mmatさんが投稿した鮨わたなべ(東京/四谷三丁目)の口コミ詳細

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鮨わたなべ四谷三丁目、曙橋、四ツ谷/寿司

4

  • 夜の点数:4.2

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.7
      • |サービス 3.8
      • |雰囲気 3.6
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク -
4回目

2021/12 訪問

  • 夜の点数:4.2

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気3.6
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

今回紹介するのは驚きのおつまみ2品。「対比」をテーマとした白子、松葉蟹の2皿が凄かった!!!

毎年、年末にこの店を訪問する事が我が家の楽しみになりつつある。気が付くと、このみせの訪問も4回目。正直な所、私が1つの店に再投稿する事はほとんど無い。増してや4回目の投稿となるとは、自分でも信じられない。その気になったのは、飲めもしないのに、この店のおつまみの美味しさに惚れ込んでしまい、今回、紹介したい2品があったからである。

その2品の一つ目は「フグの白子と鱈の白子のつまみ」。一口で説明するとすれば白子の二重奏。
この「二重奏」にこの一品の意味がある。フグの白子は軽く炙ったものが一番美味しいと思っている。これだけなら、フグ専門店で早い者勝ちや予約で何回か食べた事がある。鱈の白子も居酒屋で何回か。
ところがこの一品の一工夫は鱈の白子を下に盛りその上にフグの白子を盛り付けた(だけと言っても良い)。しかし、別々に食べればそれだけの料理なのだが、この料理は味の違い、食感の違いを楽しみ、一つの皿にすると言うアイデアにより複合的な「白子」料理に仕立てられた訳だ。この旨さを表現する語彙を持ち合わせていない事が残念でならない。

二つ目のおつまみが間人(たいざ)蟹の二重奏。大体、間人蟹なぞ、生まれてこの方一度たりとも口にした事がない。200m〜300mと言う海底に金網の檻(罠)を垂らして丁寧に捕獲する漁法と聞く。この冬はシケが続き不漁。東京の市場にはほとんど入荷せず、京都の市場で知人が仕入れたものを送らせているそうだ。噂に聞く間人蟹のブランドタグが緑色(越前ガニは黄色いGIタグ?)をしていることを初めて知った。正確に言うとズワイ蟹の漁期は11月6日(頃)から。雄は地域により名前を変え、雌は小ぶりで12月31日迄で漁期が終わり「セイコガニ」と言われるのだそうだ。基本的に福井県で漁れる「越前蟹」には黄色のGIタグが付けられるが、石川県は「加能蟹」と名前を変えタグは水色、島根は青色、鳥取は「鳥取松葉蟹」で白(+赤文字)、兵庫は「柴山蟹」がピンクで「浜坂蟹」が白、京都は「間人蟹」が緑。初めて知ったが何とも格式が高いと言うか、やっかいな事になっているものだ。

何やら解説書のようになってしまったが、正確に記述すると二つ目のおつまみは松葉蟹の雄の「間人(たいざ)蟹」と雌の「セイコガニ」の盛合せ。どちらも3、4口程だがこの様な贅沢は夢の様。どうやら部位が異なる様で、間人蟹は明らかに脚の身、セイコガニは胴体の身では無いかと思われる。値段が雄の方が圧倒的に高いとは聞いているが、イメージ通りの蟹の味、つまり私の知っている毛蟹の延長にあるのだが、身構えているせいか味の奥行きが全く違う。何か舌を突き抜ける様な旨さとでも言うか、味の膨らみとでも言うか、これが蟹の味なのだと思い知った。
一方のセイコガニは「通が好む」と聞くが前述の通り脚の身でない様だが、一口で味を表現するとイメージする蟹の味ではない。具体的に説明すると目をつぶって食べたとしたら蟹とは思わない未知の味なのだ。二つの味の違いは驚きの一言。これも全神経を研ぎ澄まして味わっているからこそ感じられたのかもしれないが、店主の狙いに違いないと思うと、何とも心憎い演出だ。

今回、おつまみ2種を紹介させてもらったが、偶然これら2皿のポイントは「対比」。旬の食材を厳選して仕入れ、考えた上で皿の上で「対比」を実現。フランス料理の様な複雑な調理を施さず、シンプルな調理(一手間)で提供する事こそが、和食の技の真髄と思い至るに至り、ある部分「鮨」の仕事(一手間)と共通するものがあるのかなと思った次第である。

2022/01/06 更新

3回目

2020/12 訪問

  • 夜の点数:4.1

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス3.7
    • | 雰囲気3.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

鮨の「仕事」で未知の味を堪能、「仕事」の奥深さを垣間見る!

