蓼喰人さんが投稿したレ セゾン(東京/日比谷)の口コミ詳細

蓼喰人の「蕎麦屋酒」ガイド

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蓼喰人 (男性・東京都) 認証済

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レ セゾン日比谷、内幸町、銀座/フレンチ

1

  • 夜の点数:4.7

    • ¥40,000~¥49,999 / 1人
      • 料理・味 4.7
      • |サービス 4.9
      • |雰囲気 4.7
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.7
1回目

2021/02 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.9
    • | 雰囲気4.7
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.7
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

歴史と伝統を感じさせる料理とサービスで優雅な時間を満喫

 毎年4月に催されていた友人のピアノ発表会が、昨年は自粛が声高に叫ばれ始めた時期に重なり、残念ながら中止となっていた。
 今年はどうかなと思っていたが、規模を縮小し、さらに少し時期を早めて実施された。
 場所はいつも通りの、日比谷交差点角の「スタインウェイ・サロン東京 松尾ホール」。

 例年この後のお疲れ様の食事会には、その近くの少し気の利いたレストランを選んでいたが、今回は帝国ホテル内のこちらを選択。
 毎回お相手のためというより、この機会に私が行きたい店を選ぶという趣旨の方が強いのが実態。
 こんな時期でも、というよりこんな時期だからこそ、老舗ホテル内のレストランらしい味とサービスを体験したいと言う思いで臨む。

 正面入り口から入り、手指のアルコール消毒と検温を済ませ、手前に季節の盛花(この日は山桜とスイトピー)が大鉢に活けられ、頭上に大シャンデリアが輝く臙脂の絨毯が敷かれた階段を上がる。
 そこは階下のラウンジを俯瞰する中二階のフロアーで、こちらの創設にも関り、今年の大河ドラマに取り上げられた「渋沢栄一」の遺徳を偲ぶ展示なども並んでいる。
 それを眺めながら進む奥が入口で、恭しく控える黒服のスタッフに迎え入れられる。

 和かに調光された落ち着いた空間が広がり、さすがに調度なども洗練されている。
 幾つかの仕切りが設けられた広々としたスペースに、テーブルがゆったりと配されており、その中の一つに案内された。

 お達しに従い現在こちらも20時で完全に閉めることになっており、その分夜のオープンが通常17時半のところ、17時に早められている。
 ほとんどの客がコースを注文するため余裕を持たせるのは良いことで、我々は17時半前に入店するが、すでに多くのテーブルが埋まっていた。
 この日は休日だったが平日の18時頃に入店せざるを得ない場合は、忙しない状況も予想される。

 
 席に着くと食前酒を勧められる。
 4種のシャンパーニュが用意されており、メニューと共に実際に4本のボトルが並ぶワゴンが登場。
 その中から「ドゥッツ ブリュ クラシック」を選択。
 細かな泡立ちと共に立ち上がる香気が見事で、上々のスタートとなる。 

 コースを前にして、2種のアミューズ・ブーシュが出される。
 「トリュフ入りクロックムッシュ」は、薄切りのトーストにハム・チーズの他に黒トリュフが挟み込まれており、突き刺さった楊枝で一口に頂く。

 「カンパチのタルタル ピスタチオのピュレ」は、小角切りにされたカンパチの刺身を、昆布出汁で伸ばしたピスタチオのクリーミーなピュレで覆い、粗く刻んだ実が散らされている。
 ピスタチオの風味を生かした薄目の塩加減で、パステルカラーの色合いも好ましい。
 氷を詰められた器はやや大仰だが、添えらえた紅梅の一枝はゆかしい。

 この後からコースが始まるが、単品の料理のように思えて2皿構成の部分もあり、実際はなかなか複雑で手の込んだ内容。
 事前にメインの肉料理だけは二人別々の料理を頼んでおいたが、手渡されたメニューはそれぞれ違ったものが用意されていた。

*冷前菜は「駿河湾産赤座海老のタルタル 雲に見立てたシャンパーニュ
 海老の姿を生かした盛り付けと思いきや、登場したのはアート作品のようなクリスタルの器。
 生の赤座海老(ラングスティーヌ)のむき身の上に、ムース状に仕立てたシャンパンのソースが被せられている。
 海老のプリッとした歯応えと、爽やかなソースの口どけの良さが相俟って実に美味しい。
 
