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1回
昼の点数:4.6
2019/04 訪問
昼の点数:4.6
豊栄といや新らしくなり成れる国見をせすといでましたまふ
2019/05/02 更新
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嘗て、此の辺りは常陸府中藩主松平播磨守の上屋敷があった。坂下には千川が流れ、播磨田圃といわれた田圃があった。戦後、播磨屋敷の跡地を通り、播磨田圃へ下る坂と云うことで、播磨坂と呼ばれることになる。戦後間もない頃、地元の人が坂に桜を植えたことが始まりで、桜並木が生まれることになり、今では桜の名所でもある。
其の桜並木を横目に店を目指す。事前に予約を入れての訪問となる。店に着く頃には既に予約客で満席のなか、申し訳ない程の荷物と共に店に入る。
渋谷道玄坂で料理長兼店長として腕を振るい、此方に店を構えると自家製醤の料理が評判となり、瞬く間に人気店に名を連ねることになる。
席に着くや否や青岛啤酒を註文し、先ずは乾杯だ。
咽喉を潤しながら、本日のお勧め黒板を見ながら、毎度お馴染み、あーでもないこーでもない会談の始まりだ。予約の段階でコースの打診もしてみたが適わず、醤や調理方法で味が被らないように慎重に、だ。だがしかし、結局は今日食べたいものに勝てる筈がないのである(笑)
夫妻肺片
海老と真菰筍の豊栄醤炒め
レタスの蒸籠蒸し 焦がし玉葱のせ
オニカサゴの姿蒸し
黄燈籠豆腐
豊栄チャーハン
さて、口切は夫妻肺片。イスラム教を信仰する中国少数民族である回族夫婦が棄てられていた内臓を使って誕生させた料理で、肺の字が使用されてはいるが、此れは「廃」の字が縁起が悪いと云うことで同じ音を当てたもの。モツ好きなら食べて欲しい品書で、辛さの陰に旨みが満ちており、食感も愉しく、勿論、麦酒との相性も大層宜しい。
黒穂菌の一種に寄生され肥大した真菰の新芽は筍を思わせるような適度な食感、仄かな甘さ、玉蜀黍のような香りに満ちている。此の小気味よい程の歯応えが嬉しい真菰筍と軽い感じに揚げた海老、此れ等に金針菜、黄韮が合わさった炒め物は、如何して外すことなぞ出来るだろうか。勿論、麦酒との相性も大層宜しい。
レタスかアボカドか、迷いに迷う蒸籠蒸しだが、本日はレタス。勿論、其の日の気分でパクチーの熱々葱オイル香味醤油が割込んで来ることもあるのだが(笑) 料理としてはシンプルで、蒸籠で蒸されたレタスに焦がし玉葱醤が掛けられたもの。此方の料理は色々な種類の自家製醤が登場するのだが、此の香ばしさが食欲を誘う醤も試して欲しいものだ。勿論、麦酒との相性も大層宜しい。
水煮牛肉は大好きな料理だが、前菜の口水鶏と共に此方の店では、コースで登場しない限りは両眼を瞑って他の品書に挑戦することをお勧めする。夜はコースでお任せが定番中の定番だから、此の話、単品註文の週末昼ってことになるのだけどね。
此方の店の醤がいろいろあって愉しいと云うこともあるが、人数を引き連れての訪問でない限り、食べられる料理数に限界があるからで、此方の店らしい魅力的な料理を味わうことをお勧めしたい。定番料理は何度か足を運んだ後でも充分に愉しめるからね。てなことを爺ぃが口角泡を飛ばさなくても品書を自然に眺めていたらわかるかぁ(笑)
さぁ、オニカサゴ。魚の姿蒸しは煮付けが旨い癖の少ない魚なら何でも良いから註文すべき品書なんだけど、でもやはり、カサゴ、カサゴの名前があれば、本でも鬼でも夢でもなぁんでも御座れで註文したい。辛さに拘った品書を並べてしまうと、魚の姿蒸しの汁の味わいが愉しめなくなってしまうので、老婆心ながら。魚は骨までしゃぶり、頭も目玉も分解し尽くして其の全てを堪能したい。食べ尽くしたあとは残り汁に極細麺を入れて提供してくれる。麺の量は希望を聞いてくれるので、其の後の料理とお腹の具合を相談しながら、麺の量を決めれば良いだろう。勿論、麦酒との相性も大層宜しい。
黄燈籠豆腐は醗酵唐辛子の酸味が魅力的で、所謂、麻婆豆腐とは一線を画す。渋谷道元坂時代を彷彿させる料理で、黄色い唐辛子を発酵させた黄辣醤が魅力的だ。辛いのは辛いが、酸味が自然辛さを和らげ、旨さを呼び込んでくれる。チャーハンとの組み合わせも良いかと。勿論、麦酒との相性も大層宜しい。ってしつこいか(笑)
此方の店は黄酒の飲み比べが出来る等、彼方此方で呑み散らかしている人間には嬉しい店ではないだろうか。食べる料理にも拠るが、コースで攻めるなら途中から黄酒、紹興酒が如何もねと云う方なら、江南以外の地域の物を撰ぶことも出来るので、バランスを取っていくの良いのではないだろうか。
〆は豊栄チャーハン。豊栄醤を使うので、海老と真菰筍の豊栄醤炒めと味が被るが、真ん中に別の味を突っ込んでいるので問題はない。が、寄る年波を考えると食べ過ぎた。
此方はお願いをすれば品書に拠っては持ち帰り可能。
何はともあれ、幸せな週末の昼下がり。店先迄見送って頂き、丁度良い気候のなか、ぶらぶらと街歩き。あッ、荷物があるから、兎にも角にも飛行場に向かわなくちゃね(笑)
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