蓼喰人さんが投稿した手打そば 菊谷 巣鴨本店(東京/庚申塚)の口コミ詳細

蓼喰人の「蕎麦屋酒」ガイド

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蓼喰人 (男性・東京都) 認証済

この口コミは、蓼喰人さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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手打そば 菊谷 巣鴨本店庚申塚、新庚申塚、巣鴨新田/そば

3

  • 夜の点数:4.8

    • ¥6,000~¥7,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 3.7
      • |雰囲気 3.5
      • |CP 4.6
      • |酒・ドリンク 4.8
  • 昼の点数:4.3

    • ¥5,000~¥5,999 / 1人
      • 料理・味 4.7
      • |サービス 3.7
      • |雰囲気 3.3
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.3
3回目

2022/01 訪問

  • 昼の点数:4.3

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス3.7
    • | 雰囲気3.3
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.3
    ¥5,000~¥5,999
    / 1人

蕎麦は相変わらずハイレベル

 レビューしなかった時も含めて、昔から幾度となく通っている馴染みの店。
 出かけた用事の帰り巣鴨の駅から向かうが、この時期は冷たい向かい風のおかげで、こんなに遠かったかなと思う道のり。
 13時過ぎの時間帯でも半分以上の卓が埋まっている。
 元々8人掛けのテーブルを、半分に仕切った一角に通される。

 いつものように生ビール(エーデルピルス)で始める。
 お通しには人気の肴の一つ「さば味噌」が小皿で出された。
 
 肴には「お任せ酒肴五品盛り」をもらう。
 名物の「鯖の燻製」の他「チーズのかえし漬け・きんぴら・昆布の佃煮・自家製糠漬け」の5品。
 少量ずつだが、軽く呑むには好適な気の利いた品々。

 肴の追加は「玉子焼き」を半量(2切れ:380円)でもらう。
 壁の掲示には'相模原の井上さんの平飼有精卵使用'となっている。
 そばつゆを加えて焼き上げる江戸前蕎麦屋ならではの仕事で、冷たい状態で出されたがはっきりした味と食感が好ましい。
 
 酒には燗酒が欲しくなりお任せで頼むと、鳥取の「辨天娘」が出された。
 ぬる燗よりも少し強めにつけてもらったが、馥郁たる香りとしっかりした味わいが良かった。
 これに合わせて「汐うに」をもらう。
 三陸産とのことだが、余分な手を加えず塩だけで雲丹の美味さを濃縮させており、燗酒に良く合った。
 
 この時間帯でも客の出入りに間断の無い状態で、早めに蕎麦を頼んでおく。
 「鴨汁そば」にして蕎麦は「唎き蕎麦二種」でお願いする。
 先に大振りの椀で鴨汁が登場したが、鴨は大きく焼いてからスライスしたものが数枚入っており、他に混ぜ込まれた蓮根の歯触りが楽しいつくねが3個ほど、もちろん葱もたっぷりと入っている。
 これらの旨味が溶け込んだつゆも、濃厚な味わいに仕上がっている。

 蕎麦の1枚目は「高千穂産の新そば」で、香りが芳しくシャキッとした舌触りで、噛めば甘みも感じられる。
 2枚目は「五島産の2年熟成」とのことで、熟成ならではのナッツを思わせる独特の香りが楽しく、多少の粘り気を含む食感も面白い。
 最初は蕎麦を適量啜っては、鴨汁を少しずつ口に含む方式で食べ進める。
 これに合わせて「四季桜」を5勺でもらうが、鴨汁のコクや蕎麦の出来と相俟って実に美味い。

 途中で添えられた「原了郭」の黒七味を振れば、さらに味が深まる。
 蕎麦湯は仕舞いに近いため多少の白濁ととろみが有るが、あくまでも自然体のため伸びが良い。
 別に空の蕎麦猪口が出されるが、私はじかに鴨汁の小鉢にたっぷりと注ぎ全ての旨味を余さず頂き満足感に浸る。
 
 
 この日はご主人の菊谷さんは事務作業(確定申告の準備だろうか)のため、お休みとのこと。
 厨房はお兄さんと以前から居る若い衆、接客は叔母様ともう一人の女性で賄われている。
 しかし蕎麦の仕上がりはいつも通りの高いレベルが維持されており、蕎麦前を楽しませる体制もきちんと整っている。
 しかし昔に比べると、何となく物足りないのである。

