バオバブさんのマイ★ベストレストラン 2014

バオバブのあっちこっちランチ&カフェガイド

メッセージを送る

バオバブ (神奈川県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

食べログももう5年目になると共に歳も5歳取った事になる。
従ってフットワークがだんだん衰え、新しいレストランを開拓する意欲も
行動もなくなり、既にお気に入りになっているレストランばかり訪問する様に
なって来た。そろそろ潮時か?

マイ★ベストレストラン

1位

鳥彌三 (祇園四条、京都河原町、清水五条 / 水炊き、鳥料理、日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2014/07訪問 2014/09/15

鴨川納涼床で水炊き 京都その166

【2014/07/24】   鳥彌三  とりやさ

 今年の夏の夜は鴨川納涼床での水炊きを頂くために「鳥彌三」を訪れた。創業天明8年(1788)で築270年の登録有形文化財の町家の建物に気後れすることなく予約の時間(18:00)に店の前に立つ。本当は納涼床を楽しむならもう少し遅い時間の7時以降が良く、少し早い時間だが料理の写真映りが良い時間を狙ってこの時間にして貰った。この店は実は子供の頃から何度か両親に連れられて来ているお店だが大人になって訪れるのは数度しかない。

 暖簾を潜って玄関で自分の名を告げて案内されるまま石畳を通って納涼床に上がって行く。広い納涼床の一番鴨川に近い中央の席に案内される。時間が時間なのでまだ明るい。

 冷たい梅酒とお手拭で一段落していると注文を取りに来てくれる。すでにゆったりとした京都の時間が流れている。メインになる水炊きのコースは予約時に頼んであるので、飲み物と肴とオプションメニューを頼む事になる。最近時々飲んでいるノンアルコール・ビールと昼にも頂いた“鱧の落とし”と特に仲居さんのお薦めの“鶏皮”をお願いした。

 料理が出来上がるまでの間、子供に納涼床から見える団栗橋(どんぐりばし)の話をしました。この団栗橋には漁業組合があって鴨川に鮎を放流している事です。ちょうど先付を運んで来た仲居さんがその話を聞き付けて今日は普段はない鮎があるので如何ですかと勧められました。昨年「平野屋」で鮎の塩焼きの食べ方を教わった子供が聞き逃すはずがありません。早速それも頼む事にしました。鱧、鮎と夏の京都を代表する食材を一気に食べてしまう会食になってしまいました。
  鴨川の団栗橋付近では‘鷺知らず’という名の佃煮を作るための小魚(追河)も獲れたのだが今でも獲れるのだろうか。

先付
 胡麻豆腐、鱧寿司、鱧しんじょう、山桃、手長エビ、丹波篠山の黒豆の枝豆、イカの黄身焼き。

鶏肝の煮付け
 新鮮な鶏の肝を醬油味で煮付け冷した物

 先付は季節感のある料理が並んでいて色彩感あり美味しい物でした。鱧は祇園祭の時に食べる物です。子供は鶏肝が気に入ったようだ。普段はレバーは殆ど食べないのに鮮度と調理が上手だと食べるという事か。

スープ
 ウズラの卵を解いたスープに塩で味付け

 鍋の調理・取り分けは全ては話上手・薦め上手の仲居さんがしてくれる。鍋料理の最初はスープだけを飲む事から始まるがこのスープは鶏ガラだけを三日間強火で炊き込んで白濁したスープだそうだ。

 鍋に入れる野菜などは先に運ばれている。スープを飲むための鶉の卵、大きな葉の菊菜、椎茸、湯葉、豆腐、下茹された白菜など、そして最後に焼き餅を入れて食べるようだ。
 下処理をした様々な部位の鶏肉はタイミング毎に仲居さんが運んでくる。そしてそれを鍋に入れて事前に用意された野菜などと一緒に鍋に入れ出来上がりを私達に出してくれる。

 その間に鱧の落とし鶏皮鮎の塩焼きが運ばれてくる。
 特に鶏の皮を伸ばして丁寧に焼いた鶏皮が絶品。この店の水炊き以外での名物と言うだけの事はある。酒飲みには打ってつけの肴だと思う。鮎の塩焼きは長刀鉾のミニチュアと塩で清流の波を描いた黒い盆に盛り付けられて来た。まだ稚鮎だったが見事と言うほかない。

 最後は〆に雑煮だ。一層濃度を増した白濁したスープにご飯を入れて雑煮にする。既にお腹は一杯になりかけている。

 この頃にはすっかり日が沈んで本来の納涼床の雰囲気になっていた。以前は対岸には京阪電車が通り時々桜並木の陰に左右に流れて行く車窓から漏れる明りに風情があったが、今は京阪電車は地下に潜り道路になってしまったのでその風情はない。しかし納涼床自体は数が増えているようで松原辺りから二条辺りまでびっしりと納涼床が立っていて壮観だ。蛇足だが、貴船の川床は‘かわどこ’と読み、鴨川納涼床は‘のうりょうゆか’と読む。‘とこ’ と ‘ゆか’ の言い表し方の違いの意味は凄く面白い。

氷菓
 デザートはあの「老松」の夏柑糖の様な物が出された。酸っぱみで口の中の鶏の匂いを打ち消してくれた。

 帰る頃には床はほぼ席が埋まっていた。しかし建物の各部屋に客は見えない。これは急に雨などが降ってきた時に客を部屋の客席に迎える為にいつも空けておくためだと子供の頃に聞いた覚えがある。

 昨年の夏は鳥居本の「平野屋」に鮎を食べに行った。今年は坂本竜馬も贔屓にしていたという「鳥彌三」。来年はどうしようか。蹴上で会席? 二条で丸鍋? 貴船で川床料理? 三十三間堂近くで雑炊? 花背でぼたん鍋? まだまだ京都のプレミアムな料理は残っている。

  • 外観
  • 先付
  • 鴨川と納涼床

もっと見る

2位

慈久庵 (常陸太田市その他 / そば)

1回

  • 昼の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2014/05訪問 2014/06/18

茨城の山奥の孤高のそば職人

【2014/04/25】     慈久庵

 粗挽きそばを食べる為に茨城の山奥までやってきました。10年ほど前から訪れたいと思っていた所です。
 横浜から車で高速を使って約3時間掛かります。何しろ営業時間が午前11時半から午後2時半までしかなので渋滞を予想して午前9時に家を出ます。それにこの日の午前はアメリカ大統領が羽田から離日するので高速道路が規制される恐れがあったため、9時台には東京を抜けたいと思って急ぎました。

