蓼喰人さんが投稿した日本橋蛎殻町 すぎた(東京/水天宮前)の口コミ詳細

蓼喰人の「蕎麦屋酒」ガイド

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蓼喰人 (男性・東京都) 認証済

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日本橋蛎殻町 すぎた水天宮前、人形町、茅場町/寿司

1

  • 昼の点数:4.7

    • ¥40,000~¥49,999 / 1人
      • 料理・味 4.8
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 3.8
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.2
1回目

2022/03 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気3.8
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.2
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

仕事面でもホスピタリティでも、期待通りの高いレベルを実感

 東京で、いや全国でも最も人気が高いこちらの鮨屋へのお誘いを、いつもお世話になっているマイフォロアーさんから頂戴した。
 昼の時間帯だったが予約が極めて取りにくいことでも有名のため、急ではあったがこの機会を逃すまいと都合をつけてご一緒させて頂くことにした。

 場所は今さら私が説明する必要もないが、日本橋蛎殻町のオフィスと事業所が混在する辺りのビルの地下で、駅では水天宮の駅から2.3分の便の良い所。
 12時に一斉スタートのため、少し前に店頭にパラパラと人が集まってくる。
 定刻に暖簾が掛かり地下への階段を降りていく。
 我々は4人組で、手前に設えられた4つの椅子が横並びに置かれた個室状のスペースに通された。

 33,000円のコースが基本で、先に何品かつまみが供され、その後で握りが出されるスタイル。
 まずは飲み物を訊かれたので、珍しい「August Beer ピルスナー中瓶」があるのでそれを選択したが、穏やかな口当たりが好ましい。
 
 ご主人の挨拶によりコースがスタート。
 個室の我々には、若いながら仕事を熟知した女性スタッフが配膳や接客全般を担当。
 次のような品々が登場した。

☆「ひろっこのお浸し
 「ひろっこ」とは、山形や秋田で早春に雪の下から顔を出す「あさつき」の新芽。
 サッと湯通ししてから薄味の出汁に浸されており、糸がきが天盛りされている。
 シャキッとしていながら噛むと多少のぬめりも感じられ、香りと微かな辛味も有って葱好きには堪らない。、
 春の息吹を感じさせる一品で上々のスタートとなる。

☆「平目と帆立の刺身
 ご主人により、銘々の俎板皿に置かれる。
 どちらもごく軽く塩を当てる技が施され、水分が抜けて旨味がより凝縮。
 エンガワが添えられた平目も良かったが、サクッとした歯触りと甘みの濃い帆立が秀逸。
 丁寧に摺り下ろされた、上物の本山葵が味を引き立てる。

☆「雲子の出汁ひたし
 質も良いのだろうが下処理がしっかりしているので、雑味の全くないクリーミーさがストレートに味わえる。
 得てして河豚の白子の代用品のように見られる雲子だが、あっさりした出汁に浸され柚子の香りと酸味がアクセントとなった上品な仕上がりで、河豚に劣らぬ美味さ。

☆「〆鯖の海苔巻き
 こちらのスペシャリテの一つのようで、鯖の身が葱・大葉・生姜を芯に巻かれ、カットされた断面も美しい。
 鯖の〆具合が良く、全体の味の調和が見事。

☆「あん肝旨煮」+「新政 陽乃鳥
 程よい加減の甘辛い煮汁でサッと煮られたあん肝は、旨味がしっかり。
 これに一杯の酒を合わせる趣向も面白く、選ばれたのは画期的な手法で新作を次々と生み出すことで知られた、新政の「陽乃鳥」という名の貴醸酒。
 香り・甘さ・酸味はリキュールのような風合いで、あん肝とも上手くマリアージュ。

☆「蛍烏賊の味噌漬け
 旬ものの蛍烏賊がやや甘目の味噌に漬け込まれており、水分が抜ける代わりに味噌の味が丁度良く入っている。
 もちろん食感の邪魔になる目玉や軟骨は、きちんと除かれている。

☆「太刀魚の塩焼き
 産地は千葉の竹岡とのことで、最近は東京湾でも上物が揚がる。
 結構な厚みのある切り身が、綺麗な焦げ目を付けて焼き上げられている。
 酢橘と染めおろしで頂くが、淡白で有りながら脂も乗っており、ふっくらとした食感と繊細な旨味が素晴らしい。