 ミシュランのビブグルマンの常連になり、人気が高まったのは昔からこの店を知る者として喜ばしい限り。
 しかし些か有名になり過ぎて、昔の和やかな雰囲気が損なわれてしまったことは否めない。
 かつて私の定位置だった正面の3席並んだカウンター席も、今では色々と物が置かれて少し雑然としている。

 石神井時代や数年で閉じてしまった折戸通りの別亭で、カウンター越しにご主人とゆっくり語り合いながら「蕎麦屋酒」が楽しめた頃が懐かしい。
 同年代で横のつながりも有る「蕎楽亭」の長谷川さん、「大川や」の大川さん、「案山子」の山田さんなどが、それぞれに客と相対のスタイルのこじんまりした店を設けている。
 菊谷さんも再びかつての別亭のような店を出してくれることを、願うばかりである。

 帰りがけに近所の、猿田彦大神の「御寶銭」を頂いた。

  • 「お任せ酒肴五品盛り」

  • 「エーデルピルス」・お通しの「サバ味噌」

  • 鯖の燻製・チーズのかえし漬け

  • きんぴら・自家製糠漬け・昆布の佃煮

  • 燗酒「辨天娘」

  • 選べる猪口

  • 「玉子焼き」(2切れ)

  • 「汐うに」

  • 「鴨汁」

  • 「四季桜」を5勺で

  • 「高千穂産 新そば」

  • 鴨肉を頂く

  • つくねも入る

  • 「五島産 2年熟成」

  • 原了郭の「黒七味」を振って

  • 蕎麦湯は自然体に近い

  • 近所の猿田彦大神の「御寶銭」を頂きました

2022/01/27 更新

2回目

2019/04 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.9
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気3.5
    • | CP4.7
    • | 酒・ドリンク4.7
    ¥4,000~¥4,999
    / 1人

もはや名人の域に達した菊谷さん

 信頼のおける名店への定期訪問。
 石神井時代から数えると20回は訪れているが、3年以上も間が空いたのは初めてである。

 今回は都電の「庚申塚」から向かう。
 時刻は13時過ぎで、先客は2組と言う状況。
 かつて私の定席だった厨房前のカウンターは、物が色々と置かれており塞がっている。
 すぐに気づいてくれたご主人に無沙汰を詫びつつ、左手の2人掛けのテーブルを選ぶ。

 最近になって営業時間の縮小がネットで公表されていたので、手が足りなくなったのかと心配だった。
 この日も偶々かも知れないが、菊谷さんとお兄さん、叔母様の家族のみの体制。

 まずはいつものように、生ビール(エーデルピルスナー)で始める。
 お通しに「鴨皮の唐揚げ」が出されたが、なかなか気が利いている。

 肴には定番の「鯖の燻製」と「チーズのかえし漬け」をもらう。
 我が家でも鯖の燻製は作ることがあるが、スーパーで買ってくる塩サバを使うものとは味が断然違う。
 チーズはプロセスとクリームの2種だが、味の染み込み加減が丁度良い。

 肴には「天ぷら盛り合わせ」ももらう。
 きちんと尾が外された天然海老3尾と、舞茸・蓮根・丸十・しし唐が、薄目の衣で揚げられている。
 海老は車海老ではないが旨味十分で、野菜もそれぞれ美味しい。
 この内容で1,100円の価格は良心的。

 酒はまず奈良の「篠峯」、次いで定番の栃木の「四季桜」を5勺のグラスでもらう。
 これらで暫しゆるりとした時間を過ごす。

 蕎麦は菊谷さんの力量がストレートに示される「唎き蕎麦」を注文。
 2種のもり蕎麦が時間差を置いて出され、今回は'益子産の二八'と'益子の常陸秋そばと秩父在来のブレンド'とのこと。
 いずれも間然するところのない出来栄え。
 バランスの取れたつゆの仕上がりも揺るぎなく、自然体の蕎麦湯も好ましい。