 場所は茨城県常陸太田市、竜神大吊橋に向かう手前です。この辺りは常磐秋そばの産地です。荻窪「本むら庵」で修業の後独立され阿佐ヶ谷で評判の蕎麦屋なりましたが、突然のように常陸太田市に移転され、その後この地に移転して来ました。どうやら店主小川氏の故郷らしいのです。広い駐車場に車を入れて車外に出ると北茨城の里山が一望できます。空気が美味しいです。沢山植わっている桜がもう終って残念です。山道にあるような階段を昇ってお店の前に行きます。大きな中華風の雰囲気がする建物です。幸いな事に営業中の立て看板が出ていました。
 靴を脱いでスリッパに履き替えて入店すると先客は一組。売切れの心配はありません。
 テーブル席と広い座敷席があります。窓から里山が見える奥の方の重厚な木製の机と椅子のテーブル席に座りました。

 しばらく待つとご主人がメニューを持って来てくれます。独特の書体で「お品書」と書かれたメニューを開き食べる物を選びます。

 「冷たいそば」から、
    大盛りせいろ
    山いもぶっかけ
 それに、「山里料理」の中から
    岩魚の一夜干し
    野草のてんぷら
 を頼みます。
 子供が頼んだ“山いもぶっかけ”には生卵が付くが大丈夫ですかと聞いてくれました。
 コースもあったのですが初回なのでシンプルにせいろにしました。

 これから少し待つだろうと言う事で店の中を見て歩き、テラスにも出てみて里山を眺めました。

 お店の案内が置かれていてそれに次のように書かれていました。
 「蕎麦の原料となる玄蕎麦は、焼畑農法で自家栽培し手刈り天日乾燥したもの
  を石臼で粗挽きに自家製粉しております。この品質の良い粗い粉が、独特の
  透明感を生み、口あたりが優しく腰がある香り高い蕎麦を作ってくれます。
  お茶は慈久庵謹製中国窯炒り緑茶・天然高山野茶でございます。
  お茶とお蕎麦で、里山の景色をお楽しみ下さい。


 お茶に関する事以外は事前に得ていた事と一致します。それにこのお店を一人でやっていらっしゃる事も。なので蕎麦を注文してから出来上がるまで時間が掛かると言う事も。(恐らく土日なんかは凄く待つ事になるのだろうなぁ。)

 やがて蕎麦が盆に乗せられて出来上がってきました。
 まず蕎麦を見ると綺麗です。透明のような白い蕎麦に蕎麦殻の粒子が黒く星のように見えます。
 野草のてんぷらを食べる為の塩と天ぷら、晒し葱と山葵の薬味、それにせいろと箸がビシッと盆に置かれています。どうやら箸の形まで拘っているようです。
 山野草の天ぷらについての説明がありました。すかんぽ(=イタドリ)、のびる、いしびし。塩は南米産の塩だそうです。その中で海岸で自生する‘はまびし(浜菱)’と言うのは知っていましたが‘いしびし’と言うのが知らない名前でした。

 そばに何も付けず食べ、山葵だけを付けて、汁に浸けて、汁に薬味を足して、と順に食べて行きます。薬味の葱、山葵まで旨い。何事と思う位に喉越しも良い美味しい蕎麦でした。9割5分の粗挽き粉のそばとは思えないほど滑らかで腰があります。
 目の前で普段はあまりそばを好んで食べない子供が美味しいと山掛けを食べています。そして岩魚の頭が一番旨いと言いました。干した岩魚は滋味深く美味しい物でした。
 二人共にあっという間に食べてしまいました。何時間も掛けてここまで来て食べる時間は僅かな時間です。しかしここに來る時間が勿体なかったとは全く思いませんでした。むしろこれから何度も来たいと思いました。

 お支払の時にご主人と少しお話をしました。すべてをお一人でなさっているのでどんな頑固者かと思っていましたがそんな事は全くなく筋の通った優しい人柄にお見受けしました。この辺りの櫻は東京での開花から一週間ほど遅いとの事でした。

 店を出てすぐには車に乗り込まずに店の廻りの山里を歩き廻りました。気持ちがいい自然豊かな山里です。竜神大吊橋に向かう途中に何軒も蕎麦屋さんがありました。次回は蕎麦屋さん巡りをしてみたい思います。但しスマホが圏外になる事が多いので注意です。

  • 入口
  • 大盛りせいろと野草のてんぷら
  • 山いもぶっかけと岩魚の一夜干し

もっと見る

3位

手打そば くりはら (渋沢 / そば、天ぷら)

3回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.6

    • [ 料理・味 -
    • | サービス -
    • | 雰囲気 -
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 ¥1,000~¥1,999

2018/07訪問 2018/07/18

翡翠そば

【2018/07/15】   手打そば くりはら

 7月の連休の中日。
急に蕎麦が食べたくなって久しぶりに秦野・渋沢まで。
猛暑の中なので空いているかと思っていたが着いてみると駐車場は一杯だった。
店内に入ってみるとお客さんは食事を始めたばかりかまだ食事が届いていない状態。と言う事は開店時間(11:30)に来たお客さんで席が埋まっていると言う事だ。

 暫く待って2人席のテーブルに付く。
頼んだのは、天せいろと翡翠そば。翡翠そばは夏の限定商品らしい。
それに豆かんを一つ。

     天せいろ
     翡翠そば
     豆かん

 翡翠麺は中華で良く頂くおそば。中華の翡翠麺はほうれん草の搾り汁を煉り込んだ麺。和食の翡翠そばで冷かけそばと言うのはどんなものかか楽しみ。

 自家製のお漬物を頂きながら待っていると、ガラスの器に入れられが翡翠そばが出来上がって来た。

 冷たい透明なお出汁の中に蕎麦が沈み、その上に皮を全部取って煮浸しにした茄子とオクラ、ミニトマト、茗荷、大葉、胡麻、ワカメが乗せられている。すべてが薄味。夏に頂くお蕎麦として極めて美味。注文の時は、翡翠そばと言う事で長野県で商標登録された「信州ひすいどば」を使っているのかなと思ったが、そうではなくて茄子の皮を全部剥いた後が翡翠のように綺麗な緑色で翡翠の様だと言う事の様だ。

 一方も天せいろは近隣で獲れる野菜の天ぷらのせいろ。
茄子、かぼちゃ、舞茸、コーン、ズッキーニ、玉ねぎとこんにゃく。
特に蒟蒻の天ぷらが美味しいかった。
 蕎麦はと言うと、安定した十割のそば。いつもながら美味しい。

