やっぱりモツが好きさんが投稿したよし町(茨城/土浦)の口コミ詳細

春は山菜・夏は川魚・秋は茸・冬は獣肉・モツは一年中

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この口コミは、やっぱりモツが好きさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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よし町土浦/日本料理、すっぽん、あんこう

20

  • 夜の点数:5.0

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.0
  • 昼の点数:5.0

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.0
20回目

2024/05 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】春の茨城オールスター【2169-20】

1,729文字★

東京から茨城県に来ております。

春の茨城オールスター食材で少量多種コースをお願いしました。
2024年は温暖化の影響か茨城の春が短かったようで山菜はアッという間に終了。
この日もいちおう石岡市や桜川市の山菜を用意していたようですが、
わかば屋(お店の住所は土浦市)直送の月山(山形県)産のほうがコンディション良く、
一部に県外の食材も使っていますが、殆ど地物ながら素晴らしく充実した内容となっていました。

・皐月御献立

01.斎藤川魚店霞ヶ浦産白魚唐揚げ
02.山菜の前菜 盛り合わせ
02-1.蕗の薹白和え
02-2.あいこ(ミヤマイラクサ)ゼリー酢
02-3.うど金平
02-4.花山葵酢浸し
02-5.山菜おから
02-6.筍麹漬
02-7.二輪草浸し
02-8.蕗の薹味噌
02-9.わらび蕎麦出汁
03.鹿嶋産蛤(はまぐり)と桜川市産こごみのお椀
04.お造り
04-1.山野水産霞ヶ浦産鯉(こい)洗い
04-2.大津港産のれそれ(穴子の稚魚)摘果ぶどうポン酢
04-3.常磐沖産穴子
05.那珂湊産目光一夜干し
06.お口直し(紅はるか蜜煮と赤玉葱ピクルス)
07.斎藤川魚店霞ヶ浦産1.0kgサイズ天然鰻(うなぎ)蒲焼き 花山椒掛け
08-1.山菜の天婦羅(わかば屋山形月山産こしあぶらとこごみ)
08-2.山菜の天婦羅(超巨大サイズたらの芽)
09.境町塚原牧場梅山豚味噌漬け焼き 鉾田市方波見牧場デュロック種塩焼き
10.お食事
10-1.山菜御飯(筍、わらび、こごみ、せり、こしあぶら、うど)
10-2.香の物(春キャベツ)
10-3.お味噌汁(石岡市八郷産猪、新玉葱、浅葱)
11.葛切り

まずは今が一番大きなサイズという白魚(しらうお)からスタート。
淡白な味わいの魚ですが揚げることによって油脂で旨味を補完。
江戸前鮨の桜蒸しにして握る白魚もそれはそれで上品な美味しさですが、
やはり丸揚げで本領発揮となるように思います。

9種類の前菜は春の山菜尽くし。
山菜ごとに味付けを変えてあって仕事が細かいですし高級店ならでは洗練された味わい。
こういう料理は長野県や岐阜県といった山間部高級店の専売特許と思っていましたが、
同店(3.87)を知ったことで身近な存在となりました。

お椀の吸い地は、利尻昆布、小鯛、蛤の出汁、塩は不使用(ついでに鰹節も不使用)。
京都の食べログSilver店は鰹節に並々ならぬこだわりを持って、
削り立ての本枯節を使った一番出汁でタイラギのお椀を作り上げていましたが、
それより美味しいのではないかと思うぐらいお椀(つまり日本料理の花形)もハイレベル。

京都の食べログSilver店はお造りに大トロ、ウニ、カラスミが出てきましたが、
(それはそれで海外ゲストのウケが良いので彼の地では必要なことなのでしょう)
同店は鯉に穴子の親子という何ともマニアックな構成。

しかし大トロやウニは東京で最高クラスが食べられるのに対して、
鯉、のれそれ、穴子が最高に美味しい東京のお店は思い付きません。
存在自体がレアな「のれそれ」は摘果ぶどうを使用したフルーティーなポン酢で。
のれそれならではのヌメヌメした口当たりが楽しいです。

そして美味しさという点で圧巻だったのが親のほうの穴子(おそらく大サイズの穴子を使用)。
春なのにトンデモナイ旨味の強さ。
皮目だけパリッとさせる火入れの妙味でも穴子が昇華。
これ以上に美味しい穴子のお造りやタタキには未だ出会えないです。

開いてフワッと焼き上げた目光。
「山菜の女王」とも呼ばれ香り爆弾のこしあぶら。
モチモチ食感と食べ応えの凄まじさを楽しめるたらの芽など同店ならではの味覚を堪能。

茨城の食材として全国的な知名度を誇る梅山豚も脂の旨味が堪りません。
最後は山菜の炊き込みご飯に、とん汁ならぬしし汁と山の食材に舌鼓を打っていました。

60,000円に近いお支払いとなった京都の食べログSilver店に対して、
3分の1ぐらいなのに満足度の高さはSilver店を凌駕。
高級ブランド食材はあまり出てきませんがテロワール食材の魅力は資本主義に革命を起こします。

  • 2024.5 斎藤川魚店霞ヶ浦産白魚唐揚げ

  • 2024.5 山菜の前菜 盛り合わせ

  • 2024.5 鹿嶋産蛤(はまぐり)と桜川市産こごみのお椀

  • 2024.5 山野水産霞ヶ浦産鯉(こい)洗い

  • 2024.5 大津港産のれそれ(穴子の稚魚)摘果ぶどうポン酢

  • 2024.5 常磐沖産穴子

  • 2024.5 那珂湊産目光一夜干し

  • 2024.5 お口直し(紅はるか蜜煮と赤玉葱ピクルス)

  • 2024.5 斎藤川魚店霞ヶ浦産1.0kgサイズ天然鰻(うなぎ)蒲焼き 花山椒掛け

  • 2024.5 山菜の天婦羅(わかば屋山形月山産こしあぶらとこごみ)

  • 2024.5 山菜の天婦羅(超巨大サイズたらの芽)

  • 2024.5 境町塚原牧場梅山豚味噌漬け焼き 鉾田市方波見牧場デュロック種塩焼き

  • 2024.5 山菜御飯(筍、わらび、こごみ、せり、こしあぶら、うど)

  • 2024.5 お食事

  • 2024.5 葛切り

  • 2024.5 メニュー

2024/05/12 更新

19回目

2024/03 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

【★5.0】冬のスペシャリテ「焼きふぐ」で希少部位を堪能!【2169-19】

1,850文字★

東京から茨城県に来ております。

2月末に白子(1.7kg)入り地物の大きな天然トラフグ(5.8kg)を仕入れたそうで、
今回は予算アップで「トラフグ尽くし」コースを堪能。
ジビエのマガモ、あんこう、地物のメジといった、冬の味覚もコースに加わります。

・弥生御献立

01.大津港産天然河豚白子温寿司
02.前菜の盛り合わせ
02-1.あんこう煮凝り
02-2.いか塩辛
02-3.胡麻豆腐
02-4.塩鰤クリームチーズ
02-5.あん肝みたらし
02-6.蕗の薹味噌
02-7.菜の花辛子和え
03.常陸国天然まがも椀(稲敷市産網捕りまがも、大根、紅菜苔、せり、うど、白髪葱)
04.お造り
04-1.天然河豚刺しポン酢 白子刺し付き
04-2.常磐沖産メジ 辛味大根醤油
05.天然河豚炭焼き
05-1.身皮、遠江、エンガワ
05-2.腹皮、皮、かま皮
05-3.白子
06.常陸国天然まがも炭焼き(胸肉、長葱)
07.蓮根餅(土浦産蓮根、梅山豚)
08.天然河豚唐揚げ(かま、くち)
09.蕪蒸し(薄蒸し、つくば鶏、木耳、笹葱、三つ葉、生姜)
10.あん肝雑炊 香の物(白菜)
11.苺大福
12.黒豆プリン

いきなり餡掛けのトラフグ白子からスタート。
過去に同店(3.85)で雲子(真鱈の白子)の温(ぬく)寿司を頂いたこともありますが、
トラフグの白子は役者が違いました。

『美味しんぼ』11集2話でフグ白子の代わりにタラ白子を用意して罵倒されていましたが、
その理由は自身の舌で食べ比べてみれば良く分かります。
(とはいえ個体によっては雲子がトラフグ級に美味しいこともあったりします。)

天然と養殖でも大きな差が出るトラフグ白子。
株式会社トキタ(茨城県稲敷郡)が県内でチョウザメやトラフグを養殖しており、
この日は夜に養殖トラフグの白子を食べる機会に恵まれたのですが、
食べ比べると天然のほうが香りも旨味にも秀でていました(養殖は泥臭さが気になりました)。

ちなみにトラフグの白子は養殖でも高級品で豊洲市場に於ける取引値キロ20,000円ぐらい。
天然はキロ30,000円ともなる超高級食材(豊洲市場では白子だけを購入可能)。
同店は地の利を活かして県内の大津港から相対で仕入れているのではないかと思います。

お造りでも身と白子を堪能。
2月末に仕入れたということで1週間ぐらい熟成させている身の美味しさに舌鼓。
分厚いてっぴ(皮)の湯引きも添えられていました。

そして意外なところでホームランをかっ飛ばしてきたのが地物メジ(本鮪の幼魚)。
皮目パリッと身はレアーな火入れで、脂ノリッノリなメジが昇華。
あまりに脂が強いので辛味大根と合わせて丁度良かったぐらいです。

前月に食べログSilver某店でサスエ前田魚店(焼津市)仕入れのメジを食べましたが、
鮮度重視でモッチモチ食感な反面、脂ノリや旨味には乏しかったです。
アッサリ淡麗なお店ばかり評価される食べログでこういう濃厚系は邪道かも知れませんが、
濃厚なのに(メジなので成魚の本鮪よりは)爽やかな脂は大好物。

今は大間(青森県)禁漁期で高級店が仕入れる本鮪の産地が塩釜(宮城県)や銚子(千葉県)。
その中間地点ぐらいの常磐沖で良質なメジが獲れても不思議はないです。
紅白のお造りに対する満足度がアワード店を凌駕していました。

そしてご主人が「冬のスペシャリテ」とおっしゃる天然河豚炭焼き(焼きふぐ)。
身や白子を焼くのであれば別に珍しくもないですが、
同店は、身皮、遠江、エンガワ、腹皮、皮、かま皮という希少部位尽くし。

こんな焼きふぐは専門店でも出会ったことないです。
豊洲では白子だけ購入可能と前述しましたが身皮や遠江だけ購入することは不可能。
5.8キロの個体を丸で仕入れる同店ならではのスペシャリテ。

皮や膜のような部位が多いのでイメージとしては「ホルモン焼き」なのですが、
トラフグということで動物の臓物ほど脂が重くなくて何とも軽やか。
漫然と身皮や遠江を湯引きにしているお店では絶対に出せない爽快感。

2月8日に獲ってエトフェ屠鳥したという今季最後の天然まがも。
(全国的に狩猟期は2月15日までとなります。)
こちらもジビエならではの野趣と旨味の強さが合鴨とは別格。
鴨の脂を吸ったのであろう長葱まで美味しかったです。
あんきも、塩辛、山菜、梅山豚、茶碗蒸しなども他店であれば主役を張れそうな逸材でした。

  • 2024.3 大津港産天然河豚白子温寿司

  • 2024.3 前菜の盛り合わせ

  • 2024.3 前菜の盛り合わせ

  • 2024.3 常陸国天然まがも椀(稲敷市産網捕りまがも、大根、紅菜苔、せり、うど、白髪葱)

  • 2024.3 天然河豚刺しポン酢 白子刺し付き

  • 2024.3 常磐沖産メジ 辛味大根醤油

  • 2024.3 天然河豚炭焼き(身皮、遠江、エンガワ)

  • 2024.3 天然河豚炭焼き(腹皮、皮、かま皮)

  • 2024.3 天然河豚炭焼き(白子)

  • 2024.3 常陸国天然まがも炭焼き(胸肉、長葱)

  • 2024.3 蓮根餅(土浦産蓮根、梅山豚)

  • 2024.3 天然河豚唐揚げ(かま、くち)

  • 2024.3 蕪蒸し(薄蒸し、つくば鶏、木耳、笹葱、三つ葉、生姜)

  • 2024.3 あん肝雑炊

  • 2024.3 苺大福

  • 2024.3 黒豆プリン

  • 2024.3 メニュー

2024/03/06 更新

18回目

2023/11 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】第14回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」受賞【2169-18】

871文字★

東京から茨城県に来ております。

https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/gaisyoku/231026.html

第14回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ブロンズ賞の受賞おめでとうございます。

・霜月御献立

01.蕪甘露
02.三菊博多押し(春菊、菊花、もって菊、とんぶり、紅ずわい蟹、ゼリー酢)
03.前菜の盛り合わせ
03-1.黄ニラと小葱と平茸のぬた
03-2.鯖燻製&揚げ銀杏
03-3.柿と栗の白和え
03-4.白菜煮浸し
04.斎藤水産霞ヶ浦産白魚薄蒸し
05.お造り
05-1.常磐沖産鮃昆布〆肝巻き辛味山椒ダレ
05-2.常磐沖産鰆藁炙り
06.北海道羅臼産鰤南蛮焼き
07.石岡市八郷産イノシシと笠間産舞茸の炭焼き
08.岩手産牡蠣炒り焼き
09.半熟奥久慈玉子の香茸餡
10.お食事
10-1.甘鯛鱗揚げ蒸し寿司
10-2.天然茸うどん(ハナイグチ、香茸、ムキタケ、なめこ、さくらしめじ)
11.石岡市八郷産富有柿
12.かすみがうら市千代田産栗のブリュレ

同じ月に同門の弟分のお店(弐鷹@日立市)にも訪れてみましたが、
兄貴分であるご主人のほうが腕は立つように思います。
それに加えてお店の名声が上がる度にレベルアップしていく茨城のテロワール食材。

以前は大多喜町(千葉県)産を使っていたイノシシが地物に。
たっぷりと付いた脂身がジビエならでは軽やかですし、
炭の香りや舞茸とも良く合っていました(キノコは脂との相性が抜群に良いです。)

肝と葱で巻いて山椒ダレを掛けた鮃(ひらめ)。
レアー感を残す火入れで炙った冬の(つまり脂ノリの良い)鰆(さわら)。
組み合わせや火入れによって昇華している面もあるのでしょうが、
茨城の魚もこんなに美味しいのだと思い知らされます。