 手の空いた菊谷さんとは、少し言葉を交わすことが出来た。
 お休みしている「大塚別亭」について伺うと、大家が底地権ごと開発業者に売却してしまい、存続が困難になってしまったとのこと。
 いずれ他の場所で再開する可能性は有るようだが、ゆっくり寛げる店だっただけに実に残念。

  • 「鯖の燻製」「チーズのかえし漬け」

  • 生ビール

  • 鯖の燻製は絶品

  • チーズはプロセスとクリームの2種

  • 「篠峯」

  • 「天ぷら盛り合わせ」

  • 海老天を塩で

  • 舞茸天を天つゆで

  • 蓮根

  • 丸十

  • 「四季桜」

  • 一枚目「益子産」

  • つゆを注ぐ

  • 蕎麦を手繰る

  • 2枚目は「常陸秋そばと秩父在来のブレンド」

  • 蕎麦湯はもちろん自然体

2019/05/03 更新

1回目

2016/03 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス3.7
    • | 雰囲気3.5
    • | CP4.6
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥6,000~¥7,999
    / 1人
  • 昼の点数:4.8

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス3.7
    • | 雰囲気3.5
    • | CP4.6
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥4,000~¥4,999
    / 1人

これからも永く通い続けるであろう蕎麦屋

 老舗以外で、私がこれからも永く通い続けるであろう都内の蕎麦屋が何軒か在るが、こちらもその中のひとつ。
 以前に比べれば頻度は減ったが、年に一度は訪れるようにしている。

 午後に時間が空いたので、急遽足を運ぶ。
 1時半過ぎなので立て込んではいないものの、客の出入りに途切れの無い状況。
 座り慣れた、正面のカウンター右端を選ぶ。

 3月とは言えこの寒さのため、癇酒を所望。
 ご主人の菊谷さんが選んでくれたのは、福岡の「綾花」。
 選べる猪口は、椿の絵柄を手にする。
 お通しには「山葵味噌」が付いた。

 肴には「牡蠣のオイル漬け」と「椎茸の軸煮」。
 牡蠣は'三陸東松島産'、椎茸には生産者の'入間の貫井さん'という但し書きが附されているように、素材に拘りが感じられ、それが味にも反映されている。
 特に大粒の牡蠣の美味さには感心。
 酒に鳥取の「弁天娘」を追加して、満足のいく蕎麦前となった。

 昼の閉店時刻も近づき、そろそろ蕎麦に移る。
 今回は「鴨汁そば」を選択し、それに「四季桜」を5勺でもらい合わせる。
 こちらの鴨肉も、鴨の養殖生産では定評のある「西崎ファーム」のものを使っていることが謳われている。

 柔らかな鴨の身とつくねが入り、その旨みが十分に溶け込んだつけ汁が素晴らしい。
 もちろん蕎麦の仕上がりも、相変わらず完璧。
 新潟の三島産とのことだが、挽きや打ち、茹で上げまでの一連の作業に間然するところが無い。

 こちらもミシュランガイドのビブグルマンに名前を連ねるようになり、益々人気店になっているようだ。
 この日も雑誌の取材が入っており、その対応に追われていた。
 石神井時代のように、ご主人とゆっくりと言葉を交わすこともなかなか難しくなってしまったが、長年馴染みにして来た店が押しも押されもされぬ名店となったことを、素直に慶びたいと思う。
(新規に12枚の写真を追加掲載) 


≪2015年1月のレビュー≫ 

 勝手知ったる蕎麦屋への、年始の挨拶がてらの定期訪問。
 大晦日に催された「蕎麦会」のお誘いを受けながら、今回は所要で出席できなかったので、年明けに一人で寄ってみた。
 今にも雨が降り出しそうな天候、それも2時過ぎと言う時刻のせいか、幸い店内は閑散としていた。

 店主にお任せで頼んだ肴は「鯖燻製・鮒寿司とも和え・むろ鯵酒浸し・鶏むね肉燻製・山葵味噌」など計10品。
 さらに今しがた、会津より届いたという「馬刺し」も出してくれた。
 ニンニク入り辛子味噌が添えられているが、肉自体に甘味が有って実に美味い。
 仕入れは「蕎楽亭」のご主人の口利きとのこと。

