蓼喰人さんが投稿したはらまさ(東京/曙橋)の口コミ詳細

蓼喰人の「蕎麦屋酒」ガイド

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蓼喰人 (男性・東京都) 認証済

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移転はらまさ曙橋、四谷三丁目、牛込柳町/日本料理

1

  • 昼の点数:4.8

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 3.7
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.2
1回目

2017/05 訪問

  • 昼の点数:4.8

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気3.7
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.2
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

才気あふれる充実した内容に大満足

 いつも食べ歩きに付き合ってもらっている友人が、昼にゆっくりできる時間が取れたので、ランチを楽しもうということになった。
 彼女のオフィスは早稲田なので、江戸川橋や神楽坂周辺が便利なのだが、そこで思いついたのは是非一度寄ってみたかった曙橋のこちら。
 多くのマイフォロアーさんが絶賛されいている、和食割烹である。
 早稲田からだとバスで数分、我が家はその路線の延長上に在るため私にとっても好都合である。

 人気店なのでダメかなと思ったが、1週間ほど前に電話を入れたら案外すんなり予約が取れた。
 12時の開店時刻に合わせて向かう。
 控え目な入り口の暖簾をくぐると、店内もこじんまりとした構えで、客席はL字型のカウンター8席とテーブル1卓のみ。

 我々には作業の様子が眺められる、カウンターの端の2席が用意されていた。
 他には、カウンター奥のお一人様とテーブル席に一組2人という状況で、案外ゆっくり出来そうだ。
 スタッフはまだ30代半ばと思われるご主人の原さんと、イケメンの助手の二人体勢。

 昼のコースは3種類で、その中から折角なのでちょっと張り込んで、一番高い7,800円のものをお願いしておいた。
 まずは「生ビール」をもらい喉を潤すうちに、次のような品々がカウンター越しに出される。

 「穴子と賀茂茄子の酒盗ソース掛け」:パリッと焼かれた穴子と薄味で炊き上げた賀茂ナスに、酒盗を出汁で伸ばしたソースが掛かり、白髪ねぎが添えられている。
 取り合わせの妙にご主人の創意が感じられ、まずは上々のスタート。

 「ずわい蟹の茶碗蒸し」:蟹の旨みの全てが凝縮された逸品。
スプーンで掬えば結構な脚肉があらわれ、それにたっぷりな味噌が加わり、分量以上に食べ応えがある。
 
 「真鯛と金目のお造り 鮟肝醤油添え」:2種の刺身にアサツキ・茗荷・おかひじきといったつまものが盛り合わせれており、これに鮟肝醤油、さらに焼き海苔が添えられている。
 刺身はわさび醤油でも、肝醤油を絡めても美味い。
 肝醤油は蒸した鮟肝の裏ごしを調味したもので、ご主人は'足りなかったら仰って下さい'と言葉を添えたが、薬味類とともに海苔に挟んだだけでも美味く、追加で頼んでいたら確実にこれを舐めながら酒が一合は空きそう。

 「鰻と冬瓜、蓴菜のお椀」:大振りで厚みのある鰻の白焼きに冬瓜を合わせ、旬物の生蓴菜が散らされた具だくさんのお椀。
 吸い地の加減は控えめで、具の旨さを楽しませることに主眼が置かれた贅沢な汁物。

 「魚卵素麺」:別名'痛風そうめん'と呼ばれる、こちらの名物料理。
 ご主人が調理する様子を眺めたら、煮立った湯の中に素麺を投入すると、茹で上がる直前に何とその中に鯛の白子を加えひと混ぜした後、そのまま笊に揚げて奥に運んで行った。
 程なく運ばれた鉢には、まだ温かい素麺に青さ海苔が混ぜ合わされ、上には唐墨・キャビア・生雲丹・イクラが美しく盛り付けられている。
 素麺は茹で上げた後に一旦水に晒すことで、歯応えを出すのが当たり前と思っていたが、そうせずに白子の風味を纏わせたまま食感が保たれている点にまず驚く。
 もちろん上に乗った具材の彩りと豪華さにも目を見張り、全部を混ぜ合わせても構わないのだろうが、ぐちゃぐちゃにするには忍びないので、少しずつ混ぜ合わせて丹念に味わう。
 若い料理人ならではの発想だが、味の面でも決してアイデア倒れで無い見事な仕上がりに感心する。

 「すっぽんの春巻き」:丁寧に下処理されたスッポンの身や縁ぺらをカットしたものが、春巻きの皮でパリッと揚げられている。
 山椒塩で食べさせるが、身の歯応えとトロッとしたゼラチン質が織りなす味わいは絶妙。
 添えはヤングコーンの天ぷらだが、皮付きで仕入れているため甘味も歯触りも良好。

