Les entréeは、白蛤と鶏の白レバー。 白蛤はホワイトアスパラでシャルロット仕立て。女性の帽子に見立てた洋菓子風に仕上げた皿で、カリフラワーのムースの中にしっかりとした蛤がお隠れだ。此れを自家製のモルトーソーセージとコンテチーズのケークサレと一緒に食べるのだが、別々でも充分に美味しいのだが、ふたつが合わさることで堪能と云う言葉に変わるから料理は面白い。 相手の鶏の白レバー、勿論と云うか、当然、相伴させて貰う。パン・ド・エピスだから、フランス伝統ハーブスパイス味のバケットと一緒に食べるのだが、匂い立つような風味が嬉しい。 ワインは白中心に纏めて貰ったが、料理との相性は大層良い。ワインが勝ちそうで、ソースがしっかりと受け止めている。
偶然にこの店と出会った。
先ず、店の名が気に入った。年甲斐もなくと思われるかもしれないが、そう云う甘酸っぱい気持ちは、食べると云う行為に真っ直ぐに繋がるものだ。
予感のある店と云うのは、時に大いに裏切られ、時に至福の中に酔い痴れる。外れは少ない方だと自負するが、思い切り後悔する店に出喰わすことも数多。しかしである。歓喜に噎び泣きたくなるような出会いを求めて年を重ねてきたことも事実かと。
最近、フレンチとイタリアンの境界がぼやけてきたなと思っている。寄る年波もあり、ただ重たいだけのソースは願い下げだが、手間暇かけたソースの誘惑には未だ未練の残す意地汚さは残っている。
幾つかの候補があったのだが、今宵は此の店、此の店から漂う予感を信じ、予約する。そして、裏切られる。
良い意味でのビストロと思っていたが、ラフだが、背筋をぴんと伸ばし、店と沢山会話をし、驚き、笑い、そして、其の後に訪れる余韻。
ソースはシンプルだが、シェフが渾身かつ繊細に作り上げたものであることは口に含めた瞬間の味の広がりで判る。そして、ズシンと胃に響きながら、ステップを踏みたくなるような軽やかさがソースから感じることが出来る。
今宵のTout, tout pour ma chérie(笑)、以下の通り
ひとくちのおもてなし
白蛤のカプチーノ
パン・ド・エピスを纏った鶏白レバーのムース
伊達鶏とモリーユ茸のヴァンジョーヌソース
和牛の炭火焼 マデラソース
特性パルフェ 苺のジェラートと共に
泡で乾杯し、人心地がつく。
最初に登場したAmuse gueuleは、伊達鶏のフランだ。オマールエビの香りを身にしっかりと纏ったカプチーノ仕立て。お腹に沁みる。体が温まると心も解れ、会話がスパイスとなり、自然顔も緩んでくる。
日本語にすると呑ん兵衛若しくは呑み助。
Picoleurと云う、料理とのマリアージュ、ワインのペアリングセットは如何でしょうか?
夫人の蠱惑的な誘いに乗っても良いと思われるひとくちのおもてなし。
序でのお願いですが、と誘い水。いや、誘い酒かな。
連れは正しくpicoleurなので、なみなみで。其の分、此方のグラスは量を減らして貰っても構わない、と。
Platの説明で、お勧めと云われたのは、シャラン鴨の炭火焼 グリオットのソース。
勿論、心揺れたことは事実だが、シェフの看板料理はジュラの郷土料理で鶏。此の情報が無ければ謂われるが儘に鴨にしたと思う。
結果は牛を撰んだのだが、其の代わり、ふたりで同じLes viandesを頼むことにした。夫人の話を聞いていて、肉を食べるならチマチマとした肉に火入をして貰うより一定の量の肉を調理して貰った方が良いだろう、良いに決まっている、所謂、鼻が利いた、そんな感じかな。
Les entréeは、白蛤と鶏の白レバー。
白蛤はホワイトアスパラでシャルロット仕立て。女性の帽子に見立てた洋菓子風に仕上げた皿で、カリフラワーのムースの中にしっかりとした蛤がお隠れだ。此れを自家製のモルトーソーセージとコンテチーズのケークサレと一緒に食べるのだが、別々でも充分に美味しいのだが、ふたつが合わさることで堪能と云う言葉に変わるから料理は面白い。
相手の鶏の白レバー、勿論と云うか、当然、相伴させて貰う。パン・ド・エピスだから、フランス伝統ハーブスパイス味のバケットと一緒に食べるのだが、匂い立つような風味が嬉しい。
ワインは白中心に纏めて貰ったが、料理との相性は大層良い。ワインが勝ちそうで、ソースがしっかりと受け止めている。
さて、周囲に香りを撒き散らしながら看板料理がお出ましだ。
ヴァンジョーヌソースとは超熟タイプのワインを使ったソースで、シェフが修業をし、一番影響が与えられたと云うジュラ地方で生産されているそうだ。合わせるワインもヴァンジョーヌで、呑む方が熟成年数は浅い。此れが料理と合わさると、ソースもワインも互いに相乗効果を生み出し、旨さが際立ってくる。呑める方なら、この組み合わせは必ず試して頂きたい。
ワインは白で押し通しても構わないタイプだが、如何しても呑んで欲しい赤があると云うことで、炭火焼のワインは赤。
炭火焼とは云え、しっかりとマデラソースで化粧直しされた肉は、誰が如何云っても、私はフランス料理なんですよ、と強く強く主張してくれる。其の主張が全然嫌ではなく、寧ろ心地良い。
小さな肉だと脂を落としてしまうと、肉の旨味も削げ落ちてしまうことが間々あるが、量があると不要な脂だけが抜けるだけなので、ソースが肉の美味しさを引き出してくれる。うん、フレンチは此れ。
そして、ドルチェ。パルフェ以上に驚きはマドレーヌ。甘味好きなら、此れを食べる為だけに訪問をしても良い店かと。
兎に角、ぞっこん。特別なひとときを亦愉しみに訪問したいと思う。
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