レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2008/08訪問 2008/08/11
暑〜い、暑〜い、夏の炎天下、暑い時は、暑い国の料理じゃい。
という事で、前から気になっていた、ここにお邪魔させていただいた。
外から見ると、厨房ガラス張りで、変な建物ですが、一歩入ると雰囲気は一変、
モダンで、素晴らしい空気感です。
席に座るだけで、ワクワクしちゃう。見事です。
ランチのコースは、¥8000-のショート(!)コース、¥15000-のランチコース、
¥22000-のディナーと同じコースの3種類から選べます。
ショートコースで2時間、通常のコースでは3時間かかるというので、
時間の都合があり、ショートコースにしました。
ショートコースって言ったって、マイクロ前菜4種類に、通常の前菜1皿、
メインが、魚と肉と両方、デザートまできっちり出て、2時間ですから、
どこが、ショートなんだか、良く判らない。
ちなみに、ランチコースになると、前菜が2皿になり、チーズがつきます。
ディナーコースは、さらに、前菜が3皿になり、デザートが2皿になります。
もちろん、ショートコースで、存分に満足出来ました。
コストの事まで考えると、ここでは、ランチのショートコースがベストの選択だと思います。
料理は、高級会席の様に、一品の量少なめ、見た目も重視です。
量は、多くないから、がっつり行きたい方には不向きかもしれない。
塩味や、甘味、酸味、食感を、くっきり使った、輪郭のはっきりした味付けです。
スペイン出身のシェフがやっていますから、バックボーンはスペイン料理なんでしょうけど、
これは、「カルメ・ルスカイエーダ」料理と呼ぶべきもので、
通常のスペイン料理に範疇に入るものではないですね。
帰りに、出口で、カルメ・ルスカイエーダさんの本をちょっと拝読してきましたが、
彼女、特にシェフを目指して、修業した。って事、無いんだそうですね。
産まれた村で、同郷の御主人と結婚して、その実家が、たまたま、スーパーをやっていて、
そのスーパーで、惣菜を作って売っていたら、評判が良かったので、そこの2階で、食堂をやろうと思った。
そしたら、たまたま、そのスーパーのお向いの家が売りに出たので、そこでレストランを始めた。
それが、彼女が35歳の時のようです。
だから、彼女の料理は、独学だから、誰にも似てない。
基本は、素人の田舎料理だから、誰にでもわかりやすい、はっきりとした、味付けなんだと思います。
もちろん、ものすごく、洗練されてますよ。
これ、私的には、ストライク・コースど真ん中なんです。
例えて言えば、
通常のスペイン料理が、ベラスケスならば、
王道フレンチは、印象派なのでしょう。
そして、彼女の料理は、ピカソなんだと思います。
全然、別物。好きな人は好き、合わない人は、なんじゃこれ。なんだと思います。
天才だ!!
東京が、食の都で良かったと思わされた、昼下がりでした。
3位
1回
2008/07訪問 2008/07/14
大宮に用事があり、鮨食いとしては、前々から気になっていた、ここに、
ランチでお邪魔させていただいた。
上野-浦和は、在来線で僅か18分。
そして、浦和の駅から、徒歩、ほんの3-4分。
上野からだと、新宿や、渋谷に行くより、近くて驚きました。
ランチは、12:00開始で、メニューも1種類のみ。
食べてみて判りましたが、最小のコストで、最善のモノを出そうと思ったら、
こうなるのが必然なんだと納得出来ます。
僅か、¥4200-であの内容は、凄い。
もちろん、この予算ですから、出せないものもいろいろある訳で、
鮪は、最後に、赤みのズケがでただけでしたが、
この予算で、最高に喜んで貰うためには、どうしたら良いか、
追求した、大将の腕と心意気には拍手です。
内容は、基本的には、古典的江戸前です。
仕事を加える事によって、美味しさを追求している。
ただ、雰囲気は独特です。
ここの感覚は、お鮨屋さんに行くというよりも、
もはや、大将のパフォーマンスを観る、ショーに行くという感じですね。