この店でお酒も飲めないのにおつまみ込みのお任せコースに目覚めて半年。困った?事に他の店に行く気がしなくなった。我が家の年2回(厳密に決めてはいない)の「お鮨贅沢」で年末を締めくくろうと言うことで、駆け込み訪問。
又、感動してしまったので、私にとって初めての同一店舗3回投稿となる。

まず今回のコースの「美味しかった」ポイント。
① おつまみで人生初の間人(たいざ)蟹[毎年11月6日に解禁されるブランドズワイガニ]
② 同じくおつまみでフグの白子
③ 今年3回しか手に入らなかったと言うギンロウ[金目鯛は地金目鯛(ジキンメ)、島キンメ(シマキンメ)、沖キンメ(オキキンメ)と言う3種類があり、地金目鯛は1Kg超えは最高とされ「1キロ超えると味が化ける」と言われる。ギンロウは更に上で2Kgのもの]。当然、人生初。

これら2種類のおつまみとギンロウを熱した金箸で皮目に焦げ目をつけた握りがどれ程美味しかったかは言うまでもない。ご主人の「美味しくな〜ァれ」の呪文付き。

だんだん落ち着いてこの店で鮨を楽しむ事ができる様になり、食べて「味が違う」気が付いて、店主に確認して分かった職人の技について以下に述べる。

握り1貫目のカワハギ、3貫目の赤貝、4貫目の青柳、6貫目のトロ、9貫目の海老。
カウンターからご主人の作業を見ているだけで楽しい。
ご存知の方も多いと思うが、私たちの味覚は新鮮だから美味しい、食べ頃状態だから美味しいの2種類がある。寿司はネタ、包丁捌き、握りの3要素で味が決まると思い込んで40年。知識としては認識していた「鮨の仕事」を今回改めて思い知らされる。
まず中位の大きさの天然山葵を弟子が鮫皮で擦りおろす作業が店にいる間に3回、つまり3組の客の為に40分に1回位、かなりの量をおろす。1日で1本半から2本使い切るそうだ。
見える「仕事」で凄いなァと言うのが分かるのがカワハギと赤貝。鮨を「調理」するのだ。カワハギは肝、何か、薬味、山葵を仕込んだ上で握りに入り、仕上がった鮨はネタを通して薬味の緑色などが透けて見える所が美しい。赤貝は「調理」としてはシンプルで、ヒモをネタとシャリの間に挟み込んで握られるので、食べた時の食感に複雑な変化があり、海の香りと味が口の中で広がる際の強烈なアクセントになる。

驚いたのが青柳とトロ。この2貫は目の前で「見えない仕事」。ネタは既に準備されていて握って出されて、食べた途端に衝撃。どちらも割とよく食べるネタである。しかし奥歯で噛んだ時の食感と味が根本的に異なるのだ。
まず青柳の鮨。青柳はコリコリと言う歯応えではなくシャクシャクと言う歯応えだと思っている。ところがこの店の鮨はどちらでも無い未知の食感と味。湧き上がる疑問は、ご主人に聞くしかない。答えは「熟成」と下拵えの「湯煎」との事。
もう一つがトロ。ご主人が出しながら早く食べろと言う。熱い酢飯をネタの面に挟んで握っているのだ。マグロは私では滅多に口にすることはない近海の本鮪と言うこともあるが熟成期間と握る直前に熱を加えると言う一工夫による異次元の食感と味(バーナーで炙ると焦げ臭い匂いが口に残ってしまう)。この様に感じる要素の一つに
つまり、普通よりかなり温かい(決して熱くはない)シャリを口の中で感じる意外性と同時に、その熱で融点が低いトロの油の不飽和脂肪酸の旨味を口に入れた瞬間に感じさせようと言う計らいなのだ。口の中の温度で溶けるタイムラグを短縮して、美味しくする「仕事」。人生最高のトロである。