11月15日から狩猟解禁となって地物のマガモも入荷しているそう。
とはいえ日本にやって来たばかりで未だ痩せており脂ノリに乏しいとのこと。
餌を食べて肥え太るであろう年明けに期待しています。

  • 2023.11 蕪甘露

  • 2023.11 三菊博多押し(春菊、菊花、もって菊、とんぶり、紅ずわい蟹、ゼリー酢)

  • 2023.11 前菜の盛り合わせ

  • 2023.11 斎藤水産霞ヶ浦産白魚薄蒸し

  • 2023.11 常磐沖産鮃昆布〆肝巻き辛味山椒ダレ

  • 2023.11 常磐沖産鰆藁炙り

  • 2023.11 北海道羅臼産鰤南蛮焼き

  • 2023.11 石岡市八郷産イノシシと笠間産舞茸の炭焼き

  • 2023.11 岩手産牡蠣炒り焼き

  • 2023.11 半熟奥久慈玉子の香茸餡

  • 2023.11 甘鯛鱗揚げ蒸し寿司

  • 2023.11 天然茸うどん(ハナイグチ、香茸、ムキタケ、なめこ、さくらしめじ)

  • 2023.11 石岡市八郷産富有柿

  • 2023.11 かすみがうら市千代田産栗のブリュレ

  • 2023.11 メニュー

2023/11/26 更新

17回目

2023/10 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】秋のオールスター【2169-17】

1,034文字★

東京から茨城県に来ております。

過去に食べて美味しいと思った料理を中心にコースを組んで頂きました。
それに加えて「わかば屋(土浦市)」から希少な「天然バカマツタケ」の入荷という僥倖。
食運に左右される食材も含め、秋の味覚に舌鼓を打っておりました。

・神無月御献立

01.前菜
01-1.秋刀魚燻製
01-2.あけび味噌
01-3.かます棒寿司
01-4.身巻き唐墨
01-5.鴨生ハム
01-6.キャベツ煮浸し
01-7.鯉南蛮漬
02.天然バカマツタケのお吸い物
03.お造り
03-1.常磐沖産穴子
03-2.大津港産太刀魚炙り
04.和歌山産子持ち鮎油煮焼
05.天然みずの実と木耳の煮浸し
06.茄子田楽(新活産緑茄子、自家製味噌、鶏肉、アメリカウラベニイロガワリ、チチタケ、ヤマドリタケ)
07.冷やし煮物(南瓜、トマト、オクラ、小芋、打ち茗荷、胡麻だれ)
08.久慈浜産目光唐揚
09.天然茸みぞれ和え(アミタケ、ホウキタケ、ショウゲンジ)
10.方波見牧場デュロック種 豚二種炭焼き(味噌焼き&塩焼き)
11.お食事
11-1.天然茸混ぜ御飯(マイタケ、ヤマドリタケ、マスタケ、サクラシメジ)
11-2.お味噌汁(あおさ)
11-3.香の物(胡瓜と蕪)
11-4.方波見牧場デュロック種 豚モツ煮込み
12.焼葛餅

かます棒寿司が以前に食べたときよりも好印象。
同店(3.99)スペシャリテ級と思う料理が前菜として色々と盛り込まれましたが、
酒肴に適したアイテムが多くて日本酒が進んでしまいます。

そして香りの強さに関しては本種の松茸以上とも謳われるバカマツタケ。
ご主人曰く手に持つだけで香りが付いてしまうほど強烈だったそう。
吸い地に昆布を多用する同店ですが今回ばかりは昆布に加えてメジ(鮪)節も使用。
バカマツタケの芳しさに秋を感じます(香りも吸い地も素晴らしかったです)。

〆の天然キノコご飯は炊き込みご飯ではなくて「混ぜご飯」スタイル。
方波見牧場デュロック種のラードでキノコを炒めており味付けは醤油だけとのこと。
(Nonna Nietta 川村シェフのInstagramによれば日本でも珍しいデュロックの原種。)

キノコは油を吸うことで旨味を増す食材ではありますが、
確かに炊き込むより「炒めて混ぜる」ほうが活きるのかも知れません。
わかば屋からキノコが安定的に入るようになったこともあって去年よりパワーアップしています。

  • 2023.10 前菜

  • 2023.10 前菜

  • 2023.10 天然バカマツタケのお吸い物

  • 2023.10 常磐沖産穴子

  • 2023.10 大津港産太刀魚炙り

  • 2023.10 和歌山産子持ち鮎油煮焼

  • 2023.10 天然みずの実と木耳の煮浸し

  • 2023.10 茄子田楽(新活産緑茄子、自家製味噌、鶏肉、アメリカウラベニイロガワリ、チチタケ、ヤマドリタケ)

  • 2023.10 冷やし煮物(南瓜、トマト、オクラ、小芋、打ち茗荷、胡麻だれ)

  • 2023.10 久慈浜産目光唐揚

  • 2023.10 天然茸みぞれ和え(アミタケ、ホウキタケ、ショウゲンジ)

  • 2023.10 方波見牧場デュロック種 豚二種炭焼き

  • 2023.10 天然茸混ぜ御飯(マイタケ、ヤマドリタケ、マスタケ、サクラシメジ)

  • 2023.10 方波見牧場デュロック種 豚モツ煮込み

  • 2023.10 焼葛餅

  • 2023.10 メニュー

2023/10/11 更新

16回目

2023/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】夏キノコ尽くし【2169-16】

2,253文字★

東京から茨城県に来ております。

茨城・常陸牛の新ブランド「常陸牛 煌(きらめき)」を発表、トップブランド化や知名度向上を図る
https://www.ssnp.co.jp/meat/519445/

リンク先に載っている「常陸牛 煌メニュー」を提供する県内4店舗の1つ。
同店(3.99)は和食ということで常陸牛 煌のサーロインをすき焼きにしています。
わかば屋(土浦市)から天然キノコ(夏キノコ)も色々と入荷しており、
常陸牛 煌サーロインと夏キノコのすき焼きが今回の主菜となるでしょうか。

・長月御献立

01.天然茸みぞれ和え(チョレイ舞茸、ショウゲンジ、ハナビラタケ)
02.前菜
02-1.いちじく胡麻よごし
02-2.キャベツ煮浸し
02-3.鴨生ハム
02-4.コリンキー(かぼちゃ)酢漬け
02-5.おおまさり(塩茹で)
02-6.あけび味噌
02-7.斎藤水産霞ヶ浦産川海老唐揚(掻き揚げ仕立て)
03.鴨真薯と天然茸のお椀(稲敷産網獲り野鴨、ヤマドリタケ、ヤマドリダケモドキ、ウスヒラタケ、コガネヤマドリ、オオツナダケ、ムラサキトリダケ)
04.お造り
04-1.北海道産秋刀魚(さんま)
04-2.銚子産梭子魚(かます)
04-3.常磐沖産鰆(さわら)藁炙り(手前が当日物、奥が熟成1週間)
05.和歌山産子持ち鮎油煮焼 茗荷土佐酢漬け 杏子蜜煮
06.翡翠茄子田楽(笠間産緑茄子、自家製味噌、鶏肉、アメリカウラベニイロガワリ、チチタケ、ヤマドリダケ)
07.うわばみ草煮浸し(ミズの実、キクラゲ、むかご)
08.鯉南蛮(山野水産霞ヶ浦産鯉、長葱、パプリカ)
09.常陸牛”煌”と天然茸のすき焼き(常陸牛 煌サーロイン、奥久慈卵、ムラサキトリダケ、タマゴダケ、キイロタマゴダケ、ヤマドリダケモドキ)
10.お食事
10-1.久慈浜産目光竜田揚げ
10-2.北海道産新いくら醤油漬
10-3.釜炊き御飯(土浦新治地区産特選コシヒカリ)
10-4.御味噌汁
10-5.香の物
11.水菓子(石岡産恵水、下妻産シャインマスカット)
12.かすみがうら市四万騎農園産栗渋皮煮

中秋の名月に見立てた器で、天然キノコのみぞれ和えからスタート。
重陽の節句ということで前菜の器は菊に見立てています。
あけびの苦味をバランス良く抑えた味噌和えや、カラスミの技法を応用した鴨の生ハムに舌鼓。

地物の鴨と天然キノコの旨味が効いたお椀など秋の味覚を堪能したのですが、
コッテリした味わいを好む筆者の琴線に触れたのは秋刀魚(さんま)のお造り。
北海道産ということでテロワール全く関係無いですが脂ノリ良くて旨味もバッチリ。

梭子魚(かます)は身のやわらかさが少し気になってしまって、
サスエ前田魚店(焼津市)が静岡県の高級店に供給している梭子魚には見劣りました。
同店で食べた梭子魚としては前年の棒寿司のほうが好印象。

脂が乗ってきた秋の鰆(さわら)は当日物と熟成1週間の食べ比べ。
スーパーマーケットで販売しているような鰆とは香りの良さも旨味も別格。
1週間寝かせても臭みが出ず、旨味が凝縮している点にプロの技術を感じます。

脂っ濃い料理を好む筆者にとって秋刀魚に続くヒットだったのが子持ち鮎。
コンフィのように「油煮焼」とすることで骨までやわらかく楽しめます。
子持ちのサイズ感を重視するため今回は成田産ではなくて和歌山産。
骨もやわらかく食べられるよう天然ではなくて養殖。

そして鮎の仕上げには摘果ぶどう(未成熟な段階で摘まれた酸っぱいぶどう)を搾って。
レモンのような酸味を感じながらフルーティー。
油をたっぷり含んだ子持ち鮎が爽やかになってバランス良かったです。

天然キノコを使った料理で一番のヒットは茄子田楽。
キノコや鶏肉の旨味が効いた自家製味噌が抜群に美味しい。
たっぷり油を吸った茄子が蕩けて、旨味の塊のような味噌と非常に良く合うのです。

箸休めのミズの実はサッパリした味わいながら粘度とコリコリ感を楽しめ上々。
イタリアンでリコッタチーズ和えのミズの実を食べる機会もありましたが、
この山菜はお浸しで食べるのが一番という気がします。

鯉南蛮はツイスターポテトのように骨切りした鯉の身をフワッと楽しめて、
火を入れた鯉としては過去最高クラスに美味しかったです。
お造りよりも食べ応えという点で秀でていました。

主菜であろうすき焼きはご主人が目の前で火を入れます。
常陸牛 煌は融点が低いとのことで、サーロインでもレアーな火入れ。
キノコからサーロインという順番で楽しんでいきます。

しかし和牛と天然キノコのすき焼きは高山市(岐阜県)の肴(4.01)、
常陸牛 煌はNonna Nietta(3.65)のほうが好印象で、
美味しいすき焼きではあったのですが同店が必ずしもNo.1とはならず。

むしろNo.1と思ったのは白米のおかずに登場したメヒカリ(目光)。
ご主人も初めて出会ったという特大サイズの頭と中骨を取り除いて竜田揚げに。
脂ノリノリでフワッフワに蕩けるメヒカリのほうが5.0満点クラス。
メヒカリは足の早い魚なので地の利もあったのでしょう。

秋刀魚(脂ノリノリ)、子持ち鮎(コンフィ)、茄子田楽(油吸いまくり)、
鯉南蛮(揚げ物)、メヒカリ(竜田揚げ)。
コッテリした料理ばかり気に入る脂舌に我ながら泣けてくるところですが、
同地ならではの味わいを本日も堪能しました。

  • 2023.9 天然茸みぞれ和え(チョレイ舞茸、ショウゲンジ、ハナビラタケ)

  • 2023.9 前菜

  • 2023.9 鴨真薯と天然茸のお椀(稲敷産網獲り野鴨、ヤマドリタケ、ヤマドリタケモドキ、ウスヒラタケ、コガネヤマドリ、オオツナダケ、ムラサキトリダケ)

  • 2023.9 北海道産秋刀魚(さんま)

  • 2023.9 銚子産梭子魚(かます)

  • 2023.9 常磐沖産鰆(さわら)藁炙り(手前が当日物、奥が熟成1週間)

  • 2023.9 和歌山産子持ち鮎油煮焼 茗荷土佐酢漬け 杏子蜜煮

  • 2023.9 翡翠茄子田楽(笠間産緑茄子、自家製味噌、鶏肉、アメリカウラベニイロガワリ、チチタケ、ヤマドリダケ)

  • 2023.9 うわばみ草煮浸し(ミズの実、キクラゲ、むかご)

  • 2023.9 鯉南蛮(山野水産霞ヶ浦産鯉、長葱、パプリカ)

  • 2023.9 常陸牛”煌”と天然茸のすき焼き(常陸牛 煌サーロイン、奥久慈卵、ムラサキトリダケ、タマゴダケ、キイロタマゴダケ、ヤマドリダケモドキ)

  • 2023.9 夏キノコ

  • 2023.9 夏キノコ

  • 2023.9 常陸牛 煌サーロイン

  • 2023.9 お食事

  • 2023.9 水菓子(石岡産恵水、下妻産シャインマスカット)

  • 2023.9 かすみがうら市四万騎農園産栗渋皮煮

  • 2023.9 メニュー

2023/09/24 更新

15回目

2023/08 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

【★5.0】鮑や伊勢海老よりも夏野菜や地豚に感動を覚える【2169-15】

1,644文字★

東京から茨城県に来ております。

大津港(北茨城市)から鮑の入荷を予定しているということで、
いつもより金額アップとなりますが鮑や伊勢海老といった高級食材が登場。
水貝、肝醤油和え、唐揚げ、地物の鮑を様々な調理法で堪能。

しかし鮑や伊勢海老といった高級食材は都心超高級店の得意ジャンル。
2022年の時点でキロ5万円を超えていた大原産(鮑のブランド産地)の黒鮑、
黒鮑より更に上位種と位置付けられるマダカアワビなど経験済みで、
地物という地の利はあれどそこまでの感動は覚えなかったです。

むしろ感動を覚えたのは他店ではまず出会えないであろう希少な新仔わかさぎ、
挑戦的な火入れとクリーミーな胡麻ダレで昇華する夏野菜(冷し煮物)、
聞いたこともないブランドなのに異常なまでにジューシーだったデュロック種の地豚。
(ご主人曰く熟成させることで旨味を増した効果もあったようです。)

