6回
2022/01 訪問
【再訪】大野城、洗練されたシャリの進化に悶絶♫『今年で9周年、更なる飛躍の年に!・・・。』
年初から、久しぶりに福岡と北九州に出張。
タイミング良く仕事の合間を縫って、そろりそろりとお気に入りのお鮨屋さんに♫
今回はお昼ながら、事前に夜の部のコース(22,000円)をお願いしていたもの。他のお客様は皆さんお昼のコースらしく、当然ながらわたくしは入口近くのボッチ席。ご主人の握りの所作が見えにくいが、基本は黙食ですからね。
ご主人の瀬口さんは相変わらず清々しい出で立ちの好青年。失礼、今や福岡鮨の重鎮のお一人ですから、貫禄がついたような・・・♫
先ずは、生ビール、あとは白州の水割り。サッと間髪入れず第一弾のお摘みが登場。いつもながら新鮮な素材に工夫を凝らした楽しみなお摘み♫
【お摘み】
❶アコヤ貝〜第一弾は真珠養殖で知られるアコヤ貝の貝柱を食する。鰹と昆布出汁にトロッとした衣と貝身が絶妙 ♫
❷虎河豚刺し〜薄切り、皮に鴨頭葱を巻き、唐墨を薬味に舌にのせると玄界灘が押し寄せるよう ♫
❸タイラギ貝の磯辺焼き〜出汁の染みたタイラギを炙って刻み青海苔をのせた一品。香ばしさが食欲をそそる。
❹鰆~小鉢に大きな鰆の切り身に葱、胡麻、山葵をのせ、大胆にかぶりつく。
❺渡り蟹〜清酒と紹興酒に漬けた新鮮な渡り蟹、上海蟹の紹興酒漬けみたいな蟹の旨味にしゃぶりついてしまう♫
❻マナガツオ〜揚げたて熱々のまながつおに岩塩をふり海苔巻きで。熱々加減が半端ない。
❼天然牡蠣(佐賀いろは島)の茶碗蒸し〜小ぶりな牡蠣に味わいの濃いとろっとろのコノワタを合わせてアクセント。
❽虎河豚白子〜昆布にのせて焼いたプリプリの白子、焼き解した唐墨を添えて塩味を加える。小石原焼きのお皿に極上の幸せな逸品 ♫
そろそろ握りの準備。最初に伺った頃は米酢と赤酢の濃淡2種類のシャリを使い分けていたが、4年ほど前から赤酢(横井醸造)をベースにブレンドして今の赤酢のシャリに仕上がっている。
研究熱心な瀬口さん、いつも試行錯誤の繰り返し。ようやく落ち着いたのだろうか。シャリは角がなく口の中でホロホロと解けるよう。酢の立った正統派江戸前も良いが、シャリとネタの熟成された絡み具合が絶妙な塩梅の博多前も秀逸。
【握り】
①鮃~キラキラと軽く脂がのった熟成された味わいが好き♫
②喉黒〜しっとりと熟成された喉黒は酢飯に合う。
③細魚~昆布の出汁で〆たもの。
④ソデイカ〜もちもちとした甘味と食感。
⑤ハガツオ~白身に近い美味い鰹。
⑥本鮪漬け~漬け具合、もちもちとした食感が良い。
⑦本鮪大トロ~塩釜産、切り目を入れたねっとり旨味の技。
⑧蛤〜九十九里の蛤はやはり大きくて味が濃い。
⑨鯖寿司〜シャリを取り巻く上品な鯖。
⑩車海老〜大好きな天草の車海老にシャリと芝海老朧。
⑪馬糞雲丹〜色鮮やかで綺麗な馬糞雲丹。
⑫穴子〜定番の厚みとホロホロ感が秀逸。
⑬ヤイトカツオ(手巻き)~カツオのなかでは脂ののり秀逸。
⑭玉〜スエビの出汁で。
・赤出汁〜シンプルなナメコの味わい。
やっぱり地物のネタをふんだん使った赤酢シャリの握りが、とびきり美味い。それにアイデア豊かなワクワクするお摘みが素晴らしい。更なる高みを目指して頑張っておられる姿を、京都から応援しています。