 これには別に「赤座海老のラビオリのブイヨン仕立て」が付いた。
 赤座海老のすり身を包んで茹でたラビオリに、目の前で同じ海老の殻から取ったブイヨンが注がれる。
 海老の旨味が抽出されたブイヨンの味が深く、生姜の風味も効いている。
 内側に銀を鍍した小鉢状の器もお洒落。
 
*温前菜は「瞬間燻製で仕上げたサーモン クミンとオゼイユ インカのめざめのクレメにイクラを乗せて
 太目の棒状にカットされたサーモンが、ミキュイされたのちに燻製にされており、上面にほうれん草のジュレが薄く乗せられている。
 芳しい燻香をまとったサーモンは絶妙な火通りだが、折角皮を付けているのならば、その部分をもう少しパリッとさせて欲しかった。
 添えは丸く焼かれた'インカの目覚め'にイクラがあしらわれている。

 これにも別に「サーモンマリネのクリームチーズ添え」といった一品が、小皿で添えられる。
 さいの目にカットされたサーモンはまた別の食感を見せ、くせが無く滑らかなクリームチーズとの取り合わせも良い。

 ここでワインについて。
 ワインの品揃えの豊富さは想像に難くない。
 事前にHPを覗いていたら、こちらのオリジナルブレンドの甲州産の「峡東」という白ワインが面白そう。
 ソムリエに相談すると、落ち着いた味わいはどの料理にも良く合うとのことで、こちらをボトルでもらう。
 実際に日本酒にも通ずる優しい口当たりで、実に飲みやすい。

*魚料理は「フランス産ソールをグリエして 生姜バター 人参のコンディマン
 舌平目の身に切り込みを入れて、その間にムース状のすり身を挟んで網焼きされている。
 軽い焦げ目が香ばしく中はジューシーな仕上がりで、生姜風味のソースがそれを引き立てる。
 添えは様々な品種の人参が、それぞれ調理法を違えて盛り合されている。
 コンディマンとは調味料と言う意味だが、オリジナルの調味料を使っているようで、これだけで一品料理として通用するほどの充実ぶり。

*肉料理は「茸のクヌートを覆った鶏肉」。
 クヌートとはパイ皮と言う意味だが、マッシュルームなどの茸を、パイ生地状に延ばしたもので覆った鶏むね肉を、蒸し焼きにしたと思われる料理。
 表面にはトリュフの薄切りが並べられており、ソースも茸を使った白ワイン風味のあっさりタイプ。
 鶏肉自体の質も良いのだろうが、しっとりとした食感で旨味が濃い。
 添えは赤ワイン入りのブイヨンで煮た大根やビーツ、コーンスプラウトなどでなかなか凝っている。

 これにも別皿で「冬野菜とお米のブランケット」が出された。
 バスマティライスと刻んだ冬野菜がクリーム味のリゾット風に仕立てられており、さらっとした食感と味わいが印象的。

 この時点でそろそろボトルは底をつき、肉料理に合わせて赤ワインを一杯もらいたい気分。
 ソムリエから勧められたのは「ショレイ レ ボーヌ」というピノノワール。
 軽い口当たりながら深みのある味わいで、チキン料理に良く合った。
 
 お相手の肉料理は「特選和牛サーロインのポワレ 黒トリュフを絡めたセロリラブのプレゼ ビーフのジュ」で、一口味見させてもらった。 
 サシの入ったと思われるジューシーなサーロインは、極上の美味さと柔らかさ。
 その素材の良さをシンプルなソースでストレートに味わえるが、ボリューム面やバラエティに富んだ楽しさで私のチキンの方が良かったような気がする。

 パンについてが後になったが、最初にカットして出されたのはカンパーニュタイプ。
 その後、川海苔を混ぜて焼き上げたブール、紡錘型のプティパンの順に供された。
 いずれも美味しかったが、特にサーモンの料理に合わせて出された'四万十川の川海苔'を使ったブールが印象に残る。

 この後がデザートとなるが、その前に「プレディセール」が出される。
 「林檎のグラッセ レモンのエスプーマ」と言ったものが登場。
 赤ワイン入りのシロップで煮たリンゴの小角切りに、爽やかなレモンの風味が加わり、料理からデザートへの橋渡し的なさっぱりとした味と食感。

