東山清水さんが投稿した海老亭別館(富山/富山)の口コミ詳細

東山清水の「富山の美味逍遙」

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海老亭別館安野屋、諏訪川原、丸の内/日本料理

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  • 昼の点数:4.1

    • ¥30,000~¥39,999 / 1人
      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2023/07 訪問

  • 昼の点数:4.1

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

富山の自然の美味と”松川”の風趣が結びついた新境地

 海老亭別館は、富山で名高い老舗を引き継ぐ日本料理店。桜の名所・松川の桜並木に臨む趣深い和の空間で、富山の食材の魅力を心地よく満喫できる。昨秋に移転再開して以来、富山で有数の名店の一つとして新たな境地を開きつつある。

 海老亭は、創業以来、旅館、大型料亭、日本料理店と形を変えながら百年以上の歴史を持つ。2016年にはミシュラン2つ星を獲得しながら、建物の老朽化に伴い2018年4月にいったん閉店し、2022年10年に、桜の名所・松川沿いにある現在の地に移転した。約4年半の休業期間中、4代目の当主・村健太郎氏は、東京の名店「松川」で2度目の修行をし、蕎麦打ちやソムリエ資格なども身につけ、満を持しての再出発となった。

 店は、神通川にかかる富山大橋のたもと近くの路面電車通り沿いにある、大きな2階建ての一軒家。格式ある日本料理店には見えない現代風のデザインの外観が目を引く。一方、店の門から入り口周りは石や竹垣を配してしっとりした和の風情。1階はバーカウンターとソファを備えた待合室になっていて、2階に上がると、落ち着いた和の空間に入る。こぢんまりとした6席のカウンターの部屋は、部屋幅いっぱいにガラス窓をとり、窓越しに松川の桜並木が目の前に迫り、借景の葉桜が屏風絵となって視界に広がる。ちなみに東京・中目黒の一つ星のフレンチ「クラフタル」は、窓越しに有名な目黒川の桜並木が見えるが、松川の桜の方が一段と風情がある。

 富山の食材をふんだんに取り入れ、名店「松川」仕込みの品も交えた当店の料理は、随所に新しさもある正統派の懐石料理で、一品一品に、さりげなく、手間ひまをかけた丁寧な仕事が施されている。飾り立てず、奇をてらわず、素材のよさが自然に素直に伝わってくる感じがする。「松川」で素材との向き合い方を学び直し、富山の料理人たちとの交流の中で富山の食材の扱い方を深めたとのことで、かつての老舗の看板から自由になり、肩の力が抜けて、淡々として静かに澄んだ新境地に到ったような印象だ。四代続く老舗料亭の復活と言うより、新たな店として進化しつつあると言う方がよいのかもしれない。
 料理は、基本的に夜も昼も24,200円(税サ込)のコース1つで、旬の特選食材を追加することもできる(予約確認時にお店から案内があり、今回は、黒あわび、ウニ、鰻の蒲焼きで一品3~4千円程度)。お酒のペアリングは、ワイン7種に日本酒2種が基本で、フルが16,500円(税サ込)、ハーフが8,800円(同)。日本料理には日本酒という固定観念から離れた新たなスタイルを提起している。料理を盛り付ける器も、選び抜いた上質なものをそろえている。
 
 当店が4年半休業している間に、富山の食は大きく飛躍し、新たな名店も次々と生まれた。その中で、昨年に再開した海老亭別館は、独自の立ち位置が見えてきたように思われる。富山で屈指の店の1つとして、ゴ・エ・ミヨ2023にもさっそく掲載された。店主は「自分はまだまだ」と謙遜するが、安定感のある格調の高い料理と雰囲気で心地よい満足感が得られ、県内外や海外の人たちに訪れてほしいと思える。

1.毛蟹とオクラ
 氷を敷き詰めた木箱にガラスの器を沈めた、いかにも涼しげな一皿。岩瀬で揚がった毛蟹と、たたいたオクラにすだちのジュレをかけた。

2.穴子と飯蒸し
 煮穴子に、餅米に味をつけて蒸した”飯蒸し”、入善の枝豆。

3.トヤマエビ
 カニ漁がお休みのこの時期の富山湾では、生きたトヤマエビが食べられる(カニ漁の時期は、カニを獲っている間にエビは死んでしまう)。身が締まっていて、かむと歯をはじき返すような力強い弾力のものは、富山ならではの醍醐味。

