蓼喰人さんが投稿したあめこや(東京/豪徳寺)の口コミ詳細

蓼喰人の「蕎麦屋酒」ガイド

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蓼喰人 (男性・東京都) 認証済

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掲載保留あめこや豪徳寺、山下、梅ケ丘/そば、日本酒バー

2

  • 夜の点数:4.8

    • ¥6,000~¥7,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.7
      • |雰囲気 3.8
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.7
2回目

2017/03 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.7
    • | 雰囲気3.8
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.7
    ¥6,000~¥7,999
    / 1人

私の嗜好と志向に合致した、喜ばしい店

 再訪したい蕎麦屋の一番手に上がっていながら、貸し切りで入れなかったしてなかなかタイミングが合わなかった。
 今年は殊のほか面倒だった確定申告も何とか終わり、晴れ晴れとした気分で足を延ばしてみた。

 豪徳寺の駅に降り立ったのは、この時期だいぶ日の入りも遅くなり、まだ外は明るさの残る時刻。
 17時に店の前に着くと、ちょうど開けるところだった。

 店はご主人と助手の若い衆の2人体制。
 前回と同じカウンター手前の席に通される。
 4年以上間が空いたにもかかわらず、ご主人は私の顔を覚えていてくれた。

 まずは生ビール(ガージェリー・エステラという、限られた営業店のみに出しているこだわりの銘柄)で始める。
 お通しには「新じゃがの素揚げとプチヴェールのボイル」が出された。(プチヴェールとは、ケールと芽キャベツを交配した最近注目の野菜)
 ここまででも、ご主人の意気込みが伝わってくる。

 さてメニューを開くと、相変わらず細かな文字でびっしりと記された多種多様な肴・料理が並んでいる。
 大いに迷うが、まずは'本日の魚介料理'から「刺身盛り合わせ」を注文。
 内容は細魚・真梶木・鯵・蛍烏賊の4点盛り。
 メニューにはそれぞれの産地や特徴が付されているが、さすがに選りすぐったものだけにどれも美味い。
 蛍烏賊用の酢味噌や、おろし立ての山葵や生姜、菜の花や紅芯大根などを使ったつまものなど、添えの仕事も丁寧で、盛り付けのセンスも光っている。
 これで1,000円は良心的。

 酒への造詣も半端では無い。
 日本酒・焼酎はじめワインに至るまで幅広い品揃えで、これまた実に細かな記載がなされている。
 中には希少の銘酒も有るようで、丹念に見入ると実に面白い。

 その中から気になった、鳳凰美田で出している「J-SAKE2007」なる、米焼酎をブレンドしオーク樽で熟成させたという和風スピリッツをもらう。
 高級ウイスキーを思わせる甘露のような味わいが、印象に残った。

 次いで肴に選んだのは「特大しじみの醤油漬け」。
 ギリギリの火通りの大粒の蜆に味を含ませてあるが、旨みが凝縮しており、もちろん泥臭さなどは感じさせない。
 産地を訊ねると、予想通りに青森の十三湖とのことで納得。

 酒に「2種酒セット」を追加。
 好みの銘柄が選べるが、今回は秋田の「一白水成」と、宮城の「山和」にする。
 蛇の目のぐい飲みで供され、何れも結構。

 さらに料理に「小芋の酒盗焼き」を追加。
 少し時間が掛かったがそれもそのはずで、オーブンで焦げ目をつけた熱々の柳川鍋のような器が登場。
 海老芋使用となっているが、その'孫芋'なのだそうで、きぬかつぎのようなねっとりとした食感。
 さらに掛けられている酒盗を'玉子の素'で延ばしたと思われるソースが、なんとも玄妙な味わい。
 
 これには燗酒が合うとのことで、特別に燗向きに作られた「鳳凰美田」を一合。
 錫のちろりで出されたが、文字通り'酒盗'と織りなす味わいには甚く満足。

 当初はもっと多くの料理を試すつもりだったが、これ以上頼むと酒がいくら有っても足りない事態に陥りそうで(笑)蕎麦にする。
 今回もご主人渾身の「2種もり」にし、これに薬味に「辛味大根」を添えるスタイルで注文。

