蓼喰人さんが投稿した蕎麦 案山子(東京/芝公園)の口コミ詳細

蓼喰人の「蕎麦屋酒」ガイド

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蓼喰人 (男性・東京都) 認証済

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移転蕎麦 案山子芝公園、浜松町、日の出/そば

1

  • 夜の点数:5.0

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 5.0
1回目

2016/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

2016年3月10日をもって'新規開店に向け、発展的に閉店'

 「案山子」が一旦店を閉め、新たな店舗に移るという情報を、先日のオフ会の帰りに寄った店で、久しぶりにお会いしたかつての常連の方から耳にした。
 お店のHPを確認したら、確かに3月10日をもって'新規開店のため発展的閉店'の旨が報告されていた。
 そうなれば、何としても今一度訪れておきたいという思いが頭をもたげ、急遽時間を作って出かけた。

 18時の開店と同時に入店。
 前もって電話で、私の定位置であるカウンターの左端の席を確保してもらっていた。

 店主の山田さんに挨拶も早々に、瓶ビール(一番搾り)を注文。
 お通しには「芹の胡麻和え」と「独活の金平」という、季節感あふれる2品が出て来た。

 注文した料理は次の通り。
 「活きホタテの西京焼き」「花わさびのお浸し」「きつねと千寿葱炒め」「豆腐の味噌漬け」「阿茶羅漬け」。
 昨年末に料理長が店を去ってからは、助手を務めていた女性が調理を担当。
 さすがに万全と言えないまでも、結構きちんとしたものが出て来たことは嬉しい誤算であった。

 酒は「山形正宗」「乾坤一」「大那」を注文。
 思い出多い店内を見回しつつ、ゆるりとした時間を過ごす。

 蕎麦は「ざる」一枚を、心して味わう。
 最初は短時間で切り上げるつもりでいたが、名残りが尽きず、隣席の方とも色々と会話するうちに、延々と閉店時刻まで居座ってしまった。


 新しい店舗については、山田さんから詳しく伺った。
 4月中を目途に開店とのことだが、そちらにも大いに期待が持て、引き続き私にとっては大事な一軒となるであろう。

 しかしながら長年親しんだ店舗が無くなるのは、やはり寂しいものである。
 長年お世話になった礼を述べ、万感の思いを抱きつつ店を後にした。
 (新規に16枚の写真を追加掲載)  

 
≪2015年12月のレビュー≫

 今年1月に寄った時には、夜はコースメニューだけであった。
 しかしその後、アラカルトでの注文も可能になったという知らせは入っていた。

 こちらには親しいレビュアーさん方からも、一度行ってみたいという声が聞かれ、是非皆さんと訪れたいと思っていた。
 年内は日程的になかなか難しいので来年早々にと考え、予約を入れようと電話したところ、ご主人の山田さんから、長年タッグを組んでいた斎藤料理長が、年内いっぱいで店を去ることを告げられた。
 そうなると料理と蕎麦がハイレベルで並立する、こちらのスタイルに変化が生じる虞があるため、逡巡した次第。

 とにかく今年中に一度訪れておきたいという気持ちから、単身で足を運んでみた。
 開店早々の、6時丁度に到着。
 座り慣れたカウンター左端の席を選ぶ。

 選んだ料理は次の通り。
*お通しの「海老真丈」:ソフトな口当たりで、海老の旨みが凝縮。

*「芹と林檎のサラダ」:質も吟味されているのだろうが、生の芹がこんなに癖が無く美味しいことを知らなかった。
 シャキシャキとした歯触りに林檎の甘味がアクセントとなり、胡麻油が効いたドレッシングも良く合っている。

*「せいこ蟹 甲羅蒸し」:これは素晴らしいの一言。
 器にした甲羅の底には、砕いた「内子」と味噌などを合えたものが敷かれ、上にはたっぷりの脚肉と「外子」が綺麗に盛られている。
 添えられているのは酢橘だけで、それぞれの食感と味の違いが実に楽しい。

