辣油は飲み物さんが投稿した魚菜料理 縄屋(京都/峰山)の口コミ詳細

美食との出会いこそ、生きる喜び

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魚菜料理 縄屋峰山/日本料理

3

  • 夜の点数:4.4

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.4
      • |サービス 3.5
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.0
  • 昼の点数:4.5

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.5
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.2
      • |CP 4.3
      • |酒・ドリンク 4.0
3回目

2021/02 訪問

  • 昼の点数:4.5

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.2
    • | CP4.3
    • | 酒・ドリンク-
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

すしログ:遠方からでも何度も足を運びたくなる名店!京都府京丹後の縄屋

京都市内から120km離れている京丹後にあって、全国から食通を集める名店、縄屋さん。
僕は2015年4月に初めて伺った時に魅了され、5回ほど足を運んでいます。
縄屋さんはコロナ下の2020年7月にリニューアルを行われ、「薪料理の日本料理店」に生まれ変わりました。
訪問した結論としては、内容が以前からガラリと変わっていて、意表を突かれました。

魚菜料理縄屋とは?吉岡幸宣さんの魅力
縄屋さんのある京丹後は上述の通り京都市内から120km離れていて、車で2時間、電車で3時間半の場所です。
ご主人の吉岡幸宣さんは仕出し業を営むご家庭に生まれ、大阪と京都で修業されました。
名店「和久傳(わくでん)」で6年間腕を磨かれた後、地元の京丹後に「魚菜(さかな)料理縄屋」を2006年にオープン。
つまり、僕が初めてお伺いした時で既に9年が経過していたわけですが、足を運ぶ度に良い意味で期待を裏切られるので、毎回惚れ直します。
ただ、今回は仕事の精度だけでなくスタイルも変えられていたので、好きになる前にちょっとした戸惑いを感じました。
しかし、帰りの車中で反芻する内に矢張り好きになっている自分を見つけました。
 
吉岡さんの御料理は、もともと派手でも豪華でもありません。
しかし、美しく、どんな派手な料理よりも印象深い。
食材の持ち味を引き出しながら、他の料理人が出せない風味の組み合わせや食感を生み出す御料理です。
 
主な調理の特徴としては、極めて独自性の高い火入れや野菜出汁の使用、食材の食感の工夫など。
そして、自家製の調味料を組み合わせることで、唯一無二の御料理とコースが編み出されます。
縄屋さんの御料理は、東京で主流の日本料理とは真逆であり、高級食材を多用しなくても成立しています。
むしろ、それ以上の魅力を与えてくれる御料理で、心と胃袋に染み渡るとともに、土地の魅力を伝えてくれます。
 
東京で主流の日本料理のような、牛肉に海胆、卵料理や椀ものにトリュフ、蟹や帆立にキャヴィアと言った組み合わせは、分かりやすい足し算でしかありません。
甘みや脂分の掛け算や、香りのドーピングを使えば、誰しもが「旨い」と錯覚する「濃厚な味・香り」になります。
しかし、料理としての奥行きは浅い。
結果的に、そのような料理は料理人の調理哲学が浅薄である事を露呈します。
 
反対に、吉岡さんの御料理は、使用する食材の一番の美点に着目し、その美点を引き立てるために味、食感、香りを組み立てられています。
創作性が高いのに抑制されていて、抜群のバランス感覚です。
個人的に、このような引き算の美学を敷衍した御料理こそが、最先端の日本料理なのではないか?と感じます。
西洋料理は足し算を行う料理なので、西洋的なモダンガストロノミーを採り入れる日本料理だけを「最先端」と礼賛する行為は、日本料理の本質を見逃す浅い分析なのではないでしょうか。
 