 酒もお任せで、まず少量ずつの3つのグラスが並んだ。
 会津坂下の「天明」が2種、いずれも'中取り・おりがらみ'の新酒であるが、原料米が違うせいか味も微妙に異なる。
 もう一つも福島の「廣戸川 純米にごり生酒」で、こちらはよりフルーティーで華やかな印象。
 さらに追加で「四季桜 貴酒」を5勺。
 これはまさに'間違いの無い味わい’。

 蕎麦は定番の「唎き蕎麦」を3種で。
 「茨城産 1年熟成外二」「長野秋山郷在来 つなぎ3%」「栃木新そば ブレンド」で、いずれも相変わらずの熟達の技を堪能。

 信頼の置ける蕎麦屋は、やはり落ち着く。
 営業時間を短縮している現状に対し、主人はなるべく早く以前の'通し営業'に戻したい思いは有るようだが、かつてのような片腕と成り得る職人が十分に育っていないので、今暫くはこのままとのこと。

 夜は予約して訪れられることを、お勧めする。
 大勢が集う「蕎麦会」よりも、店主とゆっくり言葉を交わすことが出来て良かったと思う。
 (新規に4枚の写真を追加掲載)


≪2014年6月のレビュー≫

 「菊谷」の近況報告です。
 今年初めから人員不足のため、営業時間の大幅な短縮や定休日の変更が相次いで断行されたが、その後の様子を見に寄ってみた。
 日曜日の1時半過ぎ、降ったりやんだりの空模様にも関わらず満席のため少し待ったが、ひと通りの「蕎麦屋酒」を楽しむ。

 肴は「おまかせ盛り合わせ」(定番の6品)、「えのきの辛み大根おろし和え
 酒は「四季桜 黄ぶな」「篠峯」各5勺。
 蕎麦は「冷やかけ」にする。
 トッピングは茗荷と大葉の千切り。薬味に梅風味のおろしと葱・揚げ玉・黒七味、他に茄子などを細かに切って醤油煮にしたものが付いた。
 蕎麦のシャキッとした歯応えと、すっきりとした薄味の掛けつゆが織りなす清澄な味わい。
(新規に写真4枚を掲載)


≪2013年12月のレビュー≫

 年内にもう一度寄っておきたいと思ってはいたが、近頃はこちらも日時を選ばないとゆっくり出来ないので、平日の午後の昼過ぎに何とか都合をつけて足を運ぶ。
 1時過ぎに到着したが、蕎麦屋酒を楽しむ女性グループなどで結構賑わっている。

 いつものカウンター右端を選び、まず「四季桜」を‘ぬる燗’につけてもらう。
 肴は林料理長に頼んで、自慢の味を盛り合わせで注文。
 内容は「根菜の酒粕煮・ドライトマトを添えた鴨ロース・里芋を使ったポテトサラダ・ロマネスコの出汁煮・白菜の漬物」などで、いずれも手の込んだ仕事が施されて、繊細な味わいである。
 「木戸泉」を5勺で追加する。

 そうこうしているうちに、2階での「蕎麦剥き」の作業が一段落した主人も下に降りてきた。
 さらに主が選んでくれた木曽の「十六代九郎右衛門」をもらうが、‘おすすめ’だけあってなかなか美味い。

 程なく昼のラストオーダーの時刻となり、「牡蠣天」の文字が気になった天ぷらを、牡蠣・小海老・野菜の盛り合わせにしてもらい、蕎麦は平日限定の「かけと吟せいろのセット」を選ぶ。
 蕎麦は半量ずつで、先に出されたのは「かけ」。
 蕎麦の歯触りもつゆの加減も程良く、これに天ぷらを浸すとさらに味が深まる。
 後の‘富山産十割’の「せいろ」も、香りと言い食感と言い、惚れ惚れするような精妙な仕上がり。

 
 石神井時代に比べれば、主人とゆっくりと言葉を交わすこともあまり出来なくなったのは残念。
 今回もそれほど長くは話せなかったが、やはりこの店は私にとっては掛け替えのない存在である。

 ちなみに主人を支えてきた林料理長も、今年いっぱいで卒業とのこと。
 新しい人材の確保も未だ十分ではないと言っていたが、この店なら勉強のために入店しても間違いないことは、折り紙付きである。
 来年からはまた新たなる展開が望まれる。
 (新規に10枚写真を追加掲載)