*「海老芋と生麩の揚げだし」:ほくほくとした海老芋と3種の生麩に粉をまぶして揚げ、蕎麦の実入りの出汁が張られ、粗目の大根おろしが添えられている。
 出汁は濃い目だが、奥深い味わい。

*「赤海鼠 柚香酢」:歯応えの良い上物の赤海鼠と、柚子の香り高いポン酢との相性が見事。
 酒の進む一品。

*「自家製からすみ」:これだけの幅のからすみは、滅多にお目に掛かれない。
 味も食感も、申し分なし。

 酒は「瓶ビール」の後、「山形正宗」「澤の花」「鶴齢」「花巴」を7勺ずつ。
 蕎麦は「ざる」一枚。

 斎藤さんの見事な料理を丹念に味わい、上々な気分で酒も結構飲んでしまったが、〆の山田さんの蕎麦の印象が、決して希薄にならない点は相変わらずである。
 改めてこちらが「蕎麦屋酒」を楽しませることにおいては、最高ランクに位置することを確信。
 年末と言うこともあって、この日はすべての席に予約が入り盛況であった。

 来年以降どういった方向に進むかは未知数であるが、残念ながら今までのような訳には行かないことは確かであろう。
 私はこれからも通い続けるつもりでおり、今後の展開を見守っていきたい。
 (同じようなものも有るが、12枚の写真を追加掲載) 

 
≪2015年1月のレビュー≫

 何と約1年ぶりの訪店。
 こんなに間が空いたのは初めてである。

 今回も事前に電話を入れて席の確保と同時に、料理も予約しておいた。
 と言うのも、こちらは昨年半ばから、夜はアラカルトの注文は受け付けず7,500円、または10,000円の2種類の「コース料理」のみの営業形態になっている。
 開店時刻も、18時丁度からと変更になった。

 今回の「季節のコース料理」7,500円の内容は次の通り。
 *前菜:「芝海老蒲鉾・越中ばい貝旨煮・子持昆布・自家製からすみの梅大根添え」   
 *椀物:「蟹入り帆立真丈と蕪
 *造り:「平目薄造り
 *凌ぎ:「雲子道明寺蒸し
 *焼物:「寒鰆西京焼き
 *煮物:「鰊と海老芋の炊き合わせ
 *蕎麦:「ざるそば
 *甘味:「苺のアイスクリーム

 斎藤料理長による珠玉の品々を、目でも舌でも存分に堪能。
 もちろん店主の山田さんの蕎麦も、相変わらずの見事な仕上がり。
 この内容ならば、リーズナブルと言える。

 合わせる酒は、店主に選んでもらった次の4種。
 佐久の「澤の花 純米吟醸干支ラベル」、伊予西条の「石鎚 純米初(うぶ)」、魚沼の「鶴齢 生原酒美山錦」、出雲の王禄酒造の「丈径 生原酒
 行き届いた心配りの中、実に快適な時間が流れた。

 こちらは一応昼も開けているが、あくまでも夜の営業に主眼を置いた蕎麦屋。
 季節ごとに変わるコース料理は、この店の主張が端的に表されており、このスタイルに移行したことを歓迎する。
 以前のように料理をあれこれ選ぶのも楽しかったが、こちらの方がだらだらと飲み続ける虞が無いため、私にはかえって好都合である。(笑)
 (新規に12枚の写真を追加掲載)


≪2014年1月のレビュー≫

 ちょっと遅くなったが、新年の挨拶がてら訪れる。
 念のため電話を一本入れて席の有無を確かめたうえで、6時15分の開店時刻に合わせて到着。
 カウンターの一番左端の壁際が、私の定位置。

 料理は‘大寒の献立’より
前菜盛り合わせ」:今回の内容は「雲子豆腐」「越中梅貝旨煮」「子持鮎煮浸し」「蕗青煮」「芽キャベツキャビア」「蕪梅和え」で、相変わらず斎藤料理長の腕の冴えとセンスの良さが光る品々。
 特に印象に残ったのは、出汁を含ませた芽キャベツにキャビアを合わせた一品。
 過去数回の写真と見比べて分かるように、あしらいなどにも季節感が表されており目でも楽しめる。

