名古屋とその近郊のディープな麵屋

関東のカレー南蛮とも全く違った名古屋独特のカレーうどん。街のあちらこちらで「若鯱家」と言うチェーン店を見かけますが、オリジナルはこちらの店で、昭和５１年（１９７６年）創業。その発祥の地の証拠に、行燈には今でも「若鯱家」と書かれています。チェーン店とは全く違った腰のあるうどんと独特のカレーが魅力的です。

このカレー煮込みうどんも、もちろんカレーうどんですが、鍋に入れて名古屋独特の固いうどんをアルデンテに煮込んであります。ぐつぐつ煮えたぎるカレーにデフォールトの揚げと、トッピングに揚げたてのてんぷらを入れて食べます。ごはんかおにぎりも必食です！２０１１年頃から、名古屋でもカレー煮込みうどんを出す店が増えてきましたが、この店は１８年程前から作っています。２０年以上前に、鉄鍋でカレー煮込みうどんを作っていた店が春日井市にありましたが、かなり前に閉店したので、今のところこの店が由緒ある店と言ってよいでしょう。もっと古くから作っていたお店があったら、ぜひ教えてください。

きしめんと言えば、醤油味のつゆに鰹節が乗っている暖かいものが標準で、名古屋ではどこでも食べられます。それほど美味しい食べ物とは思わないので、ダントツに美味しいこちらの「ざるきし」を紹介しておきます。透けて見えるくらいに薄い手打ちのきしめんですが、しっかりと腰がありつるつるとした滑らかさと喉越しは、うどんより幅広ならではの食感です。鰹節風味の冷たいつゆで食べます。他の地方では、なかなかこのようなしっかりした手打ちのきしめんは食べられないと思います。お勧めです。

Ｐ．Ｓ．
大体名古屋できしめんを注文すると、もったりしていて食感が良くないか、薄い場合は箸で持ち上げると切れてしまう店がほとんどです。手打ちではうどんと差別化するほど個性のない店もあります。
また逆に、柔らかく簡単に切れる優しいのがきしめんの特徴との考えもあるようですが、そのようなきしめんは美味しくないというより、私は個人的にまずくて残すほど好きではないので、特に店は載せません。

きしめん屋として、ざるきしめんがとてもおいしい鈴家を紹介したら、名古屋っ子から早速抗議が来たので、一応老舗も載せておきます。
こちらは大正１０年創業の老舗。お昼には駐車場に黒塗りの高級車が並びます。客の会話内容もあきらかにお役人さんだったりするので、名古屋のきしめん代表にしても文句を言う人はいないでしょう。
いかにも名古屋のきしめんで、たまり醤油味のツユにホウレンソウが入っていて、振りかけられた鰹節がチリチリしているのですがが、なんせ肝心の手打ちきしめんが、うどんと何ら変わりません。形が若干平べったくなっているだけで、味も食感もまさにうどん。のど越しが良いわけでもない。あえてきしめんとして注文する意味がないというか・・・

ただしお店の名誉のために付け加えると、ツユの出汁は上品だし、てんぷらも見事だし、きしめん以外の「麺類のお店」としては私も高く評価しています。

Ｐ．Ｓ．
きしめんの製造会社は、「宮きしめん」が大正時代、「吉田麺業」が明治時代と圧倒的に古いのですが、きしめん自体はそれよりはるかに古くから民間で食べられてきた訳だし、両社の現在の直営店は新しいので特に紹介しません。お土産にするなら、私は吉田の半生きしめんの方が美味しいと思いますし、自分でも手土産によく使っています。

最近は幅広麺ブームなので、ディープな麵屋としてこちらの店も一応載せておきます。ただしこの店は、個人的には息子さんが打つ戸隠そばの方が美味しいですし、お勧めです。私は結局両方食べますが・・・

幅広きしめんに関しては、「桜山の芳野家」も有名ですが、私はまだ行ったことがありません。

ちなみに、日本農林規格によれば、きしめんの定義は、幅5.0-7.5mm、厚さ1.5mm未満だそうです(^^;)