≪2013年6月のレビュー≫ 

 こちら主催の様々なイベントの通知をもらいながら、最近はなかなか参加できなかったので少しご無沙汰。
 土曜日の午後、池袋での用事が早めに済み、東池袋から都電に乗り込み、庚申塚で下車して徒歩数分。

 引き戸を開ければ、さすがに先客は1組2名のみ。
 定位置の正面カウンターの端の席を選ぶ。

 まずは「生ビール」(エーデルピルス)。
 黒板の‘おすすめ’から何品か選ぼうとしたが、やはり林料理長にお任せして「盛り合わせ」にしてもらう。
 
 暫しの後に現れた皿には「鱧の南蛮漬け・穴子肝塩煎り・鴨のジェノベーゼソース・糸瓜の冷やかけ・セミドライトマトとサーディンのオイル煮冬瓜の冷やし煮・ジャコと大根菜の煎り煮・楽京ピクルス」の8品。
 いずれも手の込んだ仕事が施された逸品揃い。

 店主が選んでくれた酒は「琥泉・篠峯・四季桜 花神」。
 快適な蕎麦前と、他愛のない会話で、ゆるりとしたひと時が流れる。

 そうこうしているうちに予約の電話は次々と入り、忙しくなりそうなので蕎麦を注文しておく。
 ‘季節のそば’と付記された「煮穴子ととろろのぶっかけ」が目に付き、これにしてみる。

 江戸前風に煮上げられた穴子と質の良いとろろが、蕎麦の上に盛られ、別添えのつゆを回しかけるスタイル。
 穴子はしっかりとした味と程良い柔らかさ。それにとろろの粘り、細めだが心地よい歯応えの蕎麦が混然となった食感がなかなか楽しい。

 後の丼に蕎麦湯を注ぎ、余韻を楽しむ。
 別に蕎麦猪口も添えられており、これだけでも試してみる。
 何ら手の加わらない釜湯のままのため、嫌らしい粘度は微塵も無いが、実に滋味深い蕎麦湯である。

 相変わらずの居心地の良さを満喫。
 今回も私にとっては、うれしい「蕎麦屋酒」であった。(8枚の写真を新規掲載)

 ちなみにこちらは開店当初から蕎麦屋の定法通りの‘通し営業’であったが、来る今年7月1日より諸般の事情で平日に限っては当面の間、午後の一時に中休みが設けられることを、ご留意いただきたい。


≪2013年1月のレビュー≫

 今年に入ってから初めての訪店。
 こちらで催される「菊酔会」をはじめとするイベントには頻繁に参加しているが、通し営業であるため暇を見つけて客も疎らな午後の半端な時間に寄るのが、私にとっては最も寛げる。
 午後の予定を無理やり繰り上げて、2時半ごろに入店。

 注文した肴は「あんこうの煮こごり」:元々ゼラチン質の多い鮟鱇の皮などの部位と、牛蒡の笹がきなどが濃いめの醤油味で寄せられてあり、なかなかの美味さ。
 「鴨せせりの燻製」:鴨の首周りの肉である「せせり」を丁寧に処理し、軽く燻したものを辛子醤油で。歯応えもあるがその分味も深い。
 「林料理長の盛り合わせ」:10品ほどの小粋な料理の盛り合わせ。どれも手間のかかった逸品揃いで、最近の伸長ぶりが窺える。林君は一品ごと丁寧に説明してくれたが、覚えきれなかったので詳細は省略。

 主人が選んでくれた酒は、「四季桜 貴酒」「勢正宗」「三千櫻」「篠峯」の4種類で、何れも結構なもの。
 5勺ずつなので、昼酒にはちょうど良い分量。
 
 蕎麦は「揚げ玉ぶっかけ」を‘吟そば’でお願いする。
 〆にはもってこいの一杯で、いつもながらの安心できる味。

 結局何だかんだで、主人と5時過ぎまで話し込んでしまった。
 半端な時間にぐだぐだと居座る嫌な客だと思われるだろうが、気心の知れた蕎麦屋でのんびりと憩う時間は、実に楽しいものである。(8枚の写真を新規掲載)