冬牡蠣と寒玉キャベツの温サラダ」:軽く火を通した大粒の牡蠣とボイルしたキャベツに、高菜とザーサイのみじん切りを醤油味で煮たものが添えてある。
 これがソース代わりとなって、良い塩梅に味をまとめている。
 (これと次の「葱サラダ」は、本来はもっと量が多いのだが、一人分用に1/2量で出してくれた)

葱いろいろサラダ」:サラダが重なったが、面白そうなので試してみた。
 葱の種類は「千寿・九条・芽葱・奴葱」の4種で、しかも全てカットして水に晒しただけの生を使用。
 これに塩昆布の細切りを混ぜ込み、胡麻油が回しかけられている。
 適度に辛みや臭みは抜けていて、シンプルながら葱そのものの食感と美味さを楽しむ。
 家庭でも真似してみたいが、こんなに上手くは行かないと思われる。

風呂吹きかぶら」:大振りの蕪一個を柔らかく炊いて、味噌味の鶏のそぼろの上に盛り付けられている。
 心まで温まる、冬場ならではの味わい。

自家製からすみ」:5ミリほどの厚さに切られているが、幅からして元の姿は相当の大きさと思われる。
 見事の一語に尽きる。

 酒はいつものように店主の山田さんのお勧めに従い、「相模灘 糟場詰め」「澤の花 干支ラベル」「石鎚 糟搾り」「山形正宗 うすにごり」を順次注文。

 これらで心行くまで寛いだ時間を過ごす。
 最初は静かだった店内も、何時しか満席状態に。
 最近の人気ぶりが窺える。

 蕎麦は今回は温蕎麦の「きつね」にしてみたが、これも完成度が高い。
 上に乗る油揚げは甘辛く煮たものが一般的だが、つゆが妙に甘くなってしまうのが難点。
 こちらでは油揚げの味を生かして、上品に仕上がっている。
 蕎麦の食感も上々で、薫り高い「つゆ」にも満足。

 すべてにわたりレベルの高い仕事で、至福の時間が過ごせた。
 (新規に12枚の写真をアップいたしました)


≪2013年5月のレビュー≫

 4月末に催された「開店5周年のイベント」の通知を、店主の山田さんから頂きながら出席できなかったので、連休の谷間の平日夜に寄ってみた。
 念のため満席で無いことを確認の上、開店直後に入店。

 料理は‘立夏の献立’より、まずはいつものように
前菜盛り合わせ」:「うすい豆腐(品書きには織部豆腐となっているが、実際は翡翠色のこちら)・枇杷白和え・生蓴菜酢・莫久来・隠元胡麻よごし」で、今回もなかなかの出来栄え。元来「ほや」は苦手なのだが、こちらの「莫久来」は美味しく感じた。

真鯛ころっけ」:斎藤料理長の創作料理とのことで、どんなのものか興味津々。
 球状のパン粉のまぶされた揚げものが、四つ割で登場。一見して茹で卵をそのまま揚げたように見えたが、なんと薄く伸ばした鯛の身に、鯛の白子と黄身の裏越しを芯にして丸め、フライにしたもの。
 酢橘と塩で食するが、アイデアにも感心したが味はさらに素晴らしい。

飯蛸旨煮」:手前の丸いものは「新じゃが」を一緒に煮たものに見えるが、これが所謂‘飯’である玉子の詰まった頭の部分で、飯蛸にしてはかなり大きいものが一匹分。
 その分やや歯触りが堅く、味の浸み込みは今一つだが、添えられた季節の蕗と蚕豆は丁寧な仕事で、流石に美味い。

 定番ものから新顔の「豆冨の味噌漬け」:良く見かける出来合いの物のようなこってりとした濃厚さは無いが、食感を残した味わいが面白い。
 酒は「石鎚」「山形正宗」「鶴齢」「木戸泉」などを注文。
 何れも料理に合わせて山田さんが選んでくれた銘柄。

 蕎麦は珍しく「葱せいろ」にしてみた。
 細長い短冊切りにした千住葱をさっと煮込んだつゆで食べさせる、シンプルなもの。
 白葱は基本的に時期が外れているのだが、吟味されており、適度な歯応えが葱好きには嬉しい。