 子供は豆かんを頂き、私は濃厚な蕎麦湯を頂いた。
大満足でお腹がいっぱいになった。
【2017/05/04】   手打そば くりはら

 温かくなったらまた秦野の蕎麦屋さんに行こうと思っていた。
前回はお店に辿り着いたら臨時休業になっていてお蕎麦を食べる事が出来なかったのだ。
今回はG/W真っ最中と言う事でお店のHPを知れべてから伺う事に事にした。
するとG/Wの3日から5日までは昼だけしかお店を開いていない事が判った。
今時間は13時半を過ぎている。
秦野まで最低でも1時間半は掛かるので大急ぎでバイクに飛び乗り秦野の「くりはら」に向った。
流石にG/W。Sunday Driverばかりで幹線道路は停滞や渋滞している。
すり抜けや裏道を駆使してお店に到着したのは閉店まで15分しか残っていない14時45分だった。
まだ「商い中」のボードが置かれているのを見てホッとした。
門の横に植えられた八重桜が殆ど散っていた。

 古民家をリノベーションしたお店に入るとほぼ満員だった。
ネームボードの先頭に名前を書き入れて店内に置かれた椅子に座って待っているとほどなく席が用意されて案内された。蕎麦が売り切れになっていたらどうしようと思っていたが打ち場でご主人が蕎麦を打っていた。
BGMに夏川 りみのアルバム「童神」が静かに流されていた。

 席に付くとお茶と白菜、大根、人参の浅漬けが供された。

 「何でも食べても良いよ」と子供に。
選んだのが、
   せいろ
   鴨せいろ
   そばがき
   タラの芽と野草の天ぷら
   幻のすくい豆腐

 手掻きザルは既に売り切れ。
味噌田楽も刺身コンニャクもコンニャクが売り切れでもうなかった。
それで選んだのが幻のすくい豆腐。
幻とは「幻の大豆」と言われている「津久井在来大豆」で豆腐を作ったかららしい。

 最初に‘幻のすくい豆腐’が持って来られた。
晒し葱と擦り生姜を薬味に醬油を好みで掛けて食べる。
粘り気があって深みある甘味。
本来豆腐と言うのはこういう美味しい物なんだなと思う。

 次に持って来られたのが‘そばがき’。
良くあるように木の葉っぱの形に成形してあるのではなくて、
ここのは茹で立てのドッテッとしたままのそばがきだった。
これは醬油と本山葵で食べる。

 次は‘タラの芽と野草の天ぷら’。
今年はまだタラの芽を頂いていないので頼んでみたのだが、
出来上がって来て盛りを見てちょっと驚いた。
タラの芽の天ぷらというより、野草の天ぷら。
揚げられてるものはぎりぎり、かきどうし、くずの新芽、うど、
くわの新芽、よもぎ、こごみ、筍、のびる、
そしてタラの芽と言うラインアップ。
天ぷらそばを頼まなくて良かったと思える程の量。
 甘めのそばつゆか塩で頂く。

 天ぷらを食べていると店の人が自分が煮たと言う‘蕗の煮た物’を持って来て下さった。
少し甘めの味付けの。

 最後に蕎麦が持って来られた。
細く切られた10割のそば。
最初は残っていた天ぷら用の塩で頂き、次は山葵だけを付けて頂く。
10割なのに決してボソボソしていなくて
最後は鰹の香が強く濃い目のそば汁で頂く。
 子供が頼んだ‘鴨せいろ’は、厚く切られ網で焼いたような鴨が鴨汁になっていた。

 そば湯は濃厚な物でこれだけでも十分お腹が膨れる。

 一番最初に訪れたのはもう3年以上前になる。
時々伺うが今も神奈川の蕎麦屋さんでは一番好きな蕎麦屋さんだ。
【2014/01/12】     手打そば くりはら

 日曜日の午後14時頃、急に思い立って蕎麦を食べに行く事にした。
以前より行ってみたかった店に行く事にしたが、その店は秦野・渋沢にあり昼の営業は午後15時までとなっていたはず。この時間から行くと、夜の営業開始の時間より少し早く着くと思われるが、兎に角バイクに乗って行ってみる事にする。
 道を間違えてなどして到着は16時半。看板を見ると土・日の午後の営業は17:30からと書かれている。まだ準備中だ。秦野の山間部をバイクで走ってみる事にした。圧倒的な自然環境。空気が美味しいし川を流れる水も綺麗だ。

 17:30に店を再び訪れる。広い駐車場にバイクを止めて玄関までの飛び石がひかれた小路を通り抜けて玄関の挽き戸を引いてお店に入る。靴を靴箱に入れて店内に入って行く。凄く暖かい。冷え切った体が解けて行く感じがする。古民家ならではの空気だ。元は農家だったのか普通の民家だったのか不明だが、各部屋の襖、戸を取っ払って大きな客室にしている。大きな石油ストーブの側のテーブル席に座る事にした。6人席で一人で独占するには躊躇したが、先客もなく、たった一人だったので許して貰う。板の間に4つの机、2人用、4人用、5人用、6人用で合計椅子が17脚。それに座る席が2つある。
 伺うとこのお店はおじいさんの時代からの住居をお店にしたそうだ。
 私から見るとお若いご夫婦でお店をされているようだが、まだ準備中の時にお目に掛かったご婦人はお母様だったのだろうか。
 BGMは Norah Jones の Come away with me (2001)。それを殆ど聞こえないぐらいの音で静かに流している。ひょっとしたら厨房用のBGMかもしれないなぁ。

 時間を掛けてメニューをチェック。墨で書かれた品の他にも鴨居に和紙に墨で書かれた品書きが多数張ってある。その中には岩のりを使った“花巻そば”など、食べたいものばかり。伺ってみると残念ながら“手碾き(てびき)ざる”はお昼間の営業で売り切れてしまったそうだ。

 まず温かいお蕎麦を頂いて、その後に冷たいお蕎麦も食べたいと、
     温 山かけ
     辛味おろし
を頼んでみる。

 山かけが出来上がってきた。たっぷりの山かけでやけどをしそうなほど熱い出汁。無農薬栽培の長芋をすった物で、芋は「のらくら農場」の物だと書いてあった。北八ヶ岳にある農場の事なのかな。
 蕎麦は今は新潟と福井のブレンド。玄そばで仕入れて石臼で挽いて自家製麺をしているとの事。綺麗に細く切られた蕎麦。山芋が掛かっていたのでその量は最初は判らなかったが、決して少ない量でない事が食べていると判る。蕎麦も山芋の汁もすべて飲み干してしまった。付いてきた香の物。大根、白菜、人参、赤カブが見た目も綺麗に盛り付けてある。赤カブは「のらくら農場」の商品なのか自家製なのか不明。大根と人参は生のままと言っていいほど。白菜は柚子の香り。