縄屋さんのスペシャリテと薪火日本料理店としての今後
初めてお伺いした時から今までスペシャリテであり続ける御料理は【こなれ鮓(ずし)】です。

これは発酵させていない酢飯をお粥状にしたもの。
魚に添えられるソース的な存在で、穏やかな酸味、お米の甘みと香りが魚を引き立ててくれます。
鮨職人でない人間が鮨を握るのは、はばかられる…と言うお気持ちから生まれたそうです。
以前「試行錯誤して生み出した」と仰っておりましたが、その甲斐あって、一見すると素朴ながら一口で記憶に残る味わいの新たなスシに昇華されています。
【こなれ鮓(ずし)】の発想自体がユニークであるだけでなく、魚の魅力も巧みであるからこそ美味しいスペシャリテ。
見た目は握り鮨ではありませんが、握り鮨も酢飯と魚の仕事が調和して完成形となるので、料理の設計自体は握り鮨と同様です。
 
そして、もう一つ着目すべきは、魚の火入れです。

吉岡さんのそれは「火入れが巧み」と言うレヴェルではなく、もはや「独自の火入れ」です。

日本料理の若狭焼、中国料理の脆皮のような「皮のパリパリ食感としっとりした身のコントラスト」に留まらず、身にも食感のグラデーションがあります。
その結果、一皿で食感の多様性と火入れの違いによる味の変化を度々楽しませてくれます。
中心部はレアに仕上げられ、食感は艶かしくも旨味が活性化されていて、調理技術で新しい料理を生み出されている事に驚嘆します。
 
新たに薪料理のお店に改装すると伺った時は、真っ先にこの魚の火入れが浮かびました。
以前はスチームコンベクションオーブン(ラショナル製)と炭火による火入れでしたが、薪火でどう変わるのか?
大変興味深く訪問したところ、更に堂に入っていました。
スチコンを使用されているかは伺いませんでしたが、かつての火入れと酷似しているので、恐らく使用されているのだと思います。
 
さて、改装後のお店はオープンキッチンのカウンター中心で、奥に薪が燃えています。

以前の奥まった個室風のカウンター席とは趣が異なり、開放感がアップしました。
「薪料理」と聞くと、スペインのアサドール・エチェバリ、日本だと神戸のbb9(ベベック)が頭に浮かびます。
しかし、日本料理で薪火とは、非常に珍しい。
その理由は、伝統的な炭火の方が火力が高いところで安定するためでしょう。
吉岡さんが薪火を用いてどのような表現をされるのか…
今後も目が離せない京丹後の名店だと再認識しました。
 
縄屋さんのコースの詳細
コース価格については現在、6,000円と12,000円の2本になっています(+税サ)。
野菜は自家菜園と地元の有機農家のものを使用し、魚は京丹後の地魚と全国の名生産者(逗子の長谷川大樹さんなど)から仕入れておられます。
調味料は京丹後のものを多用され、お酢については宮津の飯尾醸造さんのものです。

薪火日本料理店となって初めての訪問は、以下の内容でした。12,000円のコースです。
最初の火で炊いたご飯
海鼠の茶碗蒸し
お造り:ヒラメ、鯵、甘海老
椀:鮑、蕗の薹餅、菜の花、白味噌仕立て
九絵(クエ)の焼きもの
鰯のこなれ鮓
猪の背脂、自家菜園の野菜の薪火焼き
猪の赤身、きんぴらゴボウのソース
黒大豆と毛蟹のお粥
黒文字のアイス、焼き芋ソース

紅芋酢ソーダ250円
飯尾醸造さんの紅芋酢を用いたソーダ。
 
最初の火で炊いたご飯

お米と水の美味しさを伝えてくれる一品目でスタート。 

海鼠の茶碗蒸し

京丹後で旬の海鼠(ナマコ)を用いた茶碗蒸し。これが感動的な味わい。
海鼠は非常に柔らかく、トゥルン!と舌の上で踊り、ぷちりと千切れる。
磯らしい海鼠の香りを楽しませながら。
卵の香りも強く、滑らかで一体感の高い茶碗蒸し。
 
お造り

ヒラメ、鯵、甘海老の3種類で、全て調理を施したもの(生のままでない)。
ヒラメには海鼠から出た海水を煮詰めた塩を振り、鯵は山桜の葉で和えて、甘海老は海老味噌で和えて丸大根で挟みスイバをあしらっている。
ヒラメは寝かせてむっちり、ねっちりした食感で、ヒラメの旨味から顔を覗かせる海鼠のかすかな香りが印象深い。
鯵には桜の香りが軽やかに移り、実に心地良い。
甘海老は甘みと食感を楽しませつつ、スイバの香りが味を引き締める。
全て仕事を施した刺身である点が、縄屋さんの魅力。
 


鮑、蕗の薹餅、菜の花、白味噌仕立て。
鮑は薄い衣を付けて揚げて、提供前に薪火で炙る調理。
蕗の薹餅は香りと苦味が白味噌にピッタリ!
 