☆「穴子の茶碗蒸し
 白焼きのやや歯応えの有る穴子の身が、フルフルの優しい玉子で覆われてる。
 出汁の配合も味加減も絶妙で、上に振られた粉山椒も良い働きをしている。
 温かいものが挟まれることで、流れに抑揚が生まれる。

☆「牡蠣の味噌漬け」(追加)
 この後が握りになるがその前に、つまみの追加を訊かれる。
 何品かを口頭で告げられ、どれも垂涎もので迷うがこちら一品に絞る。
 大粒の牡蠣が味噌に漬け込まれており、旨味が凝縮した期待に違わぬ味。

 握りの前に酒に付いて一言。
 銘柄は多数用意されているようだが、お任せでお願いする。
 先に出されたのが栃木の「仙禽」、その後に岐阜の「醴泉」を1合ずつ常温でもらう。
 選りすぐった銘柄だけに、何れにも良く合って楽しめた。

 握りは何からスタートするかは、大いに興味が湧くところ。
 こちらは別室なのでご主人が握ったものが奥から運ばれて来るが、提供の際には再度握り直し'煮切り'を塗って目の前に置かれる。
 一貫目はご主人自らサービスされた。

★「小鰭
 鮨でしか美味さを発揮できない魚だが、その分職人の腕前の見せどころとなるネタ。
 やや大振りのため多少強めの〆加減だが、十分に旨味が引き出されている。

★「すみいか
 時期的にどうかなと思ったが、納得の美味さ。
 思いのほか食感は柔らかめで、ねっとりとした甘みがシャリに良く絡む。

★「本アラ
 アラは地方によって呼称が変わりクエと混同されることも多いが、「本アラ」は同じスズキの仲間でもそれらとは全く違う魚とのこと。
 希少な高級魚のようで、上品な白身ながら噛みしめると味が深い。

★「カンヌキ
 閂のように太くて長いことから、大振りの細魚がこう呼ばれる。
 綺麗な身は厚みがあり、その分歯応えも旨味もしっかり。

★「中トロづけ
 この日の鮪は銚子産とのこと。
 づけと言っても軽く醤油にくぐらす程度。
 とろけるような舌触りで、まったりした濃厚な味わいが口に拡がる。

★「春子 昆布〆
 春子はこの時期ならではの小鯛で、姿良く握られ皮目の桜色も美しく、昆布の風味と塩と酢橘が素材の良さを引き立てる。
 1貫には半身が使われているが、かなりの大きさで食べ応えも十分。

★「大トロ
 いわゆる蛇腹の部分が丁寧に握られている。
 一見筋っぽく見えるが、サラッとした脂とともに口の中で溶けて行く様が心地よい。

★「
 生のままだが、歯応えから鮮度の良さが判る。
 匂いなどは一切無いため、葱や生姜などを添えずとも美味さがストレートに伝わる。

★「子持ちヤリイカ
 一般的に市販されているスタイルとは異なり、綺麗に皮を剥かれた身の下に卵を忍ばせ、上に煮詰めが少量垂らされている。
 一見生のような食感だが、ごく軽く火を通しそのまま煮汁に浸されているのか、ひょっとしてガストロバックが施されているかと思える仕上がり。
 
★「車海老
 大ぶりの車海老を使用。
 握る直前に茹で上げて皮を剥かれたと思われ、頭の味噌も挟み込まれている。
 しっとりした食感と、強い甘みが印象的。
 
★「雲丹
 色の濃いエゾバフンウニが、軍艦では無く芸術的に盛られている。
 頬張れば甘みが口いっぱいに拡がる。
 今年は赤潮の影響で雲丹の不漁が聞こえているが、それに加えこの世情でロシアからの輸入が途絶えて増々品薄となっている様子。
 この状況で上質な雲丹がコンスタントに入手できるのは流石。

☆「浅蜊の味噌汁
 ここでお椀が挟まれた。
 一見してお澄ましのようだが薄く味噌が溶かれており、一口すすってみると単に旨味が濃いと言うより、甘みを感じるほど貝の味が抽出されている。
 訊けばお椀に入っている貝とは別に、かなりの量の浅蜊が出汁を取るために使われているとのこと。