次が奥で調理したての技による海老と穴子。この店はデザート「卵」の前に穴子でクライマックスに持っていく演出をするので、穴子の方は既知の味なのだが、海老がとにかく凄いのだ。茹で海老の握りの味を思い浮かべて欲しい。これが大好きと言う方は別として、まあこんな感じと言う方が多いと思う。その様な方は生海老の握りの方が美味しいと感じられるのではなかろうか?
今回の海老は茹で海老だと思って口に入れて驚愕。何これ?と思ってご主人に質問すると、サラリと「茹でたてを握っただけ」。きっと嘘。生でも食べることが出来る海老を半生に茹でて旨味を活性化させていると思われるが、正直なところ茹でエビの鮨を美味いと思った事が無かったが、生の海老より遥かに美味しいと感じる。

追加で注文した鉄火太巻き、目の前で巻いていた他のお客さんが注文したビックリするくらい沢山詰め込む干瓢巻きなど話のネタは尽きないが、今回改めて思い知らされた鮨の「仕事」。今回の内容となると流石にコースだけで一人2万円超となるが、この店のお任せコースは価格以上の価値がある。

2021/01/06 更新

2回目

2020/06 訪問

  • 夜の点数:4.0

    • [ 料理・味4.2
    • | サービス3.7
    • | 雰囲気3.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

鮨職人の「技」を見せつけられ、堪能したお任せコース。これからは「握りだけ」は止める!

2年ぶりの訪問。
前回も述べたが私はアルコールがダメ。
前回は握り中心でお願いした所、突出し一品の後握りと言うお任せコースだった。他のお客さんはおつまみを何種類も楽しむ姿を横目で見て、羨ましく感じた。
今回もグループ全員が呑まないと言う事で、呑めないことを伝えておいた。
あとは一切お任せ。
結論を先に述べると、今回は握り寿司以外の料理と握り寿司をバランス良く楽しませて頂けたのだ。
アワビとジュンサイから何と9皿の料理(おつまみ?)でコースは始まる。特別の塩で鯛、そしてトロトロのカツオのお刺身、大葉で挟んだ平貝の炙り、香りの良い青柳、山椒の葉の薬味をまぶした白身の煮浸し。
この魚ってこんなに美味しいのだと感動したのが太刀魚の焼き物。大袈裟に言うと見直してしまった。今迄、太刀魚を美味しいと思って食べた事が無い私にとって、爽やかな脂の乗り具合、シッカリとした味、絶妙の焼き加減だからこその旨味溢れる身質。当たり前かもしれないが、この様な鮨店は「握りだけ」はダメ(一応記載しておくが、お値段は「だけ」は1.2万位、「おつまみと握り」は2.1万位)で、お楽しみチャンスをかなり放棄する事になる。

握りは初めてでは無いので、かなり落ち着いて楽しむ余裕があった。
季節にもよるが、定番のウニ4種鮨(握りと言うかマイクロ丼)含めて12貫と鱧の吸物(もっと飲みたい)。私はオプションでワサビ巻きを追加。

握りは前回色々コメントしているのでトピックだけ紹介すると、「炙り」が普通と違う。熱した鉄箸を押し付けて一手間。確認していないが、ボンベバーナーで炙るとガスの匂いがついてしまうから?(グルメコミックのネタになりそう!)
俎板に白身のサクを置いて鉄箸で何をするのかと思って見ていると、ジュウっと音を立てて白煙が湧き起こるのだ。素晴らしいパフォーマンス(もちろん、美味しさを引き出す為と分かっている)。

もう一貫、一貫で美味いッと唸っている訳で、これらの美味さを文章で表現し切る事ができたら、どれだけ素晴らしいだろうと思う。

ワサビ巻きは「かなり辛いですよ」と注意されたが、粋がって注文したもの。2個目で涙目になり、むせながら完食。

食後のデザートでサプライズ。食用ホオズキ。コロンと1個丸ごと目の前に。驚きの甘さと香り。特別の品種なのであろうが、もちろん生まれて初めて。こんなに爽やかでフルーツ感覚で頂くことができると知って感動!