 「五月鱒の木の芽味噌焼き」:この時期にふさわしい名前の魚で、ピンクの色合いが美しい。
 ちなみに、これが陸封されたものがアマゴとのこと。
 皮目はこんがりと身はソフトに焼き上げた切り身に、香り高い味噌が塗られ再度軽く炙ったものに、さらに千切った山椒の葉が散らされている。
 やや甘目ながら濃すぎない味噌と木の芽の香気が、淡白な味を引き立てている。

 「トリュフ御飯」:ご飯は客の人数ごとに土鍋で炊かれる。
 タイミング良く奥から運ばれた土鍋の蓋が客の目の前で開けられ、スライサーで黒トリュフ2個分が手早く削り入れられる。
 熱気に煽られて一気に芳香が立ち上る様は、感動ものである。

 御飯は出汁で炊かれているが、多少の脂気も感じられる味付けには奥義が有るようで、そこに大量のトリュフが加わることで、豊潤な味わいに仕上がっている。
 1膳目はそのままで、2膳目には相性の良い卵黄のソースが混ぜ込まれて、さらに味が深まった。
 「なめこの赤出汁」と「香の物(新沢庵と白菜漬け)」が添えられたが、トリュフ御飯の合いの手に相応しい、奥ゆかしさが好ましい。

 「枇杷の梅酒ジュレ掛け」:デザートは'はしり'の枇杷を使ったもの。
 種を抜いてカットされているが、結構な大きさであることが判る。
 それに梅酒のジュレが、甘さと爽やかさを添えている。

 酒についてが後になったが、品書きに目を通すと珍しい銘柄が並んでおり、この他にも季節限定の何種類かも用意されているとのこと。
 まずネーミングから面白そうな岡山倉敷の「木村式'奇跡の酒'」を、その後'季節のおすすめ'から島根安来の「月山 純米吟醸'涼夏'」を一合ずつ。
 どの料理にもマリアージュして、なかなか良かった。
 酒猪口にこの時期ならではの、青もみじの図柄のガラス器が選ばれているのも好印象。

 結果的に、充実の内容に大満足。
 若きご主人の才気には、まさに脱帽である。

 考えてみれば、穴子や鰻、酒盗や蟹味噌に鮟肝、さらに白子や雲丹や魚卵の数々、そして最後のトリュフ、ランチにこれだけの材料を普通に並べれば、くどさを感じて辟易してもおかしくないラインアップ。
 しかし後味の印象は実に爽やかで、心地良さが支配的になったことは驚きに値する。


 折々で原さんとは言葉を交わすことができた。
 ご出身は鳥取だそうで、最初は大阪で関西割烹の基礎を学び、その後上京してさらに腕を磨き、30歳そこそこで独立されたとのこと。
 根底は和食の王道の仕事であるが、今回のコースの中には端々に既成の概念に囚われない、若手料理人らしいアイデアが満載である。
 それが単に気を衒ったものに陥っていないことは、きちんとした技術力と豊かな感性の賜物であると言える。

 場所は靖国通りに面した分かりやすい所で荒木町の北端に当たるが、飲食店の立地としては決して良いとは言えない。
 ご主人に伺ったら、開店当初は客足がいまいちだったそうだ。
 しかしその実力は徐々に周知されることとなり、今では新進気鋭の和食料理店として脚光を浴びる存在となった。
 今回訪れてその人気の理由は十分に納得できたし、今後もさらに大きな飛躍が期待される。


 この友人との会食の席は誕生日という一大イベントが来月に控えているのだが、その前哨戦といった感じのリッチなランチとなった。
 帰り際にはご主人自ら見送っていただき、まことに気持ち良く店を後にする。
 夜はさらに素晴らしいことが予想され、次回は是非ディナーで伺いたい。

  • 「穴子と賀茂茄子の酒盗ソースかけ」

  • 取り合わせの妙を堪能

  • 生ビール

  • 「ずわい蟹の茶わん蒸し」

  • 蟹の旨味が凝縮

  • 「木村式 奇跡の酒」

  • 酒器も洒落ている

  • 「お造り」一式

  • 真鯛と金目

  • 真鯛を山葵醤油で

  • 金目を鮟肝醤油で

  • 海苔に巻いて余さずいただく

  • 「鰻と冬瓜、蓴菜のお椀」

  • 鰻をいただく

  • 冬瓜をいただく

  • 名物「魚卵そうめん」

  • からすみを混ぜて

  • キャビアを混ぜて

  • 雲丹を混ぜて

  • イクラを混ぜて

  • 「月山」

  • 涼しげな演出

  • 「すっぽんの春巻き」

  • きちんと下処理されたすっぽんが美味い

  • 「さつき鱒の木の芽みそ焼き」

  • 薫り高い味噌が味を引き立てる

  • 炊き上がったご飯にトリュフがたっぷりと振りかけられる

  • 味も香りも素晴らしい

  • 卵黄のソースが加わる

  • 相性の良さを満喫

  • 「なめこの赤出汁」

  • 「香の物」

  • 「枇杷の梅酒ゼリーかけ」

  • 酒の品書き

  • 控えめな入口

2017/06/03 更新

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