・文月御献立

01.トマトのすり流し
02.前菜
02-1.素麺南瓜 瓜 ゼリー酢
02-2.木くらげ つるむらさき 辛子酢味噌
02-3.蓮根(炒め)斎藤水産霞ヶ浦産白魚(釜揚げ)
02-4.斎藤水産霞ヶ浦産わかさぎ新仔唐揚
03.合わせ貝と天然夏茸の土瓶蒸し(大津港産あわびつぶ貝、大洗産北寄貝、大洗産蛤、仁王しめじ、乳茸)
04.お造り
04-1.大洗産こち
04-2.大津港産鮑(水貝)
04-3.大津港産鮑 肝醤油 酢飯玉
05.大津港産伊勢海老香味焼 オクラ
06.石岡市産天狗茄子炭焼
07.鮑唐揚
08.冷し煮物(南瓜、フルーツトマト、ズッキーニ、小芋、打ち茗荷、胡麻だれ)
09.方波見牧場 デュロック種 豚炭焼
10.お食事
10-1.鰹づけ
10-2.釜炊き御飯(土浦新治地区産特選コシヒカリ)
10-3.香の物
10-4.止め椀(生海苔のお味噌汁)
10-5.茄子と挽き肉の煮物
10-6.冷や汁御飯(きゅうり、茗荷、伊勢海老と真鯛の出汁、自家製味噌、梅肉、胡麻)
11-1.茨城産梨「幸水」
11-2.茨城県三大銘茶 猿島産ほうじ茶ゼリー

まずは先付(トマトのすり流し)の複雑玄妙な味わいに舌鼓。
希少な新仔わかさぎはカラッとカリッと揚げており後を引くような美味しさ。
琵琶湖に比べると食材力の弱い霞ヶ浦ですが、こんな隠し球もあるのかと驚かされます。

2023年の夏キノコは凶作のようで入荷あったの仁王しめじとチタケのみ。
貝とキノコという、いずれも旨味の強い食材を出汁に、土瓶蒸しが出てきました。
松茸ほど香りは楽しめませんがスープから感じる旨味は秋のハモタケ以上。
お造りで食べる鯒(こち)の、白身ならでは繊細な旨味も、予想を上回る素晴らしさ。

2022年の夏にも食べて感動した「冷し煮物」は2023年も傑作。
同店の冷し煮物とずんだ和えは夏のスペシャリテといった逸品。
こういう料理は都心超高級店で味わえない感動。

予想外に過ぎるヒットだったのがデュロック種(方波見牧場)の地豚(肩ロース)。
左側は味噌漬け焼き、右側は塩焼き。
ご主人にとっても本命は鮑や伊勢海老だったようですが、
尋常ではないジューシー感と迸(ほとばし)る純な旨味を楽しめて驚愕しました。

牛に比べると市場価格が安くて(ブランド力が弱くて)高級店ではあまり扱わない豚。
カンテサンス(4.50)やプレゼンテスギ(4.46)で食べたこともありますが、
素材が良いのか火入れが良いのか、それ以上に美味しくて感動を覚えました。

レストランオオツ(4.16)で食べたイベリコ豚。
同店で食べたデュロック種の地豚。
茨城県の豚料理が食べログGOLDやSILVERを凌駕して筆者のワンツーとなっています。

そして本命候補ながら上記の食材に後塵を拝した伊勢海老ですが、
最後の冷や汁で出汁として活躍して面目躍如となっていました。
冷や汁にする前提で炊いたからか、硬めな炊き加減のコシヒカリも好みと合って満足。

  • 2023.8 斎藤水産霞ヶ浦産わかさぎ新仔唐揚

  • 2023.8 トマトのすり流し

  • 2023.8 前菜

  • 2023.8 合わせ貝と天然夏茸の土瓶蒸し(大津港産あわびつぶ貝、大洗産北寄貝、大洗産蛤、仁王しめじ、乳茸)

  • 2023.8 大洗産こち

  • 2023.8 大津港産鮑(水貝)

  • 2023.8 大津港産鮑 肝醤油 酢飯玉

  • 2023.8 大津港産伊勢海老香味焼 オクラ

  • 2023.8 石岡市産天狗茄子炭焼

  • 2023.8 鮑唐揚

  • 2023.8 冷し煮物(南瓜、フルーツトマト、ズッキーニ、小芋、打ち茗荷、胡麻だれ)

  • 2023.8 方波見牧場 デュロック種 豚炭焼

  • 2023.8 お食事

  • 2023.8 冷や汁御飯(きゅうり、茗荷、伊勢海老と真鯛の出汁、自家製味噌、梅肉、胡麻)

  • 2023.8 茨城産梨「幸水」

  • 2023.8 茨城県三大銘茶 猿島産ほうじ茶ゼリー

  • 2023.8 メニュー

2023/08/26 更新

14回目

2023/07 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】常陸の輝き【2169-14】

1,269文字★

東京から茨城県に来ております。

https://www.pref.ibaraki.jp/eigyo/proteam/20230613.html

県を挙げてグルメに力を入れているようで県内の名店が「常陸の輝き」をメニュー化。
ちなみに常陸の輝きとは山西農場(坂東市)が生産するブランド豚肉。
リンク先に今回頂いた同店(3.95)お椀の写真も掲載されています。

・文月御献立

01.もろこしすり流し(宮下さんの朝採れとうもろこし)
02.前菜
02-1.蛸ゼリー酢
02-2.ずんだ和え
02-3.万願寺じゃこ
02-4.フルーツトマト甘酢漬
03.豚肉と夏野菜のお椀(茨城県産銘柄豚「常陸の輝き」、新玉葱、パプリカ、ズッキーニ、裏磐梯産蓴菜)
04.お造り
04-1.鯉(こい)洗い(山野水産霞ヶ浦産鯉)
04-2.淡路産鱧(はも)と鱧子
05.成田産利根川養殖活鮎塩焼 蓼酢 あしらい一式
06.大穴子お造り(左が当日〆、右が3日熟成)
07.常磐沖産岩牡蠣唐揚
08.うざく(斎藤水産霞ヶ浦産800gサイズ天然鰻、素麺南瓜、胡瓜、茗荷)
09.賀茂茄子煮卸し(大竹農園産賀茂茄子、大根卸し、生姜、旨出汁)
10.牛炭焼(常陸牛ハラミ、常陸牛サガリ、新玉葱)
11.お食事
11-1.牛すじ煮(常陸牛すじ、新玉葱)
11-2.牛もつ煮(常陸牛もつ)
11-3.自然薯(土浦産自然薯)
11-4.釜炊き御飯
11-5.御味噌汁(あおさ)
11-6.香の物
12.青梅ゼリー

お椀は前述の豚肉と夏野菜が入っており具沢山。
様々な食材を使うと雑味が出やすいものですが上手く纏まっています。
バラ肉から感じる脂の旨味に関して個人的には「梅山豚」のほうが好みなのですが、
風味良くてクリアーな味わいに可能性を感じました。
12店舗(ちなみに8店舗は訪問済み)がメニュー化したようで他店も気になるところ。

山菜の行者にんにくと合わせることで新たな境地に達したスペシャリテ「鯉の洗い」、
2022年に食べたときより鱧子のネットリ感が増して身の食感も好印象な鱧、
当日〆と3日熟成の大穴子食べ比べ、活け鮎塩焼き、天然うざくなど魚介を堪能。

その中でも面白かったのが岩牡蠣の唐揚げ(衣は片栗粉の比率が高そう)。
日本海側の岩牡蠣に比べると太平洋側の岩牡蠣は濃厚クリーミーと言われますが、
揚げてもクリーミー感を残す食感がなかなか良かったです。
(クリーミーさを活かすのであれば生そのままが一番なのでしょうけど。)

常陸牛の珍しい部位が手に入ったそうでハラミ、サガリ、スジ、ハチノスなどに舌鼓。
都内の名店及び名店に卸している精肉店で黒毛和牛のモツを食べまくっており、
それに比べて必ずしも優位性は担保されないのですが貴重な体験でした。

単品で採点するとTOP3だったのは、ずんだ和え、赤玉葱(鮎のあしらい)、止め椀。
いずれも魚でもなければ肉でもない脇役ですが、
こういう脇役にとんでもないヒットが隠れていたりするのが同店の魅力なのです。

  • 2023.7 もろこしすり流し(宮下さんの朝採れとうもろこし)

  • 2023.7 前菜

  • 2023.7 前菜

  • 2023.7 豚肉と夏野菜のお椀(茨城県産銘柄豚「常陸の輝き」、新玉葱、パプリカ、ズッキーニ、裏磐梯産蓴菜)

  • 2023.7 鯉(こい)洗い(山野水産霞ヶ浦産鯉)

  • 2023.7 淡路産鱧(はも)と鱧子

  • 2023.7 成田産利根川養殖活鮎塩焼 蓼酢 あしらい一式

  • 2023.7 大穴子お造り(左が当日〆、右が3日熟成)

  • 2023.7 常磐沖産岩牡蠣唐揚

  • 2023.7 うざく(斎藤水産霞ヶ浦産800gサイズ天然鰻、素麺南瓜、胡瓜、茗荷)

  • 2023.7 賀茂茄子煮卸し(大竹農園産賀茂茄子、大根卸し、生姜、旨出汁)

  • 2023.7 牛炭焼(常陸牛ハラミ、常陸牛サガリ、新玉葱)

  • 2023.7 自然薯、牛もつ煮、牛すじ煮

  • 2023.7 自然薯、牛もつ煮、牛すじ煮

  • 2023.7 青梅ゼリー

  • 2023.7 メニュー

2023/07/09 更新

13回目

2023/05 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】手を替え品を替え【2169-13】

1,491文字★

東京から茨城県に来ております。

わかば屋(茨城県土浦市)の山菜、地物の野菜、地魚、常陸牛。
テロワール食材を様々な調理法で楽しめる同店(3.92)。
食べログの某アワード店は3ヶ月同じメニューを出し続けていたりしますが、
(それはそれで美味しさが安定しますし一見さんにはありがたいのですが)
訪れる度に新たな食体験を得られるお店のほうが通う楽しさがあるように思います。

・皐月御献立

01.うすい豆
02.前菜(豆鯵、おから山菜、トマト木の芽オイル、鯛子旨煮)
03.つくば鶏沢煮椀
04.お造り
04-1.大洗産鯛
04-2.大洗産のれそれ
04-3.常磐沖産鰹
05.大津港産赤ムツ塩焼き 染卸し
06.山野水産霞ヶ浦産鯉 牛蒡 白髪葱
07.天婦羅
07-1.成田産養殖稚鮎
07-2.コシアブラ、鯛白子
07-3.タラの芽
08.大竹農園 朝採れヤングコーン
09.ぜんまい飛龍頭
10.お食事
10-1.新玉葱御飯
10-2.常陸牛すき煮
10-3.御味噌汁(えのき、葱、三つ葉)
10-4.香の物(胡瓜と大根の糠漬け)
10-5.蛤ラーメン
11-1.鉾田市産アンデスメロン「極」
11-2.絹羊羹

まずは1%の塩分で茹でたという「うすい豆(グリーンピースの赤ちゃん)」。
常磐沖産豆鯵の唐揚げが洗練された美味しさで、大衆酒場で食べるような豆鯵とは別格。
しどけ(モミジカサ)のおから和えも山菜ならではの食感や香りに妙味を覚えました。

沢煮椀のつくば鶏は胸肉ですが、皮目はしっかり焼き上げ、肉はレアー感を残す火入れ。
お出汁を含むことによっても胸肉のパサつきが軽減されて美味しい。
お造りの真鯛は前回と装いを変えて、塩と木の芽で和えていました。
素材ストレート勝負では明石の鯛のほうが美味しいと思いますが、
こういう遊び心あるような調理法で地物の真鯛を活かします。

西日本で食べることが多い(高知県産が多かったような印象)のれそれ(穴子の稚魚)。
ポン酢と天然浅葱で和えていましたが「葛切り」のような食感が官能的。
同店は600g~800gサイズの大穴子がスペシャリテ級に美味しいのですが、
(ちなみに天ぷら専門店で扱う穴子は60g~120gという印象)
赤ちゃんサイズまで美味しく楽しめるとは驚きました。
皮目をパリッと焼き上げ脂ノリも良い地物鰹(おそらく本種)も美味しかったです。

ノドグロは対馬産に比べると脂に物足りなさを覚え、
(同店で食べた焼き魚ではキンキのほうが感動を覚えました)
鯉も火を入れるより生で食べるほうが美味しいように思ってしまうのですが、
クリスピーな衣で揚げる天ぷらは面白かったです。

成田(成田空港の成田)で利根川から水を引いて鮎を養殖しているそうで、
天然は輸送の途中に死んでしまうからと鮮度を重視しての養殖稚鮎。
カリッとした衣、フワッとした身、苦味なく美味しかったです。

1階が調理場で2階がダイニングとなる同店は天ぷら専門店のような揚げ立てが不可能ですが、
火入れが上手いので十分に楽しめます。
真鯛の白子を天ぷらで食べるのも初めての経験でした。
ネッチリ食感のぜんまい入り飛龍頭(がんもどき)も非凡な逸品。

牛丼を再構築したような、新玉葱ご飯と常陸牛すき煮(うま煮)の組み合わせ。
USビーフやオージービーフより脂が爽やかで旨味も強いですし、
甘く炊いた霜降りの脂がもう反則的に美味しいです。
麺より蛤のほうがボリューミーという蛤ラーメンにも驚愕。
(同席者は辛味を効かせたスープを特に気に入っていたようです。)

2023/05/30 更新

12回目

2023/04 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】茨城テロワール尽くし【2169-12】

1,147文字★

東京から茨城県に来ております。

食べログを契機に来店したお客さんが実は山菜の採り子さんだった。
そんな縁にも恵まれてパワーアップしている同店(3.93)。
9種類の山菜小鉢など春の味覚を堪能。
テロワール色が強くなっているようで肉も魚も(海の魚も湖魚も)地物でした。

・卯月御献立

01.筍甘露
02.前菜
02-1.蕗の薹味噌
02-2.筍麹漬
02-3.うど金平
02-4.蕗田舎煮
02-5.菜花辛子和え
02-6.花わさび酢漬け
02-7.こごみゼリー酢
02-8.しどけ胡麻和え
02-9.うどのびる酢味噌掛け
03.お椀(女化たけのこ園産筍、若布、木の芽)
04.お造り
04-1.山野水産霞ヶ浦産鯉洗い
04-2.昨夜〆た大洗産天然真鯛
04-3.常磐沖産穴子
05.焼き物
05-1.常磐沖産目光一夜干し
05-2.斎藤水産霞ヶ浦産天然鰻(蒲焼き&花山椒、白焼き&本わさび)
06.筍と地山菜の天婦羅
06-1.ハリギリ、タラの芽
06-2.コシアブラ、筍
07.鹿嶋産蛤とうるいの酢浸し
08.土浦産蓮根蒸し 野鴨真薯 長葱
09.お食事
09-1.筍と山菜の炊込みご飯(刻んだ油揚げ、木の芽、筍、わらび、こごみ)
09-2.大根のお味噌汁
09-3.香の物(胡瓜と大根の糠漬け)
09-4.塚原牧場梅山豚角煮
09-5.斎藤水産霞ヶ浦産天然鰻肝焼き
10.焼葛餅、熱い緑茶