今年はオープンして9周年らしく、帰り際に瀬口さんからそっと「9th Anniversary 菊鮨(浜地酒造)」を頂き、誠に有難し。浜地酒造の"ヨーグルトあまおう(酒)"はお取り寄せするほどの大ファン♫
多少は値上がりしたが、いつもながらこのコスパを維持しているとは驚きです (*_*)
ごちそうさまでした。
2022/02/22 更新
2021/01 訪問
【再訪】大野城、向上心の感性が惹きつける『更なるブレークスルーの予感が・・・』
今夜もそろりそろりと、大好きな大野城市のお鮨屋さんに伺います。前日は博多の『鮨さかい』さんですから、奇跡的にも連夜の予約ができて嬉しい限り。昨年だけで3度も振られてましたから、本当に有難いことです。 ♫
今回もカウンターの中央でご主人の真正面というご配慮が嬉しい〜。ご主人の瀬口さんは相変わらず清々しい出で立ちの好青年。失礼、今や福岡鮨の重鎮のお一人ですから、やや貫禄がついたような・・・♫
今夜もお任せ(19800円)をお願いして、お鮨の味わいを邪魔しないハイボールで。先ずは、いつもながら新鮮な素材に工夫を凝らした楽しみなお摘みから。
今夜も凄いお摘みでしたよ〜╰(*´︶`*)╯♡
【お摘み】
・アコヤ貝〜真珠養殖で知られるアコヤ貝を食するという発想。鰹と昆布出汁にトロッとした衣と貝身が絶妙 ♫
・虎河豚刺し(玄界灘)〜薄切り、皮に鴨頭葱を巻き、唐墨を薬味に舌にのせると玄界灘が押し寄せるよう ♫
・渡り蟹(山口)〜ウヒョ〜、清酒と紹興酒に漬けた新鮮な渡り蟹の旨味を吸い取るように頂きます。絶品です♫
・牡蠣の茶碗蒸し〜いろは島産の小ぶりな牡蠣に味わいの濃いコノワタを合わせてアクセントに。
・虎河豚白子〜昆布出汁の味わいあるプリンプリンの白子に唐墨を削って塩味を加える。小石原焼きのお皿に極上の幸せな逸品 ♫
・タイラギ(豊前海)、馬糞雲丹(昆布森)〜出汁の染みたタイラギに熱を加え、馬糞雲丹をのせて炙った一品。香ばしい馬糞雲丹に優しいタイラギが良いね。
・まながつお〜揚げたて熱々のまながつおに岩塩をふり海苔巻きで。熱々加減が半端ない。
・喉黒〜皮目がパリパリで身はしっとりの喉黒を酢飯にのせて頂きます。うえには薬味の岩海苔で。
今夜は今までのなかでは最高、腰を抜かす位の素晴らしいお摘みでしたね〜(*^^*)
さあ、本番の握りがまた楽しみ〜♫
ム・ム・ム〜、あれっ何かが違うな〜(^^;)
そうだ、シャリのお櫃が1つだけになっている。今までは、赤酢の濃淡での2種類だったが、いつの間にか1種類になっていた。まだまだ試行錯誤を繰り返しているようで、瀬口さんの志の高さを見たような気がします。
【握り】
・アオリイカ(金崎)〜もちもちとした甘味と食感。
・真鯛(平戸)〜軽く昆布締めって好きです。
・鰤(対馬)〜珍しいかな。塩が合いますね。
・本鮪(塩釜)〜10日ほど寝かせて。
・小肌(兵庫)〜酢加減も抜群。姿もシャキッと。
・カマス(京都)〜飾り包丁と炙りが食欲を唆る。
・蛤(九十九里)〜千葉の蛤は大きくて味が濃い。
・鯖寿司(博多)〜シャリを取り巻く上品な鯖。
・車海老(天草)〜シャリとの間には芝海老朧か。
・サワラ(天草)〜軽くスモークした香りが秀逸。
・赤出汁〜シンプルなナメコの味わい。