 先につゆ・薬味の設えが登場。
 猪口に少量を注ぎ色と味を確認するが、丁寧な仕上がりが確認できる。

 次いでご主人自ら、時間差を置いて蕎麦が運ばれる。
 1枚目は「福井 大野」、2枚目は「茨城 八千代」とのこと。
 微粉を上手につないだ十割で、香りはもちろんのこと、蕎麦そのものの味が濃い。
 さらに食感も喉越しも申し分のない、完璧と言って良い仕事である。

 辛み大根はつゆに混ぜず、少量ずつ蕎麦に乗せるようにして食べ進めるが、程良い辛みが蕎麦の味を引き立てる。
 蕎麦湯は別仕立てで白濁は濃いが、不自然な粘度は少なく気持ち良く〆られた。


 久々だったが、実に心地よいひと時を過ごせた。
 忙しい合間に、ご主人とは少し会話することも出来た。

 豊富なメニューは実に魅力的で、よくこれだけのきめ細やかな対応が出来るものと感心。
 そのいずれにも、しっかりとした技術力とセンスの良さが貫かれている。
 近所に在れば毎日でも通いたいほど。
 
 一見雑然とした若者感覚の店内も、敢えて隠れ家的にすると言ったあざとさが無く、だれでも気軽に寄れる自然体である点に好感が持てる。
 私のすぐ後から入って来たのは、常連と思しき結構な年配者のグループ。
 そういった方々にも支持されて、この地に馴染んだ商売が定着していることが窺える。

 今回は偶々予約客が少ない日で、また早い時間帯だったことも有り比較的ゆっくり出来たが、通常は予約が必須。
 私の嗜好と志向に合致した気持ちの良い蕎麦屋酒が楽しめる店として、これからも大事にしたい一軒である。

  • 「刺身盛り合わせ」

  • 「お通し」

  • こだわりの「生ビール」

  • 細魚(遠州灘)

  • 真梶木(外房)

  • 蛍烏賊(兵庫)

  • 鯵(豊後水道)

  • 「J-SAKE」

  • 「特大しじみの醤油漬け」

  • 大粒で旨味十分

  • 「2種酒セット」

  • 一白水成・山和

  • 「小芋の酒盗焼き」

  • まさに「酒盗」の味わい

  • 燗酒

  • つゆ・薬味

  • 味も色合いも美しい

  • 「福井 大野」

  • 蕎麦を手繰る

  • 「茨城 八千代」

  • 辛味大根は蕎麦に塗して

  • 蕎麦湯を注ぐ

  • 豊富な肴・料理

  • 蕎麦

  • 日本酒

  • ワイン

  • ビールなど

  • コース

2017/03/04 更新

1回目

2012/10 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気3.5
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク3.5
    ¥6,000~¥7,999
    / 1人

料理も見事だが、蕎麦の出来はさらに素晴らしい

 東京都内には新進気鋭の蕎麦職人が主である蕎麦屋が、少なからず存在する。
 30代後半から40才前後の方が多く、いずれも蕎麦打ちだけでなく料理や酒へなかなかの拘りを持ち、また店造りにも独自の個性を発揮している。

 こちらもそんなタイプの一軒。
 場所は小田急線の「豪徳寺」の駅近くの商店街の中で、営業は祝日と日曜以外は夜だけ。
 おのずとコンセプトは料理と酒を楽しんだ後に蕎麦で〆るという、私にとっては喜ばしいスタイルの店である。

 店内は洋風居酒屋風でやや薄暗いが、レイアウトはゆったりしており一人客向けのカウンターが有るのも有難い。
 一見雑然としているが随所に主人の感性の表現が確認出来、静かに流れるジャズの音とともに居心地の良さを醸し出している。

 メニューは多種多様。
 蕎麦屋の定番物や珍味類に加え、添えられたコメントから素材や調理法において、味にも出来栄えにも興味が尽きない創作料理的な肴が数多く並んでおり、選ぶのに苦労するほど。
 今回も最初に出てきたお通しの「四方竹のお浸し」と「生落花生の塩茹で」からして、期待が大きく膨らんだ。

 珍味の3点盛りは「鯛わたの塩辛・自家製天然鮎のパテ・豆腐の味噌漬け」。
 この中では「鮎のパテ」がまさに珍味。一見して蟹みその様であるが、鮎の身も骨もワタも全てを合わせた渋い味わい。