 今回もなかなかの口福感と居心地の良さを堪能。
 (新規の写真9枚をアップいたしました)

 
≪2012年12月のレビュー≫

 年内にもう一度訪れておきたいと思い立つ。
 この時期、予約で満杯という状況もあり得るので、途中で電話を入れる。
 テーブル席はふさがっているが、カウンターなら大丈夫とのこと。

 ‘今宵はどんな口福との出会いがあるかな’という高揚感を抱きつつ、開店直後に到着。
 いつものように一番奥の壁際の定位置を選ぶ。

 まず酒に「山形正宗 うすにごり」を注文。
 料理は‘冬至の献立’より
前菜盛り合わせ」:‘嶺岡豆腐・白梅貝旨煮・子持ち鮎煮浸し・南瓜福紗・姫慈姑揚煮’の5品で、センスの良さと丁寧な仕事が光る。
寒鰆西京焼き」:脂の乗った腹側と、さっぱりした背の2切れ。味噌の加減がほど良く、皮までの全ての美味しさに、思わず顔がほころぶ。

 この後の酒は偶にはワインにしてみようと、店主の山田さんに相談。
 こちらでは和食に合う数種の銘柄が用意されており、赤でも重たくないラインナップ。
 「オレリアン・ヴェルデ・ブルゴーニュ」なるものを選択。
 ライトボディの明るい色合いで、香りと口当たりが良好。
 開けたてより少し空気に触れさせた後の方が、深みが増して感じられた。

 続く料理は
皮はぎの胆和え」:香味野菜のみじん切りを混ぜ込みたたき風に。料理長の斎藤さん、渾身の作品で味も格別。
自家製からすみ」:こちらのスぺシャリテで、少し炙って香ばしさを加えた味は感涙物。
砂肝コンフィ」:懐かしくしみじみとした旨味を、下に敷かれたわけぎの辛味がアクセントとなり味を引き締めている。
 全てがワインとの相性も良く、実に快適な蕎麦前である。

 蕎麦は「かけ」を一杯。
 薄めだが上品に薫る出汁が素晴らしい。
 蕎麦も熱いかけつゆのの中でも、くっきりとした食感が保たれている。
 一切の無駄をそぎ落とした高潔さが、この丼中に凝縮されていた。

 満席状態の店内でも慌ただしさは感じさせず、期待通りの味わいの数々で、今回も心ゆくまで寛いだ時間を過ごせた。
 (新規の写真10枚をアップいたしました)

 
≪2012年8月のレビュー≫

 この時期「盆休み」と称して休む飲食店が目に付くが、東京人にとっては「お盆」は7月で、我が家でも墓参りや昔ながらの一連の行事は毎年7月にとり行うため、8月に「盆休み」と言われてもどうもピンとこない。
 その一方全国的にこの期間一斉休業の会社筋が多く、帰省とは逆に東京には地方からの観光客が大勢押し寄せるため、都心の老舗系の蕎麦屋は結構混んでいるようだ。

 そんな時は勝手知ったる通い慣れた店が一番である。
 最近ここも全国的に名が売れて予約で満杯の虞もあるため、念のため電話を入れてから6時15分の開店直後に訪れる。

 今回の注文は‘立秋の献立’と銘打ったおすすめから
前菜盛り合わせ」:養老豆腐・フルーツトマトの摺流し・白海老の艶煮・巻鯣・新丸十(薩摩芋)のレモン煮の5品。特に‘いしる’で調味され綺麗に巻かれたするめ烏賊が良い味。
太刀魚の塩焼き」:旬の白身魚で、淡白だが旨味は十分
冷し野菜煮」:冬瓜・石川芋・茄子・青だつ(ハスイモの葉柄)・ヤングコーン・オクラなどで、それぞれに丁寧な技が施され、青柚子の香りも嬉しい。

 合わせる酒は「石鎚 夏純米」・「澤の花 夕涼み」・「播州一献」。
 心置きなく寛げる至福の時間が、いつも通りに流れていく。

 〆は「せいろ」1枚で、もちろん間違いのない仕事。(今回、蕎麦の写真の追加アップはありません)