もちろん訪問者3名全員、大満足だった事は言うまでも無い。

2020/08/05 更新

1回目

2018/02 訪問

  • 夜の点数:3.7

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス3.5
    • | 雰囲気3.5
    • | CP3.7
    • | 酒・ドリンク-
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

60年以上イメージして来た握り寿司と違う「鮨」に出会った

生まれてこの方、何回寿司を食べたか数えられない位だが、それなりに美味しいと思える店に、毎回出かけている。
思いついて、一度、お任せしかないようなこだわりの店で食べてみようと言う事になり、いくつかの店を調べた結果、選んだのがこの店。
荒木町と言う魅力的な街であるにもかかわらず、今まで一度もこの街に食事に来た事がなかった。

駄目元で週始めに予約の電話をしてみたら、その週後半の予約を取る事が出来た。我々は残念な事に、お酒がダメなので、その事を電話で伝えて握り中心でお願いしておいた。
そして当日。
少し前に仕事帰りに通り抜けた事がある花街から風情ある飲食店街に変わった路地(車力門通り)を入り、少し進んだ所にこの店はある。今は芸者さん達は赤坂に移ってしまったそうだが、甲州街道と靖国通りに挟まれたこの一角は池(昔は滝まであったそうだ)もある。昭和レトロかと言うとそうでも無い。改装してピカピカの店もチラホラ。今回の店も、改装してピカピカの店の一つ。誤解しないで欲しいが、店の風情は、上品なカウンターの割烹とでも言う雰囲気。特徴は寿司ネタケースが客に向かって無く、ご主人の包丁捌きの高さと我々がテーブルとして使うカウンターの高さが同じ、最近雑誌で見かける鮨屋さんのスタイル。19:00入店だがカウンターの先客1組とお座敷1組。途中でもう一組入って満席となる

飲み物を通常聞かれるが、この時が一番恥ずかしい。私は鮨には熱いお茶が一番合うと思っている。きっと我々の様子が緊張して見えたのであろう。「そんなに緊張すると、こちらも緊張してしまいますよ。」と言うご主人の暖かい言葉で、肩の力が抜ける。

握りお任せでとお願いしていたが、ご主人が気を利かせて2種類先付けを準備して頂ける。白魚の生を口当たりが悪い頭と尻尾を落として煎ったカラスミをまぶしたものと煮蛸の2皿。
白魚のツルんとした食感に煎ったカラスミが絡む事で、香り、味が独自の世界になる。カラスミ自体、滅多に食べないが、口の中に丁度良い濃厚さ、チョットした香ばしさ、そして白魚のサッパリ感が同居するのだ。
ご主人が煮蛸の皿を出す時、「魔法をかけて柔らかくしてます」との説明。期待で胸が膨らむが、試しにそっと前歯で噛んだ煮蛸の食感は忘れる事が出来ない。身が崩れる訳でもない、とろけるわけでも無い、かと言って噛み切るという感覚も無い、しかし確かに噛み切ると言う感覚をなんと表現したら良いのか?そして口中に広がる優しい味。正に、かつて経験した事がない食べ物、そして料理なのだ。2切れの蛸。既に一切れは胃袋に収まっている。もう一切れを食べるのが惜しくなる気持ちが込み上げてくる。それでも食べる!旨い!!

生姜の話に移る。
私はお鮨屋さんの生姜が大好きである。おそらく、どのお寿司屋さんでも、よっぽどひどいものでない限り人より多く食べてしまう。
この店は2種類の生姜が出される。一つは、普通お寿司屋さんで出されるタイプ(普通の生姜)、これが普通より薄くスライスしてあり、目の前に小さな山状に盛られて来る。もう一つが余りお寿司屋さんでは見かけない出し方。ただ適当な大きさにカットしただけの出し方。同じ生姜を切り方だけ変えて出していただけるが、これが美味い。生姜だけで4回位お代わりする事になる。

いよいよ握りに入るとの宣言。
12握り+1煎餅+1巻物+2種類の卵=16種類のネタ。これにハマグリの吸物、と言うよりスープが付く。
1つ1つレポートしたいところだが、いくつかピックアップしてみる。
まずシャリ。私がよく行く店と全く異なる。少し米が固いかと感じるくらい、一粒一粒の米(シャリ)が立っている。しかし、握りとして持ち上げても崩れず、口に入れてほぐれる。しかし、改めて感じたが、1貫1貫煮切り醤油を塗って出して頂けるので、上品な箸で食べても、バラしてしまうと言った粗相はしないよう注意したものの、職人さんが手で握ったものを、手で摘んで頂く安心感は捨てがたい。
初めての経験をいくつか。
「1煎餅」と記したが、平貝の貝柱を海苔で挟んだもの。鮨と言うのか、つまみと言うのか定かでは無いが、ご主人から「ハイっ」と手渡しされ、そのままパクパク。イメージとしては正月の餅の磯辺焼き。旨いに決まっている。