まずは白醤油だけで調味したという筍のお汁(具は一切なくて水分だけ)。
筍由来の甘みがまるでトウモロコシのような味わい。
「春のコーンスープ」とでも表現したくなる美味しさで先付から好発進。

そして採り子さんとの繋がりで大量に仕入れることが可能になった山菜。
春の山菜を求め5時間ぐらい運転して東北地方やら中部地方やら訪れていましたが、
東京から1時間で辿り着く北関東でも実はこれだけの満足感を得られます。
モミジガサ(しどけ)の独特の風味が何とも素晴らしかったです。

今回はオールスターのような構成で過去に食べて美味しかった料理を並べたのですが、
女化の筍、霞ヶ浦の鯉、常磐沖の大穴子など、同店ならではの味わいが光ります。
この時期の穴子は食べログのアワード店で食べても脂ノリが物足りなかったりするのですが、
大穴子は春に食べても美味しくて驚愕、もちろん骨切りや火入れの上手さでも昇華しています。

久しぶりに食べた天然鰻は皮をパリパリに焼き上げる調理法に変わっていました。
ややドライに過ぎるのでもう少し軽やかにサクッと焼き上げるほうが理想ですが、
以前より美味しさアップしており、特に白焼きのほうがこの火入れとの親和性高し。
仕入れも火入れもレベルアップしているようで今後も楽しみ。

  • 2023.4 筍甘露

  • 2023.4 前菜

  • 2023.4 前菜

  • 2023.4 お椀(女化たけのこ園産筍、若布、木の芽)

  • 2023.4 山野水産霞ヶ浦産鯉洗い

  • 2023.4 昨夜〆た大洗産天然真鯛

  • 2023.4 常磐沖産穴子

  • 2023.4 常磐沖産目光一夜干し

  • 2023.4 斎藤水産霞ヶ浦産天然鰻(蒲焼き&花山椒、白焼き&本わさび)

  • 2023.4 ハリギリ、タラの芽

  • 2023.4 コシアブラ、筍

  • 2023.4 鹿嶋産蛤とうるいの酢浸し

  • 2023.4 土浦産蓮根蒸し 野鴨真薯 長葱

  • 2023.4 筍と山菜の炊込みご飯(刻んだ油揚げ、木の芽、筍、わらび、こごみ)

  • 2023.4 香の物(胡瓜と大根の糠漬け)

  • 2023.4 大根のお味噌汁

  • 2023.4 塚原牧場梅山豚角煮

  • 2023.4 斎藤水産霞ヶ浦産天然鰻肝焼き

  • 2023.4 焼葛餅

  • 2023.4 メニュー

2023/04/18 更新

11回目

2023/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】春の訪れ【2169-11】

1,118文字★

東京から茨城県に来ております。

いよいよ山菜のシーズンが到来したようで地物の筍や花山椒などを堪能。
市場で買えば超高級品となってしまう花山椒ですが相対取引であれば安く済むのでしょう。
茨城県が全国に誇る鹿島灘の蛤(前月に九州の高級鮨店で食べた蛤がいずれも鹿島灘産)。
こちらも超大粒で食べ応え抜群でした。

弥生御献立

01.地大根
02.前菜
02-1.こごみとのびる酢味噌かけ
02-2.蕗の薹白和え
02-3.うど金平
02-4.菜花辛子和え
02-5.金美人参
02-6.うるいゼリー酢
02-7.春菊椎茸煮浸し
03.お椀(鹿嶋産蛤、ちり葱)
04.お造り
04-1.大洗産天然真鯛、大津港産さより昆布〆
04-2.大津港産穴子
05.蕗の薹味噌
06.常磐沖産あいなめ山椒焼、あしらい(セロリとサツマイモ)
07.山菜の天婦羅
07-1.女化産筍、うどの芽、こごみ
07-2.たらの芽
08-1.女化産焼筍 花山椒添え
08-2.つくば鶏 新玉葱 ポン酢
09.鯛旨煮
10-1.鯛御飯 御味噌汁 香の物
10-2.猪骨ラーメン
11.桜の杏仁豆腐

まず1品目の地大根から良かったです。
白醤油だけで調味したそうですが、おでんの大根に負けない旨味と食感を楽しめます。
それでいてクリアーな味わい。
同じような調理の蕪が出てきたこともありますが大根のほうが好印象。

2品目の前菜ですがまだ走りの時期ということで山菜料理は半分ぐらい。
前年に食べた「ずんだ和え」の枝豆を蕗の薹に置き換えたような白和え、
うど(独活)の香りと食感を残す金平が特に気に入りました。

お椀には葛打ちしたような超大粒蛤(を一口サイズにカット)入り。
同じ月に某高級料亭で蛤真薯のお椀を食べましたが、
やはり蛤は真薯と合わせるよりストレートに楽しむほうが活きると思います。
(2022年4月に食べた酢浸しの蛤が一番のお気に入りではあります。)

同じ月に山菜を自家調達しているお店でタラの芽の天ぷらを食べましたが、
茨城県の誇る高級和食として地物山菜を仕入れている同店(3.93)のほうが大振りサイズ。
どうしても自家調達のお店よりは金額が高くなりますが、
都内で食べるよりは全然安いですし、都内の高級店でもなかなか出会えない大きさ。

〆のお食事に豚骨ラーメンならぬ猪骨ラーメンが出てきたりと遊び心も満載。
豚骨スープより爽やかな気がしますし、少しドライに仕上げた猪スペアリブも美味しい。
デザートの杏仁豆腐は2022年4月に食べたときより緩い仕上がりとなっており、
通えば通うほど客側の好みに合わせた料理が出てくるということなのでしょう。

  • 2023.3 地大根

  • 2023.3 前菜

  • 2023.3 お椀(鹿嶋産蛤、ちり葱)

  • 2023.3 大洗産天然真鯛、大津港産さより昆布〆

  • 2023.3 大津港産穴子

  • 2023.3 蕗の薹味噌

  • 2023.3 常磐沖産あいなめ山椒焼、あしらい(セロリとサツマイモ)

  • 2023.3 女化産筍、うどの芽、こごみ

  • 2023.3 たらの芽

  • 2023.3 女化産焼筍 花山椒添え

  • 2023.3 つくば鶏 新玉葱 ポン酢

  • 2023.3 鯛旨煮

  • 2023.3 鯛御飯

  • 2023.3 猪骨ラーメン

  • 2023.3 桜の杏仁豆腐

  • 2023.3 メニュー

2023/04/02 更新

10回目

2023/02 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】過去最高を更新してくる【2169-10】

1,877文字★

東京から茨城県に来ております。

10回目ともなると筆者の好みを把握されてしまったようで、
鉢肴(焼き物)にメヒカリやキンキ(キチジ)といった脂ノリ抜群な魚を使用。
ジビエの猪ロース(強肴)は半分以上が脂身という構成比率。
鮟肝、鮃の肝、トラフグ白子、子持ち公魚(わかさぎ)といった魚の肝や卵まで堪能。

2023年2月の後半は、福岡県の鮨さかい(4.54)、同じく福岡県の菊鮨(4.31)、
大分県の別府廣門(4.33)、同じく大分県の味あら井(4.15)と巡ってみましたが、
筆者の満足度が最も高くなったのは茨城県の同店(3.91)。

その理由として冒頭で申し上げた同店のカスタマイズ能力の高さが挙げられるでしょう。
客側の好みにメチャクチャ寄せたコース構成となっていました。
一見客として訪れるのであれば九州のほうが優った可能性もあるのですが、
カスタマイズされた同店は通常の3倍ぐらい満足度が上がっています。

如月御献立

01.蕪甘露
02.前菜
02-01.福豆
02-02.恵方巻
02-03.あん肝 みたらし餡
02-04.塩鰤クリームチーズ
02-05.紅芯大根と干し貝柱
02-06.あんこう煮凝り
02-07.里芋唐揚げ
02-08.蕗の薹味噌
02-09.寒干大根
02-10.菜花浸し
03.春子鯛潮仕立てと蕪のお椀
04.お造り
04-1.常磐沖産天然河豚刺し
04-2.常磐沖産天然河豚白子刺しムース仕立て
04-3.常磐沖産鮃昆布〆(肝付き)
05.鉢肴(焼き物)
05-1.常磐沖産目光一夜干し
05-2.常磐沖産きんき塩焼
06.揚げ物
06-1.霞ヶ浦産特採子持ち公魚・宿儺かぼちゃ・大浦ごぼうの天ぷら
06-2.常磐沖産天然河豚カマ唐揚げ
07.千葉県大多喜産猪ロース炭焼
08.海老芋まんじゅう 塚原牧場梅山豚角煮 菜花餡 梅麩
09.天然河豚雑炊 白子 香の物(柚子白菜)
10.甘味
10-1.鉾田市村田農園とちおとめ
10-2.焼葛餅

まず先付の蕪甘露(具無しスープ)から非凡な逸品。
調味料は塩と白醤油だけ、蕪の自然な甘みを活かしています。
しっかり旨味を感じられながらも優しい味わいで身体が綺麗になったような錯覚に襲われます。

前菜は10種類の料理をチョコチョコ楽しめて、しかもどれも抜群に美味しい。
ふっくら炊き上げた大豆、歯応えを残す大根、ネットリした里芋、メリハリが素晴らしいです。
みたらし餡のアンキモが鮨さかいのスペシャリテであるアンキモにも負けず劣らず。
(少なくとも菊鮨で食べたアンキモを凌駕していました。)

福岡県では鐘崎産の天然トラフグ、大分県では豊後水道の天然トラフグを食べたのですが、
なかなかどうして常磐沖の天然トラフグも負けていません。
ご主人曰く時化の影響で熟成期間が不足しているそうですが、
脱水をかけてネットリ&コリコリした歯応えが面白かったです。
てっぴや身皮に関しては九州で食べた天然トラフグより美味しかったぐらい。

同じく常磐沖の地物鮃もスマッシュヒット。
まずはそのまま(薬味に本わさび)、2枚目は海苔を挟んで、3枚目は肝を挟んで。
濃厚に変化していく鮃の食べ比べが素晴らしい食体験。

そういえば同じ月に都内の高級鮨店で大洗産の鮃を扱っていましたし、
震災前は星鰈のブランド産地として相馬沖が知られていました。
このエリアは鮃や鰈の良漁場なのでしょう。

鉢肴(焼き物)はいずれも地物のメヒカリとキチジ(キンキ)。
サクッと軽やかに開いた身を焼き上げ、口にするとフワフワ蕩けるメヒカリ。
茨城県のスーパー銭湯で食べたメヒカリとは格が違います。

そして北海道で獲れるイメージだったキチジ。
常磐沖の地物も網走産などに負けない脂ノリの凄まじさ。
パリパリに焼き上げた皮目とアブラギッシュな身を貪っていくと、
ジューシーな脂が溢れ出てくるので添えられた鬼おろしと食べて最高の組み合わせに。

初めて出会う子持ち公魚(わかさぎ)は公魚とは思えぬ巨大サイズ。
子持ちの魚介としては、子持ちアジメドジョウ、子持ち蝦蛄、子持ち鮎といった、
もっと美味しい子持ち界の王たちには及ばずも貴重な体験。

吉野葛を使った焼葛餅は昨夏に食べた葛切り以来の同店スイーツのヒット作。
シンプルに素材勝負な村田農園のいちごも甘みと旨味が素晴らしかったです。
総合的な満足度は過去最高クラスで、通えば通うほど最高記録を更新してきます。
(だから東京から10回も通っているのだと言えます。)

  • 2023.2 蕪甘露

  • 2023.2 前菜

  • 2023.2 春子鯛潮仕立てと蕪のお椀

  • 2023.2 常磐沖産天然河豚刺し

  • 2023.2 常磐沖産天然河豚白子刺しムース仕立て

  • 2023.2 常磐沖産鮃昆布〆(肝付き)

  • 2023.2 常磐沖産目光一夜干し

  • 2023.2 常磐沖産きんき塩焼

  • 2023.2 霞ヶ浦産特採子持ち公魚・宿儺かぼちゃ・大浦ごぼうの天ぷら

  • 2023.2 常磐沖産天然河豚カマ唐揚げ

  • 千葉県大多喜産猪ロース炭焼

  • 海老芋まんじゅう 塚原牧場梅山豚角煮 菜花餡 梅麩

  • 天然河豚雑炊 白子 香の物(柚子白菜)

  • 鉾田市村田農園とちおとめ

  • 焼葛餅

  • 2023.2 メニュー

2023/02/26 更新

9回目

2023/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】冬は地物の網獲り野鴨【2169-9】

2,228文字★

東京から茨城県に来ております。

テロワールにもこだわる同店(3.85)。
春は山菜と女化町の筍、夏は霞ヶ浦の湖魚、秋は香茸、そして冬は稲敷市の網獲り野鴨。
四季の移ろいに応じて茨城県ならではの食材を色々と楽しめます。

睦月御献立

1.千葉県大多喜産猪真薯白味噌椀
2.祝肴
2-1.あんこう煮凍り煮凝り
2-2.五色なます
2-3.揚げ里芋
3.蟹真薯のお椀(ずわい蟹、菜の花、柚子)
4.お造り
4-1.宮城産穴子
4-2.愛媛産天然河豚白子
4-3.常磐沖産鮃唐墨
5.稲敷市産網獲り野鴨
5-1.胸肉
5-2.手羽、もも肉
5-3.ハツ、ささみ
5-4.レバー
6.土浦産蓮根炭焼
7.千葉県大多喜産猪バラ肉煮込み
8.常磐沖産あんこう雑炊
9.黒豆ムース 黒蜜

お支払い20,000円台の同店と、神楽坂のお支払い70,000円台の某店。
「引き算の料理」と言われる和食は資本主義なので同店に勝ち目は無いように思えますが、
蟹や河豚(ふぐ)といった冬の味覚に対する満足度で決して引けを取らなかったです。