 酒にも店主選りすぐりの銘柄が並ぶ。
 その中からまず、「2種酒セット」(今回は「鳳凰美田」と「白岳仙」)を注文。
 2個のぐい飲みとともに、チェイサーとして水のグラスが出されるのも気が利いている。

 続いて出されたのは野菜料理の3点盛り。
 内容は「金時草のおひたし・泉州水茄子の浅漬け・マコモダケと黒枝豆の酒盗玉子ソースかけ」で、この中ではやはり「酒盗玉子ソース」が秀逸。

 それに合わせて「亜麻猫」なる銘柄の酒を追加したが、なかなか結構なもの。
 左党の勘どころを掴んだ味わいに、酒がいくらでも進みそう。

 別書きになったワインのラインナップにも、そそられるものがある。
 その中に私の好きなオーストリアワインの「ノイマイヤー」が載っているのを見止めて、頼んでしまう。

 これには「自家製イワシのオイルサーディン」を合わせる。
 山椒オイルでマリネにされ、北欧の鰊料理を思わせるちょっとレアっぽい仕上がり。

 グラスのワインはまたたく間に空き、2匹ほど残ったイワシを前に、今度は「山和」を1合ぬる燗でもらう。
 肴と酒の残量のバランスの悪循環に陥り、際限なく続く危険性があるので、肴に量的にほど良い「自家製のさつま揚げ」で打ち止めとする。

 蕎麦には産地別の食べ比べが出来る「2種もりそば」を選ぶ。
 まず先に出された「つゆ」を一口。
 鰹節の燻香がやや強いが、味に輪郭が感じられるすっきりとした私好みのタイプ。

 さらに感心したのが蕎麦の出来。
 今回は1枚目が「福井 大野の在来種」、2枚目は「北海道 石狩沼田のキタワセ」で何れも十割とのこと。
 はっきり言って蕎麦前がちょっと普段より多めだったので、蕎麦の味にきちんと向き合えるか心配だったのだが、最初のひと啜りで背筋が伸びる思いがする。

 香りは十分で、適度なコシと食感、喉越しのバランスが実に心地良い。
 しょっちゅう蕎麦を食べている私のような人間には、最近は余程の事が無い限り新鮮な感動を受けることは少ないが、こちらでは久々に良い出来の蕎麦に出合えた気がした。

 蕎麦湯は結構な濃度が添加されているが、凛としたつゆの味わいのせいか嫌な後味は無い。
 サービスで出してくれたデザートの「抹茶キューブ」は、はっきりした苦みと半解凍の歯触りが面白くなかなかのアイデア。

 全ての料理を試すまでには相当回数通わなくてはならないが、センスの良さと確かな力量の片鱗は十分に認められる。
 何より様々な料理をこなす中でも、蕎麦の仕上がりが完璧であったことは強く印象に残る。
 近所に在れば、頻繁に通いたい店である。

 
 前述した若手蕎麦職人の間では交流があり、お互いの店を訪問するなどして腕を競い合っているようだ。
 これは実に喜ばしいことで、彼らの切磋琢磨は大いに歓迎すべきこと。 

  • 「2種酒セット」(鳳凰美田・白岳山)と「お通し」(四方竹お浸し・生落花生塩茹で)

  • 「珍味3点盛り合わせ」(鯛わたの塩辛・自家製天然鮎のパテ・豆腐の味噌漬け)

  • 「とりあえずの肴3種盛り合わせ」(金時草のおしたし・水茄子の浅漬け・マコモダケと黒枝豆の酒盗玉子ソースかけ)

  • 冷酒の設え(チェイサー付き)

  • 「自家製イワシのオイルサーディン」

  • グラスワイン(NEUMAYER)

  • 「自家製さつま揚げ」

  • 燗酒は錫の‘ちろり’で

  • 「つゆ」と「薬味」

  • 蕎麦1枚目(福井 大野 大野在来 十割)

  • 右は2枚目(北海道 石狩沼田 キタワセ 十割)

  • 蕎麦湯は濃度が添加されたもの

  • サービスで出してくれた「抹茶キューブ」

  • びっしりと書かれた「肴の品書き」

  • 拘りの「酒の品書き」

  • ワインのラインナップ

  • 蕎麦の「品書き」

  • 食後のデザートも充実

2012/10/19 更新

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