≪2012年11月のレビュー≫ 

 頻繁に訪れている私が最も信頼する蕎麦屋の1軒であるが、こちらでは定期的に「蕎麦の会・他店とのコラボ・酒屋さん主宰のイベント」など、様々な催し物を行っている。
 私も全ての会に参加してはいないが時々は出席しており、その時の様子は日記等で紹介したことはあるが、レビュー上での書き込みは無かったので、久々に更新して今回の模様をお伝えする。

 今回出席したのは「菊酔会」といって毎月こちらで行われているイベントで、前料理長の杉山君に替わり8月から新料理長となった林君の料理と、主人の打つ蕎麦を楽しむ会である。
 
 今回は開催日が休日前と言うこともあり、普段より多い参加者にも関わらず、料理や蕎麦の出来は申し分なく、もちろん選りすぐった酒の味も格別で堪能できた。
 大人数だったので一部だけで盛りあがっているグループなども居り、普段のインティメイトな雰囲気が損なわれていたのが残念だったが、概ね楽しいひと時を過ごせた。

 料理については細かな説明は省くが、特に秀逸だったのは「鰤の葉ニンニク酢味噌掛け」「ドライトマトを添えた鴨ロースト」「干し木の子の煮物」。
 蕎麦は2種類が出され、1枚目が「益子産の常陸秋蕎麦の二八」、2枚目が「茨城旧水府村の2010年収穫の在来種の、僅かにつなぎを加えたもの」で、特に2年前の玄蕎麦を真空保存し蕎麦に仕立てた2枚目の、香りが濃く粘りのある食感は何とも玄妙な味わいだった。

 改めて蕎麦の奥の深さと、この店の抽斗の多さを実感した会であった。


≪2011.12.22のレビュー≫ 

 年内にもう一度寄りたいと思っていたが、何気なく覗いた店主のブログに、冬至にちなんで「柚子切り」を」打つことが綴られていたため、これは是非とも伺わなくてはと時間を作って出掛けた。
 去年のこの時期は「まつや」の柚子切りを試したが、こちらの主人は柚子切りはもとより「変わりそば」を打つこと自体初めてだそうである。

 昼の1時半ごろだったが、まだ大半の席が埋まっている。
 定位置の正面カウンターに座り、奥はまだ忙しそうだったので‘肴は適当におまかせ’と告げておいて、まず酒に「篠峯純米原酒うすにごり」をもらう。やや発泡性のある口当たりで上々のスタート。

 やがて店主自らが盛り合わせてくれた、こちらの味が満載の皿が運ばれてきた。
 昼なので酒はせいぜい5勺のグラスに2杯程度に止めようと思っていたのに、到底これだけでは済みそうもない品々が並んでいる。
 目新しいものは「ししゃもを蕎麦殻で燻したもの」くらいなのだが、お馴染みの定番ももちろん美味い。
 結局その後、店主のおすすめに従い「開運特別純米」「四季桜貴酒」「木戸泉初しぼり」を次々に注文することに。

 さて蕎麦はお目当ての柚子切りともう1種類を組み合わせて「利きそば」のスタイルでも出来ると言うことなので、もちろんお願いする。
 1枚目はこちらでは珍しい田舎系のやや太めの蕎麦(産地等は耳にしながら失念しました)で、適度な香りと歯応えが何とも心地良い。
 敢えて後で出された柚子切りは「本陣房」系のような鮮やかさは無いものの、色合いは綺麗に出ている。
 さらに柚子の香りと共に、しっかりと蕎麦の香りも楽しめるなかなかの出来栄え。

 さっと切り上げるつもりが、結局2時間近く居座る結果となった。
 この店の引き出しや伸びしろはまだまだ有ることを確認した。


≪2011.11.17のレビュー≫

 何時でも寄れると思いつつ、前回の訪店より2カ月以上ご無沙汰してしまった。
 今回も夜の早い時間帯なのでゆっくり出来た。

 肴ははいつものように「杉山料理長の盛り合わせ」。それに「かきの時雨煮」「塩炒り銀杏」を注文。
 盛り合わせの品々は全体的に素材の持ち味を生かした薄めの加減で、繊細な仕事振りにはますます磨きが掛かっている。