 次に良い頃合いに“辛味おろし”も出来上がって来た。
 山かけの時にはっきりと判らなかった蕎麦の美しい仕上がりとそのたっぷりとした量が判る。すこし緑が掛かったそばで細く切り揃えてある。適度な腰があり文句なく美味しい。

 長芋の皮を揚げたのを出して頂いた。山かけの長芋で、揚げた後に塩が振られている。煮昆布も頂いた。柔らかくいいお味。
 もう全部のメニューを食べてみたい。使用している七味は京都「原了郭」の黒七味。

 そもそも秦野は丹沢の麓、名水百選に選ばれているほどの水が湧く秦野盆地湧水群がある所。建物の前の道の脇には室川が流れている。もう少し西には小藤川湧水がある。

 お店に着いた時は寒さで震え、石油ストーブの側の席で温まり、熱い山かけ蕎麦で温まり、辛味おろしで蕎麦を楽しみ、出して頂いた漬物、長芋の皮の天ぷらとコブの美味しさにと気遣いにまた温まる。
 ロケーション良し、環境良し、建物良し、内装・飾り付け良し、家具良し、部屋の温かさ良し、器良し、蕎麦なお良し、心遣いさらに良し。

 お支払の時に奥からお若い御主人もご挨拶に出て来られた。美味しかった事。また伺わせて貰う事を伝えた。大満足でした。

  • (説明なし)
  • 翡翠そば
  • 天せいろ

もっと見る

4位

京都生ショコラ オーガニックティーハウス (東山、蹴上 / カフェ、チョコレート)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2014/09訪問 2014/10/13

岡崎の古民家で生チョコレート  京都その176

【2014/09/26】   Kyoto 生 Chocolat Organic Tea House

 平安神宮の裏側を通って岡崎の閑静な住宅地にある築100年を超える古民家の前までやってくる。余り手入れしていない植木を囲む板塀に彩色していない木製の板の看板が目に留まる。

  「Kyoto 生 Chocolat Organic Tea House

 と刻み込まれ、横に小さくOpenと書かれた木切れも下がっている。ここが目的地だ。

 木々が覆いかぶさりどこが入口か判らないような門を通って母屋に向かうと犬のジャツキがまるでトウセンボするように玄関のたたきで寝転がってお出迎え。大きな犬なので跨いで通る事も出来ずにいると丁度ご主人がそこにいらして通して貰えた。

 玄関で靴を脱いで建物に上がると幾つかの居間が解放されていて客間になっている。白熱灯は点いているが薄暗い客間には先客はなし。奥の机の座布団に座らせて貰う。もう9月の末だと言うのにまだ蚊取り線香の匂いがする。

  チョコセット                950円
   4種の生チョコレートと飲み物

 飲み物はオーガニックコーヒー、エスプレッソコーヒー、タンポポコーヒー、オーガニック紅茶、無農薬リンゴジュース、無農薬オレンジジュース、グレインコーヒー、お抹茶から選べる。

 チョコレートは全てが個性的で非常に滑らかで柔らかく美味しい。コーヒーでも紅茶でも抹茶にも合いそう。

 室内には様々な日本の置物や生け花が置かれている。ちょうど夏から秋になる直前の室内の感じでまだ内装の衣替えがされていない感じだった。

 建物が築100年を超えている事が判ったのは犬が襖を破いた時に出て来た新聞が明治時代の日付が付いていた為だそうだ。ここの畳の上に座ってゆっくりとした時間を過ごす。タイムスリップして過去の日本の世界に行った感覚。猫のミャオミャオが室内を自由に歩き廻っている。

 ご主人はNYの日本の外交官私邸付きの仏蘭西料理のシェフをされていてお料理からデザートまでを作られていた。その時に生チョコレートのレシピを考え、その後にオーストリアにある修道院の尼僧が作るリキュールに出会い生チョコレートに配合する事にしたそうだ。その後に京都にやった来てこのお店を開いたそうだ。

 私達がおしゃべりをさせて貰ったのはシェフのパートナーのシェリー中西さん。カナダ出身でNYでご主人と知り合われた童話作家、シンガー・ソングライターのシェリー中西さん。この岡崎の水についてと疎水・別荘地帯の歴史についてお話をして楽しい時間を過ごさせて貰った。

 帰り際に娘にご自身の著書の「不思議なちょうちょ」をプレゼントして頂いた。

  • 看板
  • 生チョコレート
  • 飲み物

もっと見る

5位

オンザディッシュ (山手 / パン、カフェ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/02訪問 2014/02/20

山手の丘の上のサンルームの中で上質な時間を過ごす

【2014/01/31】     ON THE DISH

 正確には憶えていないがもう3年程前から訪れてみたいと思っていたパン屋&カフェです。その頃は週に2日しかお店が開いていなくて、それに加え場所が横浜・山手の丘の込み入った住宅内にある為に横浜にまだ不案内な私ではとても辿り着けないと思っていたお店です。Netでお店のHPを調べると詳しい地図が乗せてあったので思い切って行ってみる事にした。
 行き方は大きく分けてJR根岸線「山手駅」から昇って行く道と根岸森林公園から下っていく道があります。駐車場がないため徒歩になり、スマホのMap何かだと全く別の所を指すので、事前にGoogle Earthなどで建物の位置と道順を調べておく方が良いと思われます。目星は横浜市立仲尾台中学校の南西側という所でしょうか。

 今回はHPの案内とは違った道と通り根岸森林公園・第二駐車場から中消防署山元町消防出張所がある山手町5丁目交差点から徒歩で行った。

 この日は4月を思わせる温かい春の日和の中を子供と二人で細い坂道をトコトコと下がって行くと大谷石の外塀に白く塗られた金属製の門があり、よく見ていないと気が付かないほどの木の板に白字で「ON THE DISH」と書かれている。階段を昇って行って一軒家の木のドアを開けるとリビングと思われる所にパンやジャムなどが置かれたコの字型のカウンターがあり、その向こうに多くのお客さんが座っているサンルームが見える。リビングの奥には和室もある。二人だと言う事を告げ、席が空いているかどうかを確かめて貰う事にした。丁度サンルームの端っこの席が空いているようだった。席の横には使い込まれたアルミのヤカンが乗っているアラジンの石油ストーブが置かれているが、今日は窓を開けて置いても良いぐらい温かいのでストーブに火は灯っていない。

