の客が二組四人。あとの席は食後の器類で埋まっている。
のんびり蕎麦前の空気ではない。私は、急かされたわけでもないのに、せわしなく「三種せいろ 天ぷら付(3,300円)」と冷酒「伯楽星 純米吟醸(1合 1,100円)」を注文した。
そこからはテンポが上がった。1〜2分で冷酒とお通し。ひと口、ふた口、味わったところで天ぷら。み口、よ口で、ひとつめの蕎麦、すぐに二つめの蕎麦。
ここで女将さんから一声。
「三番目のお蕎麦は、二つめをお召し上がりになったころ、お持ちします」
この日の「三種せいろ」は次のとおり。
⭐︎山形県 越沢(こえさわ)三角そば
⭐︎埼玉県 三芳(みよし)秋そば
⭐︎島根県 美郷(みさと)さひめそば
冷酒や天ぷらも美味だが、このお店の醍醐味は、何と言っても蕎麦の食べ比べにある。
三種はいずれも在来種のブランド蕎麦。極限的に精密な扱いを想像させる繊細さで、それぞれの色、香り、舌ざわり、歯ごたえが表現される。
比べるからこそ分かる違いがある。いやそもそも食べ比べとは、そういうことではないか。
「三種せいろ」に向かう時、私はそこに畑を見、山を仰ぎ、風を聴こうとする。
あるいはこの蕎麦は水墨画に喩えられるかもしれない。淡彩でありながら、墨の濃淡、水の多寡、筆づかいによって、さまざまなニュアンスが描き出される。
自分がどれだけ蕎麦を知っているか? そんなことは関係ない。ただ「三種せいろ」を食べ終えた私は、「本物」に触れたことを実感している。それだけのことだ。
と、今回はなんとなく、いつもと違う書き方をしてみました。ここからもとに戻ります。
私はいつも、お蕎麦屋さんでは必ず蕎麦前を楽しみます。けれどもこの日は、冷酒1合はいただきましたが、それ以上は遠慮しました。もちろん、昼の営業終了時間が迫っていたからです。しかしながら、もっと早い時間に入れたとしても、お店の状況に忖度した可能性が高いと思います。
お店の方針として、昼は予約を取らず、夜は予約可能ということのようなので、このお店で蕎麦前からゆっくり楽しむならば、夜のほうがよさそうですね。
ともあれ今日は、本当に美味しくて楽しい「三種せいろ」、ご馳走様でした。