・馬糞雲丹(昆布森)〜色鮮やかで綺麗な馬糞雲丹。
・穴子(対馬)〜定番の厚みとホロホロ感が秀逸。
・玉〜スエビの出汁で。
今でこそ、菊鮨さんはミシュラン⭐️、食べログSilverのご常連ですが、初めて伺った頃は無印であり、その後は飛ぶ鳥落とす勢い。
今年こそ、更なるブレークスルーを果たして、ミシュラン⭐️⭐️⭐️、食べログGoldまで登り詰めそうな気がします。いつもながら、高みを目指すご主人の心意気がちょっと楽しみ ♫
地物のネタをふんだん使った赤酢シャリの握りが、とびきり美味い。それにアイデア豊かなワクワクするお摘みが素晴らしいんです ♫
それにしても、このコスパを維持しているとは驚き (*_*)
いつもながら福岡って良いよな〜╰(*´︶`*)╯♡
ごちそうさまでした。
2021/01/30 更新
2019/07 訪問
【再訪】大野城、驚いたのはシャリの使い分けの進化とミシュラン⭐️『志の高い瀬口流江戸前鮨は・・・。』
お久しぶりの『菊鮨』さん。今回は時間的に余裕があり、また偶然にも予約できたもの。
それも今回はカウンターの中央でご主人の真正面というご配慮が嬉しい〜。ご主人の瀬口さんは相変わらず清々しい出で立ちの好青年。
いつもは義父や義兄夫婦とのランチで伺っていたが、今回は一人で羽を伸ばせる魅惑の夜。ワクワク。^_^
さっそく生ビールを頂きながら、左隣の地元の母娘と右隣の年配の食べ友らしき不思議なカップルにご挨拶。
【お摘み】
・真蛸(志賀島)
〜真蛸と茄子に酢味の効いたジュレとオクラのたたきをかけた夏らしい爽やかな逸品。見た目も綺麗。
・真鯛(姪の浜)
〜真鯛に雲丹醤油(余市)がけ。雲丹醤油はちょっとまったりした味わい。
・蛤(千葉)
〜蛤の天ぷらだが、かなりの大きさでジューシーで食べ応えあり。
・渡り蟹(五島)
〜渡り蟹とこのわたの茶碗蒸し。底から現れる具材がインパクトあり。
そう言えば、明日は『福岡・佐賀・長崎』ミシュランガイドの発売日。菊鮨さんは⭐️だったらしく、お祝いの胡蝶蘭が飾られている。
だが、ご主人の瀬口さんはまったく納得していないようで、お祝いの言葉にも「いやいや・・・」との反応。
それもそのはず、福岡市内の有名鮨屋は軒並み高評価だが、北九州の『天寿司』と大野城の『菊鮨』という福岡市外の一流店は⭐️のみと評価が分かれた様子。
表彰式では、その場に居合わせた天寿司のご主人と瀬口さんは、そのままお通夜のような打ち上げに参加することに・・・と、ご主人の裏話がまた楽しい。^_^
今でこそ、菊鮨さんは食べログ『Silver』だが、初めて伺った頃は無印であり、その後は飛ぶ鳥落とす勢い。まだまだ上り詰めそうな心意気がちょっと嬉しい。^_^
・ノドグロ(富山)
〜ノドグロにトロトロの山芋をかけているので、ノドグロの濃い脂身がサッパリと頂ける。
・太刀魚(天草)
〜分厚い身の太刀魚の串焼き。味わいが濃いな〜。
・穴子(韓国)
〜穴子の天ぷらをサクサクとした食感で。
・鱧(大分)
〜夏を彩る鱧の湯引きに大根降ろしがけ。湯引きした温かい鱧が珍しい。夏らしくさっぱりと頂ける。
さあ、これからは楽しみな握りと思ってお櫃を見ると驚いた。今までは、米酢と赤酢の2種類だったが、いつのまにか赤酢の濃淡での2種類になっていた。