普通、ショーに行くとき、時間厳守でしょ。
内容に口出ししたり、しないでしょ。
私語しないでしょ。
目的を間違えなければ、最高です。
正直、ここより、美味しいお鮨屋さん、存在します。
でも、ここは、日本で一番楽しいお鮨屋さんであると思います。
お鮨屋さんのカウンターで、爆笑したのは初めて。
お鮨屋さんのカウンターで、見知らぬお客さんと、
和気靄々と、会話しちゃたのも初めての経験でした。
付け足しながら、ワインも美味しい。
何故か、南アフリカのワインがメインなのですが、
以前、銀座で、南アフリカのワイン専門のバーをやっていた方が、
(そもそもは、鮨職人だった方が、ワインバーをやっていたそうです。)
事情で、銀座のワインバーをたたみ、
今は、大将の右腕をやっているんだそうな。
スパークリング・ワイン、白、共に薦められるままにいただきましたが、
どちらも、素晴らしいセレクト。
さらに驚いたのが、お鮨屋さんに、赤は合わないだろうと思っていたのですが、
同席の方が、赤を飲んでいたので、試しにお願いしたら、すっきりで、ドンピシャ。
驚きました。
ここのワインのセレクトは、半端なワインバーより、良いよ。
素晴らしいお店です。
4位
1回
2008/02訪問 2008/05/05
銀座の有名と言われるお鮨屋さんは、一通り食べ歩いたつもりですが、私のNo.1は、ここ。
何を重視するかによって、好みは変わるかと思いますが、軽くつまみながら、ワインを呑んで、鮨で締める。という、私のスタイルにはハマっています。通常、鮨といえば日本酒だと思うのですが、私に言わせると、米と米がかぶって、少しくどい。葡萄の香りで洗いながら、鮨を食べる時が、最高に幸せです。
何回も通っていますが、その度に、新鮮な驚きがあります。職人さんは、液体以外は何でも握ります。って笑ってましたけど、究極は椎茸かなあ。あれを食べに通ってしまうという話もありますね。
値段は高級なのですが、雰囲気は、結構、ざっくばらんで、緊張しないで、ストレートに美味しさを楽しめるところも好きです。
あっ、想い出したら、また、行きたくなってきた。(笑)
5位
1回
2007/12訪問 2008/05/05
12月のとある休日、ちょっと早めのクリスマスということで、
ランチでお伺いさせていただいた。
お昼だったので、お任せコース「松」¥15750-也をお願いしました。
先付から始まって、全てが、見た目に美しく、素晴らしく美味しい。
特に和食は、個人的に「汁」と「飯」だと思っているが、
これだけ美味しいコースを組んできて、最後にいったいどんな「飯」
を出してくれるのか、ワクワク待っていたら、
その期待以上の「飯」を出していただけたのには、感服しました。
「汁」、味わいの切れ味が素晴らしい。
出汁が深く効いているのですが、くどい感じが全く無い。
これは、結局、雑味が全く無いと言う事なんですね。
言い尽くされている事ですが、和食は「引き算」の食事。
よくある洋食系の食事は、色々な味を組み合わせる、
「足し算」の食事ですが、和食は、「引き算」なんだというのを、
実感出来る食事でした。
ここで、食事をすると、全てのメニューにおいて、
手間を惜しまず、きっちり仕事が為されているのが、感じられます。
あっと、驚くような事をしなくても、
目の玉が飛び出すような、高級食材を使わなくても、
基本をきっちりやれば、これだけのモノが出せるんだ。
素晴らしいお店だと思います。
そういう意味では、お昼の野菜懐石¥8400-が、
この店の真価が一番味わえるかもしれません。
今回、個室を御用意していただきましたが、正直、ちょっと殺風景。
「食べこぼししたら大変」みたいな世界を想像していましたが、
ニトリで買ったような、椅子とテーブルで、
結構、カジュアルで、私みたいな人間にはお気楽で良かったです。
大体、個室だったので、上着も脱いじゃって、完全に寛いじゃいました。
サービスは、つかず、離れず、完璧です。
今回は、日本酒で行きましたが、日本酒は、正直、ありきたり。
あくまでも、料理のお供ですね。