 メインのディセールは「ヌガーグラスとマンダリン 柚子ガナッシュのリボンをまとわせて」。
 メレンゲ状の卵白を使った軽やかなヌガーグラスとマンダリンオレンジの酸味、さらに柚子風味のホワイトチョコとの融合。
 こちらも柑橘系でまとめられた上品な仕上がり。

 飲み物は「コーヒー」を選択。
 それに合わせて「ショコラのミニャルディーズ」が詰められた箱が提示される。
 3種の一口サイズのショコラと、先ほどのヌガーグラスを固めた4種をもらう。
 甘さと苦みが、やや深煎りで濃い目のコーヒーに良く合った。


 期待通りの充実したディナーを楽しめた。
 味もさることながら、行き届いたサービス面に於て、日本が世界に誇れる第一級のホテル内のレストランであることを実感。

 コース料理を存分に楽しみ、一息ついたところで時刻は20時少し前。
 忙しなさなど感じずに、ゆったりとした気分でディナーが楽しめたのは良かった。


 シェフのヴォワザン氏は、こちらに招聘されて15年以上とのこと。
 オーソドックスなスタイルを基本に、最近のフレンチの流れに乗った斬新な手法も取り入られているが、それに加え日本ならではの食材を用いることでも定評があるとのこと。
 今回の品々にもそれが随所に顕れており、盛り付けや器の選び方などにも感じられる。

 周囲のテーブルでは、ちょっとした祝い事や結婚〇〇周年といった節目に訪れる方が多いように見受ける。
 そういった改まった席には好適な、素晴らしい味とサービスが約束されたグランメゾンと言える。
 我々にとっても深く思い出に残る、実に快適な時間が過ごせた。

  • まずは「シャンパン」で

  • 4種の「シャンパーニュ」

  • 4本のボトルがワゴンで登場

  • アミューズ・ブーシュ「トリュフ入りクロックムッシュ」

  • アミューズ「カンパチとピスタチオのピュレ」

  • クリーミーで色鮮やかなピスタチオの風味

  • 白ワイン

  • オリジナルブレンドの「峡東」

  • 「駿河湾産赤座海老のタルタル 雲に見立てたシャンパーニュ」

  • 海老の甘さを引き立てる爽やかなソース

  • 赤座海老のブイヨンが注がれる

  • 生姜の風味が効いている

  • ラビオリを頂く

  • 最初のパン(カンパーニュタイプ)・バター

  • 「瞬間燻製で仕上げたサーモン クミンとオゼイユ」

  • 燻香が芳しく、盛り付けのセンスが光る

  • 絶妙な火通り、ほうれん草の緑も映える

  • インカの目覚めのクレメ イクラ乗せ

  • 別皿で出された「サーモンマリネのタルタル」

  • クリームチーズが敷かれオリーブオイルで仕上げ

  • 2種目:四万十川の川海苔が使われている

  • 「フランス産ソールファルシのグリル 生姜バター」

  • ムースを挟んで焼き上げられている

  • 添えは「人参のコンディマン」

  • 「茸のクルートを纏った鶏肉」

  • チキン胸肉の上に茸、さらにトリュフで覆われている

  • 「バスマティライスと冬野菜のブランケット」

  • クリームで仕上げたリゾットの趣

  • お相手の肉料理「特選和牛サーロインのポワレ」

  • 3種目:紡錘型のプティパン

  • グラスワイン「ショレイ レ ボーヌ」うっかり撮り忘れるところ、大分減ってしまっている

  • プレディセール「林檎のグラッセ」

  • レモンのエスプーマ仕立て

  • 「ヌガーグラスとマンダリン 柚子ガナッシュのリボンを纏わせて」

  • 柑橘系の味と香りでまとめられている

  • コーヒー

  • ショコラのミニャルディーズ

  • 私のメニュー

  • 渋沢栄一の遺徳を偲ぶ展示

  • このようなオブジェも

  • 一階ラウンジを俯瞰

  • ロビーの眺め

  • 中央階段

  • 名物の「季節の盛り花」

2021/03/03 更新

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