九絵(クエ)の焼きもの

クエ出汁のソースと黒大根、付け合せはほうれん草。
これは前述の通りの吉岡さん流の火入れだが、流石!
皮はバリバリで香ばしいが、身の中心をレアに仕上げて、クエらしいむっちりした食感も残す。
ソースはクエの旨味をストレートに味わえ、野菜の風味が穏やかにアクセントととなる。
 
鰯のこなれ鮓

付け合せはキャベツと実山椒の塩漬け。酸味と甘みが絶妙に合わさる一皿。
こなれ鮓のお陰で鰯の脂が上品にまとめられている。
 
猪の背脂、自家菜園の野菜の薪火焼き

地元醤油組合の醤油の絞りかすをまぶして提供。猪の脂の甘みと野菜の美味しさをストレートに楽しめる。
醤油の絞りかすは香ばしい。
 
猪の赤身、きんぴらゴボウのソース

猪は非常に味わい深くて旨い上に香りが良い。「きんぴらゴボウのソース」は香りが正にきんぴらゴボウで、猪との相性が抜群。
野菜は飯尾醸造さんのお酢で和えている模様。
 
黒大豆と毛蟹のお粥

〆がお粥と言うのも意表を突かれた。
 
黒文字のアイス、焼き芋ソース

黒文字は和菓子を頂く際の楊枝に加工される木だが、香りが非常に良い。
爽快感のある香りはアイスにぴったりだ。

2021/03/09 更新

2回目

2017/10 訪問

  • 昼の点数:4.4

    • [ 料理・味4.4
    • | サービス3.5
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

五感を刺激する日本料理

前回の2016年10月以来、1年ぶりの訪問となりました。
こちらは訪問する度に好きになるので、毎回記事を書いてしまいます(笑)
近場にあれば、もっと訪問したいお店…

今や東京の日本料理店の多くは価格が高騰し、
高級食材、果てはキャヴィアやトリュフを用いるまでになっておりますが、
こちらは日本料理の本質と日本料理のこれからの可能性を感じさせてくれます。
また、地方で日本料理を頂く喜び、
即ち、土地の風土を愛で、新たな食材と出会う喜びがあります。
本質的には、僕は高級食材でなくても独自の目利きを用いて食材を仕入れ、
「そこに行かねば頂けない料理」に仕上げる料理人が好きです。
「そこ」と言うのは必ずしも地方に限った話ではなく、首都圏であっても同様。
似通った食材でピンのもの(一級品)を貴ぶ食べ手も増えていますが、
それは偏に大海に漂う泡沫に等しい行為だと思います。
流行り廃りに右往左往するのは食べ手も料理人も愚の骨頂。
東京の日本料理バブルについては、食べ手が冷静になる必要があると、
敢えてキツく警鐘を鳴らしたいと考えます。

この度頂いた料理たち。

金目鯛
旨味が強く、たっぷりの胡麻の風味が盛り上げる。
金目鯛は塩で軽く〆ている模様。
金目鯛の下には錦糸瓜が敷かれており、
赤酢を用いてサッパリと金目鯛を抑制する。
酢の香りも料理のアクセントとなっている。

ウスバハギの肝、芥子酢味噌
カワハギとウマヅラハギは有名だが、
ウスバハギは一番知名度が低いのでは??
体長1mほどにもなるそう。
頂いてみると、非常にクリーミーで濃厚な口当たり。
そして、酢味噌の合わせ方が抜群。
辛めの芥子が鼻に抜ける。
それでいて、カワハギ科特有の香りも楽しませてくれる。
旨味の余韻はありつつも、上品な食後感を与えるので、
2品目であっても重くなる事は無い。