もちろん、悪くないですけど、「おー、こんな酒が。」
みたいな期待はできません。
もっと、マニアックに美味しいお店はあると思いますが、
「誰でも使えて。」「外さない。」「怖くない」
という要素を加味すると、東京一の和食と評価します。
個人的には、
外国からお客様が来た時、
ある程度の御高齢の方をご接待する時、
第一選択はここですね。
6位
1回
2008/11訪問 2008/11/29
とある秋の週末に、「たまには、海でも眺めて、のんびりしよう。」
ということで、ランチにお伺いさせていただいた。
好天だったので、景色は、最高に素晴らしい。
前一面、きらきら輝く海です。
ランチは¥4000〜6800-程のコースがありますが、
基本的にプリフィクスです。
メニューを見て選んだのは、
アミューズに、生シラスと、南瓜のスープ。
前菜の一皿目が、地モノの平目のマリネ。
二皿目が、地モノの鮑のポアレ。
メインの魚が、地モノの伊勢海老のサフランソース。
メインが葉山牛のロッシーニ風。
美しく、地モノで固めてみました。
基本は、南欧プロバンス路線のフレンチですが、
ソースが出過ぎず、素材の良さをきっちり引き出して、
すべてが、高得点でした。
個人的には、都内の有名フレンチで、フランスから連れてきた、鳩だの鴨だのを食べるより、
ここで、目前の海から採れた鮑や伊勢海老食べてた方が、全然、幸せです。
地産地消、身土不二、な〜んて事、考えてました。
景色も相まって、心から、「葉山まで来て良かった。」
って、思わせてくれるお店です。
ただ、プリフィクス、高級食材を選ぶと、オプション料金が嵩みますので、
コストはそれなり。
また、グラスワインも、良いものを開けているようで、
白も赤も、とても美味しいのですが、¥3800-/杯だからなあ。
それを割り引いても、葉山なら、ここ。
心に残る、幸せな午後でした。
7位
1回
2008/09訪問 2008/09/22
前々から、評判を聞き、お伺いしたかった一店なのですが、
最近は、予約が取りやすくなったという噂を聞きつけて、
1週間前に、電話したら、あっさり、休日のランチの予約が取れ、
お伺いさせていただきました。
休日は、ざっと、¥5000-、¥7500-、¥10000-のコースのみ。
それぞれ、何が出るか、全て書いたメニューを置いて行ってくれるので、
コースから、選びます。
どれも、心魅かれるものでしたが、
せっかくなので、¥10000-のコースをお願いしました。
烏貝と鮪と鮑とフォアグラ、4皿の前菜に、
パスタ、牛肉でメインに、デザートで、全7皿。
ひとつ、ひとつのポーションがそんなに小さな印象は無かったのに、
気が付いたら、するする収まっていたのは、
きっと、良い材料を使っているためなのでしょう。
料理は、言ってしまえば、イタリアンの皮を被った、創作和食。
よく、間違っちゃった創作和食ってありますけど、
ここは、間違ってない、素晴らしくセンスの良いシェフの創造物です。
イタリア人は、「松茸と鱧のフィットチーネ」なんて、
間違っても食べてないよなあ。
はっきり、非常識だと思います。
だから、これをイタリアンだ。と呼ぶのは、どうかと思いますが、
ものすごく美味しいのは事実。
松茸が、ほんのり香り付けに入っているんじゃなくて、
これでもか!って入っているんですよ。
それが、鱧のあっさりした味に絡んで、もう、たまらん。
ここ、いただいて、全体に思うのは、食材に、お金がかかってる。
飲食店、通常、原価3割位だと、巷間、言われておりますが、
ここ、5割、越えちゃってるんじゃないのかなあ。
ランチで¥10000-のコースとはいえ、前菜だけで4皿、全7皿、
食べてみれば、はっきり上質なものだと判る、俗に言われる高級食材を、
これまた、惜しげも無く使っており、
(そこで、トリュフまで振らなくても充分美味しいよ。でも、確かに振ってあると確かに、さらに良い。)
こんなで、経営大丈夫かと、他人ながら心配です。
確かに、ここのサービス、内装、リストランテじゃなくて、トラットリアですよね。
でも、この値段で、この食事が摂れるんだったら、