まだまだ試行錯誤を繰り返しているようで、瀬口さんの志の高さを見たような気がします。そう言えばお弟子さんも増えている。
【握り】
・アオリイカ〜もちもちとした甘味ある食感。
・甘鯛〜食材のよさが秀逸。
・鯵〜志賀島の地魚が嬉しい。テンションが上がる。
・カスゴ鯛〜かなり酢が効かせた一品。
・縞鰺〜ご主人本日一押しの天然縞鰺。美味すぎ。
・本鮪中トロ〜10日ほど寝かして軽く熱を入れたもの。
・蛤〜千葉の蛤は大きくて味が濃いな〜。
・車海老〜シャリとの間には芝海老朧がないかな。
・鮑〜宗像の鮑とは驚いた。
・赤雲丹〜夏の楽しみ。唐津の赤雲丹。嬉しいな。
・赤出汁〜口休め。
・穴子〜対馬の穴子は定番の厚みと美味さ。
・鉄火巻き〜本鮪の綺麗な赤身を使った贅沢な一品。
・玉〜スエビの出汁。
高揚して気分良く握りを頂いているなか、左隣のおばさんが、かなり酔ってちょっと手がつけられない。ご主人も苦笑い。(^_^;)
ちょうど右隣の年配の上品な奥様が色々と話しかけて頂き助かった。オタクっぽい男性の食べ友さんとの関係は詮索するまい。3人でお店の情報交換もまた楽し。
ところで、今夜のお鮨とお摘みも期待通りだったのだが、初回のような驚きがちょっとなくなってきたかな。
だが、これもいっときの臥薪嘗胆の時期であり、きっとこれから新たな次元にブレークスルーするでしょう。
菊鮨の魅力は握りはもちろん、爽やかな瀬口さんの凛とした佇まいと流れるような所作に尽きる。更なる志が楽しみ〜。(^_−)−☆
ごちそうさまでした。
2019/07/17 更新
2018/05 訪問
【再訪】大野城、洗練された所作が素晴らしい『丁寧な仕事としゃりの旨さは半端ない・・・。』
う~ん、やはり唸るしかない。お昼のおまかせでありながら、この洗練された鮨の旨さは半端ない。博多から電車で10分くらいの博多近郊の大野城駅近くの住宅街にあるお鮨屋さん。
女房の実家である六本松からは離れているが、義父が住む高齢者マンションからは近いので有り難い場所にあります。有難いことに連休中の帰省最終日に予約がとれたので伺うことに。
カウンター10席全員が揃ったお昼の時間通りに始まります。ご主人とお弟子さんがひととおり準備を終えると、軽くお摘まみから。まずは、女房と義父の末永い健康を祈って生ビールとお茶で乾杯。らしからぬ理由ではあるが・・・。
摘みのあとは、いよいよシャリ造り。大きく奇麗な寿司桶が二つに、炊いたばかりのおひつが二つ並ぶ。それぞれに米酢と赤酢をかけて鋤いていく。このご主人のこなれた所作が美しいですね。
こちらのお店のシャリは桁外れの旨さなんです。軽く握られた鮨飯はふかふかで、形が崩れそうで崩れない寸前の絶妙な極みが凄い。特注の大粒米を固めに炊いているので、口に入れるとハラリとほどける。前回、このシャリに驚いた次第。
【お摘み】
・イカソーメン
~綺麗な飾り包丁の入ったアオリイカに、キザミキュウリ、はりしょうがを添えた軽いジャブのような爽やかなイカソーメン。
・アオサ(天草)の茶碗蒸し
~キノコを入れた茶碗蒸しのうえには鮮やかな深緑のアオサが海の香りを漂わせる1品。
【握り鮨】
・アオリイカ(宗像)