 お店の方に初めて訪れた事を告げ、アドバイスに従って二人共パンが数種類付くセットを頂く事にしました。

    -豆と野菜のスープ-
    <パン数種類・サラダ・有機三年番茶付き> \1,350

 このカフェはメニューにでも全ての物に付いて説明書が書かれているらしい。それによると“豆と野菜のスープ”は1月のスープと言う事らしい。

 メニューからのスープの説明の抜粋
   数種類の根菜と5種類の豆を蒸し煮にして旨みを凝縮させたものを
   昆布と干しシイタケの出汁と合わせて身体が温まるスープにしました。
   押し麦の食感もスープとともにお楽しみ頂け、スープの上には、
   ほんのり甘みを付けた5種類の豆と金箔(*)をのせました。
   *金箔:石川県金沢市の「箔座」さんで、手漉きの和紙を箔打ち紙に
    用いるという400年以上の伝統製法で作られている貴重なものです。


 最初に熱い番茶がガラスコップに入れられて持って来られた。

 5種類のパンとサラダの皿が持って来られた。サラダに使われているオリーブオイルのいい匂い。
 5種類のパンはFig Chease、はちみつカンパーニュ、黒糖胡桃カンパーニュ、2種類のレーズン食パンそれにmarronだ。
 例えばFig Cheaseの材料は、
  自家製なつめやしの酵母・強力粉・全粒粉・ゲランドの塩、天然湧水・純粋はちみつ・オーガニック白無花果、井筒赤ワイン・オーガニック クリームチーズ
 と言う具合だ。すべてのパンがこのように拘れた材料で作られている。頭が下がる思いだ。

 食事が終った後、私だけCOFFEEを追加注文した。

    COFFEE         \550

 自家焙煎のネムリコーヒーをハンドドリップで淹れたもの。今月は豆はコロンビアだと言う事だ。
 また珈琲を追加注文する折に focaccia cheese を持ち帰るように注文した。直径が20㎝位あるフォッカッチャの半分を頂く。

    focaccia cheese 1/2 \600

 店内にはBGMとして[Waltz For Debby] Bill Evans Trio(1961)が静かに掛けられている。きっとオーナーは女性だろうなぁと思って確かめてみるとやはりそうだった。温かな陽だまりのサンルームで拘りを持って作られた食事と上質な時間を過ごした。

 買って帰った“focaccia cheese”にはON THE DISHのパンの保存方法と温め方を書いた紙が添えられていた。結局の所、私の口には全く入らずに子供が美味しいと言って食べてしまった。
 「また行こうね」。だって。

  • 控えめな看板
  • この階段を昇って行く
  • 数種類のパンとサラダ

もっと見る

6位

はつね (西荻窪 / ラーメン)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2014/11訪問 2014/12/11

絶品スープ

【2014/11/22】   はつね

 もう何年ぶりになるだろう本当に久しぶりで訪れた。JR西荻窪駅南口から徒歩で1分。駅前再開発なんて言葉からは全く無縁な昭和30年代の建物の雰囲気が今も怪しく残る商店街の角にある小さなラーメン屋さんだ。通りの名はサカエ通り。怪しげと言うのは周りには日本料理の店はなく中華も含めどこの国だか判らない多国籍の店が多いからだ。そんな所にいつ行ってもお店に前に列が出来ているお店がある。

 「はつね」は1961年(昭和36年)創業。昼間しか開いていない。中央沿線に住んでいる時も平日に訪れる事は出来ず土曜日に訪れるとその怪しげな路地に出来た長蛇の列の一番後ろに並ぶ事になっていた。列ができるのはここのタンメンのスープが絶品スープなのでお客が多い事もあるが店が小さく客席が僅か6席のカウンター席しかない事にも起因している。もちろん一杯づつ丁寧に作っている事も理由の一つだ。従っておのずと回転も悪いのでお急ぎの客には全くの不向き。

 大人しく列に並んでやがて先頭になって待っていると店から食べ終わった客が出て来てそれに入れ替わるようにお店に入り、「タンメン一つ」という。

    タンメン     700円

 メニューはラーメン、ワンタン、タンメン、もやしそば、焼豚メン、焼豚ワンタンメンという種類があるが殆どの客がタンメンを注文する。目の前の調理場では男女2人が絶妙のチームワークで切り盛りしている。出来上がるまで静かに席に座って待っていると関西弁のラジオが聞こえてくる。ここでタンメンの出来上がりを待っていると東京の西荻窪だとはとても思えない。

 やがて出て来たタンメンは透き通るスープに肉っけまったくなしの具が盛られている。見た目に美しい。透明な炒め油が浮いたスープは透き通っていて中の面や野菜まで透けて見える。シャッキリ感が残る野菜の炒め具合。かん水の匂いが残る細い麺が少しねっとり感がある。恐らく塩だけで味付けをしてあるスープには野菜の甘味がたっぷりと溶け出しているのだろう。

 今日もスープを全部飲み干して完食だ。
 この日は朝から風邪気味だったのだが、ここのタンメンを食べたせいなのか単に体が温まったせいなのか店から出ると風邪気味なのが直っていた。

  • 暖簾
  • タンメン
  • 透き通ったスープ
  • 外観、中は満席

もっと見る

7位

55 (渋谷、代官山 / サンドイッチ、ハンバーガー)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/09訪問 2014/10/11

ますます謎が深まる高級なサンドウィッチ専門店

【2014/09/24】   THE SANDWICH HOUSE 55

 今回2度目。12時10分頃に入店。
今日はキッチンに少しお若いシェフが一人増えていました。従ってキッチンには3人です。

 今回はTodya's Lunchのメニューから
    B.プレーンサンドウィッチ ローストチキン・野菜・卵
    C.クラブハウスサンドウィッチ エビフライ

 スープはお彼岸を過ぎた為か今度は温かいスープで海老の香りがするポタージュ。トーストされないコールドのプレーンサンドウィッチはパンが柔らかな為に挟んである中身が溢れてなかなか食べ難くちょっと練習が必要なようです。クラブハウスサンドウィッチのパンはトーストされている為しっかりしていて中身は溢れる事は少なく食べるのに苦労はしません。