私、ワインくらい、自分で注いじゃいますよ。
ここの料金、確かにそれなりですが、それは、サービス、内装にお金をかけたんじゃなくて、
食材にお金をかけすぎて、そうなっちゃたんで、
俗にいう、「高級」なサービスを求めるのは、ちょっと苦しいのかなあ。
と、来店して感じました。
ここ、非常識に高級な食材を、非常識に料理してあって、非常識に美味しいです。
非常識も甚だしい。
素晴らしい創作和食店だと思います。
味だけなら、☆4.5だと思いますが、正直、これだけの食材を、これだけ投じれば、
そりゃ、美味しくて当然。という感がありまして、
☆0.5を減じて、☆4にいたしました。
8位
1回
2008/06訪問 2008/06/24
梅雨空の日曜日、ランチにお伺いした。
せっかくの来店なので、「鮨」を味わい尽くしたい。ということで、
つまみは無しで、¥15000-のコースをお願いした。
シャリとネタとのバランス、シャリの温度、硬さ、酢の具合、
口に入った時の、バランスを計算し尽くして、完璧です。
お刺し身と、酢飯じゃなくて、完成した料理として最高。
ネタも極上。
雲丹と鯵は、未だ経験がないほど美味しかった。
故意に、目立つ仕事を押さえた、現代風江戸前ですね。
お鮨は、どうしても、他のお店と比べちゃうんですけど、
ここ、ストレートは、強烈に早いです。145km位でてる。
私の愛する、寿○幸さんや、銀座○笹さんより、速いと思います。
ただ、寿○幸さんの「椎茸」や、銀座○笹さんの「穴子」みたいな、
強烈な決め球は無いです。
一品、一品の点数を積み上げたら、ここの方が上。
ただ、驚きの120点が無かったので、☆4にさせていただきました。
ちなみに、次○さんや、○谷さんは、147km位は出ていると思います。
でも、あそこ怖いんですよね。空気が。
食事を楽しみに行ったんじゃなくて、「美食道」の修業に行った気分になっちゃう。
日曜日のランチに行って、「シャンパン出して。」って、気軽にいえて、
このレベルというのは、素晴らしいと思います。
目立つ仕事を控えた、現代風江戸前という事であれば、
私の第一選択肢にさせていただきます。
9位
1回
2008/01訪問 2008/05/05
寒〜い、寒〜い冬の夜、こういう時は、「赤ワインに、肉じゃ」
ということで、お伺いさせていただいた。
予め予約時に、「コースで」とお願いすると、総額¥23100-で、
前菜から、コーヒーまで、全て面倒をみてくれる。
そのかわり、お肉の種類は選べない。
財布の中身と相談しながら、いろいろ考えるのも楽しくないので、
今回は、コースでお願いした。
まずは、前菜に「蕪のコンソメ煮」、
とろとろで、高級和食屋さん並みに美味しい。
さっぱりとして、食欲がすすみ、肉の準備に相応しい。
前菜の2皿目が、牡蛎のオーブン焼き。
柚子味噌、雲丹マヨネーズ、ベーコンと玉葱乗せ。
牡蛎、良い牡蛎でした。
口の中で、綺麗にとろける。
これを食べるために、ここに来ても良いかも。と思える出来。
続いてパン。
「今、焼き上がりました。」と、運ばれてきたのですが、
本当に焼き立て。温めたのでは無くて、焼き立てなんです。
たまたま、この日の客は、私達だけだったのですが、
予約で訪れていますから、時間を合わせて、
私達のためだけに、パン焼いてるんですね。
驚きです。
当然、物凄く美味しい。
次は、「独活と、湯葉と、柿のサラダ」
まあ、これは、普通に美味しい。
そして、メインのステーキがきました。
この日は、フィレで、一人180g程だそうです。
普段、私は、ミディアムレアなのですが、せっかくの最高の肉ですから、
それよりも、ややレア加減にとお願いしました。
厚さ5cm程の大きな塊がお皿の上にごろり。
食べてみて、驚きました。
割と私も牛肉好きで、いろいろなステーキハウス、鉄板焼き、
イタリアン、フレンチ、焼肉、いろいろ食べてきました。
間違いなく、ぶっちぎりでここが一番美味しい。
ソースとか、タレとか、ニンニクとか、そんなものは、
不味い肉を誤魔化すための手段でしかない!!