 酒も主人のおすすめに従い「蔵太鼓 旨口純米」「四季桜 はつはな」「仙介 特別純米」を選ぶ。
 何れも結構なもの。

 蕎麦はたまには温そばをと思い、季節限定の「きのこと春菊の玉子とじ」にする。
 4種類の茸と春菊が柔らかく玉子でとじられた優しい味わい。蕎麦も口当たりは穏やかだが、きちんと食感を残している。
 温そばにも定法通りに湯桶が添えられ、ナチュラルな蕎麦湯を注いで最後の一滴までつゆを飲み干す。

 相変わらずの居心地の良さを満喫。
 年内にもう一度くらいは訪れたいと思う。


≪2011.8.25 のレビュー≫ 

 日記にも書いたように明日からしばらく日本を離れるので、前日の暫しの一時を楽しもうと、勝手知ったるこちらの店に寄ってみた。

 まずは生ビールの「エーデルピルス」で喉を潤す。
 料理は‘本日のおすすめ’から、やはり定番となった「杉山料理長の盛り合わせ」を1人前用にアレンジしてもらう。前回となるべくかち合わないようにと選んでくれた品々に、繊細な技と引き出しの多さを感ずる。
 もう一つ選んだ「レバーペースト」は新人の林君の作で、日本酒に合うように味噌や砂糖で調味されているが、鶏レバーの風味もしっかりと残された秀逸な出来。

 酒はご主人の父上の故郷の島根の「ひかみ正宗上撰」や「天明本生純米糟しぼり」「若竹屋純米原酒5年古酒」を、おすすめに従い選ぶが何れも結構なもの。
 さらに肴に「鴨のかえし煮」を追加する。これは石神井時代からの懐かしい味。鴨の首肉をじっくり煮て、その味をを野菜や半熟卵に含ませたもので実に美味い。

 蕎麦は珍しく「小海老天ぶっかけ」にしてみた。ぷりぷりとした食感のえびは旨味も十分。
 蕎麦は栃木産のブレンドの二八とのことだが、間然する所の無い仕事である。

 旅立ちの前日に、極めて満足度の高いひと時を過ごせた。 
 

≪2011.8.2 のレビュー≫ 

 プレオープンのセレモニーの折が初回、それから1週間くらい経って2回目。
 その後も頻繁に寄ろうと思いつつ、かれこれ1か月以上間が空いてしまった3回目の訪店。

 その道の専門店で腕を磨いて戻ってきた、一番弟子の杉山君の野菜料理が方々で話題に上っているため、伺いたい気持ちが募っていた。
 半端な時間がゆっくり出来るだろうと、平日の3時過ぎに訪れる。
 間新しい店内に杉材の薫りが芳しい。


 さっそく杉山君渾身の作品をおまかせでお願いする。
 前菜として出された9品盛りはどれにも丁寧な仕事が施され、素材の特性を生かした味付けにセンスが光る。
 特に「南瓜のレモン煮」「茗荷の甘酢漬け」などが印象に残る。

 その後の「蒸し茄子の胡麻浸し」「新じゃがの青海苔あん掛け」もなかなかの出来栄え。
 さらに「夏野菜の土佐酢ジュレ添え」が続くが、これは最近入店した林君の作品。こちらにも繊細な技が認められる。

 これらに合わせる酒は、「四季桜」のラインナップから「はつはな特別本醸造」「木戸泉白玉香」「花泉桧枝岐」などを選択。
 暫し寛いだ時間を楽しむ。
 今回は定番の「鯖の燻製」や「鶏胆の生姜煮」などは一切頼まなかったが、十分な満足感。

 蕎麦はいつもの「利きそば」。1枚目は「常陸秋そば牡丹と福井在来種のブレンドの二八」、2枚目は「栃木在来種の十割」。
 玄蕎麦の脱穀から全てを自店での作業に切り替えてスタートした、主人の拘りが凝縮された実に立派な蕎麦である。
 特に「十割」の色合いと香りの鮮烈さは秀逸の一言。

 「つゆ」も相変わらずの見事な仕上がり。
 「蕎麦湯」が流行物の重湯状でなくナチュラルであるため、すっきりと〆られることが何より嬉しい。
 某有名蕎麦屋の創業者の言を借りれば、‘たまには濃い蕎麦湯も良いが毎日では飽きる’、まさにその通りだと思う。


