2回
2017/12 訪問
どこまでも深く濃い味わい
「燻せばなんでもウマくなるんだよ」
と言ったのは友人のTであった。何も知らない、知っているはずもない背伸びしたい盛りの15歳。
当然こちらも15歳、生意気盛りで理屈こねたい15歳である。
「そんなことあるわけねーだろ?お前食ったことあるのかよ?バーーーカ!」
まったく、無知ほど大きな罪はない。
数年前、別の友人が作った燻製の数々、ゆで玉子、チーズなど簡単なものであったがその品々の美味なること。濃いのだ、深いのだ。日常的な飲酒はない方だが、つくづく
「あーーー!ジン飲みてー!」
と、思ったものだ。
燻製といって、スモークチーズくらいしか食したことのない小僧が言ってよい言葉ではなかった。Tよすまぬ。お前の住む方角に精神的な平身低頭をするオヤジひとり。
長々書いてしまったが、先だって先輩から連れて行って頂いたこちらの料理と出会い、上記の強く思い出したのである。
もともと料理好きであったマスターは、「好きが高じて」会社を早期退職。こちらを開店したという。
平成29年11月25日開店
この日はマスターご本人だけでなく、われら長野市民にとっても記念すべき日であると確信する。大袈裟に書いているようだが、それほど美味なのだ、深いのだ。
お通しとして出された大根おろしとしじみ汁。しょう油をサッとかけ、柚子胡椒をのせただけの大根おろしがなぜうまいのだ?しじみ汁?なぜこれだけしかないのだ?ドンブリで出しておくれ!という声は心中だけに留めておこう。今、大切なのは自己主張ではない、連れてきてくれた先輩の面子なのだ。
「スモーク3種盛り合わせ」
しっとりしたチーズ、ねっとりレバーは香り高くそしてワサビをのせたハムは凄まじくうまい。
「スモークソーセージ3種盛り合わせ」
お初の場所は様々な品目を、というコンセプトの注文なのだがこれが奏功した。ぶつッ!ぱりッ!じゅわ〜ッ!である。これほど旨味の深いソーセージは初めてかもしれない。
「豚ローススモークハムステーキ」
極厚!と冠された上におそらくサービスしてくれたのであろう、これほど厚いハムは見たことがない。熱い鉄板の上にパチパチと音を立てながら存するハムは、その形態と反してじつに繊細な味わいである。とろけるのだ。舌上で転がさずとも消え失せてしまう、そんな心持ちのする一品であった。ハムステーキ、といえば大藪春彦「蘇る金狼」であるがあんなにがさつな食い物ではない。別な次元であることは言うまでもない。
「スモークハムと玉ねぎのオムレツ」
オムレツといえば、薄く薄くカットしたプレスハムを思い出すが、こちらはそんなけちなものではない。ゴロンゴロンと投入されたスモークハムが、シャキシャキの玉ねぎとともに、とろんとろんの玉子に包まれるのである。ゴロンゴロンシャキシャキのとろんとろんなのだ。たっぷりケチャップも気に入った。
他にもいろいろと頂いたが、今回はこれくらいにしておこう。次にお邪魔するときは、酒ではなく勇気を持ってご飯を頂こう。ソーセージ、ハムステーキ、オムレツ。どれを取ってもご飯に合わないわけがない。勇気を持って大盛りを注文することにしよう。
店名 燻製SAKABA 峰家
場所 長野市北石堂町1390 2階
電話 026-228-7433
時間 17:00〜23:00
定休 日曜・月曜
2017/12/22 更新
友人数人での新年会である。そのうち2人は飲めず、私は車となれば酒抜きで美味しいものを食べに行こうとこちらへ来た、というわけだ。
「好きが昂じて」始められたというだけあって、隅々までマスターのセンスと個性が感じられる、大人の空間だ。美味いしそもそも心地よい。
「お通し」
大根おろし:柚子胡椒と燻製醤油が大根の甘さをひきたてる
しじみ汁:どこまでも濃厚。素晴らしい薫りだ
「スモークソーセージ3種盛り合わせ」980円
何がすごいといって、ブロッシェン、チョリソー、ハーブというソーセージの個性がくっきりと際立っている事だ。パリッとした歯ごたえは何度食べても飽きない、いつまでも食べていたい食感だ。
「スモーク手羽先・手羽元盛り合わせ ハーフ」580円
食感といえばこれも凄い。ぷりぷりっとした鷄肉の肌は「官能的」という表現をして支障がないと考える。
「極厚!ローススモークハムステーキ」1580円
重厚長大、という比喩に値する存在だ。噛み締めると滋味がどばどば溢れ出る、そんな印象だ。
「スモークハムのゴロゴロポテトサラダ」580円
スモークの香りとポテトが出会うと、これほど優しい味わいになるのか。という安心感満載のひと品だ。
「燻製大吟醸醤油で食べる卵かけご飯」580円
そしてTKG。栄村産の米と厳選された卵が、自家燻製された醤油で合わさる時におきる美味さはまさにマジックといえる。美味い美味すぎる。