 朝7:00から開いているがあまりお客が来ないのでもっと遅くから開けるようになるかも知れないとの事でした。シニアお三方の内、お一人はアメリカ帰り、もう一人はフランス帰りだそうです。まだまだ謎ですね。

【2014/09/13】   シニアが作る高級なサンドウィッチ専門店

 外観は黒を基調にお洒落。サンドイッチのサンプルが飾ってなければBarかPubだと勘違いしそうな外観。渋谷から明治通りを恵比寿にしばらく行ったJR新南口近くの明治通り沿いの角地にあるお店は4人用と.2人用テーブル席が一組づつととカウンター席が6席の小さな店だ。

 先ず気付くのがスタッフの皆さんがお年を召していると言う事。白髪に白い髭の素敵なシニア。この時はキッチンには二人、フロアーに一人の合計三名の老人(失礼)で切り回されている。お三方共に完璧なシェフの服装でしかも同じように汚れているので役割分担が決まっている訳ではなさそうでお三方でローテーションを組まれているのかもしれないと思った。どうして3人?どのような関係?と考えざる負えない。

 2014年7月16日(水)オープン。まだオープンして2ヶ月なんだそうだ。
 サンドイッチのメニューはサンドイッチが42種類、7種類のバーガー、6種類のホットドックの合計がお店の名前の通り55種類のバリエーションとなっている。

 3時まではランチメニューがあったのでそこから選ぶ事にした。

   C.クラブハウスサンドイッチ、ビーフ +ホットコーヒー    ¥1,382
   飲み物はコーヒー、紅茶、カフェオレから選べる。日替りのスープも付くらしい。

 キッチンはオープンキッチンになっている。カウンター席に座ったので目の前で手際よく小気味好く次々とサンドイッチが作られて行くのが眺められる。

 カウンターに座ると次々に作られて行くサンドイッチやホットドック、バーガーがみんな旨そうに見えてたまらん。頻繁にtake outの注文が入り、入店の客の注文と一緒にこなしていく。

 クラブハウスサンドイッチは十分なボリューム。皿にはサンドイッチと細く切ったキュウリのピクルスと小さな直方体に切られたパイン、ポテトフライが添えられている。パンを焼かないサンドイッチのサイドに添えるポテトフライは別皿に盛る気遣い。プロを感じさせる。

 スープは冷製。トマトとポタージュスープ。

 リッチでボリューミーなサンドウィッチでランチ。普段使いと言うよりちょっと贅沢したい時のサンドイッチと言う感じだ。ホットドックだと求めやすいし朝7時から開いているらしくモーニングもあるようだ。それにすべてがTAKE OUT出来るようだ。

 完全に気に入ってしまった。ここは通う事にしました。

  • 2014/09/24 プレーンサンドウィッチ ローストチキン・野菜・卵
  • 2014/09/24 クラブハウスサンドウィッチ
  • 2014/09/13 サンドイッチのサンプルが飾られている

もっと見る

8位

志る幸 (京都河原町、祇園四条、三条 / 日本料理、弁当)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2014/07訪問 2014/08/09

懐石料理より前に知るべき事  京都その164

【2014/07/24】   志る幸

 京都に着いたのはお昼12時を少し過ぎた時間。49年ぶりに復活した祇園祭の後祭りの山鉾巡行の終了直後に京都に到着した事になる。山鉾は巡行後すぐに解体するのでこれから見に行っても飾りが取り払われ骨組みしか残っていない時間であった。49年前までは前祭りと後祭りがあり、その少し前までは巡行するコースも今のように四条通り→河原町通り→御池通りではなく、松原通り→寺町通り→御池通りだったとか祇園祭の歴史をちょっと子供に教える。今日の後祭りの巡航コースは昔とは全然違った物になっていたようだ。今日は神輿が出る日。

 お昼ご飯は「志る幸」に行く事に決めていた。昭和7年(1932)、今から82年前に創業

 「しるこう」のいわれ
  「汁講」・・・昔、質素を旨とした時代に客は各自に
  飯を持寄り、会主は汁だけ設けて饗応しました。
  これは、平安中期 藤原氏の盛時に行われた
  「羹次(あつものつい)」の遺風と言われています。
  もてなしの気持ちを、ただ一杯の汁に込めた
  日本古来の美風こそ「志る幸」の心です。
              志る幸のしおりより抜粋

 京都での食事と言えば茶会で供される料理から発展した懐石料理を食べに行きがちなのだが、ランチとして子供にはあまりに高価である事と、懐石料理よりもっと基本的な京都の料理の心を知ってほしいと思ったのでここに連れて来た。料亭とか小料理屋で松花堂弁当を頂くぐらいならまだ良いが、本格的な懐石料理を頂くにはまだ供される料理の順番の意味、料理の季節と食材と調理方法、食器や装飾品などの知識がまだまだ付いて行けないと思う。
 「志る幸」では懐石料理も頂けるがもっと気楽に料理を楽しむ事が出来る。ここは私が学生時代によく飲みに来ていたお店でもあるので。

 暖簾を潜って中に入るとカウンター席はほぼ埋まっていて、三条、五条大橋の欄干に見立てた席が残っているだけだった。奥の座敷席でも良いと言われたがやっぱり表の部屋で頂くのが面白いので、欄干の席に付かせて貰う事にした。お隣はお茶屋さんの‘お母はん’と‘おなじみはん’のカップルがお昼からお酒を頂いていた。後で子供に何と説明したものやら。

   利休瓣當    2,500円
   鱧の落とし   1,600円
   穴子丼     2,000円

 子供は名物の“利休瓣當”と季節の“鱧の落とし”。落としは今年の初物だ。私は量が少ない穴子丼にしておいた。夜も別の店に予約を入れてあるし甘い物も食べるに違いないのでお昼の食事は節制する。
 利休瓣當に付く汁は味噌と具を店に掛けられた品札からオプションを選ぶ事が出来る。しながきは全て平仮名でしかも京都らしく濁音を使わずに書かれている。汁は白味噌して、具は‘おとしいも’に変えてもらう。おとしいも(山芋の擦り落とし)が絶対にお薦め。

 “利休瓣當”の内訳は扇型のかやくご飯、胡麻豆腐、鯛の焼き物、鶏の山賊焼、胡瓜のぬた、蕨の煮物、沢庵、奈良漬け。どれも美味しかったらしいが、白味噌の椀は別格として特に胡瓜の辛し味噌の和え物と干し蕨の煮付けが美味しかったらしい。味覚がちょっと大人になってきたようだ。鱧は水切りが少し甘かったように思う。穴子丼は関西では珍しく煮穴子をご飯に乗せた丼。美味。
 私の学生になる頃までは5月のGWの頃に山に入って山菜取りに行って蕨などを採って来たものだが今はもう採れないし許されないだろうと思う。