~寝かせて余分な水分抜いているので、もちもちとした食感とねっとりした旨味を増している。最近のアオリイカは北九州沖で揚がると聞いていたが、実は宗像産が多いらしい。
・マグロ赤身(沖縄)
~ご主人によると、今の時期のマグロは沖縄産がいいとのこと。それも今日は200kgを越えるビックサイズのマグロ。綺麗な切り分け方や丁寧な保存の仕方に料理人のプライドが垣間見える。
・マグロ中トロ(沖縄)
~しつこくない脂身が程好く蕩けるような中トロ。う~ん、やっぱり中トロが好きだな~。
(’-’*)♪
・甘鯛(島原)
~これまた寝かせて昆布締めされた甘鯛。只でさえ旨い甘鯛が甘みを増してねっとりと絡みつく。シャリと甘鯛の間に何かが・・・。
・真鯵(壱岐)
~肉厚の鯵らしい鯵の味がする。(ややこしい表現ですが・・・)
・ホタテ(北海道)
~これまた3日寝かせて水分を抜いたホタテを、味つけしたホタテ出し汁に戻して漬け込むという手の込んだ逸品。ホタテの味が濃いな~。
・車海老(大分)
~奇麗なグラデーションの車海老。シャリと車海老の間に芝エビのオボロが入っており一味変わった濃厚な味わい。
・ノドグロ(対馬)
~塩絞めしたノドグロに炙りを加えているので、脂の旨味に香ばしさが加わって旨い、旨い。
・赤貝ひも軍艦巻き(宇部)
~海苔にシャリをおき、シャリが隠れるくらいの赤貝のひもをこれでもかとのせて、「さあ、どうぞ・・・」。
・桜マス
~奇麗な桜マス。女房が好きみたい。
・馬糞雲丹軍艦巻き
~海苔にシャリをおき、シャリが隠れるくらいの大きな馬糞雲丹をのせて「さあ、どうぞ・・・」。赤雲丹ではなく残念だが。
・穴子白焼き(対馬)
~蕩けるような穴子にほんのり甘い煮ツメをかけて、旨い旨い。
・玉(海老すり身)
・ぜんざい(いちご、焼き餅)
【追加】
・コハダ
~江戸前鮨のコハダが好きだな~。
食事が終わると、数名のお客が残ってご主人と暫し談笑。モナコで料理人として修行していた時期の苦労や日本との違いなど楽しいひとときでした。
昨夜は、中洲「独酌しずく」で五島の泳ぎ鯖刺しと対馬の穴子刺しを頂き楽しんでいると、大将と菊鮨の話に。ともに女性誌フィガロに掲載されたらしく・・・。
お昼だけの判断で申し訳ありませんが、個人的には握り鮨では「菊鮨」かな~。
毎度、ごちそうさまでした。
2018/10/31 更新
2017/10 訪問
大野城、ネタの彩り豊かな鮨屋さん『更にシャリのクゥオリティーが素晴らしい・・・』
博多のマイレビ様が口を揃えて絶賛するのがこちらの菊鮨さん。場所は白木原駅から歩いて8分程度の住宅地の中にある。今回は久しぶりの女房孝行、博多に住む義父(91歳)、義姉夫婦の5名でお伺いした次第。
大将は2代目(30歳台半ば?)であり、こちらが実家らしく、家業である鮨屋を継ぐときに『菊寿司』から『菊鮨』に店名を変えて新装開店したとのこと。あ~なるほどね。でなければ、博多から離れたらこんな住宅地にお店はださないでしょうね。やはり開店時はまったく客が来なかったようだが・・・。
元々は当時博多の最上級老舗であった河庄で修行する予定だったらしいが、縁があり高玉で修行することに。その後モナコの高級ホテルの料理長として数年勤めていたとのこと。確かに、当時の博多鮨屋では河庄と高玉が双璧だったと思う。あの頃の接待鮨屋はこの両店で決まりみたいな雰囲気もあったが、残念ながら今ではその頃の勢いもなく、時代の変革に流されてしまったようだ・・・。