肉が美味しければ、塩コショウだけで、炭で炙って食べるのが最高。
その事は、よ〜く判りました。
なかなか罪作りなお店だと思います。
これから、どんなフレンチやイタリアンに行っても、
お肉、頼む気しません。
ここと比べると数段、落ちちゃうから。
これかの外食をどうしたら良いのかを、考えさせられた経験でした。
最後にデザート、コーヒーが来ましたが、どちらも良かった。
肉だけでなく、全てのバランスに素晴らしい食事でした。
高価格なのは事実ですが、当然のコストだと思います。
10位
1回
2008/05訪問 2008/06/01
土曜日、銀座でランチという事で、お伺いさせていただいた。
1階には、「本日満席」の貼り紙が。
土曜日のランチは、予約しないと厳しそうです。
1階のエレベーターの前も、10階のエレベーターの前も人が貼りついて、
対応は、丁寧、スムーズ、文句なしです。
内装は、イタリアン・モダン、天井が高く、床から天井まで、全てガラス張り、
気持ちのいい空間です。
全部で、10テーブルくらいしか無いんじゃないんかなあ。
思ったより、こじんまりしたレストランでした。
初めてなので、シェフの特別メニュー¥8000-をチョイス。
小さな前菜の海老のゼリーは、繊細。
前菜のアスパラは、アスパラの香りを生かして、酸を効かせて、美味。
蒸したフォアグラ、冷製雲丹のパスタ、鳥のグリル、
いずれも、素晴らしい出来でした。
最後の、デザート・ワゴンも、得点高いなあ。
ワインも、良いチョイスが出来ます。
基本は、すっきり繊細な東京イタリアンに近いですが、
僅かに、本格イタリアン寄り。だと思います。
これはという、キラー・コンテンツはありませんが、
味、雰囲気、サービス、全て、外さないという意味では、
安心してお伺い出来るお店だと思います。
資生堂ですから、どうしても、☆3つの某フレンチと比べちゃいますけど、
こちらの方が、モダンでクリーンで明るくて、ザ・資生堂というイメージですね。
2軒並んでいて、同じ値段でも、私だったら、こちらに来ますね。
とある週末、ちょっとした記念日に、宿泊でお伺いさせていただいた。
行きたい、行きたいと思いながら、なかなか機会が無く、
今回は、おそらく3年ぶりくらいの訪問となりました。
3年ぶりでも、何も変わっていない。
スタッフの笑顔もそのまま。
時間が止まったかのような、海辺の古びた洋館。
女将(マダムじゃなくて)もテーブルに挨拶に見えて下さり、
私、「ご無沙汰です。まだまだ、お元気そうで、何よりです。」
変わらない事が、貴重でうれしい、
心から寛げる、私にとっての「別荘」です。
さて、レストランですが、看板は、フレンチだとは思いますが、
通常のオーソドックスなフレンチを期待している方には、
全く、違う料理だと思います。
極言すれば、調味料は、塩と胡椒だけ。
バターも無ければ、ソースも無い。
ただ、焼いて出すだけ。
ただ、食材の吟味と、調理の加減は絶妙です。
一瞬、これなら自宅でもできそう?
でも、絶体、素人では真似の出来ない料理です。
よく、お鮨屋さんで、
「乗せて出すだけなら、俺でも出来る。」
と勘違いしちゃいますけど、(私だけか?)
そんな事は、あり得ないのと同じです。
かなりイタリアンよりな、フレンチとも言えると思いますが、
トマトも、大蒜も、オリーブオイルも無いので、
イタリアンでも無い。
フレンチは、いろいろなものを組み合わせて、
味に深みを追求する「足し算」の料理だと思いますが、
ここは、完全に「引き算」。
余分なものを削ぎ落として、いかに素材の良さを味わってもらうかを
追求した料理です。
洋館で、丸いお皿に乗って出て来ますが、
そう、これは、基本的に「和食」なんだと思います。
さらに言えば、火は通っているし、米にも乗っていないけど、
もはや、感覚はお鮨に近い。
これ、私的には、完全にストレートど真ん中なんですよね。
最近、東京で、いろいろと、星が付いたフレンチを回って、
「まあ、料理って、こんなものだよな。驚くほど美味しいって無いよな。」
って思っておりましたが、ここは、驚くほど美味しい。
伊勢海老も、蛤も、うろこ鯛も、皆、炭火で焼いてあるだけ。
でも、どれも、今でも脳裏に香りが甦るくらい、美味しい。
ただ、素材勝負だから、お任せコースじゃないと、
この感動は無いかもしれません。
結局、料理は「好み」だよなあ。
やっぱり、オーソドックスなフレンチ、駄目かも。って思った一夜でした。
余談ですが、ここは、基本的にはオーベルジュ。
宿泊しての食事ですが、ここの温泉は良い。
蓬莱さんと共同の温泉ですが、私の評価では日本一です。
海と、巨樹に囲まれて、空気が違う、湯質が違う。
そこらの温泉とは比較になりません。
熱海の駅から、タクシーで僅かに5分。
東京駅から、併せて1時間。
私にとって、究極のリゾートです。