4.甘鯛と胡麻豆腐の吸い物
5.トヤマエビの頭

6.お造り(キジハタと越中バイ)
 いくつか種類のあるバイガイの中でも、越中バイは肉質が柔らかくて希少な最高級品とされる。富山で随一の「ふじ居」でも、やはり越中バイをよく使う。キジハタは、ふくよかな甘みと心地よい歯ごたえで、鮮度と下処理のよさがわかる。

7.トウモロコシのすり流し
 ほぼトウモロコシだけで作ったすり流しは、力強く自然な甘み。

8.焼き茄子
 丸ごと黒く焦がして焼いた吉川ナスを、佐渡産の藻塩とともに。吉川ナスは、福井県鯖江市の伝統野菜で、滑らかできめ細かい肉質が特徴。店主が修行した「松川」では賀茂茄子を使ったものを出していて、それを北陸の食材を使って取り入れた。

9.白エビと菅藻(スガモ)
 文字通り宝石のようにきれいな白エビ。とろみの少ないすっきりとした味わいと舌触りで、鮮度のよさと丁寧な仕事が一目瞭然。菅藻の天ぷらのパリっとした食感と磯の風味との組み合わせ。

10.鱧と万願寺唐辛子
 地元の食材の個性を生かした工夫をこらした一品。鱧というと湯引きして梅肉で食すのが最もポピュラーだが、富山で獲れる鱧は水分が多めで湯引きして食べるのには不向きなため、揚げた料理にアレンジした。万願寺唐辛子は酢をきかせた塩で和えたもので、辛味がなくやさしい甘みと歯ごたえ。

11.鮎
 神通川のアユを20分ほどで丁度良い焼き加減に仕上げている。胸ビレがピンと立ったきれいな姿で焼き上がるのは、魚の生きの良さの証とのこと(直前まで元気に泳いでいた)。

12.池多牛の冷しゃぶ
 池多牛は、富山の名店でよく扱われ、塊肉を焼いて赤身の旨味を味わうことが多く、冷しゃぶは珍しい。脂にさっぱりとした旨味があり、赤身・脂のバランスがよく、冷しゃぶでも池多牛らしさが出ている。かんぴょう状にスライスした大根も甘みがあっておいしい。

13.手打ちのうどん
 通常は蕎麦を出すが、この日は店で手打ちしたうどん。生地を30分踏んでは寝かせる作業を6回繰り返すという手間をかけたもの。手打ちの麺料理は、「松川」での修行の成果の一つ。

14.お食事
 じゃこと山椒を炊いたもの、平飼いの卵、シシトウと塩昆布を炒めたもの、ホタルイカの沖漬け。器は富山の工房・Shimoo Design製。ご飯は、女将の父親が作っている小矢部のコメ、漬物は水ナスとキュウリの浅漬け。どのおかずも程よい塩加減でご飯がすすむ。

15.デザート
①マンゴー
②水羊羹
 みずみずしく滑らかな舌触りで、しっかりした味わいがありながら、後味がすっきりしている。これも「松川」にちなんだ一品。

16.お抹茶

【参考情報】
 松川べりの桜は、「日本さくらの名所百選」にも選ばれていて、海老亭別館のある場所は、松川の桜の一番端の方で、観光客の姿はまばらだ。電車通りを渡ると、桜並木は「磯部の桜」と名前を変え、苔むして見事な枝振りの桜のトンネルが神通川の堤防と並行して1kmほど続く。ここは、三浦友和主演で富山を舞台にした映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」の最後の方のシーンにも登場する。
 

  • 毛蟹とオクラ

  • 穴子と飯蒸し

  • トヤマエビ

  • 甘鯛と胡麻豆腐の吸い物

  • トヤマエビの頭

  • キジハタと越中バイ

  • トウモロコシのすり流し

  • 焼き茄子

  • 白エビと菅藻

  • 鱧と万願寺唐辛子

  • 池多牛の冷しゃぶ

  • 手打ちのうどん

  • お食事

  • お食事

  • マンゴー

  • 水羊羹

  • お抹茶

  • カウンター席

  • 店舗入り口

  • 待合室の飾り

  • 磯部の桜

  • 松川の桜と遊覧船

2023/08/06 更新

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