≪2012年4月のレビュー≫ 

 4月29・30日の二日間にわたり催された、「案山子4周年の宴」に出席してきた。

 今回は予約客のみに限った入替制では無く、午後を‘通し’にして「お気軽にお越しください」ということだった。
 念のため3時過ぎの半端な時間を選んで訪れたが、案の定店の外で並んでいる方もいる状況。
 最近の人気の程が窺える。
 「直に空きますから」と言われてその辺りをぶらぶらしていたら、余り待たずに入店出来た。

 メニューは「4周年記念特別メニュー」に限定されているが、この混雑の有り様に関わらず仕事には一切の手抜かりなく、全てに渡り満足。
 早く切り上げるつもりが顔なじみの常連さんとの会話も弾み、結局6時過ぎまでだらだらと居座ってしまった。

 5年目に入り、ますますの充実ぶりが期待される。 


≪2011年11月のレビュー≫

 直近に訪れた折のレビューと写真を更新。
 今回は連れがいたので、数多くの料理が楽しめた。

* ‘立冬の献立’と銘打った「前菜盛り合わせ」
  内容は「嶺岡豆腐・子持ち昆布・守口大根の唐墨まぶし・栗渋皮煮・子持ち鮎煮浸し」・・・相変わらず味も盛りつけのセンスも光る
* 「松茸焼き」・・・小振りだが香りが凝縮
* 「揚げ銀杏」・・・設えがお洒落で味も濃厚
* 「福子の天ぷら」・・・あっさりしていながら旨味は十分
* 「海老芋と生麩の揚げ出汁」・・・今回最も美味しかった

 その後開店当初からの定番の肴から「蓮根のきんぴら」と「蕪の茎味噌チーズ」それから「自家製の唐墨」を注文。

 合わせる酒は「石鎚」「大那」「山和」などを次々と頼み、満足感に浸る。

 最後に「せいろ」で〆る。
 「蕎麦」の仕上がりも「つゆ」の美味さも間然するところは無い。
 

 蕎麦屋での料理は「蕎麦前」に一杯やるための簡単なものが相応しいという考え方は根本にある。
 しかしながら、こちらのような料理も蕎麦もハイレベルで並立する店においては、これを堪能することに些かのためらいも要しない。
 言わば一つの店で二軒分の楽しみを味わえる処として受け止め、改めて高く評価したい。 


≪2011年8月のレビュー≫ 

 頻繁に通ってはいるが、写真の新規の掲載を含めレビューも更新したい。

 6時15分の開店直後に一番乗りする。
 お目当ては毎回変わる、季節感満載の料理の数々である。
 今回の「立秋の献立」と筆書きされた品々も、相変わらず魅力的なラインナップ。

 その中から「養老豆冨」(大和芋の寒天寄せに雲丹のトッピング)、「鮎風干し」(凝縮された味の塩梅が良い)、「山葵菜と打ち込み野菜のサラダ」(丁寧な包丁技が光る)、「煮穴子と石川芋煮」(蛇の目に巻かれた穴子の含ませ加減が秀逸)、それに名前が気になった「真夏の果実」(桃・柿・巨峰の白和え)などを注文。
 何れも珠玉の出来映え。