甘海老の塩麹漬け、オクラ
甘海老は塩麹で旨味が凝縮されており、シンプルに旨い。
オクラの青く爽やかな香りが穏やかに寄り添う。

キノコの茶碗蒸し
アミタケを使用。
頂いてみるとキノコの風味が活きており、実に旨い。
秋を感じさせる。
あしらいの栗の渋皮煮が、茶碗蒸しには意外な甘みでサプライズ。
どことなく粘りある食感は、キノコの粘性が活きてるのかな?

鰤とこなれずし、水茄子
名物のこなれずし。更なる高みに!
こなれずしの酸味とコク、鰤の脂の甘み、醤油餡、
全てが調和し、料理としての一体感が素晴らしい。
こなれずしが鰤の力強い旨味と香りを包み込み渾然一体。
醤油餡は良い醤油を使用しているのが明白。
調味料の凄さを調理技術で活かしている。
鰤の部位は腹と血合い寄りの数種類か?

白カジキの山椒焼き、天然舞茸
食欲をそそる香り!
そして、相変わらず素晴らしい火入れ!
カジキの脂は活性化し、身はレアに…
それでいて中心まで火(熱)が通っており、歯切れが良い。
味付けも秀逸で、優しい甘み(味醂)のある醤油味。
脂の旨味を炭の香ばしさが加速させつつ、山椒がピリリと引き締める。
和食のステーキですわ、こら。
とても、炭火だけで構築したとは思えない、神業。
ボリュームも多く、大満足です(笑)

イチジクの胡麻酢和え
あしらいはザクロ。
濃密な胡麻に熟成期間の長い酢を調合しているのか?
イチジクの甘みを爽やかに感じさせるセンス溢れる口直し。

ガザエビと人参の天麩羅
レアな火入れで、甘くぷりぷりに仕上げている。
人参は香り高く甘みあり、余韻に野趣。
とろみを付けたツユを少量振っている。
ツユはエビ出汁に軽く塩味を付けたものか?

お食事:栗おこわ
うーん、香り良い!栗の甘みもたっぷり!
お米(餅米)の炊き加減もバッチリ。
そして、香の物も留め椀も共に秀逸(本当に!)。
味噌は熟成されており味わい深く、椀種はもっちりした生麩。
ちょっとだけ菜っぱが入ってるところに心意気を感じさせる。
心意気と言うか、素朴な優しさと言うか。

水菓子
こちらの水菓子での強めの抹茶使いが大好きです。
餡も美味しいし。

この度も更に好きになりました(笑)

本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
すしログ:http://edomae-sushi.hatenablog.com/

  • 金目鯛

  • ウスバハギの肝、芥子酢味噌

  • 甘海老の塩麹漬け、オクラ

  • キノコの茶碗蒸し

  • 鰤とこなれずし、水茄子

  • 白カジキの山椒焼き、天然舞茸

  • 白カジキ

  • イチジクの胡麻酢和え

  • ガザエビと人参の天麩羅

  • お食事

  • 栗おこわ

  • 香の物

  • いくら

  • 水菓子

  • 店内

2017/11/26 更新

1回目

2016/10 訪問

  • 夜の点数:4.4

    • [ 料理・味4.4
    • | サービス3.5
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人
  • 昼の点数:4.4

    • [ 料理・味4.4
    • | サービス3.5
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

五感を刺激する日本料理

行く度に好きになる、こちら縄屋さん。
毎回仕入れや細かな仕事、料理の構成などに変化が見られるため、
定期的に伺う喜びがあります。
この度は秋にお伺いしました。

金目鯛のこなれずし
定番の料理であり、安定感抜群。
金糸瓜は酢で合えているのか。
お米の旨味と金目鯛の甘み、金糸瓜の酸味が一体的になり美味。

揚げもの
むかごと銀杏、人参葉を用いたかき揚げ、人参の天麩羅に唐墨。
衣はサクッと軽やかで、銀杏の苦味やむかごの甘みと風味が堪らない。
唐墨は塩気が利いている。
全体的に「土の力強さ」を感じさせるかき揚げだと実感。

