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この口コミは、Mr.ぴぃさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
夜の点数:4.6
2018/01 訪問
夜の点数:4.6
On connaît la chanson
2018/02/07 更新
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前から行きたいと考えていた浅草フレンチ新御三家のひとつ。
耳に入っている感想の多くはフォアグラの最中が中心で、いやいや、其れが定番であったとしても最中が一番って云うのは、名前に重ねる訳ではないが、遊び心が過ぎるのもなぁと云う気持ちも交差し、直ぐに行動に移せず、そんな経緯で今に至る。
其の上で訪問をしてみると、訪問前に勝手に抱いていたイメージとは大きく異なり、正直な処、良い意味で裏切られた。
急な予約も気持ちよく受けて頂いた。
扉の前に立ち、「此処ってフレンチ?」と一瞬悩んだのは、自分のことながら微笑ましい。
扉を開けるとカウンター、其の奥にテーブル席が控えており、店内は明るく、扉の前で考えていた店の広さを考えると、結構広いのかもしれない、は失礼ですね(笑)
柔らかな泡立ちで果実味がふくよかなvin mousseuxで乾杯、身体に泡が染み込んでいく中、品書きの説明を受ける。
viandeが鹿と云うことで、一瞬躊躇。しかし、独立する前に勤めていた店は「肉を食べるなら此処じゃないの」のひとつ、爺ぃの好きな店。
えーえぃ、まかせちゃえ。
本日のJ'ai deux amours(笑)、以下の通り
une
生雲丹とカリフラワームース コンソメジュレ添え
deux
フォアグラの最中 2種の味わい
trois
締め鯖のミキュイ セージ風味
quatre
猪のボロネーゼを詰めたブラウンマッシュルームのグラチネ
cinq
牡蠣のグルノーブル風
six
鱈のブイヤベース
sept
蝦夷鹿腿肉のロースト 天津甘栗のソース セロリラブピューレ添え
huit
チョコレートのタルト
neuf
小菓子
ん? どっからがamuse-boucheで、どっからがentrée…、おや? soupeは…ない?
雰囲気も居心地も決して鯱張るようなことはなく、良い感じで弛緩しており、茶目っ気と云うのかな、店の雰囲気を感じるような料理が現れて、其れを口にすると、なかなか手が込んだ、重層的な味わいがひょいと顔を表したりで、あんまり油断をしていちゃいけないね、なんてことを口にしながら、頬張ることを止めるのが勿体ないなと感じたり、御礼を云ったり、云われたりで、なかなか如何して忙しい店だ。若さと云う創意工夫は、冥途を目の前にした爺ぃには嬉しくなってしまうのである。
白でありながらビロードのような味わいを身に纏い、誇張なくバランスの取れた輪郭に彩られた1本を料理の友にする。
ムースは目の前の雲丹につい眼を奪われてしまうが、淡白なカリフラワーがコンソメジュレと出逢い、秘めた甘さを身に付け、舌を喜ばせる。
最中はブルーベリーと柿ジャムが面白さを引き立たせる。
締め鯖と云っても締めは軽く、火入も絶妙で、セージが後味に軽やかさを連れてくるので、飽きや癖が来ない儘、皿が白くなっていく。
グラチネは猪の風味は感じるものの香味野菜とトマトがふくよかなragò a la bulgnàisaに包まれて、ぎゅっとマッシュルームの中に閉じ込められているひと皿だが、此れをナイフで切り分けると、茸の香りと共に華やかに室内に華開く。
レモンとケッパー、バターに彩られた身厚の牡蠣は、衣のような馬鈴薯のピューレを忍ばせる。
鱈は癖がないと良く云われるが、料理の仕方次第では魚を前面に出してくる。其れが良い場合もあるが、今回のブイヤベースは身としては鱈の旨みだけ、スープにだけ魚が見え隠れする出来栄えで、此れに季節の野菜が絡んでくるのは嬉しい。
蝦夷鹿は鮮やかな桃色の断面が目に喜びを与え、噛む程に肉の旨味が顔を出す。肉を支えるのが苦みがポイントの栗のソース。そして、カブラミツバがピューレとなって肉を引き立たせる。カブラミツバはフレンチの食材として此処数年お目にかかることがあるが、味わいはセロリに近いだろうか。食べるのは根っこに当たる部分で、セロリに繊細さを加えたような味わいなので、セロリが駄目と云う方でも抵抗感は少ないと思う。
此方の料理は、香りの使い方が魅力的で、其れが食欲に結び付いているようだ。
料理の合間に若い店主と夫人(で問題がないと思うが…)が其々違った持ち味で料理に愉しさを加味してくれる。
値段は料理の内容を考えると破格だと思う。聞いた話では、春に料金を見直すようだが、其れでも充分に満足出来ると思う。
若しもを考えて、マダムと云い直しておこうか、デセールはマダムのお手製のチョコレートタルト。チョコレートが滑らかで、其の味わいは官能的である。
mignardises(笑 如何せなら最後迄格好つけようかな)も菓子好きなら油断せず食べるのが宜しい(笑)
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