 ここも観光客が多いお店になってしまったようだ。といっても料理の質やサービスが落ちてしまったという事が全くないが、あまり京都の料理について知らない観光客には高価な食べ物と映るに違いない。
 お店のコピーの「加茂川の西 河原町の東」が私の子供の時から気になっていた。この辺りは加茂川ではなくて鴨川だろうと。この疑問はいまだに解けていない。京都の地には加茂、鴨、賀茂の違った表記があるのだが。

  • 外観
  • 利休瓣當
  • 穴子丼

もっと見る

9位

南町テラス (逗子 / カフェ、パン、ケーキ)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/05訪問 2014/06/12

小坪港を一望する山の中腹のテラスカフェ

【2014/05/25】   南町テラス

 逗子・小坪港を望む山の中腹にあるカフェです。週に週末の土曜日と日曜日のみ開店しています。いままでこのお店に行くのに2度ほど途中断念しています。一度目が山側からのアプローチを試みた時で披露山庭園住宅にあるはずの駐車場が見つからずに断念、もう一度は夏に営業終了後に行ってやむなく諦めて帰りました。今回は午後に開いている5月月末のラストチャンスを狙って訪問しました。

 小坪港から登って行きました。漁港特有の狭い路地の坂道を所々で日向ぼっこをしている猫を見ながら徐々に登って行きます。古井戸や石碑を見るにこの辺りは随分と歴史のある地域の様です。披露山からは縄文時代や弥生時代の土器片、遺跡を発見されていますし、古東海道が通っていたとの説もあります。‘小坪’の事は「吾妻鏡」にも出てきます。

 場所は承知していましたので迷わず行けますし、初めてでも道の途中に何箇所かに案内板が立っているので起点さえ間違わなければ辿り着けると思います。

 建物は急な坂の中腹に危うい感じで立っています。「こんにちは」と言って入って行くとご主人と奥様がいらした。
 パンの棚に何種類かの自家製酵母のパン。カンパーニュ、フォッカッチャ、シナモンロールが置かれています。もう売り切れている物をあります。その中からパンを2種と業務用レンジの上に掛けられた黒板に書かれたメニューから本日のスープとお皿、それに自家焙煎のコーヒーを選びました。

   本日のスープ 新ごぼうと人参のポタージュ    \400 × 2人分
   本日のお皿  小坪タコのマリネサラダ他2品   \500
   自家焙煎スペシャリティコーヒー         \400
   レッドチュダー リ・スティック         \300
   ブラックオリーブとローズマリーのフォッカッチャ \250

 席は小坪湾と逗子マリーナが見えるすこしオープンな二人用のテラス席です。ここの他に室内から海を望める席と、独立した個室が有ります。
 下の港からは小坪須賀神社の7月の初旬の夏祭り「天王祭」の練習なのでしょうか、お祭りのお囃子の小太鼓の音、遠く小坪湾の沖には何艘もの練習用の小さなヨット、何匹かの鳶が目の高さで飛んいます。

 まず最初に自家焙煎スペシャリティコーヒーが運ばれてきました。深煎りですが少し酸味が感じられる苦味ベースの珈琲です。素晴らしく軽い器でコーヒーも美味しいです。勿論、砂糖もミルクも使わずストレートで頂きます。木のプレートにカップと自家製の甘夏のピールとリンツLindtのミルクチョコレートが一枚添えられています。後でご主人とこの珈琲にはビターの方が合いますねと話しました。
 次に新ごぼうと人参のポタージュが運ばれてきました。丁寧に新ごぼうと人参をオリーブオイルで炒めて作った濃厚なスープです。二人分頼んでいたので取り合いにならずに済みました。

 パンは二人で同じように食べられるように切って持って来てくれました。フォッカッチャはオリーブオイルのいい匂い。オイルはスペイン産の「ナルラ」を使っているそうです。表面はパリパリしていて中が柔らかで非常に美味しい。リ・スティックもチュダーチーズが溶けた香りがして美味しかった。

 次に“本日のお皿”が運ばれてきました。サラダ用菜っ葉と小坪の獲れたての蛸のマリネ、レッドパブリカ、玉ねぎ、輪切りの焼ズッキーニの上にはチーズが乗せられています。赤い豆(赤いんげん豆?)と人参と赤いパプリカのラタトーユ。カボチャとスナップエンドウと?の和え物。一体このひと皿にいくつの料理が乗せられているのでしょう。なんと色彩豊かな皿でしょう。食べる前に見ただけで感動しました。
 パンとお料理は奥様が作っていらっしゃるのでしょうか。

 御主人はウイークデイは建築関係の仕事だそうです。気に入ったこの場所に筑40年の建物を移築するのに材料は全部手運びをなさったそうです。
 「今日は珈琲豆が思いの他出てしまった」と言う事で針金で編んだざるを使った簡単な手網焙煎機で焙煎をされていました。

 小坪はここの町名。従ってこのテラスの名前はここの旧町名の南町(みなみちょう)からこのカフェの名前を付けたそうです。6月からは朝の営業になります。

  • 入口
  • 本日のお皿
  • フォッカッチャとリ・スティック

もっと見る

10位

竹やぶ 箱根店 (箱根その他 / そば、日本料理)

2回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2018/08訪問 2018/08/15

お盆の週の前の金曜日はいつも満員

【2018/08/10】   手打ち蕎麦 竹やぶ 箱根店

 箱根でのお昼は「竹やぶ 箱根店」。
お昼の13時少し前に到着。
ここに子供を連れてくるのは初めて。
奇抜な装飾に流石の子供もビックリ。
私自身もここを訪れるのは大涌谷が噴火してこの辺りが入山規制になった3年程前頃以来だ。
あの時はお客さんが少なくて。

 駐車場まで来ると満車の状態。
平日の金曜日なのに箱根は既に夏休み状態だった。
入って直ぐの待合でネームリストに名前を書いて、外のベンチで待つ事にした。
順番は8番目。しかももう「本日 天せいろ、天ぷらそば、天種は終了しました」いう告知が書かれていた。こんなに混んだ竹やぶを見るのも久しぶり。