 弟子たちが切磋琢磨して造り出す料理の評判に、主人もまんざらでは無さそう。
 蕎麦の完成度はかなり高いが、料理のより一層の伸長を考慮して、初回からの満点の評価は控えておきたい。 

  • 「牡蠣オイル漬け」(2016/3)

  • 「椎茸の軸煮」(2016/3)

  • 「綾花」(2016/3)

  • 酒・お通しの「山葵味噌」(2016/3)

  • 牡蠣は大粒(2016/3)

  • 「弁天娘」(2016/3)

  • サービスの糠漬け(2016/3)

  • 「四季桜:5勺」(2016/3)

  • 「鴨汁そば」(2016/3)

  • 鴨汁蕎麦を啜る(2016/3)

  • 蕎麦湯を注ぐ(2016/3)

  • 肴の品書き(2016/3)

  • 「盛り合わせ10種」(2015.1)

  • 「酒3種」(2015.1)

  • 「会津産 馬刺し」(2015.1)

  • 「四季桜 貴酒」(2015.1)

  • おまかせの「盛り合わせ」(2014.6)

  • 「四季桜 黄ぶな」(2014.6)

  • 「えのきおろし」(2014.6)

  • 「冷やかけ」(2014.6)

  • 「燗酒」

  • 料理長自慢の品々

  • 木曽の「十六代九郎右衛門」

  • 山葵漬け2種」(これはサービス)

  • 薬味・つゆ

  • 「天ぷら盛合せ」:牡蠣・小海老・野菜各種

  • 「かけ」

  • 牡蠣の天ぷらが美味い

  • 「吟せいろ」:富山産十割

  • 「せいろ」を手繰る

  • 「生ビール」

  • おまかせの「8種盛り合わせ」

  • 「煮穴子ととろろのぶっかけ」

  • それぞれの食感が混然となる

  • 釜湯のままだが実に滋味深い「蕎麦湯」

  • 「あんこうの煮こごり」

  • 「鴨せせりの燻製」

  • 「林料理長の盛り合わせ」

  • 「揚げ玉ぶっかけ」

  • 先付:「とんぶり、長芋が入った蕎麦粥」

  • 前菜:「六品盛り合わせ」

  • 椀替:「海老芋茶碗蒸し、あん胆味噌」

  • 向付:「鰤、葉ニンニク酢味噌掛け」

  • 焼肴:「鴨ロースト ドライトマト・クリームチーズ」

  • 煮物:「干し木の子・桜海老・小松菜 早煮」

  • 揚物:「百合根・むかご・銀杏 掻き揚げ」

  • 利き蕎麦、一枚目の益子産の二八

  • 甘味:「梨 甘酒コンポート」

  • 2012年11月の「菊酔会」献立

  • 酒のラインナップ

  • 酒は「5勺」の単位で

  • 「前菜9種盛り」

  • 「蒸し茄子の胡麻浸し」

  • 「新じゃがの青海苔あん掛け」

  • 「夏野菜の土佐酢ジュレ添え」

  • 「つゆ」「薬味」

  • 「二種もり」の1枚目

  • 「二種もり」の2枚目(慌てて手をつけてしまい、ちょっと食べ掛け)

  • 「湯桶」

  • 生ビール (2011.8.25)

  • 本日のおすすめ (2011.8.25)

  • 酒のラインナップ (2011.8.25)

  • 「杉山料理長の盛り合わせ」 (2011.8.25)

  • 「レバーペースト(そばチップ添え)」 (2011.8.25)

  • 酒、飲み比べ (2011.8.25)

  • 「鴨のかえし煮」 (2011.8.25)

  • 「小海老天ぶっかけ」 (2011.8.25)

  • 「杉山料理長の盛り合わせ」最新作(2011.11.17)

  • 「かきの時雨煮」(2011.11.17)

  • 酒「蔵太鼓」(2011.11.17)

  • 「きのこと春菊の玉子とじ」(2011.11.17)

  • 「きのこと春菊の玉子とじ」アップ(2011.11.17)

  • こちらの味が満載の皿(2011.12.22)

  • 今回の酒のラインナップ(2011.12.22)

  • 1枚目はやや太め(2011.12.22)

  • お目当ての柚子切り(2011.12.22)

2016/03/03 更新

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