 酒はビールの後、主人の山田さんのおすすめに従い「澤の花」「寫楽」「夏の寿」を選ぶ。
 分量は8勺。これが蕎麦猪口のようなぐい飲みで供される。

 今回は注文しなかったが、開店当初から人気のある店主考案の肴の多くを定番料理として残しているところも嬉しく、これ目当ての常連客も多い。


 カウンターの端の席が定位置。
 主人と他愛の無い会話を交わしながら、ぐだぐだとした時間を過ごす。
 
 閉店時間も迫り、〆の蕎麦は季節ものの「冷したぬき」を頼む。
 この時だけは主人が奥に入り専念する。

 精妙な茹で加減の蕎麦の食感と、上品な出汁の加減が絶妙。
 細切りされた胡瓜や茗荷の清涼感も心地良い。


 この満足感は何物にも代えがたい。
 都心の蕎麦屋では、私が心から寛げる1軒である。


≪2010年11月のレビュー≫ 

 2か月に1度くらいは通っているが、毎回満足度はかなり高い。

 料理担当の斎藤さん渾身の、季節をとりいれた品々は垂涎もので、いつも選ぶのに迷う。
 今回の「晩秋前菜三種盛り」は、栗・子持ち鮎・さつま芋を使ったもので、丁寧な仕事振りが光る。特に「さつま芋のれもん煮」が秀逸。
 海老・穴子・銀杏・ゆり根などが次々と顔をのぞかせる「飛龍頭」には、優しい味わいの餡がかかっている。
 さらに「鯛かぶら」に至っては、まさに絶品の出来栄え。
 定番となったオリジナルの「かぶ茎味噌チーズ」や「砂肝コンフィ」なども、根強い人気がある。

 酒のラインナップも素晴らしく、「醸しひと九平治」と「澤の花」を選択。何れも良かった。

 もちろん店主の山田さんの蕎麦も見事で、今回は温そばの「たぬき」で〆た。
 「かけつゆ」の中でもコシを失うことなく、凛とした食感が楽しめた。つゆの加減も素晴らしい。
 「揚げ玉」は山田さんの弟さんが営む小料理屋で、特別に調整されたものを使っている。「揚げ玉」のことを「天かす」などと無粋な呼び方をする人もいるが、こちらの「たぬき」を食して「揚げ玉」は決して‘天ぷらのカス’ではないことが分かる。

 そつの無い応対ぶりや、客を飽きさせない会話も居心地の良さの要因。

 懇意のワインバーなど他業種の名店とのコラボレーション、蔵元を招いての日本酒の会や、蕎麦打ちや料理の講習などのイベントを頻繁に催しており、こういった意欲的な姿勢も好感。


≪2010年2月のレビュー≫

 15席のこじんまりとした店だが、新しい蕎麦屋の通例で、外観・内装ともにすっきりとまとまり、清潔感が漂う。
 
 主人は脱サラ組だが、「長坂翁」の最初の暖簾分けの「安曇野翁」で修業の後、この地で開業。なるほど、二八で打たれた端正な蕎麦や、つゆの出来に、高橋さんの面影が垣間見える。基本の「ざる」は実に精妙である。

 最近、スタッフに腕の良い料理担当が加わり、以前にも増して魅力的な店になった。定番となったこの店オリジナルと、季節感あふれる多彩な料理に、ついつい酒が進む。
 日本酒の品揃えも素晴らしいが、ここの料理はワインにも合う。以前は‘蕎麦屋でワインなど・・・’と先入観があったが、合わせてみるとこれがなかなか良い。
 もちろん蕎麦の出来に、間然するところは無い。

 小さな店ゆえ、ざわつき感が多少気になるが、ご主人の細やかな気配りがゆかしい、カウンター席の居心地は良い。新進の店に有りがちなマニアックさが前面に出ておらず、蕎麦屋で寛ぐことを満喫できる佳店である。

  • お通し「芹の胡麻和え」「独活の金平」(2016/3)

  • 「活きホタテの西京焼き」(2016/3)

  • 「花わさびのお浸し」(2016/3)

  • 「きつねと千寿葱炒め」(2016/3)

  • 「豆腐の味噌漬け」(2016/3)

  • 「阿茶羅漬け」(2016/3)

  • 「一番搾り」(2016/3)

  • 「山形正宗」(2016/3)

  • 「乾坤一」(2016/3)

  • 「大那」(2016/3)

  • 「ざる」一式(2016/3)

  • 蕎麦湯(2016/3)

  • 季節の料理(2016/3)

  • 定番の料理(2016/3)

  • 酒(2016/3)

  • そば(2016/3)

  • 「せいこ蟹 甲羅蒸し」(2015/12)

  • 「せいこ蟹」アップ(2015/12)

  • 「芹と林檎のサラダ」(2015/12)

  • 「海老芋と生麩のあげだし」(2015/12)