ノドグロ(赤ムツ)の焼き霜造り
かなり香ばしく皮を炙っており、甘みが引き出されている。
降り塩の塩梅も良い。

ヒゲソリダイのお造り
初めて頂く魚。
旨味が強く、香りは真鯛とはかなり異なる。
余韻があり、繊維質はシャクシャクと軽快。

九絵と鰆の焼きもの
こちらのスペシャリテとも言うべき、レアに仕上げた魚。
炭火を用いて旨味を存分に引き出したレアな火入れは絶妙の一言。
皮はパリパリ、さっくりとした食感。
クエは鰆よりも生に近い火入れで、魚ごとの味わいの引き出し方に妙がある。
そして、オリジナル調味料の野酵酢(やこうず)が旨い。
野菜を発酵させた調味料だが、発酵感は優しく、味わいに奥行きがある
漬け物をペーストしたような風味で、旨味がしっかりしており、酸味も強い。
しかし嫌みは無い冒険的なソースである。
大皿が提供前にしっかりと温められている点も好印象。

〆鯖と鯖の燻製
〆鯖は穏やかな〆加減で、酢の浸透も浅い。
焼きものとの類似性を感じさせるフレッシュ感、魚の提示の仕方。
鯖の燻製は香りの付け方が巧く、ふつふつと湧き上がる感じ。
実に上品。

蕎麦
なめこをあしらった蕎麦。
もっちりした食感の蕎麦で、ツユが良い。
鰹出汁に柚子と葱で爽やか。

キジハタと松茸の炊合せ
出汁、塩気共に強めだが、松茸の風味が強く、キジハタの甘みを引き出しているため、
バランスが取れている。
キジハタの香りも力強い。

栗ご飯
もち米を用いており、栗はふっくらで芳醇な甘み。

牛と舞茸のすき焼き風
牛はドライエイジングを掛けているそう。
比較的強い味付けだが、淡い味わいのご飯と同じタイミングである為、
嫌味にならない(すき焼きとしてはさっぱり目の味わい)。
日本料理で牛を出す際は、味付けの前に牛の脂の入り方が重要だと感じる。

水もの
いちじく、干しぶどう、ほうじ茶アイス。
いちじくの自然な甘みが活かされており、そこに干しぶどうの酸味が加わり、味を引き締める。
ほうじ茶アイスも過度に香りが強すぎず、全体的なバランスに優れている。

味、器、盛り付けの三拍子が揃った料理は、配膳される度に嬉しくなります。
またお伺いする日を楽しみにしつつ…

本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
http://edomae-sushi.hatenablog.com/


【2016年1月】
こちらは昨年4月にお伺いしましたが、今回季節を変えて再訪しました(1月)。
結論から述べると、前回よりも満足度がググッと上がりました。
個々の料理の個性が強く出ており、個性が有機的に合致。
使用されている素材の幅も広がった印象です。
再訪して分かる部分(自分の問題)もあるかとは思いますが、
全体的なストーリー性と言うか、お店の輪郭がよりハッキリ分かる内容でした。

素材については従来は京丹後のものにこだわっておられたようですが、
現在は良い仕入れルートを見つけられたようで、他県のものも使われております。
ご自身の料理観に変化があったのかな?と感じました。
ご自身のイメージを具現化するために食材の幅を広げた。そのようなイメージです。

繊細さと華美を併せ持った個性的な日本料理で、
「やりすぎていない創作性」がやはり魅力的だと感じました。
盛り付けや器のセンスも非凡かと思います。

一つだけ特にオススメを述べるならば、魚の火入れ。
「魚はあまり食べない」、「焼魚なんて渋い」と思っている人ですら
確実に魅了されるであろう、繊細で柔らかな火入れです。

この度のコース内容。
【胡麻鯖の燻製と金目鯛のこなれ鮓】
【鮑と甘草の天麩羅】
【お造り(鯛、鰤)】
【北寄貝の椀】
【黒ムツの焼物】
【蛸のお造り】
【海老芋の煮物】
【冬鰻の椀】
【豆ご飯】
【水菓子】