注文は、お昼はおまかせ(5000円)のみ。お摘まみが2品、握り鮨が12貫、赤だし、デザート。まずは生ビールと思ったが、瓶ビールしかない。だが、かえって雰囲気があるかな。
【お摘まみ】
・魚皮の酢和え物
~こりこりと歯応えがあり酢味なのでいい感じ。
・梅餡の茶碗蒸し
~爽やかな梅の酸味をだした茶碗蒸し。握り鮨を頂くの前の胃を優しく整える。
生ビールの次は地元のお酒を薦めて頂く。福岡の井上合名会社の「ポルチーニ」。井上合名会社は1922年創業、筑後平野の三井郡大刀洗町にある。イタリアの松茸といわれる香りが高い「ポルチーニ」は、芳醇な香りが特徴のひやおろしである。
お摘まみをだし終えると、次は炊いたお米の入った2個の大きなおひつをカウンター袖に。其々米酢と赤酢を入れると、お米をしゃもじでさっと切り分けるようにかき混ぜる所作がさくさくと素早くて綺麗な流れである。大将によると、当たり前だが鮨屋はやはりシャリが一番大事。お米は、佐賀県白石産のヒノヒカリを使い毎回水分量は計って必要な分だけ炊き上げる。
確かにシャリの米粒の食感がハッキリと感じられ旨味が残る。特に赤酢は色合いが綺麗で米粒がくっきりと分かれているのがよく解る。米粒一つ一つを感じるくらいのちょっと堅めのシャリが心地よい。さらに、奥深い朱色が色鮮やかで綺麗な赤酢のシャリがいい感じ。
【握り鮨】
・カマス(大分産)
~皮目が綺麗なカマスであるが、2~3日寝かせて旨味が皮目までまわった逸品。身が締まっていい感じ。
・本マグロ(大間産)
~築地市場から仕入れた本マグロだが、大間産のブランドマグロでかなり旨い。
・さわら薫製
~燻製が効いていて香りがたっている。さわらはよく自宅で西京味噌漬けを作る。あっさりとした白身なので何にでも染まり易いが、本来の旨味は変わらない魚だと思う。
・赤雲丹(唐津産)
~この赤雲丹が楽しみでした。深紅のシャリに深い黄色というか金色のようなお鮨が旨そうだったが、やはり予想通りのねっとりとした濃厚さが素晴らしい。
・穴子(対馬)
~とにかくほろほろと蕩けるような。大将が何度も「これは絶品ですよ。」と言うくらいの旨さ。確かに下準備が全てのような穴子だが、やはり素材も素晴らしい。
・〆鯖(五島)
~五島の鯖であれば、博多ですから江戸前に拘らず炙り生鯖でも良かったのではないでしょうか。泳ぎ鯖の旨さは知っているつもりなので、ちょっと残念かな。
・サンマ(釧路)
~今年の秋刀魚は型が小さすぎると言われているが、お鮨にするとあまりわからないかな。
大将は魚の状態をみて寝かせたり昆布締めしたり炙ったりと判断されており、色々と工夫されたお鮨は飽きさせない。本当に研究熱心なのでしょうね。ネタ木箱から下準備した魚を丁寧に取り出す所作が流れるようで素晴らしいですね。魚を大事に扱う態度やきびきびとした動きを見ていると清々しい料理人の姿勢がよくわかります。仕事は異なりますが勉強させて頂きました。
・あら(宗像産)
~博多といえば「あら」。関西では「クエ」。独特な味わいがあり旨味が濃い大型魚。寝かせていたかな?