器付の鮨2種類。
1つ目は鱈の白子で和えたシャリにフグの白子が乗っかった鮨(どう見ても握りとは言えない)。想像できるだろうか。フグの白子は私が知っている最高の食べ方である、軽く炙ってある状態。スプーンで頂くのだが、フグの白子はやはり箸で千切って頂く方が良いような気がする。当然箸で千切ると中はトロ〜リ。改めてスプーンを手に取りシャリと一緒に口へ運ぶ。これで鮨。味は説明の必要は無だろう。フグの白子の炙ったものを経験された方は、想像通りなのだが、鱈の白子の酢飯(つまり混ぜたもの)がフグの白子と合わさってこそ鮨。そしてその味は?これは説明する事が難しい。簡単に言えば、鱈の白子の味はフグの白子の邪魔をしない。では、ただ普通の酢飯ならばどうか?ここからが分からなくなる。想像してほしいが、フグの白子を御飯と一緒に食べるか?つまり、フグ料理を食べる時、最後に雑炊があるので、生まれてから一度もご飯と食べた事がない。鮨なので軍艦巻きであん肝、鱈の白子のはあるかもしれないが、フグの白子は「仄かさ」「上品さ」があると考えている。もしかしたら、単にフグの白子を酢飯に乗せて起きてしまう不自然さを、鱈の白子と酢飯を和えた事で、味の調和を狙ったのではないか?この1貫(一皿?)の「調和」は炙ったフグの白子の「暖かさ」と「常温」の鱈の白子を和えた酢飯、「仄かで上品な味」と「多少きつめで濃厚さが口に残る味」、そして「白子つながり」の共演と酢飯の「酢」のアクセントで構成された味なのである。

2つ目はウニの共演。腕の良い職人さんは軍艦巻きではなく海苔の味がウニの風味を損なわないため握ると言う話を聞いた事があるが、器で出されるのには理由がある。4種類のウニで構成された鮨なのである。今までウニは「ウニ」でしかなかったが、今回はウニの種類、採れた場所も異なる4種類な訳で、こんな事は生まれて初めて。順番に鮨として食べ進めると、確かにウニの味が違う。理屈では分かるが、厳選された各地のウニを1貫(一皿)で食べ比べる贅沢。香りだ、味だを論じる前に、一番印象に残っるのは舌に残る後味、つまり余韻。正直こんなに違うと思わなかった訳で、人生の新しい発見。

器の鮨に打ちのめされている所に、だし巻き卵。一息入れるのに絶妙のタイミングである。フワフワの卵が口に優しく、深い味わいで「落ち着いてネ」と語りかけてくるような気がする。

ラストスパートの2貫と巻物。握り2貫は煮詰めもの。最初は煮蛤次が穴子と江戸前の臭いがプンプン、そして蛤のお吸い物(と言うよりスープ)。このスープが濃厚でビックリ。

最後は2種類目の卵で所謂、厚焼き卵。先程のだし巻き卵とは全く別物で楽しくなる。

締めは中落ちだと思うが、手巻き鮨。
このお店の鮪は、一本釣りで暴れまくって釣られたものではなく、定置網で優しく採られたものだそうだ。違いは何となく分かるが、説明では、身が焼けておらず、「味が全く違うでしょ?」と言われたが、私の舌がついて行く事が出来ずに残念。
鮪はとても滑らかで適度な歯ざわり、最近の養殖の脂乗り乗りでトロける様な物とは異なる。
これで締めですと言われた後、もうちょっと行けたので、もう一回鮪。ヤッパリそう。部位にもよるのかもしれないが、丁寧に選別されて供される鮪はこうなんだ!と認識させて頂いた。

我々はお酒無しお任せ握りで一人おおよそ1万5千円強。私にとって新しい発見と贅沢な経験、特にイメージしている「寿司」を今回「鮨」に昇華させて貰った事は忘れる事が出来ない体験となった。季節を変えて、例えば1年で計4回通わせて頂くと、日本の四季と鮨の理解が多少深まるかもしれない。

2018/02/24 更新

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