【胡麻鯖の燻製と金目鯛のこなれ鮓】
一品目から変化球を繰り出してこられ、笑顔に。
胡麻鯖の燻製には柑橘類を混ぜた出汁が塗られているようで、
燻蒸香と酸味が程よく馴染む。
金目鯛のこなれ鮓は前回も頂いたが、やはり魅力的。
米の香りと甘みが金目鯛の脂の旨味を引き立てる。

【鮑と甘草の天麩羅】
鮑はきっちり香りがあり、柔らかく、噛みしめるとゼラチン質が舌に絡みつく。
良い火入れです。
甘草の若々しい青い香りも心地良い。

【お造り(鯛、鰤)】
これは共に素晴らしかった。
鯛は濃厚な香りを宿しており、噛み締めた時の鮮烈な風味が印象的。
やはり、西で頂く真鯛は扱い方が巧い。
そして、「味の勢い」で言うと鰤が上を行き、
感情に直接的に訴えかけてくる、荒々しい旨味。
濃厚な味わいながらに、脂はスッキリしており、頂いた後も清々しい。
包丁の入れ方が良い。
また、辛味控えめな辛味大根を添えているところにも、センスを感じる。

【北寄貝の椀】
超肉厚な北寄貝で暫し言葉を失う。
噛みしめると、ボディに反比例し決して大味ではなく、
北寄貝固有の甘みが滲み出てくる。
芳醇でふくよかな甘み。
北寄貝を活かすべく計算されて円味のある出汁も良い。

【黒ムツの焼物】
前回訪問した際に鰆で感じたが、今回の黒ムツも溜息がこぼれる程の火入れ。
超柔らか、ふわっふわに焼き上げており、魚の香りと甘みを満喫出来る。
炭火を使用しているようだが、ここまでコントロールされているのは見事。
粗く切ったクレソンには赤酢を使用。

【蛸のお造り】
武骨な盛り付けだが、歯切れが良く穏やかな甘みのある蛸。
付け合せは赤かぶ、津田かぶ。

【海老芋の煮物】
絶品。素朴な食材を合わせつつ、極めて強い印象を残す。
出汁は強めで、だからこそ海老芋の輪郭を強く浮き彫りにする。
素材そのものに近い形での提供だが、箸を入れると柔らかく、甘みが春を予感させる。
白魚、蕗の薹との相性は言わずもがな。

【冬鰻の椀】
鰻は肉厚で、穏やかな脂。
強すぎず、それでいて終盤の食欲を収めてくれる。
一品一品の流れに妙があり、これぞストーリー性だと感じる。

【豆ご飯】
豆の香りが芳醇で、贅沢な気持ちになる。
硬さも良く、炊き上げられた米の硬さとピッタリ合っているのが印象的。
一度炒っているのが香りの秘訣。

【水菓子】
豆、安納芋、金柑、蘇。
まさか蘇をデザートのソースにするとは。
マニアック過ぎです(笑)
お茶はクロモジ茶。

総じて、次回訪問するのが楽しみになる内容でした。
立地が立地とは言え、1万円ちょいのコースとは思えないクオリティです。
まだまだお若いご主人、将来的な進化を見届けたいと思わされました。
なお、器で印象深かったものがあり、作家を聞いたところ、
伊賀の岸野寛氏との事でした。
帰宅後早々に調べると、庶民には手が出しづらい価格(笑)
僕は器も好きで集めておりますが、
良いものはお店で堪能するようにしたいと思います…

本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
http://edomae-sushi.hatenablog.com/


【2015年4月】
京都市内から考えると、非常に離れた場所にある日本料理のお店。
京都から車だと2時間半、電車だと4時間程度かかります。
離れた場所にありながら、わざわざ訪問すべき価値があると聞き、
機会を設けて伺いました。