・はがつお
~はがつおらしくないかな。とにかく旨い。
・金目鯛
~ねっとりとした旨味が舌に纏わりつくようで旨味がずっと残るような食感。やっぱり脂が旨いんですね。
・活きゲソ
~流石にさっきまで活きていたゲソは、新鮮で旨い。素材を前面に出す博多前なのでしょうか。
・イクラ(新物)
~イクラはいつもながらなかなか産地の違いや旨味の違いがよくわからない。
・玉
~意外にあっさりとした玉であり、店名の刻印もないシンプルなもの。
翌日、大濠公園近くのフレンチ「トアヒス」のランチに伺うと、菊鮨の大将もよくお店に伺うらしくご存知とのことであり、今まで何度か一緒にコラボ企画をやっていたとのこと。なんという奇遇でしょうか。いつもながら不思議な縁とはあるものだ。
義父や義姉夫婦も満足したようで連れてきてよかったと感謝する次第。特に義兄はこれから接待に使おうと大将から色々と情報を得ているようである。ちょっと嬉しいかな。
とにかくふわっとしたシャリの食感や赤酢の色彩が鮮やかで、味も見た目も素晴らしい、満足感の高いお鮨屋さんに出会えて幸せである。やはり博多の鮨屋さんは若手の台頭で活気があると聞いていたが、その通りと感心するばかり。次回は夜に伺います。
爽やかで清々しい大将の工夫を凝らした濃厚な鮨に大満足。
「やっぱり、博多は良かね~。好いと~と。」
ごちそうさまでした。
2018/03/05 更新
福岡でのランチは大野城の『菊鮨』さん。
大野城は博多から電車で15分、福岡空港からも距離的には同じくらいの住宅地のなか。駅から徒歩10分くらいかな。昨夜の大分、黒崎の鮮魚系料理から福岡のお気に入りのお鮨屋さんへ♫
ご主人である瀬口さんの経歴は今さらだが、モナコ公国の経験などから更なる高みを目指しておられる料理人。いつもの玄界灘の魚介類を使った本格的な江戸前が楽しみ♫
まずは、生ビールと炭酸水で乾杯。
【お摘み】
❶真蛸〜コノワタの内臓系塩味が真蛸に蕩ける
❷鯛卵〜卵の味がわかる薄味にツンとこない山葵の香り
❸九絵お造り〜塩or山葵、葱。やっぱり博多は"アラ"
❹ヤイト鰹〜味わいあるスマ鰹は好きだな
❺真魚鰹の素揚げ海苔巻き〜もはや真魚鰹そのもの
❻喉黒蒸し鮨〜独特な喉黒の味わいある餡が絡む丼
❼渡蟹イクラ鮨〜さらに青海苔のせアクセント
❽鰆焼き物〜綺麗に飾り包丁を入れ焼きカラスミ振りかけ
❾ムラサキ雲丹の茶碗蒸し〜濃厚なムラサキ雲丹は嬉しい
そろそろ握りの準備。最初に伺った頃は米酢と赤酢の濃淡2種類のシャリを使い分けていたが、5年ほど前から赤酢(横井醸造)をベースにブレンドして今の赤酢のシャリに仕上がっている。
因みに、鮨のお米はシャリというが、釈迦の遺骨のことを仏舎利と書き、火葬され残った骨が真っ白で米粒に似ており、分骨された仏舎利がとても小さく米粒に似ていたから。
【握り】
①新イカ地物(姪浜)〜墨烏賊の子供は初々しい
②鱚(姪浜)〜地物中の地物、博多から近い姪浜漁港
③九絵(五島)〜上品な味わいが素晴らしい
④ヤイト鰹(五島)〜大好きなスマ鰹、握りも美味い
⑤新イカげそ(姪浜)〜新物は何か特別感がある
⑥鯵地物(玄界灘)〜根付きの鯵は脂ののりが半端ない
⑦小肌(熊本)〜有名になった天草の小肌は絶品
⑧メジマグロ(五島)〜クロマグロの幼魚だが大人の味わい
⑨本鮪(戸井)〜延縄で揚がった122kgクロマグロ、山幸より
⑩車海老(玄界灘)〜車海老は天草産だけではない
⑪蛤(九十九里)〜柚子の風味が効いて蛤の濃い味わい
⑫赤雲丹(山口)〜たっぷりの赤雲丹、奥さま大好物♫
⑬赤出し
⑭玉
一種類の赤酢に固定してから約5年、いつもながら熟成されたような香りながら硬めのシャリがたち、口にいれるとホロリと崩れる絶妙なバランスが心地良い。
玄界灘が中心の種は食べ慣れた魚介類が安心感をもたらしてくれる。楽しみな赤雲丹は近年味が薄くなってきた気がするが、他のお店でも同じような話を聞いた気候変動の影響だろうか。
美しい瀬口さんのお鮨、これからも末永く頂きたいものだ。
ごちそうさまでした。