それは同店が「足し算」で足りない部分を補っているからでしょう。
ずわい蟹は真薯にして白身魚の旨味を加えて、ボリューム(食べ応え)も増やしています。
間人蟹を扱えるような超高級店は素材を活かす為にお椀の吸い地を薄味としますが、
同店はそれよりも濃い吸い地にすることで差を埋めていました。

フグ白子のお造りを70,000円の某店はおろしポン酢でサッパリと仕上げていましたが、
同店は白トリュフオイルで和えており、香りと油脂で白子を昇華させています。
食べログGOLDの某店も白子に白トリュフを合わせていたように両者は相性が良いのです。
(お支払い20,000円台の同店は本物の白トリュフまでは使えませんがオイルでも十分に満足。)

茨城県を代表する和食店ということで地物ジビエが入ってくるようになったそうで、
(霞ヶ浦の南に位置する)稲敷市の網獲り野鴨が本日のメインと言えそうです。
野鳥(野鴨)の内臓は家禽(合鴨)より臭いことが多いのですがハツもレバーも食べやすく、
ジビエの魅力である爽やかな脂も手羽やもも肉で堪能。
手羽やもも肉は低温で火を入れることでホロホロした食感に変質しており骨離れが良かったです。

ご主人曰く鴨料理で有名な新潟市の割烹長吉(3.81)まで食べに行く予定だそうで、
全国の名店をこうやって食べ歩いている経験が料理に活きているのでしょう。
地物ではないですが「ビーフシチュー」のような猪バラ肉も面白かったです。

そして冬の茨城県といえば「あんこう」も名物。
どぶ汁のようにドロッと粘度が高くて濃厚に仕上げた雑炊が素晴らしかったです。
熱々の提供温度が理想的ですし、唐辛子や柚子で爽やかさも感じられました。

-大晦日おせちリポート追記-

14時ぐらいに着いたのですが駐車場に特設の販売所が出来ていたりと活況。
おせち(一段重やアラカルトの販売もしているようです)受け取りの行列が出来ていました。
土浦を代表する名店として地元からの支持も根強いのでしょう。

余段重(70,000円、内税)と弐段重(35,000円)を購入。
ご主人は「大量生産」と謙遜されていましたがネット通販おせちとは別格な「本物」。
日持ち重視の濃い味となっており実店舗で食べるほうがそりゃ美味しいのですが、
70,000円の余段重は流石に注文数が少なかったようで余の段はご主人が趣味に走り、
梅山豚、常陸牛、身巻からすみ 、鱧八幡など実店舗で食べるより美味しかった料理もいくつか。

レンチンした常陸牛はフワフワ蕩けて口の中で旨味が爆発。
スコア4.00を超える某フレンチのテール煮込みや某フレンチの頬肉赤ワイン煮込み以上。
身巻からすみは実店舗でも一度食べているのですが、何故かおせちのほうが美味しかったです。

弐の段の、鰤、銀鱈、銀鮭、鰆も実店舗以上とも思う美味しさ(レンチンしています)。
やはり縁起物とは全く関係ない、酒肴に向いているような料理が光ります。
伊勢海老や鯛は見た目こそ豪華ですが味という点は期待ほどではなかったです。
もちろんネット通販おせちのオマール海老よりは全然良かったです。

余段重(70,000円)

壱の段

01.伊勢海老雲丹焼
02.いくら醤油漬
03.紅白蒲鉾
04.紅白生酢
05.のしどり
06.丹波黒豆
07.数の子
08.鮑柔らか煮
09.笹麩
10.伊達巻
11.栗きんとん
12.鰊黄金漬
13.ハリハリごぼう
14.田作り
15.花蓮根

弐の段

01.鯛姿焼
02.鰤野田焼
03.銀鱈西京焼
04.銀鮭塩焼
05.鰆味噌幽庵焼
06.わかさぎ南蛮漬
07.錦玉子
08.手鞠麩
09.カリフラワー中華酢漬
10.紅白梅大根酢漬
11.お多福豆
12.丸十蜜煮

参の段

01.赤蒟蒻
02.蓮根
03.蕗
04.竹の子
05.春子椎茸
06.海老真丈(チリソース)
07.子持ち鮎甘露煮
08.合鴨ロース
09.焼栗蜜煮
10.海老芋
11.昆布巻
12.射込大浦牛蒡
13.金時人参
14.巻海老
15.松笠くわい
16.山くらげ

余の段

1.梅山豚味噌漬
2.常陸牛大和煮
3.帆立松笠焼
4.身巻からすみ
5.鱧八幡
6.子持ち昆布
7.サーモンマリネ
8.鳴門蛸柔らか煮
9.白滝鞍馬煮

  • 2023.1 千葉県大多喜産猪真薯白味噌椀

  • 2023.1 祝肴

  • 2023.1 蟹真薯のお椀(ずわい蟹、菜の花、柚子)

  • 2023.1 宮城産穴子

  • 2023.1 愛媛産天然河豚白子

  • 2023.1 常磐沖産鮃唐墨

  • 2023.1 胸肉

  • 2023.1 手羽、もも肉

  • 2023.1 ハツ、ささみ

  • 2023.1 レバー

  • 2023.1 土浦産蓮根炭焼

  • 2023.1 千葉県大多喜産猪バラ肉煮込み

  • 2023.1 常磐沖産あんこう雑炊

  • 2023.1 黒豆ムース 黒蜜

  • 2023.1 メニュー

  • 2022.12 壱の段

  • 2022.12 弐の段

  • 2022.12 参の段

  • 2022.12 余の段

  • 2022.12 余段重メニュー

  • 2022.12 弐段重メニュー

2023/01/17 更新

8回目

2022/11 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★5.0】満点評価店と遜色なし【2169-8】

3,550文字★

東京から茨城県に来ております。

2022年4月に初めてお邪魔して通算8回目の訪問となった同店(3.89)。
おせち購入予定ですが忘年会シーズンの12月はあまりオススメできないとのことで、
年内の再訪は無くなったので1年を振り返ってスペシャリテ級と思った料理を纏めてみます。

【前菜】
山菜小鉢の盛り合わせ(4月)
酢豚(6月)
冷やし煮物(7月)夏野菜を胡麻ダレで
ずんだ和え(8月、10月)10月は地物が終わって新潟産に
西崎ファームかすみ鴨の自家製生ハム(9月、10月)

【お椀】
女化町産筍のお椀(4月)
蓮根蒸しとつくば鶏のお椀(11月)

【お造り】
大穴子の焼き霜(6月、9月、11月)
霞ヶ浦産鯉の洗い(6月、9月)養殖を使用しており洗いというより生に近い
甘鯛の昆布〆(8月)
太刀魚の焼き霜(8月)

【焼き物】
天然トラフグ遠江の炭火焼き(11月)おそらく身皮もこれに匹敵

【強肴や箸休め】
茄子の天然キノコ味噌田楽(10月)
ハマグリとうるいの酢浸し(4月)

【食事】
香茸雑炊(10月)ラ・スタッラの佐藤シェフもお気に入り

【甘味】
くずきり(8月)

同店は食材を地物に縛るわけではないですがテロワールな料理にヒットが多いです。
そして野菜料理をスペシャリテ級と評しているのも珍事。
モツ好きを自称する筆者は野菜より肉や内臓を好むのですが同店は野菜が異常に美味しい。
理由としては火入れと味付けの妙が挙げられるでしょう。
和食店で野菜の火入れに感動を覚えたのは京都府の魚津屋(3.89)と同店ぐらい。

また訪れるたびに全く違う料理を供する引き出しの多さも素晴らしいです。
食べログのハイスコア店はメニューが固定されてしまっていることが多くて、
それはそれで初見であれば凄まじく美味しいのですが何度も通うと飽きてきます。
通い続けるという視点からすると同店のほうが筆者の評価は高くなります。

もちろん初めて作った料理も出てくるのでアタリハズレありますし、
地域密着型の同店は宴会をこなしながら、ご主人1人で調理しているという事情もあります。
そのため満足度は日によって4.0から5.0ぐらいまでブレるのですが、
前述の通りこの点は長所とも表裏一体なので仕方ないことでしょう。

2022年11月は、うを徳(86回)、レストランオオツ(33回)、プレゼンテスギ(24回)、
筆者が5.0満点と評して定点観測しているお店にもお邪魔しているのですが、
(なお訪問回数は2017年1月以降のカウントなので実際はもっと通っています)
11月に食べた今回の内容は過去最高クラスに素晴らしくて満点評価のお店と遜色なし。

何十回と通っているお店はどうしても以前に食べた料理と被ってしまいますが、
(モツ好きと名乗りながらモツ焼き屋の再訪回数が増えない理由がここにあります)
リクエストしない限り全く違う料理が出てくる同店の魅力が今回は良い方向に働きました。

霜月御献立

01.薄蒸し帆立餡
02.前菜
02-1.菊花酢浸し
02-2.霞ヶ浦産天然川海老唐揚
02-3.菊芋煎餅
02-4.炒り銀杏
02-5.揚げむかご
02-6.燒雲子
02-7.白菜葱和え
03.お椀(蓮根蒸し、つくば鶏、福王椎茸、木耳、九条葱)
04.お造り
04-1.宮城産穴子焼〆
04-2.舞鶴産鰆藁焼き
04-3.常磐沖産あんこう友酢
05.福島産天然トラフグ炭焼き(カマ、とうとうみ)
06.にしん 賀茂茄子
07.朴葉焼き(千葉大多喜産猪、舞茸、小芋、白髪葱、柚子)
08.奥久慈半熟玉子 香茸餡
09.食事
09-1.白米(茨城産コシヒカリ)
09-2.八戸産スルメイカ塩辛
09-3.香の物(大根、胡瓜、はりはり漬け、昆布)
09-4.止め椀(わかめ味噌汁)
09-5.納豆
10.大子町豊田りんご園 幻の林檎「高徳」(と「はるか」)

まずは帆立の旨味が効いた餡を掛けた玉地薄蒸し(茶碗蒸し)。
漂う香りの良さから美味しさを確信して、滑らかな食感も流石といったところでしょう。
食べログで4.00を超える鮨屋でおつまみとして茶碗蒸しが出てくることもありますが、
やはり本職に比べると鬆(す)が入っていたりとイマイチなことが多かったりします。

前菜の盛り合わせでは菊花の美味しさに驚きました。
ヴィジュアル重視の添え物と思っていましたが火入れと味付けでここまで化けます。
同席者が「餃子のタレのよう」と評していた酢醤油のバランス良し。

雲子(真鱈の白子)を除いて前菜は全て地物だそうで適度に硬さを残す銀杏も良いです。
ご主人曰く霞ヶ浦の水産会社に強いパイプをお持ちのようで、
天然川海老が居酒屋で食べるような川海老とは別格な鮮烈さ。
霞ヶ浦の湖魚という他にはない強みも同店の魅力の1つでしょう。

お椀の蓮根蒸しは言われなければ蓮根と分からないぐらいフワモチ食感へと変質。
7月に食べて感銘を受けた「冷やし煮物」のシャキッとした蓮根とはもう別物です。
炭火で炙ったつくば鶏の皮付き腿肉などと組み合わせの妙味が素晴らしくて、
鰹節は全く使わず昆布と鶏出汁で仕上げた吸い地もメチャクチャ美味しい。
4月に食べた地物筍のお椀以来のスマッシュヒットでした。

お造り1品目の穴子は再々リクエストとなる同店の鉄板スペシャリテ。
前述うを徳でも500gサイズから2,400gサイズまで大穴子を色々と試しているのですが、
穴子に関しては同店を超える美味しさに出会えていません。
3回食べて3回とも同席者は異なったのですが、誰しもが唸った逸品となります。
食べログGOLD店で食べた穴子でもまるで及びません。

4月以来の登場となった鰆(さわら)も良いです。
春の爽やかな鰆は生に近い状態で出して、冬の脂が強い鰆は藁焼き(スモーク)に。
レアー感を残しながら温かな身に燻製香の芳しさが加わって素晴らしいです。

茨城県特有の郷土料理と知られる友酢(あんこうの友酢)。
こちらも身はレアー感を残す火入れで湯掻いて、ゼラチン質たっぷりな皮など添えて。
裏漉したアンキモに味噌を合わせた肝味噌で味わうのですが洗練された美味しさ。
この料理は大衆店で食べると野暮ったくて田舎臭さを覚えてしまうのですが、
ひたちなか市の京遊膳 花みやこ(3.09)と同店で食べた友酢は高級店の味となっており別格。

福島沖で獲れたという天然トラフグはカマと遠江だけを炭火焼きに。
身皮(三河)に接する部分だから遠江という駄洒落ネーミング。
この遠江(粘膜のような皮下組織)のクニュクニュした食感と旨味の強さが堪りません。

ご主人曰く天然トラフグは5キロ以上の個体にこだわって仕入れ。
10日は熟成させているそうです。
本日は無かったですが身皮も自慢の逸品だそうで年明け期待しています。

鰊(にしん)と賀茂茄子の炊き合わせは京料理の定番といったところでしょうか。
10月に都内のミシュラン和食店でも食べているのですが個人的には同店に軍配。
鰊も茄子も蕩けるやわらかさで味付けも鮮烈。

そして飛騨地方の郷土料理というイメージが強い朴葉焼き。
飛騨に限らず岐阜県の温泉旅館なんて訪れると飛騨牛と併せ定番となっている料理ですが、
高級旅館で食べても野暮ったくて田舎臭さしか覚えなかったです。

しかし同店はジビエ(猪)のレバーや天然キノコを練り込んでおり味噌の美味しさが異次元。
爽やかながら旨味強くて、レバーを加熱しているのにボソボソ感も無し。
猪のバラ肉は硬かったので一部はミンチ(肉団子)にしたとおっしゃっていましたが、
この味噌だけでもう飛騨現地で食べる味噌とは桁違いに満足できました。
田舎料理と思い込んでいた郷土料理がご主人の技術で洗練された高級料理に化ける。
そんな新たな発見を味わえる点も同店の魅力かも知れません。

『美味しんぼ』15巻で紹介されていたトリュフソースを掛けた半熟玉子。
それを奥久慈卵と香茸餡で再現したのであろう料理を挟んで〆の食事へ。
茨城県を代表する特産品である納豆もおかずに出てきたのですが、
フワフワに溶いた卵黄、シャキシャキの葱、トロリやわらかな納豆。
絶妙なバランスで組み合わせておりプロの技に唸りました。