お昼のコースは3,000円、6,000円、11,000円とあります。
折角なので一番上の11,000円を予約しておきました。

お店は、外観は民家的でありながら、内装はシックに纏められており落ち着きます。
テーブル席は大きな窓のそばで開放的で、
カウンター席は奥まった場所にありお昼でも隔離感があって対照的です。
カウンター席で一人頂きました。

頂いたコースは
【葉山葵と鱒の燻製】、【穴子とうるいの椀】、
【お造り(平目、鬼海老、あまどころ)】、【鰆の塩焼き】、
【赤目河豚とコゴミの揚げ物、ゴマ酢】、【金目鯛のこなれ鮓】、
【筍、アスパラ、蛤の炊きあわせ】、【叩きわらびご飯】、
【蓬のソルベ】

料理を頂いての感想は、
1. 創作性が高いが、適度なところで抑制されており、嫌みが無い
2. 素材のクオリティは非常に高く、同時にこちらならではな調理も楽しめる
といったところ。
やりすぎず、「抑制」する感覚こそ日本料理人のセンスかと思いますので、
ご主人の「ギリギリの冒険」とも言える料理は頂いていて気持ちが良いです。
奇抜な事をやっていないのに、明確なオリジナリティを構築しております。

頂いた料理の詳細は下記の通りです。

【葉山葵と鱒の燻製】
強い酸味の葉山葵と、しっとりな鱒の燻製が非常に合う。

【穴子とうるい】
穴子は地物。塩の利かせ方に妙があり、芳醇なゼラチン質を満喫。

【お造り(平目、鬼海老、あまどころ)】
山菜・あまどころは茎に甘みがあり、葉先には爽やかな苦味。風味に豆っぽさがあり面白い。
鬼エビは秀逸。快感とも言えるシャキシャキした身から迸る甘み、香り。
付け合わせのワカメのソースも美味。

【鰆の塩焼き】
付け合わせはクレソンに赤酢。
火入れが絶妙で、脂が豊かに滲む。
炭の香りも食欲をそそる。

【赤目河豚とコゴミの胡麻酢】
虎河豚よりも旨いとも言われる赤目河豚。
その判定はさて置き、何より、こちらも秀逸な火入れ。
シャクシャク、ぷりぷりした身からじわーっと旨味が滲む。
胡麻酢も抜群に合う。白眉。

【金目鯛のこなれ鮓】
米の香りと甘みが心地良い。
塩気もベストと言える。

【筍、アスパラ、蛤の炊きあわせ】
筍は甘み、香り、食感が巧く引き出されている。

【叩きわらびご飯】
醤油ベースの餡。

【蓬のソルベ】
爽やかな蓬の香りで、非常に印象的。

本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
http://edomae-sushi.hatenablog.com/

  • 金目鯛のこなれずし

  • むかごと銀杏、人参葉を用いたかき揚げ、人参の天麩羅

  • ノドグロ(赤ムツ)の焼き霜造り、ヒゲソリダイのお造り

  • 九絵と鰆の焼きもの

  • 絶妙な火入れ

  • 〆鯖と鯖の燻製

  • 蕎麦

  • キジハタと松茸の炊合せ

  • 栗ご飯

  • 牛肉と舞茸のすき焼き風

  • いちじく、干しぶどう、ほうじ茶アイス

  • 麦茶

  • 外観

  • 内観

  • 内観

  • 胡麻鯖の燻製と金目鯛のこなれ鮓

  • 鮑と甘草の天麩羅

  • お造り(鯛、鰤)

  • 北寄貝の椀

  • 黒ムツの焼物

  • 蛸のお造り

  • 海老芋の煮物

  • 冬鰻の椀豆ご飯

  • 豆ご飯

  • 水菓子

  • 花山葵と鱒の燻製

  • 穴子とうるいの椀

  • お造り(平目、鬼海老、あまどころ)

  • 鰆の塩焼き

  • 赤目河豚とコゴミの揚げ物、胡麻酢

  • 金目鯛のこなれ鮓

  • 筍、アスパラ、蛤の炊きあわせ

  • 叩きわらびご飯

  • 香の物

  • 蓬のソルベ

2021/03/01 更新

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