 流石に箱根は別荘地になっているぐらいで猛暑の東京・横浜と較べ気温も遥かに低く過ごし易い。それに山の天候なので多少ガスも出て来たので尚一層気温が低くなって来た。

 30分程待つと名前を呼ばれた。
一番良い席のテラス席に案内される。
ここの窓からは箱根の鬱蒼とした木々が見える。

 天ぷらが終っている事なので、限定の田舎そばがまだ残っているか聞いてみる。
石臼で手挽き田舎そばはお値段はせいろと同じながら私の好みの蕎麦だ。
 ラッキーな事に最後の一枚が残っていた。

    田舎そば           1,000円
    とろろそば          1,000円
    玉子焼き 二人前 2人前    1,200円
                      (税抜)

 以前は一人分でも頼めた玉子焼きは二人前以上しか頼めなくなっている。

 先に玉子焼で出来上がって来た。
一人前づつ一皿に盛られ、二切れに切られた玉子焼の脇に大根おろしと楓の葉が一枚。
玉子の匂いに敏感な子供がこんな美味しい玉子焼は初めてだと言って美味しいと食べている。
良かった。

 次に蕎麦が出来上がる。
子供はとろろそば。とろろ汁に玉子の入っている。盆には麺つゆが少し入った蕎麦猪口も付いている。蕎麦を食べた後に蕎麦湯を飲むための物らしい。
 いつもの田舎そばは少し星がある細いそばは見た目も美しい蕎麦。
玄蕎麦を毎日石臼で手挽きしている。
 薬味は辛味大根のおろしと葱の小口切り。
何故か山葵は付かないけれどその理由を伺った事はない。

 そば湯もたっぷり頂く。白濁しているがそば粉は足されていない。

 いつもは田舎とせいろとか2枚頂くのだけど今日はちょっと遠慮した。
折角遠くからお店に来た人が蕎麦が売り切れになっているとガッカリするから。

 駐車場に犬の‘あんず’の姿は見えなかった。
 ガスって来たけど、これから元箱根に行って、それから湯治場の温泉に入りに行こう。
(評価 4.2→4.5 )
【2015/05/10】  手打ち蕎麦 竹やぶ 箱根店

 大涌谷のすぐ近くにある「竹やぶ 箱根店」に行ってきました。
 大涌谷黒たまご館より直線距離にして1㎞ぐらいの所(高低差無視)にある「竹やぶ 箱根店」はある。しかも最近の箱根山火山活動の為に一部で通行止めが続く県道734号を通ってしか行けない所にあるのではたして開店しているのかと思い行ってみた所、何事もないが如く営業していました。
 とは言え、国道1号線から元箱根の少し手前から上の道の県道75号線を走ると殆ど車の姿は見えない。日曜日にも関わらず快適なドライブであった。

 ‘せいろそば’だけを頂き退散する事にする。

【2014/09/09】  以前より美味しく感じた竹やぶの蕎麦

 晩夏に降る長雨の隙間を縫って箱根の元箱根までツーリングに出かけた。バイクの場合は車だとチョット面倒な道の強羅から山越えをすると面白いのだが、この日は箱根湯本・三枚橋を渡って旧東海道をくねくねと登って畑宿入口から湯河原箱根仙石原線(県道75号)に入って元箱根まで快適に走る。平日なので渋滞・停滞とは無縁で気持ちが良い。

 店の奥の駐車場にバイクを乗り入れる。他の車は一台だけ止まっていた。今日は空いているのだろう。「竹やぶ 箱根店」は本当に久しぶりだ。開店した12年前より何度も訪れていたが、何故か行かなくなって最後に訪れてから5年は経っていると思う。と言うか竹やぶ系(と言っていいのかな?)には最近は昨年師走に相模原の「蕎竹庵 すぎはら」を訪れて以来どこにもお邪魔していない。

 門に掛かる麻の白い暖簾を潜って店まで歩いて行くともうそこは「竹やぶ」の世界に引き込まれている。よくもこんなに創作意欲がある物だと思うほど様々な創作物が道のあそこそに置かれている。店に入るとやはり一組だけの先客で、どこの席にでもどうぞと言う事だったので山が見える窓側の席に座る事にした。良く晴れているが箱根の風にはもう秋を感じさせる。

 氷を入れた水を出してくれる。メニューを見るが食べるものは決めていた。田舎そばとせいろそばを食べるつもりでいた。しかしメニューでは天ぷらが全てメニューから省かれていた。伺ってみると天ぷらは冬限定になったと言う事らしい。ほっとするやら残念やら。なぜなら「竹やぶ」の天ぷらは良いお値段がするのだ。

    田舎そば      1,000円 (税抜)

 田舎そばの為のそば粉は黒姫高原で育成された殻付きの玄蕎麦は毎日石臼で手挽きされている。田舎そばは限定で数に限りがあるのだが今日は残っていた。
 少し星がある細いそばは見た目も美しい蕎麦で、何も付けずに食べてみると香り良く腰も感じられて実に美味しい。そば汁は甘くて濃い。薬味は山葵の代わりに辛味大根と細い葱の小口切りを使っている。量的にも満足。
 持って来てくれた白濁して少し塗ん度があるそば湯。
 追加に決めていたせいろを頼む。

    せいろそば     1,000円 (税抜)

 こちらはそばには星は入っていない。細さは田舎そばと同じだかこちらは表面で跳ね返すような弾力がある。薬味はこんどは山葵と葱。辛味大根と山葵を使い分けるのは何故だろうと以前から思っていた疑問がまた浮かぶ。
 せいろを食べ終わると“とろろ”や“おろし”にしなくて良かったと思うほどもう食べられなかった。甘味も食べられなかった。

 心配していた「竹やぶ」の蕎麦は健在だった。と言うより以前より美味しく感じた。季節、天候、温度、湿度など蕎麦を美味しく感じさせる天候の要素は沢山あるがやっぱり天候ではなくてそばの打ち方が良いからだろう。
 最近伺った横須賀の蕎麦屋の主人の事もお聞きしてみたがちょっと謎が解けた感じがした。

 帰り際に駐車場で飼い犬の‘あんず’と遊んでいると一台の車が駐車場に上がってきた。その車に乗っていたご夫婦はあちこち探し回ってやっとここに着いたようだった。食べログの地図は大体正しい場所を示しているが単純に住所をナビに入れてもトンデモない所に連れて行かれるのだが、どうやらこのご夫婦もそうだったようだ。

 Q:「直ぐにここに来られましたか?」
 A:「以前から来てるので大丈夫でした。今日はまだ田舎が残っているようなので楽しんで下さい。」

  • (説明なし)
  • 田舎そば
  • とろろそば

もっと見る

ページの先頭へ