2022年はネット予約サイトOMAKASEを駆使して(半年でレベル150まで上がりました)、
京都のおまかせ50,000円の食べログ超高評価和食店など試してみましたが、
(しかも日を選べないから蜻蛉返りで観光もできず交通費合わせた負担額80,000円)
半値未満の同店のほうが筆者の満足度は遙かに高いです。

  • 2022.11 薄蒸し帆立餡

  • 2022.11 前菜

  • 2022.11 お椀(蓮根蒸し、つくば鶏、福王椎茸、木耳、九条葱)

  • 2022.11 宮城産穴子焼〆

  • 2022.11 舞鶴産鰆藁焼き

  • 2022.11 常磐沖産あんこう友酢

  • 2022.11 常磐沖産あんこう友酢

  • 2022.11 福島産天然トラフグ炭焼き(カマ、とうとうみ)

  • 2022.11 にしん 賀茂茄子

  • 2022.11 朴葉焼き(千葉大多喜産猪、舞茸、小芋、白髪葱、柚子)

  • 2022.11 奥久慈半熟玉子 香茸餡

  • 2022.11 食事

  • 2022.11 納豆

  • 2022.11 大子町豊田りんご園 幻の林檎「高徳」(と手前は「はるか」)

  • 2022.11 メニュー

2022/11/29 更新

7回目

2022/10 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★4.7】通う面白さ【2169-7】

1,660文字★

東京から茨城県に来ております。

いつの間にか食べログのスコアが上がってしまった同店(3.82)ですが、
今のところ訪れる度にメニューがガラリと変わって面白いです。
ハイスコア予約困難店はどうしてもメニューが固定されてしまって、
(冒険し辛かったり、2回転3回転と忙しかったり、メニュー開発が難しくなるのでしょう)
何度も通うと飽きてしまうのですが同店は訪れる度に新たな発見があります。

神無月御献立

01.三菊博多押し(春菊、菊花、もって菊、紅ずわい蟹、とんぶり、ゼリー酢)
02.前菜
02-1.白菜煮浸し
02-2.あけび味噌
02-3.ゆで落花生
02-4.鴨生ハム
02-5.あみ茸みぞれ和え
03.常陸牛テールと天然茸のお椀
04.お造り
04-1.北海道産秋刀魚
04-2.常磐沖産平目エンガワ昆布〆
04-3.北海道羅臼産鰤
05.那珂川産天然子持ち鮎
06.合鴨肩肉炭燒
07.皇室献上品 笠間市田村きのこ園 福王しいたけ炭焼
08-1.合鴨レバー春巻き
08-2.みつ芋天ぷら
09.白子温寿司
10.栗のブリュレ

博多帯に見立てた先付はフレンチのテリーヌのような美しさ。
キャヴィアではなく畑のキャヴィア(とんぶり)を使用しており、
底のクリーミーなソースは黄身酢(例えて言えばマヨネーズ)。

あみ茸、あけび、野菜は地物だそうで、鴨(合鴨)は西崎ファームのかすみ鴨。
筆者が通っている中華料理店のご主人が西崎ファームまで見学に行くも、
需要過多で肉を仕入れようと思っても1年待ちと言われたという人気食材。
カラスミの手法で作った自家製鴨生ハムはまた食べたいとリクエストした逸品。
それ以外は全て新登場の料理となります。

前菜で唸ったのは秋ならではあけび(果肉ではなくて皮がメイン)。
かなり苦味の強い食材ですが濃厚クリーミーな味噌との組み合わせが上手いです。
長野県の柚木元(4.47)でも前菜にあけび料理が出てきましたが、
コッテリ嗜好なので同店のほうが好みな味わいでした。

テールのお椀には、香茸、大黒本しめじ、舞茸、信州産松茸入り。
地物要素は無いですが丸々と肥えた秋刀魚(さんま)の脂ノリ良し。
地物の大きな鮃は大味だったそうですが、唯一の美味しい部分というエンガワだけを昆布〆。

そういえば穴子も高級レストランは忌避するような大穴子を上手く調理していましたが、
独自路線を走るお造りの美味しさが同店の特長の1つと思います。
(エンガワも穴子も脂ノリノリなので筆者の好みと合うのです。)

西日本の鮎に比べると評価の芳しくない関東の鮎。
フレンチで食べた県北久慈川の天然鮎は肝の苦味強かったですが本日の那珂川産も苦味強め。
やはり食べログGOLD柳家で食べた和良鮎の子持ち鮎、
食べログSILVER美加登家で食べた高津川の子持ち鮎のほうが素材は良いと思います。

しかし腹を割いて取り出した肝を腹にくっつけて、切り離した中骨と頭だけカリカリに焼く、
火入れの技法は独特で面白かったです。
かつて那珂川沿いの簗を巡っても出てきたのは養殖鮎ばかりでした。
那珂川の天然鮎を食べられたのは貴重な体験。

そして最初にメニューを見て(同店は予告先発スタイル)気になっていたレバー春巻き。
合鴨のレバーをペースト状にして、皮で包んで揚げているようです。
フレンチやビストロでもレバーペーストを揚げる調理を見たことないです。
まさか和食店でフレンチと中華の融合のような料理に出会うとは思いませんでした。

7月にトウモロコシの春巻きを食べたときもそうでしたが、
薄い皮で巻いて中の食材を活かすような揚げ方が本職の中華料理店より上手い同店。
筆者が通っている中華料理店のご主人が悔しがりそうな逸品でした。

もう1つメニューを見て気になった温寿司(ぬくずし)は、
湯引きした雲子(真鱈の白子)を酢飯に乗せて餡掛けに。
走りの雲子はまだ旨味が弱いので、出汁で旨味を補完する調理法に合理性を感じました。

  • 2022.10 三菊博多押し(春菊、菊花、もって菊、紅ずわい蟹、とんぶり、ゼリー酢)

  • 2022.10 前菜

  • 2022.10 常陸牛テールと天然茸のお椀

  • 2022.10 北海道産秋刀魚

  • 2022.10 常磐沖産平目エンガワ昆布〆

  • 2022.10 北海道羅臼産鰤

  • 2022.10 那珂川産天然子持ち鮎

  • 2022.10 合鴨肩肉炭燒

  • 2022.10 皇室献上品 笠間市田村きのこ園 福王しいたけ炭焼

  • 2022.10 合鴨レバー春巻き

  • 2022.10 みつ芋天ぷら

  • 2022.10 白子温寿司

  • 2022.10 栗のブリュレ

  • 2022.10 メニュー

2022/11/02 更新

6回目

2022/10 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★4.7】松茸より鳴門の鯛より【2169-6】

1,513文字★

東京から茨城県に来ております。

10月の和食は松茸が主役となります。
茨城県で松茸は採れないそうで同店(3.68)は軽井沢からの直送で仕入れ。
ちなみに舞茸、しめじ、香茸、ほうき茸など、地元で採れた天然キノコも使っていました。

信州の松茸に加えて鳴門の鯛(明石の鯛と泳いでいる海は同じでしょう)といった、
ブランド食材も出てきたのですが筆者が唸ったのは野菜の美味しさ。
8月に食べて再食リクエストした「ずんだ和え」、及び茸味噌で味わう「賀茂茄子」に舌鼓。

10月になると地物の枝豆は終わり新潟県から仕入れるとおっしゃっていましたが、
枝豆の火入れの上手さ、出汁の旨味を吸った椎茸、赤蒟蒻、生麩との組み合わせの妙味、
相変わらず素晴らしくて「大穴子の焼き霜」に並ぶ同店のスペシャリテと勝手に思っています。

そして地物の天然舞茸、天然しめじ、鶏挽き肉、白湯スープで旨味の塊と化した茸味噌。
地物の賀茂茄子(京野菜ですが茨城県でも栽培しています)と合わせれば、
これもまた組み合わせの妙味を感じられて賀茂茄子が昇華していました。
過去に同店で何度か茄子を食べていますが今回が白眉という感想。

神無月御献立

1.前菜
1-1.ずんだ和え
1-2.身巻き唐墨
1-3.蛤葱ぬた
1-4.鯉南蛮漬
2.土瓶蒸し(信州産松茸、三つ葉、柚子)
3.お造り
3-1.鳴門産真鯛
3-2.墨烏賊
3-3.銚子産かます焼き霜
4.羅臼産鰤塩焼 染卸し 酢橘
5.茄子茸味噌田楽
6.蕪スープ煮
7.常陸牛サーロインすき焼 信州産松茸 奥久慈卵
8.茸雑炊 香の物(白菜浅漬け)
9.南瓜プリン

ずんだ和えの美味しさは前述の通りですが、同席者の1人は唐墨をベタ褒めしていました。
味醂を使用することで甘めな味わいに仕上げた唐墨に烏賊の刺身を巻いています。
いずれもネットリした食感ですし味醂の甘みが烏賊の甘みを引き立てるのかも知れません。
和食は「引き算の料理」と言われますが同店は組み合わせの上手さが光ります。

お椀代わりの土瓶蒸し、吸い地は利尻昆布、メジ節、鯉のアラ、だそうで濃厚な味わい。
同席者の1人は吸い地が濃厚なので松茸の香りが分かり辛くなると申しておりましたが、
個人的には薄味淡麗な吸い地を苦手とするのでこういう濃厚系のほうが好み。

お支払い40,000円を超える神楽坂の某高級和食で食べてガッカリした梭子魚(かます)。
7月に棒寿司で食べて美味しかったので「焼き霜」を再食リクエストしたのですが、
他店で食べる梭子魚は水っぽいことが多いのに対して同店はネットリした身質で美味しい。
2022年に食べた梭子魚では、焼津市のサスエ前田魚店から仕入れる、
静岡市の日本料理FUJI(4.12)がNo.1と思いましたがそれに次ぐレベルの高さ。

塩焼きの鰤は骨の無い腹の部分だけを使用しておりパサつきません。
スープ煮の蕪は、利尻昆布とクエ出汁のスープとのご説明。
ご主人のポリシーとして鰹節を使うと食材が見えなくなるので昆布のほうを活用。
天然の香茸やほうき茸などが入った雑炊はすっぽん出汁でした。

そしてご主人が邪道と自認しながらも美味しいからと出してきた松茸すき焼き。
個室にカセットコンロを設置してご主人自らレアーに火入れ。
サーロインを松茸に巻いて濃厚なタレと濃厚な卵黄で味わいます。

地域密着型の同店はお弁当の販売も行っており、売れ筋商品がすき焼き弁当とのこと。
うなぎ屋のようにタレを使い回しており常陸牛の油脂と旨味が最初から溶け込んでいるのです。
濃厚なタレと軽やかで香り高い松茸との相性の良さが鉄板でした。

  • 2022.10 前菜

  • 2022.10 土瓶蒸し(信州産松茸、三つ葉、柚子)

  • 2022.10 鳴門産真鯛、墨烏賊

  • 2022.10 銚子産かます焼き霜

  • 2022.10 羅臼産鰤塩焼 染卸し 酢橘

  • 2022.10 茄子茸味噌田楽

  • 2022.10 蕪スープ煮

  • 2022.10 常陸牛サーロインすき焼 信州産松茸 奥久慈卵

  • 2022.10 茸雑炊

  • 2022.10 南瓜プリン

  • 2022.10 メニュー

2022/10/05 更新

5回目

2022/09 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★4.7】King of Conger【2169-5】

1,851文字★

東京から茨城県に来ております。

6月に食べたアナコンダ級という大穴子が美味しかったのでリクエストして再訪。
ご主人曰く旬は夏とのことですが前回を凌駕する凄まじい美味しさで5.0満点。
ブリブリ肉厚ながら口当たり軽やかで旨味が爆発、宮城産の約800gという大穴子。

食べログGOLDペレグリーノ(4.59)は骨が大きくなり過ぎるという理由で300g以上は使わず、
200g~240gと仲買人に指定して穴子を仕入れているとおっしゃっていましたが、
個人的には800gサイズのこの大穴子のほうが圧倒的に美味しいと思いました。

ちなみに都内では京味系くろぎ出身の森ふじ(3.86)が同じく大穴子を扱っています。
福島県福島市の穴子料理専門店、森ふじ(3.56)をお父様が営んでおり、
ご実家での経験から太平洋側で獲れる大穴子の美味しさをご存知のようです。

森ふじで1回、同店で2回食べただけなので、果たして比較して良いものか分かりませんが、
とりあえず計3回食べた経験から申し上げると同店(3.17)で食べたほうが美味しかったです。
焼き霜の火入れの上手さでも同店は光ります(8月に食べた焼き霜の太刀魚も絶品でした)。

この大きさなので骨切り必須と思いますが、ご主人曰く鱧の骨切りよりは楽だそうで、
鱧の骨切りのほうが3倍大変とおっしゃっていました。
ウツボは逆に鱧より骨切りが遙かに大変と都内某店で聞いたことがあります。
分類上は同じウナギ目の「長い魚」でも魚種によって骨の硬さが異なるのは興味深いところ。

そして長い魚の中で最も美味しいと評される最上位種が天然うなぎと思いますが、
同店で食べた大穴子の美味しさは天然うなぎすら凌駕していました。
ちなみに同じ週に大阪の鮨三心(4.25)で球磨川(熊本県)産の天然うなぎを食べています。

鮨三心は熊本出身のご主人が熊本の食材を多用、そして鮨職人とは思えぬ火入れの上手さ。
おそらく炭火で一気に焼き上げたのでしょうブリブリ感を残す白焼きでしたが、
ブリブリ系として最も有名な瀬戸市の田代(4.21)より好みな火入れとなっており非凡。
数値化すると鮨三心の天然うなぎも評価4.5といった素晴らしさだったのですが、
それを更に凌駕した大穴子の5.0満点はそれだけ異次元な美味しさだったということです。

長月御献立

1.春菊煮浸し しめじ えのき 油揚げ
2.前菜
2-1.雷瓜 クラゲ 胡麻酢和え
2-2.栗 柿 白和え
2-3.鯖棒寿司
2-4.子持ち鮎甘露煮
2-5.衣かつぎ
2-6.茗荷酢漬け
2-7.とうもろこし味噌漬け
2-8.鴨生ハム
2-9.新銀杏
3.月とすっぽん(徳島吉野川産すっぽんと落花生豆腐のお椀)
4.お造り
4-1.霞ヶ浦産鯉の洗い
4-2.宮城産穴子
5.駿河湾産かます味噌幽庵焼 切り干し大根 杏子蜜煮
6.山口産甘鯛の信州産松茸包み揚げ
7.冬瓜薄蒸し毛蟹庵
8.食事
8-1.釜炊き御飯(茨城産コシヒカリ)、香の物(白菜)、あおさのお味噌汁
8-2.新いくら
8-3.塚原牧場梅山豚黒酢庵
9.茨城産いちじく田楽