★「金目鯛
 皮ぎしの脂を溶かし皮を柔らかくためにごく軽く炙られており、練り辛子が添えられている。
 脂分が上品な味わいに転化する味の広がりが印象的。

 この後は通常では穴子・玉となるが、その前に握りの追加を訊かれる。
 こちらも口頭で伝えられるがいずれも魅力的で、特にこの時期ならではの貝類にそそられる。
 ちょっと欲張って次の3種を頼む。

★「煮蛤
 鹿島産とのことだが、肉厚の身をさっと煮て汁に浸す江戸前伝統の仕事。
 専用の詰めが塗られており、噛めば適度な弾力とほとばしるエキスが好ましい。

★「みる貝
 三河湾とのことで、厚めにカットされて握られている。
 本ミルならではの歯応えと独特の味わいに、思わず笑みがこぼれる。
 
★「ほうぼう
 刺身では何度か経験しているが、握りでは初めて。
 淡白な白身のようでけっこう脂が乗っており、実に美味い。
 
★「穴子
 詰めか塩かと訊かれるが、ここは詰めで江戸前の王道の仕事を確認。
 姿はしっかりだが、頬張ればシャリと一体になって旨味が口に拡がる。
 詰めは味もとろみも強すぎず、ネタに寄り添う感覚が好ましい。

★「玉子
 海老のすり身を混ぜて焼き上げられており、斑なく付けられた焦げ目は高級焼菓子の趣。
 しっとりした食感で、上品な甘さを湛えた緻密な旨味が秀逸。
 コースの〆のデザート感覚で楽しむ。


 握りの技は流石。
 ネタはいずれも上物で大振りに引かれており、それぞれに細かな仕事が施されている。
 シャリの加減は中庸でどのネタにも見合うように仕上がっており、一貫のサイズも大き目。
 もちろんシャリ小さ目でもお願いできるが、味のバランスを考えれば通常サイズが相応しい。
 つまみ10品と握り17貫はかなりのボリュームだが、丹念に味わうのは楽しく苦も無く平らげてしまった。

 フレンドリーに語り掛ける女性スタッフの応対ぶりも清々しく、居心地の良さを演出。
 実に快適なひと時を過ごすことが出来た。


 何時しか時刻は15時近く。
 支払いは5万円近くとなったが、充実の3時間の対価としては相当に思う。
 比べるのも無粋な話だが、同じ金額で30分で全てが完結する「次郎」に対し、やはり満足度の点ではこちらに軍配が上がる。
 
 実に得難い経験であった。
 改めてお誘い頂いたフォロアーさんに、深く感謝申し上げる。

  • 「ひろっこのお浸し」

  • 「August Beer ピルスナー」

  • ご主人の手捌き

  • 「平目・帆立」

  • 平目はえんがわも添えられている

  • 食感の良い帆立

  • 「雲子」

  • 鱈の白子に負けないクリーミーさ

  • 「仙禽」

  • 「〆鯖の海苔巻き」

  • 薬味類も効いている

  • 「あん肝旨煮」

  • 程よい甘辛味

  • 「蛍烏賊味噌漬け」

  • 「太刀魚塩焼き」

  • ふっくらとした仕上がり

  • 「穴子の茶碗蒸し」

  • 優しい味と舌触り

  • 「醴泉」

  • 「牡蠣の味噌漬け」

  • 旨味が凝縮

  • ガリ

  • 大将によりサービス

  • 「小鰭」

  • 「すみいか」

  • 「本アラ」

  • 「閂」(大振りの細魚)

  • 「中トロづけ」

  • 「春子 昆布〆」

  • 「大トロ」

  • お冷

  • 「鯵」

  • 「子持ちヤリイカ」

  • 「車海老」

  • 「雲丹」

  • 「浅蜊みそ汁」

  • 「金目鯛」

  • お茶

  • 「煮蛤」(追加)

  • 「みる貝」(追加)

  • 「ほうぼう」(追加)

  • 「穴子」

  • 「玉」

  • ご主人と記念撮影

  • 入口

  • 表札

2022/03/25 更新

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