名古屋駅からＪＲ中央線で２０分程の多治見にある、うどん屋です。名古屋では冷たいうどんに醤油味のつゆをかけたうどんのことを「ころうどん」と呼びポピュラーな食べ物となっていますが、その名前の発祥がこのお店と言われています。こちらのうどんは伊勢うどん系の二度茹でする表面が粉っぽいうどんで、ツユに良く絡みます。創業が1930年頃で、現在は二代目がうどんを打っています。語源は「香露うどん」と言われています。

Ｐ．Ｓ．
毎週日月火曜日と三連休ですのでご注意ください。
Ｐ．Ｓ．２
先代の頃は常に行列で、常連さんはごめんよごめんよと言いながら列を横目に「お茶の間」に入って待たずに食べられましたが、最近はそれほど並ぶこともなくなり、そんな風景も見られなくなりました。

八丁味噌文化の名古屋ならではの、「味噌中華そば」です。八丁味噌と鰹節系のツユで中華麺を食べますが、札幌発祥で全国に広がった豚骨スープの「みそラーメン」とは全く違った食べ物です。これも病みつきになります。てんぷら（かきあげ）と生卵が必須のトッピングです。名古屋市の東隣、長久手市にあるお店で創業４０年になりますが、私の知る限り、少なくとも２０年以上前から味噌中華そばを作っていてお勧めの店です。名古屋市内では、味噌中華そばを出すお店は意外と少なく、数軒しか見たことがありません。（名古屋市にある「いなや」は、こちらの店の元従業員がいなやを名乗っている、まったく別の店です）

ムロアジや鰹節出汁に八丁味噌ベースのツユで、硬いうどんを鍋で煮込んだ「味噌煮込みうどん」です。発祥は戦前とも江戸時代とも言われはっきりしないので、どの店がオリジナルということはありません。個人的にそれほど好きな食べ物ではありませんが、こちらの店は人気がありますし、なかなか美味しいと思います。創業４０年ほどですが、山本屋のようにチェーン店化して値上げすることもなく、お婿さんが店を継いで、リーズナブルな値段で「味噌煮込みうどん」を提供しています。

これも今や名古屋名物？の台湾ラーメンですが、こちらの店が発祥ということになっています。創業５０年ですが１９７０年代にまかない飯用として、もともとは台湾の担仔麺をヒントに、台湾人の店主が内臓を使わずひき肉を使って名古屋風にアレンジしたと言われています。関東では四川ラーメンと呼んでいるものがこれに近いですが、豚ひき肉とニンニクとたっぷりの唐辛子を炒めて辛く味付けしたミンチと、ニラ、もやしを乗せた醤油味ラーメンです。私は特に好きではないですし、お勧めでもないですが、一応名古屋名物とされていますので載せておきます。

まだ歴史は６－７年と浅いですが、東京にも進出したようですので載せておきます。台湾ラーメンのスープなしバージョン「台湾まぜそば」です。こちらのお店が台湾ラーメンをメニューにしようと作っているうちに生み出したと言われ、発祥の地とされています。
実際、私は台湾ラーメンより台湾まぜそばのほうが好きです。
はなびの支店や出身者の店以外でも、最近は名古屋のラーメン屋でこの料理を提供する店が多くなり、「台湾まぜそば」はかなりポピュラーな料理になりました。（食べログでも東京以外に新潟の店がレビューされていましたが、神戸に行ったらすでに三宮でも台湾まぜそばを新名古屋メシと書いて提供している店がありました）

こちらは店主自ら、「まかないから新名古屋めしに」と、狙っている？皿台湾です。

味噌味の生ハム大根スパゲッティです。

20年以上前から作っていますし、味噌味の冷やしスパゲッティは他の地方には絶対無い、ディープな名古屋麺以外の何物でもないのですが、なぜか他の店には広がらないようです。