9月(長月)といえば重陽の節句(菊の節句)や仲秋の名月ですが、
先付の春菊を月に見立てた器に盛り付けていました。
野菜の火入れも味付けも絶妙で先付の美味しさから別格。

そして鈴虫の籠で覆った前菜も季節感を演出しています。
鴨の生ハムはカラスミの要領で作ったという自家製。
アタリ(塩)が強いので賛否分かれるかも知れませんが新銀杏も美味しい。
同じ週に神戸の食べログSILVER植むら(4.41)でも新銀杏を食べましたが、
個人的には同店の尖った味付けのほうが好みに合います。

すっぽんの力強い旨味を楽しめるお椀は月に見立てた落花生豆腐入り。
トロッとやわらかな落花生豆腐なので吸い地との親和性も高いと思います。
骨を抜いたすっぽんの肉やエンペラの美味しさは言わずもがな。

軽井沢の八島さんから直接送って貰っているという信州産の松茸。
こちらは仕込む時間なく甘鯛で巻いて揚げたとおっしゃっていましたが、
フワッと脂ノリの良い甘鯛の中で松茸の香りが立ち、組み合わせの妙味を感じられました。

〆のお食事には新いくらがこれでもかとドッサリ出てきて、
酢豚の黒酢といくらを合わせて白米に乗せたりと好きなように楽しんでいました。
アツアツの無花果(いちじく)に味噌の塩味を強烈に効かせた〆スイーツも挑戦的。

  • 2022.9 春菊煮浸し しめじ えのき 油揚げ

  • 2022.9 前菜

  • 2022.9 前菜

  • 2022.9 月とすっぽん(徳島吉野川産すっぽんと落花生豆腐のお椀)

  • 2022.9 霞ヶ浦産鯉の洗い

  • 2022.9 宮城産穴子

  • 2022.9 駿河湾産かます味噌幽庵焼 切り干し大根 杏子蜜煮

  • 2022.9 山口産甘鯛の信州産松茸包み揚げ

  • 2022.9 冬瓜薄蒸し毛蟹庵

  • 2022.9 新いくら、香の物(白菜)

  • 2022.9 あおさのお味噌汁

  • 2022.9 塚原牧場梅山豚黒酢庵

  • 2022.9 茨城産いちじく田楽

  • 2022.9 メニュー

2022/10/03 更新

4回目

2022/08 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★4.7】霞ヶ浦の湖魚【2169-4】

1,550文字★

東京から茨城県に来ております。

2022年7月21日に霞ヶ浦と北浦で公魚(わかさぎ)漁が解禁となりました。
新子を丸ごと揚げた公魚、香ばしく揚げた身を椀種とした鯉(こい)、
フワッと火を入れた釜揚げ(つまり茹でただけで塩も何も加えない)白魚。

霞ヶ浦の湖魚を同店(3.17)ならではの調理法で堪能しておりました。
かつて茨城県の霞ヶ浦は滋賀県の琵琶湖に比べ魅力に乏しいと思っていましたが、
同店のおかげで霞ヶ浦の食材も美味しいのだと考えを改めています。
ご主人も湖魚が充実する夏が一番好きな季節とおっしゃっていました。

古い文献によれば鯛(真鯛)と並ぶ高級魚とされていた鯉。
現代に於いては小骨の多さが忌み嫌われるのかあまり食べる機会に恵まれません。
しかし同店で食べた鯉のお造りとお椀に関しては感動クラスの美味しさ。
霞ヶ浦で養殖しているようですが、下手な高級店で食べる天然真鯛を凌駕します。

葉月御献立

01.先付(朝採れ地物とうもろこしすり流し)
02.前菜
02-1.霞ヶ浦産釜揚げ白魚
02-2.おつな姫ずんだ和え
02-3.霞ヶ浦産公魚新子唐揚
03.お椀(霞ヶ浦産鯉、冬瓜、岩茸)
04.お造り
04-1.山口産甘鯛昆布〆
04-2.江戸前小柴産太刀魚焼霜
05.焼物
05-1.塚原牧場梅山豚肩ロース味噌焼
05-2.あしらい(杏子蜜煮、紫玉葱土佐酢漬け)
06.合肴(蔓紫煮浸し)
07.揚物(江戸崎南瓜、おくら)
08.箸休(蔓紫茎と木耳の芥子酢味噌和え)
09.強肴(大津港産黒鮑の肝ソース)
10.煮物(賀茂茄子煮卸し)
11.食事
11-1.鱧雑炊
11-2.鱧肝焼
12.甘味(くずきり)

地物の夏野菜や霞ヶ浦の湖魚も美味しいのですが意外なヒットだったのが「ずんだ和え」。
おつな姫という枝豆を潰して、椎茸旨煮、赤蒟蒻、粟麩に和えており、
組み合わせ方に絶妙なバランスを感じますしモザイク仕立てのテリーヌのように映えます。

都心の高級フレンチは原価の安そうな彩り野菜の盛り合わせを漫然と出してきて、
これでは皿数を稼ぎたいだけではないのかと怒りを覚えることが多いのですが、
同店のずんだ和えは火入れと組み合わせによって食材が昇華していました。
百名店に選ばれるような高級フレンチの野菜料理よりもセンスを感じます。

ご主人は都心のグランメゾンもかなり巡っているそうで、
先日はいわき市のHAGI(4.32)を再訪したとInstagramにアップされていました。
ちなみに本日の黒鮑(北茨城の大津港産)はHAGIの萩春朋シェフからのご紹介で仕入れたそう。

山口産の甘鯛は昆布〆にすることでネットリした食感に変質しており、
軽やかに揚げた鱗、本わさび、海苔醤油との組み合わせでも昇華していました。
レアー感を残す太刀魚の火入れはフレンチ顔負け。

トントロのように脂が乗った梅山豚の肩ロースも口の中で脂と旨味が爆発します。
梅山豚の脂身の美味しさは茨城県の誇りの1つでしょう。
さりげなく付け合わせの杏子(蜜煮)まで感動的に美味しい。

鱧雑炊には鱧子や浮き袋が入っており、別皿で大振りな肝まで出てきました。
まるで鶏の白レバーを思わせる脂ノリの良さで新たな発見。
同店を短期間で4回も訪れたのは、訪れる度にこういう発見があるからです。
都心の高級店はマニアックな食材にあまり手を出さないので再訪する気になれません。
(そもそも再訪したくても予約が取れなかったり同店の倍額ぐらいな高値です。)

デザートの「くずきり」は吉野葛など良質な葛粉から作ったホンモノだと思います。
官能的な食感と濃厚な黒蜜との組み合わせに唸りました。
同店で食べたデザートとしては過去最高。

  • 2022.8 朝採れ地物とうもろこしすり流し

  • 2022.8 前菜

  • 2022.8 おつな姫ずんだ和え

  • 2022.8 お椀(霞ヶ浦産鯉、冬瓜、岩茸)

  • 2022.8 山口産甘鯛昆布〆

  • 2022.8 江戸前小柴産太刀魚焼霜

  • 2022.8 塚原牧場梅山豚肩ロース味噌焼

  • 2022.8 杏子蜜煮、紫玉葱土佐酢漬け

  • 2022.8 蔓紫煮浸し

  • 2022.8 揚物(江戸崎南瓜、おくら)

  • 2022.8 蔓紫茎と木耳の芥子酢味噌和え

  • 2022.8 大津港産黒鮑の肝ソース

  • 2022.8 賀茂茄子煮卸し

  • 2022.8 鱧雑炊

  • 2022.8 鱧肝焼

  • 2022.8 くずきり

  • 2022.8 メニュー

2022/10/03 更新

3回目

2022/07 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★4.7】野菜に感動を覚える稀有な存在【2169-3】

1,040文字★

東京から茨城県に来ております。

塚原牧場の梅山豚(めいしゃんとん)、西崎ファームのかすみ鴨、日立港の伊勢海老、
いずれも茨城県が誇る地物食材で、準地物と言えそうな銚子の梭子魚(かます)、
ブランド産地の1つである淡路(瀬戸内海)の鱧も出てきたのですが、
火入れと胡麻ダレで昇華した蓮根や小芋のほうに感動を覚えるという稀有な存在。

文月御献立

01.先付(茨城県産フルーツトマトすり流し 蓴菜)
02.冷やし煮物(南瓜 トマト 蓮根 ズッキーニ 小芋 打ち茗荷 胡麻だれ)
03.沢煮椀(塚原牧場梅山豚角煮 牛蒡 えのき 木くらげ 人参 三つ葉 新玉葱 白髪葱)
04.お造り
04-1.淡路 鱧落とし
04-2.淡路 鱧炙り
05.凌ぎ(銚子 かます棒寿司)
06.焼物(日立港 伊勢海老香味焼)
07.揚げ物(もろこし春巻)
08.強肴(賀茂茄子炭焼)
09.止肴(西崎ファーム合鴨 ロース ササミ レバー ハツ)
10.食事(めかぶ雑炊 香の物)
11.甘味(冷やし汁粉)

夏野菜の美味しさが光ります。
蓴菜は小振りでしたが地物というフルーツトマトのすり流しが絶妙な美味しさ。
2品目の「冷やし煮物」が本日の白眉とも思った逸品で、
シャキッと硬い歯応えを残す蓮根、ネットリした小芋が、甘くて濃厚な胡麻ダレで昇華。
蕩ける食感になるまで炭火で焼き上げた8品目の賀茂茄子も素晴らしかったです。

鱧の落とし(湯引き)は梅醤油で、炙りは鱧子の塩辛(イメージとしてはたらこ)乗せ。
ブランド産地の淡路ですし骨切りや火入れも上手いのですが、
前月に食べたアナコンダ級の大穴子のほうが美味しいと思ってしまいました。
ブランド鱧より未知の大穴子のほうに魅力を感じてしまうのも同店の特長でしょう。

かます棒寿司は表面だけ炙って酢橘とおろし醤油を乗せているでしょうか。
高級店ではあまり見ない魚ですが食べログ4.00級の和食で食べた胡麻鯖棒寿司より美味しい。
筆者は強い酸味を好まないのでおろし醤油だけで(酢橘は無しで)十分なのですが、
そのまま棒で丸ごと貪りたいぐらいでした。

かすみ鴨のブランドで知られる西崎ファームの合鴨はレバーやハツまで出てきます。
鴨のフォアグラ(つまりレバー)がフレンチで珍重されているように内臓も美味しいのです。
むしろ肉より内臓のほうが美味しいかも知れません。
〆のめかぶ雑炊は冷やし雑炊となっており、香の物(味変アイテム)は海苔、山葵、白胡麻。

  • 2022.7 茨城県産フルーツトマトすり流し 蓴菜

  • 2022.7 冷やし煮物(南瓜 トマト 蓮根 ズッキーニ 小芋 打ち茗荷 胡麻だれ)

  • 2022.7 沢煮椀(塚原牧場梅山豚角煮 牛蒡 えのき 木くらげ 人参 三つ葉 新玉葱 白髪葱)

  • 2022.7 淡路 鱧落とし

  • 2022.7 淡路 鱧炙り

  • 2022.7 銚子 かます棒寿司

  • 2022.7 日立港 伊勢海老香味焼

  • 2022.7 もろこし春巻

  • 2022.7 賀茂茄子炭焼

  • 2022.7 西崎ファーム合鴨 ロース ササミ レバー ハツ

  • 2022.7 めかぶ雑炊

  • 2022.7 冷やし汁粉

  • 2022.7 メニュー

  • 2022.7 個室

2022/10/03 更新

2回目

2022/06 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★4.7】茨城に過ぎたるものが二つあり【2169-2】

2,872文字★

東京から茨城県に来ております。

OMAKASEの食べ手(レベル104)として、同じ週に、くろぎ(お支払い総額87,604円)、
わさ(51,370円)、ぬま田(27,100円)、CAINOYA(60,439円)、
といった食べログのスコア4.00級プレミアム店を巡ってみたのですが、
筆者が最も美味しいと思ったのは、お支払い総額21,296円と最も安かった同店(3.17)。

8代目となるご主人(木村英明氏)が厨房で1人腕を奮う老舗会席料理店。
元々は魚屋だったそうですが飲食店へと業態変更して7代目のときは寿司店として営業。
ご主人は東京や神奈川で和食を学んで寿司店から会席料理店に鞍替え。
先代からの流れで寿司も出していますが、ご主人の経歴の通り凄味を覚えるのは会席料理。

水無月御献立

1.前菜
1-1.鮑唐揚
1-2.鱧子塩辛
1-3.翡翠茄子
1-4.豚黒酢煮
1-5.万願寺じゃこ
1-6.小鯵南蛮漬
1-7.宝石トマト
1-8.新じゃが香味揚げ
2.お椀(ホウボウ、椎茸、つるむらさき、人参、白髪葱)
3.お造
3-1.霞ヶ浦 鯉
3-2.銚子 穴子
3-3.勝浦 鰹
4.焼物(大洗産目光一夜干し、青梅蜜煮、紫ブロッコリー酢漬け)
5.揚物(浜名湖産養殖すっぽん唐揚)
6.湯葉蒸し(鶏肉、木くらげ、海老、鼈甲餡)
7.食事(霞ヶ浦産天然鰻蒲焼き、常陸牛ブリスケ角煮、ご飯、あおさのお味噌汁、香の物)
8.絹羊羹

関東では山菜が終わってしまったので前菜で楽しめるのは夏野菜となりますが、
どれも火入れと味付けが絶妙で、じゃこと合わせた万願寺唐辛子すら美味しい。
CAINOYA(4.05)のガストロバック野菜より美味しいと思うのは筆者だけでしょうか。

塩味穏やかながらネットリした食感の鱧子は知る限り過去最高に美味しい鱧子。
ノンアルコールの同席者でも美味しいと楽しめる塩辛でした。
他店で食べたときは卵がもっとボソボソしているように思ったのですが不思議な食感。

そして意外なヒットだったのが酢豚(豚黒酢煮)。
豚バラ肉をカラッと揚げており、酸味穏やかな黒酢餡と抜群に合います。
わさ(4.06)で食べた中華料理より感動を覚えるのは筆者だけでしょうか。