  • 「海老芋と生麩」アップ(2015/12)

  • 「赤海鼠 柚香酢」(2015/12)

  • 「からすみ」(2015/12)

  • お通しの「海老真丈」(2015/12)

  • 「山形正宗 うすにごり」(2015/12)

  • 「澤の花」(2015/12)

  • 「花巴」(2015/12)

  • 冬至の献立(2015/12)

  • 「前菜4点盛り」(2015/1)

  • 「蟹入り帆立真丈と蕪のお椀」(2015/1)

  • 「平目薄造り」(2015/1)

  • 「寒鰆西京焼き」(2015/1)

  • 「雲子道明寺蒸し」(2015/1)

  • 「鰊と海老芋の炊き合わせ」(2015/1)

  • 「ざるそば」(2015/1)

  • 「苺のアイスクリーム」(2015/1)

  • 「澤の花」(2015/1)

  • 「石鎚」(2015/1)

  • 「鶴齢」(2015/1)

  • 「丈径」(2015/1)

  • 「前菜盛り合わせ」:正月らしい設え(2014/1)

  • 「相模灘 糟場詰め」(2014/1)

  • 「冬牡蠣と寒玉キャベツの温サラダ」(1/2量)(2014/1)

  • 「澤の花 干支ラベル」(2014/1)

  • 「葱色いろサラダ」(1/2量)(2014/1)

  • 「石鎚 糟搾り」(2014/1)

  • 「風呂吹きかぶら」(2014/1)

  • 「山形正宗 うすにごり」(2014/1)

  • 「自家製からすみ」(2014/1)

  • 「きつね蕎麦」(2014/1)

  • 「大寒の献立」(2014/1)

  • 酒のラインナップ(2014/1)

  • 「前菜盛り合わせ」2013年皐月

  • 「真鯛ころっけ」

  • 「真鯛ころっけ」アップ

  • 「飯蛸旨煮」

  • 「飯蛸旨煮」アップ

  • 「豆富の味噌漬け」

  • 「ねぎせいろ」

  • 「木戸泉」

  • 立夏の献立

  • 「前菜盛り合わせ」

  • 「山形正宗 うすにごり」

  • 「寒鰆西京焼き」

  • 「皮はぎ胆和え」

  • 赤ワイン「オレリアン・ヴェルデ・ブルゴーニュ」

  • 「自家製からすみ」、ちょっと齧りかけ

  • 「砂肝コンフィ」

  • 「かけそば」

  • 「かけそば」:清廉な味

  • 冬至の献立(2012年師走)

  • 「立秋の献立」

  • 酒のラインナップ(2012.8月)

  • 「前菜盛り合わせ」

  • 前菜より「巻鯣」アップ

  • 「太刀魚塩焼き」

  • 「太刀魚」のアップ

  • 「冷し野菜煮」

  • 4周年記念特別メニュー

  • 旬菜「あすぱらの焼浸し」

  • 「あすぱらの焼浸し」アップ

  • 「いつもと違う焼味噌」(ふきのとう入り)

  • 「果実蕃茄」(フルーツトマト)

  • 「鱚の天麩羅」

  • 「鱚の天麩羅」アップ(味が濃いです)

  • 「筍と新じゃが芋の含煮」

  • 「ざる蕎麦」(茨城と福井のミックスとのこと)

  • 酒のラインナップ

  • 季節の味わい

  • 酒のラインナップ

  • 「養老豆冨」

  • 「鮎風干し」

  • 「山葵菜と打ちこみ野菜のサラダ」

  • 「煮穴子と石川芋煮」

  • 「真夏の果実」

  • 酒はこのように

  • 蕎麦の品書き

  • 「冷したぬき」

  • 「立冬の献立」

  • 「前菜盛り合わせ」

  • 「松茸焼き」

  • 「揚げ銀杏」

  • 「福子の天ぷら」・・・ちょっと食べ掛け

  • 「海老芋と生麩の揚げ出汁」

  • 「蓮根のきんぴら」

  • 「蕪の茎味噌チーズ」

  • 「自家製唐墨」

  • 「せいろ」

2016/03/10 更新

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