お椀は揚げたホウボウを椀種にしているのですが吸い地との相性が良くて美味しいです。
京料理の流れを汲む和食店では夏の定番と言えば鱧ですが、
冬が旬と言われるホウボウを使って、鱧は卵しか使わないという組み立てが何とも面白いです。

もちろん面白いだけでなくてバッチリ美味しい。
個人的にはくろぎ(4.36)で食べたお椀(鱧の揚げ椀)より好みに合いました。
くろぎのご主人は甘味処も経営しており、カキ氷指導のため本店への到着が遅れて、
お椀は6人のお弟子さんたちが作っていたという事情もあったりします。
同店はご主人1人で調理しているので「料理人の顔が見える」部分が大きいです。

お造り3連発の第1弾は「茨城至宝のレストラン」受賞ページで紹介された「鯉の洗い」。
霞ヶ浦で養殖している鯉を、捌く2週間前に発注して井戸水で泥を吐かせ、
お客さんの到着後に活けの状態から捌いているとのことで鮮度抜群。

「洗い」と言っても火を入れず生なので身が活かっておりコリコリした食感が良いです。
川魚特有の嫌な臭みや癖は無いですし、湯引きした皮や揚げた鱗まで美味しい。
マイベスト鯉は食べログGOLDの比良山荘(4.51)なのですが、
東日本の霞ヶ浦で育てた鯉でここまで感動を覚えるとは予想外でした。

湖の食材力としては霞ヶ浦より琵琶湖のほうが圧倒的に上だと思っていますし、
そもそも川魚は東日本より西日本で食べるほうが美味しいイメージでした。
探せば霞ヶ浦にも美味しい食材は隠れているのだと驚嘆。

お造り第2弾の穴子もまた凄まじかったです。
太平洋に面する銚子で獲れた、アナコンダ級の大穴子を焼き霜(皮だけ炙って身は生)に。
穴子のブランド産地は対馬や江戸前の羽田沖(太平洋より東京湾のイメージ)。
そもそも今の時期の穴子は脂ノリ悪く40,000円の高級鮨店で食べても美味しくないのですが、
身が蕩けるぐらいメチャクチャ脂ノリ良くて旨味も強く衝撃を受けました。

80,000円コースのくろぎでは済州島産の鱧をタタキにしており、
ちなみに韓国産の鱧は日本産の何倍も高値で取り引きされるブランド高級食材なのですが、
遅れて到着した黒木純氏自ら骨切りしていたのに、何故かそれより美味しい同店の大穴子。

過去に穴子をお刺身で食べたときは、エンガワのように脂とコリコリした食感は楽しめるも、
あくまで食感を楽しむ調理法であって旨味には乏しいという印象でした。
今回は脂ノリの悪い時期に煮たり焼いたりしないので脂の流出を防げて、
皮目だけでも炙ることで旨味が熱によって活性化したのでしょうか。

とりあえず過去に何度か食べた穴子のお刺身の中で圧倒的にNo.1な美味しさでした。
ぬま田(3.93)で食べた穴子の天ぷらを遙かに凌駕しており、
穴子料理として同レベルに美味しいのは冬に高級鮨店で食べる握りぐらい。

土浦から距離的に近い銚子ということで鮮度の良さという地の利もあったのかも知れません。
お造り第3弾の鰹は(熟成させた旨味というよりも)モチモチした食感を楽しめて、
福島県や静岡県で食べた近海日戻り漁の鰹を思い出しました。

また素材や火入れだけでなく味付けにもセンスを感じる同店。
鯉の洗いには酢味噌と大蒜醤油、穴子はデフォルトで塩味、鰹は塩タタキにして薬味に芥子。
まず酢味噌だけを舐めても味噌の旨味と穏やかな酸味を楽しめて美味しいですし、
高級店では禁忌とされる大蒜を出してくる姿勢にも好感を持てます。
都心の高級店は浅葱や生姜で代用しますが本物の大蒜のほうが絶対に美味しいと思います。
(もちろん臭くなるので嫌がる人が多いのは分かります。)

同じく地の利を活かしたのであろうメヒカリ、一夜干しにしていますが臭みなど無くて、
付け合わせの青梅や紫ブロッコリーすら美味しい。
すっぽんだけは80,000円コースのくろぎのほうが圧倒的でしたが、
鼈甲餡で味わう湯葉蒸しの美味しさに関しては同店に軍配を上げたいです。

2ヶ月前に訪れた前回と唯一被った食材の天然鰻ですが今回は白焼きではなく蒲焼きに。
〆のお食事を握りではなく季節のご飯(今回は蒲焼きご飯)に変えることも可能。
前回は固め過ぎでイマイチに思った甘味の杏仁豆腐ですが、
今回はギリギリぐらいに緩く固めた絹羊羹が出てきて流石でした。
ご主人1人で調理する個人店でカスタマイズ能力も高そうです。

茨城には今のところ筆者が日本No.1レストランと評しているオオツ(4.15)が在るのですが、
「茨城に過ぎたるものが二つあり和のよし町と洋のオオツ」
などと表現したくなるぐらい両店とも美味しくて、都心に比べれば圧倒的にお値打ちです。

  • 2022.6 前菜

  • 2022.6 お椀(ホウボウ、椎茸、つるむらさき、人参、白髪葱)

  • 2022.6 霞ヶ浦 鯉

  • 2022.6 銚子 穴子

  • 2022.6 勝浦 鰹

  • 2022.6 大洗産目光一夜干し、青梅蜜煮、紫ブロッコリー酢漬け

  • 2022.6 浜名湖産養殖すっぽん唐揚

  • 2022.6 湯葉蒸し(鶏肉、木くらげ、海老、鼈甲餡)

  • 2022.6 霞ヶ浦産天然鰻蒲焼き

  • 2022.6 霞ヶ浦産天然鰻蒲焼き、ご飯、あおさのお味噌汁、香の物

  • 2022.6 常陸牛ブリスケ角煮

  • 2022.6 絹羊羹

  • 2022.6 メニュー

2022/10/03 更新

1回目

2022/04 訪問

  • 昼の点数:4.4

    • [ 料理・味4.4
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

【★4.4】火入れに凄味を覚えた茨城至宝のテロワール割烹【2169】

2,911文字★

雪(2汁7菜 18,150円、税サ込)滞在時間:約2時間10分

東京から茨城県に来ております。

2020年実施の第1回「茨城至宝のレストラン2021」で三つ星に輝いた同店(3.13)。
宴会や法事にも適している大箱で、2,000円前後からお手頃に楽しめる田舎の割烹。
そんな側面もあって食べログのスコア低調ですが真の実力は都心の高級店を凌駕します。

前日にOMAKASE(ネット予約サイト)経由で食べログ4.00を超える和食に訪れたのですが、
テロワールを活かす同店のほうが安いうえに美味しくて驚愕。
大洗の白魚、女化(おなばけ)の筍、霞ヶ浦の天然鰻、鹿嶋の蛤、常陸牛のシャトーブリアン。
いずれも地物の食材を圧倒的な火入れの良さで調理しており感動を覚えました。

近くの駐車場(分かりにくいですが2ヶ所あります)に車を置いてお店へ。
階段を上った先の2階の個室に案内されました。
3名でお邪魔したのですが8名は入れそうな広々とした和室(椅子席です)。
個室専用の洋式トイレまで隣に用意されており都心の狭苦しい高級和食とは別世界。

茨城県 白菊酒造 白菊 純米(1合 1,089円)
茨城県 岡部酒造 松盛 純米吟醸(1合 1,452円)
茨城県 岡部酒造 松盛 純米大吟醸(1合 1,815円)

雪(2汁7菜 18,150円)卯月御献立

1.先付(大洗産白魚唐揚)
2.前菜
2-1.木の芽和え
2-2.ウド金平
2-3.菜花葱ソース和え
2-4.ホタルイカ酢味噌和え
2-5.霞ヶ浦産わかさぎ南蛮漬
2-6.鳴門産鯛子旨煮
2-7.こごみ胡麻和え
3.お椀(女化産筍 若布 木の芽)
4.お造(赤貝 平貝 鰆 妻色々)
5.焼物(霞ヶ浦産天然鰻白焼 山葵)
6.箸休(鹿嶋産蛤とうるいの酢浸し)
7.主菜(常陸牛シャトーブリアン炭焼 菜花ソテー クレソン)
8.食事 江戸前寿司(本鮪中トロ 小肌 墨烏賊 平目)
9.甘味(桜の杏仁豆腐)

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点、表示価格は税サ込です

【4.2】大洗産白魚唐揚

衣は天ぷらと唐揚げの中間ぐらいなイメージ。
フワッと軽やかに揚げた白魚に油脂の旨味もプラスされており鮮烈な美味しさ。

【4.7】前菜

地物の山菜を適度に歯応え残す火入れで調理。
それぞれの食材ごとに味付けを変えてあり、しかも繊細かつ洗練された味わいで唸りました。
野菜の火入れに感銘を受けたのは京都の魚津屋(3.95)以来。

わかさぎは地物ですが鯛子は鳴門でホタルイカは北陸。
真鯛はどう考えても茨城沖より瀬戸内海東側のほうが良質でしょう。
テロワールに過度にこだわらない姿勢にも好感を持てます。

(筍とイカの)木の芽和えにはサクサクした「あられ」を加えているのですが、
それによって食感に妙味が生まれているのも素晴らしかったです。
「茨城至宝のレストラン」三つ星は伊達じゃないということでしょう。
レビュー件数が増えないとスコアの上がらない食べログの限界を感じました。
(スコア3.13ですが都心で件数が多いだけのハイスコア和食より全然美味しい。)

【4.5】お椀

前日お昼に掘ったという女化(おなばけ)の筍をメッチャ厚切りカットで椀種に。
2022年の春に食べた筍のマイベストは北九州現地で食べた朝掘り合馬産ですが、
(ちなみに合馬産は豊洲市場に於いて京都の塚原や物集女以上とも評されています)
女化の筍も甘みと旨味が強くて抜群に美味しい。
こういうノーブランドながら美味しい地物に出会えるのが旅の醍醐味。

メッチャ厚切りながら軽やかな歯応えとなっており下処理が上手いのでしょう。
そして吸い地の一番出汁も複雑玄妙で都心の高級和食と遜色なし。
同じ月に長野県茅野市の無名(4.07)で長野県飯田産筍のお椀を食べたのですが、
筆者は圧倒的に同店(3.13)のお椀のほうが好みです。

【4.0】お造

地物ではないと思いますが過度にテロワールにこだわらないのが同店の良いところ。
茨城県の貝で全国クラスに美味しいと思うのは蛤、岩牡蠣、鮑ぐらい。
その蛤は後述するように地物を使っており好判断。

田舎の割烹を訪れると刺し盛りにマグロやサーモンを入れてくる駄店が多いですが、
赤貝、平貝、鰆(さわら)というチョイスに料理人のセンスを感じました。
マグロやサーモンが決して嫌いというわけではなくて、
超高級店が本鮪や鮭児を扱うのでそれを出しても絶対に勝てないのです。
(お支払い4万円を超えた食べログSILVER鮨店のキングサーモンは仕入れ値1尾30万円。)

赤貝が大振りで美味しくて軽く炭で炙ったのであろう平貝の火入れも良し。
わさびは本物を使っているのではないでしょうか。
鰆は別皿での提供となって、レアーに火を入れ甘めなタレと芥子で味付け。
食べログで評価の高い某店がパサつくまで鰆に火を入れたのとは対照的。
やはり同店の料理人は火入れセンスが抜群です。

【4.1】霞ヶ浦天然鰻白焼

霞ヶ浦の漁師さんから直接仕入れているとのこと。
豊洲市場にも入ってくる霞ヶ浦産の天然鰻ですがおそらく市場経由で購入すると超高級品。
この料金設定で天然鰻を楽しむには相対取引という地の利が必要となるのです。

皮をパリパリッと(おそらく地焼きで)焼き上げてあり天然鰻の特性を活かしています。
プリッとした歯応えを残す身はもう少しフワッとさせるほうが好みですが、
うなぎ百名店で白焼きを食べても同店以上に美味しいことは少ないでしょう。

【4.3】鹿嶋産蛤とうるいの酢浸し

食べログGOLDの鮨店が煮蛤に鹿嶋産を使っていたように茨城県の蛤はブランド。
(特に今年は九十九里の蛤がイマイチなようです。)
そして食べログGOLDの蛤より遙かに大振りサイズなのは地元の特権でしょうか。

レアー感を残す火入れでウルイと酢浸し(酢の物)にしてあって美味しい。
飲んでも酸味の尖らないまろやかな味付けが高級和食仕様。
火入れと味付けと地の利で食べログGOLDを凌駕する美味しさに。

【3.9】常陸牛シャトーブリアン炭焼 菜花ソテー クレソン

フレンチの火入れには負けますがレアーなシャトーブリアンが十分に美味しい。
滑らかな赤身肉で脂肪は少ないので、そのまま下味で食べても良いですし、
粗く刻んだ大根と玉葱の入ったポン酢でサッパリとさせても乙な味わい。
シャキシャキ食感を残す付け合わせの菜花がさりげなくハイレベル。

【3.5】江戸前寿司

本鮪中トロ、小肌、墨烏賊、平目の握りですが和食に比べると握りのレベルは数段落ちます。
都内で主流となっている硬めな酢飯に比べるとやわらかくて好みと外れますし、
タネも高級鮨店とモロに被るので厳しい戦いとなりました。

【3.3】桜の杏仁豆腐

杏仁豆腐に桜のジュレを乗せているのですが豆腐をしっかり固めてあります。
これに関してはもっと濃厚で蕩けるように仕上げるほうが筆者好み。
終盤だけ失速して評価4.5には届かなかったのですが握りとスイーツは専門外とも言えます。

  • 2022.4 大洗産白魚唐揚

  • 2022.4 前菜

  • 2022.4 お椀(女化産筍 若布 木の芽)

  • 2022.4 赤貝と平貝

  • 2022.4 鰆

  • 2022.4 霞ヶ浦産天然鰻白焼

  • 2022.4 鹿嶋産蛤とうるいの酢浸し

  • 2022.4 常陸牛シャトーブリアン炭焼 菜花ソテー クレソン

  • 2022.4 常陸牛シャトーブリアン炭焼

  • 2022.4 江戸前寿司(墨烏賊、本鮪中トロ、平目、小肌)

  • 2022.4 桜の杏仁豆腐

  • 2022.4 メニュー

  • 2022.4 個室

2022/06/26 更新

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